JP5856456B2 - 人流予測装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、人流予測装置および方法に関し、特に、駅のホームやコンコースにおける混雑度や人の流れを推定するための人流予測装置および方法に関する。
本技術分野の背景技術として特許文献1〜5がある。特許文献1には、列車混雑率情報の収集及び提供システムが開示されており、「駅構内監視装置は、駅構内に入出車する列車毎の乗降客を監視して、該乗降客の動画像を取得し、人物行動認識装置は、上記駅構内監視装置から上記乗降客の動画像を受入れて、上記列車毎に、乗車客と降車客とを識別し、混雑率解析装置は、上記乗車客と降車客とから上記列車毎の混雑率を算出し、列車ダイヤDB、または突発的事象DBは、上記列車毎、及び駅毎の混雑率を格納し、WEBサーバ装置は、端末装置から受け入れる要求に基づいて上記、列車毎及び駅毎の混雑率を列車ダイヤDB、または突発的事象DBから読み出して提供する」と記載されている。
また、特許文献2には、混雑状況予測プログラム、混雑状況予測プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体および混雑状況予測装置、ならびにナビゲーションプログラム、ナビゲーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体およびナビゲーション装置が開示されており、「混雑状況を予測する装置であって、任意地点に関する現時刻での混雑現在情報を受信する混雑現在情報受信手段、任意地点に関する混雑過去情報を予め記憶しておく混雑過去情報記憶手段、混雑現在情報受信手段により受信した混雑現在情報と、混雑過去情報記憶手段に記憶されている当該地点に関する当該現時刻と同時刻での複数の混雑過去情報それぞれとの類似度を算出する類似度算出手段、および算出された類似度が最も大きい混雑過去情報に続く所定時間先の時刻の混雑過去情報を、混雑過去情報記憶手段から読み出し、当該地点に関する混雑予測情報とみなす混雑予測手段、ならびに、任意分岐点に任意移動路から流入してくる現時刻での移動体数を受信する移動体数受信手段、任意分岐点に任意移動路から流入した移動体が他の移動路へ分岐する確率を予め記憶しておく分岐確率記憶手段、および移動体数受信手段により受信した移動体数と、分岐確率記憶手段に記憶されている当該分岐点に当該移動路から流入した移動体が他の移動路へ分岐する確率とを掛け合わせて、当該他の移動路への流入予測量を算出する流入予測量算出手段、ならびに、前記混雑予測情報と前記流入予測量とを合成して、合成混雑予測情報を算出する合成混雑予測情報算出手段、ならびに、各移動体の現時刻での移動計画情報を受信する移動計画情報受信手段、移動計画情報受信手段により受信した移動計画情報および前記合成混雑予測情報に基づいて、各移動体の移動計画情報に含まれる移動予定地点までの移動所要時間を算出する移動所要時間算出手段、および同じ移動予定地点までの同じ移動所要時間を有する移動体の数を足し合わせて、当該移動予定地点に関する移動予測情報を算出する移動予測情報算出手段を有することを特徴とする」と記載されている。
また、特許文献3には、乗客流動予測システムが開示され、特許文献4には、コンテンツ推薦装置、コンテンツ推薦方法及びコンピュータプログラムが開示され、特許文献5には、混雑状況通知システムが開示されている。
特開2007−1381号公報 特開2010−287251号公報 特開2010−061321号公報 特開2007−058398号公報 特開2000−190847号公報
駅のホームやコンコースにおける混雑度や人の流れを推定するためには、推定したいすべての個所にセンサを配置することが望ましい。しかしコスト面や運用の難しさから、すべての個所にセンサを設置するのは困難である。
さらに上記公知例において、混雑予測のための分岐/移動確率の計算に必要なセンサ間の因果関係・依存関係は、固定的な空間情報に基づき構造化されている。しかし、駅の混雑や人の流れは列車ダイヤ等の動的な因果関係により影響を受けるため、固定的な空間情報の考慮では正確な混雑度や人の流れを推定することは困難である。
本発明は、駅のホームやコンコースにおける混雑度や人の流れを推定する際に、固定的な空間情報だけではなく、ダイヤ情報およびセンサ間の動的な因果関係を考慮して、センサが設置されていない個所の混雑度や人の流れを推定できる人流推定装置及び方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の人流予測装置100は、撮像部101と、撮像部101において得られた撮影画像から人物領域を検出し人物領域の特徴量を抽出する特徴抽出部102と、特徴抽出履歴情報および移動体ダイヤ情報、駅の入出場履歴情報を格納する人流データ管理部103と、前記特徴抽出履歴情報とダイヤ情報、入出場履歴情報間の因果関係を構造化したルールベースを格納する因果関係格納部107と、因果関係格納部107において格納された因果関係に基づいて人物が通行可能な個所における混雑度を推定する人流判定部108から構成されることを特徴とする。
本発明によれば、動的な因果関係を考慮することができ、センサが設置されていない車両やホーム、コンコースなどの人物が通行可能な個所における混雑度や人の流れを予測することができる。また、センサが設置されていない箇所においても混雑度や人の流れの予測の精度を上げることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
人流予測装置100の第1の実施例における構成図の例である。 撮像部101が取得する映像の例である。 撮像部101の駅における設置状況の例を模式的に示した図である。 特徴抽出部102の処理内容を示すフローチャートである。 人流データ管理部103に格納される履歴データベース105に格納される特徴抽出結果データ500の構造の例を示した図である。 人流データ管理部103に格納される履歴データベース105に格納されるデータ600の構造の例を示した図である。 ダイヤ情報データベース106に格納する列車の運行情報データであるダイヤ情報の例を示した図である。 第1の実施例における、因果関係格納部107によって格納されるベイジアンネットワークモデル801の構成例を示す図である。 確率計算部110の概略処理内容を示すフローチャートである。 確率計算部110で計算される、事前確率P(A),P(B)の例を示した図である。 条件付確率P(C|A)の計算を計算する処理であるステップS902の詳細を表すフローチャートである。 図9のステップS902、および図11で説明したフローチャートによって作成された条件付確率P(A|C)を表す表である。 条件付確率P(D|C)を計算する処理であるステップS903の詳細を表すフローチャートである。 図9のステップS903、および図13で説明したフローチャートによって作成された条件付確率P(D|C)を表す表である。 条件付き確率P(E|B,C)1601を計算する処理であるステップS904の詳細を表すフローチャートである。 図9のステップS904、および図16で説明したフローチャートによって作成された条件付き確率P(E|B,C)1601を表す表である。 確率計算部110の処理手順を示すフローチャートである。 人流情報操作部109で表示される画面の例を示した図である。 人流情報操作部109で表示される、ベイジアンネットワークモデル801における確率変数間の因果関係を設定する画面の例を示した図である。 人流情報操作部109で表示される、確率計算部110の動作時における画面の表示例を示した図である。 人流情報操作部109で表示される、確率推論部111の動作時における画面の表示例を示した図である。 確率推論部111における判定結果を運行管理装置113における表示画面に表示した例を示した図である。 情報提供装置114における表示例を示した図である。 実施例2における人流予測装置2400を示す構成図の例である。 実施例2における、人流データ管理部103に格納される履歴データベース105に格納されるデータの例を示した図である。 実施例2における、因果関係格納部107において格納されるベイジアンネットワークモデル2601の例を示した図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施例では、人流予測装置100の例を説明する。 図1は、本実施例の人流予測装置100の構成図の例である。
人流予測装置100は、撮像部101、特徴抽出部102、人流データ管理部103、人流情報制御部104を有する。人流データ管理部103は、履歴データベース105、ダイヤ情報データベース106を有する。また人流情報制御部104は、因果関係格納部107、人流判定部108、人流情報操作部109から構成される。さらに人流判定部108は、確率計算部110、確率推論部111から構成される。さらに、人流予測装置100は、ネットワーク112を介して、運行管理装置113および情報提供装置114と接続されている。
以下、人流予測装置100内の各装置の動作について詳細に説明する。撮像部101は、駅のホームや階段、エスカレータ付近に複数設置され、混雑状況が分かるような画像データ201を取得する。図2に取得される画像データ201の例を示す。
図3は、撮像部101の駅での設置状況の例を模式的に示した図である。撮像部101は例えばA線の列車301が到着するA線ホーム302の階段303付近に設置され、A線ホーム302の混雑状況を撮影できるように設置される。また、B線の列車304が到着するB線ホーム305には撮像部101は設置されていないものとする。
特徴抽出部102では、撮像部101によって取得された画像データ201に対してデジタル変換やエラー訂正等の処理を行い、メモリ等の一時記憶媒体に格納する。そして取得された画像データ201に対して所定の処理を行うことにより、ホームの混雑度250を計測する。混雑度250の計測結果は人流データ管理部103内の履歴データベース105として格納される。
以下、特徴抽出部102の動作について説明する。図4は、特徴抽出部102の処理手順を示すフローチャートである。図4において、処理手順は、人物候補領域検出処理を行うステップS401、特徴量抽出処理を行うステップS402、人物候補領域判定処理を行うステップS403、混雑度判定処理を行うステップS404、データベース格納処理を行うステップS405から構成される。
人物候補領域検出処理を行うステップS401は、例えば以下のようにして行われる。あらかじめ撮像範囲内に人物が存在していない時の画像を背景画像として記憶しておき、入力された画像201に対して、この背景画像との差分処理を行うことによって、人物候補領域が検出される。
特徴量抽出処理を行うステップS402は、例えば以下のようにして行われる。入力された人物候補領域に対してソーベルフィルタやラプラスフィルタを利用して濃淡エッジを検出する。そして、検出されたエッジ情報に対してハフ変換を行うことで、円または楕円領域を検出する。
人物候補領域判定処理を行うステップS403は、例えば特徴量抽出処理402によって得られた円または楕円領域に対して、所定の閾値以上の大きさを有する領域を頭部領域と判定することによって行われる。
候補領域数レベル判定処理を行うステップS404は、例えば以下のようにして行われる。人物候補領域判定処理を行うステップS403によって抽出された人物候補領域の数を集計し、集計数を所定の閾値に応じて、レベル1からNまでの複数段階に分割する。
データベース格納処理を行うステップS405では、混雑度判定処理を行うステップS404で判定された混雑度250を履歴データベース105中のデータベースとして格納する。
図5は、データベース格納処理を行うステップS405の処理結果である、人流データ管理部103に格納される履歴データベース105に格納される画像処理結果データ500の構造の例を示した図である。画像処理結果データ500には、レコードID501、ホームID502、カメラID503、日付504、時刻505、人物候補領域数506、候補領域数レベル507の各要素から構成されるデータが格納される。レコードID501は、各レコードにユニークに割り当てられたIDである。ホームID502は、駅内のどのホームに設置されたカメラかを識別するためのIDである。カメラID503は、設置されたカメラをユニークに識別するためのIDである。日付504、および時刻505は、人数を計測した日時であり、所定の時間単位で記録される。人物候補領域数506は、日付504および時刻505において計測された人物候補領域数である。候補領域数レベル507は、候補領域数レベル判定処理を行うステップS404で判定された候補領域数レベルである。この画像処理結果データ500は所定の期間分保存される。
一方、人流データ管理部103に格納される履歴データベース105には、利用者の出発駅604(O)と到着駅605(D)の組み合わせ毎に通過した人数606を集計したデータも格納される。このデータはODデータ600と呼ばれ、例えば、[特許文献3]に開示されているような情報である。ODデータ600は、改札を通過した定期券あるいは乗車券を集計して作成される。
図6は、人流データ管理部103に格納される履歴データベース105に格納されるODデータ600の構造の例を示した図である。ODデータ600は、日付601、開始時刻602、終了時刻603、出発駅604、到着駅605、人数606、混雑度607の各要素から構成されるデータを格納する。日付601、開始時刻602、終了時刻603は通過した人数606の集計を行った日付601および開始時刻602、終了時刻603である。混雑度607は、出発駅604、到着駅605を通過する人数606から所定の閾値に応じて、混雑度607を判定した結果である。本実施例では、混雑度607を閑散(level=0)、普通(level=1)、混雑(level=2)の3段階に分類している。このODデータ600は所定の期間分保存される。
ダイヤ情報データベース106には、列車の運行情報データであるダイヤ情報データ701を格納する。図7はダイヤ情報データ701の例を示した図である。ダイヤ情報データ701は、横軸に時刻702、縦軸に位置(駅)703を表し、線704は1本の列車の運行を表す。これにより、どの列車がいつどこの駅に存在するかを表現することができる。
人流情報制御部104では、人流データ管理部103に格納された履歴データベース105、およびダイヤ情報データベース106に格納された履歴データに基づいて、画像処理によって混雑度607が直接観測できないB線ホーム305における混雑度607を推定する。
本実施例では、混雑度607の推定処理にベイジアンネットワーク(Bayesian Network、例えば[特許文献4]参照。)を用いて説明することにする。ベイジアンネットワークとは、履歴データに基づいて様々な事象の因果関係や依存関係をベイズの定理を用いて表現するものであり、複雑な因果関係や依存関係を有向グラフによって表すとともに、個々の定性的な関係を条件付確率で表す確率推論のモデルである。特許文献4には、被験者に対してアンケート等の聞き取り調査を実施して集めたデータに基づいてベイジアンネットワークのモデルを作成し、作成したモデルにユーザの状況を照らし合わせることによってユーザの嗜好を推定し、コンテンツを推薦する技術が記載されている。
人流情報制御部104は、このベイジアンネットワークモデル801を用いて混雑度を推定する。人流情報制御部104は、因果関係格納部107、人流判定部108、人流情報操作部109から構成される。さらに人流判定部108は確率計算部110、確率推論部111から構成される。
以下、各処理について説明する。因果関係格納部107では、例えば図3で示した駅の構造に基づいて、事象の因果関係を有向グラフによって表現したモデルを格納する。図8に、因果関係格納部107に格納されるベイジアンネットワークモデル801の例を示す。ベイジアンネットワークモデル801は、A線ダイヤに関する確率変数A802、B線ダイヤに関する確率変数B803、A線ホーム混雑度に関する確率変数C804、A線ホーム画像観測データに関する確率変数D805、B線ホーム混雑度に関する確率変数E806を有する。ベイジアンネットワークモデル801においては、A線ダイヤに関する確率変数A802とA線ホーム混雑度に関する確率変数C804、A線ホーム混雑度に関する確率変数C804とA線ホーム画像観測データに関する確率変数D805、B線ダイヤに関する確率変数B803とB線ホーム混雑度に関する確率変数E806、A線ホーム混雑度に関する確率変数C804とB線ホーム混雑度に関する確率変数E806がそれぞれ因果関係を有している(図8中の矢印で示されている)。また、各因果関係には事前確率および条件付確率が設定され、すべての確率変数の結合確率は以下の式によって表わされる。
Figure 0005856456
確率計算部110では、人流データ管理部103に格納された履歴データベース105、およびダイヤ情報データベース106に格納された画像処理結果データ500、ODデータ600、ダイヤ情報データベース701と、因果関係格納部107によって格納されたベイジアンネットワークモデル801に基づいて、事前確率および条件付確率を計算する。
以下、確率計算部110の動作について説明する。図9は、確率計算部110の概略処理手順を示すフローチャートである。図9において、処理手順は、事前確率P(A)、P(B)を計算する処理を行うステップS901、条件付き確率P(C|A)1201を計算する処理を行うステップS902、条件付き確率P(D|C)1401を計算する処理を行うステップS903、条件付き確率P(E|B,C)1601を計算する処理を行うステップS904から構成される。
以下、各処理について説明する。事前確率P(A)、P(B)を計算する処理を行うステップS901では、図8で示したベイジアンネットワークモデル801において、事象802および803が発生する確率を計算する。具体的には、ダイヤ情報データベース106に格納されているダイヤ情報データ701に基づいて、所定の時間間隔tからt+1までにA線およびB線に列車が存在する時間の割合を求める。そしてその割合を事前確率P(A)、P(B)として格納する。
図10に格納される事前確率P(A)、P(B)の例を示す。事前確率P(A)1001は所定の時間間隔で確率が格納される。具体的には開始時刻1002、終了時刻1003、A線に列車が存在しない(A=0)確率P(A=0)1004、A線に列車が存在する(A=1)確率P(A=1)1005を表すデータが格納される。事前確率P(B)1006も同様に、開始時刻1007、終了時刻1008、B線に列車が存在しない(B=0)確率P(B=0)1009、B線に列車が存在する(B=1)確率P(B=1)1010を表すデータが格納される。
図11は条件付き確率P(C|A)1201を計算する処理であるステップS902の詳細を表すフローチャートである。ステップS1101において、人流データ管理部103の履歴データベース105に格納されるODデータ600を読み込む。
次にステップS1102において、ダイヤ情報データベース106に格納される、ダイヤ情報データ701を読み込む。
ステップS1103において、ステップS1101において読み込んだODデータ600から、当該駅においてA線ホーム302を使用したと考えられるデータを検索する。
ステップS1104において、A線ホーム302に列車が存在する時刻において、混雑度ごとに事象の数を集計し、条件付き確率を計算する。具体的には、ステップS1103において検索したODデータ600の中から、さらに開始時刻602、終了時刻603のうちA線ホーム302に列車が存在する時刻に該当するデータを有するデータを抽出し、混雑度607毎に事象の数を集計する。そして混雑度607毎に集計した事象の数を全数で割ることによって、A線ホーム302に列車が存在する場合における混雑度607毎の条件付き確率P(C|A=0)を計算する。
ステップS1105において、A線ホーム302に列車が存在しない時刻において、混雑度607ごとに事象の数を集計し、条件付き確率を計算する。計算の方法はステップS1104の場合と同様である。
図12は、図9のステップS902、および図11で説明したフローチャートによって作成された条件付き確率P(A|C)1201を表す表である。表は、A線ホーム302に列車が存在しない事象(A=0)、および存在する事象(A=1)それぞれに対して、開始時刻1002および終了時刻1003毎にA線ホーム302における混雑度607の3レベル(閑散C=0、普通C=1、混雑C=2)が発生する条件付き確率を表している。この表が開始時刻1002および終了時刻1003の分だけ存在する。
図13は条件付き確率P(D|C)1401を計算する処理を行うステップS903の詳細を表すフローチャートである。ステップS1301において、人流データ管理部103の履歴データベース105に格納される画像処理結果データ500を読み込む。
ステップS1302において、人流データ管理部103の履歴データベース105に格納されるODデータ600を読み込む。
次にステップS1303において、ステップS1302において読み込んだODデータ600から、当該駅においてA線ホーム302を使用したと考えられるデータを検索する。
そしてステップS1304において、混雑度607、および候補領域数レベル507の組み合わせ毎に事象の数を集計し、条件付き確率を計算する。具体的には、ステップS1302において検索したODデータ600の中から、さらに混雑度607のカラムに格納されている混雑度607毎に、開始時刻602のカラムに格納されている時刻をキーに画像処理結果データ500から同時刻のデータレコードを検索する。そして画像処理結果データベースの候補領域数レベル507のカラムに格納されている候補領域数レベル507毎に、混雑度C=i、かつ候補領域数レベルD=jである事象の数を集計する。そして各事象の数を全数で除算することにより、条件付き確率P(D|C)1401を計算する。
図14は図9のステップS903、および図13で説明したフローチャートによって作成された条件付き確率P(D|C)1401を表す表である。図14の表は、A線ホームにおける混雑度の3レベル(閑散C=0、普通C=1、混雑C=2)ごとに候補領域数レベル(D=1、…N)が発生する条件付き確率P(D|C)1401を表している。
図15は、条件付き確率P(E|B,C)1601を計算する処理を行うステップS904の詳細を表すフローチャートである。条件付き確率P(E|B,C)1601を計算する処理を行うステップS904は、以下のステップSで行われる。
まず、ステップS1501において、人流データ管理部103の履歴データベース105に格納されるODデータ600を読み込む。
次に、ステップS1502において、ダイヤ情報データベース106に格納される、ダイヤ情報データ701を読み込む。
次に、ステップS1503において、ステップS1501において読み込んだODデータ600から、当該駅においてA線ホーム302を使用したと考えられるデータを検索する。
ステップS1504において、ステップS1501において読み込んだODデータ600から、当該駅においてB線ホーム305を使用したと考えられるデータを検索する。
ステップS1505において、B線ホーム305に列車が存在する時刻において、A線における混雑度607毎にB線ホーム305における混雑事象の数を集計し、条件付き確率を計算する。具体的には、ステップS1503において抽出したODデータ701から、B線ホーム305に列車が存在する時刻に該当するODデータ600を抽出する。そして、抽出したODデータ600に格納されている時刻をキーに、ステップS1504において読み込んだODデータ600からB線ホーム305を使用したと考えられる事象の数を、A線ホーム302およびB線ホーム305の混雑度607毎に集計する。そして混雑度607毎に集計した事象の数を全数で割ることによって、B線ホーム305に列車が存在しかつA線ホーム302における混雑度607毎の、B線ホーム305における混雑度607の条件付き確率P(E|B=1,C)を計算する。
そして、ステップS1506において、B線ホーム305に列車が存在しない時刻において、A線ホーム302における混雑度毎にB線ホーム305における混雑事象の数を集計し、B線ホーム305に列車が存在せず、かつA線ホーム302における混雑度607毎の、B線ホーム305における混雑度607の条件付き確率P(E|B=0,C)を計算する。計算の方法はステップS1505の場合と同等である。
図16は、図9のステップS904、および図15で説明したフローチャートによって作成された条件付き確率P(E|B,C)1601を表す表である。図16の表は、B線ホーム305に列車が存在しない事象(B=0)、および存在する事象(B=1)と、A線ホーム302における混雑度607の3レベル(閑散C=0、普通C=1、混雑C=2)の組み合わせ毎に、B線ホーム305における混雑度607の3レベル(閑散C=0、普通C=1、混雑C=2)が発生する条件付き確率を表している。
次に、確率推論部111の動作について説明する。図17は、確率推論部111の処理手順を示すフローチャートである。確率推論部111は、確率計算部110によって計算された条件付き確率、および特徴抽出部102によって観測された画像処理結果から事後確率を計算し、B線ホーム305における混雑度607ごとの確率を計算し、混雑度607を推定する。
ステップS1701において、確率計算部110によって計算された条件付き確率表を読み込む。
次にステップS1702において、図4に示した特徴抽出部102の処理に従って候補領域数レベル507を判定する。
ステップS1703において、ステップS1702によって判定された候補領域数レベルの条件を事前条件として、A線ホーム302における混雑(閑散C=0、普通C=1、混雑C=2)が発生する確率P(C|D)を計算する。具体的には以下のようにして計算される。例えば候補領域数レベルDが1と観測されたとき、A線ホーム302が混雑(C=2)している確率P(C=2|D=1)は、(式1)およびベイズの定理より、(式2)に従って計算される。
Figure 0005856456
ステップS1704において、A線ホーム302の混雑度を推定する。具体的には、ステップS1703において計算した条件付き確率P(C|D)のうち、最も確率が大きくなる混雑度Cmaxを、A線ホーム302における混雑度と推定する。
ステップS1705において、ステップS1701において読み込まれた条件付き確率のうちB線ホーム305に列車が存在する確率Bおよび、ステップS1704において推定されたA線ホーム302の混雑度Cを事前条件として、B線ホーム305における混雑(閑散E=0、普通E=1、混雑E=2)が発生する確率P(E|B,C)を計算する。具体的には以下のようにして計算される。例えばB線ホーム305に列車が存在(B=1)し、A線ホーム302が混雑(C=2)していると判定された場合に、B線ホーム305が混雑(E=2)している確率P(E=2|B=1,C=2)は、(式1)およびベイズの定理より、(式3)に従って計算される。
Figure 0005856456
ステップS1706において、B線ホーム305の混雑度を推定する。具体的には、ステップS1705において計算した条件付き確率P(E|B,C)1601のうち、最も確率が大きくなる混雑度Emaxを、B線ホーム305における混雑度と推定する。
上記までで説明した、因果関係格納部107、および確率計算部110、確率推論部111の処理は、ユーザから人流情報操作部109を介して行われる。図18から図21に人流情報操作部109における画面の表示例を示す。
図18に、人流情報操作部109における画面の表示例を示す。画面1801には、ベイジアンネットワークモデル801を構成する各確率変数である、ダイヤに関する確率変数1802、ホーム混雑度に関する確率変数1803、観測データに関する確率変数1804が選択可能である。ユーザが確率変数を選択した後、追加ボタン1805を押すと、画面上に確率変数A802、確率変数B803、確率変数C804、確率変数D805、確率変数E806を表すノードが追加される。
図19に、さらに因果関係格納部107に格納する、ベイジアンネットワークモデル801における確率変数間の因果関係を設定する画面の例を示す。画面1901ではノード802および804を選択した後、関連付けボタン1902を押すと、ノード間の因果関係を表す矢印1903が表示される。
図20に、確率計算部110における画面の表示例を示す。画面2001では、ベイジアンネットワークモデル801が設定された後、計算実行ボタン2002が選択されると、確率計算部110の処理が実行される例を示している。
図21に、確率推論部111における画面の表示例を示す。画面2101では、推論実行ボタン2102が押されると確率推論部111の処理が実行される例を示している。画面2101では、さらに画面が分割されて、駅の構造2103が表示され、A線ホームの混雑度の時間変化2104、B線ホームの混雑度の時間変化2105が別ウィンドウに表示される例を示している。
確率推論部111において推定された推定結果は、ネットワーク112を介して運行管理装置113に随時送信され、指令員による列車運行管理業務に利用される。図22に確率推論部111における判定結果を運行管理装置113における表示画面に表示した例を示す。
運行管理装置113における表示画面2201には、例えば特開2002−59836号公報にあるように列車の在線状況が表示される。この表示画面2201における駅の存在場所を示す表示2202の下に、例えば各駅における混雑の状況を示すアイコン2203を表示することができる。このアイコン2203に表示されるデータは、確率推論部111において推定された推定結果である。各駅には複数の路線が存在する。
このためアイコン2203に表示される判定結果は、例えばこのうちひとつでも混雑と判定されれば、混雑と表示することができる。あるいはすべてのホームの状況を表示してもよい。列車運行管理業務をおこなう指令員は、この表示画面2201に表示された情報を用いて、適切な列車の運行を指令することができる。
運行管理装置113における表示画面2201に表示された判定結果2203は、ネットワーク112を介して情報提供装置114に表示してもよい。情報提供装置114の例として、例えば駅の入り口やホームに設置された情報提供装置、あるいは鉄道の利用者が所持する携帯電話、駅員が所持する端末装置などが挙げられる。
情報提供装置114における表示例を図23に示す。表示画面2301には、混雑が発生した駅について、例えば判定結果をアイコン1302で表示される。表示内容は運行管理装置113における表示画面2201に表示された判定結果2203と同等である。
本実施例では、人流予測を行う装置100の別の装置構成例を説明する。
図24は、実施例2における人流予測装置2400を示す構成図の例である。図24の人流予測装置2400のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
実施例2における人流予測装置2400では、実施例1の構成に加えて、さらに乗車率計測部2401が備えられた構成になっている。
以下、人流予測装置2400について説明する。乗車率計測部2401は、列車の各車両201に搭載された応荷重装置から計測された各車両の乗車率情報を収集する。これは例えば特許文献5に記載の手段で実現できる。
収集された乗車率情報は、例えば図25に示すような情報として、人流データ管理部103に格納される履歴データベース105に格納される。履歴データベース105に格納される情報2500は、レコードID2501、列車ID2502、車両ID2503、日付2504、時刻2505、乗車率2506、混雑度2507の各要素から構成される。
レコードID2501は、各レコードにユニークに割り当てられたIDである。列車ID2502は、列車を識別するためのIDである。車両ID2503は、列車内の車両を識別するためのIDである。日付2504、および時刻2505は、乗車率2506を計測した日時であり、所定の時間単位で記録される。乗車率2506は、計測された乗車率である。混雑度2507は、乗車率2506から所定の閾値に応じて、混雑度2507を判定した結果である。
混雑度2507は、実施例1における画像処理結果データ500中の候補領域数レベル507に相当する情報である。
乗車率計測部2401によって計測される人数2506は、本実施例の場合は図2におけるB線ホーム305の列車304に関する情報であるとする。撮像部101の設置状況等、その他の条件は、図2に示したものと同じであるとする。
本実施例における、因果関係格納部107において格納されるベイジアンネットワークモデル2601を図26に示す。実施例1との違いは、B線列車乗車率に関する確率変数F2602が追加されたことである。
この場合における、すべての確率変数の結合確率は以下の式によって表わされる。
Figure 0005856456
確率計算部110では、さらに確率変数F2602が新たに加わった場合の条件付き確率P(E|B,C,F)を計算する処理がおこなわれる。計算の方法は実施例1の図9において、条件付き確率P(E|B,C)1601を計算する処理であるステップS904の変わりに、条件付き確率P(E|B,C,F)を計算する処理がおこなわれる。
確率推論部111では、さらに乗車率を読み込む処理が加えられる。また、確率P(E|B,C)を計算する処理1705の代わりに、確率P(E|B,C、F)を計算する処理が行われる。
確率推論部111において判定された判定結果は、ネットワーク112を介して運行管理装置113に随時送信され、指令員による列車運行管理業務や利用者への情報提供に利用される。利用方法は実施例1で示した方法と同等である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。具体的には、第3の実施例として、実施例1における撮像部101と特徴抽出部102の構成の代わりに、実施例2において記載した乗車率計測部2401を備えた構成も実現可能である。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
100 人流予測装置
101 撮像部
102 特徴抽出部
103 人流データ管理部
104 人流情報制御部
105 履歴データベース
106 ダイヤ情報データベース
107 因果関係格納部
108 人流判定部
109 人流情報操作部
110 確率計算部
111 確率推論部
112 ネットワーク
113 運行管理装置
114 情報提供装置
201 画像データ
240 乗車率計測部
250 混雑度
301 列車
302 A線ホーム
303 階段
304 列車
305 B線ホーム
500 特徴抽出結果データ
500 画像処理結果データ
501 レコードID
502 ホームID
503 カメラID
504 日付
505 時刻
506 人物候補領域数
507 候補領域数レベル
600 ODデータ
601 日付
602 開始時刻
602 開始時刻ID
603 終了時刻
604 出発駅
605 到着駅
606 人数
607 混雑度
701 ダイヤ情報データ
702 時刻
703 位置(駅)
704 線
801 ベイジアンネットワークモデル
802 確率変数A
803 確率変数B
804 確率変数C
805 確率変数D
806 確率変数E
1001 事前確率P(A)
1002 開始時刻
1003 終了時刻
1004 確率P(A=0)
1005 確率P(A=1)
1006 事前確率P(B)
1007 開始時刻
1008 終了時刻
1009 確率P(B=0)
1010 確率P(B=1)
1201 条件付き確率P(C|A)
1401 条件付き確率P(D|C)
1601 条件付き確率P(E|B,C)
1801 画面
1802 確率変数
1803 確率変数
1804 確率変数
1805 追加ボタン
1901 画面
1902 関連付けボタン
1903 矢印
2001 画面
2002 計算実行ボタン
2101 画面
2102 推論実行ボタン
2103 駅の構造
2104 時間変化
2105 時間変化
2201 表示画面
2202 表示
2203 アイコン
2203 判定結果
2301 表示画面
2400 人流予測装置
2401 乗車率計測部
2500 情報
2501 レコードID
2502 列車ID
2503 車両ID
2504 日付
2505 時刻
2506 乗車率
2507 混雑度
2601 ベイジアンネットワークモデル
2602 確率変数F

Claims (9)

  1. 撮像部と、
    前記撮像部において得られた撮影画像から人物領域を検出し人物領域の候補数レベルを判定する特徴抽出部と、
    所定時間ごとの前記候補数レベルを含む特徴抽出履歴情報および移動体ダイヤ情報、駅の入出場履歴情報を格納する人流データ管理部と、
    前記特徴抽出履歴情報と移動体ダイヤ情報、入出場履歴情報間の因果関係を有向グラフで表現したモデルを格納する因果関係格納部と、
    前記特徴抽出履歴情報と前記移動体ダイヤ情報と前記入出場履歴情報と前記モデルに基づいて、前記撮像部において得られた撮影画像から混雑度を直接観測できないホームにおける混雑度を推定する人流判定部、
    から構成されることを特徴とする人流予測装置。
  2. 請求項1に記載の人流予測装置において、
    前記人流判定部は、前記モデルとしてベイジアンネットワークモデルを採用し、前記ベイジアンネットワークモデルに基づいて、前記撮像部において得られた撮影画像から混雑度を直接観測できないホームにおける混雑度ごとの確率を計算し、前記計算された混雑度ごとの確率が最も大きくなる混雑度を、前記撮像部において得られた撮影画像から混雑度を直接観測できないホームにおける混雑度と推定することを特徴とする人流予測装置。
  3. 請求項1または2に記載の人流予測装置において、
    さらに、前記モデルを作成し、混雑度を推定する人流情報操作部を備えたことを特徴とする人流予測装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかの請求項に記載の人流予測装置において、
    さらに、前記推定された混雑度を表示する情報提供装置を備えたことを特徴とする人流予測装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかの請求項に記載の人流予測装置において、
    さらに、列車の乗車率を計測する乗車率計測部を備え、前記人流データ管理部に乗車率計測情報を格納し、前記特徴抽出履歴情報と移動体ダイヤ情報と入出場履歴情報と前記乗車率計測情報との因果関係を有向グラフで表現したモデルに基づいて、前記撮像部において得られた撮影画像から混雑度を直接観測できないホームにおける混雑度を推定することを特徴とする人流予測装置。
  6. 請求項1ないし4のいずれかの請求項に記載の人流予測装置において、
    前記撮像部および前記特徴抽出部の代わりに乗車率を計測する乗車率計測部を備えたことを特徴とする人流予測装置。
  7. 撮影画像から混雑度を直接観測できない個所における混雑度を推定する混雑度推定手段が、撮像部において得られた前記撮影画像から人物領域を検出した結果に基づいて決定される、所定時間ごとの人物領域候補数レベルを含んだ特徴抽出履歴情報と、移動体ダイヤ情報、および駅の入出場履歴情報間の因果関係を有向グラフで表現したモデルに基づいて、前記撮像部において得られた撮影画像から混雑度を直接観測できないホームにおける混雑度を推定することを特徴とする人流予測方法。
  8. 請求項7に記載の人流予測方法において、
    さらに、前記モデルとしてベイジアンネットワークモデルを採用し、前記ベイジアンネットワークモデルに基づいて前記撮像部において得られた撮影画像から混雑度を直接観測できないホームにおける混雑度ごとの確率を計算し、前記計算された混雑度ごとの確率が最も大きくなる混雑度を、前記撮像部において得られた撮影画像から混雑度を直接観測できないホームにおける混雑度と推定することを特徴とする人流予測方法。
  9. 請求項8に記載の人流予測方法において、
    さらに、前記モデルを作成し、前記作成されたモデルに基づいて推定された混雑度を表示手段に表示することを特徴とする人流予測方法。
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