JP5854544B1 - 形状計測装置および形状計測方法 - Google Patents

形状計測装置および形状計測方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5854544B1
JP5854544B1 JP2015078639A JP2015078639A JP5854544B1 JP 5854544 B1 JP5854544 B1 JP 5854544B1 JP 2015078639 A JP2015078639 A JP 2015078639A JP 2015078639 A JP2015078639 A JP 2015078639A JP 5854544 B1 JP5854544 B1 JP 5854544B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
phase value
light source
correspondence table
shape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015078639A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016200418A (ja
Inventor
藤垣 元治
元治 藤垣
俊雅 坂口
俊雅 坂口
Original Assignee
藤垣 元治
元治 藤垣
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 藤垣 元治, 元治 藤垣 filed Critical 藤垣 元治
Priority to JP2015078639A priority Critical patent/JP5854544B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5854544B1 publication Critical patent/JP5854544B1/ja
Publication of JP2016200418A publication Critical patent/JP2016200418A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
  • Image Processing (AREA)

Abstract

【課題】計測対象物体の形状を高速かつ高精度、さらには広い計測範囲で計測できる装置および方法を提案する。【解決手段】複数の光源11aが格子基板11bからの距離が異なる複数の位置の各々に少なくとも1つ配置され、解析部13は、複数の位置の各々に対して作成され、第1の位置に対する位相値−空間座標対応テーブルにおいて空間が所定の位相値だけ連続的に変化する領域毎に分割され、分割された各領域に固有の領域番号が割り当てられている位相値−空間座標対応テーブルと、同一の空間座標に対して第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルの位相値と第2の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルの位相値とが関連づけられ、第1の位置に対応する位相値の各々に、各位相値が第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルで属する領域に割り当てられた領域番号が関連づけられている領域番号検索テーブルとを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、形状計測装置および形状計測方法に関し、より詳細には、計測対象物体の形状を高速かつ高精度、さらには広い計測範囲で計測することができる装置および方法に関するものである。
三次元物体の形状を非接触で計測する技術は、商業、工業などの分野を問わず重要性を増しており、既存の装置に組み込むことができる高精度でコンパクトな形状計測装置が求められている。また、医療分野やアパレル業界において人体の三次元形状計測には、精度や利便性の他、体のぶれを無視できるほどの高速性や、体全体を測定できる計測範囲の広さも必要となる。
三次元物体の三次元形状を計測する手法の1つに格子投影法がある。この格子投影法は、計測対象の物体に格子パターンを投影し、投影された格子パターンを撮影して位相解析を行うことにより計測対象物体の形状を求める方法であり、空間分解能と精度の両方がよい手法として知られている。(例えば、特許文献1参照)。
こうした格子投影法において計測範囲を広げる技術として、特許文献2には、ピッチが異なる2種類の格子基板を用いて位相解析を行い、得られた位相分布に対して位相接続を行う技術が記載されている。
また、非特許文献1には、格子基板として液晶パネルを用い、パネル上に表示する格子のピッチを変更して位相解析を行い、得られた位相分布に対して位相接続を行う技術について記載されている。
特許第2913021号公報 特開2002−90126号公報
格内敏、岩田耕一、斎藤伸一、坂本亨、「2ピッチ格子投影による3次元形状計測」、精密工学会誌、1992年、第58巻、第5号、p.877−882
しかし、特許文献2に記載された技術においては、格子ピッチが異なる格子基板を置き換える処理を行うため、格子基板を移動させるために多大な時間を要する。また、格子基板を置き換えるたびに位置ずれが発生するため、計測精度が低下する。
また、非特許文献1に記載された格子基板として液晶パネルを用いる方法では、表示する格子のピッチを電気信号で切り替えるため、位置ずれによる誤差は発生しない。しかし、液晶パネルは格子を表示する応答速度が遅いため、高速に形状計測を行うことができない。
そこで、本発明の目的は、計測対象物体の形状を高速かつ高精度、さらには広い計測範囲で計測することができる装置および方法を提案することにある。
本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)計測対象物体の形状を計測する装置であって、前記計測対象物体に所定の形状の格子パターンを投影するための投影用光を発光する複数の光源と、前記投影用光を通過させて前記格子パターンを形成する格子基板とを有する格子パターン投影部と、前記格子パターンが投影された前記計測対象物体を撮影する撮影部と、撮影された前記計測対象物体の画像に対して位相解析処理を施して前記計測対象物体の形状を求める解析部とを備え、前記複数の光源は、前記格子基板からの距離が異なる複数の位置の各々に少なくとも1つ配置されており、前記解析部は、前記複数の位置の各々に対して作成された、位相値と空間座標とが画素毎に関連付けられた位相値−空間座標対応テーブルであって、前記複数の位置のうちの第1の位置に対する位相値−空間座標対応テーブルにおいて、空間が所定の位相値だけ連続的に変化する領域毎に分割され、分割された領域の各々に対して固有の領域番号が割り当てられている、位相値−空間座標対応テーブルと、同一の空間座標に対して前記第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおける位相値と前記複数の位置のうちの前記第1の位置以外の第2の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおける位相値とが関連づけられ、前記第1の位置に対応する位相値の各々に対して、各位相値が前記第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおいて属する領域に割り当てられた領域番号が関連づけられている領域番号検索テーブルとを有し、前記領域番号検索テーブルを参照して、前記第1の位置に配置された光源を点灯して撮影された画像に対する前記位相解析処理によって求められた第1の位相値、および前記複数の位置のうちの前記第1の位置以外の第2の位置に配置された光源を点灯して撮影された画像に対する前記位相解析処理によって求められた第2の位相値から、前記第1の位相値が前記第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおいて属する領域に関連づけられた領域番号を特定し、前記第1の位置に対する位相値−空間座標対応テーブルを参照して、前記第1の位相値および特定した前記領域番号に基づいて前記計測対象物体の形状を求めることを特徴とする形状計測装置。
(2)前記領域番号検索テーブルは、異なる領域番号が関連づけられた位相値間が補間されて、前記領域番号検索テーブル内の全ての位相値に対して前記領域番号が割り当てられている、前記(1)に記載の形状計測装置。
(3)前記所定の位相値は2πラジアンである、前記(1)または(2)に記載の形状計測装置。
(4)前記位相値−空間座標対応テーブルは、各領域間が所定の重複位相値だけ重複している、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の形状計測装置。
(5)前記複数の位置の各々に3つ以上の光源が配置されている、前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の形状計測装置。
(6)前記複数の光源から発光される光の波長は前記複数の位置毎に異なる、前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の形状計測装置。
(7)前記光源は線状光源である、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の形状計測装置。
(8)前記(1)〜(7)に記載された形状計測装置を用いて、前記格子基板からの距離が異なる複数の位置毎に前記光源を点灯して前記格子パターンが投影された計測対象物体を撮影し、撮影された前記計測対象物体の画像に対して位相解析処理を施した後、前記領域番号検索テーブルを参照して、前記第1の位相値および前記第2の位相値から、前記第1の位相値が前記第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおいて属する領域に関連づけられた領域番号を特定し、続いて前記第1の位置に対する位相値−空間座標対応テーブルを参照して、前記第1の位相値および特定した前記領域番号に基づいて前記計測対象物体の形状を求めることを特徴とする形状計測方法。
本発明によれば、計測対象物体の形状を高速かつ高精度、さらには広い計測範囲で計測することができる。
本発明に係る形状計測装置を示す図である。 投影格子のピッチが1つの場合について計測可能な範囲を示す図である。 線状光源を有する格子パターン投影部の一例を示す図である。 (a)下段、および(b)上段に配置された光源を点灯した場合に格子パターン投影部から投影される格子パターンを示す図である。 上段および下段のそれぞれに3つの線状光源を有する格子パターン投影部の一例を示す図である。 格子パターンの(a)輝度分布、および(b)位相分布を示す図である。 位相シフト量と輝度との関係を示す図である。 (a)光源Aを点灯した場合、および(b)光源Bを点灯させた場合、に対する光源の点灯位置と投影される格子パターンの関係を示す図である。 (a)光源Aを点灯した場合、および(b)光源Bを点灯させた場合、に対してカメラが格子パターンを撮影する様子を示す図である。 (a)光源Aを点灯した場合、および(b)光源Bを点灯させた場合、に対して全空間テーブル化手法に基づいてテーブルを作製する様子を示す図である。 本発明においてz方向の計測範囲を切り分ける原理を示す図である。 本発明においてx方向の計測範囲を切り分ける様子を示す図である。 本発明においてy方向の計測範囲を切り分ける様子を示す図である。 2種類の格子を用いて得られた位相値−空間座標対応テーブルから真の座標を求める原理を説明する図である。 1画素にて計測される、ピッチの異なる格子プレートを用いて得られた2種類の位相分布を、各位相値を軸にした2次元平面上に表記した分布図である。 本発明において用いる領域番号検索テーブルを示す図である。 テーブル参照の際に予測される誤差の影響を示す図である。 テーブル参照の際に予測される誤差の影響を示す図である。 本発明の形状計測装置を用いて計測対象物体の形状を計測する流れを示す図である。 撮影画像の中心画素にて作成された2次元位相分布を示す図である。 2次元位相分布から作成された領域番号検索テーブルを示す図である。 (a)z座標の計測結果、および(b)y=0上の座標分布を示す図である。 領域番号の検索結果を示す図である。 全領域比較手法で求めたz座標分布と、本発明における領域番号検索テーブルを用いた手法で求めたz座標分布との差を示す図である。 オーバーラップ手法による計測誤差を低減する原理を示す図である。 オーバーラップ手法における領域番号検索テーブルの模式図である。 オーバーラップが0.1πラジアンの場合に対する中央画素の2次元位相分布を示す図である。 オーバーラップが0.1πラジアンの場合に対する領域番号検索テーブルを示す図である。 オーバーラップが0.1πラジアンの場合に対するz座標分布を示す図である。 オーバーラップが0.1πラジアンの場合に対するy=0ライン上のz座標分布を示す図である。 オーバーラップが0.1πラジアンの場合に対する、全領域比較手法によるz座標分布との差を示す図である。 オーバーラップが0.2πラジアンの場合に対する中央画素の2次元位相分布を示す図である。 オーバーラップが0.2πラジアンの場合に対する領域番号検索テーブルを示す図である。 オーバーラップが0.2πラジアンの場合に対するz座標分布を示す図である。 オーバーラップが0.2πラジアンの場合に対するy=0ライン上のz座標分布を示す図である。 オーバーラップが0.2πラジアンの場合に対する、全領域比較手法によるz座標分布との差を示す図である。 本発明の形状計測装置における段差付きLEDプロジェクタを示す図である。 本発明の形状計測装置における段差付きLEDプロジェクタの模式側面図である。 本発明の形状計測装置を示す図である。 実施例に用いた台形試料を示す図である。 本発明の形状計測装置に台形試料を配置した様子を示す図である。 本発明の形状計測装置に台形試料を配置のレイアウトを示す図である。 台形試料に2種類の格子を投影して撮影した画像、および撮影した画像に対する位相分布を示す図である。 撮影された(a)格子A、および(b)格子Bに対する位相分布を示す図である。 2種類の格子から得られた位相分布の関係を示す図である。 領域番号検索テーブルを示す図である。 台形試料の高さ分布を示す図である。
(形状計測装置)
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る形状計測装置を示している。この図における形状計測装置1は、計測対象物体Oに所定の形状の格子パターンを投影するための投影用光を発光する複数の光源11aと、投影用光を通過させて格子パターンを形成する格子基板11bとを有する格子パターン投影部11と、格子パターンが投影された計測対象物体Oを撮影する撮影部12と、撮影された計測対象物体Oの画像に対して位相解析処理を施して計測対象物体Oの形状を求める解析部13とを備える。ここで、複数の光源11aは、格子基板11bからの距離が異なる複数の位置の各々に少なくとも1つ配置されていることが肝要である。
上述のように、特許文献2および非特許文献1に記載された技術においては、計測可能な範囲を拡大することはできるが、そのために、形状計測の高速性や精度が犠牲になる問題があった。この点、本発明においては、複数の光源11aが、格子基板11bからの距離が異なる複数の位置の各々に少なくとも1つ配置されており、点灯させる光源を切り替えることによって、計測対象物体Oに投影する格子のピッチを瞬時に変更することができる。また、格子基板11bを移動させないため、位置ずれによる誤差が発生せず、計測対象物体Oの形状を高精度に計測することができる。
また、図2に示すように、投影格子のピッチが1つの場合は、位相が1周期分だけ変化する範囲(例えば、図2のD1で示す範囲)が基本的な計測可能な範囲となる。領域D2およびD3を計測範囲とする場合や、領域D1〜D3を計測範囲とする場合には、領域D2や領域D3においても領域D1と同じ位相値となる点が存在するため、位相値だけでは、どの領域なのかの区別がつかない。どの領域なのか区別がつく場合には、計測範囲を拡大することが可能となる。
計測対象物体Oに格子パターンを投影して計測対象物体Oの形状を計測する格子投影法では、奥行き方向(z方向)の計測範囲(計測深度)は、投影する格子パターンのピッチ幅、および投影格子と撮影部12の視線との間の角度に依存する。すなわち、格子ピッチを大きくするか上記角度を小さくすることにより、計測深度を拡大することができる。そのため、従来、格子ピッチおよび格子と撮影部12の視線との間の角度を調整し、計測対象物体Oに合わせた設計が行われてきた。しかし、計測精度は解析される位相の分解能に依存するため、計測深度を大きくすると計測精度が低下することが問題点である。
計測深度と精度を両立させるために、従来、2種類の格子を用いた位相接続法を用いることによって計測深度の拡張を行ってきた。この手法を用いると、精度を維持しながら計測深度を拡張することが可能である。しかし、この手法を適用するためには、投影する格子ピッチが奥行き方向の距離に関わらず一定であること、および2種類格子の位相差が奥行き方向(z方向)に単調に変化することが必要である。そのため、図2に示したように、z方向に位相が2π変化する範囲が変動して格子ピッチと位相値が安定しない、光源を切り替えて位相シフトさせる方法(以下、「光源切替位相シフト法」と言う)では、従来の位相接続法を適用するのは困難である。
そこで、本発明においては、後に詳述するように、各画素にてz方向に対する位相分布を位相の1周ごと(2πごと)に切り分けて、それぞれの領域で位相値と空間座標とを関連づける計測テーブル(位相値−空間座標対応テーブル)を作成する。計測時には切り分けた領域ごとに座標の候補を算出し、それらの候補群をからz座標の真値を求める。この手法では、解析時に格子ピッチの長さ情報が不要なため、本発明において使用する光源切替位相シフト法に適用して、計測深度の拡大と計測精度との両立を実現することができる。
複数の光源11aは、計測対象物体Oに所定の形状の格子パターンを投影するための投影用光を発光する。この光源11aとしては、点光源または線状光源等を用いることができる。中でも、光源の光量を増加させてS/N比を高めることができ、計測精度を向上させることができることから、線状光源を用いることが好ましい。光源として線状光源を用いる場合には、点光源を直線上に並べて線状光源を構成してもよい。光源として線状光源を用いる場合、その延在方向が格子基板11bの格子線と平行になるように配置する。
図3は、線状光源を有する格子パターン投影部11の一例を示しており、(a)は側面図を、(b)は斜視図をそれぞれ示している。図3に示した格子パターン投影部11は、段差を有する部材11dの格子基板11b側の表面に、光源11aを有する光源基板11cが配置された構成を有している。
図4(a)は、部材11dの下段に配置された光源11aのみを点灯し、上段に配置された光源11aを非点灯とした場合に格子パターン投影部11から投影される格子パターンを示している。一方、図4(b)は、部材11dの上段に配置された光源11aのみを点灯し、下段に配置された光源11aを非点灯とした場合に格子パターン投影部11から投影される格子パターンを示している。
図4(a)および(b)から明らかなように、図3に示した構成においては、光源11aと格子基板11bとの間の距離は、部材11dの上段に配置された光源11aの場合の方が大きい。そのため、上段の光源11aを点灯させた際に形成される格子パターンのピッチpは、下段に配置された光源11aを点灯させた場合よりも小さくなる。
このように、部材11dの上段に配置された光源11aを点灯させるか、下段に配置された光源11bを点灯されるかによって、計測対象物体Oに投影される格子パターンのピッチpが異なる。そして、この格子パターンにピッチpの変更は、点灯させる光源11aを上段(下段)から下段(上段)に切り替えるだけで済むため、格子のピッチpの変更を高速かつ位置ずれによる誤差なく行うことができる。
なお、図3に示した格子パターン投影部11はあくまで一例であり、格子基板11bからの距離が異なる複数の位置の各々に少なくとも1つの光源11aが配置され、計測対象物体Oに投影される格子のピッチpを変更できれば何ら限定されず、様々な変更を施すことができる。例えば、図3においては、部材11dは2段構造を有しているが、3段以上の構造とすることができる。また、図2においては部材11dが上段と下段とで別々の部材で構成されているが、これらの部材を一体で構成してもよい。さらに、光源11aは、光源基板11c上に配することなく、部材11dの格子基板11b側の表面に直接配置してもよい。
また、図3においては、上下段、すなわち格子基板11bからの距離が異なる複数の位置の各々に1つの光源11aが配置されているが、図5(a)に示すように、上下段の各々に3つ以上の光源11aを配置することが好ましい。これにより、後述する位相シフト法を用いて高速に位相解析を行うことができる。各段に3つ以上の光源11aを配置する場合には、各光源の延在方向が平行になるように配置する。また、各位置に配置される光源11aの数は、同一にすることが好ましい。
また、図5(b)に示すように、複数の光源11aを1枚のパネルに取り付け、そのパネルを格子基板に対して傾けて配置することによって、複数の光源11aと格子基板11bとの間の距離が異なるようにするように配置してもよい。図5(b)の場合、光源のA組を用いるとピッチの小さい格子を投影することになり、B組を用いるとピッチの大きな格子を投影することができる。同じ組の中でも格子基板との距離が異なり、投影されるピッチが異なることになるが、その差が小さい範囲では実用上は問題なく使用することができる。
なお、図5(b)に示した光源11aの場合、パネルにおいて同時に点灯させる光源11aを1つの組と考え、各組に含まれる光源11aの格子基板11bからの距離の平均値を、格子基板11bからの光源11aの距離と考える。
さらに、複数の光源11aから発光される光の波長(すなわち、色)は、格子基板11bからの距離が異なる複数の位置毎に異なることが好ましい。すなわち、図3に示した構成において、上段と下段とで光源11aから発光させる投影用光の色を変えることが好ましい。これにより、格子基板11bからの距離が異なる位置に配置された光源11aを同時に点灯させた状態で計測対象物体Oに投影された異なる色の格子パターンを撮影して位相解析を色毎に行って位相値を求めることができるため、計測対象物体Oの形状を計測する時間を短縮することができる。
複数の光源11aから発光される光の波長を、格子基板11bからの距離が異なる複数の位置毎に変え、かつ格子基板11bからの距離が異なる複数の位置の各々に3以上の光源11aを配置する場合には、例えば、各位置に配置される光源11aの数を同一にし、各位置にて1つずつ光源11aを同時に点灯して計測対象物体O上に異なる色の格子パターンを投影して画像を撮影するようにすればよい。
格子基板11bは、複数の光源11aから発光された投影用光を通過させて計測対象物体Oに所定の格子パターンを投影するための基板である。格子基板11bは、例えばガラス基板上にクロム蒸着してロンキールーリングと呼ばれる格子縞を描いたものとすることができる。
上記複数の光源11aと格子基板11bとの位置関係は、光源11aが線状光源の場合には、各光源11aの線状光源の延在方向が格子基板11bの格子線と平行になるように配置する。
撮影部12は、格子パターン投影部11により格子パターンが投影された計測対象物体Oを撮影する。この撮影部12としては、例えばCCDカメラやCMOSカメラを使用することができる。撮影された計測対象物体Oの画像は解析部13に出力される。
解析部13は、撮影された計測対象物体Oの画像に対して位相解析処理を施して計測対象物体Oの形状を求める。また、解析部13は、光源11aのいずれか1つのみが投影用光を発光するように格子パターン投影部11を制御する発光制御信号を生成して格子パターン投影部11に送信したり、格子パターンが投影された計測対象物体Oを撮影するように撮影部12を制御する撮影制御信号を生成して撮影部12に送信したりする。解析部13としては、例えばパーソナルコンピュータ(PC)を使用することができる。
撮影部12により撮影された計測対象物体Oの画像に対して位相解析処理を施すことにより、各画素に対して位相値を求めることができる。本発明において、位相解析処理を行うための具体的方法は特に限定されない。例えば、フーリエ変換法や空間的縞解析法、重み付け位相解析法などを用いて求めることができる。また、格子基板11bからの距離が異なる複数の位置の各々に3つ以上の光源が配置されている場合には、位相シフト法を用いて高速に位相値を求めることができる。ここで、位相シフト法を用いて位相値を画素毎に求める方法について説明する。
図6は、計測対象物体Oに投影される格子パターンの輝度分布と位相分布の関係を表す図である。図6(a)は、格子パターンの輝度分布を表し、図6(b)は、格子パターンの位相分布をそれぞれ表す。また、図7は、位相シフト量と輝度との関係を示す図である。一般に、格子パターンや干渉縞の輝度値I(x,y)は、図7(a)に示すように、空間(x,y)上に余弦波状に分布している。これを式で表すと、式(1)のようになる。
ここで、点(x,y)は、撮影された画像内の一点であり、a(x,y)およびb(x,y)は、それぞれ輝度振幅と背景輝度を表し、θ(x,y)は、格子の位相値を表す。格子が撮影された画像(以下、「格子画像」と称する)の場合、位相は実数全体で表すことができるが、0から2πまでの2π周期の繰り返しと見ることもできる。図6(b)は、θ(x,y)の分布を0から2πまでの繰り返しとして表現したものである。
位相シフト法は、格子の位相を1周期分だけ変化させながら複数枚の格子画像を撮影し、得られた複数の画像から位相分布を求める手法である。全ての画素において、輝度は1周期分変化するため、その輝度変化から画素毎に独立して、周囲の画素の輝度変化の情報を使わずに位相値を求めることができる。そのため、段差や不連続な部分を有する物体の形状計測に有効な手法である。ここでは、最も一般的に用いられている、π/2ずつ位相シフトされた4つの輝度値から位相値を求める場合(すなわち、位相シフト回数が4回の場合)を例に、位相シフト法の原理について説明する。
式(1)で示した格子パターンの輝度分布の式に、位相シフト量αを追加すると、下記の式(2)となる。
図7に、初期位相θを有する点(画素)における位相シフト量αと輝度変化の関係を示す。初期位相とは、位相シフト量が0の時の格子の位相を意味している。位相シフト量が0からπ/2ずつ変化した場合の輝度をそれぞれI0,I1,I2およびI3とすると、これらは、それぞれ式(3)〜(6)のように表すことができる。尚、以下の式では(x,y)の表記を省略する。
これらの式から、以下の式(7)および(8)が得られる。
さらに、式(7)および(8)から、下記の式(9)が導かれ、この関係式より、ある画素(x,y)に対する位相値θを求めることができる。すなわち、位相シフト量が0、π/2、πおよび3π/2の場合の輝度、I0、I1、I2およびI3が得られれば、この画素に対する位相値θが求まるのである。
ここで、位相シフトの回数(すなわち、0から2πまでの刻み数)を多くすることにより、カメラのランダムノイズの影響を低減することができる。位相シフト回数をN、位相シフト量が2πk/Nの時の輝度をIkとすると、下記の式(10)が導かれ、この関係式よりtanθ、すなわち位相値θを求めることができる。
こうして、位相シフト法により、画像上の各画素に対する位相値θを求めることができる。
上述のようにして各画素に対して求められた位相値から、計測対象物体Oの表面上の点の空間座標(x、y、z)を求めて、計測対象物体Oの形状を求めることができる。図8は、格子基板11bとしての投影格子パネルからの距離が異なる2つの位置に配置された2つの光源Aおよび光源Bを用いることにより、ピッチが異なる格子パターンを投影する様子を示している。ここで、位置Aに配置された光源11aを光源Aと呼び、位置Bに設置された光源11aを光源Bと呼ぶことにする。また、光源Aよりも光源Bの方が投影格子パネルに近い位置に設置されているものとする。さらに、それぞれの光源11aから出ている実線は、投影格子の明線の中央を表している。投影格子の明暗の変化を余弦波と見なして位相を定義すると、この実線は、投影格子の位相が0となる位置を表すことになる。光源Bの方が格子基板11bに近いために、光源Aを点灯させた場合よりも、光源Bを点灯させた場合の方が投影される格子パターンのピッチの方が大きくなる。
光源と投影格子パネルとの間の距離をa、投影格子パネルと計測対象物体Oまでの距離をb、投影格子パネル上での格子ピッチをp0としたとき、計測対象物体O上に投影される格子のピッチpは次式のようになる。
この式(11)から、光源11aと格子基板11bとの間の距離aを小さくすることにより、投影格子のピッチを大きくできることが分かる。図8に示すように、光源Aと投影格子パネルとの間の距離をaA、光源Bと投影格子パネルとの間の距離をaBとし、投影格子パネルとz=z0との間の距離をb、投影格子パネルにおける格子のピッチをp0とすると、z=z0の位置における投影される格子のピッチは、光源Aと光源Bの場合は、下記の式にそれぞれ示すpAおよびpBとなる。
図9に、光源11aとは異なる位置に、撮影部12としてのカメラを設置した様子を示す。カメラで撮影する画像内のある1画素に注目すると、その画素は、図の実線L上を撮影していることになる。この実線Lは、投影されている格子パターンを斜めに横切る直線となっている。直線L上では、z座標が大きくなるに従って、位相は徐々に変化することになる。
そこで、図10に示すように、基準面(基準となる平板)を用意して、z軸に垂直になるように、カメラの視野内に設置し、その基準面をz=z0からz=zN-1まで順にN回だけ平行移動させながら投影格子の位相値を取得する。取得した位相値は、位相値に対するz座標のテーブルとして記録する。これをキャリブレーションという。
このときに、基準面を移動させた位置ziの間の位置においては、近傍の基準面のz座標とそのときの位相の値から補間処理を行うことにより、基準面の位置だけでなく、基準面間の位置を含めたz=z0からz=zN-1までの全ての位置において、テーブルの要素を得ることができる。このようにして、取得したz座標たけでなく、さらに細かく位相θに対するz座標のテーブルを作成する。
なお、このときに用いる基準面の表面に2次元格子のように、x座標とy座標を読み取ることができるパターンを取り付けておいたり、基準面表面に表示できるようにしたりすることにより、直線L上の点におけるx座標とy座標を読み取ることができる。上述のように、位相とz座標の対応関係が既に得られているため、それを元にして、位相値に対するx座標のテーブルや、位相値に対するy座標のテーブルを作成することも容易に行うことができる。
次に、本発明において計測対象物体Oの形状を計測する方法について説明する。図11は、本発明においてz座標の計測範囲を切り分ける原理を示している。ここで、(a)は、z方向の計測範囲を切り分ける様子を示しており、(b)は、撮影部12の視線Lにおける位相分布とz座標との関係を示している。
通常の全空間テーブル化手法による計測の場合、初期位置z0での位相θ0は、zR1の位置にて位相値が一周(2πだけ変化)するため、計測範囲は、図11における範囲1の領域内に限定される。これは、位相シフト法により解析される位相が0から2πまでの範囲に収まり、それに合わせた位相値−空間座標対応テーブルが作成されるためである。本発明における方法では、位相値が1周する毎に別のテーブルを作成することにより、計測範囲zR1を超えても座標が算出できるようになる。図11に示した場合では、3つの位相値−空間座標対応テーブルが作成されている。このテーブルに、計測された位相値θaを代入すると、テーブル毎に座標が算出され、これらza1〜za3の座標群は、真の座標値の候補として扱われる。
x座標およびy座標も同様に、位相分布が1周する毎に切り分けを行うことによって、計測範囲の領域ごとに真の座標値の候補を求めることができる。図12は、x座標を位相分布が2πだけ変化する毎に切り分けた様子示しており、真の座標値の3つの候補としてxR1、xR2およびxR3が得られる様子を示している。また、図13は、y座標を位相分布が2πだけ変化する毎に切り分けた様子を示しており、真の座標値の3つの候補yR1、yR2およびyR3が得られる様子を示している。
ここで、領域番号(テーブル)毎の候補値の中から真の座標値となる領域番号(テーブル)および座標値を求めるため、従来の位相接続による計測深度の拡大手法にも用いられている、2種類の格子を用いた解析について説明する。図14は、2種類の格子を用いて得られた位相値−空間座標対応テーブルから真の座標を求める原理を説明する図を示している。(a)に示すように、一方の格子Aについては、上記の複数のテーブルを作成し、(b)に示すように、他方の格子Bについては、代入した座標を位相値に変換するテーブルを作成する。
図14に示した2つのテーブルを用いた真の座標値の決定は、以下のように行う。すなわち、(a)に示した格子Aのテーブル群から導出した位相値の候補群を、(b)に示した格子Bの位相変換テーブルに代入して、格子Bの位相値の候補に変換し、実際に計測された位相値θbとの比較を行う。2種類の位相値は、z座標に対して一意の対応関係を持っているため、この比較から位相値θbに最も近くなる位相値の候補に対応する座標が、真の座標値zabとして導出され、同時に対応する領域番号(テーブル)も求まる。図14(a)の例においては、領域番号は2である。x座標およびy座標の真の値は、z座標にて確認された、正しい領域番号(テーブル)を参照することにより求めることができる。
次に、上記手法にて計測可能な条件について説明する。従来手法である2種類格子投影による位相接続法では、2種類の位相値が一意の関係を満たすのは、以下の式(14)を満たす場合と定義されている。ここで、φa、φbはそれぞれ格子Aおよび格子Bの位相値θa、θbを位相接続して得られる分布を表し、φaはφbより大きいものとする.
格子Aと格子Bの位相差は、投影する2種類の格子のピッチ差を小さくすることにより小さくすることができる。よって、式(14)から、格子ピッチの差が小さいほど、計測深度を大きく確保できることが分かる。なお、光源切替位相シフト法の場合、格子ピッチと位相シフト量が変化して、位相差がz方向(xあるいはy方向)に単調に変化しないため、式(14)に厳密に拘束されてはいないが、基本的には式(14)の条件を満たしていれば、2種類の位相は一意に求まる。
上述の比較による解析手法では、解析に不必要な領域も含めて検索を行うため、通常の全空間テーブル化手法に比べて解析時間が大幅にかかる問題が生じる。そこで、本発明においては、2種類の位相値の値から領域番号を検索するテーブルを作成することにより、各領域での候補を算出する手間を省き、計測時間を短縮させる。以下、この手法について説明する。
図15は、1画素にて計測される、投影格子パネルからの距離の異なる光源を点灯することにより得られた2種類の位相分布を、各位相値を軸にした2次元平面上に表記した分布図を示している。ここで○印、●印、×印は、それぞれ基準面が範囲1、範囲2、範囲3に含まれる場合に、基準面を撮影することによって得られた2種類の位相値がプロットされた点である。これらのプロットされた点が、後述する式(15)を満たし、独立した関係にある場合、位相平面の空白を補間することにより、図16のような領域番号を検索するテーブル(以下、「領域番号検索テーブル」と言う)を作成することができる。これらの位相分布および領域番号検索テーブルには、位相値Aが属する領域に割り当てられた番号が関連づけられており、検索テーブルに計測した位相値を代入することにより、領域番号の検索を行うことができる。こうして求めた領域番号と、格子Aの位相値を用いることにより、座標の真値を求めることができるのである。
ここで、計測誤差による測定条件に関して説明する。図17および図18は、テーブル参照の際に予測される誤差の影響を示す図である。基本的には位相値θaおよびθbを代入することにより、各帯状のテーブル領域の中央付近、すなわち図中の○印、●印、×印付近で番号の検索が行われるが、図17のように、位相値Aと位相値Bのばらつきsaおよびsbによる測定誤差が発生する。この時、2つのテーブル領域の境界線とsaおよびsbの領域を対角線上に通る、2つのテーブル境界の距離をSabと定義すると、誤判定が起こらない条件は式(15)のように定義される。
図18のように、位相値のばらつきsa’、sb’が式(15)の条件を満たさない場合には、解析番号の誤判定が生じる可能性が懸念される。そのため、テーブル間の距離Sabは、位相値のばらつきより大きく確保する必要がある。このテーブル境界の距離Sab、光源切替位相シフト法のように格子ピッチや位相シフト量が変化しやすい環境では、位相の計測座標によって大きく変化する。そのため、Sabを計算により厳密に求めることは困難であるが、基本的には作成されるテーブル数が増加すると短くなる。よって、本手法を用いる場合には、位相値のばらつき範囲に入らないように、2種類格子の位相差を小さくしない設計が必要である。
本発明の形状計測装置を用いて計測対象物体Oの形状を計測する流れを図19に示す。まず、キャリブレーション時に格子Aのテーブルを計測範囲ごとに作成し、また各画素に領域番号検索テーブルを作成する。計測時には、まず2つの位相分布を領域番号検索テーブルに代入して、領域番号に対する分布画像を取得する。次いで、格子Aの位相分布と段落番号の画像をテーブルA群に代入することにより、計測対象物体Oの高さ分布を算出する。こうして、計測対象物体Oの形状を求めることができる。
例として、図20および図21に、撮影画像の中心画素にて作成された2次元位相分布、および該2次元位相分布から作成された領域番号検索テーブルをそれぞれ示す。また、図22は、(a)z座標の計測結果、および(b)y=0上の座標分布をそれぞれ示している。さらに、図23は、領域番号の検索結果を示している。さらにまた、位相値から座標への解析時間を表1に示す。
表1に示したように、本発明における領域番号検索テーブルを用いた計測では、位相値から座標への変換時間は27.8msと、図14に示した全領域において座標値を比較する手法(以下、「全領域比較手法」とも言う)に比べて、計測速度が著しく上昇していることが分かる。しかし、図22から、計測された座標分布には、部分的に計測値の大きなずれ(エラー)が発生していることが確認できる。
図14に示した全領域比較手法で求めたz座標分布と、本発明における領域番号検索テーブルを用いた手法で求めたz座標分布との差を図24に示す。このずれの分布を図23に示した領域番号の検索結果と照らし合わせると、領域番号の境界となる画素にてずれが発生していることが確認できる。これは、検索テーブルに境界線上の位相値θ0を代入したため、誤ったテーブルの領域番号を出力したことが原因であると考察される。
このように、領域番号の変化する画素にて計測結果にずれが生じ得ることが確認された。図16に示した検索テーブルでは、位相θaの初期値を閾値としてテーブルが作成されている。しかし、位相値θaの計測誤差の影響により、この閾値を超えた計測が行われることが原因であると考えられる。そこで、このテーブル境界における誤差に対処するため、2011年に塩川の研究にて提案されたテーブルのオーバーラップ手法(例えば、特開2013−178174号公報、塩川貴之、藤垣元治、浅井大介「複数方向の格子を用いた三次元形状計測における計測可能な範囲の拡張」日本実験力学会講演論文集、No.11、389−394(2011)参照)を導入することにより、境界で発生する誤差の対策を行う。
図25に、上記オーバーラップ手法による計測誤差を低減する原理を示す。(a)のグラフがこれまでのテーブル群を示し、(b)がオーバーラップを行ったテーブル群を示している。(b)のオーバーラップ手法では、各テーブルの起点となる位相値を毎回Δθwごと減らしてテーブルの作成を行う。例えば、図の2番目の計測範囲は、初期位相値θ0からΔθwだけ差をとったθ1,0を起点として、位相値が1周(2πだけ変化)する範囲をテーブルとし、以降も前回の起点からΔθwずらしてテーブルが作成されている。作成されたテーブルには、隣り合うテーブル同士で計測領域の重なり合いが発生する。これにより計測時にテーブルの境界となる位相値を領域検索テーブルに代入し、1領域異なる番号のテーブルを参照した際も、重なり合う範囲を参照することにより、測定の誤りを防止することができる。
位相値θaのオーバーラップに合わせて、領域番号の検索テーブルも閾値の変化を考慮した設計にする必要がある。図26に、オーバーラップ手法における領域番号検索テーブルの模式図を示す。図の左側が作成される検索テーブルとなっており、これまで作られたテーブルとは違い、番号の分岐となる格子Aの位相値が変化する。例えば1番目のテーブルは、θ0からθR1までが1番目の検索領域とし、2番目以降のn番のテーブルは、θRnからθRn-1までの範囲を確保している。ここで、θRnの値は、重なり合うテーブルの中間となる位相値となっており、番号の誤検索が発生した場合も、重なり合う部分を参照できるような閾値に設定されている。
上述したオーバーラップ法により解析を行った。オーバーラップを行う際の戻り位相値Δθwは、周期の5%となる0.1πと、周期の10%となる0.2πの2通りを設定値として使用した。これらのz座標分布を求め、計測結果の理想値である全領域比較法にて求めたz座標分布との差をそれぞれ求め、オーバーラップ法の有効性を確認した。
得られた結果を図27〜36に示す。ここで、図27から図31は、5%のオーバーラップさせた時の、中央画素の2次元位相分布、領域番号検索テーブル、z座標分布、y=0ライン上のz座標分布、全領域比較手法による計測結果との差をそれぞれ示している。図32から図36は、10%オーバーラップさせた時、中央画素の2次元位相分布、領域番号検索テーブル、z座標分布、y=0ライン上のz座標分布、全領域比較手法による計測結果との差をそれぞれ示している。
これらの結果から、オーバーラップ手法の導入により、境界部分で発生するノイズの解消が確認された。今回の計測条件では、10%のオーバーラップにて境界ノイズの全消去が確認された。これにより、オーバーラップ法を導入した領域番号検索テーブルを用いることにより、解析精度および解析速度を確保しつつ、計測深度の拡大が行えることが分かる。
以上の処理をカメラで撮影する画素毎に行うことにより、計測対象物体Oの表面全体の座標分布を得て形状を求めることができる。
上述の座標を決定する説明は、光源が格子基板からの距離が異なる2つの位置に配置された場合について行ったが、光源が格子基板からの距離が異なる3つ以上の位置に配置されている場合も同様に行うことができる。具体的には、格子基板からの距離が異なる3つ以上の位置のうちの1つに配置された光源を光源Aとし、別の位置の1つに配置された光源を光源Bとして、図14に示した方法に従って空間座標を求めればよい。
また、位相値−空間座標対応テーブルは、位相値が2πだけ変化する毎に別のテーブルを作成したが、位相値の変化量は2π以下であれば2πである必要はなく、例えば1.5πとすることもできる。
(形状計測方法)
次に、本発明に係る形状計測方法について説明する。本発明に係る形状計測方法は、上述した本発明に係る形状計測装置1を用いて、格子基板11bからの距離が異なる複数の位置毎に、光源11aを点灯して格子パターンが投影された計測対象物体Oを撮影し、次いで撮影された計測対象物体Oの画像に対して位相解析処理を施して計測対象物体Oの形状を求める。これにより、高速かつ高精度に計測対象物体の形状を計測することができる。
また、本発明においては、格子基板からの距離が異なる複数の位置毎に光源を点灯して格子パターンが投影された計測対象物体を撮影し、撮影された計測対象物体の画像に対して位相解析処理を施した後、上記領域番号検索テーブルを参照して、第1の位相値および第2の位相値から、第1の位相値が第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおいて属する領域に関連づけられた領域番号を特定し、続いて第1の位置に対する位相値−空間座標対応テーブルを参照して、第1の位相値および特定した領域番号に基づいて計測対象物体の形状を求める。これにより、計測精度および計測速度を確保しつつ、計測深度の拡大を行うことができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
本理論を実施例として実現させるために、図37のような段差付きLEDプロジェクタを作製した。図38は、上記段差付きLEDプロジェクタの模式側面図を示している。この図に示すように、上記プロジェクタは、光源となるLEDデバイスを上下に配置し、一方のデバイスを他方よりも投影格子パネルに近づけた設計となっている。計測時には、上下のデバイスを切り替えることによって、ピッチの異なる格子を計測対象物体上に投影することができる。
上記段差付きLEDプロジェクタを用いて、図39に示すような本発明の形状計測装置を作製し、この装置を用いて、全領域比較手法と領域番号検索テーブルを用いた手法のそれぞれの評価を行った。計測条件を表2に示す。今回の実験では8つの領域の接続を行い、8mmの計測範囲を55mmに拡張している。試料としては、図40に示す台形試料を、図41および42に示すように計測範囲内に斜めに配置し、台形部分の10.01mmの段差の形状計測の評価を行った。
計測結果を以下に示す。まず、図43に示すような、格子Aあるいは格子Bが試料に投影された投影画像を撮影し、撮影された画像に対して位相解析を行った。得られた2種類の位相を、図44に示すように、全領域比較手法と領域番号検索テーブルを用いた手法のそれぞれにおいて番号分布を検索した。後者の領域番号検索テーブル(任意の1画素)を図46に、作成に用いた位相分布を図45にそれぞれ示す。
領域番号分布をもとに導出された高さ分布の画像を図47(a)および(b)に示す。また、それぞれの高さ画像の断面分布のグラフを図47(c)および(d)に示す。この結果では、両手法ともに計測ができていることが確認できるが、領域番号検索テーブルを使用した結果では、領域画像の境界部分に沿ったノイズが発生していることが分かる。
段差計測精度および座標変換速度の結果を表3に示す。この結果、後者の領域検索テーブルを用いる手法により、計測速度が向上することが分かる。また標準偏差と計測範囲から、計測分解能は、約4000分の1であることが分かる。
1 形状計測装置
11 格子パターン投影部
11a 光源
11b 格子基板
11c 光源基板
11d 部材
12 撮影部
13 解析部

Claims (8)

  1. 計測対象物体の形状を計測する装置であって、
    前記計測対象物体に所定の形状の格子パターンを投影するための投影用光を発光する複数の光源と、前記投影用光を通過させて前記格子パターンを形成する格子基板とを有する格子パターン投影部と、
    前記格子パターンが投影された前記計測対象物体を撮影する撮影部と、
    撮影された前記計測対象物体の画像に対して位相解析処理を施して前記計測対象物体の形状を求める解析部と、
    を備え、
    前記複数の光源は、前記格子基板からの距離が異なる複数の位置の各々に少なくとも1つ配置されており、
    前記解析部は、
    前記複数の位置の各々に対して作成された、位相値と空間座標とが画素毎に関連付けられた位相値−空間座標対応テーブルであって、前記複数の位置のうちの第1の位置に対する位相値−空間座標対応テーブルにおいて、空間が所定の位相値だけ連続的に変化する領域毎に分割され、分割された領域の各々に対して固有の領域番号が割り当てられている、位相値−空間座標対応テーブルと、
    同一の空間座標に対して前記第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおける位相値と前記複数の位置のうちの前記第1の位置以外の第2の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおける位相値とが関連づけられ、前記第1の位置に対応する位相値の各々に対して、各位相値が前記第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおいて属する領域に割り当てられた領域番号が関連づけられている領域番号検索テーブルと、
    を有し、前記領域番号検索テーブルを参照して、前記第1の位置に配置された光源を点灯して撮影された画像に対する前記位相解析処理によって求められた第1の位相値、および前記複数の位置のうちの前記第1の位置以外の第2の位置に配置された光源を点灯して撮影された画像に対する前記位相解析処理によって求められた第2の位相値から、前記第1の位相値が前記第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおいて属する領域に関連づけられた領域番号を特定し、前記第1の位置に対する位相値−空間座標対応テーブルを参照して、前記第1の位相値および特定した前記領域番号に基づいて前記計測対象物体の形状を求めることを特徴とする形状計測装置。
  2. 前記領域番号検索テーブルは、異なる領域番号が関連づけられた位相値間が補間されて、前記領域番号検索テーブル内の全ての位相値に対して前記領域番号が割り当てられている、請求項1に記載の形状計測装置。
  3. 前記所定の位相値は2πラジアンである、請求項1または2に記載の形状計測装置。
  4. 前記位相値−空間座標対応テーブルは、各領域間が所定の重複位相値だけ重複している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の形状計測装置。
  5. 前記複数の位置の各々に3つ以上の光源が配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の形状計測装置。
  6. 前記複数の光源から発光される光の波長は前記複数の位置毎に異なる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の形状計測装置。
  7. 前記光源は線状光源である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の形状計測装置。
  8. 請求項1〜7に記載された形状計測装置を用いて、前記格子基板からの距離が異なる複数の位置毎に前記光源を点灯して前記格子パターンが投影された計測対象物体を撮影し、撮影された前記計測対象物体の画像に対して位相解析処理を施した後、前記領域番号検索テーブルを参照して、前記第1の位相値および前記第2の位相値から、前記第1の位相値が前記第1の位置に対応する位相値−空間座標対応テーブルにおいて属する領域に関連づけられた領域番号を特定し、続いて前記第1の位置に対する位相値−空間座標対応テーブルを参照して、前記第1の位相値および特定した前記領域番号に基づいて前記計測対象物体の形状を求めることを特徴とする形状計測方法。
JP2015078639A 2015-04-07 2015-04-07 形状計測装置および形状計測方法 Active JP5854544B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015078639A JP5854544B1 (ja) 2015-04-07 2015-04-07 形状計測装置および形状計測方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015078639A JP5854544B1 (ja) 2015-04-07 2015-04-07 形状計測装置および形状計測方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5854544B1 true JP5854544B1 (ja) 2016-02-09
JP2016200418A JP2016200418A (ja) 2016-12-01

Family

ID=55269162

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015078639A Active JP5854544B1 (ja) 2015-04-07 2015-04-07 形状計測装置および形状計測方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5854544B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN118293825A (zh) * 2024-04-03 2024-07-05 北京微云智联科技有限公司 一种用于正弦光栅投影系统的相位补偿方法及装置

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018229832A1 (ja) 2017-06-12 2018-12-20 オリンパス株式会社 内視鏡システム
WO2018229831A1 (ja) 2017-06-12 2018-12-20 オリンパス株式会社 内視鏡システム
WO2018229834A1 (ja) 2017-06-12 2018-12-20 オリンパス株式会社 内視鏡システム
WO2018229833A1 (ja) 2017-06-12 2018-12-20 オリンパス株式会社 内視鏡システム
JP7093409B2 (ja) 2018-06-05 2022-06-29 オリンパス株式会社 内視鏡システム
JP7118147B2 (ja) 2018-06-05 2022-08-15 オリンパス株式会社 内視鏡システム

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07198848A (ja) * 1993-12-28 1995-08-01 Canon Inc 速度測定装置
JP2913021B2 (ja) * 1996-09-24 1999-06-28 和歌山大学長 形状計測方法及び装置
JP2002090126A (ja) * 2000-09-14 2002-03-27 Wakayama Univ カラー矩形波格子投影によるリアルタイム形状変形計測方法
JP2011242178A (ja) * 2010-05-14 2011-12-01 Moire Institute Inc 形状計測装置及び形状計測方法
JP2012189479A (ja) * 2011-03-11 2012-10-04 Moire Institute Inc 形状計測装置
JP2012237613A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Moire Institute Inc 形状計測装置及び形状計測方法
JP2013044689A (ja) * 2011-08-25 2013-03-04 Moire Institute Inc 形状計測装置及び形状計測方法
JP2013205407A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Moire Institute Inc 形状計測装置、形状計測方法及び形状計測装置における校正処理方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07198848A (ja) * 1993-12-28 1995-08-01 Canon Inc 速度測定装置
JP2913021B2 (ja) * 1996-09-24 1999-06-28 和歌山大学長 形状計測方法及び装置
JP2002090126A (ja) * 2000-09-14 2002-03-27 Wakayama Univ カラー矩形波格子投影によるリアルタイム形状変形計測方法
JP2011242178A (ja) * 2010-05-14 2011-12-01 Moire Institute Inc 形状計測装置及び形状計測方法
JP2012189479A (ja) * 2011-03-11 2012-10-04 Moire Institute Inc 形状計測装置
JP2012237613A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Moire Institute Inc 形状計測装置及び形状計測方法
JP2013044689A (ja) * 2011-08-25 2013-03-04 Moire Institute Inc 形状計測装置及び形状計測方法
JP2013205407A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Moire Institute Inc 形状計測装置、形状計測方法及び形状計測装置における校正処理方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN118293825A (zh) * 2024-04-03 2024-07-05 北京微云智联科技有限公司 一种用于正弦光栅投影系统的相位补偿方法及装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016200418A (ja) 2016-12-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5854544B1 (ja) 形状計測装置および形状計測方法
JP2006105983A (ja) 物体の形状測定方法および装置
WO2018163530A1 (ja) 3次元形状計測装置、3次元形状計測方法、及びプログラム
US9441959B2 (en) Calibration method and shape measuring apparatus
WO2017175341A1 (ja) 計測方法、計測装置、計測プログラム及び計測プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP2011064482A (ja) 高速三次元計測装置及び高速三次元計測方法
JP6420159B2 (ja) 形状計測装置および形状計測方法
JP2010281621A (ja) 三次元形状計測装置
JP5657276B2 (ja) 形状計測装置及び形状計測方法
US12072177B2 (en) Three-dimensional shape measuring apparatus, three-dimensional shape measuring method, program, and storage medium
JP5956296B2 (ja) 形状計測装置及び形状計測方法
US10016862B2 (en) Measurement apparatus, calculation method, system, and method of manufacturing article
JP2013178174A (ja) 複数の格子を用いた三次元形状計測装置
CN108548490B (zh) 用于确定光栅像在成像平面上的移位的方法和设备和用于确定物体高度的方法和设备
KR20230025548A (ko) 모아레 위상 변위 오버레이 타겟 및 그 타겟의 오버레이 오차 측정 방법
US10801834B2 (en) Fringe projection for determining topography of a body
JP5854540B1 (ja) 形状計測装置および形状計測方法
JP6666670B2 (ja) 曲面を基準面とする三次元形状計測方法
JP2011047876A (ja) 3次元形状測定方法
JP2022536614A (ja) 鏡面反射面および/または部分鏡面反射面を有する物体を光学的に測定する方法およびシステムならびにこれに対応する測定装置
JP5853284B2 (ja) 形状計測装置及び形状計測方法
JP2013130457A (ja) 形状計測装置、形状計測システム、及び形状計測方法
JP5667891B2 (ja) 形状計測方法
JP4430680B2 (ja) 3次元寸法計測装置及び3次元寸法計測プログラム
JP5786999B2 (ja) 三次元形状計測装置、三次元形状計測装置のキャリブレーション方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5854544

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250