JP5854353B2 - 多環式化合物 - Google Patents
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(式(1)中、R1はヒドロキシル基又はメトキシ基であり、R2はH又はClであり、R3はヒドロキシメチル基又はホルミル基であり、R4はH又はヒドロキシル基である。)
化合物(1)は、多環式化合物であり、式(1)中、R1はヒドロキシル基又はメトキシ基であり、R2はH又はClであり、R3はヒドロキシメチル基又はホルミル基であり、R4はH又はヒドロキシル基である。R1〜R4はそれぞれ独立である。
化合物(2)は、すなわち、(2R,2aS,4aR,7bR)−2a,4a−dihydroxy−3−(hydroxymethyl)−6,6,7b−trimethyl−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−octahydro−1H−cyclobuta[e]inden−2−yl 2,4−dihydroxy−6−methylbenzoate((2R,2aS,4aR,7bR)−2a,4a−ジヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−6,6,7b−トリメチル−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−オクタヒドロ−1H−シクロブタ[e]インデン−2−イル2,4−ジヒドロキシ−6−メチルベンゾエート)である。
化合物(3)は、すなわち、(2R,2aS,4aR,7R,7bR)−2a,4a,7−trihydroxy−3−(hydroxymethyl)−6,6,7b−trimethyl−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−octahydro−1H−cyclobuta[e]inden−2−yl 3−chloro−6−hydroxy−4−methoxy−2−methylbenzoate((2R,2aS,4aR,7R,7bR)−2a,4a,7−トリヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−6,6,7b−トリメチル−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−オクタヒドロ−1H−シクロブタ[e]インデン−2−イル3−クロロ−6−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−メチルベンゾエート)である。
化合物(4)は、すなわち、(2R,2aS,4aR,7R,7bR)−3−formyl−2a,4a,7−trihydroxy−6,6,7b−trimethyl−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−octahydro−1H−cyclobuta[e]inden−2−yl 2−hydroxy−4−methoxy−6−methylbenzoate((2R,2aS,4aR,7R,7bR)−3−ホルミル−2a,4a,7−トリヒドロキシ−6,6,7b−トリメチル−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−オクタヒドロ−1H−シクロブタ[e]インデン−2−イル2−ヒドロキシ−4−メトキシ−6−メチルベンゾエート)である。
化合物(5)は、すなわち、(2R,2aS,4aR,7bR)−2a,4a−dihydroxy−3−(hydroxymethyl)−6,6,7b−trimethyl−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−octahydro−1H−cyclobuta[e]inden−2−yl 3−chloro−6−hydroxy−4−methoxy−2−methylbenzoate((2R,2aS,4aR,7bR)−2a,4a−ジヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−6,6,7b−トリメチル−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−オクタヒドロ−1H−シクロブタ[e]インデン−2−イル3−クロロ−6−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−メチルベンゾエート)である。
(化合物(2)の単離)
ナラタケ(Armillaria mellea)543株の菌糸体をポテトデキストロース(PD)液体培地に接種して約3週間培養後、ろ過により菌糸体と培養ろ液に分離した。培養ろ液を減圧濃縮後、ヘキサン可溶部、酢酸エチル可溶部、1−ブタノール可溶部、水可溶部に分画した。得られた各可溶部について後述するレタスに対する植物生長調節活性試験を行ったところ、酢酸エチル可溶部に活性が確認された。植物生長調節活性試験の結果を指標にしながら各種クロマトグラフィーによる分画を行った。酢酸エチル可溶部を順相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(カラム:Senshu PAK AQ、カラムサイズ:20φ×250mm、移動相:ヘキサン:クロロホルム:メタノール=1:9:0、0:10:0、0:0:10)によって19フラクションに分画し、そのうちフラクション18から化合物(2)(4.5mg)を得た。
順相HPLCで分画した19フラクションの中から、フラクション8(19.4mg)を再度順相HPLC(カラム:Senshu PAK AQ、カラムサイズ:20φ×250mm、移動相:クロロホルム:メタノール=10:0、0:10)によって分画し、化合物(3)(13.0mg)を得た。
各画分の植物生長調節活性を判定する植物生長調節活性試験方法は、以下のとおりである。
ステップ1:前培養
蒸留水を浸透させたろ紙の上にレタス(Lactuca sativa)の種子を置き、25℃、暗所において1日間培養する。
ステップ2:本培養
蒸留水と試験化合物を浸透させたろ紙の上にレタスの種子を移し、25℃、暗所において3日間培養する。
ステップ3:観察・測定
レタスの形態の変化を観察する。レタスの地上部(胚軸)及び地下部(根)の伸長を測定する。
上記と同様の培養条件でナラタケ543株の大量培養を行い、ろ過により菌糸体と培養ろ液に分離した。培養ろ液を減圧濃縮後、ヘキサン可溶部、酢酸エチル可溶部、1−ブタノール可溶部、水可溶部に分画した。このうち酢酸エチル可溶部を、実施例1に記載する植物生長調節活性試験の結果を指標にしながら、各種クロマトグラフィーによる分画を行った。酢酸エチル可溶部を順相HPLC(カラム:Senshu PAK AQ、カラムサイズ:20φ×250mm、移動相:ヘキサン:クロロホルム:メタノール=3:7:0、0:10:0、0:0:10)によって26フラクションに分画した。
順相HPLCで分画した26フラクションのうち、フラクション23と24とを合わせたもの(46.0mg)を、逆相HPLC(カラム:COSMOSIL cholester waters,カラムサイズ:20φ×250mm、移動相:メタノール:水=6:4、10:0)によって分画し、化合物(2)(14.1mg)を得た。
順相HPLCで分画した26フラクションのうち、フラクション13(27.9mg)を逆相HPLC(カラム:COSMOSIL cholester waters,カラムサイズ:20φ×250mm、移動相:メタノール:水=6:4、10:0)によって分画し、化合物(3)(14.4mg)を得た。
順相HPLCで分画した26フラクションのうち、フラクション8,9,10を合わせたもの(17.8mg)を逆相HPLC(カラム:COSMOSIL cholester waters,カラムサイズ:20φ×250mm、移動相:メタノール:水=6:4、10:0)によって9フラクションに分画し、フラクション6から化合物(4)(2.0mg)を得た。
また、順相HPLCで分画した26フラクションのうち、フラクション11(9.5mg)を逆相HPLC(カラム:COSMOSIL cholester waters,カラムサイズ:20φ×250mm、移動相:メタノール:水=6:4、10:0)によって13フラクションに分画し、フラクション11から化合物(4)(1.4mg)を得た。すなわち、合計3.4mgの化合物(4)を得た。
順相HPLCで分画した26フラクションのうち、フラクション8,9,10を合わせたもの(17.8mg)を逆相HPLC(カラム:COSMOSIL cholester waters,カラムサイズ:20φ×250mm、移動相:メタノール:水=6:4、10:0)によって9フラクションに分画し、フラクション8(3.8mg)を分取した。
また、順相HPLCで分画した26フラクションのうち、フラクション11(9.5mg)を逆相HPLC(カラム:COSMOSIL cholester waters,カラムサイズ:20φ×250mm、移動相:メタノール:水=6:4、10:0)によって13フラクションに分画し、フラクション9,10(6.7mg)を分取した。
分取したフラクション8(3.8mg)及びフラクション9,10(6.7mg)を合わせた。これを順相HPLC(カラム:Senshu PAK AQ、カラムサイズ:20φ×250mm、移動相:ヘキサン:クロロホルム:メタノール=2:8:0、0:10:0、0:0:10)によって分画し、化合物(5)(2.6mg)を得た。
単離した化合物(2)〜(5)を1H−NMR及び13C−NMRによって分析し、構造を決定した。NMR分析時の溶媒として、化合物(2)、(4)については、重メタノールを用いた。化合物(3)、(5)については、重水素化クロロホルムを用いた。表1にNMR分析により得られた、化合物(2)〜(5)のスペクトルデータを示す。得られた分析結果より、化合物(2)が式(2)で表される(2R,2aS,4aR,7bR)−2a,4a−ジヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−6,6,7b−トリメチル−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−オクタヒドロ−1H−シクロブタ[e]インデン−2−イル2,4−ジヒドロキシ−6−メチルベンゾエートであり、化合物(3)が式(3)で表される(2R,2aS,4aR,7R,7bR)−2a,4a,7−トリヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−6,6,7b−トリメチル−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−オクタヒドロ−1H−シクロブタ[e]インデン−2−イル3−クロロ−6−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−メチルベンゾエートであり、化合物(4)が式(4)で表される(2R,2aS,4aR,7R,7bR)−3−ホルミル−2a,4a,7−トリヒドロキシ−6,6,7b−トリメチル−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−オクタヒドロ−1H−シクロブタ[e]インデン−2−イル2−ヒドロキシ−4−メトキシ−6−メチルベンゾエートであり、化合物(5)が式(5)で表される(2R,2aS,4aR,7bR)−2a,4a−ジヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−6,6,7b−トリメチル−2,2a,4a,5,6,7,7a,7b−オクタヒドロ−1H−シクロブタ[e]インデン−2−イル3−クロロ−6−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−メチルベンゾエートであることが決定された。化合物(5)は新規化合物であった。
化合物(2)〜(5)について、実施例1に記載する、レタスに対する植物生長調節活性試験をおこなったところ、各化合物は、レタスに対して生長調節活性を示した。植物生長調節試験の結果を図1に示す。各レタスの種子試料は、図1に示す10pM〜1mMの各濃度の化合物を浸透させたろ紙上で培養した。図1中、縦軸は、胚軸及び根の伸長(cm)を表す(グラフは平均値を表す。「*」「**」はコントロールに対して伸長が有意に抑制されたことを示し、「*」はP値が<0.05、「**」はP値が<0.01であることを示す。「黒丸」「黒丸二つ」はコントロールに対して伸長が有意に促進されたことを示し、「黒丸」はP値が<0.05、「黒丸二つ」はP値が<0.01であることを示す。n=16である。)。各化合物は、1mMの濃度で胚軸及び根の伸長阻害活性を示した。一方、1nMや10pMの濃度では、一部の化合物は、胚軸の伸長促進活性を示した。
草本植物であるレタスに対する結果を受けて、木本植物であるユーカリについても化合物(2)〜(5)の影響を調べた。
化合物(2)〜(5)について、ユーカリ(Eucalyptus tereticornis)に対して植物生長調節活性試験をおこなった。試験方法は、実施例1に記載する、レタスに対する植物生長調節活性試験と同様である。ただし、ステップ2の本培養の期間を3日間から7日間に変更しておこなった。植物生長調節試験の結果を図2に示す。各化合物は、ユーカリに対して生長調節活性を示した。各ユーカリの種子試料は、図2に示す10pM〜1mMの各濃度の化合物を浸透させたろ紙上で培養した。図2中、縦軸は、地上部(シュート)及び根の伸長(cm)を表す(グラフは平均を表す。「*」「**」はコントロールに対して伸長が有意に抑制されたことを示し、「*」はP値が<0.05、「**」はP値が<0.01であることを示す。「黒丸」「黒丸二つ」はコントロールに対して伸長が有意に促進されたことを示し、「黒丸」はP値が<0.05、「黒丸二つ」はP値が<0.01であることを示す。n=15である。)。各化合物は、1mMの濃度で地上部及び根の伸長阻害活性を示し、一方、10pMの濃度では、一部の化合物は、地上部の伸長促進活性を示し、レタスと同様の傾向が見られた。また、化合物(2)〜(5)を高濃度で処理したものでは、種子が発芽しなかったり、発芽したものでも根の発達が不十分であるために倒伏したりしているものがあった。
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