JP5852827B2 - 回転電機およびその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導体棒および短絡環を備えた回転子を有する回転電機およびその運転方法に関する。
かご形回転電機の回転子に設けられている複数の導体棒および短絡環は、低コストで生産性に優れるアルミニウム合金ダイキャストで成形されている。これに対し、近年、回転効率を高めるために、導体棒および短絡環をアルミニウム合金よりも導電性に優れる銅合金を用いるものがある。しかし、銅合金は、加工等に採用するコストがアルミニウム合金に比べて大きい。
そこで、特許文献1に開示されているように、かご全体を銅合金で形成するのではなく、かごの一部に銅系の材料(銅合金)を用いて、銅合金およびアルミニウム合金の材料特性を組み合わせるものが考案されている。
特開2009−178622号公報
銅合金およびアルミニウム合金は、誘電率(電気抵抗値)が互いに異なるものである。上述の特許文献1に開示されている例では、高抵抗がアルミニウム合金で、低抵抗が銅合金である。
アルミニウム合金の導体棒(高抵抗バー)は、始動時、すなわち、回転し始める時は大きいトルクが得られるが、回転子の回転数が大きくなるに従ってトルクは小さくなる。
銅合金の導体棒(低抵抗バー)は、起動時は大きなトルクを得ることができないため、所定トルク(定格トルク)に到達するまでに時間を要するが、回転数が所定値を超えた後は、安定して定格トルクを発生させることができる。
高抵抗バーおよび低抵抗バーを組み合わせることで、起動時に大きなトルクを得られ、さらに、所定の回転数を超えたとき、すなわち安定運転時には、低抵抗バーの機能により定格トルクを保つことができる。
この場合、回転子が回転し始めるとき(始動時)には、電流が主として高抵抗バーに流れ、定格回転数(連続運転時)には主として低抵抗バーに流れる。これにより、始動時には高抵抗バーに流れる電流が集中することにより大きな始動トルクが得られ、定格回転数のときは低抵抗バーに電流が流れることにより低損失となる。
しかし、安定運転時(連続運転時)には、低損失の低抵抗バーにより発生するトルクのみで、定格トルクを得ることが可能である。また、高抵抗バーは、定格運転時には、トルク発生に寄与する率が低くなる。すなわち、定格運転時に高抵抗バーにより発生するトルクは、余剰となる。このため、高抵抗バーは、発熱等の要因となり、効率を低下させしまう。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、二重かご形回転電機のトルク発生の効率を向上できるようにすることである。
上記目的を達成するための本発明に係る回転電機は、所定の軸周りを回転する回転軸と、複数の鉄板が積層されてなり、前記回転軸の一部を半径方向外側から取り囲むように形成されて前記回転軸と共に前記軸周りを回転する円筒状で、軸方向両側および半径方向外側に開口し軸方向に延びるスロットが周方向に互いに間隔をあけて複数形成された回転子鉄心と、軸方向に延びて所定の誘電率を有する金属製で、前記スロット内の所定の半径方向位置を貫通するように配置された第1の導体棒と、前記スロット内の半径方向位置が前記第1の導体棒がある位置と異なる位置で前記スロットを貫通するように配置されて、前記第1の導体棒よりも誘電率が低い金属製の第2の導体棒と、前記回転子の軸方向外側に配置されて前記軸周りを前記回転子と共に回転可能に構成された導電性を有する円環状で、前記第1の導体棒の軸方向端部が固定されて互いに導通するように形成される第1の短絡環と、前記回転軸の回転中に軸方向に移動可能で前記第2の導体棒の軸方向端部が接離可能で、前記回転子の軸方向外側に配置されて金属製の円環状で、前記第2の導体棒に接触しているときに互いに導通するように形成される第2の短絡環と、を有し、前記第2の短絡環は、前記軸周りを前記回転子と共に回転可能に構成されて、前記回転軸の内部には、軸方向に延びる円筒状の中空部が形成されて、前記回転軸の外周面には、前記中空部に貫通し軸方向に長い貫通長穴が互いに周方向間隔をあけて複数形成されて、前記中空部内に配置されて、前記中空部を軸方向に摺動可能な摺動部材と、前記貫通長穴を貫通するように放射状に延びて、前記摺動部材および前記第2の短絡環を連結する連結部材と、を有し、前記摺動部材が軸方向外側に移動するときに、前記第2の短絡環と前記第2の導体棒とが分離するように構成されていること、を特徴とする。
また、本発明に係る回転電機運転方法は、所定の軸周りを回転する回転軸と、この回転軸の一部を半径方向外側から取り囲むように形成された回転子と、を有する回転電機を運転する方法において、前記回転子は、前記回転軸と共に前記軸周りを回転する円筒状で、軸方向両側および半径方向外側に開口し軸方向に延びるスロットが周方向に互いに間隔をあけて複数形成された回転子鉄心と、軸方向に延びて所定の誘電率を有する金属製で、前記スロット内の所定の半径方向位置を貫通するように配置された第1の導体棒と、前記スロット内の半径方向位置が前記第1の導体棒がある位置と異なる位置で前記スロットを軸方向に貫通するように配置されて、前記第1の導体棒よりも誘電率が低い金属製の第2の導体棒と、前記回転子の軸方向外側に配置されて前記軸周りを前記回転子と共に回転可能に構成された円環状で、前記第1の導体棒の軸方向端部が固定された金属材料で、互いに導通するように形成される第1の短絡環と、軸方向に移動可能で前記第2の導体棒の軸方向端部が接離可能で、前記回転子の軸方向外側に配置されて金属製の円環状で、前記第2の導体棒に接触しているときに互いに導通するように形成される第2の短絡環と、有し、前記第2の短絡環は、前記軸周りを前記回転子と共に回転可能に構成されて、前記回転軸の内部には、軸方向に延びる円筒状の中空部が形成されて、前記回転軸の外周面には、前記中空部に貫通し軸方向に長い貫通長穴が互いに周方向間隔をあけて複数形成されて、前記回転電機は、前記中空部内に配置されて、前記中空部を軸方向に摺動可能な摺動部材と、前記貫通長穴を貫通するように放射状に延びて、前記摺動部材および前記第2の短絡環を連結する連結部材と、を有し、前記摺動部材が軸方向外側に移動するときに、前記第2の短絡環と前記第2の導体棒とが分離するように構成されていて、当該回転電機運転方法は、前記第2の導体棒および前記第2の短絡環が互いに接触した状態で、前記回転子を回転させる回転子起動工程と、前記回転子起動工程の後に、前記回転数が所定の回転数よりも大きくなったときに、前記第2の導体棒を前記第2短絡環から切り離す分離工程と、を有すること、を特徴とする。
本発明によれば、二重かご形回転電機のトルク発生の効率を向上することができる。
本発明に係る第1の実施形態の回転電機の概略正面図である。 図1のII−II矢視の一部を模式的に示す部分横断面図で、回転子のスロットを示す。 図1の第2の短絡環が高抵抗バーから切り離される状態で、図1の左半分の正面図である。 図1の回転子の一部で、回転軸等を一部切り欠いた状態を示す部分斜視図である。 図1の実施形態の回転子の回転数とトルクとの関係を示すグラフである。 本発明に係る第2の実施形態の回転電機の概略正面図で、第2の短絡環が高抵抗バーに接触した状態を示す。 図6の実施形態で、第2の短絡環が高抵抗バーから離れた状態を示す概略正面図である。 本発明に係る第3の実施形態の回転電機の概略正面図で、第2の短絡環が高抵抗バーに接触した状態を示す。 図8の実施形態で、第2の短絡環が高抵抗バーから離れた状態を示す概略正面図である。 図9の回転子の一部を示す部分斜視図である。
以下、本発明に係る回転電機の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態について図1〜図5を用いて説明する。
図1は、本実施形態の回転電機の概略正面図である。図2は、図1のII−II矢視の一部を模式的に示す部分横断面図で、回転子20のスロット22を示す。なお、図2では、低抵抗バー31および高抵抗バー32の図示は省略している。
図3は、図1の第2の短絡環42が高抵抗バー32から切り離される状態で、図1の左半分を示す正面図である。図4は、図1の回転子20の一部で、回転軸10等を一部切り欠いた状態を示す部分斜視図である。なお、図3および図4では、固定子50の図示を省略している。図5は、図1の回転子20の回転数とトルクとの関係を示すグラフである。
先ず、本実施形態の回転電機の構成について説明する。この回転電機は、所定の軸周りを回転する回転軸10と、この回転軸10と共に同軸で回転する回転子20と、この回転子20を半径方向外側から取り囲む固定子50と、移動機構55と、を有する。
回転子20は、回転子鉄心21と、二種類のバー、すなわち、複数の低抵抗バー(第1の導体棒)31と、複数の高抵抗バー(第2の導体棒)32と、を有する、また、この回転子20は、二種類の短絡環、すなわち、第1の短絡環41と、第2の短絡環42と、を有する。
回転軸10は、回転子20の軸方向外側の所定位置に、中空部11が形成される。この中空部11の中には、摺動部材57が配置される。摺動部材57については、後で説明する。また、この回転軸10は、中空部11が形成される部位の外周面に、軸方向に長い貫通長穴12が互いに周方向間隔をあけて複数形成されている。この貫通長穴12は、中空部11に貫通する。
回転子鉄心21は、鉄板が軸方向に積層されてなる略円筒状で、回転軸10の一部を半径方向外側から取り囲むように形成されて回転軸10と共に同軸で回転する。この回転子鉄心21の外周面には、複数のスロット22が互いに周方向間隔をあけて形成されている。
これらのスロット22は、軸方向両側および半径方向外側に開口して、軸方向に延びる。また、スロット22の軸方向断面の輪郭形状は、半径方向内側に底部が形成されて、半径方向位置に、二箇所周方向に広がる部位(低抵抗バー挿入部35および高抵抗バー挿入部36)が形成される。これらの低抵抗バー挿入部35および高抵抗バー挿入部36には、それぞれ高抵抗バー32および低抵抗バー31が軸方向に貫通するように取り付けられる。低抵抗バー挿入部35は各スロット22の半径方向内側に形成されて、高抵抗バー挿入部36は各低抵抗バー挿入部35よりもスロット22内の半径方向外側に形成される(図2)。
低抵抗バー31は、軸方向に延びる金属製の棒材で、所定の誘電率(電気抵抗)を有する。この例の低抵抗バー31は、銅合金で形成される。当該低抵抗バー31は、各スロット22内の低抵抗バー挿入部35を貫通するように配置される。低抵抗バー31の軸方向端部は、第1の短絡環41に固定されている。
第1の短絡環41は、回転子20の軸方向外側の両側それぞれに配置されて回転子20と共に同軸で回転する円環状の金属製の部材である。この第1の短絡環41は、低抵抗バー31と互いに導通する。
高抵抗バー32は、軸方向に延びる金属製の棒材で、低抵抗バー31よりも誘電率が小さい、すなわち電気抵抗が大きい。この例では、高抵抗バー32はアルミニウム合金で形成される。当該高抵抗バー32は、各スロット22内の高抵抗バー挿入部36を貫通するように配置される。高抵抗バー32の軸方向端部は、第2の短絡環42に接離可能に取り付けられている。
第2の短絡環42は、回転子20の軸方向外側の両側それぞれに配置されて回転子20と共に同軸で回転する円環状の金属製の部材である。一方(図1の左方)の第2の短絡環42は、移動機構55によって軸方向に移動可能で、高抵抗バー32の軸方向端部が接離可能な金属製の円環状である。これらが互いに接触しているときは、導通する。もう一方(図1の右方)の第2の短絡環42aは、高抵抗バー32が固定されている。
移動機構55は、摺動部材57と、連結部材59と、を有する。
摺動部材57は、前述の通り、回転軸10に形成される中空部11内に配置される。この摺動部材57は、中空部11を軸方向の摺動可能である。連結部材59は、貫通長穴12を貫通するように放射状に延びた棒材で、摺動部材57および第2の短絡環42を連結する。
この移動機構55は、摺動部材57が軸方向外側に移動するときに、第2の短絡環42と高抵抗バー32との連結が解除、すなわち分離するように構成されている。この摺動部材57は、軸方向外側にソレノイド等の駆動装置(図示せず)を設けて回転中に軸方向に移動させることができる。
続いて、本実施形態の回転電機の運転方法(起動方法)について説明する。
先ず、回転子20を停止状態から回転させる。回転数は除々に大きくなるように制御する。この過程で、当該回転数は、所定の回転数(この例では、後述する図5におけるPに対応する回転数)よりも大きくなる。
回転子20の回転数が所定値よりも大きくなった後に、高抵抗バー32を第2の短絡環42から切り離す。このとき、摺動部を軸方向外側(図1における左方向)に摺動させる。これにより、低抵抗バー31のみで運転することができる。
上述のように運転する効果について説明する。
先ず、図5を用いて、回転数に対して得られるトルクの関係について説明する。図5の横軸は回転数を示し、縦軸は回転数に対するトルクを示す。これらは共に割合で示し単位は%である。回転数は、図5中の100%が本実施形態の回転電機の通常運転における最大回転数を意味する。
ここで、本実施形態の回転数とトルクの関係を説明する前に、回転数およびトルクの関係における三つの場合、すなわち、高抵抗バー32単独運転の場合、低抵抗バー31単独運転の場合、これらを単純に組み合わせて運転する場合、それぞれについて説明する。
図5で、破線で示す曲線Aは、低抵抗バー31を単独で用いて運転したときに得られるトルクの特性である。破線で示す曲線Bは、高抵抗バー32を単独で用いて運転したときに得られるトルクの特性である。破線で示す曲線Cは、低抵抗バー31および高抵抗バー32を単純に組み合わせて運転したときに得られるトルクの特性である。実線で示す曲線Xは、本実施形態のトルクの特性である。
また、二点鎖線で示す曲線Dは、回転電機が出力要求されるトルクの一例で、回転数に対してほぼ一定の値である。二点鎖線で示す曲線Eは、定格トルクの別の例で、回転数が小さいときは、曲線Dよりも大きい。この曲線Eで示されるトルクは、回転電機にとって厳しい条件のものである。
以下、曲線Dに対するトルクを、曲線A、曲線Bおよび曲線Cの場合それぞれについて、説明する。
低抵抗バー31を単独で用いて運転する場合(曲線Aに示す場合)には、始動時は、曲線Dのトルクに対して小さい。この例では、回転数が40%程度になるまで、曲線Dのトルクを得ることができない。
高抵抗バー32を単独で用いて運転する場合(曲線Bに示す場合)には、始動時は、低抵抗バー31の場合(曲線A)に比べてトルクが大きい。さらに、この高抵抗バー32は、始動時から曲線Dのトルクよりも大きい。しかし、回転数が大きくなると、得られるトルクが小さくなる。この例では、回転数が60%付近で、曲線Dのトルクよりも小さくなってしまう。
次に、低抵抗バー31および高抵抗バー32を単純に組み合わせた場合(曲線Cに示す場合)について説明する。曲線Cは、曲線Aおよび曲線Bを足し合わせて得られる特性である。低抵抗バー31および高抵抗バー32を組み合わせて運転すると、始動時から曲線Dのトルクよりも大きいトルクを得ることが可能となり、さらに、回転数が大きくなった場合でも、曲線Dのトルクより大きいトルクを安定して得ることができる。
この構成は、回転子20の回転し始めるとき(始動時)には、電流が主として高抵抗バー32に流れ、定格回転数(連続運転時)には主として低抵抗バー31に流れる。これにより、始動時には高抵抗バー32に流れる電流が集中することにより大きな始動トルクが得られ、定格回転数のときは低抵抗バー31に電流が流れることにより低損失となる。
次に、本実施形態(曲線X)について、曲線Cの場合と比較しながら説明する。
始動時は、図5中のPに相当する回転数になるまでは、曲線Cと同じように推移する。図5中Pで示す点よりも回転数が大きくなる領域では、高抵抗バー32で発生させるトルクの分だけ、曲線Cに対してトルクが小さくなる。
曲線Cでは、回転数が高い領域(図5におけるPより回転数が大きい領域)では、高抵抗バー32はトルクを出力するために寄与する率が小さい。この場合、曲線Dのトルクを得るためには、低抵抗バー31のみで十分となる。すなわち、高抵抗バー32により発生するトルクは余剰となる。
また、曲線Eで示すトルクを得る場合でも、図5中のPを超える領域では、高抵抗バー32の寄与率は小さいため、第2の短絡環42から高抵抗バー32を切り離す。
以上の説明から、本実施形態によれば、曲線Xの特性からわかるように高抵抗バー32を第2短絡環から切り離すことによって、余剰となるトルクの発生を抑制できる。これにより、比較的高い負荷で運転しているときに、より最適なトルクで運転することが可能となる。その結果、熱の発生等を抑制可能になり、効率よく回転電機を運転させることが可能になる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明する。図6は、本実施形態の回転電機の概略正面図で、第2の短絡環42が高抵抗バー32に接触した状態を示す。図7は、図6の実施形態で、第2の短絡環42が高抵抗バー32から離れた状態を示す概略正面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図5)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
本実施形態の第2の短絡環42は、高抵抗バー32に軸方向に接離可能である。高抵抗バー32は、回転子20が回転しているときに第2の短絡環42との接触を保つように構成されている。
これにより、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる
なお、高抵抗バー32が、回転子20が回転しているときに、遠心力で第2の短絡環42との接触を保つように構成することもできる(図示せず)。そのように構成することにより、高抵抗バー32が第2の短絡環42に接しているときに、接触状態をより安定的に保つことができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明する。図8は、本実施形態の回転電機の概略正面図で、第2の短絡環42が高抵抗バー32に接触した状態を示す。図9は、図8の実施形態で、第2の短絡環42が高抵抗バー32から離れた状態を示す概略正面図である。図10は、図9の回転子20の一部を示す部分斜視図である。
なお、本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図5)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
本実施形態の第2の短絡環42は、回転子鉄心21と共に回転しないように固定されている。固定状態の詳細は省略するが、図示しない駆動装置に間接的に固定される(図9、図10)。この第2の短絡環42は、図9および図10における左右方向に平行移動可能である。
高抵抗バー32の軸方向端面は、この面に対向する第2の短絡環42の軸方向端面に接触する。高抵抗バー32が回転するときは、第2の短絡環42の軸方向端面を、滑りながら移動する。これにより、互いに導通が維持される。
第2の短絡環42および高抵抗バー32の接触を解除するときは、第2の短絡環42を、回転子鉄心21から離れるように移動させればよい。
これにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、高抵抗バー32が低抵抗バー31よりも半径方向外側にあるが、これに限られない。半径方向内側に、高抵抗バー32を配置してもよい。
10…回転軸
11…中空部
12…貫通長穴
20…回転子
21…回転子鉄心
22…スロット
31…低抵抗バー(第1の導体棒)
32…高抵抗バー(第2の導体棒)
35…低抵抗バー挿入部
36…高抵抗バー挿入部
41…第1の短絡環
42…第2の短絡環
42a…第2の短絡環
50…固定子
55…移動機構
57…摺動部材
59…連結部材

Claims (3)

  1. 所定の軸周りを回転する回転軸と、
    複数の鉄板が積層されてなり、前記回転軸の一部を半径方向外側から取り囲むように形成されて前記回転軸と共に前記軸周りを回転する円筒状で、軸方向両側および半径方向外側に開口し軸方向に延びるスロットが周方向に互いに間隔をあけて複数形成された回転子鉄心と、
    軸方向に延びて所定の誘電率を有する金属製で、前記スロット内の所定の半径方向位置を貫通するように配置された第1の導体棒と、
    前記スロット内の半径方向位置が前記第1の導体棒がある位置と異なる位置で前記スロットを貫通するように配置されて、前記第1の導体棒よりも誘電率が低い金属製の第2の導体棒と、
    前記回転子の軸方向外側に配置されて前記軸周りを前記回転子と共に回転可能に構成された導電性を有する円環状で、前記第1の導体棒の軸方向端部が固定されて互いに導通するように形成される第1の短絡環と、
    前記回転軸の回転中に軸方向に移動可能で前記第2の導体棒の軸方向端部が接離可能で、前記回転子の軸方向外側に配置されて金属製の円環状で、前記第2の導体棒に接触しているときに互いに導通するように形成される第2の短絡環と、
    を有し、
    前記第2の短絡環は、前記軸周りを前記回転子と共に回転可能に構成されて、
    前記回転軸の内部には、軸方向に延びる円筒状の中空部が形成されて、
    前記回転軸の外周面には、前記中空部に貫通し軸方向に長い貫通長穴が互いに周方向間隔をあけて複数形成されて、
    前記中空部内に配置されて、前記中空部を軸方向に摺動可能な摺動部材と、
    前記貫通長穴を貫通するように放射状に延びて、前記摺動部材および前記第2の短絡環を連結する連結部材と、
    を有し、
    前記摺動部材が軸方向外側に移動するときに、前記第2の短絡環と前記第2の導体棒とが分離するように構成されていること、
    を特徴とする回転電機。
  2. 前記第2の短絡環は、前記第2の導体棒の半径方向外側で前記第2の導体棒に接離可能で、
    前記第2の導体棒は、前記回転子が回転しているときに、遠心力で変形することにより前記第2の短絡環との接触を保つように構成されていること、
    を特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 所定の軸周りを回転する回転軸と、この回転軸の一部を半径方向外側から取り囲むように形成された回転子と、を有する回転電機を運転する方法において、
    前記回転子は、
    前記回転軸と共に前記軸周りを回転する円筒状で、軸方向両側および半径方向外側に開口し軸方向に延びるスロットが周方向に互いに間隔をあけて複数形成された回転子鉄心と、
    軸方向に延びて所定の誘電率を有する金属製で、前記スロット内の所定の半径方向位置を貫通するように配置された第1の導体棒と、
    前記スロット内の半径方向位置が前記第1の導体棒がある位置と異なる位置で前記スロットを軸方向に貫通するように配置されて、前記第1の導体棒よりも誘電率が低い金属製の第2の導体棒と、
    前記回転子の軸方向外側に配置されて前記軸周りを前記回転子と共に回転可能に構成された円環状で、前記第1の導体棒の軸方向端部が固定された金属材料で、互いに導通するように形成される第1の短絡環と、
    軸方向に移動可能で前記第2の導体棒の軸方向端部が接離可能で、前記回転子の軸方向外側に配置されて金属製の円環状で、前記第2の導体棒に接触しているときに互いに導通するように形成される第2の短絡環と、
    有し、
    前記第2の短絡環は、前記軸周りを前記回転子と共に回転可能に構成されて、
    前記回転軸の内部には、軸方向に延びる円筒状の中空部が形成されて、
    前記回転軸の外周面には、前記中空部に貫通し軸方向に長い貫通長穴が互いに周方向間隔をあけて複数形成されて、
    前記回転電機は、
    前記中空部内に配置されて、前記中空部を軸方向に摺動可能な摺動部材と、
    前記貫通長穴を貫通するように放射状に延びて、前記摺動部材および前記第2の短絡環を連結する連結部材と、
    を有し、
    前記摺動部材が軸方向外側に移動するときに、前記第2の短絡環と前記第2の導体棒とが分離するように構成されていて、
    当該回転電機運転方法は、
    前記第2の導体棒および前記第2の短絡環が互いに接触した状態で、前記回転子を回転させる回転子起動工程と、
    前記回転子起動工程の後に、前記回転数が所定の回転数よりも大きくなったときに、前記第2の導体棒を前記第2短絡環から切り離す分離工程と、
    を有すること、を特徴とする回転電機運転方法。
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