JP5852657B2 - イムノクロマトグラフィー装置、方法およびキット - Google Patents

イムノクロマトグラフィー装置、方法およびキット Download PDF

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Description

関連出願
それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれている2010年9月24日に出願された米国仮出願第61/386,214号および2011年5月5日に出願された米国仮出願第61/482,867号に対して優先権を主張する。
本発明は、特異的結合を伴う装置およびアッセイ、特にイムノクロマトグラフィー装置およびアッセイに関する。
試験試料に存在し得る分析物の存在および/または濃度を決定するために、様々な分析手法および装置がフロースルーアッセイに一般に用いられている。ラテラルフローイムノクロマトグラフィーアッセイまたはラテラルフローアッセイ(LFA)としても知られるラテラルフロー試験は、例えば医療診断用のポイントオブケア(POC)装置で一般に使用される。個々のアッセイレイアウトが特定の用途に適合されている。
α1アンチトリプシン欠損症(AATD)は遺伝性疾患であり、遺伝子検査によって診断することができる。しかし、AATDは過小診断されており、10〜15%が特定されているだけである。特定されない患者は、「普通の」慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息とそれぞれ誤診されることもある。
国際公開第2010/089102号パンフレット
分析物、特にZ-AATタンパク質の存在を決定するための有効なラテラルフローアッセイが依然として必要とされている。
一態様では、本発明は、テストゾーンに捕獲抗体が結合した膜を備えるイムノクロマトグラフィー装置を提供する。捕獲抗体は、分析物と結合することができる。分析物は、PiZ遺伝子キャリア由来の試料中に存在するZ-AATタンパク質でもよい。
いくつかの態様では、本発明は、固定化された捕獲抗体で定義されるZ-AATタンパク質捕獲領域を有する膜を備えるイムノアッセイ装置を提供し、ここで、捕獲抗体は抗Z-AATタンパク質抗体である。
他の態様では、本発明は、流体試料中のZ-AATタンパク質の存在または量を決定するためのイムノアッセイ装置を提供する。この装置は、
試料添加領域
固定化された捕獲抗体で定義されるZ-AATタンパク質捕獲領域を有する微多孔性膜であって、捕獲抗体がLG96またはその抗原結合性フラグメントである微多孔性膜、
試料添加領域からZ-AATタンパク質捕獲領域への流路であって、捕獲抗体と流体試料中に存在可能なZ-AATタンパク質との間の複合体形成によって流体試料中のZ-AATタンパク質の存在または量を決定することができる流路、および
流路に位置するコンジュゲート構造であって、コンジュゲート構造がZ-AATタンパク質に特異的な検出試薬を備え、検出試薬が移動性または可動性であり、検出試薬が金コンジュゲートLG96またはその金コンジュゲート抗原結合性フラグメントであるコンジュゲート構造
を備える。
一態様では、対象中のZ-AATタンパク質を検出するための方法を提供する。この方法は、
本発明のイムノアッセイ装置に対象由来の生体試料を加える工程、および
捕獲抗体と流体試料中に存在し得るZ-AATタンパク質との間に形成される複合体を検出する工程であって、この複合体の検出が試料中のZ-AATタンパク質の存在を示す工程
を含む。
別の態様では、本発明は、PiZ遺伝子キャリアを決定するための方法を提供する。この方法は、対象由来の試料を本発明による装置を使用してイムノクロマトグラフィーにかける工程および捕獲抗体への分析物の結合を決定する工程を含み、ここで、捕獲抗体への分析物の結合は、対象がPiZキャリアであることを示す。
いくつかの態様では、本発明は、AAT欠損に付随する状態または疾患を診断するための方法を提供する。この方法は、対象由来の試料を本発明による装置を使用してイムノクロマトグラフィーにかける工程、および捕獲抗体への分析物の結合を決定する工程を含み、ここで、捕獲抗体への分析物の結合によって、対象がその状態または疾患を有することが示される。
他の態様では、本発明は、AAT欠損に付随する状態または疾患を発症する対象の素因を決定するための方法を提供する。この方法は、本発明による装置を使用して対象由来の試料をイムノクロマトグラフィーにかける工程、および捕獲抗体への分析物の結合を決定する工程を含み、ここで、捕獲抗体への分析物の結合は、その状態または疾患を発症する対象の素因を示す。
一態様では、本発明は、生体試料中のZ-AATタンパク質の存在を決定するための方法を提供する。この方法は、テストゾーンで二次抗体が結合した膜上に生体試料および一次抗体を混合状態で供給する工程を含み、ここで、一次および二次抗体のそれぞれがZ-AATタンパク質に結合することができ、テストゾーンでの二次抗体の捕獲は、試料中のZ-AATタンパク質の存在を示す。
さらに別の態様では、本発明は、本発明による装置および検出試薬を備えるキットを提供する。
モノクローナル抗体LG96およびMG97を用いた、マッチングペア(matching pairs)、サンドイッチELISA法の試験結果を示すグラフである。部分的に精製されたモノクローナル抗体LG96およびMG97を、捕獲抗体または西洋ワサビペルオキシダーゼで標識された検出用抗体(それぞれLG96HRPまたはMG97HRP)のどちらかとして使用した。プール化ZZ血清またはMM血清をサンプルバッファーで段階希釈して、抗原溶液として使用した。マッチングペアLG96-LG96HRP、LG96-MG97HRP、MG97-LG96HRPおよびMG97-MG97HRPは、PiZZ血清と特異的結合を示すが、PiMM血清とは示さない。 モノクローナル抗体LG96およびMG97とコーティングされたAAT(M型)との交差反応性の試験結果を示すグラフである。M特異的抗体F43.8.1および1ATはポジティブコントロールとして機能し、両方ともコーティングされたAAT(M型)と非常に強い特異的結合を示す。それとは対照的に、抗体LG96およびMG97はコーティングされたM型のAATに対して結合を示さない。 本発明の一実施形態によるイムノクロマトグラフィー用のラテラルフローアッセイ(LFA)装置の配置図である。 図3と同様の配置図であり、ここで、試料は標的分析物を含まない。 LFA装置の写真であり、ここで、イムノクロマトグラフィーの部品は、例えばプラスチック材料で作られているハウジング中に入れて示される。テストラインまたはテストゾーンは何も表示されず、それによって、試料中の分析物の存在に関して、試験結果が陰性であることが示される。コントロールラインまたはコントロールゾーンは陽性であり、装置が正しく機能したことが示される。 図3と同様の配置図であり、ここで、試料は標的分析物を含む。 LFA装置の写真であり、ここで、イムノクロマトグラフィーの部品は、図5のようにハウジングに入れて示される。テストラインまたはテストゾーンは表示され、それによって、試料中の分析物の存在に関して、試験結果が陽性であることが示される。コントロールラインまたはコントロールゾーンも陽性であり、装置が正しく機能したことが示される。 本発明の一実施形態によるLFAの原理を示す図であり、ここで、試料はZZ型個体由来の血液である。捕獲抗体:LG96、検出用抗体:HRPコンジュゲートMG97、コントロール抗体:Ig。 本発明の別の実施形態によるLFAの原理を示す図であり、ここで、試料はMM型個体由来の血液である。捕獲抗体:LG96、検出用抗体:HRPコンジュゲートMG97、コントロール抗体:Ig。 本発明の他の実施形態によるLFAの原理を示す図であり、ここで、試料はMZ型個体由来の血液である。捕獲抗体:LG96、検出用抗体: HRPコンジュゲートMG97、コントロール抗体:Ig。 ZZ血清およびMM血清に対するLG96-MG97HRPの結合曲線の結果を示すグラフである。 ZZ血清に対するLG96-MG97HRPの特異的結合の結果を示すグラフである。MM血清に対しては結合しない。 ブランク試験における実際の試料(1:20希釈)のスクリーニング結果を示すグラフである。 PiZZ-ELISAを使用した、種々の市販品として入手可能なおよび自主調製の血清/血漿試料のZ-AAT濃度の決定を示すグラフである。 抗体の可能なすべての組み合わせにおける血清試料#1〜6の試験を示すグラフであり、ここで、最初に挙げる抗体はニトロセルロース上に固定化された捕獲抗体であり、スラッシュの後に挙げる抗体は金粒子に結合した検出用抗体である。 抗体の可能なすべての組み合わせにおける血清試料#1〜6の試験を示すグラフであり、ここで、最初に挙げる抗体はニトロセルロース上に固定化された捕獲抗体であり、スラッシュの後に挙げる抗体は金粒子に結合した検出用抗体である。 抗体の可能なすべての組み合わせにおける血清試料#1〜6の試験を示すグラフであり、ここで、最初に挙げる抗体はニトロセルロース上に固定化された捕獲抗体であり、スラッシュの後に挙げる抗体は金粒子に結合した検出用抗体である。 抗体の可能なすべての組み合わせにおける血清試料#1〜6の試験を示すグラフであり、ここで、最初に挙げる抗体はニトロセルロース上に固定化された捕獲抗体であり、スラッシュの後に挙げる抗体は金粒子に結合した検出用抗体である。 本発明の装置の一実施形態の側面図である。 図16に示す装置の縦断面を示す図である。 図16に示す装置の送込み領域の拡大図である。 (A)図16に示す装置および(B)単一カートリッジを備える別の実施形態の装置の反応領域の拡大表示を示す図である。 図16に示す装置のキャップおよび切断部分の側面図である。 一実施形態の本発明の装置の縦断面を示す図である。 別の実施形態の本発明の装置を示す図である。 いくつかの実施形態による本発明の装置を示す図である。 他の実施形態による本発明の装置を示す図である。 さらに別の実施形態による本発明の装置を示す図である。 一実施形態の本発明の装置を使用した、ZZ(+)血清試料の3つの別々のスクリーニング結果を示す図である。 毛細管血対血清試料(同一提供者由来の20μl毛細管血と血清試料との比較)の試験を示す図である。試験シグナルは、光学式読取機(QuickSens Omega 100 reader)で15分後に測定した。mg/dLの数字は、比濁分析によって決定したAAT血清レベルを示す。 種々の抗凝固剤の試験結果に対する影響を示す図である。コントロール:MM血清、試験試料:ZZ-EDTA血漿、ZZ-クエン酸血漿およびZZ-ヘパリン血漿。試験シグナルは、光学式読取機で試験開始15分後に測定した。mg/dLの数字は、比濁分析によって決定したAAT血清レベルを示す。 (A)MM提供者、(B)ZZ提供者、および(C)SZ提供者由来の血清試料の試験を示す図である(20μlの血清試料を使用し、異なる時間後の結果を示す)。「Vol.」は、光学式読取機で測定したテストライン(T)のシグナル強度である。コントロールラインは「C」で表わす。 血清および全血を用いた、n-65試験の試験概要を示すグラフである。0=PiMM試料;1=PiMZ、PiSZおよびPiZZ試料。試験シグナルは、光学式読取機で15〜20分後に測定した。
一態様では、本発明は、テストゾーンに捕獲抗体が結合した膜を備えるイムノクロマトグラフィー装置を提供する。捕獲抗体は、分析物と結合することができる。好ましい実施形態では、分析物はZ-AATタンパク質である。この装置を使用して試料中の分析物の存在を決定することができる。
本明細書で使用する場合、用語「Z-AATタンパク質」はZ-AATアミノ酸ポリマーを指し、特定の長さのタンパク質を指すことを意図しない。したがって、そのフラグメントは「Z-AATタンパク質」の定義内に含まれる。この用語には、単量体、二量体、多量体などならびに例えば糖鎖付加、アセチル化、リン酸化などのタンパク質の翻訳後修飾を含めた、Z-AATタンパク質の変異体および類似体の形態も含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、用語「Z-AATタンパク質」は、用語「Z-AATポリペプチド」と同義でもよく、または2つ以上のZ-AATポリペプチドの複合体(例えば二量体型、多量体型、凝集型)を指してもよい。
試料
一般に、試料は分析物を含んでいる可能性もあるし含んでいない可能性もある材料を指す。試料は、供給源から得たまま直接使用することもできるし、前処理を行い試料の特性を改変または変質させてから使用することもできる。試料供給源は、これらに限定されないが、血液、間質液、唾液、眼球レンズ液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、ローカス(raucous)、滑液、腹膜液、腟液、羊水などを含めた生理液などの任意の生物学的供給源であり得る。好ましくは、試料は水性の試料である。
いくつかの実施形態では、試料は希釈されていない試料である。すなわち、試料を生物学的供給源から得て、試料のいかなる前希釈も行わずに装置に直接加える。他の実施形態では、試料は、血液から血漿を調製する、粘性のある液体を希釈するなどの前処理を行ってから使用される。試料の前処理は、ろ過、沈殿、希釈、蒸留、濃縮、干渉成分の不活性化および試薬添加を含むことができる。一実施形態では、好ましくは液体または半液体の組成物を形成するように固体材料を改変することによって、分析物を含有すると考えられる固体材料を試料供給源として使用することができる。
一実施形態では、試料は全血、血漿または血清である。別の実施形態では、試料は毛細管血である。

本発明の装置は、試料中の分析物の存在または量を決定するための膜ベースのイムノクロマトグラフィーアッセイを提供する。好ましい実施形態では、分析物はZ-AATタンパク質である。例えば、一実施形態では、分析物はZ-AATタンパク質であり、ここで、哺乳動物(例えばヒト)から得た血液試料中の分析物の存在は、この哺乳動物がPiZ遺伝子キャリアであることを示す。
膜は、試料が通過することができる様々な材料のいずれかから作製され得る。例えば、膜を形成するのに使用される材料には、これらに限定されないが、多糖類(例えば、紙ならびに酢酸セルロースおよびニトロセルロースなどのセルロース誘導体のようなセルロース材料);ポリエーテルスルホン;ナイロン膜;シリカ;塩化ビニル、塩化ビニルプロピレンコポリマーおよび塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマーなどのポリマーとともに多孔質ポリマーマトリックス中に均一に分散した、不活性アルミナ、珪藻土、MgS04または他の無機性微細材料などの無機材料;天然起源の布(例えば綿)および合成の布(例えばナイロンまたはレーヨン)の両方;シリカゲル、アガロース、デキストランおよびゼラチンなどの多孔性ゲル;ポリアクリルアミドなどのポリマーフィルムなどの、天然材料、合成材料または合成的に改変された天然起源の材料が含まれ得る。
一実施形態では、膜はニトロセルロースおよび/またはポリエステルスルホン材料から形成される。ニトロセルロースはセルロースの硝酸エステルでもよく、それらはニトロセルロース単独または硝酸と1つまたは複数の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸などの他の酸との混合エステルでもよい。
いくつかの実施形態では、膜はニトロセルロースを含む。ニトロセルロースは、前もって増感することを必要とせずにタンパク質に結合する能力を持ち得る。抗体などの特定の試薬をニトロセルロースへ直接加え、そこに固定化することができる。試薬に必須の特異的結合活性を妨げる恐れのある化学的処理をほとんどまたは全く必要としない。ニトロセルロース上の使用されない結合部位は、その後ポリビニルアルコールなどの単純な材料でブロッキングすることができる。さらに、ニトロセルロースは様々な孔径が容易に入手可能であり、これによって、試料の流速などの要件に特に合うように膜材料を選択することが容易になる。
一実施形態では、膜は、捕獲抗体が結合した単一のテストゾーンまたはテストラインまたはテスト領域を備える。
他の実施形態では、膜は、水性の試料が連続的に通過することができる、例えば連続して膜上に配置された複数のテストゾーンを備える。一実施形態では、複数のテストゾーンを使用して分析物を定量測定することができ、または、別の実施形態では、種々の特異的捕獲抗体を個々にローディングし、多重分析物試験を提供することができる。
さらに別の実施形態では、膜は、装置が機能したことを確認するためのコントロールゾーンを備える。好ましくは、コントロールゾーンは、所望の試験結果が決定されるテストゾーンから下流に位置する。したがって、ポジティブコントロール指標物は、試料が、膜を通って、必要とされる距離を少なくとも浸透したという情報を提供する。
例えば、試料が十分に膜に浸透したことを確認するために、検出試薬に結合する抗体または他の分子/試薬をコントロールゾーンにローディングすることができる。例えば、検出試薬がマウスのハイブリドーマに由来する標識抗体である場合は、コントロールゾーンは、「抗マウス」抗体(例えば、抗マウスIgG)を含むことができる。別の実施形態では、コントロールゾーンは、湿気を帯びた際に色の変化または着色をもたらす無水の試薬、例えば水性の試料によって湿気を帯びた際に青くなる無水硫酸銅を含むことができる。さらに別の実施形態として、コントロールゾーンは、過剰検出試薬と反応する固定化された分析物(例えばZ-AATタンパク質)を含むことができる。
一実施形態では、膜はコントロール抗体が結合したコントロールゾーンを備え、ここで、コントロール抗体は検出試薬と結合することができる。いくつかの実施形態では、コントロール抗体は抗マウスIgGである。
捕獲抗体
好ましい実施形態では、テストゾーンで膜に結合している捕獲抗体は、Z-AATタンパク質に特異的な抗体またはその抗原結合性フラグメントである。様々な実施形態では、抗体は、PiMM血清または精製された野生型AATに対して実質的にほとんどまたは全く交差反応を示さない。
一実施形態では、抗体またはその抗原結合性フラグメントは、モノクローナル抗体またはその抗原結合性フラグメントである。
用語「ポリクローナル」および「モノクローナル」は、抗体調製物の均一度を指し、特定の製造方法に限定されることを意図するものではない。本明細書で使用する場合、用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位を一種類だけ含む抗体分子集団を指す。
抗体フラグメントには、これらに限定されないが、単鎖、キメラ化、ヒト化、霊長類化またはベニア化(veneered)抗体が含まれ、また企図される。例えば、Z-AATタンパク質に特異的に結合することができる抗体フラグメントには、これらに限定されないが、Fab'、Fab、F(ab')2、単一ドメイン抗体(DAB)、Fv、scFv(単鎖Fv)、直鎖状抗体、ダイアボディ、ラクダ化抗体などが含まれ得る。様々な抗体ベースの構築物およびフラグメントの調製および使用に関する技術が当技術分野で周知である。こうしたフラグメントは、酵素による切断または組換え技術によって産生することができる。例えば、パパインまたはペプシンによる切断は、それぞれFabまたはF(ab')2フラグメントを作出することができる。必要な基質特異性を有する他のプロテアーゼを使用して、FabまたはF(ab')2フラグメントを作出することもできる。抗体はまた、1つまたは複数の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入された抗体遺伝子を使用して、様々な切断された形態で産生することもできる。例えば、重鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列を含むようにF(ab')2重鎖部分をコードするキメラ遺伝子を設計することができる。
単鎖抗体およびキメラ化、ヒト化もしくは霊長類化(相補性決定領域グラフト化(CDRグラフト化))またはベニア化抗体、ならびに異なる種に由来する部分を含むキメラ化、CDRグラフト化またはベニア化単鎖抗体などもまた本発明に包含される。こうした抗体の様々な部分は、従来技術によって化学的に連結することができ、または遺伝子工学技術を使用して連続したタンパク質として調製することができる。
一実施形態では、捕獲抗体は、モノクローナル抗体LG96、MG97またはそれらの抗原結合性フラグメントである。一実施形態では、捕獲抗体はモノクローナル抗体MG97であり、検出用抗体はモノクローナル抗体LG96である。一実施形態では、捕獲抗体はモノクローナル抗体LG96であり、検出用抗体はモノクローナル抗体LG96である。
モノクローナル抗体LG96およびMG97を産生するハイブリドーマ細胞系の代表的な試料細胞は、「Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH」、Mascheroder Weg lb、38124 Braunschweig、Germanyにそれぞれ受託番号DSM ACC3092およびDSM ACC3093としてブダペスト条約の下で2010年9月14日に寄託された。
当業者は、当技術分野で既知のいくつかの技術を使用してモノクローナル抗体の核酸配列を決定することができる。モノクローナル抗体をコードする核酸をクローニングして、「組換え」モノクローナル抗体を調製することができる。抗体をコードする核酸配列合成をプライムする(prime)ためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を含めた、任意の組換えクローニング技術が利用可能である。したがって、モノクローナル抗体の調製方法は、適切な抗Z-AAT抗体産生細胞、好ましくはハイブリドーマから少なくとも適切な一次抗Z-AAT抗体をコードする核酸分子またはセグメントを獲得する工程、およびその核酸分子またはセグメントを組換え宿主細胞で発現させ、組換え抗Z-AATモノクローナル抗体を獲得する工程を含む方法を含有する。
他の組換え技術は、例えばファージミドライブラリーを基にした方法など、当技術分野で既知である。例えば、この方法は、(a)免疫学的に有効量の免疫原性Z-AATタンパク質を含む組成物、好ましくは活性化内皮細胞を含む組成物を少なくとも一用量を、および場合によっては一用量より多くを動物へ投与することによって動物を免疫化する工程、(b)抗体産生細胞から、好ましくは免疫化された動物の脾臓から単離したRNAを発現するコンビナトリアル免疫グロブリンファージミドライブラリーを調製する工程、(c)少なくとも一次抗Z-AAT抗体を発現する少なくとも一次クローン、場合によってはモノクローナル抗体LG96またはMG97と実質的に交差反応するまたは競合する少なくとも一次クローンをファージミドライブラリーから選択する工程、(d)少なくとも一次選択したクローンから抗Z-AAT抗体をコードする核酸を獲得し、組換え宿主細胞でその核酸を発現させて、少なくとも一次抗Z-AAT抗体をもたらす工程、および(e)少なくとも一次選択したクローンから獲得した核酸によって発現される少なくとも一次抗Z-AAT抗体を獲得する工程を含むことができる。
いくつかの実施形態では、テストゾーンで膜に結合している捕獲抗体は、Z-AATタンパク質に特異的な抗体またはその抗原結合性フラグメントであり、ここで、抗体または抗原結合性フラグメントは、モノクローナル抗体LG96、MG97または両方由来の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含む。
別の実施形態では、抗体または抗原結合性フラグメントは、モノクローナル抗体LG96またはMG97と同一または類似のエピトープ特異性を有する。モノクローナル抗体LG96またはMG97と同一または類似のエピトープ特異性を有する抗体または抗原結合性フラグメントは、当技術分野で既知の様々な方法によって特定することができる。例えば、同一または類似のエピトープ特異性を有する抗体は、Z-AATポリペプチドへの結合に関して、モノクローナル抗体との競合能力に基づいて特定することができる。別の例では、例えばLG96mAbの結合、およびZ-AATポリペプチドに対して同一または類似のエピトープ特異性を有する抗体の結合は、単一ペプチド(例えば、天然ペプチド、合成ペプチド)で阻害され得る。
いかなる特定の理論によっても拘束されるものではないが、試験される試料中の分析物濃度が高いことに関連する問題は、分析物濃度が非常に高い状態において検出可能シグナルが低下すると当業者に理解される、いわゆる「フック効果」の可能性があると考えられている。通常、異種のサンドイッチアッセイ形式では、可溶性標識抗体(例えば検出試薬)および固相抗体(例えば捕獲抗体)が、決定される分析物に比べて過剰に存在し、その結果サンドイッチ複合体が形成され得、さらに本質的に完全に検出され得る。しかし、高濃度の分析物の存在下では、限られた数の抗体が、試料中に存在可能な非常に多くの分析物分子に遭遇する。極端な場合、固相抗体が不足し、その結果、分析物は部分的にのみ結合し、さらに、可溶性の検出用抗体/分析物複合体が形成されることによって標識抗体が過剰な分析物に捕獲されるので、固相に結合した分析物画分が完全に検出されない可能性がある。これによって、偽陰性の試験結果をもたらす恐れがある、測定シグナルの低下が引き起こされ得る。
いくつかの実施形態では、試料は前希釈した試料であり、その後、その試料をイムノクロマトグラフィーにかける。
他の実施形態では、膜は、(例えば連続して)膜上に配置された、各々がテストゾーンの基端部に位置する1つまたは複数の捕獲ゾーンを備え、水性の試料は,テストゾーンに到達する前に連続的にそこを通過することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の捕獲ゾーンは、固定化/結合されたモノクローナル抗体LG96またはMG97を含む。フック効果の影響を受ける可能性がある試料のアッセイにおいて、フック効果を防止、低減または排除するために1つまたは複数の捕獲ゾーンを設けることができる。
コンジュゲート構造
一実施形態では、装置は、レポーター部分で標識された検出用抗体などの検出試薬を有するコンジュゲート構造をさらに備える。いくつかの実施形態では、コンジュゲート構造は膜と接触して設置され、ここで、液体がコンジュゲート構造に触れた際に、検出試薬が再水和され膜を通って運ばれる。
他の実施形態では、コンジュゲート構造は膜の基端部で膜に流動的に結合される。
別の実施形態では、コンジュゲート構造は膜の基端部で膜を部分的に覆うコンジュゲートパッドである。
例えばいくつかの実施形態では、コンジュゲート構造は、液体を急速に吸水することができる、吸収性、多孔性または線維性の材料でできている。材料の多孔性は、(例えば、孔または線維が構造の軸に対して完全にまたは主として平行して走っている)一方向性でもよいし、多方向性(例えば全方向性であり、部材は無定形のスポンジ様構造を有する)でもよい。ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ化ポリビニリデン、エチレン酢酸ビニル、アクリロニトリルおよびポリテトラフルオロエチレンなどの多孔性のプラスチック材料を使用してもよい。界面活性剤で製造中に材料を前処理することは、材料固有のいかなる疎水性も軽減し、それによって材料が急速かつ効率的に湿性試料を吸収および送達する能力が増強される可能性があるため、有利であり得る。多孔性構造はまた、紙またはニトロセルロースなどの他のセルロース系材料から作製することもできる。いくつかの実施形態では、いわゆるサインペンのペン先に現在使用されている材料が使用可能であり、そうした材料は、本発明において適切な様々な長さおよび断面に形づくるまたは押出し成形することができる。好ましくは、多孔性材料が水性液体で瞬く間に飽和され得るように、多孔性コンジュゲート構造を有する材料が選択される。好ましくは、材料は、湿性の際に強固なままである。
他の実施形態では、コンジュゲート構造は、検出試薬の層が重ねられた仕上げ塗りまたは上塗りである。一実施形態では、膜の一部はこのコンジュゲート構造を有する。実際は、仕上げ塗り/上塗りは本来の表層を形成することができず、仕上げ塗り/上塗り材料は膜の厚さにある程度浸透することができることを当業者は認識するであろう。重ねられた検出試薬も膜に浸透することができる。そのような実施形態によれば、水性の試料は、膜の長さに沿って流動し、その際仕上げ塗り/上塗りを溶解し、検出試薬を動態化し、検出試薬を膜に沿って運ぶことができる。
検出試薬
好ましい実施形態では、検出試薬はレポーター部分で標識された検出用抗体である。
一実施形態では、検出用抗体は、Z-AATタンパク質に特異的な抗体またはその抗原結合性フラグメントである。様々な実施形態では、抗体は、PiMM血清または精製された野生型AATに対して実質的にほとんどまたは全く交差反応性を示さない。
別の実施形態では、検出用抗体はモノクローナル抗体LG96、MG97またはそれらの抗原結合性フラグメントである。
他の実施形態では、検出用抗体はモノクローナル抗体MG97であり、捕獲抗体はモノクローナル抗体LG96である。いくつかの実施形態では、検出用抗体はモノクローナル抗体LG96であり、捕獲抗体はモノクローナル抗体MG97である。いくつかの実施形態では、捕獲抗体はモノクローナル抗体LG96であり、検出用抗体はモノクローナル抗体LG96である。
レポーター部分は、当技術分野で既知の、広範囲におよぶ材料/レポーターシステムのうちのいずれかでもよい。いくつかの実施形態では、レポーター部分は、これらに限定されないが、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、βガラクトシダーゼ、グルコース酸化酵素、リゾチーム、リンゴ酸脱水素酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素);金属ゾル、セレンゾル、炭素ゾルなど;着色または着色可能な粒子(例えば、着色したまたは着色可能なラテックス粒子);コロイド金属粒子(例えば、コロイド金、コロイド銀、コロイド白金、コロイドセレン)を含めた、リガンド-受容体ペアの最初の構成要素を含む。レポーター検出に関して当技術分野で既知の方法例には、これらに限定されないが、可視的な検査、紫外線(UV)ならびに可視分光光度法、蛍光分光法および放射線計数管による検出方法が含まれる。
レポーター部分は、検出用抗体に共有結合的にまたは非共有結合的に結合/連結することができる。結合/連結は、当技術分野で既知の任意の方法で達成され得る。例えば、結合/連結に使用する試薬には、これらに限定されないが、グルタルアルデヒド、p-トルエンジイソシアナート、様々なカルボジイミド試薬、p-ベンゾキノンm-過ヨウ素酸、N,N1-o-フェニレンジマレイミド、組換え方法などが含まれる。
血液分離システム
他の実施形態では、装置は、試料を受け取るための血液分離システムをさらに備え、ここで、血液分離システムはコンジュゲート構造に流動的に連結される。一実施形態では、血液分離システムはコンジュゲートパッドを部分的に覆う血液分離システムである。
いくつかの実施形態では、装置のコンジュゲート構造または膜部分に試料を直接加える必要がない。好ましい実施形態では、試料は、コンジュゲート構造に流動的に連結された血液分離システム(例えば吸収性の材料/パッド)に加える。例えば、血液分離システムは、例えば試料から血液細胞を除去するためのろ過装置として機能することができる。次にろ過後の試料は、コンジュゲート構造に到達することができる。他の実施形態では、ろ過過程において、試薬の添加は、血液分離システム中に乾燥状態で存在する成分から後者を溶解することによって同時に達成され得る。こうした成分により、干渉因子を溶液から除去することができる。したがって、例えば、酸化酵素および過酸化酵素を標識薬剤として使用する際に干渉する恐れのある、試料に存在するアスコルビン酸は、適切な酸化剤によって無効にされ得る。血液分離システムはまた、吸着によって試料から干渉因子を除去する吸着剤として機能することもできる。
先端構造
好ましくは、検出試薬(例えば標識抗体)は、液体試料とともにテストゾーンに移動する。試料の流動はテストゾーンを超えて続き、これが起こり得るために十分な試料が膜に加えられる。いくつかの実施形態では、装置は、膜の先端部で膜に流動的に連結された先端構造をさらに備え、ここで、先端構造は、基端部から先端部への十分なフロースルーをもたらすように構成されている。先端構造は、膜の先端部において吸収剤「シンク」として少なくとも機能する。吸収剤シンクは、例えばWhatman3MMクロマトグラフィー用ペーパーを備えることができる。
一実施形態では先端構造は、先端部で部分的に膜を覆う吸着パッドであり、ここで、吸着パッドは、毛細管作用によって膜の基端部から先端部への十分なフロースルーをもたらすように構成されている。
方法
いくつかの実施形態では、実施中に、水性の試料を装置の基端部にある血液分離システムに加える。試料は毛細管作用によってコンジュゲート構造を通って流動し、検出試薬をコンジュゲート構造からテストゾーンに運び、次にコントロールゾーンに運び、試料が決定される分析物を含むかまたは含まないかに関係なく、例えば肉眼で見えるカラーシグナルを生じさせる。分析物の決定は、テストゾーンで行われる。いくつかの実施形態では、装置の使用者は、この2ゾーンで生じたシグナルを比較することで、分析物が試料中に存在するかどうかを決定することができる。
例えば、一実施形態では、哺乳動物由来の血液試料中のZ-AATタンパク質の存在を決定するためにこの試験を使用する場合は、装置の膜部品は、モノクローナル抗体LG96が固定化された単一テストゾーンおよび抗マウスIgGが固定化された単一コントロールゾーンを備えることができる。コンジュゲートパッドは膜の基端部で膜に覆われてもよく、ここで、コンジュゲートパッドは、例えば着色ラテックス粒子のようなレポーター部分で標識されたモノクローナル抗体MG97を含む。テストゾーンに可視バンドが検出されることによって、血液中にZ-AATタンパク質が存在することが示され、コントロールゾーンに可視バンドが検出されることによって、試料が十分膜に浸透したことが確認される。
他の態様では、本発明は、PiZ遺伝子キャリアを決定するための方法を提供する。この方法は、
(a)テストゾーンに捕獲抗体が結合した膜を備えるイムノクロマトグラフィー装置を使用して試料をイムノクロマトグラフィーにかける工程であって、捕獲抗体が分析物と結合することができ、分析物がPiZ遺伝子キャリア由来の試料中に存在するZ-AATタンパク質であり、捕獲抗体がモノクローナル抗体LG96またはMG97である工程、および
(b)テストゾーンでシグナルを決定する工程であって、テストゾーンでのシグナルの存在が、対象がPiZキャリアであることを示す工程
を含む。
一実施形態では、検出試薬は、レポーター部分で標識されたモノクローナル抗体LG96またはMG97である。
他の実施形態では、PiZキャリアは、PiZ対立遺伝子を有する任意の対立遺伝子の組み合わせである表現型を有する。
いくつかの実施形態では、表現型はPiZZ、PiMZ、PiSZまたはPiZ/ヌルである。
別の実施形態では、対象の循環血流は検出可能なZ-AATタンパク質濃度を有し、それによって、PiZ対立遺伝子の存在が示される。
他の実施形態では、PiZキャリアは、AAT血清レベルが少なくとも約80mg/dlであるヘテロ接合型MZキャリアである。
さらに別の態様では、本発明は、AAT欠損に付随する状態または疾患を診断するための方法を提供し、この方法は、
(a)テストゾーンに捕獲抗体が結合した膜を備えるイムノクロマトグラフィー装置を使用して試料をイムノクロマトグラフィーにかける工程であって、捕獲抗体が分析物と結合することができ、分析物がPiZ遺伝子キャリア由来の試料中に存在するZ-AATタンパク質であり、捕獲抗体がモノクローナル抗体LG96またはMG97である工程、および
(b)テストゾーンでシグナルを決定する工程であって、テストゾーンでのシグナルの存在が、対象がその状態または疾患を有することを示す工程
を含む。
装置
他の態様では、本発明は、特異的結合アッセイ、特にイムノクロマトグラフィーアッセイを実施するための装置を提供する。装置は、Z-AATを検出するための本発明の抗体および方法を用いるのに容易に適合させることができる。固体相アッセイ装置には、これらに限定されないが、イムノクロマトグラフィーのイムノアッセイ装置、フロースルーアッセイ装置、マイクロタイタープレート、ディップスティックおよびイムノキャピラリーが含まれる。
好ましい実施形態では、本発明の抗体および方法とともに使用するのに適合可能な装置は、人体または動物体液用装置の教示に関して参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2010/089102号パンフレットで開示されている。
いくつかの実施形態では、装置は、α1アンチトリプシン欠損症の毛細管直接決定に関する統合インタフェースを介するランセット部品および血液採取部品を有する、単回使用、密封式である。
一実施形態では、装置は、本発明のイムノクロマトグラフィーの方法および抗体によってZ-AAT抗原に関するサンドイッチイムノアッセイを実施するために構成されている。例えば図16で例示されるような装置10の実施形態は、細長い管状ハウジング11を有する。
キャップ12は、ストリップ形状要素45を保持するホルダー13の一面に面してハウジング11の内側にある。ストリップ形状要素45は、ハウジング11中を軸方向に伸び、その基端部で、カップ形状の分離器要素41のノズル形状の吸い込み管44中に据えられる。表示領域40を反応領域30から分離する分離要素41は、カップ形状の上方向に開いた断面を有し、ハウジング11中にしっかりはめて密封状態で位置する。分離要素41の下部にある貫通孔42は、ストリップ形状要素45の表面に直接開口する。分離要素41は、スペーサー43の貫通孔42に囲まれている(図17および19)。
いくつかの実施形態では、ストリップ形状要素45は、膜(例えば、ニトロセルロースなどの微多孔性吸収剤材料片)を備え、場合によっては裏材(例えばプラスチックの裏材)に貼り合わすことができる。(a)レポーター部分で標識された検出用抗体などの検出試薬を有するコンジュゲート構造および(b)第二の吸収剤材料片(例えば、Whatman3MMクロマトグラフィー用ペーパー、ガラス繊維)などの先端構造であって、膜を通ってその基端部から先端部へアッセイ流体を引き寄せるのを補助するために膜と流体連通する前記先端構造は、膜と接する。先端構造はまた、膜を通過する流体を吸収する吸収剤としても機能する。
膜は、本発明の捕獲抗体が固定化されたテストゾーンを備える。一実施形態では、膜は、装置が機能したことを確認するためのコントロールゾーンをさらに備える。好ましくは、コントロールゾーンは所望の試験結果が決定されるテストゾーンから下流に位置する。したがって、ポジティブコントロール指標物は、膜を通って、試料が必要とされる距離を少なくとも浸透したという情報を提供する。例えば、試料が十分に膜に浸透したことを確認するために、検出試薬に結合する抗体または他の分子/試薬をコントロールゾーンにローディングすることができる。例えば、検出試薬がマウスのハイブリドーマに由来する標識抗体である場合は、コントロールゾーンは抗マウスIgGを含むことができる。一実施形態では、テストゾーンの捕獲抗体はLG96および/またはMG97であり、検出試薬は検出可能な標識物で標識されたLG96であり、コントロールゾーンは固定化された抗マウスIgGを含む。別の実施形態では、テストゾーンの捕獲抗体はLG96および/またはMG97であり、検出試薬は検出可能な標識物で標識されたMG97であり、コントロールゾーンは固定化された抗マウスIgGを含む。
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のカートリッジがハウジング11の軸方向で分離要素41の真上に配置される。図19Aに示される実施形態では、装置は反応領域30に、31、34および37の3つのカートリッジを備えるものとして示され、図19Bに示される実施形態では、カートリッジ37単一の装置が示される。
例えば図19Aに関しては、一実施形態では、31、34、37の各カートリッジは、外面がハウジング11の内面と接する管状ハウジング部31a、34a、37aを有し、密封フィルム32/33および35/36および38/39によって上部および下部で密封される。カートリッジは、アッセイに必要な緩衝液、試薬または他の化学物質を含むことができる。カートリッジは、組み立て済みでもよく、管状ハウジング部分が互いに軸方向に置かれるようにハウジング11中にしっかりはめて充満密封状態で使用することができる。図19Aで示される実施形態では、カートリッジ37に面するストリップ形状要素45領域は、分離部材41の上端部にその下端部が置かれる。カートリッジ31の反対側の上端部には、締め付けスリーブの形で配置された締め付け要素15があり、これは、ハウジング11の内壁に対する弾性変形下で固定することができ、その結果、1つまたは複数のカートリッジが確実に配置されるおよび/または互いに固定しあうことになる。
切断装置19は、カートリッジ31、34および37の上に配置され、前記切断装置は、切断部22を備える。切断部22は、維持体21および管状延長部21bを備え、カートリッジ31、34、37に面するその下部に切断ナイフ23、例えば切歯を備えるナイフを具備する。環状または円柱状の密封要素16は管状突出部21bの下端近くに配置され、ハウジング11の内側および管状突出部21bの外面に置かれ、締め付けスリーブ15の頂端部に軸方向に支持される。
切断部22の維持体21は、毛細管24が挿入された軸状の中心孔21aを有する。管状キャップ25は毛細管24の突き出た頂端部分が据えられている内部ブラインドボア26を有する。キャップ25上端部にハンドル部分28があり、使用者はキャップ25を軸方向にひねって動かすことができる。キャップ25のハンドル部分28の反対側である下端にガイド部材27がある。
図20で示すように、切断部22の保持体21は、溝状のゲート14の形でハウジング11中に形成されるカムと係合する、放射状に外向きに伸びるガイドピン17を有する(図16も参照されたい)。図16を参照すると、ゲート14は、第一セクション14aを伸長するハウジング11の周方向に第一セクション14aを、第二セクション14bを伸長するハウジング11の縦方向に第二セクション14bを、第三セクション14cを伸長するハウジング11の周方向に第三セクション14cを、および第四セクション14dを伸長するハウジング11の縦方向に第四セクション14dを有する。いくつかの実施形態では、セクション14cからセクション14dへガイドピン17が誤って移動するのを防止するために、第三セクション14cと第四セクション14dとの間の移行領域のノーズ46にわずかに狭まった断面を設けることができる。ゲート14におけるガイドピン17の係合は、ハウジング11と関連して切断部22を作動させ、回転中にセクション14aおよび14cを、軸方向運動中にセクション14bおよび14dをカバーする。
装置10を用いてアッセイするために、試験試料(例えば全血)を上部領域20に入れる。例えば、キャップ25をはずして毛細管24の一部を露出させ、次に、例えば対象の指先で血液を一滴そこにつける。試料は、毛細管作用によって毛細管24に入りこむ。続いて、キャップ25を毛細管24上のブラインド孔26とともに設置し、完全に滑り込ませると、その容量がブラインドボア26の下部と毛細管24の上端との間に減少し、毛細管24の下端から切断部22の管状突出部21bの内部29へ試料を出させる圧力を増大させる。
キャップ25を装置上に戻すことによって、キャップ25のガイド27のセグメント27aは、取入口22aと係合し、その結果、切断部22上のキャップ25の回転運動が伝動される。ガイドピン17がセクション14a内で可動な限りにおいて、使用者がキャップ25を回転させることによっても切断部22は回転する。次に、ガイドピン17がセクション14b内で可動な限りにおいて、使用者がキャップ25の上を押すことによっても、ハウジング11の軸方向に切断部22を下向きに押すことになる。すなわち、この切断部22の軸方向変位の結果として、切断刃23がカートリッジ31の上部密封フィルム32と接することになり、それによって、フィルム32が破壊/切断される。フィルム32の破壊に際し、管状突出部21bの内部29に存在する試料がカートリッジ31の内容物に接することになる。他のカートリッジ34および37は、閉じたままである。
次の試験段階を開始するために使用者はキャップ25を再び回転させ、これによってガイドピン17がセクション14cとセクション14dとの間の移行領域までセクション14cに沿って移動する。この位置では、使用者がキャップ25をさらにハウジング11へ押し込むことが可能であり、その結果、切断部23がハウジング11内の十分な距離を移動し、カートリッジ31の密封フィルム33およびカートリッジ34の密封フィルム35の両方の破壊が引き起こされる。密封フィルム36、38および39も破壊/切断するために、キャップ25は、セクション14dに沿って適切な距離をさらに移動する。このようにして、試料はまた、カートリッジ34および37の内容物と連続的に接するようになる。次に、試料はカップ形状の分離器41へ入り、貫通孔42を通って流動し、すぐ下に位置するストリップ形状要素45と接し、ここで、窓18を通して見ることができる色の変化を引き起こし得る。
他の実施形態では、装置は、ハウジング11の先端部にランセット50をさらに備える(例えば図21〜25を参照されたい)。好ましくは、ランセットは取り外し可能なランセットである。
図21を参照すると、アッセイを行うために、試料を得るための開口部が装置のランセット部品を使用して試料部位の体組織に形成される。次に、キャップ25を取り外し、毛細管24の一部を露出させ、次いで毛細管24の一部を試料と接触させる。そして、キャップ25を毛細管24上のブラインド孔26とともに装置10上に戻し、完全に滑り込ませ、その結果、容量がブラインドボア26の下部と毛細管24の上端との間に減少する。一実施形態では、カートリッジ31の密封フィルム32が破壊され、これによって、試料がカートリッジ31内に含まれる緩衝液と接触することができるようなり、試料/緩衝液組成物が形成される。さらに、密封フィルム33の破壊の際に、試料/緩衝液組成物がストリップ形状要素45と接触し、いくつかの実施形態では、これは、膜と、検出試薬がレポーター部分で標識された検出用抗体である検出試薬を有するコンジュゲート構造と、試料/緩衝液組成物がコンジュゲート構造と接触することにより、試料/緩衝液組成物が毛細管現象(ウィッキング)によってその中に吸い上げられる、膜と流体連通する先端構造とを備え、その結果、試料/緩衝液組成物が検出試薬と接触する。試料/緩衝液/検出試薬混合液は、連続的にストリップ形状要素45の膜部分に吸い上げられ、ここで、混合液がテストゾーンで膜に固定化された捕獲抗体と接触し、それによって、混合液に存在し得る任意のZ-AAT抗原が捕獲抗体と結合することができるようになる。場合によっては、混合液が捕獲抗体と接触した後十分な時間がたってから装置中に洗浄液を吸い入れることができる。次に、検出用抗体の検出可能な標識は、捕獲抗体が固定化された領域で可視化される。アッセイ装置の好ましい実施形態では、ポジティブコントロールは、固定化された捕獲抗体の近くであるが捕獲抗体とは区別して膜に含まれ、好ましくは、固定化された捕獲抗体領域に移動する試料流体が接触後にその流体が接触する領域の膜上に固定化される。
いくつかの態様では、本発明は、捕獲抗体が抗Z-AATタンパク質抗体である、固定化された捕獲抗体で定義されるZ-AATタンパク質捕獲領域を有する膜を備えるイムノアッセイ装置を提供する。
一実施形態では、捕獲抗体はLG96またはそのフラグメントである。
別の実施形態では、捕獲抗体はMG97またはそのフラグメントである。
いくつかの実施形態では、装置は、試料添加領域および試料添加領域からZ-AATタンパク質捕獲領域への流路をさらに備え、ここで、捕獲抗体と流体試料中に存在し得るZ-AATタンパク質との間の複合体形成によって流体試料中のZ-AATタンパク質の存在または量を決定することができる。
他の実施形態では、装置は、コンジュゲート構造がZ-AATタンパク質に特異的な検出試薬を備え、検出試薬が移動性または可動性である、流路に位置するコンジュゲート構造をさらに備える。
一実施形態では、検出試薬は検出用抗体である。
いくつかの実施形態では、検出用抗体はLG96またはそのフラグメントである。
他の実施形態では、検出用抗体はMG97またはそのフラグメントである。
別の実施形態では、検出用抗体はレポーター部分で標識されている。
他の実施形態では、検出用抗体は金コンジュゲート検出用抗体である。
さらに別の実施形態では、流体試料の供給源は毛細管血、血清または血漿である。
他の態様では、本発明は、流体試料中のZ-AATタンパク質の存在または量を決定するためのイムノアッセイ装置を提供する。この装置は、
試料添加領域、
固定化された捕獲抗体で定義されるZ-AATタンパク質捕獲領域を有する微多孔性膜であって、捕獲抗体がLG96またはその抗原結合性フラグメントである微多孔性膜、
試料添加領域からZ-AATタンパク質捕獲領域への流路であって、捕獲抗体と流体試料中に存在し得るZ-AATタンパク質との間の複合体形成によって流体試料中のZ-AATタンパク質の存在または量を決定することができる流路、および
流路に位置するコンジュゲート構造であって、コンジュゲート構造がZ-AATタンパク質に特異的な検出試薬を備え、検出試薬が移動性または可動性であり、検出試薬が金コンジュゲートLG96またはその金コンジュゲート抗原結合性フラグメントであるコンジュゲート構造
を備える。
一態様では、対象中のZ-AATタンパク質を検出するための方法が提供される。この方法は、
本発明のイムノアッセイ装置に対象由来の生体試料を加える工程、および
捕獲抗体と流体試料中に存在し得るZ-AATタンパク質との間に形成される複合体を検出する工程であって、複合体の検出が試料中のZ-AATタンパク質の存在を示す工程
を含む。
キット
一態様では、本発明は、AAT欠損に付随する状態または疾患を発症する対象の素因を決定するための方法を提供し、この方法は、
(a)テストゾーンに捕獲抗体が結合した膜を備えるイムノクロマトグラフィー装置を使用して試料をイムノクロマトグラフィーにかける工程であって、捕獲抗体が分析物と結合することができ、分析物がPiZ遺伝子キャリア由来の試料中に存在するZ-AATタンパク質であり、捕獲抗体がモノクローナル抗体LG96またはMG97である工程、および
(b)テストゾーンでシグナルを決定する工程であって、テストゾーンでのシグナルの存在が、その状態または疾患を発症する対象の素因を示す工程
を含む。
本発明は、他の態様では、
(a)捕獲抗体がモノクローナル抗体LG96またはMG97である本発明によるイムノクロマトグラフィー装置、および
(b)検出試薬
を備えるキットを提供する。
いくつかの実施形態では、検出試薬は、レポーター部分がコンジュゲートした検出用抗体である。
一実施形態では、検出用抗体は、レポーター部分で標識されたモノクローナル抗体LG96またはMG97である。
別の態様では、本発明は、モノクローナル抗体LG96、MG97または両方を備えるキットを提供する。
他の態様では、イムノアッセイを行うための装置および試薬は、キットの形でパッケージ化することができる。例えば、こうしたキットは、適切なアッセイ装置、抗体試薬、ならびに/または緩衝液および/もしくは必要に応じて、選択された標識の検出用試薬などのアッセイを展開するための試薬を含むことができる。
いくつかの態様では、本発明は、対象の生体試料においてZ-AATタンパク質の存在を決定するためのキットを提供し、前記キットは、本明細書に記載のような装置を、場合によっては使用のための試薬および/または説明書とともに備える。
他の実施形態では、キットは、場合によっては、例えば生体試料の回収/獲得用に、ランセット、緩衝液(例えば、Sample Buffer、CANDOR Bioscience GmbH、Wangen、Germany)、希釈剤、ろ過装置、毛細管(例えば20μl毛細管)、ニードルおよび/またはシリンジを含めた、商業的および使用者の観点から望ましい他の材料/部品を含むことができる。
さらに別の実施形態では、キットはまた、試験結果の検出を可能にするシステムを含むことができる。結果は、複合体に存在する標識に応じて、視覚的にまたは機器で検出することができる。好ましい実施形態では、結果は視覚的に検出する。
(実施例)
(実施例1)
モノクローナル抗体
ハイブリドーマLG96およびMG97は、完全フロイントアジュバントに入れたポリマーのヒトα1アンチトリプシン(AAT)でBALB/cマウスを免疫化して調製した。マウスを腹腔内免疫し、免疫感覚は7〜8日とした。免疫化されたマウスの脾臓細胞を形質細胞腫細胞系統NSWと融合させた。ポリマーhAATまたはAAT欠損PiZZ患者由来の血清でコーティングしたマイクロタイタープレートを用いたELISAによって、ハイブリドーマ上清をモノクローナル抗体の存在に関してスクリーニングした。
選択したハイブリドーマをクローン化し、再びスクリーニングして、ポリマーAATに対して抗体を産生するが天然型AATに対しては産生しないハイブリドーマを選択した。ハイブリドーマLG96およびMG97のモノクローナル抗体は、ポリマーAATを認識し、特異的にPiZ血清と反応すると思われた。
ハイブリドーマを特定の培地(20%FCSおよび10%DMSOを添加したDMEM)中に凍結し、各バイアルの細胞濃度は2x106細胞/mlとした。細胞を窒素中で保った。細胞は、DMEM-10培地または20%血清を用いて回復させることができる。
(実施例2)
PiZZ型AATに対する抗体LG96およびMG97の試験
サンドイッチELISA法において、モノクローナル抗体LG96およびMG97が天然PiZZ型に結合する能力について試験した。抗体を含む少量の細胞培養上清を獲得し、両抗体をCANDOR Bioscience GmbH(Wangen、Germany)によって部分精製した。
マッチングペア、サンドイッチELISA法の試験
使用したすべてのイムノアッセイ緩衝は、CANDOR Bioscienceから入手した。コーティングバッファーpH9.6(型番121)に1μg/mlで入れたそれぞれの捕獲抗体150μlを各ウェルに加えて、3時間室温で振盪条件下でインキュベートすることによって、マイクロタイタープレート(MaxiSorp(商標)、Nunc、Langenselbold、Germany)を部分精製した抗体LG96またはMG97でそれぞれコーティングした。コーティング溶液を除去してから、300μlのブロッキング溶液(型番110)を各ウェルに加えて一晩4℃でインキュベートすることによって、プレートをブロッキングした。プレートを洗浄緩衝液(型番140)で3回洗浄した。その後、ヒト血清(遺伝子型同定されたプール化ZZ血清またはMM血清)を、1μg/mlのLG96HRPまたはMG97HRPをそれぞれ含むサンプルバッファー(型番105)で1:20および1:80(5%および1.25%血清)希釈した。血清を含まないサンプルバッファーは、ネガティブコントロール(0%)として機能した。150μlのこれらの混合液を各ウェルに加え、2時間室温で振盪条件下でインキュベートした。インキュベーション工程の後、プレートを3回洗浄した。次いで、150μlのTMB溶液(Kem-En-Tec、Denmark)を各ウェルに加え、15分間インキュベートした。50μlの2N H2SO4を加えて反応を止めた。マイクロプレートリーダーを使用して450nmの吸光度を決定した。
交差反応性試験
コーティングバッファー(型番120)pH7.4に1μg/mlで入れたAAT150μlを各ウェルに加えて6時間室温で振盪条件下でインキュベートすることによって、マイクロタイタープレート(MaxiSorp(商標)、Nunc)を精製AAT(M型、BA672、Acris GmBH、Germany)でコーティングした。コーティング溶液を除去してから、250μlのブロッキング溶液(型番110)を各ウェルに加えて一晩4℃でインキュベートすることによって、プレートをブロッキングした。洗浄緩衝液(型番140)で4回プレートを洗浄した。その後、精製されたZ特異的抗体LG96およびMG97ならびに両方ともM型に対する抗体である市販品として入手可能な抗体F43.8.1(Monosan(登録商標)、Uden、The Netherlands)および1AT(Acris Antibodies GmbH、Herferd、Germany)をサンプルバッファー(型番105)で段階希釈して、各抗体の種々のアッセイ濃度(1,000ng/ml、100ng/ml、10ng/ml、5n/ml、2.5ng/ml、1.25ng/ml、0.625ng/mlおよび0ng/ml)を得た。150μlの段階希釈した各抗体をウェルに加えて、2時間室温で振盪条件下でインキュベートした。インキュベーション工程後、プレートを4回洗浄した。検出用に、HRP標識された二次抗体(抗マウス-IgG-HRP 610-703-124、Biotrend、Germany)を使用し、この二次抗体をサンプルバッファーで0.5μg/mlに希釈し、各ウェルに加え、続いて約2時間室温で振盪条件下でインキュベートした。その後、プレートを4回洗浄した。次に、150μlのTMB溶液(Kem-En-Tec、Denmark)を各ウェルに加え、26分間インキュベートした。50μlの2N H2SO4を加えて反応を止めた。マイクロプレートリーダーを使用して450nmの吸光度を決定した。
結果を図1および図2に示す。図1は、サンドイッチELISA(マッチングペア試験)法を示し、両抗体を捕獲抗体または検出用抗体のどちらかに使用し、後者は西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識されていた。PiZZ型またはPiMM型のAAT(遺伝子型同定は非表示)のどちらかを有する10人の患者のプール化ヒト血清を抗原溶液として使用した。部分的に精製された抗体を使用した際は、プール化PiZZ型血清に対する陽性の特異的結合が観察され、プール化PiMM型血清に対する交差反応性は観察されなかった。
交差反応性に関するさらなる試験の結果を図2に示す。ここでは、精製されたM型のAATをELISAのウェルにコーティングし、天然型抗体LG96およびMG97の結合を決定した。M特異的コントロール抗体1ATおよびF43.8.1のM型のAATに対する特異的結合とは対照的に、抗体LG96およびMG97は、M型のAATに対して交差反応性を示さない。
この結果は、モノクローナル抗体LG96およびMG97は、PiZZ型のAATに対するサンドイッチELISA法で首尾よく使用することができることを示す。モノクローナル抗体LG96およびMG97は、PiZZ型のAATに特異的なサンドイッチ形式のイムノアッセイにおいて、PiMM型に対して交差反応しないアッセイ抗体として使用することができる。
(実施例3)
Z-AAT参照ELISAの開発
種々の対象(P1〜P10)の10試料(ブランク試験)をZ-AATの存在に関してスクリーニングし、的中率は100%であった(図13)。Zを有するすべての試料は示され、Zを有さない試料(MMなど)は示されなかった。
(実施例4)
さらなるELISA試験
ZZ患者由来の血清試料(血清#1および2)、Prolastin(登録商標)を代用しているMZ患者由来の血清試料(血清#3および4)およびコントロール者由来の血清試料(MM、血清#5+6)を使用した。血清試料1〜6(上記)を測定した。既知の濃度である36mg/dl(比濁分析によって決定した)の血清#1を標準として使用した。血清試料#2〜6の濃度をELISA試験で決定した(Table 1(表1))。
抗体MG97およびLG96の特異性を確認した。血清試料#5および6は、明確に陰性であったが、血清試料#1〜4は、強い陽性シグナルを示した。市販品として入手可能なまたは自主調製した様々な血清および血漿調製物をZ-AAT含量について試験した(図14)。市販品として入手可能な血清/血漿試料ならびに自主試料は、陰性試料として使用することができる。
抗体標識
MG97ならびにLG96抗体を40nmコロイド金粒子に首尾よく結合させた。
抗体の組み合わせ
抗体を、すべての可能な組み合わせで捕獲抗体ならびに検出用抗体として使用した。血清試料#1〜6を使用して抗体スクリーニングを行った(図15A〜15D)。
結論
MG97/LG96およびLG96/LG96(捕獲抗体/検出用抗体)の組み合わせが陽性試料(#1〜4)と陰性試料(#5および6)との区別の観点から最良であると示された。#1+2、3+4および5+6の結果がより近いので、LG96/LG96の組み合わせが好ましいこともあり得る。
(実施例5)
装置試験
ZZ(+)血清を図26に示すような3種の別々の装置で試験した。3種の試験すべてが陽性であった。
10 装置
11 ハウジング
12 キャップ
13 ホルダー
14 ゲート
14a セクション
14b セクション
14c セクション
14d セクション
15 締め付け要素、締め付けスリーブ
16 密封要素
17 ガイドピン
18 窓
19 切断装置
20 上部領域
21 維持体、保持体
21a 中心孔
21b 管状延長部、管状突出部
22 切断部
22a 取入口
23 切断ナイフ、切断刃23、切断部
24 毛細管
25 管状キャップ、キャップ
26 ブラインドボア、ブラインド孔
27 ガイド部材、ガイド
27a セグメント
28 ハンドル部分
29 内部
30 反応領域
31 カートリッジ
31a 管状ハウジング部
32 密封フィルム、フィルム
34 カートリッジ
34a 管状ハウジング部
35 密封フィルム
36 密封フィルム
37 カートリッジ
37a 管状ハウジング部
38 密封フィルム
39 密封フィルム
40 表示領域
41 分離器要素、分離要素、分離部材、分離器
42 貫通孔
43 スペーサー
44 吸い込み管
45 ストリップ形状要素
46 ノーズ
50 ランセット
DSM ACC3092
DSM ACC3093

Claims (32)

  1. 固定化された捕獲抗体で定義されるZ-AATタンパク質捕獲領域を有する膜を備え、
    試料添加領域および試料添加領域からZ-AATタンパク質捕獲領域への流路をさらに備え、
    流路に位置するコンジュゲート構造をさらに備え、コンジュゲート構造がZ-AATタンパク質に特異的な検出試薬を備え、検出試薬が移動性または可動性であり、
    捕獲抗体が、
    受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96であるか、又は
    受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体MG97であり、
    前記検出試薬が、
    受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96か、又は
    受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体MG97から選択される検出用抗体である、
    イムノアッセイ装置。
  2. 捕獲抗体と流体試料中に存在し得るZ-AATタンパク質との間の複合体形成によって流体試料中のZ-AATタンパク質の存在または量を決定することができる、請求項1に記載の装置。
  3. 捕獲抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96であり、検出用抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96である、請求項1に記載の装置。
  4. 捕獲抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96であり、検出用抗体が受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体MG97である、請求項1に記載の装置。
  5. 捕獲抗体が受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体MG97であり、検出用抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96である、請求項1に記載の装置。
  6. 検出用抗体がレポーター部分で標識されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
  7. 検出用抗体が金コンジュゲート検出用抗体である、請求項6に記載の装置。
  8. 流体試料の供給源が毛細管血、血清または血漿である、請求項2に記載の装置。
  9. 当該イムノアッセイ装置が、テストゾーンに捕獲抗体が結合した膜を備えるイムノクロマトグラフィー装置であって、捕獲抗体が分析物と結合することができ、基端部で膜に流動的に連結されたコンジュゲート構造をさらに備え、コンジュゲート構造が、レポーター部分がコンジュゲートした検出用抗体を含み、分析物がPiZ遺伝子キャリア由来の試料中に存在するZ-AATタンパク質であり、
    捕獲抗体が、
    受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96であるか、又は
    受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体MG97であり、
    検出用抗体が、
    受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96であるか、又は
    受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体MG97である、
    請求項1に記載の装置。
  10. 捕獲抗体が受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体MG97であり、検出用抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96である、請求項9に記載の装置。
  11. 捕獲抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96であり、検出用抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96である、請求項9に記載の装置。
  12. 捕獲抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96であり、検出用抗体が受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体MG97である、請求項9に記載の装置。
  13. コンジュゲート構造が、膜の基端部で部分的に膜を覆うコンジュゲートパッドである、請求項9に記載の装置。
  14. 試料を受け取るための血液分離システムをさらに備え、血液分離システムがコンジュゲート構造に流動的に連結されている、請求項9に記載の装置。
  15. 血液分離システムがコンジュゲートパッドを部分的に覆う、請求項14に記載の装置。
  16. 膜の先端部で膜に流動的に連結された先端構造をさらに備え、先端構造が、膜の基端部から先端部への試料の十分なフロースルーをもたらすように構成されている、請求項14に記載の装置。
  17. 先端構造が、毛細管作用によって膜の基端部から少なくともコントロールゾーンまでの試料の十分なフロースルーをもたらすように構成された吸着パッドである、請求項16に記載の装置。
  18. 膜が、コントロール抗体が結合したコントロールゾーンをさらに備え、コントロール抗体が検出試薬と結合することができる、請求項9に記載の装置。
  19. コントロール抗体が抗マウスIgGである、請求項18に記載の装置。
  20. PiZ遺伝子キャリアを決定するための方法であって、
    請求項9に記載の装置を使用して対象由来の試料をイムノクロマトグラフィーにかける工程、および
    捕獲抗体への分析物の結合を決定する工程であって、捕獲抗体への分析物の結合が、対象がPiZキャリアであることを示す工程
    を含む方法。
  21. PiZキャリアが、PiZ対立遺伝子を有する任意の対立遺伝子の組み合わせである表現型を有する、請求項20に記載の方法。
  22. 捕獲抗体が受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体MG97であり、検出用抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96である、請求項20に記載の方法。
  23. 捕獲抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96であり、検出用抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96である、請求項20に記載の方法。
  24. 捕獲抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体LG96であり、検出用抗体が受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体MG97である、請求項20に記載の方法。
  25. 表現型がPiZZ、PiMZ、PiSZまたはPiZ/ヌルである、請求項21に記載の方法。
  26. AAT欠損に付随する状態または疾患を検出するための方法であって、
    請求項9に記載の装置を使用して対象由来の試料をイムノクロマトグラフィーにかける工程、および
    捕獲抗体への分析物の結合を決定する工程であって、捕獲抗体への分析物の結合が、対象がその状態または疾患を有することを示す工程
    を含み、ただし医者が判断する行為を含まない、方法。
  27. AAT欠損に付随する状態または疾患を発症する対象の素因を決定するための方法であって、
    請求項9に記載の装置を使用して対象由来の試料をイムノクロマトグラフィーにかける工程、および
    捕獲抗体への分析物の結合を決定する工程であって、捕獲抗体への分析物の結合がその状態または疾患を発症する対象の素因を示す工程
    を含む方法。
  28. 試料添加領域、
    固定化された捕獲抗体で定義されるZ-AATタンパク質捕獲領域を有する微多孔性膜であって、捕獲抗体が受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるLG96である微多孔性膜、

    試料添加領域からZ-AATタンパク質捕獲領域への流路であって、捕獲抗体と流体試料中に存在し得るZ-AATタンパク質との間の複合体形成によって流体試料中のZ-AATタンパク質の存在または量を決定することができる流路、および

    流路に位置するコンジュゲート構造であって、コンジュゲート構造がZ-AATタンパク質に特異的な検出試薬を備え、検出試薬が移動性または可動性であり、検出試薬が金コンジュゲートの、受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるLG96であるコンジュゲート構造

    を備える、請求項1に記載の装置。
  29. 請求項28に記載のイムノアッセイ装置に対象由来の生体試料を加える工程、および

    捕獲抗体と流体試料中に存在し得るZ-AATタンパク質との間に形成される複合体を検出する工程であって、複合体の検出が試料中のZ-AATタンパク質の存在を示す工程
    を含む、請求項20に記載の方法。
  30. (a)請求項9に記載の装置、および
    (b)レポーター部分がコンジュゲートした検出用抗体
    を備えるキット。
  31. 受託番号DSM ACC3092で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体である、モノクローナル抗体LG96。
  32. 受託番号DSM ACC3093で寄託されたハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体である、モノクローナル抗体MG97。
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