JP5852529B2 - 電極合材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内部抵抗、特に界面抵抗の低い電極合材の製造方法に関する。
二次電池は、化学反応に伴う化学エネルギーの減少分を電気エネルギーに変換し、放電を行うことができる他に、放電時と逆方向に電流を流すことにより、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄積(充電)することが可能な電池である。二次電池の中でも、リチウム二次電池に代表される二次電池は、エネルギー密度が高いため、ノート型のパーソナルコンピューターや、携帯電話機等の電源として幅広く応用されている。
リチウム二次電池においては、負極活物質としてグラファイト(Cと表現する)を用いた場合、放電時において、負極では下記式(I)の反応が進行する。
Li→6C+xLi+xe (I)
(上記式(I)中、0<x<1である。)
上記式(I)の反応で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、正極に到達する。そして、上記式(I)の反応で生じたリチウムイオン(Li)は、負極と正極に挟持された電解質内を、負極側から正極側に電気浸透により移動する。
また、正極活物質としてコバルト酸リチウム(Li1−xCoO)を用いた場合、放電時において、正極では下記式(II)の反応が進行する。
Li1−xCoO+xLi+xe→LiCoO (II)
(上記式(II)中、0<x<1である。)
充電時においては、負極及び正極において、それぞれ上記式(I)及び式(II)の逆反応が進行し、負極においてはグラファイトインターカレーションによりリチウムが入り込んだグラファイト(Li)が、正極においてはコバルト酸リチウム(Li1−xCoO)が再生するため、再放電が可能となる。
固体電解質を用いた全固体電池の技術分野においては、正極活物質層や負極活物質層におけるイオン伝導性を向上させるべく、これら電極活物質層を電極活物質及び固体電解質を含む電極合材により形成する技術が知られている。電極活物質層を電極合材により形成する方法として、例えば、特許文献1に記載された方法が挙げられる。
特許文献1には、集電極、並びに、電極活物質を含む複数の第1粒子及び固体電解質を含む複数の第2粒子が混合されてなる電極合材層を備え、当該電極合材層は集電極の一方の側に設けられ、複数の第2粒子の平均粒径は、複数の第1粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とするリチウム電池用電極体が開示されている。また、当該文献には、電極合材層の形成方法として、電極活物質粒子及び無機固体電解質粒子等を混合した後、当該混合物を成型用の型に充填し、一般的なペレット成型と同様にして加熱加圧する方法が記載されている(特許文献1の明細書の段落[0037])。
特開2011−65982号公報
しかし、本発明者らが検討した結果、特許文献1に開示された電極合材層の形成方法においては、固体電解質と電極活物質とが点接触しているために、物質間の界面抵抗が大きく、その結果内部抵抗も大きいという問題がある。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、内部抵抗、特に界面抵抗の低い電極合材の製造方法、並びに、当該製造方法により製造された電極合材を含む電極体及び電池を提供することを目的とする。
本発明の電極合材の製造方法は、電極活物質及び固体電解質を含む電極合材の製造方法であって、固体の前記電極活物質に対して溶融状態において不活性であり且つリチウムイオン伝導性を有する固体電解質、及び、電極活物質原料を準備する準備工程、前記電極活物質原料及び前記固体電解質の混合物を加熱することにより、前記固体電解質の溶融物中にて、前記電極活物質原料を前記電極活物質へと変換する加熱工程、並びに、前記加熱工程後、前記混合物を冷却することにより、前記固体電解質の溶融物を凝固させる冷却工程を有することを特徴とする。
本発明においては、前記準備工程において、前記電極活物質原料及び前記固体電解質がいずれも分散媒中に分散したコロイド分散液を準備し、前記準備工程後、且つ、前記加熱工程前において、前記コロイド分散液を基材の少なくとも一面側に拡げ、且つ、前記分散媒を除去することにより、前記電極活物質原料及び前記固体電解質を含む電極合材原料層を前記基材表面に形成する形成工程を有し、前記加熱工程において、前記電極合材原料層を加熱することにより、前記固体電解質の溶融物中にて、前記電極活物質原料を前記電極活物質へと変換し、前記冷却工程において、前記電極合材原料層を冷却することにより、前記固体電解質の溶融物を凝固させてもよい。
本発明においては、前記準備工程後、且つ、前記加熱工程前において、目的とする電極合材中の前記固体電解質の含有割合が前記電極活物質の含有割合よりも小さくなるように前記電極活物質原料及び前記固体電解質を含む混合物を、加圧する加圧工程を有し、前記加熱工程において、加圧された前記混合物を加熱することにより、前記固体電解質の溶融物中にて、前記電極活物質原料を前記電極活物質へと変換してもよい。
本発明においては、前記加熱工程における加熱温度が、前記固体電解質の融点以上、且つ、前記電極活物質の融点未満であることが好ましい。
本発明によれば、加熱工程において、固体電解質の溶融物中にて電極活物質を生成させることによって、得られる電極合材中の電極活物質と固体電解質とが互いに全面接触することによりこれらの材料間のリチウムイオン伝導パスを増やせると共に、電極活物質と固体電解質との界面抵抗が低減することにより電極合材全体としての内部抵抗を低減することができる。
本発明の電極合材の製造方法の第1の典型例に関する模式図である。 本発明の電極合材の製造方法の第2の典型例に関する模式図である。 本発明の電極合材の製造方法の第3の典型例に関する模式図である。 本発明に係る電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 実施例1の電極合材のXRDスペクトル及びその拡大図である。 実施例1の電極合材のSEM画像である。 実施例14の電極体における電極合材層のXRDスペクトルである。 実施例14の電極体の断面のSEM画像である。 実施例15の全固体電池の充放電曲線である。 実施例16の液系電池の充放電曲線である。 参考例1の電極合材のXRDスペクトル等である。 参考例12の液系電池の充放電曲線である。 従来の電極合材の製造方法に関する模式図である。
1.電極合材の製造方法
本発明の電極合材の製造方法は、電極活物質及び固体電解質を含む電極合材の製造方法であって、固体の前記電極活物質に対して溶融状態において不活性であり且つリチウムイオン伝導性を有する固体電解質、及び、電極活物質原料を準備する準備工程、前記電極活物質原料及び前記固体電解質の混合物を加熱することにより、前記固体電解質の溶融物中にて、前記電極活物質原料を前記電極活物質へと変換する加熱工程、並びに、前記加熱工程後、前記混合物を冷却することにより、前記固体電解質の溶融物を凝固させる冷却工程を有することを特徴とする。
図13は、上述した特許文献1に開示されたような、従来の電極合材の製造方法に関する模式図である。図13中、同じ模様の丸は、同じ材料を示す。
図13(a)は、反応容器21中における、電極活物質22及び固体電解質23の様子を示す。また、図13(b)は、電極活物質22及び固体電解質23の混合物が加圧されてペレット状に成型された様子を示す。
本発明者らは、電極活物質及び固体電解質を単に混合した場合、いずれの材料も固体同士であるため、材料同士の接触が点接触に留まり、したがって、材料間の界面抵抗が高くなることに着目し、検討を重ねた。その結果、本発明者らは、電極活物質を固体電解質の溶融物の中で生成させることにより、電極活物質及び固体電解質が全面接触し、且つ、これらの材料間の界面抵抗が減らせることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、(1)準備工程、(2)加熱工程、及び(3)冷却工程を有する。本発明は、必ずしも上記3工程のみに限定されることはなく、上記3工程以外にも、例えば、形成工程や、加圧工程等を有していてもよい。
以下、上記工程(1)〜(3)及びその他の工程について、順に説明する。
1−1.準備工程
本工程は、固体の電極活物質に対して溶融状態において不活性であり且つリチウムイオン伝導性を有する固体電解質、及び、電極活物質原料を準備する工程である。
本発明に使用される電極活物質原料は、目的とする電極活物質によって、適宜選択できる。本発明に使用される電極活物質原料は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。また、本発明に使用される電極活物質原料は、電極活物質を1種類のみ生成する原料であってもよいし、電極活物質を2種類以上生成する原料であってもよい。
例えば、電極活物質としてLiCoO(融点:1,100℃)の生成を目的とする場合には、電極活物質原料としてCo(融点:895℃)、及びLiOH・HO(融点:471℃)の組み合わせも採用できるし、又は、Co(融点:895℃)、及びLiCO(融点:720℃)の組み合わせも採用できる。また、電極活物質としてLiMn(融点:1,100℃)の生成を目的とする場合には、電極活物質原料として、MnCO(融点:350℃)、及びLiCO(融点:720℃)の組み合わせが採用できる。また、電極活物質としてLiTi12(融点:1,500℃)の生成を目的とする場合には、電極活物質原料として、TiO(融点:1,870℃)、及びLiCO(融点:720℃)の組み合わせが採用できる。
なお、本発明に使用される電極活物質は、後述する加熱工程において、固体電解質の溶融物中にて固体状態で存在することが好ましい。したがって、電極活物質の融点は、材料選択の際に重要となる。
固体電解質について、「固体の電極活物質に対して溶融状態において不活性である」とは、固体電解質の溶融物が固体状態の電極活物質と反応しないことを意味する。ここで、「固体状態の電極活物質」とは、固体電解質の溶融物中において固体であることを意味し、必ずしも室温下における固体状態を意味するとは限らない。
溶融状態の固体電解質が電極活物質と反応した場合、冷却工程後に、電極活物質及び固体電解質とは異なる第3成分(副生成物)が現れる場合がある。したがって、本発明においては、冷却工程後に、電極活物質及び固体電解質のみが電極合材中に現れること、又は、電極活物質及び固体電解質に加えて、さらに、無視できる程度の副生成物が電極合材中に現れることをもって、「固体電解質の溶融物が固体状態の電極活物質と反応しない」ことの基準とする。
ここでいう「無視できる程度の副生成物」とは、例えば、無視できる程度にごくわずかな量しか副生しない成分や、電極合材中における電極活物質及び固体電解質の働きを何ら阻害しない成分、また、電極活物質及び/又は固体電解質として働く副生成物等が挙げられる。
冷却後に現れる副生成物が、本発明において無視できる程度の成分であるか否かは、例えば、製造後の電極合材について、XRDや、IPC、又は元素分析等を行うことにより、定性的且つ定量的に判断できる。例えば、製造後の電極合材についてXRD測定を行い判定する場合、まず、スペクトルの各ピークについて、電極活物質及び固体電解質に帰属されるピークを特定する。この段階において、スペクトルに現れた全ピークの帰属が明らかとなれば、その電極合材は副生成物を何ら含まないと判定できる。次に、スペクトル中の帰属がつかないピークについて解析し、副生成物の組成を割り出す。組成が判明すれば、その副生成物が、電極合材中における電極活物質及び固体電解質の働きを何ら阻害しない成分であるか否か、及び、電極活物質や固体電解質として働く副生成物であるか否かを判定することができる。また、当該副生成物に帰属されるピークの強度と、電極活物質及び固体電解質に帰属されるピークの強度との比を算出することにより、電極合材中に占める副生成物の含有割合を定量的に測定できる。
本発明において、電極合材中における無視できる程度の副生成物の含有割合は、10mol%以下であることが好ましく、5mol%以下であることがより好ましく、電極合材中に電極活物質及び固体電解質のみが含まれることがさらに好ましい。当該含有割合が10mol%を超える場合には、電極活物質及び固体電解質の全面接触の効果が薄れるおそれがあるからである。
本発明に使用される固体電解質は、上述した条件に加えて、さらにリチウムイオン伝導性を有する。以上の条件を全て満たす固体電解質としては、例えば、30LiSiO−70LiBO(融点:550℃)、LiBO(融点:715℃)、及びLi(融点:650℃)等が挙げられる。
なお、本発明に使用される固体電解質は、後述する加熱工程において溶融させ、フラックスとして使用される。したがって、固体電解質の融点は材料選択の際に重要である。
本発明に使用される電極活物質原料及び固体電解質の組み合わせとしては、例えば、電極活物質原料としてCo(融点:895℃)及びLiOH・HO(融点:471℃)、固体電解質として30LiSiO−70LiBO(融点:550℃)を用いる組み合わせ;電極活物質原料としてMnCO(融点:350℃)及びLiCO(融点:720℃)、固体電解質としてLiBO(融点:715℃)を用いる組み合わせ;電極活物質原料としてTiO(融点:1,870℃)及びLiCO(融点:720℃)、固体電解質としてLiBO(融点:715℃)を用いる組み合わせ;電極活物質原料としてCo(融点:895℃)及びLiCO(融点:720℃)、固体電解質としてLi(融点:650℃)を用いる組み合わせ;等が挙げられる。
なお、これらの組み合わせの中でも、電極活物質原料としてCo及びLiOH・HO、固体電解質として30LiSiO−70LiBOを用いる組み合わせが好ましい。
電極活物質原料及び固体電解質は、適宜混合した後、後述する加熱工程に供することが好ましい。電極活物質原料及び固体電解質の混合方法は、組成が均一となるように混合できる方法であれば特に限定されず、公知の方法を採用することができる。具体的には、乳鉢による混合や、メカニカルミリングによる攪拌混合、プラネタリーミキサーによる攪拌混合、振とう器やシェーカーによる攪拌混合等が挙げられる。
上記混合方法のうち、例えばメカニカルミリングとしては、混合物に機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えばボールミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等を挙げることができる。
電極活物質原料及び固体電解質の混合比は、目的とする電極活物質及び固体電解質の各含有割合によって、適宜調整できる。ただし、本発明においては、目的とする電極合材中の固体電解質の含有割合が、電極活物質の含有割合よりも小さくなるように、電極活物質原料及び固体電解質の混合比を調整することが好ましい。
目的とする電極活物質の含有割合は、使用する材料によっても異なるが、目的とする電極合材全体の物質量(mol)を100mol%としたとき、60mol%以上であることが好ましく、70mol%以上であることがより好ましく、80mol%以上であることがさらに好ましい。
1−1−1.形成工程
本発明においては、準備工程後且つ加熱工程前に電極合材原料層を基材表面に形成する形成工程を有していてもよい。以下、冷却工程前の電極活物質(及び/又はその原料)並びに固体電解質(及び/又はその溶融物)を含む層を電極合材原料層と称し、冷却工程後の電極活物質及び固体電解質を含む層を電極合材層と称することとする。
電極活物質原料及び固体電解質を反応容器中で混合して、そのまま加熱工程及び冷却工程に供して得られる電極合材は、電池材料として使用する場合、機械加工(精密カッティング等)により、必要な厚さに切り出すことがある。しかし、このように機械加工により切り出した電池材料は、その切り出し限界厚さ(数百μm程度)が比較的厚いため、電池に用いた場合に内部抵抗が大きくなり、電池容量が小さくなるおそれがある。これは、一般的に、電極合材中に含まれる固体電解質の電子伝導性が低い(<10−10S/cm)ため、電極合材自体の内部抵抗が高くなることによる。
形成工程において、基材表面に電極活物質原料及び固体電解質を含むコロイド分散液を拡げ、加熱工程に供することにより、後述する実施例14及び実施例16において示すように、得られる電極合材層の厚さを、機械加工により薄膜化した電極合材の厚さよりも極めて薄い数ミクロン程度とすることができる。
電極合材原料層の形成には、コロイド分散液及び基材を用いる。ここで、コロイド分散液とは、電極活物質原料及び固体電解質がいずれも分散媒中に分散した分散液のことを指す。
コロイド分散液に使用できる分散媒としては、電極活物質原料及び固体電解質のいずれに対しても不活性であり、且つ、容易に除去できるものであれば特に限定されない。コロイド分散液に使用できる分散媒としては、例えば、蒸留水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類及びこれらの水溶液等が挙げられる。これらの分散媒は、電極合材原料層の形成後に適宜乾燥させることにより、容易に除去できるため好ましい。
コロイド分散液中の電極活物質原料及び固体電解質の濃度は、電極活物質原料及び固体電解質がいずれも分散媒中に均一に分散する濃度であれば、特に限定されない。
形成工程に使用できる基材としては、コロイド分散液をその表面に十分拡げられるような平滑な面を提供できるものであれば特に限定されない。形成工程に使用される基材は、導電性基材であってもよく、導電性を示さない基材であってもよい。具体的には、電極合材層の形成のみに使用する基材であれば、導電性の有無は問わない。このような場合には、基材から他の材料(例えば、固体電解質層)等に、製造後の電極合材層を転写等することにより、当該電極合材層を電池材料の製造に使用できる。基材を電池における集電体としても使用する場合には、基材が導電性を有することが好ましい。このような場合には、集電体上で電極合材原料層を形成するため、電極合材層を集電体に貼り合わせる場合と比べて、冷却工程後の電極合材層と集電体との密着性が高くなり、内部抵抗のより低い電池材料を提供できる。
形成工程に使用できる基材としては、例えば、アルミニウム基材、SUS基材、ニッケル基材、鉄基材、チタン基材、ガラス基材、及び銅基材等が挙げられる。
このように、基材表面にコロイド分散液を拡げ、さらに加熱することにより、機械加工などにより薄膜化した電極合材と比較して、極めて薄い電極合材層を形成することができる。
1−1−2.加圧工程
本発明においては、準備工程後且つ加熱工程前に、電極活物質原料及び固体電解質を含む混合物を加圧する加圧工程を有していてもよい。
反応容器の中に電極活物質原料及び固体電解質を混合して、そのまま加熱工程に供した場合、固体電解質の溶融物が反応容器の下に沈むおそれがある。したがって、電極活物質原料を固体電解質の溶融物中に均一に分散させるためには、予め固体電解質を多く加える必要が生じる場合がある。しかし、加圧工程において加圧し、ペレット化することにより、電極合材中に含まれる材料同士の距離を近くすることができ、電極活物質及び固体電解質の全面接触が促進されると共に、固体電解質の溶融物の分布が偏るおそれがなくなり、したがって、固体電解質の添加量を従来よりも少なくすることができる。
加圧工程を行う場合には、目的とする電極合材中の固体電解質の含有割合が電極活物質の含有割合よりも小さくなるように、混合物中の組成を調製することが好ましい。後述する実施例8−実施例13において示すように、加圧工程を経ることにより、従来よりも固体電解質の割合を低減できる効果、従来よりも加熱温度を低くできる効果、及び従来よりも加熱時間を短くできる効果が得られる。目的とする電極合材中の固体電解質の含有割合を電極活物質の含有割合よりも大きくしてしまうと、これらの効果を十分享受することができない。
加圧方法は、電極活物質原料及び固体電解質の混合物を均一に加圧できる方法であれば、特に限定されない。加圧工程に利用できる加圧方法としては、例えば、粉体成形試験機による一軸加圧や、冷間等方圧加圧(cold isostatic pressing:CIP)による等方加圧等が挙げられる。
加圧時の圧力は、電極合材の製造スケールや、目的とする電極合材の用途にもよるが、0.1MPa以上が好ましく、10MPa以上がより好ましい。加圧時の圧力が高いほど、得られる電極合材の密度が高くなり、電極としての性能が向上する。
加圧時間は、10秒間以上が好ましく、30秒間以上がより好ましい。
1−2.加熱工程
本工程は、電極活物質原料及び固体電解質の混合物を加熱することにより、固体電解質の溶融物中にて、電極活物質原料を電極活物質へと変換する工程である。
本工程においては、上述した形成工程において形成された電極活物質原料及び固体電解質を含む電極合材原料層や、上述した加圧工程において加圧された電極活物質原料及び固体電解質の混合物等も加熱される。
加熱工程において、固体電解質の溶融物中にて電極活物質が生成する。したがって、得られる電極合材中の電極活物質と固体電解質とが互いに全面接触することにより両者間のリチウムイオン伝導パスを増やすことができる。また、電極活物質と固体電解質との界面の整合性が高くなり、電極活物質と固体電解質との界面におけるリチウムイオン伝導の活性化エネルギーを小さくすることができ、その結果、界面抵抗が低減し、電極合材全体としての内部抵抗を低減することができる。
単に加熱温度のみの寄与を考慮すれば、電極活物質そのものと固体電解質とを混合し、加熱することにより、固体電解質の溶融物の中に固体状態の電極活物質を囲い込むという態様も考えられる。しかし、このような態様において、電極活物質と固体電解質とが全面接触する可能性はあるものの、電極活物質と固体電解質との界面整合はとれないおそれがある。したがって、このような態様においては、界面抵抗の低減は期待できない。
これに対し、本発明における加熱工程は、固体電解質の溶融物中から電極活物質を生成させる過程を含むため、電極活物質と固体電解質との全面接触が達成されると共に、電極活物質と固体電解質との界面整合も良好となる。
なお、界面整合の良否の判定方法としては、例えば、電極合材における界面抵抗を測定し、当該界面抵抗が、特許文献1に開示されたような従来の電極合材の界面抵抗よりも高い場合に、界面整合がよいと判定する方法等が挙げられる。
加熱工程における加熱温度が、固体電解質の融点以上、且つ、電極活物質の融点未満であることが好ましい。
本発明において、電極活物質が完全に溶融してしまうと、電極活物質と固体電解質との混合溶融物が生成する。この場合、冷却によって晶出する物質は、熱力学的により安定な組成のものとなるから、溶融前に想定されたような、電極活物質及び固体電解質の混合物が得られるとは限らない。したがって、電極活物質が完全に溶融する温度においては、電極活物質及び固体電解質以外の副生成物が生成するおそれや、電極活物質及び固体電解質の含有比が、予め設定していた含有比からずれるおそれがある。
加熱工程における加熱温度T(℃)は、固体電解質の融点をT(℃)、電極活物質の融点をT(℃)としたとき、下記式(1)を満たすことがより好ましい。
+50(℃)≦T≦T−50(℃) 式(1)
加熱工程における加熱温度は、使用する材料や製造スケールにもよるが、400℃以上であることが好ましく、450℃以上であることがより好ましく、500℃以上であることがさらに好ましい。また、加熱温度は、1,200℃以下であることが好ましく、1,100℃以下であることがより好ましく、1,000℃以下であることがさらに好ましい。
加熱温度が400℃未満である場合には、加熱が十分でないため、加熱後に電極活物質原料が電極合材中に残るおそれがある。また、加熱温度が1,200℃を超える場合には、温度が高すぎるため、反応が進行し過ぎてしまい、電極合材中に予期せぬ副生成物が生成するおそれがある。
本発明においては、従来の固相法を用いた電極合材の製造方法よりも、加熱温度を下げることができるため、従来よりも製造コストを抑えることができる。
加熱方法は、上記温度範囲の加熱が可能であれば、特に限定されない。加熱雰囲気は特に限定されないが、大気下での加熱、又は酸素雰囲気下での加熱が好ましい。
具体的な加熱方法としては、電気炉による加熱、ヒートガンによる加熱、面ヒータや線ヒータによる加熱、プラズマ照射による加熱、赤外線加熱、アーク加熱、誘導加熱、レーザ加熱等が挙げられる。
1−3.冷却工程
本工程は、加熱工程後、電極活物質及び固体電解質の混合物を冷却することにより、固体電解質の溶融物を凝固させる工程である。
本発明における冷却方法は特に限定されない。なお、電極活物質と固体電解質との界面の全面接触を達成するためには、冷却速度は遅くし、固体電解質をゆっくり凝固させることが好ましい。したがって、本発明における冷却方法は、自然冷却が好ましい。
以下、本発明の電極合材の製造方法の第1〜第3の典型例について、図を用いて説明する。
図1は、本発明の電極合材の製造方法の第1の典型例に関する模式図である。図1中、同じ模様の丸は、同じ材料を示す。なお、図中の材料の配合割合及び形状などは、必ずしも本発明の実施態様に即したものではない。
図1(a)は、るつぼ等の反応容器1に、電極活物質原料2a及び2b、並びに固体電解質3が加えられた様子を示す。
図1(b)は、加熱工程の初期における様子を示す図である。図1(b)においては、固体電解質は溶融し、固体電解質の溶融物3a中にて、電極活物質原料2a及び2bが固体として存在する。
図1(c)は、加熱工程の後期における様子を示す図である。図1(c)においては、固体電解質の溶融物3a中にて、電極活物質2が生成する。
図1(d)は、冷却工程における様子を示す図である。図1(d)においては、凝固した固体電解質3中に、電極活物質2が分散している。このとき、電極活物質2と固体電解質3は全面接触しているため、電極合材内の内部抵抗は極めて低くなる。
図2は、本発明の電極合材の製造方法の第2の典型例に関する模式図である。図2中、同じ模様の丸は、同じ材料を示す。なお、図中の材料の配合割合及び形状などは、必ずしも本発明の実施態様に即したものではない。
図2(a)は、反応容器1中における、電極活物質原料2a及び2b、固体電解質3、並びに分散媒4を含むコロイド分散液の様子を示す。
図2(b)は、形成工程の初期における様子を示す図である。図2(b)においては、コロイド分散液が基材5の表面に拡げられている。
図2(c)は、形成工程の後期における様子を示す図である。図2(c)においては、分散媒4が蒸発等により除去された結果、基材5の表面に電極合材原料層6が形成された。
図2(d)は、加熱工程の初期における様子を示す図である。図2(d)においては、固体電解質は溶融し、固体電解質の溶融物3a中にて、電極活物質原料2a及び2bが固体として存在する。
図2(e)は、加熱工程の後期における様子を示す図である。図2(e)においては、固体電解質の溶融物3a中にて、電極活物質2が生成する。
図2(f)は、冷却工程における様子を示す図である。図2(f)においては、凝固した固体電解質3中に、電極活物質2が分散している。このとき、電極活物質2と固体電解質3は全面接触しているため、電極合材内の内部抵抗は極めて低くなる。また、電極合材全体が、電極合材層7として基材5の表面に極めて薄く形成されている。
図3は、本発明の電極合材の製造方法の第3の典型例に関する模式図である。図3中、同じ模様の丸は、同じ材料を示す。なお、図中の材料の配合割合及び形状などは、必ずしも本発明の実施態様に即したものではない。
図3(a)は、反応容器1中における、電極活物質原料2a及び2b、並びに固体電解質3の様子を示す。
図3(b)は、加圧工程における様子を示す図である。図3(b)においては、電極活物質原料2a及び2b、並びに固体電解質3の混合物が加圧されてペレット状に成型されている。
図3(c)は、加熱工程の初期における様子を示す図である。図3(c)においては、固体電解質は溶融し、固体電解質の溶融物3a中にて、電極活物質原料2a及び2bが固体として存在する。
図3(d)は、加熱工程の後期における様子を示す図である。図3(d)においては、固体電解質の溶融物3a中にて、電極活物質2が生成する。
図3(e)は、冷却工程における様子を示す図である。図3(e)においては、凝固した固体電解質3中に、電極活物質2が分散している。このとき、電極活物質2と固体電解質3は全面接触しているため、電極合材内の内部抵抗は極めて低くなる。
なお、図1〜図3は、あくまで本発明の各典型例の流れを説明するための模式図に過ぎない。したがって、図1〜図3に模式的に示した態様や材料等によって本発明が限定されることはない。
2.電極体
本発明の電極体は、電極集電体、及び、当該電極集電体の少なくとも一方の面に形成された電極活物質層を備える電極体であって、前記電極活物質層が、上記製造方法により製造された電極合材を含むことを特徴とする。
本発明に係る電極体は、上述した形成工程を経て得られた電極合材層を電極活物質層に含むことが好ましい。この場合、本発明における電極集電体は、上述した導電性を有する基材に相当する。形成工程を経て得られた電極合材層を用いることにより、電極活物質層の厚さを、通常の機械加工では達成し得ない薄さとすることができる。また、電極活物質層と電極集電体の密着性を向上させ、電極体における内部抵抗を抑えることもできる。
本発明に使用できる電極集電体には、上述した形成工程における導電性を有する基材や、後述する正極集電体及び負極集電体と同様の材料を使用できる。
3.電池
本発明の電池は、少なくとも正極、負極、並びに、当該正極及び当該負極の間に介在する電解質層を備える電池であって、前記正極及び負極の少なくともいずれか一方が、上記製造方法により製造された電極合材を含むことを特徴とする。
図4は、本発明に係る電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。なお、本発明に係る電池は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。
電池100は、正極活物質層12及び正極集電体14を備える正極16と、負極活物質層13及び負極集電体15を備える負極17と、正極16及び負極17に挟持される電解質層11を有する。
本発明に係る電池における正極及び/又は負極は、上述した製造方法により製造された電極合材を含む。以下、本発明に係る電池を構成する正極、負極、及び電解質層、並びに本発明に好適に使用されるセパレータ及び電池ケースについて、詳細に説明する。
本発明に係る電池の正極は、好ましくは正極活物質を含む正極活物質層を備えるものであり、通常、これに加えて、正極集電体、及び当該正極集電体に接続された正極リードを備える。
本発明に係る正極が上述した電極合材を含む場合には、当該電極合材を含む正極活物質層を備えることが好ましい。この場合、当該電極合材中の電極活物質が正極活物質となり、当該電極合材中の固体電解質が、正極用電解質となる。
本発明に使用される他の正極活物質としては、具体的には、LiCoO、LiNiO、LiNi1/2Mn1/2、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiNiPO、LiMnPO、LiFe(PO及びLi(PO等を挙げることができる。これらの中でも、本発明においては、LiCoOを正極活物質として用いることが好ましい。
本発明に使用される正極活物質層の厚さは、目的とする電池の用途等により適宜調整できる。正極活物質層の厚さは、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。また、正極活物質層の厚さは、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
正極活物質の平均粒径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることがさらに好ましい。また、正極活物質の平均粒径は、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。正極活物質の平均粒径が小さすぎると、取り扱い性が悪くなるおそれがあり、正極活物質の平均粒径が大きすぎると、平坦な正極活物質層を得るのが困難になる場合があるからである。なお、正極活物質の平均粒径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される活物質担体の粒径を測定して、平均することにより求めることができる。
正極活物質層は、必要に応じて導電化材及び結着剤等を含有していても良い。
本発明に使用される正極活物質層が有する導電化材としては、正極活物質層の導電性を向上させることができれば特に限定されるものではないが、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック等を挙げることができる。また、正極活物質層における導電化材の含有量は、導電化材の種類によって異なるものであるが、通常0〜10質量%の範囲内である。
本発明に使用される正極活物質層が有する結着剤としては、例えばポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。また、正極活物質層における結着剤の含有量は、正極活物質等を固定化できる程度の量であれば良く、より少ないことが好ましい。結着剤の含有量は、通常0〜10質量%の範囲内である。
本発明に使用される他の正極用電解質としては、後述する硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、ポリマー電解質等、及びゲル電解質等が使用できる。
本発明に使用される正極集電体は、上記の正極活物質層の集電を行う機能を有するものである。上記正極集電体の材料としては、例えばアルミニウム、SUS、ニッケル、鉄及びチタン等を挙げることができ、中でもアルミニウム及びSUSが好ましい。また、正極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができ、中でも箔状が好ましい。
本発明に使用される正極を製造する方法は、上記の正極を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。なお、正極活物質層を形成した後、電極密度を向上させるために、正極活物質層をプレスしても良い。
本発明に係る電池の負極は、好ましくは負極活物質を有する負極活物質層を備えるものであり、通常、これに加えて、負極集電体、及び当該負極集電体に接続された負極リードを備える。
本発明に係る負極が上述した電極合材を含む場合には、当該電極合材を含む負極活物質層を備えることが好ましい。この場合、当該電極合材中の電極活物質が負極活物質となり、当該電極合材中の固体電解質が、負極用電解質となる。
本発明に使用される他の負極活物質層は、金属、合金材料、及び/又は炭素材料を含む負極活物質を含有する。負極活物質に使用できる金属及び合金材料としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等の第2族元素;アルミニウム等の第13族元素;亜鉛、鉄等の遷移金属;又は、これらの金属を含有する合金材料や化合物が例示できる。負極活物質に用いることができる炭素材料としては、グラファイト等が例示できる。負極活物質は、粉末状であっても良く、薄膜状であっても良い。
リチウム元素を含有する化合物としては、リチウム合金、リチウム元素を含有する酸化物、リチウム元素を含有する窒化物、リチウム元素を含有する硫化物が例示できる。
リチウム合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。リチウム元素を含有する酸化物としては、例えばリチウムチタン酸化物等を挙げることができる。リチウム元素を含有する窒化物としては、例えばリチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。負極活物質層には、固体電解質をコートしたリチウムを用いることもできる。
上記負極活物質層は、負極活物質のみを含有するものであっても良く、負極活物質の他に、導電化材及び結着剤の少なくとも一方を含有するものであっても良い。例えば、負極活物質が箔状である場合は、負極活物質のみを含有する負極活物質層とすることができる。一方、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質及び結着剤を有する負極活物質層とすることができる。
なお、導電化材及び結着剤については、上述した正極活物質層に使用される導電化材及び結着剤と同様である。
負極活物質層の厚さは特に限定されない。負極活物質層の厚さは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましい。また、負極活物質層の厚さは、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
本発明に使用される他の負極用電解質としては、後述する硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、ポリマー電解質等、及びゲル電解質等が使用できる。
負極集電体の材料としては、上述した本発明に係る正極中の正極集電体の材料と同様のものを用いることができる。また、負極集電体の形状としては、上述した本発明に係る正極中の正極集電体の形状と同様のものを採用することができる。
本発明に使用される負極を製造する方法は、上記負極を得ることができる方法であれば特に限定されない。なお、負極活物質層を形成した後、電極密度を向上させるために、負極活物質層をプレスしても良い。
本発明の電池中の電解質層は、正極及び負極の間に保持され、正極及び負極の間で金属イオンを交換する働きを有する。
電解質層には、電解液、ゲル電解質、及び固体電解質等が使用できる。これらは、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
電解液としては、非水系電解液及び水系電解液が使用できる。
非水系電解液の種類は、伝導する金属イオンの種類に応じて、適宜選択することが好ましい。例えば、リチウム電池に用いる非水系電解液としては、通常、リチウム塩及び非水溶媒を含有したものを用いる。上記リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO及びLiAsF等の無機リチウム塩;LiCFSO、LiN(SOCF(Li−TFSA)、LiN(SO及びLiC(SOCF等の有機リチウム塩等を挙げることができる。上記非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル(AcN)、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びこれらの混合物等を挙げることができる。非水系電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.5〜3mol/Lである。
本発明においては、非水系電解液又は非水溶媒として、例えば、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(PP13TFSA)、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(P13TFSA)、N−ブチル−N−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(P14TFSA)、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(DEMETFSA)、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(TMPATFSA)に代表されるような、イオン性液体等の低揮発性液体を用いても良い。
水系電解液の種類は、伝導する金属イオンの種類に応じて、適宜選択することが好ましい。例えば、リチウム電池に用いる水系電解液としては、通常、リチウム塩及び水を含有したものを用いる。上記リチウム塩としては、例えばLiOH、LiCl、LiNO、CHCOLi等のリチウム塩等を挙げることができる。
本発明に使用されるゲル電解質は、通常、非水系電解液にポリマーを添加してゲル化したものである。例えば、リチウム電池の非水ゲル電解質は、上述した非水系電解液に、ポリエチレンオキシド、ポリプロプレンオキシド、ポリアクリルニトリル、ポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリウレタン、ポリアクリレート、セルロース等のポリマーを添加し、ゲル化することにより得られる。本発明においては、LiTFSA(LiN(CFSO)−PEO系の非水ゲル電解質が好ましい。
本発明に使用される固体電解質としては、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、及びポリマー電解質等が例示できる。
硫化物系固体電解質としては、具体的には、LiS−P、LiS−P、LiS−P−P、LiS−SiS、LiS−SiS、LiS−B、LiS−GeS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−SiS−P、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPO、LiPS−LiGeS、Li3.40.6Si0.4、Li3.250.25Ge0.76、Li4−xGe1−x等を例示することができる。
酸化物系固体電解質としては、具体的には、LiPON(リン酸リチウムオキシナイトライド)、Li1.3Al0.3Ti0.7(PO、La0.51Li0.34TiO0.74、LiPO、LiSiO、LiSiO等を例示することができる。
また、本発明には、ガーネット型固体電解質が使用できる。ガーネット型固体電解質としては、Li5+xLa(Zr,Nb2−x)O12(x=0〜2)、LiLaTa12、LiBaLaTa12等を例示することができる。
本発明に使用されるポリマー電解質は、通常、金属塩及びポリマーを含有する。本発明に係る電池がリチウム電池である場合には、金属塩としてリチウム塩が使用できる。リチウム塩としては、上述した無機リチウム塩及び有機リチウム塩の内の少なくともいずれか1つを使用できる。ポリマーとしては、リチウム塩と錯体を形成するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
本発明に係る電池は、正極及び負極の間に、上記電解液を含浸させたセパレータを備えていてもよい。上記セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔膜;及び樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。
本発明に係る電池は、上記正極、負極、及び電解質層等を収納する電池ケースを備えていてもよい。電池ケースの形状としては、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.電極合材の製造
[実施例1]
電極活物質原料として、Co(融点:895℃)、及びLiOH・HO(融点:471℃)を用いた。また、固体電解質(フラックス)として、30LiSiO−70LiBO(融点:550℃)を用いた。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=80mol%:20mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、混合した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から900℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、900℃の温度のまま5時間維持した。この加熱工程において、固体電解質(30LiSiO−70LiBO)が溶融すると共に、当該溶融物中にて、電極活物質原料(Co及びLiOH・HO)から電極活物質(LiCoO)が生成した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、実施例1の電極合材を製造した。
[実施例2]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=90mol%:10mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、混合した。
あとは、実施例1と同様に加熱工程及び冷却工程を行い、実施例2の電極合材を製造した。
[実施例3]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=95mol%:5mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、混合した。
あとは、実施例1と同様に加熱工程及び冷却工程を行い、実施例3の電極合材を製造した。
[実施例4]
電極活物質原料及び固体電解質の混合物の調製方法は、実施例1と同様である。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま5時間維持した。この加熱工程において、固体電解質(30LiSiO−70LiBO)が溶融すると共に、当該溶融物中にて、電極活物質原料(Co及びLiOH・HO)から電極活物質(LiCoO)が生成した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、実施例4の電極合材を製造した。
[実施例5]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=80mol%:20mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
あとは、実施例1と同様に加熱工程及び冷却工程を行い、実施例5の電極合材を製造した。
[実施例6]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=90mol%:10mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
あとは、実施例1と同様に加熱工程及び冷却工程を行い、実施例6の電極合材を製造した。
[実施例7]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=95mol%:5mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
あとは、実施例1と同様に加熱工程及び冷却工程を行い、実施例7の電極合材を製造した。
[実施例8]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=80mol%:20mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま5時間維持した。この加熱工程において、固体電解質(30LiSiO−70LiBO)が溶融すると共に、当該溶融物中にて、電極活物質原料(Co及びLiOH・HO)から電極活物質(LiCoO)が生成した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、実施例8の電極合材を製造した。
[実施例9]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=90mol%:10mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま5時間維持した。この加熱工程において、固体電解質(30LiSiO−70LiBO)が溶融すると共に、当該溶融物中にて、電極活物質原料(Co及びLiOH・HO)から電極活物質(LiCoO)が生成した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、実施例9の電極合材を製造した。
[実施例10]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=95mol%:5mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま5時間維持した。この加熱工程において、固体電解質(30LiSiO−70LiBO)が溶融すると共に、当該溶融物中にて、電極活物質原料(Co及びLiOH・HO)から電極活物質(LiCoO)が生成した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、実施例10の電極合材を製造した。
[実施例11]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=80mol%:20mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま1時間維持した。この加熱工程において、固体電解質(30LiSiO−70LiBO)が溶融すると共に、当該溶融物中にて、電極活物質原料(Co及びLiOH・HO)から電極活物質(LiCoO)が生成した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、実施例11の電極合材を製造した。
[実施例12]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=90mol%:10mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま1時間維持した。この加熱工程において、固体電解質(30LiSiO−70LiBO)が溶融すると共に、当該溶融物中にて、電極活物質原料(Co及びLiOH・HO)から電極活物質(LiCoO)が生成した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、実施例12の電極合材を製造した。
[実施例13]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=95mol%:5mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま1時間維持した。この加熱工程において、固体電解質(30LiSiO−70LiBO)が溶融すると共に、当該溶融物中にて、電極活物質原料(Co及びLiOH・HO)から電極活物質(LiCoO)が生成した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、実施例13の電極合材を製造した。
[参考例1]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=90mol%:10mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、混合した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま5時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例1の電極合材を製造した。
[参考例2]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=95mol%:5mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、混合した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま5時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例2の電極合材を製造した。
[参考例3]
電極活物質原料及び固体電解質の混合物の調製方法は、実施例1と同様である。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま1時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例3の電極合材を製造した。
[参考例4]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=90mol%:10mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、混合した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま1時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例4の電極合材を製造した。
[参考例5]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=95mol%:5mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、混合した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から650℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、650℃の温度のまま1時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例5の電極合材を製造した。
[参考例6]
電極活物質原料及び固体電解質の混合物の調製方法は、実施例1と同様である。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から600℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、600℃の温度のまま1時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例6の電極合材を製造した。
[参考例7]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=90mol%:10mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、混合した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から600℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、600℃の温度のまま1時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例7の電極合材を製造した。
[参考例8]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=95mol%:5mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、混合した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から600℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、600℃の温度のまま1時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例8の電極合材を製造した。
[参考例9]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=80mol%:20mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から600℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、600℃の温度のまま1時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例9の電極合材を製造した。
[参考例10]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=90mol%:10mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から600℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、600℃の温度のまま1時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例10の電極合材を製造した。
[参考例11]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、且つ、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=95mol%:5mol%となるように、電極活物質原料及び固体電解質を秤量し、自動乳鉢で2時間混合した。混合物について、CIP装置(神戸製鋼製、湿式CIP SR−CIP)により、200MPaで1分間等方加圧した。
電極活物質原料及び固体電解質の混合物を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該混合物を、25℃から600℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、600℃の温度のまま1時間維持した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、参考例11の電極合材を製造した。
2.電極合材の分析
2−1.電極合材のXRD測定
実施例1−実施例13及び参考例1−参考例11の電極合材について、粉末X線回折(XRD)測定を行った。測定は、粉末X線回折装置(株式会社リガク製、UltimaIV)により行った。測定にはCuKα線を用い、加速電圧は30kVとし、印加電流は15mAとした。
図5(a)は、実施例1の電極合材のXRDスペクトルである。図5(b)は、図5(a)における2θ=15〜40°の拡大図を載せている。図5(a)及び(b)中に丸印で示すピークは、電極活物質であるLiCoOに帰属されるピークである。また、図5(b)中に星印で示すピークは、固体電解質に含まれるLiSiOに帰属されるピークであり、図5(b)中に逆三角印で示すピークは、固体電解質に含まれるLiBOに帰属されるピークである。
図5(a)から分かるように、実施例1の電極合材のXRDスペクトルにおいては、2θ=18°、37°、38°、39°、45°、49°、59°、65°、66°、70°、及び79°にLiCoOに帰属されるピークが観察された。図5(b)から分かるように、実施例1の電極合材のXRDスペクトルにおいては、LiSiO及びLiBOに帰属されるピークが観察された。また、図5には、電極活物質原料(Co及びLiOH)に帰属されるピークは観察されなかった。したがって、実施例1の電極合材においては、電極活物質原料の全量が電極活物質に変換されたことが分かる。
図11は、参考例1の電極合材のXRDスペクトル、LiCoOのXRDスペクトルのシミュレーション結果、及びCoのXRDスペクトルのシミュレーション結果を、上から順に並べたものである。図11から分かるように、参考例1の電極合材のXRDスペクトルにおいては、上述したLiCoOに帰属されるピークの他に、2θ=33°等のCoに帰属されるピークが観察された。したがって、参考例1の電極合材においては、電極活物質原料(Co)の一部が残っていることが分かる。
下記表1は、実施例1−実施例13及び参考例1−参考例11の電極合材について、製造後の電極合材に含まれる各材料の目標割合、加圧処理の有無、加熱処理条件、及びXRDスペクトルに基づく合否判定結果をまとめた表である。なお、「製造後の電極合材に含まれる各材料の目標割合」とは、各原料を混合する際に、目的とする電極合材に含まれる材料の含有割合として目標とした割合を意味し、必ずしも製造後の電極合材に含まれる割合であるとは限らない。
XRDスペクトルに基づく合否判定基準は以下の通りである。
○:XRDスペクトル中に、電極活物質(LiCoO)のピークが観察され、且つ、電極活物質原料(Co及び/又はLiOH・HO)のピークが観察されない。
△:XRDスペクトル中には、電極活物質(LiCoO)のピークが強い強度で観察され、且つ、電極活物質原料(Co及び/又はLiOH・HO)のピークも弱い強度で観察される。
×:XRDスペクトル中に、電極活物質原料(Co及び/又はLiOH・HO)のピークが、電極活物質(LiCoO)のピークと同等以上の強度で観察される。
まず、上記表1の実施例1−実施例3、及び実施例5−実施例7の結果より、加圧処理の有無にかかわらず、加熱温度が900℃且つ加熱時間が5時間であれば、電極活物質原料の全量が電極活物質に変換されることが分かる。
また、上記表1の実施例4、参考例1、及び参考例2の結果より、加圧処理が無ければ、加熱温度が650℃且つ加熱時間が5時間の場合には、電極合材中の組成の差により、電極活物質原料が残ることが分かる。具体的には、電極活物質を80mol%しか含まない電極合材(実施例4)においては、電極活物質原料は残らないが、電極活物質を90mol%以上含む電極合材(参考例1−参考例2)においては、電極活物質原料が残る。また、上記表1の参考例3−参考例5の結果より、加熱温度が650℃且つ加熱時間が1時間の場合には、いずれも電極合材中に電極活物質原料が残ることが分かる。
これに対し、上記表1の実施例8−実施例13の結果より、加圧処理を行うことにより、加熱温度が650℃の場合に、電極合材中の組成や加熱時間にかかわらず、電極活物質原料の全量が電極活物質に変換されることが分かる。
これらの結果から、加圧処理により、固体電解質の割合を減らすことができ、さらに、加熱工程において、加熱温度を650℃まで低くしたり、加熱時間を1時間まで短くしたりできることが明らかとなった。また、これらの結果は、加圧処理により電極活物質原料間の距離が近くなり、且つ、加熱により溶融した固体電解質が、電極活物質原料間に留まることを示唆している。
なお、上記表1の参考例6−参考例11の結果より、加熱温度が600℃の場合には、電極活物質原料が残ることが分かる。
2−2.電極合材のSEM観察
実施例1の電極合材について、SEM(Scanning Electron Microscopy)観察を行った。
SEM観察条件は以下の通りである。すなわち、走査型電子顕微鏡(ZEISS製、ULTRA55)を用いて、加速電圧2.0kVにて、倍率50,000倍で、SEM観察を行った。
図6は、実施例1の電極合材のSEM画像である。図6中において、角のとれた白い直方体として観察されるのがLiCoOであり、うす暗く観察されるのがLiSiOであり、黒く観察されるのがLiBOである。
図6から分かるように、実施例1の電極合材においては、電極活物質(LiCoO)の周囲を固体電解質(LiBO、LiSiO)が取り囲み、電極活物質と固体電解質とが全面接触している。また、実施例1の電極合材においては、LiCoOの結晶の形状が比較的整っており、LiCoOの結晶が十分成長していることが分かる。これらの結果は、加熱工程において、固体電解質の溶融物中にて電極活物質の結晶が十分成長したことを示唆する。
3.電極体の製造
[実施例14]
電極活物質原料及び固体電解質(フラックス)の種類は、実施例1と同様である。Co及びLiOH・HOのモル比がCo:LiOH・HO=1:3となり、また、製造後の電極合材中に含まれるLiCoO及び30LiSiO−70LiBOのモル比がLiCoO:30LiSiO−70LiBO=80mol%:20mol%となるように、活物質原料及び固体電解質を秤量し、混合した。当該混合物30mgを、エタノール1mL中に加え、振とう機により5分間攪拌して分散させ、コロイド分散液を調製した。
コロイド分散液を、アルミニウム箔(基材)の一方の面に、アルミニウム箔1cm当たり約0.1mLとなるように滴下して拡げ、大気下、60℃の温度条件下で5分間乾燥させ、エタノールを蒸発させた。エタノール蒸発後、アルミニウム箔の表面には、Co、LiOH・HO、及び30LiSiO−70LiBOを含む電極合材原料層が形成された(形成工程)。
電極合材原料層が形成された基材を、以下の加熱条件で加熱した(加熱工程)。まず、当該基材を、25℃から600℃まで、大気下、10℃/分の昇温速度で昇温した後、600℃の温度のまま1時間維持した。この加熱工程において、固体電解質(30LiSiO−70LiBO)が溶融すると共に、当該溶融物中にて、電極活物質原料(Co及びLiOH・HO)から電極活物質(LiCoO)が生成した。
加熱工程後、3℃/分の降温速度で25℃まで降温し(冷却工程)、実施例14の電極体を製造した。
4.電極体の分析
4−1.電極体のXRD測定
実施例14の電極体における電極合材層について、粉末X線回折(XRD)測定を行った。測定は、粉末X線回折装置(株式会社リガク製、UltimaIV)により行った。測定にはCuKα線を用い、加速電圧は30kVとし、印加電流は15mAとした。
図7は、実施例14の電極体における電極合材層のXRDスペクトルである。
図7から分かるように、実施例14の電極体における電極合材層のXRDスペクトルにおいては、上述したLiCoOに帰属されるピークが観察された。また、図7には、電極活物質原料(Co及びLiOH)に帰属されるピークは観察されなかった。したがって、実施例14の電極体における電極合材層においては、電極活物質原料の全量が電極活物質に変換されたことが分かる。また、上記表1の結果と比較しても分かるように、基材表面へ電極活物質原料及び固体電解質を含むコロイド分散液を滴下し、その後に乾燥させて加熱することにより、反応容器の中で加熱するよりも、より短時間でありかつより低い温度で、電極活物質が効率よく生成することが分かる。
4−2.電極合材のSEM観察
実施例14の電極体の断面について、SEM(Scanning Electron Microscopy)観察を行った。
SEM観察条件は以下の通りである。すなわち、走査型電子顕微鏡(ZEISS製、ULTRA55)を用いて、加速電圧10kVにて、倍率3,000倍で、SEM観察を行った。
図8は、実施例14の電極体の断面のSEM画像である。図8中に白い両矢印で示すように、図8中の下から半分以上を占めるのがアルミニウム集電体の断面であり、その上に位置するのが電極合材層の断面である。なお、図8中の「LCO+LBSO」とは、LiCoO、LiBO、及びLiSiOを含む電極合材層を意味する。
図8から、実施例14の電極体においては、アルミニウム箔上に約5μmの厚さの電極合材層が形成されたことが分かる。これは、通常の機械加工では達成することが極めて困難な厚さである。したがって、この結果から、基材表面へ電極活物質原料及び固体電解質を含むコロイド分散液を滴下して拡げ、その後に乾燥させて加熱することにより、従来よりもはるかに薄い電極合材層の形成が達成できたことが分かる。
5.電池の製造
[実施例15]
実施例1の電極合材を、精密切断機(ビューラー製、製品名:アイソメット)により切り出し、約400μmの厚さとし、且つ形状を整えた。
固体電解質として、LiLaZr12(LLZO)を用意し、電極合材と同様に精密切断機により切り出し、約400μmの厚さとし、且つ形状を整えた。
負極としてリチウム金属箔を用意した。
以上の材料を、実施例1の電極合材、固体電解質、及び負極の並びで積層させ、実施例15の全固体電池を製造した。
[実施例16]
正極として、実施例14の電極体を用いた。
セパレータとして、ポリプロピレン(PP)膜を用意した。また、電解液として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、及びエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒中にLiPFを溶かした電解液を用意した。
負極としてリチウム金属箔を用意した。
以上の材料を、実施例14の電極体中のアルミニウム箔、及び電極合材層、セパレータ、そして負極の並びで積層させ、且つ、電池内部を電解液で充填し、実施例16の液系電池を製造した。
[参考例12]
実施例1の電極合材を、精密切断機(ビューラー製、製品名:アイソメット)により切り出し、400μmの厚さとし、且つ形状を整えた。また、正極集電体として、アルミニウム箔を用意した。
セパレータ、電解液、及び負極は、実施例16と同様のものを用意した。
以上の材料を、アルミニウム箔、実施例1の電極合材、セパレータ、及び負極の並びで積層させ、且つ、電池内部を電解液で充填し、参考例12の液系電池を製造した。
6.電池の性能評価
実施例15の全固体電池について、以下の条件下で、充放電特性を評価した。
測定装置:TOSCAT3100(東洋システム製)
充放電条件:4.2Vcc充電〜3Vcc放電
電流密度:0.001mA/cm
図9は、実施例15の全固体電池の充放電曲線である。図9から分かるように、実施例15の全固体電池は、充放電可能な二次電池として使用できることが分かる。また、図9より、実施例15の全固体電池の充電容量は1.9mAh/gであり、放電容量は1.1mAh/gである。
実施例16及び参考例12の液系電池について、以下の条件下で、充放電特性を評価した。
測定装置:TOSCAT3100(東洋システム製)
充放電条件:4.2Vcc充電〜3Vcc放電
電流密度:0.1mA/cm(実施例16)、0.001mA/cm(参考例12)
図12は、参考例12の液系電池の充放電曲線である。図12より、参考例12の液系電池の充電容量は4.3mAh/gであり、放電容量は1.1mAh/gである。また、図12から分かるように、参考例12の液系電池の充放電曲線は、特に充電曲線側にグラフのゆらぎが見られる。このゆらぎは微短絡によるものと考えられる。
一方、図10は、実施例16の液系電池の充放電曲線である。図10より、実施例16の液系電池の充電容量は75mAh/gであり、放電容量は38mAh/gである。また、図10からは、充放電曲線にゆらぎは見られない。
以上より、基材表面へ電極活物質原料及び固体電解質を含むコロイド分散液を滴下して拡げ、その後に乾燥させて加熱した電極体を用いた液系電池(実施例16)は、電極合材を集電体に貼りつけて得られる電極体を用いた液系電池(参考例12)と比較して、100倍の大電流下においても、内部抵抗が小さく、安定して高い充放電容量を示すことが分かる。
1 反応容器
2 電極活物質
2a,2b 電極活物質原料
3 固体電解質
3a 固体電解質の溶融物
4 分散媒
5 基材
6 電極合材原料層
7 電極合材層
11 電解質層
12 正極活物質層
13 負極活物質層
14 正極集電体
15 負極集電体
16 正極
17 負極
21 反応容器
22 電極活物質
23 固体電解質
100 電池

Claims (4)

  1. 電極活物質及び固体電解質を含む電極合材の製造方法であって、
    固体の前記電極活物質に対して溶融状態において不活性であり且つリチウムイオン伝導性を有する固体電解質、及び、電極活物質原料を準備する準備工程、
    前記電極活物質原料及び前記固体電解質の混合物を加熱することにより、前記固体電解質の溶融物中にて、前記電極活物質原料を前記電極活物質へと変換する加熱工程、並びに、
    前記加熱工程後、前記混合物を冷却することにより、前記固体電解質の溶融物を凝固させる冷却工程を有することを特徴とする、電極合材の製造方法。
  2. 前記準備工程において、前記電極活物質原料及び前記固体電解質がいずれも分散媒中に分散したコロイド分散液を準備し、
    前記準備工程後、且つ、前記加熱工程前において、前記コロイド分散液を基材の少なくとも一面側に拡げ、且つ、前記分散媒を除去することにより、前記電極活物質原料及び前記固体電解質を含む電極合材原料層を前記基材表面に形成する形成工程を有し、
    前記加熱工程において、前記電極合材原料層を加熱することにより、前記固体電解質の溶融物中にて、前記電極活物質原料を前記電極活物質へと変換し、
    前記冷却工程において、前記電極合材原料層を冷却することにより、前記固体電解質の溶融物を凝固させる、請求項1に記載の電極合材の製造方法。
  3. 前記準備工程後、且つ、前記加熱工程前において、目的とする電極合材中の前記固体電解質の含有割合が前記電極活物質の含有割合よりも小さくなるように前記電極活物質原料及び前記固体電解質を含む混合物を、加圧する加圧工程を有し、
    前記加熱工程において、加圧された前記混合物を加熱することにより、前記固体電解質の溶融物中にて、前記電極活物質原料を前記電極活物質へと変換する、請求項1に記載の電極合材の製造方法。
  4. 前記加熱工程における加熱温度が、前記固体電解質の融点以上、且つ、前記電極活物質の融点未満である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電極合材の製造方法。
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