以下、本発明に係るプリンタの具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るプリンタの一実施形態としてのインパクトドットプリンタ100(以下、単にプリンタ100という。)を示す斜視図であり、このプリンタ100は、主に、例えばレジスタや現金自動預け払い機(ATM)などに組み込まれて使用されるものである。
図2は図1の上・下および手前・奥を反対に位置させた状態でのプリンタ100の斜視図である。
このプリンタ100は、全体の骨格となるフレーム10(プリンタ本体)と、このフレーム10の内部に設けられた、印字対象となる用紙200に印字する印字ヘッド21、インクリボンカセット22のインクリボン22aおよび用紙200を挟んで印字ヘッド21と上下反対側に、印字ヘッド21と所定の間隔に調整されて配置されたプラテン23(印字ヘッド21、インクリボンカセット22およびプラテン23は印字部20を構成)と、印字ヘッド21を用紙200の幅方向Wに沿って駆動するためのヘッド駆動部80と、フレーム10に取り付けられた、用紙200を内部に挿入する開口である挿入口41(挿入部)が形成された挿入ガイド部40と、用紙200を表裏面から挟んで搬送する、駆動ローラ72と従動ローラ74とを有する搬送ローラ対75を備えた搬送部70と、搬送ローラ対75に対して搬送方向の上流側に設けられた、用紙200を挿入口41から搬送ローラ対75に向けて案内する搬入通路T1が形成された搬入ガイド部30と、印字部20に送られた用紙200をプラテン23に押し付けるペーパープレッシャ板50と、搬入ガイド部30のうち用紙200の幅方向Wの互いに異なる複数の位置(例えば4つの位置)に対応した部分に着脱可能に設けられた少なくとも1つのブラックマークセンサ60(用紙検出手段)と、ペーパーエンドセンサ65と、各種の制御を行う制御装置(図示省略)とを備えている。
ここで、印字ヘッド21とプラテン23とはフレーム10に固定されているが、プラテン23をフレーム10に固定しているネジ(図示せず)を緩めることでプラテン23を図示鉛直方向に変位させることができ、これにより印字ヘッド21とプラテン23との間の間隔を調整することができる。
なお、調整後はネジを締めてプラテン23をフレーム10に固定することで使用可能状態とされる。
ヘッド駆動部80は、駆動モータ81(図2参照)と、印字ヘッド21を搭載したキャリッジ24を支持する、幅方向Wに沿って延びたスパイラルシャフト82およびガイドシャフト84(図4参照)と、駆動モータ81の回転駆動力をスパイラルシャフト82に伝達する歯車の輪列である駆動用輪列83とを備えた構成である。
駆動モータ81は、図示を略した制御装置の制御により、正回転と反対回転とを切り替えて回転駆動される。
スパイラルシャフト82の外周面には、軸を中心として螺旋状に延びた溝が形成されていて、キャリッジ24に形成された突起24aがこの溝に嵌め合わされている。したがって、スパイラルシャフト82が軸回りに回転することにより、印字ヘッド21を搭載したキャリッジ24がスパイラルシャフト82の延びた方向すなわち幅方向Wの一方の向きに直線的に移動する。スパイラルシャフト82の回転方向を反対にすると、印字ヘッド21を搭載したキャリッジ24は逆向きに移動する。
したがって、駆動モータ81の正回転と反対回転とを切り替えることにより、スパイラルシャフト82の回転方向が切り替えられ、これにより、印字ヘッド21を搭載したキャリッジ24の移動方向が切り替えられる。
なお、ガイドシャフト84はキャリッジ24に形成されたU字状部分24bを貫通していて、キャリッジ24がスパイラルシャフト82の回転により幅方向Wに沿って移動する際に、キャリッジ24がスパイラルシャフト82の軸回りに回動して姿勢が傾かないようにキャリッジ24を支持している。
インクリボンカセット22は、その内部に備えられているインクリボン22aが印字ヘッド21とプラテン23との間に配置されるようにフレーム10に固定されているが、インクリボンカセット22は適当な頻度で必要とされる交換の際の脱着を容易にするために、印字ヘッド21やプラテン23のようにネジによる強固な固定ではなく、インクリボンカセット22の表面に形成された凹形状とフレーム10に形成された凸形状との比較的緩い嵌合などによって固定されている。
また、インクリボン22aとプラテン23との間の空間は、用紙200を印字部20から送出口15に向けた方向(搬送順方向F)に案内する送出通路T2を形成している。
ここで、搬送ローラ対75を挟んで設けられている搬入通路T1と送出通路T2とは、高さ方向に段差を有しているが平行に形成されていて、搬入通路T1における用紙200の搬送方向と送出通路T2における用紙200の搬送方向とが略一致しているため、本実施形態のプリンタ100の用紙経路(搬入通路T1と送出通路T2による用紙200の搬送経路)は、いわゆるストレートパスに該当する。
搬送部70は、用紙搬送用の搬送モータ71と、駆動ローラ72と、搬送モータ71の回転駆動力を駆動ローラ72に伝達する歯車の輪列である駆動用輪列73と、駆動ローラ72の動きに従う従動ローラ74とを備えている。駆動ローラ72と従動ローラ74とは、前述したように用紙200を搬送する搬送ローラ対75を構成している。
ここで、駆動ローラ72はフレーム10に固定されていて、用紙200の図示下面に接して用紙200に搬送の駆動力を与えるものである。
一方、従動ローラ74は、用紙200を挟んで駆動ローラ72とは反対側の面である用紙200の上面に接するように配置されていて、後述する用紙搬送ユニット90の一部として構成されている。
そして、プリンタ100の通常の使用状態(用紙搬送ユニット90がプリンタ本体であるフレーム10に取り付けられている状態)においては、駆動ローラ72と従動ローラ74との間に用紙200が挟まれて、用紙200に駆動ローラ72による搬送の駆動力が与えられ、用紙200は搬送される。
このとき、従動ローラ74は、用紙200を駆動ローラ72に密着させて駆動ローラ72の駆動力を用紙200に伝達させ、用紙200の搬送に伴って従動する。
一方、プリンタ100のメンテナンス時等、用紙搬送ユニット90がフレーム10から取り外されている状態においては、フレーム10に固定された駆動ローラ72は用紙搬送ユニット90とともに取り外された用紙200から離れ、用紙200に駆動力が伝達されることはない。
また、用紙搬送ユニット90がフレーム10に取り付けられている状態においては、搬送モータ71の正回転と反対回転とを切り替えることにより、駆動ローラ72の回転方向が正回転または逆回転に切り替えられ、これにより、用紙200の搬送方向が順方向Fとこれの反対向きである戻り方向Rとで切り替えられる。
挿入ガイド部40は、図5に示すように、その略矩形形状のうちの4つの角部近傍に締結された4つのネジ49(図3,4,5では省略)を取り外すことにより、戻り方向Rにスライドさせて取り外すことができる。
また、図6に示すように、挿入ガイド部40は用紙200をプリンタ100の内部に供給するための挿入口41が形成されているが、この挿入口41は、図示水平方向に延びた細長の開口であり、この延びた方向が用紙200の幅方向Wに対応する。
挿入ガイド部40には、挿入口41の延びた方向に沿った互いに異なる3つの位置にそれぞれ、その挿入口41の開口幅を規制して、挿入口41に挿入される用紙200を、その用紙200の幅によって規制する仕切り片42(仕切り)を取り付けるための仕切り片取付部43が設けられている。
これらの各仕切り片42は、挿入口41を跨ぐように配置されて、ネジ48で固定されている。挿入口41は仕切り片42が跨いでいる部分については塞がれた状態となるため、2つの仕切り片42,42で挟まれた間の部分だけが用紙200を挿入するための開口として機能する。
ここで、仕切り片42はネジ48の着脱により挿入ガイド部40の本体に対して着脱可能となっていて、例えば図4(a)に示す右端の仕切り片取付部43と左端の仕切り片取付部43とにそれぞれ図4(b)に示す仕切り片42,42が固定されていて(右端の仕切り片取付部43に対しては、図4(b)に示した姿勢の仕切り片42を上下反対の姿勢にした状態で固定される)、左端から2つ目の仕切り片取付部43に仕切り片42が取り付けられていないときは、挿入口41のうち両仕切り片42,42の間の開口の長さを例えば76〜77[mm]に規制して、3[inch](≒76.2[mm])幅の用紙200を使用するのに適した状態となる。
一方、右端の仕切り片取付部43と左端から2つ目の仕切り片取付部43とにそれぞれ仕切り片42,42が固定されているときは、挿入口41のうち両仕切り片42,42の間の開口の長さを、例えば略58[mm]に規制して、57.5[mm]幅の用紙200を使用するのに適した状態となる。
したがって、開口幅が単一の挿入ガイド部40であっても、仕切り片42の取付位置に応じて複数種類の幅の用紙200に適切に対応させることができるため、挿入口41自体の幅が異なる複数種類の挿入ガイド部40を準備する必要がなく、製造コストを低減することができる。
なお、挿入口41の開口の幅の切替えは、上述した仕切り片42の取付位置の変更によるものに限定されるものではなく、例えば、開口の延びる方向に沿って移動可能のシャッター(蛇腹状に伸縮するものや糸巻き状に巻き取り可能なものであることが好ましい。)等によって開口を塞ぐ範囲を変化させることで、開口の幅を連続的または段階的に変化させるものであってもよい。
また、上述した仕切り片42によって開口の幅を切り替えるものでは、仕切り片取付部43の数は上述した3つのものに限定されるものではなく、4つ以上であってもよい。
なお、挿入口41の両端縁が開口自体の端縁によって規定できるものでは、挿入口41の両端については仕切り片42を設ける必要がないため、そのような形態のものでは、複数種類の幅の用紙200に対応させる場合、両端の間に1つ以上の仕切り片取付部43が形成されていればよい。
もちろん、複数種類の幅に対応させる必要がなく単一の幅の用紙のみに対応させれば足りるものでは、両端の間に仕切り片取付部43を設けたり、その他の開口を塞ぐシャッター等を設ける必要はない。
なお、複数種類の幅に対応させるものであっても、いずれの幅の用紙200であっても、常に挿入口41の一方の端部側に用紙200を寄せて挿入口41に挿入させるようにすることで、用紙200の幅に対応した切り片取付部43を形成しない構成もあり得るが、その場合、用紙200の搬送が進むにしたがって用紙200が斜めに傾く斜行を生じるおそれがある。
これに対して、挿入口41の開口幅を用紙200の幅に適応させることで、用紙200の斜行を防止することができ、好ましい。
搬入ガイド部30は、図5,7〜9に示すように、用紙200の上面側に配置される板状の上側ガイド板31と、用紙200の下面側に配置される板状の下側ガイド板32と、上側ガイド板31の上方に固定された、ペーパープレッシャ板50が取り付けられる板状の取付フレーム33とを備えていて、図6に示すように、挿入ガイド部40と同様、フレーム10に対して戻り方向Rに取り外すことができる。
ここで、上下の各ガイド板31,32の間の空間は、用紙200を搬送ローラ対75に向けて通過させる搬入通路T1を構成し、上側ガイド板31は用紙200を上面の側から案内し、下側ガイド板32は用紙200を下面の側から案内する。
また、図7に示すように、上側ガイド板31および下側ガイド板32の、案内する用紙200の幅方向Wに沿った所定位置に形成されたブラックマークに対応する部分にはそれぞれ、上下に貫通する4つの開口31b,31c,31d,31e、4つの開口32b,32c,32d,32eが形成されている。
これらの開口31b,31c,31d,31e、開口32b,32c,32d,32eはそれぞれ、上側ガイド板31と下側ガイド板32との間を通過する用紙200のブラックマークを光学的に検出するブラックマークセンサ60の光学的通路である。
すなわち、図7,8に示すように上側ガイド板31の上面には、1つ以上のブラックマークセンサ60が設けられた回路基板61a乃至回路基板61bが、ブラックマークセンサ60を下方に向けて設置され、それらの回路基板61a,61bのブラックマークセンサ60が開口31b,31c,31d,31eを通じて、上側ガイド板31と下側ガイド板32との間を通過する用紙200の表面(印字される面)に形成されたブラックマークを反射光量の変化として検出する。この例でのブラックマークセンサ60は反射型フォトセンサであるフォトリフレクタである。
同様に、下側ガイド板32の下面には、1つ以上のブラックマークセンサ60が設けられた回路基板61a乃至61bが、ブラックマークセンサ60を上方に向けて設置され、その回路基板61a,61bのブラックマークセンサ60が開口32b,32c,32d,32eを通じて、上側ガイド板31と下側ガイド板32との間を通過する用紙200の裏面(表面とは反対側の面)に形成されたブラックマークを反射光量の変化として検出する。
なお、回路基板61aには1つのブラックマークセンサ60が設置され、回路基板61bには最大3つのブラックマークセンサ60が設置可能である。また、回路基板61a,61bの両方が設置される必要はなく、これらのうち選択的に一方だけが選択されるものであってもよい。
すなわち、各回路基板61a,61b中でのブラックマークセンサ60の設置数、設置位置等は、使用される用紙200に形成されたブラックマークの数や位置等に応じて適宜、選択することができる。
また、ブラックマークが裏面に形成されている用紙200の使用を想定したプリンタ100においては、ブラックマークセンサ60が設けられた回路基板61aまたは61bを下側ガイド板32にのみ設けて上側ガイド板31には設けない構成として、不要なブラックマークセンサ60の装備を省略することができ、これとは反対に、ブラックマークが表(おもて)面に形成されている用紙200の使用を想定したプリンタ100においては、ブラックマークセンサ60が設けられた回路基板61aまたは61bを上側ガイド板31にのみ設けて下側ガイド板32には設けない構成として、不要なブラックマークセンサ60の装備を省略することができる。
搬入ガイド部30の下側ガイド板32の下面には、ペーパーエンドセンサ65も設けられている。
下側ガイド板32の下面に設置されたペーパーエンドセンサ65は、三角形状の検出片を備えていて、この検出片は、下側ガイド板32に形成された孔32fから、下側ガイド板32と上側ガイド板31との間の用紙200が通過する経路上に突出するように配置されている。
なお、上側ガイド板31の、孔32fに対向する部分にも、孔32fと同様の孔31fが形成されていて、下側ガイド板32の孔32fから突出した検出片の上側部分が、この孔31fを介して上側ガイド板31の上面から突出するように形成されている。
検出片は、つるまきバネの弾性力によって、用紙200が通過する経路上に突出する方向に荷重が作用しているが、その経路上に用紙200が存在するときは、用紙200がつるまきバネの弾性力に抗して検出片を下方に押下した状態となり、この状態の変化を透過型フォトセンサであるフォトインタラプタ(図示省略)を用いて検出することで、用紙200の存在が検出される。
一方、経路上から用紙200が無くなると、つるまきバネの弾性力に抗して検出片を下方に押下する荷重がなくなるため、検出片は経路上に突出した状態となり、この状態の変化を上述のフォトインタラプタを用いて検出することで、用紙200の不存在、すなわち用紙200の搬送順方向Fの上流端縁(ペーパーエンド)が通過し終わったことが検出される。
以上のようにして、ブラックマークセンサ60により用紙200のブラックマークを検出した結果や、ペーパーエンドセンサ65により用紙200のペーパーエンドを検出した結果は、駆動モータ81や搬送モータ71の駆動の制御に利用される。
なお、上述した駆動モータ81の駆動の制御、搬送モータ71の駆動の制御や印字ヘッド21の印字の制御は、フレーム10に固定された制御装置(図示を省略)によって行われるが、この制御装置は、プリンタ100自体が備えた構成でなくてもよい。
すなわち、このプリンタ100が組み込まれるレジスタやATM等がそのレジスタ自体やATM等自体の機能の制御のために備えている制御装置が、プリンタ100の駆動モータ81や搬送モータ71の駆動の制御を行う構成としてもよい。このような構成の場合、プリンタ100には、そのレジスタやATM等の制御装置との間で、制御のための信号を送受するための有線または無線の信号経路(有線であれば電線、無線であれば送受信機)を備えていればよい。
上側ガイド板31および下側ガイド板32は、挿入口41の側(搬送順方向Fの上流側)からの大部分は、図7に示すように水平に形成されているが、順方向Fの上流側の部分、すなわち挿入ガイド部40に近い側の部分にはそれぞれ、挿入ガイド部40の面と平行になるフランジ部31a,32aが形成されていて、これらのフランジ部31a,32aがネジ49により挿入ガイド部40と共締めされてフレーム10に固定されている(図6参照)。
そして、上述したネジ49を取り外してフレーム10との固定を解除すると、搬入ガイド部30はフレーム10に対して後方R(戻り方向R)に引き出し可能となり、フレーム10から取り外すことができる。
一方、図8,9に示した上側ガイド板31および下側ガイド板32の、順方向Fの下流側の各端部31g,32g(搬送ローラ対75に近い側の先端)は、駆動ローラ72と従動ローラ74との共通接線Mに沿った向きではなく、駆動ローラ72に向いて形成されている。
上側ガイド板31と下側ガイド板32とは前述したように搬入通路T1を形成しているため、搬入通路T1の順方向Fの下流側の先端TE1も駆動ローラ72に向いて形成されている。
また、搬入通路T1は、駆動ローラ72と従動ローラ74との共通接線Mにより仕切られた駆動ローラ72を含む領域S2と従動ローラ74を含む領域S1とのうち領域S1の側に配置されているが、搬入通路T1の先端TE1は領域S2に配置されている。
なお、上側ガイド板31、下側ガイド板32の各端部31g,32gはいずれも、順方向Fに対応した駆動ローラ72の回転方向(図9において時計回り方向)の下流側に向けて僅かに屈曲したR形状に形成されている。
上側ガイド板31は、下流側の端部31gよりも順方向Fの手前部分で一部が上方に向けて屈曲して、その屈曲した部分の先端31hに、従動ローラ74を回転自在に支持している。
下側ガイド板32の下流側の端部近傍部分のうち、従動ローラ74に対向する部分は切り欠かれていて、この切り欠かれた部分32hには、搬入ガイド部30がフレーム10に装着された状態のとき、図7,8に示すように、フレーム10に固定されている駆動ローラ72が収容され、その切り欠かれた部分32hに隣接した端部が上述した端部31gとなっている。
そして、搬入通路T1の先端TE1が領域S2において、駆動ローラ72の外周面72aに近接し、駆動ローラ72に向いているため、挿入口41から搬入通路T1に案内された用紙200は、搬入通路T1の先端TE1から搬出された直近の部分から駆動ローラ72の外周面72aに接し、用紙200は、駆動ローラ72の外周面72aに沿って配置され、駆動ローラ72の外周面72aと従動ローラ74の外周面74aとの間に挟まれる。
ここで、本実施形態のプリンタ100は、前述したように用紙経路がストレートパスであるため、送出通路T2は駆動ローラ72の側である領域S2に配置されており、このため用紙200は、駆動ローラ72の外周面72aと従動ローラ74の外周面74aとにより挟まれた位置から、さらに駆動ローラ72の外周面72aに沿って配置された後、駆動ローラ72の外周面72aから離れて送出通路T2に配置される。
従来のプリンタは、駆動ローラの外周面と従動ローラの外周面とが接する線状の範囲(本実施形態のプリンタ100においては、駆動ローラ72の回転中心C1と従動ローラ74の回転中心C2とを結んだ直線が駆動ローラ72の外周面と交差する線状の範囲に対応。)においてのみ、用紙と駆動ローラとが接触していたが、本実施形態のプリンタ100は、駆動ローラ72の外周面72aのうち回転中心C1回りの広い角度範囲α(図8,9参照)に対応した外周面72aの範囲で、用紙200が駆動ローラ72に接する。
したがって、本実施形態のプリンタ100は、駆動ローラ72と用紙200との接触量が従来のプリンタに比べて格段に大きいため、駆動ローラ72から用紙200に付与される回転駆動力を格段に増大させることができ、駆動ローラ72と用紙200との間で滑りが発生するのを抑制することができる。
しかも、本実施形態のプリンタ100は、接触量を増大させるための可動部も有しないため、可動部を備えるために必要とされる空間を確保する必要がなく、よってプリンタ100自体の大型化を招くこともない。
なお、搬入通路T1の先端TE1から用紙200が出る状態にあっては、用紙200が、上側ガイド板31の端部32gに接するが、この端部32gは切断しっぱなしのエッジではなく、R形状に形成されているため、用紙200が接しても用紙200から紙粉を発生させることがなく、塵埃の発生を防ぐ上で有効である。
用紙200は、印字部20の送出通路T2を通過している間に印字が施されて、送出口15から送り出される。
このようにして、用紙200は挿入口41から搬入通路T1、搬送ローラ対75、送出通路T2を通って送出口15に向かって、順方向Fに送られる。
搬入ガイド部30の取付フレーム33は、上側ガイド板31の上方において、略水平に延びて取り付けられている。
この取付フレーム33には、幅方向Wの異なる3つの位置に爪33aが形成されており、一方、この取付フレーム33に固定されるペーパープレッシャ板50には、取付フレーム33の爪33aに対応する3つの位置に矩形の孔50aが形成されている。
そして、ペーパープレッシャ板50の3つの孔50aにそれぞれ取付フレーム33の爪33aを挿入した状態で、ペーパープレッシャ板50を戻り方向Rに移動させるか、または取付フレーム33を順方向Fに移動させることによって、取付フレーム33の各爪33aがペーパープレッシャ板50の各孔50aの縁に引っ掛けられて、ペーパープレッシャ板50は取付フレーム33に固定される。
このとき、ペーパープレッシャ板50は取付フレーム33と同様に、図8に示すように略水平に延びた状態とされる。
なお、ペーパープレッシャ板50は取付フレーム33に固定された状態から、ペーパープレッシャ板50を順方向Fに移動させるか、または取付フレーム33を戻り方向Rに移動させることによって、取付フレーム33の各爪33aがペーパープレッシャ板50の各孔50aの縁から外れ、ペーパープレッシャ板50を取付フレーム33から取り外すことができる。
ペーパープレッシャ板50が取付フレーム33に固定された状態において、搬入ガイド部30がフレーム10に装着された状態のときは図5に示すように、ペーパープレッシャ板50の先端部50c(取付フレーム33に固定された側とは反対の自由端側の端部、順方向F側の先端部分)は、印字ヘッド21よりも順方向Fの上流側部分において、プラテン23に上方から接している。
このプラテン23に対してペーパープレッシャ板50が接する押圧力は、ペーパープレッシャ板50の材質や厚さまたは形状によって異なるものとすることができる。
ペーパープレッシャ板50は、上側ガイド板31、下側ガイド板32および搬送部70によって順方向Fに送られた用紙200に対して、用紙200の上面側から接して、用紙200を略水平の姿勢にして印字部20の送出通路T2に案内している。
この結果、プラテン23に対するペーパープレッシャ板50の押圧力によって用紙200がプラテン23に強く押圧され、印字ヘッド21が用紙200に印字を行う際に、用紙200がプラテン23から浮き上がるのを防止する。
そして、前述したように押圧力が互いに異なる複数種類のペーパープレッシャ板50を予め用意しておき、それらのうちから、使用される用紙200の曲げ剛性の強弱(腰の強さ)に応じて適切な押圧力を得ることができるペーパープレッシャ板50を選択し、取付フレーム33に取り付けられたペーパープレッシャ板50を、上述した爪33aと孔50aとの係わり合いの操作により、選択されたペーパープレッシャ板50に交換することで、大きさの異なる曲げ剛性の用紙200を使用する場合にも、その用紙200の曲げ剛性に適切に対応した押圧力のペーパープレッシャ板50を用いることができ、不適切な押圧力のペーパープレッシャ板50を用いた場合に生じる、印字部20における用紙200の浮き上がり等による印字品質の低下を防止することができる。
しかも、ペーパープレッシャ板50と取付フレーム33とはネジ等の締結部材や固定部材を用いずに一体化されているため、ペーパープレッシャ板50の交換は簡単に行うことができる。
そして、本実施形態のプリンタ100においては、搬入ガイド部30と、ペーパープレッシャ板50と、従動ローラ74と、ブラックマークセンサ60と、ペーパーエンドセンサ65とが、一体の用紙搬送ユニット90を形成している。
したがって、前述したネジ49を取り外して搬入ガイド部30を後方Rに引き出す際には、搬入ガイド部30だけでなく、ペーパープレッシャ板50、従動ローラ74、ブラックマークセンサ60およびペーパーエンドセンサ65が、用紙搬送ユニット90として一体的に引き出され、フレーム10から取り外される。
すなわち、用紙搬送ユニットは、印字部20が固定されたフレーム10から切り離して別体の状態にすることができる。
そして、用紙200の種類に応じてペーパープレッシャ板50を交換したり、ブラックマークセンサ60の位置を変更し、あるいは交換等する際には、これらが設置されている用紙搬送ユニット90を、印字部20が設けられたフレーム10から取り外し、その取り外された用紙搬送ユニット90の構成の範囲で、ペーパープレッシャ板50やブラックマークセンサ60の交換等を行うことができる。
したがって、これらペーパープレッシャ板50やブラックマークセンサ60の交換等の作業の際に、従来のプリンタでは不可欠であった印字部20や印字部20の周辺部分の分解作業が不要となり、分解範囲が少なくなったことによる作業工数の低減が図れるとともに、印字部20や印字部20の周辺部分を分解した場合に必要となるプラテンギャップの再調整も不要となり、メンテナンスの手間を減らし、メンテナンスを容易にすることができる。
なお、ペーパープレッシャ板50やブラックマークセンサ60の交換等の後は、これらが一体化された用紙搬送ユニット90をフレーム10に再度固定するだけで、用紙搬送ユニット90を取り外す前の状態に組み立てることができる。
以上のように、本実施形態のプリンタ100によれば、プリンタ100を大型化することなく簡単な構成で、駆動ローラ72と用紙200との接触量を増大させることができる。
また、本実施形態のプリンタによれば、メンテナンスを容易にすることができる。
なお、本実施形態のプリンタ100における用紙搬送ユニット90においては、フレーム10に固定されている搬送モータ71または駆動モータ81と機構的に連動して駆動される構成要素(駆動ローラ72やスパイラルシャフト82など)は含まれず、搬送ローラ対75のうち自由に回転(用紙搬送ユニット90がフレーム10に取り付けられているときは、用紙200の搬送にしたがって回転)する従動ローラ74が含まれるに過ぎないため、そのような構成要素を含む場合に必要とされる歯車等の連動機構を備える必要がない。
つまり、歯車等の連動機構を必要とするものでは、搬送モータ71または駆動モータ81が固定されたフレーム10から取り外された用紙搬送ユニット90をフレーム10に取り付ける際に、用紙搬送ユニット90側の連動機構とフレーム10側の連動機構(例えば駆動用輪列73,83)とが連結される(歯車同士の場合は、歯車同士が噛み合いによって連結される)が、このとき歯車同士の例のように歯先同士が干渉することがないように、両連動機構の位置関係(歯車同士の場合は歯の位相関係)を制御する必要がある。
しかし、本実施形態のプリンタ100においては連動機構を備える必要がないため、そのような位置関係を制御する必要もなく、シンプルな構造を実現することができる。
なお、本実施形態のプリンタ100は、図5に示すようにスパイラルシャフト82の周囲を覆う防塵カバー11によって覆われていて、搬入ガイド部30や印字部20を通過する用紙200の屈曲や摩擦によって用紙200から発生した紙粉が、フレーム10の内部で巻き上がってスパイラルシャフト82に直接付着するのを防止し、紙粉の付着によって印字ヘッド21の幅方向Wの円滑な移動が妨げられるのを防止することができる。
本実施形態のプリンタ100はインパクトドット方式のプリンタであるが、本発明に係るプリンタはこの形態のものに限定されるものではなく、印字部としてインクジェット方式のプリンタであってもよいし、感熱式のプリンタであってもよく、印字部の印字方式を特定のものに限定するものではない。
また、本実施形態のプリンタ100はレジスタやATMに組み込まれて使用されるものとして説明したが、本発明に係るプリンタはこの形態のものに限定されるものではなく、レジスタやATMなどから独立した別体のプリント装置であってもよい。
さらに、本実施形態のプリンタ100は、搬入ガイド部30と、ペーパープレッシャ板50と、従動ローラ74と、ブラックマークセンサ60と、ペーパーエンドセンサ65とが、一体の用紙搬送ユニット90を形成していて、プリンタ100の本体に相当するフレーム10から着脱可能としたものであるが、本発明のプリンタはこの形態のものに限定されるものではなく、搬入ガイド部30の搬入通路T1が他の構成要素と一体的な用紙搬送ユニット90を形成していないものであってもよいし、また、プリンタ本体から着脱可能なものでなくてもよい。
なお、搬入通路T1を着脱可能とした構成を採用したものでは、送出通路T2との関係でストレートパスを構成し易くするため、搬入通路T1の延びた方向に沿って着脱するものであることが好ましい。