JP5850193B1 - 磁石部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐食性及び保護膜の密着性に優れた磁石部材を提供する。【解決手段】磁石部材2は、希土類元素、遷移金属元素及びホウ素を含む希土類磁石4と、ニッケル、リン及び硫黄を含み、希土類磁石4を覆う第一膜6と、ニッケル、リン及び硫黄を含み、第一膜6を覆う第二膜8と、を備え、第二膜8における硫黄の含有率が、第一膜6における硫黄の含有率よりも高い。【選択図】図1

Description

本発明は磁石部材に関する。
希土類元素R、遷移金属元素T(鉄等)及びホウ素Bを含むR−T−B系希土類磁石は、磁気特性に優れるため、様々な分野で実用されている。しかしながら、R−T−B系希土類磁石の主成分である希土類元素R及び遷移金属元素Tは酸化され易い。したがって、R−T−B系希土類磁石は他の磁石に比べて腐食し易い。腐食は磁気特性の劣化及びばらつきを招く。R−T−B系希土類磁石の耐食性を向上させる方法として、耐食性を有する保護膜により希土類磁石の表面を覆う方法が従来から知られている。保護膜としては、ニッケルめっき膜又はニッケル合金めっき膜が従来から知られている(下記特許文献1及び2参照。)。以下では、場合により、R−T−B系希土類磁石を単に「希土類磁石」と記す。保護膜で覆われた希土類磁石を、「磁石部材」と記す。
特開平8−3763号公報 特開2001−230106号公報
磁石部材が、例えばハードディスクドライブ(HDD)のように、小さく薄い電子機器に搭載される場合、小さく薄い磁石部材が要求される。しかし、磁石部材が小さく薄いほど、磁石部材の磁束密度は低下してしまう。保護膜を均一に薄くして、磁石部材における希土類磁石自体の体積の割合を増やすことにより、磁束密度の低下を抑制することができる。しかし、保護膜が薄いほど、磁石部材の耐食性は劣化してしまう。したがって、保護膜が薄いにもかかわらず耐食性に優れた磁石部材が求められる。例えば、保護膜の厚みが10μm未満であるにもかかわらず、耐食性に優れた磁石部材が求められる。
また、保護膜として、従来の無電解ニッケルめっき膜を希土類磁石の表面に形成した場合、希土類磁石の腐食により無電解ニッケルめっき膜が希土類磁石の表面から剥がれることがある。したがって、保護膜の密着性に優れた磁石部材も求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐食性及び保護膜の密着性に優れた磁石部材を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る磁石部材は、希土類元素、遷移金属元素及びホウ素を含む希土類磁石と、ニッケル、リン及び硫黄を含み、希土類磁石を覆う第一膜と、ニッケル、リン及び硫黄を含み、第一膜を覆う第二膜と、を備え、第二膜における硫黄の含有率が、第一膜における硫黄の含有率よりも高い。
本発明の一側面においては、第一膜における硫黄の含有率が、390〜620質量ppmであり、第二膜における硫黄の含有率が、560〜2240質量ppmである。
本発明の一側面においては、第一膜の厚みが、0.5〜1.6μmであってよく、第二膜の厚みが、1.0〜8.7μmであってよく、第二膜の厚みが、第一膜の厚みの2倍以上10.9倍以下であってよい。
本発明によれば、耐食性及び保護膜の密着性に優れた磁石部材が提供される。
図1中のa(図1a)は、本発明の一実施形態に係る磁石部材の模式的斜視図であり、図1中のb(図1b)は、図1aに示すb−b線における磁石部材の模式的断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について説明する。各図面において、同一又は同等の構成要素には同一の符号を付す。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
図1aに示すように、本実施形態に係る磁石部材2は、例えば扇形の板であってよい。ただし、磁石部材2の形状は扇形に限定されない。例えば、磁石部材2は、略直方体、又は略円板であってもよい。図1bに示すように、磁石部材2は、希土類磁石4と、希土類磁石4の表面を覆う第一膜6と、第一膜6の表面を覆う第二膜8、とを備える。第一膜6及び第二膜8は、希土類磁石4を保護し、希土類磁石4の腐食(例えば酸化)を抑制する。以下では、第一膜6及び第二膜8からなる二重の膜の全体を、「保護膜」と記す場合がある。第一膜6は、希土類磁石4の表面の一部又は全体を覆っていてよい。第二膜8は、第一膜6の表面の一部又は全体を覆っていてよい。第二膜8の一部が、希土類磁石4の表面の一部を直接覆っていてもよい。希土類磁石4の表面全体が、第一膜6又は第二膜8のいずれかによって完全に覆われていてよい。つまり、希土類磁石4の表面全体が全く露出していなくてよい。磁石部材2全体の寸法は、例えば、縦4〜50mm×横5〜100mm×厚み0.5〜10mmであってよい。磁石部材2全体の厚みとは、図1aのb−b線方向における磁石部材2の幅と言い換えてよい。
希土類磁石4は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを含有する。希土類元素Rは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種であればよい。遷移金属元素Tは、Fe及びCoのうち少なくともいずか又は両方であってよい。希土類磁石4は、必要に応じて、Mn,Nb,Zr,Ti,W,Mo,V,Ga,Zn,Si,Cu,Al及びBiから群より選ばれる少なくとも一種の元素を更に含んでもよい。希土類磁石4自体は、一般的な方法によって調製してよい。例えば、上元素を含有する原料粉末を成形して焼結することにより、希土類磁石4自体が調製される。
第一膜6は、ニッケル(Ni)、リン(P)及び硫黄(S)を含む。第二膜8も、ニッケル、リン及び硫黄を含む。第二膜8における硫黄の含有率は、第一膜6における硫黄の含有率よりも高い。硫黄の含有率が高い第二膜8では、第一膜6に比べて、応力が減少するので、第二膜8では、第一膜6に比べて、クラックが生じ難い。したがって、第二膜8は第一膜6よりも緻密な膜である。緻密な第二膜8が第一膜6を覆うため、希土類磁石4を腐食する成分(例えば、水)が磁石部材2の内部へ侵入し難い。その結果、磁石部材2の耐食性が向上する。一方、第二膜8よりも硫黄の含有率が低い第一膜6が希土類磁石4を覆うことにより、第二膜8が希土類磁石4を直接覆う場合に比べて、硫黄による希土類磁石4の腐食が抑制される。したがって、希土類磁石4の腐食に起因する保護膜の剥離が抑制される。つまり、保護膜の密着性が向上する。また、第一膜6が硫黄を含有することにより、第一膜6における応力が低下する。第一膜6における応力の低下により、第一膜6においてクラックが生じ難くなり、第一膜6が緻密になり易い。したがって、希土類磁石4を腐食する成分(例えば、水)が第一膜6を通じて希土類磁石4へ到達し難くなる。その結果、磁石部材2の耐食性が向上する。さらに第一膜6における応力の低下により、第一膜6が希土類磁石4から剥がれ難くなる。つまり、保護膜の密着性が向上する。
仮に、第一膜6及び第二膜8のいずれもリンを含まない場合、硫黄の化学的作用により各膜自体(ニッケル)の腐食が促される場合がある。しかし、第一膜6及び第二膜8はそれぞれ、硫黄のみならず、リンを含むため、硫黄に起因する各膜自体の腐食が抑制される。
第一膜6における硫黄の含有率は、例えば、390〜620質量ppm、又は400〜600質量ppmであってよい。第一膜6における硫黄の含有率が390〜620質量ppmである場合、磁石部材2の耐食性及び保護膜の密着性が向上し易い。第二膜8における硫黄の含有率は、例えば、560〜2240質量ppm、560〜2190質量ppm、590〜1510質量ppm、又は600〜1500質量ppmであってよい。第二膜8における硫黄の含有率が590〜1510質量ppmである場合、磁石部材2の耐食性及び保護膜の密着性が向上し易い。
第一膜6は、ニッケル、リン及び硫黄のみからなっていてよい。第一膜6におけるリン及び硫黄以外の残部は、ニッケルのみであってよい。第一膜6におけるリンの濃度(含有率)は、例えば、8.7〜20.2原子%であってよい。第二膜8は、ニッケル、リン及び硫黄のみからなっていてよい。第二膜8におけるリン及び硫黄以外の残部は、ニッケルのみであってよい。第二膜8におけるリンの濃度(含有率)は、例えば、0.9〜7.8原子%であってよい。第一膜6又は第二膜8は、ニッケル、リン及び硫黄以外に、例えば、ホウ素を含んでもよい。
第一膜6の厚み6a及び第二膜8の厚み8aの合計は、1μm以上10μm未満、1.1μm以上9.9μm以下、又は1.5μm以上9.5μm以下であってよい。第一膜6の厚み6a及び第二膜8の厚み8aの合計が1.5μm以上である場合、耐食性が向上し易い。第一膜6の厚み6a及び第二膜8の厚み8aの合計が9.5μm以下である場合、保護膜の密着性が向上し易い。第一膜6の厚み6a及び第二膜8の厚み8aの合計とは、保護膜全体の厚みと言い換えてよい。第一膜6の厚み6aは平均値であってよい。第二膜8の厚み8aも平均値であってよい。
本実施形態では、保護膜が薄いため、磁石部材2における希土類磁石4の体積の割合が大きい。したがって、磁石部材2は高い残留磁束密度を有することができる。また本実施形態では、保護膜が薄くとも、磁石部材2が優れた耐食性を有することができる。
第一膜6の厚み6aは、0.3〜1.9μm、0.5〜1.6μm、又は0.5〜1.5μmであってよい。第一膜6の厚み6aが0.5μm以上である場合、耐食性が向上し易い。第一膜6の厚み6aが1.6μm以下である場合、耐食性及び保護膜の密着性が向上し易い。第二膜8の厚み8aは、0.6〜9.1μm、1.0〜8.7μm、又は1.0〜8.5μmであってよい。第二膜8の厚み8aが1.0μm以上である場合、耐食性が向上し易い。第二膜8の厚み8aが9.5μm以下である場合、保護膜の密着性が向上し易い。
第二膜8の厚み8aがT2であり、第一膜6の厚み6aがT1であるとき、T2/T1は1.2〜11.4、2〜10.9、又は2〜10であってよい。T2/T1が2以上である場合、耐食性が向上し易い。T2/T1が10.9以下である場合、保護膜の密着性が向上し易い。
第一膜6は、例えば、無電解ニッケルめっきにより形成してよい。無電解ニッケルめっきにより、均一な厚みの第一膜6を形成し易い。第一膜6中の硫黄は、めっき液に含まれる硫黄化合物に由来する。したがって、めっき液における硫黄化合物の含有率の調整により、第一膜6における硫黄の含有率を自在に制御することができる。第一膜6中のリンは、めっき液に含まれる還元剤である次亜リン酸塩(例えば、次亜リン酸ナトリウム)に由来する。したがって、めっき液における次亜リン酸塩の含有率の調整により、第一膜6におけるリンの濃度を自在に制御することができる。無電解ニッケルめっき条件を調整することにより、第一膜6の厚みを自在に制御することができる。調整される無電解ニッケルめっき条件は、例えば、めっき液におけるニッケルの含有率、硫黄化合物の含有率、還元剤の含有率、めっき液の温度、めっき液のpH、又は希土類磁石4をめっき液(めっき浴)に浸漬する時間等であってよい。還元剤として、次亜リン酸塩に加えて、ジメチルアミンボラン(DMAB)又はヒドラジンをめっき液に添加してもよい。第一膜6は、例えば、電解ニッケルめっきにより形成してもよい。電解ニッケルめっきにより形成される第一膜6中の硫黄は、例えば、陽極材料でニッケルに含まれる硫黄、又はめっき液(めっき浴)に含まれる硫黄化合物に由来する。したがって、陽極材料の選定、又はめっき液中の硫黄化合物の含有率の調整により、第一膜6における硫黄の含有率を自在に制御することができる。電解ニッケルめっきにより形成される第一膜6中のリンは、電解めっき液中に添加する亜リン酸に由来する。したがって、亜リン酸の添加量により、第一膜6におけるリンの濃度を自在に制御することができる。電解ニッケルめっき条件を調整することにより、第一膜6の厚みを自在に制御することができる。調整される電解ニッケルめっき条件は、めっき液におけるニッケルの含有率、硫黄化合物の含有率、めっき液の温度、めっき液のpH、希土類磁石4における電流密度、又はめっき液に電流を流す時間等であってよい。
無電解ニッケルめっき液又は電解ニッケルめっき液に含まれる硫黄化合物は、例えば、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、1,6−ナフタレンジスルホン酸、2,5−ナフタレンジスルホン酸、アリルスルホン酸又はベンゼンスルホン酸等のスルホン酸塩、サッカリン又はサッカリンナトリウム等の芳香族スルホンイミド、パラトルエンスルホンアミド又はベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド、スルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸等のスルフィン酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、チオ尿素、チオセミカルバジド又はメチルチオセミカルバジド等のチオ尿素基を有する化合物、及びこれらの有機化合物の塩、誘導体又は誘導体塩であってよい。これらのうち一種の硫黄化合物が、無電解ニッケルめっき液又は電解ニッケルめっき液に含まれてよく、複数種の硫黄化合物が、無電解ニッケルめっき液又は電解ニッケルめっき液に含まれてもよい。
第二膜8は、例えば、無電解ニッケルめっきにより形成してよい。無電解ニッケルめっきにより形成された第二膜8の厚みは均一になり易い。第二膜8の厚みが均一であるほど、第二膜8が第一膜6又は希土類磁石4を斑なく覆うので、磁石部材2の耐食性が向上し易い。対照的に、電解ニッケルめっきにより形成された第二膜8の厚みは均一になり難い。第二膜8中の硫黄の含有率の制御に関する点を除いて、第一膜6と同様の無電解ニッケルめっきにより、第二膜8を形成してよい。第二膜8用のめっき液における硫黄化合物の含有率は、第一膜6用のめっき液における硫黄化合物の含有率よりも高くてよい。第二膜8用のめっき液における硫黄化合物の含有率が高いほど、第二膜8における硫黄の含有率が高くなり易い。第二膜8は、例えば、電解ニッケルめっきにより形成してもよい。第二膜8中の硫黄の含有率の制御に関する点を除いて、第一膜6と同様の電解ニッケルめっきにより、第二膜8を形成してよい。
上述した磁石部材2は、例えば、ボイスコイルモータ(VCM)、永久磁石同期モータ(IPMモータ、若しくはSPMモータ)、リニア同期モータ又は振動モータ等に用いてよい。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
参考例1)
Nd、Fe及びBを含む希土類磁石を準備した。希土類磁石は直方体状の板であった。希土類磁石の寸法は、縦20mm×横34.5mm×厚み0.7mmであった。
希土類磁石を、脱脂液に5分浸漬し、純水で洗浄した。続いて、希土類磁石を、1.0体積%の硝酸を含む水溶液に2分浸漬し、純水で再び洗浄した。続いて、希土類磁石を、Pdイオンを含む水溶液に5分浸漬し、純水で再び洗浄した。
硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム及び硫黄化合物を含む無電解ニッケルめっき液(第一めっき液)を調製した。硫黄化合物としては、サッカリンナトリウムを含む化合物を用いた。上記の処理を経た希土類磁石を、第一めっき液に10分浸漬した。続いて、第一めっき液から取り出した希土類磁石を純水で洗浄した。このような無電解ニッケルめっきにより、希土類磁石と、希土類磁石の表面全体を覆う第一膜と、を備える試料Aを得た。
上記第一膜の表面の中央に位置する1点における硫黄の含有率を、レーザアブレーション誘導結合プラズマ質量分析(LA−ICP−MS)により測定した。LA−ICP−MS装置としては、横河アナリティカルシステムズ社製のAgilent7500sを用いた。第一膜における硫黄(S)の含有率を、下記表1に示す。なお、LA−ICP−MSにより、第一膜はニッケル、リン及び硫黄を含有することが確認された。
上記第一膜の表面上の15点において、第一膜の厚みを蛍光X線膜厚計により測定した。これ等の測定値から第一膜の厚みの平均値T1を算出した。蛍光X線膜厚計としては、Seiko Instruments Inc製のSFT9300を用いた。T1を、下記表1に示す。
第一めっき液よりも上記硫黄化合物の含有率が高い無電解ニッケルめっき液(第二めっき液)を調製した。上記試料Aを、第二めっき液に20分浸漬した。続いて、第二めっき液から取り出した試料を純水で洗浄した。洗浄後の試料を、90℃で1時間乾燥した。このような無電解ニッケルめっきにより、希土類磁石と、希土類磁石の表面全体を覆う第一膜と、第一膜の表面全体を覆う第二膜と、を備える参考例1の磁石部材を得た。
参考例1の磁石部材の表面(つまり、第二膜の表面)の中央に位置する1点における硫黄の含有率を、上記のLA−ICP−MSにより測定した。第二膜における硫黄(S)の含有率を、下記表1に示す。なお、LA−ICP−MSにより、第二膜はニッケル、リン及び硫黄を含有することが確認された。
第二膜の表面の表面上の15点において、第一膜の厚み及び第二膜の厚みの合計を上記の蛍光X線膜厚計により測定した。これ等の測定値から、第一膜の厚み及び第二膜の厚みの合計の平均値(T1+T2)を算出した。(T1+T2)及びT1から、第二膜の厚みの平均値T2を算出した。T1及びT2から、T2/T1を算出した。T2、(T1+T2)及びT2/T1を、下記表1に示す。
(実施例2〜4、参考例5、実施例6〜18、及び比較例1)
下記の事項を除いて参考例1と同様の方法で、実施例2〜4、参考例5、実施例6〜18、及び比較例1其々の磁石部材を作製した。参考例1と同様の方法で、実施例2〜4、参考例5、実施例6〜18、及び比較例1其々の磁石部材についての測定を行った。各磁石部材についての測定結果を下記表に示す。
各実施例及び参考例5では、第二めっき液における硫黄化合物の含有率を、第一めっき液における硫黄化合物の含有率よりも高い値に調整した。一方、比較例1では、第二めっき液における硫黄化合物の含有率を、第一めっき液における硫黄化合物の含有率よりも低い値に調整した。各実施例、参考例5及び比較例1のいずれにおいても、第一めっき液における硫黄化合物の含有率の調整により、第一膜における硫黄の含有率を制御した。各実施例、参考例5及び比較例1のいずれにおいても、第二めっき液における硫黄化合物の含有率の調整により、第二膜における硫黄の含有率を制御した。
各実施例、参考例5及び比較例1のいずれにおいても、希土類磁石を第一めっき液中に浸漬する時間の調整により、第一膜の厚み(T1)を制御した。第一めっき液における浸漬時間が長いほど、第一膜は厚くなりやり易い。各実施例、参考例5及び比較例1のいずれにおいても、試料Aを第二めっき液中に浸漬する時間の調整により、第二膜の厚み(T2)を制御した。第二めっき液における浸漬時間が長いほど、第二膜は厚くなりやり易い。
[耐食性の評価]
実施例、参考例及び比較例其々の磁石部材の耐食性を、以下のプレッシャークッカーテスト(PCT; Pressure Cooker Test)により評価した。
PCTでは、各磁石部材を恒温槽内に所定の時間設置した。恒温槽内の気圧を1.7×10Paに維持し、恒温槽内の温度を120℃に維持し、恒温槽内の湿度を100%RHに維持した。
実施例、参考例及び比較例其々のPCTの評価を下記表に示す。なお、下記表中のPCTの欄に記載のA、B、C及びDは其々以下の事を意味する。評価結果がA、B又はCである磁石部材は、耐食性に優れる。評価結果がAである磁石部材は、評価結果がBである磁石部材よりも、耐食性に優れる。評価結果がBである磁石部材は、評価結果がCである磁石部材よりも、耐食性に優れる。評価結果がDである磁石部材は、耐食性に劣り、実用に耐えない。
Aとは、磁石部材が恒温槽内に設置されてから40時間経過した時点において、第一膜及び第二膜が磁石部材から剥離しなかったことを意味する。評価がAである磁石部材は、下記B、C及びDには該当しない。
Bとは、磁石部材が恒温槽内に設置されてから40時間経過した時点において、第一膜又は第二膜が磁石部材から剥離したことを意味する。評価がBである磁石部材は、下記C及びDには該当しない。
Cとは、磁石部材が恒温槽内に設置されてから20時間経過した時点において、第一膜又は第二膜が磁石部材から剥離したことを意味する。評価がCである磁石部材は、下記Dには該当しない。
Dとは、磁石部材が恒温槽内に設置されてから10時間経過した時点において、第一膜又は第二膜が磁石部材から剥離したことを意味する。
[密着性の評価]
各実施例、参考例及び比較例1其々の磁石部材における第一膜及び第二膜(保護膜)の密着性を、以下のクロスカット試験によって測定した。クロスカット試験は、日本工業規格(JIS K5600−5−6)に準拠するものであった。クロスカット試験は、以下の手順で行った。
磁石部材の表面に対して刃を垂直に当てて、平行な6本の切込みを等間隔で磁石部材の表面に形成した。切込みとは、直線状の切り傷と言い換えてよい。これら6本の切込みに直交する平行な6本の切込みを等間隔で磁石部材の表面に形成した。以上の工程により、縦6本及び横6本(計12本)の切込みから構成される格子を磁石部材の表面に形成した。つまり、縦5列×横5列(計25個)の升目を磁石部材の表面に形成した。縦方向及び横方向其々における切込みの間隔は、1mmに調整した。
透明な粘着テープの粘着面を磁石部材の表面に貼り付けて、格子全体(全ての升目)を粘着テープで覆った。貼り付けの際には、粘着テープを介して磁石部材の表面が透けて見えるように、磁石部材の表面上の粘着テープを指で擦った。粘着テープの幅は25mmであり、粘着テープの長さは75mmであった。
粘着テープを貼り付けてから5分以内に、テープを磁石部材の表面から剥離した。剥離を開始してから粘着テープ全体が完全に剥離するまでの時間を、約0.5〜1.0秒に調整した。つまり、テープを素早く磁石部材の表面から剥離した。隔離中、粘着テープと磁石部材の表面とのなす角度を、約60°に維持した。
粘着テープが剥がされた磁石部材の表面を目視し、保護膜(第一膜及び第二膜)の剥がれの有無を調べた。状態を確認した。
以上のクロスカット試験に基づき、各磁石部材における保護膜の密着性を評価した。保護膜の密着性は、以下の5段階のランクに基づき評価した。ランクが1〜3のいずれかであった各磁石部材は、保護膜の密着性に優れている。ランクが4又は5であった磁石部材は、保護膜の密着性に劣り、実用に耐えない。各磁石部材の密着性のランクを下記表の「クロスカット試験」の欄に示す。
<ランク1> 切込みの交差点における保護膜の小さな剥がれがある。剥がれ率が5%以下である。
<ランク2> 保護膜が切込みの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれている。剥がれ率が5%超15%以下である。
<ランク3> 保護膜が切込みの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は升目のいろいろな部分が、部分的又は全面的に剥がれている。剥がれ率が15%超35%以下である。
<ランク4> 保護膜が切込みの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は数か所の升目が部分的又は全面的に剥がれている。剥がれ率が35%超65%以下である。
<ランク5> ランク4より剥がれ率が大きい。
なお、「剥がれ率」とは、全升目の面積に対する「剥がれ」の面積の割合である。「剥がれ」の面積とは、格子内において保護膜が剥がれた部分の面積の合計である。
[総合評価]
実施例、参考例及び比較例其々の総合評価を、下記表に示す。なお、下記表中の総合評価の欄に記載のA’、B’、C’及びD’は其々以下の事を意味する。A’、B’又はC’である磁石部材は、耐食性及び保護膜の密着性に優れる。総合評価がD’である磁石部材は、実用に耐えない。
A’とは、PCTの評価がAであり、且つ、クロスカット試験の評価(ランク)が1であることを意味する。
B’とは、PCTの評価がAであり、且つ、ランクが2であることを意味する。またはB’とは、PCTの評価がBであり、且つ、ランクが1又は2であることを意味する。
C’とは、PCTの評価がCであり、且つ、ランクが1又は2であることを意味する。または、C’とは、ランクが3であることを意味する。
D’とは、PCTの評価がDであることを意味する。またはD’とは、ランクが4又は5であることを意味する。
Figure 0005850193
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本発明の一側面に係る磁石部材は、例えば、HDDが備えるVCM用の永久磁石に適用される。
2…磁石部材、4…希土類磁石、6…第一膜、6a…第一膜の厚み、8…第二膜、8a…第二膜の厚み。

Claims (3)

  1. 希土類元素、遷移金属元素及びホウ素を含む希土類磁石と、
    ニッケル、リン及び硫黄を含み、前記希土類磁石を覆う第一膜と、
    ニッケル、リン及び硫黄を含み、前記第一膜を覆う第二膜と、
    を備え、
    前記第二膜における硫黄の含有率が、前記第一膜における硫黄の含有率よりも高く、
    前記第一膜における硫黄の含有率が、390〜620質量ppmであり、
    前記第二膜における硫黄の含有率が、560〜2240質量ppmである、
    磁石部材。
  2. 前記第一膜の厚みが、0.5〜1.6μmであり、
    前記第二膜の厚みが、1.0〜8.7μmであり、
    前記第二膜の厚みが、前記第一膜の厚みの2倍以上10.9倍以下である、
    請求項1に記載の磁石部材。
  3. 前記第一膜が前記希土類磁石の表面全体を覆い、
    前記第二膜が前記第一膜の表面全体を覆う、
    請求項1又は2に記載の磁石部材。
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