JP5920510B1 - 磁石部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐食性と高い硬度とを有する磁石部材を提供する。【解決手段】磁石部材2は、希土類元素、遷移金属元素及びホウ素を含む希土類磁石4と、ニッケル及びリンを含み、希土類磁石4を覆う第一膜6と、ニッケルを含み、第一膜6を覆う第二膜8と、を備え、第一膜6が非晶質であり、第二膜8が結晶質であり、第一膜の厚み6a及び第二膜の厚み8aの合計が、10μm未満である。【選択図】図1

Description

本発明は磁石部材に関する。
希土類元素R、遷移金属元素T(鉄等)及びホウ素Bを含むR−T−B系希土類磁石は、磁気特性に優れるため、様々な分野で実用されている。しかしながら、R−T−B系希土類磁石の主成分である希土類元素R及び遷移金属元素Tは酸化され易い。したがって、R−T−B系希土類磁石は他の磁石に比べて腐食し易い。腐食は磁気特性の劣化及びばらつきを招く。R−T−B系希土類磁石の耐食性を向上させる方法として、耐食性を有する保護膜により希土類磁石の表面を覆う方法が従来から知られている。保護膜としては、ニッケルめっき膜又はニッケル合金めっき膜が従来から知られている(下記特許文献1及び2参照。)。以下では、場合により、R−T−B系希土類磁石を単に「希土類磁石」と記す。保護膜で覆われた希土類磁石を、「磁石部材」と記す。
特開平8−3763号公報 特開2001−230106号公報
磁石部材が、例えばハードディスクドライブ(HDD)のように、小さく薄い電子機器に搭載される場合、小さく薄い磁石部材が要求される。しかし、磁石部材が小さく薄いほど、磁石部材の磁束密度は低下してしまう。保護膜を均一に薄くして、磁石部材における希土類磁石自体の体積の割合を増やすことにより、磁束密度の低下を抑制することができる。しかし、保護膜が薄いほど、磁石部材の耐食性は劣化してしまう。したがって、保護膜が薄いにもかかわらず、耐食性に優れた磁石部材が求められる。例えば、保護膜の厚みが10μm未満であるにもかかわらず、耐食性に優れた磁石部材が求められる。
また、磁石部材が、他の部材と接触したり擦れ合ったりする場合、衝撃又は摩擦によって磁石部材の保護膜が破損して、保護膜に由来する微小な破片が発生する。この破片は他の部材を汚染するゴミ(パーティクル)となる。例えば、磁石部材が、HDDのボイスコイルモータ(VCM)に用いられる場合、磁石部材はヘッドスタックアセンブリ(HSA)のコイル部と接触したり擦れ合ったりする。その結果、保護膜が破損して、保護膜に由来する微小なゴミ(パーティクル)が磁気ディスクの表面を汚染したり傷付けたりする。したがって、耐衝撃性及び耐摩耗性に優れた磁石部材が求められる。磁石部材の耐衝撃性及び耐摩耗性を向上させるためには、磁石部材の硬度を高めなければならない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐食性と高い硬度とを有する磁石部材を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る磁石部材は、希土類元素、遷移金属元素及びホウ素を含む希土類磁石と、ニッケル及びリンを含み、希土類磁石を直接覆う第一膜と、ニッケルを含み、第一膜を直接覆う第二膜と、を備え、第一膜が非晶質であり、第二膜が結晶質であり、第一膜の厚み及び第二膜の厚みの合計が、10μm未満である。
本発明の一側面においては、第二膜がリンを含んでよく、第一膜におけるリンの濃度(含有率)が、9.9〜19.2原子%であってよく、第二膜におけるリンの濃度(含有率)が、0.9〜7.1原子%であってよい。
本発明の一側面においては、第一膜の厚みが、0.5〜1.6μmであってよく、第二膜の厚みが、1.0〜8.8μmであってよく、第二膜の厚みが、第一膜の厚みの2倍以上11倍以下であってよい。
本発明の一側面においては、第二膜が、無電解ニッケルめっきにより形成されてよい。
本発明によれば、耐食性と高い硬度とを有する磁石部材が提供される。
図1中のa(図1a)は、本発明の一実施形態に係る磁石部材の模式的斜視図であり、図1中のb(図1b)は、図1aに示すb−b線に沿った磁石部材の模式的断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について説明する。各図面において、同一又は同等の構成要素には同一の符号を付す。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
図1aに示すように、本実施形態に係る磁石部材2は、例えば扇形の板であってよい。ただし、磁石部材2の形状は扇形に限定されない。例えば、磁石部材2は、略直方体、又は略円板であってもよい。図1bに示すように、磁石部材2は、希土類磁石4と、希土類磁石4の表面を覆う第一膜6と、第一膜6の表面を覆う第二膜8、とを備える。第一膜6及び第二膜8は、希土類磁石4を保護し、希土類磁石4の腐食(例えば酸化)を抑制する。以下では、第一膜6及び第二膜8からなる二重の膜を、「保護膜」と記す場合がある。第一膜6は、希土類磁石4の表面の一部又は全体を覆っていてよい。第二膜8は、第一膜6の表面の一部又は全体を覆っていてよい。第二膜8の一部が、希土類磁石4の表面の一部を直接覆っていてもよい。希土類磁石4の表面全体が、第一膜6又は第二膜8のいずれかによって完全に覆われていてよい。つまり、希土類磁石4の表面全体が全く露出していなくてよい。磁石部材2全体の寸法は、例えば、縦4〜50mm×横5〜100mm×厚み0.5〜10mmであってよい。磁石部材2全体の厚みとは、図1aのb−b線方向における磁石部材2の幅と言い換えてよい。
希土類磁石4は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを含有する。希土類元素Rは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種であればよい。遷移金属元素Tは、Fe及びCoのうち少なくともいずか又は両方であってよい。希土類磁石4は、必要に応じて、Mn,Nb,Zr,Ti,W,Mo,V,Ga,Zn,Si,Cu,Al及びBiから群より選ばれる少なくとも一種の元素を更に含んでもよい。希土類磁石4自体は、一般的な方法によって調製してよい。例えば、上元素を含有する原料粉末を成形して焼結することにより、希土類磁石4自体が調製される。
第一膜6は、ニッケル(Ni)及びリン(P)を含み、非晶質(アモルファス)である。第二膜8は、ニッケルを含み、結晶質である。第一膜6の厚み6a及び第二膜8の厚み8aの合計は、10μm未満である。第一膜6の厚み6a及び第二膜8の厚み8aの合計は、1μm以上10μm未満であってよく、1.1μm以上9.9μm以下であってもよく、1.5μm以上9.6μm以下であってもよい。第一膜6の厚み6aは平均値であってよい。第二膜8の厚み8aも平均値であってよい。
本実施形態では、保護膜が薄いため、磁石部材2における希土類磁石4の体積の割合が大きい。したがって、磁石部材2は高い残留磁束密度を有することができる。また本実施形態では、保護膜が薄くとも、磁石部材2が耐食性と高い硬度とを有することができる。磁石部材2の硬度とは、保護膜の硬度、又は第二膜8の硬度と言い換えてよい。
仮に第一膜6が結晶質であり、第二膜8が非晶質である場合、磁石部材2の硬度が低下する。結晶質膜に比べて硬度が低い非晶質膜が磁石部材の最表面に位置するからである。仮に第一膜6及び第二膜8のいずれも結晶質である場合、磁石部材2の耐食性が劣化する。結晶質膜の結晶粒界は、希土類磁石4を腐食させる成分(例えば水分)の侵入経路となるからである。仮に第一膜6及び第二膜8のいずれも非晶質である場合、磁石部材2の硬度が低下する。結晶質膜に比べて硬度が低い非晶質膜が磁石部材の最表面に位置するからである。
第一膜6は、ニッケル及びリンのみからなっていてよい。第一膜6におけるリン以外の残部は、ニッケルのみであってよい。第一膜6におけるリンの濃度は、8.7〜20.2原子%、9.9〜19.2原子%、又は10〜19原子%であってよい。第一膜6におけるリンの濃度が9.9〜19.2原子%である場合、耐食性が向上し易い。第二膜8は、Niのみからなっていてよい。第二膜8は、リンを含まなくてよい。第二膜8は、リンを含んでもよい。第二膜8におけるリン以外の残部は、ニッケルのみであってよい。第二膜8がリンを含む場合の磁石部材2の耐食性は、第二膜8がリンを含まない場合の磁石部材2の耐食性よりも優れる。第二膜8におけるリンの濃度は、0〜7.8原子%、0.9〜7.1原子%、又は1〜7原子%であってよい。第二膜8におけるリンの濃度が0.9原子%以上である場合、耐食性が向上し易い。第二膜8におけるリンの濃度が7.1原子%以下である場合、硬度が高まり易い。第一膜6又は第二膜8は、ニッケル及びリン以外に、例えば、ホウ素又は硫黄を含んでもよい。
第一膜6の厚み6aは、0.3〜1.9μm、0.5〜1.6μm、又は0.5〜1.5μmであってよい。第一膜6の厚み6aが0.5〜1.6μmである場合、耐食性が向上し易い。第二膜8の厚み8aは、0.6〜9.1μm、1.0〜8.8μm、又は1.0〜8.5μmであってよい。第二膜8の厚み8aが1.0〜8.8μmである場合、耐食性が向上し易い。第二膜8の厚み8aがT2であり、第一膜6の厚み6aがT1であるとき、T2/T1は2〜11、又は2〜10であってよい。T2/T1が2〜11である場合、耐食性が向上し易い。
第一膜6は、例えば、無電解ニッケルめっきにより形成してよい。無電解ニッケルめっきにより、均一な厚みの第一膜6を形成し易い。第一膜6中のリンは、めっき液に含まれる還元剤である次亜リン酸塩(例えば、次亜リン酸ナトリウム)に由来する。したがって、めっき液における次亜リン酸塩の含有率の調整により、第一膜6におけるリンの濃度を自在に制御することができる。めっき液における次亜リン酸塩の含有率が高いほど、第一膜6におけるリンの濃度が高くなり易い。第一膜6におけるリンの濃度が高いほど、第一膜6が非晶質になり易い。無電解ニッケルめっき条件を調整することにより、第一膜6の厚みを自在に制御することができる。調整される無電解ニッケルめっき条件は、例えば、めっき液におけるニッケルの含有率、還元剤の含有率、めっき液の温度、めっき液のpH、又は希土類磁石4をめっき液(めっき浴)に浸漬する時間等であってよい。還元剤として、次亜リン酸塩に加えて、ジメチルアミンボラン(DMAB)又はヒドラジンをめっき液に添加してもよい。第一膜6は、例えば、電解ニッケルめっきにより形成してもよい。電解ニッケルめっきにより形成される第一膜6中のリンは、電解めっき液中に添加する亜リン酸に由来する。したがって、亜リン酸の添加量により、第一膜6におけるリンの濃度を自在に制御することができる。電解ニッケルめっき条件を調整することにより、第一膜6の厚みを自在に制御することができる。調整される電解ニッケルめっき条件は、めっき液におけるニッケルの含有率、めっき液の温度、めっき液のpH、希土類磁石4における電流密度、又はめっき液に電流を流す時間等であってよい。
第二膜8は、例えば、無電解ニッケルめっきにより形成してよい。無電解ニッケルめっきにより形成された第二膜8の厚みは均一になり易い。第二膜8の厚みが均一であるほど、第二膜8が第一膜6又は希土類磁石4を斑なく覆うので、磁石部材2の耐食性が向上し易い。対照的に、電解ニッケルめっきにより形成された第二膜8の厚みは均一になり難い。第二膜8中のリンの濃度の制御に関する点を除いて、第一膜6と同様の無電解ニッケルめっきにより、第二膜8を形成してよい。第二膜8用のめっき液における次亜リン酸塩の含有率は、第一膜6用のめっき液における次亜リン酸塩の含有率よりも低くてよい。めっき液における次亜リン酸塩の含有率が低いほど、第二膜8におけるリンの濃度が低くなり易い。第二膜8におけるリンの濃度が低いほど、第一膜6が結晶質になり易い。リンを含有しない第二膜8を無電解ニッケルめっきにより形成する場合、例えば、ジメチルアミンボラン(DMAB)又はヒドラジンのように、リンを含有しない還元剤を用いればよい。第二膜8は、例えば、電解ニッケルめっきにより形成してもよい。第二膜8中のリンの濃度の制御に関する点を除いて、第一膜6と同様の電解ニッケルめっきにより、第二膜8を形成してよい。
電解ニッケルめっき又は無電解ニッケルめっき以外の方法で、第二膜8を形成してもよい。例えば、非晶質の第一膜6の表面のみを局所的に400〜600℃で加熱して、第一膜6の表面のみを結晶質の第二膜8に変化させてもよい。
上述した磁石部材2は、例えば、VCM、永久磁石同期モータ(IPMモータ、若しくはSPMモータ)、リニア同期モータ又は振動モータ等に用いてよい。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
Nd、Fe及びBを含む希土類磁石を準備した。希土類磁石は直方体状の板であった。希土類磁石の寸法は、縦20mm×横34.5mm×厚み0.7mmであった。
希土類磁石を、脱脂液に5分浸漬し、純水で洗浄した。続いて、希土類磁石を、1.0体積%の硝酸を含む水溶液に2分浸漬し、純水で再び洗浄した。続いて、希土類磁石を、Pdイオンを含む水溶液に5分浸漬し、純水で再び洗浄した。
硫酸ニッケル、及び次亜リン酸ナトリウムを含む無電解ニッケルめっき液(第一めっき液)を調製した。上記の処理を経た希土類磁石を、第一めっき液に10分浸漬した。続いて、第一めっき液から取り出した希土類磁石を純水で洗浄した。このような無電解ニッケルめっきにより、希土類磁石と、希土類磁石の表面全体を覆う第一膜と、を備える試料Aを得た。
X線回折(XRD)装置により、試料AのX線回折パターンを測定した。XRD装置としては、PANalytical社製のX’PERT PRO MPDを用いた。XRDパターンにおいて、ニッケルの結晶格子の(111)面に固有の急峻なピーク(sharpなピーク)がある場合、第一膜の結晶構造は結晶質である。ニッケルの結晶格子の(111)面に由来するピークが緩やか(broad)である場合、第一膜の結晶構造は非晶質である。第一膜の結晶構造を、下記表1に示す。
上記第一膜の表面の中央に位置する1点におけるリンの濃度を、レーザアブレーション誘導結合プラズマ質量分析(LA−ICP−MS)により測定した。LA−ICP−MS装置としては、横河アナリティカルシステムズ社製のAgilent7500sを用いた。第一膜におけるリンの濃度を、下記表1に示す。
上記第一膜の表面上の15点において、第一膜の厚みを蛍光X線膜厚計により測定した。これ等の測定値から第一膜の厚みの平均値T1を算出した。蛍光X線膜厚計としては、Seiko Instruments Inc製のSFT9300を用いた。T1を、下記表1に示す。
第一めっき液よりも次亜リン酸ナトリウムの含有率が低い無電解ニッケルめっき液(第二めっき液)を調製した。上記試料Aを、第二めっき液に20分浸漬した。続いて、第二めっき液から取り出した試料を純水で洗浄した。洗浄後の試料を、90℃で1時間乾燥した。このような無電解ニッケルめっきにより、希土類磁石と、希土類磁石の表面全体を覆う第一膜と、第一膜の表面全体を覆う第二膜と、を備える実施例1の磁石部材を得た。
実施例1の磁石部材の表面(つまり、第二膜の表面)の中央に位置する1点におけるリンの濃度を、上記のLA−ICP−MSにより測定した。第二膜におけるリンの濃度を、下記表1に示す。
第二膜の表面の表面上の15点において、第一膜の厚み及び第二膜の厚みの合計を上記の蛍光X線膜厚計により測定した。これ等の測定値から、第一膜の厚み及び第二膜の厚みの合計の平均値(T1+T2)を算出した。(T1+T2)及びT1から、第二膜の厚みの平均値T2を算出した。T1及びT2から、T2/T1を算出した。T2、(T1+T2)及びT2/T1を、下記表1に示す。
第一膜及び第二膜に覆われていない別の希土類磁石を準備した。別の希土類磁石は、上記実施例1の磁石部材の作製に用いたものと同じ寸法、形状及び組成を有するものであった。この希土類磁石を、脱脂液に5分浸漬し、純水で洗浄した。続いて、希土類磁石を、1.0vol%の硝酸を含む水溶液に2分浸漬し、純水で再び洗浄した。続いて、希土類磁石を、Pdイオンを含む水溶液に5分浸漬し、純水で再び洗浄した。希土類磁石を、上記の第二めっき液に120分浸漬した。続いて、第二めっき液から取り出した希土類磁石を純水で洗浄した。このような無電解ニッケルめっきにより、希土類磁石と、希土類磁石の表面全体を直接覆う第二膜と、を備える試料Bを得た。
試料BのXRDパターンを上記と同じ装置で測定した。上記と同様の方法で第二膜の結晶構造を特定した。第二膜の結晶構造を、下記表1に示す。試料Bを用いて特定された第二膜の結晶構造は、実施例1の磁石部材が備える第二膜の結晶構造と同じものとみなされる。
(実施例2〜19、及び比較例1〜3)
下記の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2〜19、及び比較例1〜3其々の磁石部材を作製した。実施例1と同様の方法で、実施例2〜19、及び比較例1〜3其々の磁石部材についての測定を行った。各磁石部材についての測定結果を下記表に示す。
各実施例及び比較例3では、第一めっき液における次亜リン酸ナトリウムの含有率を0.3〜0.5mol/Lの範囲内で調整することにより、非晶質である第一膜を形成した。
各実施例(実施例10を除く。)及び比較例2は、第二めっき液における次亜リン酸ナトリウムの含有率を0.1〜0.3mol/Lの範囲内で調整することにより、結晶質である第二膜を形成した。
実施例10では、還元剤として、次亜リン酸ナトリウムではなく、ジメチルアミンボランを第二めっき液へ添加した。
比較例1及び2では、上記実施例に比べて次亜リン酸ナトリウムの含有率が低い第一めっき液を用いることにより、結晶質である第一膜を形成した。比較例1及び3では、上記実施例に比べて次亜リン酸ナトリウムの含有率が高い第二めっき液を用いることにより、非晶質である第二膜を形成した。
実施例及び比較例のいずれにおいても、希土類磁石を第一めっき液中に浸漬する時間の調整により、第一膜の厚み(T1)を制御した。第一めっき液における浸漬時間が長いほど、第一膜は厚くなりやり易い。実施例及び比較例のいずれにおいても、試料Aを第二めっき液中に浸漬する時間の調整により、第二膜の厚み(T2)を制御した。第二めっき液における浸漬時間が長いほど、第二膜は厚くなりやり易い。
[耐食性の評価]
実施例及び比較例其々の磁石部材の耐食性を、以下のプレッシャークッカーテスト(PCT; Pressure Cooker Test)により評価した。
PCTでは、各磁石部材を恒温槽内に所定の時間設置した。恒温槽内の気圧を1.7×10Paに維持し、恒温槽内の温度を120℃に維持し、恒温槽内の湿度を100%RHに維持した。
実施例及び比較例其々のPCTの評価を下記表に示す。なお、下記表中のPCTの欄に記載のA、B及びCは其々以下の事を意味する。評価結果がA又はBである磁石部材は、耐食性に優れる。評価結果がAである磁石部材は、評価結果がBである磁石部材よりも、耐食性に優れる。評価結果がCである磁石部材は、耐食性に劣り、実用に耐えない。
Aとは、磁石部材が恒温槽内に設置されてから20時間経過した時点において、第一膜及び第二膜の磁石部材からの剥離、並びに磁石部材表面の変色のいずれも起こらなかったことを意味する。当然、評価がAである磁石部材は、下記B及びCには該当しない。
Bとは、磁石部材が恒温槽内に設置されてから20時間経過した時点において、第一膜若しくは第二膜の磁石部材からの剥離、又は磁石部材表面の変色が確認されたことを意味する。当然、評価がBである磁石部材は、下記Cには概当しない。
Cとは、磁石部材が恒温槽内に設置されてから10時間経過した時点において、第一膜若しくは第二膜の磁石部材からの剥離、又は磁石部材表面の変色が確認されたことを意味する。
[硬度の評価]
実施例及び比較例其々の磁石部材のビッカース硬さを、以下の試験によって測定した。
試験には、ダイヤモンドからなる圧子を用いた。圧子の先端の形状は、対面角αが約136°である正四角錐であった。圧子の先端を、0.05Nで10秒間、各磁石部材の表面に対して略垂直に押し付けた。続いて、各磁石部材の表面に生じた四辺形の圧痕の2つの対角線の長さを測定した。測定結果に基づき、下記式から、各磁石部材のビッカース硬さ(HV)を算出した。
ビッカース硬さ=0.1891×F[N]/d[mm]
上記式中、F[N]は0.05Nである。つまり、Fは、圧子の先端が磁石部材の表面に及ぼした力(荷重)である。dは、圧痕の2つの対角線の長さの平均値である。
各磁石部材のビッカース硬さの評価を下記表に示す。なお、下記表中のビッカース硬さの欄に記載のA、B及びCは其々以下の事を意味する。磁石部材の硬度が高いほど、磁石部材は耐摩耗性に優れる。評価結果がCである磁石部材は、耐摩耗性に劣り、実用に耐えない。
Aとは、ビッカース硬さがHV750以上であることを意味する。
Bとは、ビッカース硬さがHV500以上HV750未満であることを意味する。
Cとは、ビッカース硬さがHV500未満であることを意味する。
[総合評価]
実施例及び比較例其々の総合評価を、下記表に示す。なお、下記表中の総合評価の欄に記載のA’、B’及びC’は其々以下の事を意味する。総合評価がC’である磁石部材は、実用に耐えない。
A’とは、PCTの評価及びビッカース硬さの評価のいずれもAであることを意味する。
B’とは、PCTの評価及びビッカース硬さの評価のいずれもCではなく、PCTの評価及びビッカース硬さの評価のうち少なくとも一方がBであることを意味する。
C’とは、PCTの評価及びビッカース硬さの評価のうち少なくとも一方がCであることを意味する。
Figure 0005920510
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本発明の一側面に係る磁石部材は、例えば、HDDが備えるVCM用の永久磁石に適用される。
2…磁石部材、4…希土類磁石、6…第一膜、6a…第一膜の厚み、8…第二膜、8a…第二膜の厚み。

Claims (4)

  1. 希土類元素、遷移金属元素及びホウ素を含む希土類磁石と、
    ニッケル及びリンを含み、前記希土類磁石を直接覆う第一膜と、
    ニッケルを含み、前記第一膜を直接覆う第二膜と、
    を備え、
    前記第一膜が非晶質であり、
    前記第二膜が結晶質であり、
    前記第一膜の厚み及び前記第二膜の厚みの合計が、10μm未満である、
    磁石部材。
  2. 前記第二膜がリンを含み、
    前記第一膜におけるリンの濃度が、9.9〜19.2原子%であり、
    前記第二膜におけるリンの濃度が、0.9〜7.1原子%である、
    請求項1に記載の磁石部材。
  3. 前記第一膜の厚みが、0.5〜1.6μmであり、
    前記第二膜の厚みが、1.0〜8.8μmであり、
    前記第二膜の厚みが、前記第一膜の厚みの2倍以上11倍以下である、
    請求項1又は2に記載の磁石部材。
  4. 前記第一膜が前記希土類磁石の表面全体を直接覆い、
    前記第二膜が前記第一膜の表面全体を直接覆う、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁石部材。
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