JP5849433B2 - 二次電池用電極端子 - Google Patents
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Description
このようなリチウムイオン電池の電池要素を封止する包装材として、従来は金属製の缶が用いられてきた。これに対して近年では、製品の薄型化や多様化の要求に対して低コストに対応すべく、アルミニウム箔に積層した樹脂フィルムを袋状に形成したラミネート包装材が用いられるようになってきている。
図3に示すように、この二次電池用電極端子20は、電池要素に電気的に接続された金属端子(リード)23と、これを包み込む樹脂フィルム(シーラント)21とから構成される。正極の金属端子23にはアルミニウムが用いられ、腐食防止表面処理22が施されていることが多い。負極の金属端子23にはニッケルあるいは銅が用いられている。樹脂フィルム21は、金属端子23と包装材との間の熱接着時における密封性を確保する役割を有している。
即ち、本発明に係る二次電池用電極端子は、包装材の内部に封止された電池要素から前記包装材の外部に向かって引き出される二次電池用電極端子であって、前記電池要素に電気的に接続されて前記包装材の外部に向かって延在する金属端子と、該金属端子の延在方向に直交する方向である厚み方向両側から前記金属端子を挟み込むようにして互いに接着される一対の樹脂フィルムとを備え、前記樹脂フィルムは、前記金属端子と熱接着可能な樹脂からなる一対の接着樹脂層と、前記一対の接着樹脂層によって挟み込まれ、該接着樹脂層よりも融点の高い耐熱樹脂層とが積層されてなり、前記電極端子の幅方向における前記金属端子が存在しない領域、かつ、前記一対の樹脂フィルムが互いに接着されている領域のみからなるマージン部における前記厚み方向の厚みの前記金属端子の幅方向の端部から幅方向に離間する方向に向かって1mm当たりの変化量の最大値が、0.17mmとされ、前記一対の樹脂フィルムは、樹脂封止層を介して互いに接着され、前記金属端子の延在方向に直交する方向における前記金属端子の厚みが、200μm以上とされ、前記耐熱樹脂層のメルトフローレートが5g/10min以下とされている。
ここで、マージン部の厚みを金属端子から離間するに従って過度に薄く形成した場合、樹脂フィルムを金属端子の形状に従って大きく屈曲させることになるため、樹脂フィルムに対しては金属端子から剥離する方向への力が加わり易い。この点、本発明においては、金属端子から離間する方向に向かってのマージン部の厚みの1mm当たりの変化量を0.17mm以下としたため、樹脂フィルムが金属端子に従って必要以上に屈曲してしまうことを回避できる。
図1に示すように、電極端子30は、包装材10(図2参照)の内部に封止された電池要素(図示)省略から電力を取り出す役割を有するものである。この電極端子30はその一部が包装材10の外部に露出するように該包装材10によって電池要素と一体的に封止されている。
電極端子30及びこれが接続された電池要素を封止する包装材10としては、例えば図2に示すように、外層11の一方の面に、外層側接着層12、バリア層13、腐食防止処理層14、内層側接着層15、内層16が順次積層された積層体が用いられる。
外層11は、リチウムイオン電池等の製造時のシール工程における耐熱性付与、加工や流通の際に生じうるピンホールの発生を抑制する役割を有している。外層11としては、絶縁性を有する樹脂層を用いるのが好ましい。該樹脂層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸または未延伸フィルムを用いることができ、この中でも成形性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性を向上させるという点で、延伸ポリアミドフィルムや延伸ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。さらに、成形性の向上に寄与する引張り強度、伸び率等の機械特性の観点からは、二軸延伸ポリアミドフィルムを用いることが好ましい。
なお、外層11には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を配合してもよい。
外層側接着層12としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールを主剤としたポリウレタン系接着剤を用いることが好ましい。外層側接着層12の厚さは、1〜10μmと設定することが好ましく、3〜7μmと設定することがより好ましい。
バリア層13としては、防湿性の点からアルミニウム、ステンレス鋼列等の金属箔を用いることが好ましく、さらに比重、比強度、延展性の点からアルミニウム箔を用いることがより好ましい。アルミニウム箔は比重が小さく、比強度が大きいため、より軽く、より高強度の包装材10を作製できる。また、延展性が大きいことにより、成形時にピンホール等がより発生し難くなるといった利点もある。
また、対ピンホール性に優れ、及び成形時の延展性を付与できる点から、鉄を含むアルミニウムを用いることがより好ましい。この場合、アルミニウム箔(100質量%)中の鉄の含有量は、0.1〜9.0質量%とすることが好ましく、0.5〜2.0質量%と設定することがより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であれば、対ピンホール性、延展性を向上させることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であれば、柔軟性を向上させることができる。
なお、バリア層13としては、厚さが10〜150μmの軟質アルミニウム箔を用いることが特に好ましい。
腐食防止層は、バリア層13の内層側に設けられ、バリア層13と内層側接着層15とを強固に密着させるとともに、バリア層13を電解液から発生するフッ酸から保護する役割を有している。
腐食防止処理層14の形成は、化成処理、陽極酸化等により行なうことが好ましい。化成処理としては、良好なフッ酸耐性が得られる点から、例えば、Cr、Zr、Ti、Ce等の耐食元素にフッ化物、リン酸化合物、樹脂等を添加したものが使用できる。化成処理による腐食防止処理層14の形成方法としては、ディップ法、塗工法等が挙げられるが、処理液の調整、維持等が簡便な点から、塗布型の化成処理を採用することがより好ましい。
腐食防止処理層14の形成の前には、脱脂・表面酸化膜の除去のために前処理をすることが有効であるが、塗布型化成処理の場合は、化成処理液の塗工とは別のラインで前処理を行なう必要があり、工程数増となりコストの面でデメリットとなる。一方で、ディップ式の場合は薬液槽を増設するだけで前処理が可能であり、前処理での負担は塗布型化成処理よりは軽微なものとなる。よって、塗布型化成処理を行なう場合に、フッ素成分を含有することはより有益であり、本実施形態の構成はフッ素成分含有の塗布型化成処理により有効である。
内層側接着層15を構成する成分としては、ポリオレフィン系樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。酸変性ポリオレフィン系樹脂とは、酸をグラフト重合して変性したポリオレフィン系樹脂を意味する。酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合して変性した無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度、高密度のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体;ホモ、ブロック、またはランダムポリプロピレン;プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。
内層16は包装材10においてヒートシールによる封止性を付与するシーラント層である。内層16としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸などをグラフト重合して変性させた酸変性ポリオレフィン樹脂からなるフィルムが挙げられる。なかでも酸変性ポリオレフィン樹脂からなるフィルムが好ましく、無水マレイン酸をグラフト重合して変性した無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂からなるフィルムがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度、高密度のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体;ホモ、ブロック、またはランダムポリプロピレン;プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の電極端子30は上記包装材10の内層16が電極端子30に接触するように該包装材10によって挟持された状態で電池要素ごと包装材10内に封止される。なお、包装材10は熱接着されることによって電極端子30を封止する。
この電極端子30は、電池要素に電気的に接続された金属端子31と、該金属端子31を挟持する一対の樹脂フィルム35と、これら一対の樹脂フィルム35を互いに接着する樹脂封止層34とを備えている。
金属端子31は、包装材10の内部に封止される電池要素から該包装材10の外部に向かって延在する端子である。本実施形態においては、金属端子31におけるその延在方向に直交する断面形状は矩形状をなしている。
金属端子31には電池内部の腐食物質により侵され、隣接するシーラントとの剥離を防ぐために金属端子31には表面処理されていることが好ましい。表面処理としては、クロメート処理、りん酸亜鉛処理、チタンやジルコニウムなどの遷移系金属を用いた非クロム系処理、またはアクリル系、エポキシ系、フェノール系の熱硬化性樹脂の塗布、またはこれらの金属と樹脂との混合物を塗布したものや、積層処理、水和酸化処理、陽極酸化処理等が挙げられる。ただし、隣接する樹脂との接着性や耐食性、連続処理性を考慮すると、クロメート処理を採用することが好ましい。
樹脂フィルム35は、金属端子31を該金属端子31の延在方向に直交する方向、即ち、金属端子31の厚み方向両側から挟み込むようにして一対が設けられており、金属端子31の形状に従って屈曲した形状をなしている。これら一対の樹脂フィルム35は、金属端子31の厚み方向の寸法の略中間位置において、金属端子31の幅方向に延びる面を境界として互いに接着されている。
この樹脂フィルム35は、複数層から構成されており、一対の接着樹脂層32によって耐熱樹脂層33が挟み込まれた構造をなしている。即ち、この樹脂フィルム35は、接着樹脂層32、耐熱樹脂層33及び接着樹脂層32が順次積層された構成をなしている。
接着樹脂層32は、一対の樹脂フィルム35を互いに接着する役割を有している。この接着樹脂層32は、金属及び樹脂の双方に接着可能な樹脂であって、例えばカルボン酸変性樹脂やマレイン酸変性樹脂等のポリオレフィン樹脂を変性させた樹脂を用いることができる。即ち、一対の接着樹脂層32のうちの一方は金属端子31に接着され、他方は包装材10の内層16に接着される。特に、一対の接着樹脂層32のうちの他方としては、包装材10の内層16がポリオレフィン樹脂であることが多いため、酸変性ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。
この耐熱樹脂層33は、接着樹脂層32よりも高い融点を有する樹脂からなり、特に接着樹脂層32として包装材10の内層16の融点以下の樹脂を用いる場合に樹脂フィルム35内に設けられる。なお、耐熱樹脂層33の融点は接着樹脂層32の融点よりも15℃以上高いことが好ましい。
この耐熱樹脂層33によって、包装材10と電極端子30とが熱接着する際の樹脂の流出による短絡を防止することができる。
樹脂封止層34は、一対の樹脂フィルム35を互いに接着する役割を有しており、金属端子31における該金属端子31の幅方向外側の領域において一対の樹脂フィルム35の境界に沿って配置されている。
その一方で、本実施形態においては、マージン部36の厚みの金属端子31の上記端部37から幅方向に離間する方向に向かって1mm当たりの変化量が、0.17mm以下となるように該マージン部36が形成されている。
樹脂フィルム35を構成する樹脂層や樹脂封止層34が主に熱可塑性樹脂によって構成される場合には、Tダイ法やインフレ法といった一般的なフィルム成型方法によって作成することができる。
上述した電極端子30を作成するには、まず、金属端子31の厚み方向両側に一対の樹脂フィルム35を配置するとともに、一対の樹脂フィルム35同士が接着する部分に樹脂封止層34を配置する。その後、加熱板によって金属端子31の厚み方向両側から樹脂フィルム35ごと挟み込み、一対の樹脂フィルム35を樹脂封止層34を介して接着させることで、これら一対の樹脂フィルム35内に金属端子31を封止する。
この場合、大きく屈曲した樹脂フィルム35は、その復元力により元の形状に戻ろうとする。これによって、樹脂フィルム35には、該樹脂フィルム35を金属端子31から剥離する方向への力が加わり易くなり、剥離の発生が起こり易くなってしまう。
金属端子31として、幅60mm、長さ50mm、厚み0.15mm、0.2mmのアルミ製の金属端子31を使用した。この金属端子31の端面にはバリ取りのみを実施し、R面取りやテーパー処理は行っていない。
樹脂フィルム35における接着樹脂層32としては融点が140℃、メルトフローレート(MFR)が14g/10minであるマレイン酸変性ポリプロピレンを用いた。接着樹脂層32の厚みは40μmとし、外寸を80mm×15mmとした。
これらの接着樹脂層32と耐熱樹脂層33をインフレ法により接着樹脂層32/耐熱樹脂層33/接着樹脂層32の順に積層し、総厚100μmの樹脂フィルム35とした。
樹脂封止層34は接着樹脂層32と同じ樹脂にてTダイ押出し成型にて作成した。寸法は10mm×15mmに切り出した。
金属端子31の幅方向両側に樹脂封止層34を配置するとともに金属端子31の厚み方向両側にこれら金属端子31及び樹脂封止層34を覆うように樹脂フィルム35を配置し、その後、熱圧着装置にて熱接着を行った。熱接着時の圧力は1MPa、温度は190℃、処理時間は5秒、凹部間距離は60.2mmとし、加圧部間の距離は金属端子31と樹脂フィルム35とを合わせた総厚よりも5μm小さく設定した。なお、マージン部36の加圧部間距離は調整可能とされている
加熱後の形状安定性、及び、金属端子31と樹脂フィルム35との接着強度の二点を評価対象とした。
形状安定性の可否の判断は、外寸変化±0.3mm以内を基準値とした。 接着強度の可否の判断は、樹脂フィルム35をマージン部36から該樹脂フィルム35の長手方向に剥離試験機(テンシロン)にて90°剥離した際における強度3.0N/mm以上を基準値とした
比較例1においてはマージン部36の厚みを薄くしすぎたことにより、金属端子31に従って曲がった樹脂フィルム35と金属端子31との界面が剥離しており、剥離強度が落ちる結果となっていた。
比較例2においては、耐熱樹脂層33のMFRが高いため、加熱時の樹脂流出や変形に伴う寸法変動が大きく基準外の結果となった。
比較例3においては、比較例2と同様の理由により基準外の結果となった。
11 外層
12 外層側接着層
13 バリア層
14 腐食防止処理層
15 内層側接着層
16 内層
20 電極端子(二次電池用電極端子)
21 樹脂フィルム
23 金属端子
24 部分
30 電極端子(二次電池用電極端子)
31 金属端子
32 接着樹脂層
33 耐熱樹脂層
34 樹脂封止層
35 樹脂フィルム
36 マージン部
37 端部
Claims (1)
- 包装材の内部に封止された電池要素から前記包装材の外部に向かって引き出される二次電池用電極端子であって、
前記電池要素に電気的に接続されて前記包装材の外部に向かって延在する金属端子と、
該金属端子の延在方向に直交する方向である厚み方向両側から前記金属端子を挟み込むようにして互いに接着される一対の樹脂フィルムとを備え、
前記樹脂フィルムは、前記金属端子と熱接着可能な樹脂からなる一対の接着樹脂層と、前記一対の接着樹脂層によって挟み込まれ、該接着樹脂層よりも融点の高い耐熱樹脂層とが積層されてなり、
前記電極端子の幅方向における前記金属端子が存在しない領域、かつ、前記一対の樹脂フィルムが互いに接着されている領域のみからなるマージン部における前記厚み方向の厚みの前記金属端子の幅方向の端部から幅方向に離間する方向に向かって1mm当たりの変化量の最大値が、0.17mmとされ、
前記一対の樹脂フィルムは、樹脂封止層を介して互いに接着され、
前記金属端子の延在方向に直交する方向における前記金属端子の厚みが、200μm以上とされ、
前記耐熱樹脂層のメルトフローレートが5g/10min以下とされている二次電池用電極端子。
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