上記排土装置によれば、トンネル掘削作業中において、リボン式スクリューコンベアや軸付きスクリューコンベアの保守、点検を行う場合に、軸付きスクリューコンベアにおいては、シールド掘削機によるトンネルの掘進を中断すると共にこれらのリボン式スクリューコンベアと軸付きスクリューコンベアによる掘削土砂の搬送を停止させたのち、第1ゲートを閉止してリボン式スクリューコンベアからの掘削土砂が軸付きスクリューコンベアに入るのを阻止した状態にすると共に、軸付きスクリューコンベアを作動させてその内部の掘削土砂を該軸付きスクリューコンベアの後端側に設けている排出口から排除すれば、スクリュー羽根等の点検作業が可能となる。
しかしながら、リボン式スクリューコンベアにおいては、その前端開口部をチャンバ内に連通させているため、泥土圧によって切羽を抑えているこのチャンバ内の掘削土砂が常時該リボン式スクリューコンベアのケーシング内に取り込まれる状態にあり、従って、リボン式スクリューコンベア内に滞留する礫を含む掘削土砂を上記軸付きスクリューコンベア側に排出してもチャンバ内の掘削土砂がケーシング内に取り込まれることになって該ケーシング内を空にすることができない。
従って、リボン式スクリューコンベアが大径であっても、作業員が上記第1ゲート側からこのリボン式スクリューコンベア内に入ってリボンスクリュー等の保守、点検等のメンテナンスや修理等を行うことができないといった問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、カッタヘッドによって掘削された巨礫を含む掘削土砂を後方に搬送するリボンスクリューを備えたスクリューコンベアからなる排土装置であって、このスクリューコンベアのメンテナンスや修理等を簡単且つ確実に行えるようにしたシールド掘削機における排土装置を提供するにある。
上記目的を達成するために本発明のシールド掘削機における排土装置は、請求項1に記載したように、シールド本体の前端開口部に配設しているカッタヘッドによって掘削されてチャンバ内に取込まれた巨礫を含む掘削土砂をチャンバ内から後方に排出する排土装置であって、前端開口部をシールド本体の隔壁の下端部から上記チャンバ内に臨ませている円筒形状のケーシング内に回転自在に配設され、且つ、前端部をチャンバ内に突出させているリボンスクリューを有するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアの上記ケーシングの後端部に配設しているリボンスクリューの回転駆動機構と、スクリューコンベアの後端に連結、連通し、第1ゲートジャッキによって開閉させられる第1ゲートを備えたゲート室と、このゲート室の後端開口部にその上端開口部を連通させてゲート室から投入される巨礫を含む掘削土砂を巨礫とそれ以外の小径の礫を含む掘削土砂とに分別するバースクリーンを備えてなる分級室と、この分級室の一側部に設けられ、第2ゲートジャッキによって開閉させられる第2ゲートを備えた巨礫排出口と、上記分級室の下端部に形成した土砂排出口に土砂受入口を連結、連通させ、上記バースクリーンによって分別された小径の礫を含む掘削土砂を排出するスクリューフィーダとからなり、上記回転駆動機構を備えているケーシングの後端部を後方に向かって切り離し可能にして回転駆動機構と共にリボンスクリューを後方に移動させることにより該リボンスクリューの前端部をチャンバ内からケーシングの前端部内に没入させるように構成していると共にチャンバ内に臨ませているケーシングの開口端に該開口端を開閉する隔離ゲートを配設してあり、さらに、上記スクリューコンベアのケーシングの後端部に連設しているスクリューフィーダをシールド本体内に設けている支持部材にケーシングの軸心延長方向に移動可能に支持させていることを特徴とする。
このように構成したシールド掘削機における排土装置において、請求項2に係る発明は、上記スクリューコンベアのケーシングの後部外周面に、数本の切り離し用ジャッキを装着してあり、これらの切り離し用ジャッキのピストンロッドを回転駆動機構を備えているケーシングの後端部外周面に連結して該ピストンロッドを伸長させることによりケーシングの後部から上記後端部を後方に切り離すように構成していることを特徴とする。
さらに、請求項3に係る発明は、ケーシングの後端部における外周面両側部に支持部材の後端部を固着している一方、ケーシングの後部における外周面両側部にケーシングの後端部から前方に向かって突出している支持部材を前後方向に摺動移動可能に挿嵌させたガイド溝を設けていることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、リボンスクリューの回転駆動機構であって、ケーシングの後端部にリボンスクリューの後端部をその内周面に一体に固着させている駆動リングを回転自在に設けてこの駆動リングをケーシングの外周面に装着した駆動モータにより回転駆動するように構成していることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、ケーシングの後端部における後端に開閉自在な第1ゲートを備えているゲート室を連結、連通させていると共に、このゲート室の後端に、巨礫と小径の礫を含む掘削土砂とに分級するバースクリーンを備え、且つ、一側部に第2ゲートによって開閉自在な巨礫排出口を、底部に小径の礫を含む掘削土砂をスクリューフィーダに排出する排出口を設けてなる分級室の上端開口部を連通させていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、ケーシングの内部にリボンスクリューを、その前端部をチャンバ内に突出させた状態にして回転自在に配設してなるスクリューコンベアの後端部にリボンスクリューの回転駆動機構を設けていると共に、この回転駆動機構を有するケーシングの後端部を後方に向かって切り離し可能にして回転駆動機構と共にリボンスクリューを後方に移動させることにより該リボンスクリューの前端部を上記チャンバ内からケーシングの前端部内に没入させるように構成していると共にチャンバ内に臨ませているケーシングの開口端に該開口端を開閉する隔壁ゲートを配設しているので、トンネルの掘削途上において、回転駆動機構を有するケーシングの後端部を後部から後方に切り離すことにより、機内においてケーシングの切り離し部分を開口させることができると共に、回転駆動機構と共にケーシング内のリボンスクリューの後端部を後方に引き出して該リボンスクリューの前端部をチャンバ内から隔壁背面側のケーシング前端部内に没入状態に収納することができ、従って、リボンスクリューの前端部が邪魔になることなく隔壁下端部からチャンバ内に臨ませているケーシングの前端開口部を隔壁ゲートによって閉止することができる。
このように、隔壁ゲートによってチャンバ内に対するケーシングの連通を水密状態に遮断できるように構成しているので、切羽の抑えているチャンバ内の泥土圧を所定圧に保持することができると共に、この状態にしてリボンスクリューを回転させることによりケーシング内に残留する礫を含む掘削土砂をケーシングの後部開口端から機内に排除することができ、従って、ケーシング内が空となって機内からこのケーシング内に作業員が入ってリボンスクリューの保守、点検作業や摩損個所等の修理作業を行うことができ、このような作業の終了後、隔壁ゲートを開いてケーシングの後端部を前進させて後部との切り離し面に接合させることによりトンネル掘削を続行することができる。
さらに、請求項2に係る発明によれば、上記スクリューコンベアのケーシングの後部外周面に、数本の切り離し用ジャッキを装着してあり、これらの切り離し用ジャッキのピストンロッドを回転駆動機構を備えているケーシングの後端部外周面に連結して該ピストンロッドを伸長させることによりケーシングの後部から上記後端部を後方に切り離すように構成しているので、この切り離し用ジャッキによってリボンスクリューの回転駆動機構を備えているケーシングの後端部をケーシングの後部から容易に且つ確実に一定距離だけ切り離すことができ、スクリューコンベアの保守、点検等のメンテナンスの終了後、元のスクリューコンベアの状態に簡単に復帰させることができる。
その上、請求項3に係る発明によれば、ケーシングの後端部における外周面両側部に支持部材の後端部を固着している一方、ケーシングの後部における外周面両側部にケーシングの後端部から前方に向かって突出している支持部材を前後方向に摺動移動可能に挿嵌させたガイド溝を設けているので、ケーシングの後部に対して切り離されるケーシングの後端部をこの支持部材によって確実に支持させながら該ケーシング後端部を上記切り離し用ジャッキのピストンロッドの伸縮作動によりケーシングの後部からの切り離し作業やケーシングの後部に接合させる作業を安定した状態で円滑に行うことができる。
請求項4に係る発明はリボンスクリューの回転駆動機構であって、ケーシングの後端部にリボンスクリューの後端部をその内周面に一体に固着させている駆動リングを回転自在に設けてこの駆動リングをケーシングの外周面に装着した駆動モータにより回転駆動するように構成しているので、駆動モータの回転駆動力を駆動リングによってリボンスクリューに確実に伝達することができてリボンスクリューを円滑に回転駆動することができるばかりでなく、駆動リングで囲まれた空間部を通じてケーシングの後端部を後方に全面的に連通させることができ、巨礫を含む掘削土砂の後方への搬出が確実に行うことができる。
また、請求項5に係る発明によれば、ケーシングの後端部における後端に開閉自在な第1ゲートを備えているゲート室を連結、連通させていると共に、このゲート室の後端に、巨礫と小径の礫を含む掘削土砂とに分級するバースクリーンを備え、且つ、一側部に第2ゲートによって開閉自在な巨礫排出口を、底部に小径の礫を含む掘削土砂をスクリューフィーダに排出する排出口を設けてなる分級室の上端開口部を連通させているので、スクリューコンベアのリボンスクリューによって礫を含む掘削土砂を、このスクリューコンベアの後端から延長方向にゲート室内を通じて分級室内に円滑且つ確実に送り出すことができると共に、分級室内に配設しているバースクリーンによって巨礫と小径の礫を含む掘削土砂とに分別することができる。
さらに、このバースクリーンを通過した小径の礫を含む掘削土砂を分級室の底部に設けている掘削土砂排出口を通じてスクリューフィーダに排出することができると共にこの掘削土砂中には巨礫が存在しないからスクリューフィーダを閉塞させたりスクリュー羽根の欠損を生じ難くして確実に後方に排出することができる一方、バースクリーン上に残った巨礫のみを巨礫排出口を通じて外部に排出することができる。
この巨礫の排出時において、シールド掘削機の掘進及びスクリューコンベアの作動を停止させると共に上記スクリューコンベアの後端に連結、連通しているゲート室に設けた第1ゲートを閉止することにより土砂水が分級室内に向かって噴発するのを防止することができ、この状態にして上記スクリューフィーダを駆動することにより、分級室内に滞留している掘削土砂を該スクリューフィーダ側に排出して分級室内にバースクリーン上の巨礫のみを残した状態にすることができ、従って、巨礫排出口に設けている第2ゲートを開放することにより、巨礫のみを確実に取り出すことができる。
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1〜図4において、シールド掘削機Aは外径が14m以上の大口径のスキンプレートからなる円筒状のシールド本体1と、このシールド本体1の前端開口部に回転自在に配設しているスポークタイプのカッタヘッド2と、シールド本体1の前端部にその外周端面を一体に固着している隔壁3と、この隔壁3と上記カッタヘッド2との対向面間の空間部によって形成しているチャンバ4と、隔壁3の下端部を貫通してその前端開口部をチャンバ4内に臨ませてこのチャンバ4内の掘削土を後方に排出するスクリューコンベア10とを備えている。
上記カッタヘッド2は図2に示すように、前面に多数本の掘削ビットをやスクレーパツースを取付けているスポーク2aを複数本、中心部から外周端に向かって放射状に配設して全てのスポーク2aをリング状フレーム2bによって一体に連結してなり、隣接するスポーク2a、2a間に最大径が1m程度の巨石、転石等の巨礫Bを土砂と共に取り込み可能な取込口2cを設けている。このカッタヘッド2は上記隔壁3に回転自在に支持されて隔壁3の背面に配設している駆動モータ5によって噛合歯車を介して回転させられるように構成していると共に、その背面の複数個所に攪拌翼2dを後方に向かって突設している。
カッタヘッド2によって掘削されてチャンバ4内に取込まれた礫を含む掘削土砂を機内を通じて後方に排出する排土装置は上記スクリューコンベア10からなり、さらに、このスクリューコンベア10の後端に第1ゲート16を備えたゲート室17を介して内部に巨礫Bと小径の礫を含む掘削土砂との分級手段22を有する分級室20を連結、連通していると共に、この分級室20の下端開口部から排出される掘削土を後方に搬送するスクリューフィーダ50を備えている。
上記スクリューコンベア10は、巨礫Bを搬送可能な1500mm程度の径を有する円筒状のケーシング11内にリボンスクリュー12を回転自在に配設したシャフトなしのリボン式スクリューコンベアであって、このケーシング11の前端開口部を隔壁3の下端部に開口している土砂等の受入口3aを通じてチャンバ4内に水密的に臨ませていると共にケーシング11はその前端から後端に向かって斜め上方に傾斜させた状態にしてシールド本体1の後部内に設置した支持部材9によって支持、固定されてあり、リボンスクリュー12はその前端部を上記受入口3aからチャンバ4の下端部内に突出させて掘削土等の取込みを行うように構成している。
このリボンスクリュー12の回転駆動機構40は、図4に示すように、ケーシング11の後端部11a に、内周面に上記リボンスクリュー12の後端部外周面を一体に固着させている駆動リング41を配設してこの駆動リング41を油圧モータからなるスクリュー駆動モータ42によって回転駆動するように構成している。詳しくは、ケーシング11の後端部11a にケーシング部分が設けられていない切除部を設けてこの切除部に内径がケーシング11の内径と同一径の上記駆動リング41を回転自在に介在させていると共に切除部を介して対向しているケーシング11の後端部11a における前後対向周縁部間をケーシング11よりも大径の中空フランジ形状の中空フレーム43によって一体に連結してあり、さらに、上記駆動リング41の外周面中央部に環状突片41a を突設してこの環状突片41a の外周部両側に、上記中空フレーム43内にベアリング44を介して回転自在に支持された歯車45を固着してこの歯車45に中空フレーム42の前後壁面に装着した複数台のスクリュー駆動モータ42の駆動軸に固着したピニオン46を噛合させてなるものである。
さらに、このリボンスクリュー12の回転駆動機構40を配設しているケーシング11の上記後端部11a は図5〜図7に示すように、ケーシング11の後部から後方に向かって切り離し可能にして切り離した時には、この後端部11a に設けている上記駆動リング41に後端部を固着しているリボンスクリュー12をケーシング11の後部切り離し開口端から後方に引き出してチャンバ4内に突出しているこのリボンスクリュー12の前端部を隔壁3の下端部に開口している土砂等の受入口3aからケーシング11の前端部内に没入、収納するように構成している。
具体的には、後端部11a を後方に分離可能にしているケーシング11の後部外周面の数カ所(図においては四方)に後端部切り離し用ジャッキ13を装着し、ケーシング11の長さ方向に伸縮するこの切り離し用ジャッキ13のピストンロッドの先端部を上記ケーシング11の後端部11a に連結して該ピストンロッドを伸長させることによりケーシング11の後端部11a を後部から一定間隔だけ後方に後退させて切り離し端面である後部開口端から切り離し、該ピストンロッドを収縮させることによりケーシング11の後端部11a をケーシング11の後部に対する上記切り離し端面に水密状態に接合、連通させるように構成している。
さらに、ケーシング11の後端部11a における外周面両側部にケーシング11の長さ方向に長い横長長方形状の剛性板からなる支持部材14、14の後端部をボルト或いは溶接等により固着していると共に、後端部11a の両側面から前方に向かって平行に突出しているこれらの支持部材14、14の突出部分を、後端部11a を接合させているケーシング11の後部における外周面両側部に凹設したケーシング11の長さ方向に長い長方形状のガイド溝15、15に前後方向に摺動自在に挿嵌させてあり、さらに、このガイド溝15、15を挟むようにしてケーシング11の外周面両側部に支持部材14、14の上下端縁を挟持して支持部材14、14を円滑に前後方向に移動させるための数個のガイドローラ15a 、15a を配設している。
また、チャンバ4内に臨ませているケーシング11の前端開口部である上記隔壁3の下端部に開設しているケーシング11の開口端である受入口3aに該受入口3aを開閉する隔壁ゲート6を配設している。上記受入口3aは隔壁3の下端部後面に固着しているリング状窓枠部材から形成されていてこの受入口3aを該受入口3aと同径の隔壁3の下端部に貫設した円形孔に連通させてあり、この受入口3aに上下方向、或いは、左右方向から上記隔壁ゲート6が挿入可能なガイド溝(図示せず)を設けて、該ガイド溝に隔壁ゲート6を機内側から差し込むことにより受入口3aを閉止するように構成している。なお、隔壁ゲート6を開閉方向に作動させる手段としては、隔壁3の下端部後面に該隔壁ゲート6の端部に連結したジャッキ(図示せず)を配設してこのジャッキの作動により行っているが、その他の手段、或いは、人作業によって開閉させるように構成しておいてもよい。
一方、スクリューコンベア10における上記ケーシング11の後端部11a の後端開口部には上記第1ゲート16を備えているゲート室17が連結、連通している。このゲート室17の内径はケーシング11の内径と同一径に形成されていて図8に示すように、その内部をスクリューコンベア10から押し出される掘削土砂を通過させる長さが短い円形通路17a に形成していると共に後部は前後に分割されていてその対向端面間を矩形状フランジ18,18によって一体に連結してあり、この矩形状フランジ部18、18の対向面間の両側部にゲート差し込み口を開設してこれらの左右ゲート差し込み口を通じて上記第1ゲート16を構成している左右扉板16a 、16b をゲート室17内に左右方向に開閉自在に挿入し、これらの左右扉板16a、16b の対向端を突き合わせ状に接合、密接させることによって内部の通路を閉止するように構成している。
この第1ゲート16の開閉機構は、矩形状フランジ18、18の両側端のゲート挿入口から外側方に向かって突出している左右の扉板16a 、16b の外側端に縦枠部材16c 、16c を固着すると共にこれらの縦枠部材16c 、16c の上端部間と下端部間とをゲート室17の上下外周面に配設した第1ゲートジャッキ19、19によって連結してなり、この第1ゲートジャッキ19、19のピストンロッドを伸長させることによって第1ゲート16を開き、収縮させることによって閉じるように構成している。
さらに、上記スクリューコンベア10のケーシング11の後端にこの第1ゲート16を備えたゲート室17を介して分級室20が連結、連通している。この分級室20は図1に示すように、その上部に前方に向かって開口してその開口端を上記ゲート室17の後端開口部に連結、連通させている受入口21a (図9参照)を有する掘削土砂投下筒部21を設けてあり、この掘削土砂投下筒部21は上記受入口21a から下方に向かって側面L字状に屈折していて下向きに開口している下端開口部を分級室20の上方部内に連通させている。
上記掘削土砂投下筒部21を有する分級室20は角筒形状に形成されてあり、この分級室20の下端部内に図9に示すように、掘削土砂と巨礫Bとを分別するバースクリーン22を配設していると共に、該分級室20の底面には土砂排出口23を、一側部には巨礫排出口24を設けている。バースクリーン22は、一定長さを有する直棒の外周面に円筒部材を回転自在に被嵌させてなる複数本のスクリーンバー22a からなり、これらのスクリーンバー22a の長さ方向を上記巨礫排出口24方向に対して直交する前後方向に向けて分級室20の他側部から上記巨礫排出口24の下端に向かって所定間隔毎に、且つ、分級室20の他側部側のスクリーンバー22a から巨礫排出口24側のスクリーンバー22a に向かって順次、低くなるように配設してその長さ方向の両端部を分級室20の前後壁面に支持させている。
巨礫排出口24は長さが短い角筒形状に形成されてあり、この巨礫排出口24の内端側下端部に上記最低位のスクリーンバー22a を配置して、このスクリーンバー22a 上を巨礫Bの排出待機部26に形成している。なお、隣接するスクリーンバー22a 、22a 間の隙間は500mm にしてその以下の礫を掘削土砂と共にこの隙間を通じて下向きに開口した上記土砂排出口23から落下させるように構成している。
また、巨礫排出口24には、この排出口24を開閉する第2ゲート27が配設されている。この第2ゲート27は矩形状板材からなり、巨礫排出口24の上端水平枠部に開口している隙間を通じて巨礫排出口24内に挿入してその前後両端縁部を巨礫排出口24の前後対向内壁面に縦方向に設けているガイド溝28に上下摺動自在に且つ水密的に係合させていると共に、巨礫排出口24の上端から突出した上端部における前後両端部に巨礫排出口24の前後外側壁面にその長さ方向を縦方向に向けて取付けている第2ゲートジャッキ29、29のピストンロッドの先端を連結してこのピストンロッドを伸長させることによって第2ゲート27を開き、収縮させることによって閉じるように構成している。
さらに、巨礫排出口24に対向している分級室20の他側壁面の下端部に前後方向に細長い長いガイド孔30を穿設してこのガイド孔30に外部から巨礫突き出し用水平板31の先端部をを挿入していると共に分級室20の前後外壁面にその長さ方向を水平状にして水平板駆動用ジャッキ32、32を取付けてあり、これらのジャッキ32、32のピストンロッドの先端を巨礫突き出し用水平板31の基端部における前後部にそれぞれ連結して、常態においてはこのピストンロッドを伸長状態に保持しておくことによって水平板31をその先端が分級室20の他側壁内面近くに位置するまで後退させ、掘削土砂投下筒部21内に投下される掘削土砂を小径礫等と共に隣接する上記ローラ間の隙間を通じて土砂排出口23側へ落下させ、巨礫Bを排出する際には上記ジャッキ32、32のピストンロッドを収縮させることによって水平板31を高位側のスクリーンバー22a とこのスクリーンバー22a に隣接する低位側のスクリーンバー22a との間の空間部を通じて巨礫排出口24に向かって移動させ、その先端面を巨礫Bの下部に押し当てて巨礫Bを排出口24側に送り出すように構成している。
また、分級室20内には、スクリューコンベア10からゲート室17に設けている掘削土砂送出口18a を通じて分級室20内に投下された巨礫Bを検出するための検知棒からなる検出手段(図示せず)が配設されてあり、この検出手段によって巨礫Bを検出した時に、該検出手段からの信号によってシールド掘削機Aの掘進とスクリューコンベア10とを停止させると共に第 1ゲート16を閉止し、この第1ゲート16の閉止後、この閉止に連動してスクリューフィーダ50の停止と後述するスクリューフィーダ50の土砂排出口55に設けている第3ゲート56の閉止を行い、しかるのち、巨礫排出用の第2ゲート27を開いて巨礫Bの排出を行うように構成している。
分級室20の下端部に設けている下向きに開口した土砂排出口23から落下する小径の礫を含む掘削土砂はスクリューフィーダ50によって後方に搬送される。このスクリューフィーダ50は図10に示すように、前後方向に長い平面長方形状のケーシング51内に、中心軸に略全長に亘ってスクリュー羽根を一体に設けた 2本のオーガ52、52を小間隔を存して並設してなる2軸式スクリューフィーダであって、一方のオーガ52のスクリュー羽根の螺旋方向を右方向に、他方のオーガ52のスクリュー羽根の螺旋方向を左方向に向けている。
そして、上記ケーシング51の底面には図11に示すように、上記2本のオーガ52、52のスクリュー羽根の下周部に沿って半円弧状に湾曲した凹溝51a 、51a が並列状に形成されていてこれらの凹溝51a 、51a にオーガ52、52のスクリュー羽根の下半部をそれぞれ嵌入させていると共にオーガ軸の前後端部をケーシング51の前後壁に回転自在に支持させてあり、前壁から突出したオーガ軸の前端部を該前壁の外面に装着しているオーガ回転駆動モータ53、53によって回転させるように構成している。この場合、オーガ回転駆動モータ53、53の出力軸を相反する方向に回転させてこれらのオーガ52、52のスクリュー羽根を、掘削土砂を後方に送り出す方向に回転させるように構成している。
さらに、ケーシング51の上壁板部における前端部には上方に向かって開口した土砂受入口54が設けられている。この土砂受入口54は、左右方向の開口幅はケーシング51の横幅に略等しく、且つ、上記分級室20の下端部に開口している土砂排出口23と同大、同形に形成されていて、ゲートなどによって開閉させられることなくこの土砂排出口23に全面的に連通させた状態で取り外し可能に連結させ、ケーシング51を前端から後端に向かって斜め上方に緩傾斜させた状態で機内に設けた支持部材9等に支持させている。
ケーシング51の下壁板部における後端部には図1に示すように、下方に向かって開口した土砂排出口55が設けられてあり、この土砂排出口55は前後方向に摺動移動自在に配設した第3ゲート56によって開閉させられる。具体的には、ケーシング51の下壁板部の下面における前部に長さ方向をケーシング51の長さ方向に向けて第3ゲートジャッキ57を取付け、この第3ゲートジャッキ57のピストンロッドの先端を上記第3ゲート56の前端に連結してあり、この第3ゲートジャッキ57のピストンロッドを収縮させることにより第3ゲート56を前方に移動させせて土砂排出口55を開放させ、ピストンロッドを伸長させることにより第3ゲート56を後方に移動させせて土砂排出口55を水密的に密閉させるように構成している。
この土砂排出口55の下方に、掘削土砂をシールド掘削機Aの掘進に従って築造されたトンネル内を通じて後方に排出するためのベルトコンベア60の前端部上面を臨ませた状態にして配設している。なお、シールド本体1には公知のように、掘削されたトンネル内壁面にセグメントを組み立てるエレクタ7や組み立てられたセグメントの前端面に反力をとってシールド本体1を推進させる複数本のシールドジャッキ8等が配設されている。
上記のように構成したシールド掘削機Aにおける排土装置の作用を説明すると、まず、シールド掘削機Aによって切羽地盤を掘削するには、周知のように、機内の後方側から給水管(図示せず)を通じてチャンバ4内に高圧水を供給、充満させることによりチャンバ4内に泥土圧を発生させてこの泥土圧により切羽の崩壊を防止しながら、カッタヘッド2を回転駆動し、且つ、シールドジャッキ8を伸長させてシールド本体1を推進させることにより行われ、一定長のトンネルが掘削される毎にエレクタ7によってセグメントをリング状に組み立ててトンネル掘削壁面を覆工する。
カッタヘッド2によって掘削された掘削土砂はチャンバ4内に取り込まれて、カッタヘッド2の後面に突設している攪拌翼2dにより攪拌され、チャンバ4内の圧力水と混合して塑性流動化されながら、隔壁3の下端部に設けている土砂等の受入口3aを通じてスクリューコンベア10のケーシング11内に取込まれる。スクリューコンベア10のリボンスクリュー12の回転駆動は、ケーシング11の後端部11a の外周面に配設しているスクリュー駆動モータ42を駆動してこのリボンスクリュー12の後端部を固着させている駆動リング41を回転させることによって行われ、上記受入口3aからチャンバ4内に突出しているこのリボンスクリュー12の先端部によって掘削土砂をケーシング11内に取込み、リボンスクリュー12の回転によってケーシング11内を後方に搬送する。
シールド掘削機Aによるトンネル掘進時には、スクリューコンベア10の後端に連結、連通しているゲート室17に設けている第1ゲート16とスクリューフィーダ50の土砂排出口55に設けている第3ゲート56とが開放されている一方、分級室20の巨礫排出口24に設けている第2ゲート27は閉じられてあり、リボンスクリュー12によってスクリューコンベア10の搬送終端にまで搬送された掘削土砂は、第1ゲート16によって開放されているゲート室17内の土砂送出口18a を通過して分級室20の上端受入口21a から上下方向に向けている筒部21内に投入され、分級室20の下端部内に配設している分級手段22を構成しているバースクリーン16における隣接するスクリーンバー間を通じて分級室20の下端に下向きに開口している土砂排出口23からスクリューフィーダ50内に投下される。
バースクリーン22を構成している複数本のスクリーンバー22a 〜22a において、隣接するスクリーンバー間の隙間が500mm に設定されてあり、従って、この数値以下の径の礫は、掘削土砂と共にスクリーンバー間を通じて篩い落とされ、土砂排出口23に連結、連通しているスクリューフィーダ50の土砂受入口54からスクリューフィーダ50の搬送始端部内に落下してスクリューフィーダ50の並列オーガ52、52によって後方に搬送される。この際、礫は並設したオーガ52、52間に受止された状態でこれらのオーガ52、52のスクリュー羽根によってその両側部を押されながら後方に搬送され、掘削土砂と共にスクリューフィーダ50の搬送終端部に下向きに開口している土砂排出口55を通じてベルトコンベア60の搬送始端部上に落下し、このベルトコンベア60によってトンネル内を通じて後方に排出される。
チャンバ4内の掘削土砂を取り込むスクリューコンベア10はシャフトなしのリボン式スクリューコンベアであるため掘削土砂の充満度が低くて土砂水の噴発が生じる虞れがあるが、このスクリューコンベア10に分級室20を介してスクリューフィーダ50を後続させているため、搬送路の長さが長くなって充分な止水性を発揮すると共にスクリューフィーダ50はシャフト付きスクリューからなるので、掘削土砂の充満度が高くて土栓作用を奏し、土砂水の噴発を確実に防止することができる。
次に、シールト掘削機Aの掘進中に、カッタヘッド2によって巨礫Bがチャンバ4内に取り込まれると、巨礫Bは掘削土砂と共に上記同様に隔壁3の下端部からチャンバ4内に臨ませているスクリューコンベア10のリボンスクリュー12によって取り込まれてスクリューコンベア10内を通じて後方に搬送され、第1ゲート16の開放によって開口しているゲート室17内の土砂送出口18a を通過して分級室20の上端受入口21a から分級室20内に投入され、土砂は小径の礫と共に上述したように分級手段22の隣接するスクリーンバー20a 、20a 間を通じてスクリューフィーダ50側に投入される一方、巨礫Bは該巨礫Bの投下経路下に配設しているスクリーンバー22a 、22a 上に受止され、高位側のスクリーンバー22a から低位側のスクリーンバー22a に向かって形成された傾斜角度によってこれらのスクリーンバー22a の円筒部材をこの巨礫との摺接摩擦力によって回転させながら巨礫はその自重によって分級室20の一側端側に設けている巨礫排出口23側に排出待機部26まで移動してこの排出待機部26上で停止する。
一方、この巨礫Bが分級室20内に入った時に分級室20に配設している検出手段によって検出され、その検出信号によってシールド掘削機Aの掘進を停止させると共にスクリューコンベア10のリボンスクリュー12の回転を停止させ、このリボンスクリュー12の停止後、これに連動して直ちに第1ゲート16の左右扉板16a 、16b を閉止方向に移動させてこれらの扉板16a 、16b の対向内端面を突き合わせ状に接合させることにより図8に示すように、通路17a を閉止させる。なお、巨礫検出手段としては、検知棒以外に重量計、密度計、スクリューコンベアの回転トルクの検出、CTスキャン、X線等を使用した手段を採用してもよい。
第1ゲート16が閉止したのちにおいても、スクリューフィーダ50が作動していてオーガ52、52によりそのケーシング51内の掘削土砂を後方に搬送するが、この搬送に従って分級室20内の掘削土砂がスクリューフィーダ50の前端土砂受入口54内から該スクリューフィーダ50のケーシング51内に排出されて分級室20内に巨礫Bを押し出す巨礫突き出し用水平板31が円滑に作動可能な空間部が設けられると、スクリューフィーダ50の作動を停止させると共に第2ゲート27を上方に作動させて図9、図12に示すように巨礫排出口24を開口させる。なお、分級室20内の掘削土砂が排除されたのを確認するには、分級室20の下部内に土砂検知棒等の土砂検知手段を配設しておき、この土砂検知手段からの信号によってスクリューフィーダ50を停止させるようにしてもよく、また、スクリューフィーダ50の作動によって分級室20内から掘削土砂が排出される時間を予め設定しておき、この時間に達した時にスクリューフィーダ50を停止させてもよい。また、スクリューフィーダ50の土砂排出口55を開閉する第3ゲートは、開放状態を維持させておいてもよい。
上記第2ゲート27によって巨礫排出口24が開放されると、この開放に連動して水平板駆動ジャッキ57が作動し、巨礫突き出し用水平板31を分級室20の他側壁面側から巨礫排出口24を設けている一側壁面側に向かって移動させ、その先端面を巨礫Bの下部に押し当てたのちさらに移動させることにより巨礫Bを排出待機部26から巨礫排出口24に向かって押し進め、該排出口24から分級室20の一側外方に押し出す。
分級室20の一側外方における下方には巨礫運搬用台車61が待機していて上記排出口24から排出される巨礫Bをこの台車61内に落下させ、台車61を機内からトンネル内の後方部にまで敷設している軌道(図示せず)上を走行させて後方の巨礫処理部にまで搬送する。
こうして巨礫Bの排出処理後、再び、シールド掘削機Aによってトンネルを掘進すると共に上述したように、第1、第3ゲート16、56を開放状態にする一方、分級室20の巨礫排出口24の開閉用第2ゲート27を閉止した状態にしたのち、スクリューコンベア10を作動させてカッタヘッド2によって掘削された掘削土砂を取込み、分級室20内に搬出してこの掘削土砂中に巨礫Bが含まれている場合には、分級室20内で巨礫Bと掘削土砂とを篩い分けて掘削土砂をスクリューフィーダ50に送り込む一方、巨礫Bを巨礫排出口24から外部に排出する。
また、シールド掘削機Aによるトンネル掘削途上において、スクリューコンベア10のリボンスクリュー12のメンテナンス等を行う場合には、スクリューコンベア10のケーシング11の後部外周面に装着している数本の切り離し用ジャッキ13のピストンロッドを伸長させることによりリボンスクリュー12の回転駆動機構40を備えているスクリューコンベア10のケーシング11の後端部11a を、この後端部11a の前端面を接合させているケーシング11の後部開口端面から後方に切り離する。
この際、ケーシング11の後端部11a は、ケーシング11の後部両側面のガイド溝15、15に嵌合し、且つ、その上下端面をガイドローラ15a 、15a によって挟持されている支持部材14、14によって支持されているので、切り離し用ジャッキ13のピストンロッドの伸長に従って、ケーシング11の軸心延長方向に確実且つ安定した状態で円滑にケーシング11の後部から後方に切り離され、この切り離しによって該ケーシング11の後端部11a に設けているリボンスクリュー12の回転駆動機構40も後端部11a と一体的に後退させ、回転駆動機構40の駆動リング41に固着しているリボンスクリュー12の後端部をケーシング11の後部内から引き出す一方、この引き出しによって該リボンスクリュー12の前端部を隔壁3の下端部に開口している土砂等の受入口3aからケーシング11の前端部内に没入、収納する。
しかるのち、受入口3aに設けている隔壁ゲート6によって該受入口3aを密閉し、チャンバ4内の泥土等がケーシング11内に入るのを阻止した状態にすると共に、この状態にしてリボンスクリュー12を回転駆動することによりケーシング11内の掘削土砂等をケーシング11の後部開口端から外部に排出し、予め、待機していた台車内に受け入れるか、或いは、容器内に収納して後方に搬送する。
こうして、スクリューコンベア10のケーシング11内の掘削土砂を排除したのち、後端部11a を切り離しているケーシング11の後部開口端からケーシング11内に作業員が入り、リボンスクリュー12の保守、点検等のメンテナンスや摩損や欠損している個所の修理等を行ったのち、隔壁ゲート6を開方向に作動させてチャンバ4に臨ませている土砂等の受入口3aを開口させると共に切り離し用ジャッキ13のピストンロッドを収縮させることにより、ケーシング11の後端部11a の前端開口部をケーシング11の後部の対向する開口端に接合、密接させると共にケーシング11の後端部11a と共にリボンスクリュー12を前進させてその前端部を上記受入口3aからチャンバ4内に突出させ、礫や掘削土砂の排出を可能な状態にする。
なお、ケーシング11の後端部11a には、ゲート室17から分級室20を介してスクリューフィーダ50が連設しているが、これらを支持している支持部材9上をスクリューフィーダ50等がケーシング11の軸心延長方向に移動可能に配設してあり、上記スクリューコンベア10のリボンスクリュー12のメンテナンス作業時において、ケーシング11の後端部11a の切り離し作業が円滑に行うことができるように構成している。