JP5443961B2 - 掘進機 - Google Patents

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Description

本発明は、地中に比較的径の小さいトンネルを掘削する際に用いて有利な掘進機に関するものである。
地中にトンネルを掘削する際に用いられる掘進機は、シールド本体の先端に地山を掘削する掘削部材を取り付けたカッターヘッドを回転可能に設けて構成されている。そして、カッターヘッドを回転させつつ推進することで地山を掘削し、掘削された土砂や礫をカッターヘッドとシールド本体との間に構成された削土室に取り込み、取り込んだ土砂や礫を外部に排出している。
例えば、地山が崩れ易い土砂地盤の場合、削土室に掘削した土砂を滞留させて地山の崩落を防ぎながら掘進機を推進している。また、地山が崩落する虞のない岩盤である場合、削土室に取り込んだずりや礫を速やかに外部に排出しながら掘進機を推進している。
カッターヘッドに取り付ける掘削部材は、地山の地質に対応させて該地山を最も効率良く掘削し得るものが採用される。例えば、地山が岩盤層を含むような場合、岩盤を掘削するのに適した例えばローラーカッターやディスクカッター等の掘削部材が採用される。また、地山が粘性土層であるような場合、該粘性土層を掘削するのに適したカッタービットやスクレーパー等の掘削部材が採用される。
上記の如き複数の掘削部材を採用したカッターヘッドは、これらの掘削部材を取り付けるために面盤状に構成されるのが一般的であり、該面盤に掘削した土砂や礫を取り込む開口部が形成されている。そして、削土室に取り込んだ土砂や礫を円滑に外部に排出することで、該削土室に新たに掘削された土砂や礫を円滑に取り込むことが可能なように構成されている。このため、削土室内に取り込んだ土砂や礫を速やかに外部に排出し得ない場合、新たに掘削された土砂や礫を取り込むことが出来なくなり、この結果、掘進機の推進が出来なくなる虞がある。
特に岩盤を掘削する場合には、円滑な掘削を実現するためにローラーカッターやディスクカッターの刃先を常に新鮮な岩盤に接触させておくことが必要である。このため、掘削の進行に伴って発生する土砂やズリ、或いは岩片や礫等を掘削部位から速やかに排除して削土室に取り込むことで、常に新鮮な岩盤を露出させておくことが必要となる。
削土室に取り込まれた土砂や礫を外部に排出する代表的な構造として、スクリューコンベアに代表されるコンベアを用いる排出構造と、配管を用いて削土室に供給された水と共に土砂や礫を排出する排出構造と、がある。そして、これらの排出構造は、掘進機の径や地山の条件等に応じて適宜選択される。
例えば特許文献1に記載された技術は、スクリューコンベアを構成するスクリューケーシングの前端に、前端から後端にかけて漸次収斂した円錐筒形のクラッシャーケーシングを連設すると共に、スクリューコンベアを構成するスクリュー羽根の前端に、クラッシャーケーシング内を経てカッターチャンバー内に延びるクラッシャーケーシングと対応してスクリュー径が漸次大となり且つピッチが後方に向かって漸次大となったコイル状スクリューを一体に設けている。また、スクリューコンベアの中空回転軸の内部にはクラッシャー軸が回転自在に挿通され、該クラッシャー軸の先端にクラッシャーケーシング内において該クラッシャーケーシングと逆テーパ円錐形のクラッシャー回転体が一体に取り付けられている。従って、スクリューコンベアとクラッシャー回転体とは夫々個別に回転させ得るように構成されている。
上記特許文献1の技術では、カッターチャンバーに対する取り込み量と排土量とをバランスさせるように、スクリューコンベアとクラッシャー回転体を夫々適宜の回転速度で単独に回転駆動し、カッターチャンバー内に取り込まれた土砂、大礫、玉石などはコイル状スクリューによって送り込まれ、土砂、礫塊はカッターチャンバー、クラッシャーケーシングで圧密され、大礫塊はクラッシャー回転体により破砕される。そして、破砕された礫塊は掘削土砂と共にスクリューコンベアによって後方に搬送され、排出口から別のベルトコンベアにて排出される。
また、泥水工法を採用した掘進機の場合、カッターヘッドの回転中心とは異なる回転中心を有しカッターヘッドと同期して偏心回転する円錐台状のコーンローターを設けると共に、該コーンローターに対応する削土室の内周を該コーンローターのテーパとは反対向きのテーパ状に形成し、削土室に取り込まれた礫をコーンローターとテーパ状に形成した壁面とに挟み込んで破砕し、破砕された礫と掘削土砂を泥水と共に排出し得るように構成したものが提案されている(例えば特許文献2参照)。
また、特許文献3には、カッタチャンバー内に投入口付の円筒体を設け、この円筒体の内部に礫破砕機がエキセントリックに配置され、破砕室の上部には送泥管が連通しており、貯礫室の排出口には排泥管が連通したシールド掘進機が記載されている。このシールド掘進機では、破砕室に取り込まれた礫は破砕機によって破砕され、破砕された礫は送泥管から送られる泥水と共に貯礫室を通って排泥管から排出される。
特開昭60−026799号公報 特開平09−250292号公報 実開昭59−19697号
特許文献1〜3に記載された掘進機は、掘削すべきトンネルの径が比較的大きく、従って削土室の径も大きくなり、コイル状スクリューの寸法や配置位置、又はコーンローターの配置位置に余裕がある場合に適用される。このような掘進機では、カッターヘッドの裏面側に形成された削土室(カッターチャンバー)に取り込まれた土砂や礫を速やかに排出することができる。
しかし、特許文献1に記載された掘進機では、コイル状スクリューとカッターチャンバー及びクラッシャーケーシングとの協働によって土砂をスクリューコンベアの断面内で一様に圧密して排出しているため、掘削した土砂が粘性土であるような場合、円滑な排出を実現することが困難になる虞がある。またスクリューコンベアとクラッシャー回転体を異なる回転速度で駆動するため、駆動系の構成が複雑となり、これらが掘進機内部の空間に占める割合が大きくなり、掘進機の径を小さくするという要求が生じたときに対応し得なくなる虞もある。
また、掘削すべきトンネルの径が小さくなり、これに伴って掘進機の径が小さくなった場合、特許文献2に記載された掘進機のようにカッターヘッドの回転中心とコーンローターの回転中心を異なる位置に配置することが困難になるという問題が生じている。
同様に、特許文献3に記載されたシールド掘進機の場合でも、破砕室がカッタチャンバー内に縦型に配置されるため、掘削すべきトンネルの径が小さくなった場合に対応することが困難になるという問題が生じている。
このため、径の小さいトンネルを掘削する掘進機であっても、削土室に取り込まれた土砂を速やかに排出することができ、且つ礫を破砕することができる掘進機の開発が要求されているのが実状である。
本発明の目的は、掘削すべきトンネルの径が小さい場合でも、掘削した土砂や礫を速やかに排出することができる掘進機を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る掘進機は、先端にカッターヘッドを回転可能に配置すると共に該カッターヘッドとの間に掘削物を収容する削土室を構成するための隔壁を設けたシールド本体と、前記シールド本体の後端に屈折可能に接続されたテールシールドと、削土室に開口した先端側に円筒部が形成され該円筒部に連続して後端側に向けて径が拡大するテーパ部が形成された筒状ケーシングと、前記筒状ケーシングのテーパ部に接続され先端側の内径が大きく後端側にかけて内径が小さくなるロート状に形成された破砕壁を有する破砕部材と、前記破砕部材に接続され前記筒状ケーシングを通過した掘削物を排出する排出部材と、前記破砕部材の破砕壁と対応する位置に配置され先端部の外径が小さく元端部の外径が大きい円錐台状に形成されたコーンローターと、前記破砕部材を貫通して配置され該破砕部材の破砕壁と対応する部位に偏心部が形成されると共に該偏心部に前記コーンローターを自由回転可能に装着した駆動軸と、前記駆動軸の前記破砕部材を貫通した先端に取り付けられたボスに設けられ外周面が前記筒状ケーシングの内周面と対向して該筒状ケーシングと共にコンベアを構成する螺旋部材とを有するものである。
また、本発明に係る掘進機は、前記駆動軸の前記破砕部材を貫通した先端に、前記螺旋部材を設けたボスと共に取り付けられ、前記破砕部材に形成された破砕壁と前記駆動軸の偏心部に自由回転可能に装着されたコーンローターとの間に構成された空間に配置された翼部を有する攪拌部材を有するものである
また、上記何れかの掘進機に於いて、前記削土室に開口し該削土室に水を供給する水供給部材を有し、前記水供給部材から削土室に水を供給して供給された水と削土室に収容された掘削物とを、前記筒状ケーシングと前記螺旋部材とによって構成されたコンベアによって前記破砕部材に形成された破砕壁と前記駆動軸の偏心部に自由回転可能に装着されたコーンローターとの間に構成された空間を通して排出部材から排出し得るように構成したことが好ましい。
また、上記何れかの掘進機に於いて、前記螺旋部材が、外周面が前記筒状ケーシングの内周面と対向し且つ内周面が予め設定された仮想円周面に位置するように形成された螺旋状の羽根を有するものであることが好ましい。
また、上記何れかの掘進機に於いて、前記螺旋部材が、前記駆動軸の前記破砕部材を貫通した先端に取り付けられたボスに設けられた軸と、該軸の外周に形成され外周面が前記筒状ケーシングの内周面と対向して螺旋状の羽根と、を有して構成され、且つ前記筒状ケーシングの内部に水を供給する配管が接続されていることが好ましい。
また、上記何れかの掘進機に於いて、前記シールド本体に設けた隔壁に前記カッターヘッドを駆動する駆動モーターを含む駆動装置が突出して取り付けられており、前記筒状ケーシングに接続された破砕部材は前記駆動装置の突出端部よりも後端側に配置されていることが好ましい。
本発明に係る掘進機では、削土室に取り込まれた土砂や礫を、削土室に開口した筒状ケーシングと筒状ケーシングの円筒部に配置された螺旋部材とによって後方に搬送することができる。このため、削土室には筒状ケーシングが開口していれば良く、該削土室の径が小さくなった場合でも容易に対応することができる。
そして、搬送された土砂や礫は、筒状ケーシングに接続された破砕部材の破砕壁とこの破砕壁に対応して配置されると共に駆動軸の偏心部に自由回転可能に装着されたコーンローターとによって構成された空間に至り、土砂は破砕壁とコーンローターの間隙を通って排出部材に排出され、礫は破砕壁とコーンローターとに挟まれて破砕された後、排出部材に排出される。従って、土砂及び礫は夫々最適な状態で処理されて速やかに排出される。
特に、礫は破砕壁とコーンローターの間に挟まれて破砕される。即ち、礫が破砕壁とコーンローターとによって構成された空間に到達したとき、先ず、コーンローターの偏心回転に伴って破砕壁との間に挟まれ、このときの抵抗によってコーンローターが駆動軸の偏心部を中心として回転する。このため、駆動軸に生じる負荷が小さく且つ良好な破砕を実現することができる。そして、破砕後の礫を円滑に排出することができる。
また、駆動軸の先端に、破砕壁とコーンローターとの間に構成された空間に配置された翼部を有する攪拌部材を取り付けたので、駆動軸の回転に伴って攪拌部材の翼部が前記空間の内部を攪拌することができる。このため、攪拌翼によって、破砕壁とコーンローターの間にある土砂や礫を動かすことが可能となり、土砂の過度の圧密を防いで排出方向への円滑な移動を実現すると共に、礫に対する円滑な破砕と破砕された礫の排出方向への円滑な移動を実現することが出来る。
また、削土室に開口した水供給部材から削土室に水を供給し、供給された水と削土室に収容された土砂や礫を含む掘削物を筒状ケーシングと螺旋部材とによって構成されたコンベアによって排出し得るように構成したことによって、削土室に供給された水の流れを利用して該削土室に取り込んだ土砂や礫を円滑に移動させることができる。
また、螺旋部材が、外周面が前記筒状ケーシングの内周面と対向し且つ内周面が予め設定された仮想円周面に位置するように形成された螺旋状の羽根を有するものである場合、この螺旋状の羽根の内周面側にはボスから削土室に至る筒状の空間が形成される。前記空間は、羽根に拘束されることなく筒状ケーシングを貫通して形成されることとなり、削土室からボスを経て破砕室に至る水路を構成することができる。このため、筒状ケーシング内に於ける水の流通を保持することが可能となり、土砂や礫の排出を円滑に行うことができる。
また、螺旋部材が、前記駆動軸の前記破砕部材を貫通した先端に取り付けられたボスに設けられた軸と、該軸の外周に形成され外周面が前記筒状ケーシングの内周面と対向して螺旋状の羽根と、を有して構成され、且つ前記筒状ケーシングの内部に水を供給する配管が接続されているように構成した場合、筒状ケーシングと羽根と軸とによって構成される空間に水を供給することができる。
例えば、上記空間が土砂や礫によって閉塞されたとき水の流通を確保し得なくなる虞があるが、筒状ケーシングに接続された配管によって該筒状ケーシングの内部に水を供給することで、水の流通を確保することが可能となし、この水によって土砂や礫の排出を円滑に行うことができる。
また、筒状ケーシングに接続された破砕部材の位置を、シールド本体に設けた隔壁に突出して取り付けた駆動装置の突出端部よりも後端側とすることによって、掘進機内部の機器類を合理的に配置することができる。このため、掘進機の径を小さくした場合でも、破砕壁の径やコーンローターの径を大きくすることができ、破砕能力の低下を招くことがない。
第1実施例に係る掘進機の構成を説明する図である。 第1実施例に係る掘進機の構成を説明する図であり、(a)は図1のa矢視図、(b)は図1のb−b断面矢視図である。 第1実施例に係る掘進機の要部の構成を説明する拡大図であり、(a)は要部断面図、(b)は右側面図である。 第2実施例に係る掘進機の要部の構成を説明する拡大図である。 第3実施例に係る掘進機の要部の構成を説明する拡大図である。
以下、本発明に係る掘進機について説明する。本発明に係る掘進機は、岩盤層や粘性土層を含む地山に比較的径の小さいトンネルを掘削する際に用いて有利なように構成されたものである。
即ち、本発明に係る掘進機は、カッターヘッドとシールド本体の隔壁との間に構成された削土室に直接破砕壁を開口させることなく、該破砕室の径よりも小さい径を持った筒状ケーシングを開口させて構成されている。そして、筒状ケーシングと螺旋部材とによって構成されたコンベアによって削土室に取り込まれた土砂や礫を破砕壁とコーンローターを有する破砕部材まで搬送し、この破砕部材を通過した土砂や礫を排出部材によって排出し得るように構成されている。
従って、破砕部材の配置を筒状ケーシングの長さに対応させて設定することで、削土室の直径をコーンローターの直径とは無関係に設定することが可能となる。このため、削土室の径が小さい場合でも対応することが可能である。
以下、第1実施例に係る掘進機Aの構成について図1〜図3により説明する。先ず、掘進機Aの概略的な構成について簡単に説明する。
図に於いて、掘進機Aは、シールド本体1とテールシールド2を複数の方向制御ジャッキ3によって接続することで互いに屈折可能に構成されており、シールド本体1の先端側(図1の左側、以下「前側」ともいう)にカッターヘッド4が回転可能に設けられている。またテールシールド2の後端側(図1の右側、以下「後側」ともいう)には推進管Cが接続され、発進立坑に設置した元押し装置から発生する推力がテールシールド2に直接、或いは推進管Cを介して伝達されることで推進される。
シールド本体1は隔壁5によって機内室6と削土室7に分割されており、機内室6にはカッターヘッド4を駆動するモーター、減速機及び変速機からなる複数の駆動装置8、後述するように構成された搬送破砕装置B、削土室7に水を供給する送泥管9及び排泥管10が配置されている。
送泥管9は水の供給部材を構成するものであり、図示しない送泥ポンプが接続されている。この送泥管9は隔壁5の上方に接続されて削土室7の上部から水を供給し得るように構成されている。また、排泥管10は排出部材を構成するものであり、図示しない排泥ポンプが接続されている。この排泥管10は後述する破砕部材22の排出室22cに接続されている。
更に、機内室6の内部には、掘進機Aの推進方向の予定敷設線からのズレを検出するためのインジケーターを含む機器類11や、前記ズレを検出したとき該掘進機Aを予定敷設線の方向に推進方向を制御するためのレーザプロジェクターやインジケータを含む機器類12、更に、掘進機Aの推進方向を制御する際にジャッキに圧油を供給する油圧ユニットや圧力計及び電磁弁等の機器類13が配置されている。
また、前記各機器類11〜13を構成するインジケーターや圧力計は一つのパネルに配置されており、このパネルはテレビカメラ14によって撮影され、地上に設けた図示しない制御装置に設けたディスプレイを利用して作業員に監視されている。そして、掘進機Aの推進方向が予定敷設線からズレた場合、方向制御ジャッキ3を駆動して推進方向を修正し得るように構成されている。
カッターヘッド4は、岩盤層や粘性土層等からなる地山を掘削してシールド本体1及びテールシールド2の外径よりも大きい径を持った孔を形成するものであり、隔壁5に構成された支持部15の内部に配置され該支持部15によって回転可能に支持された図示しない軸に固定されたボス部4aと、該ボス部4aに固着された複数のスポーク4bと、複数のスポーク4bによって支持された面板4cとによって構成されている。
複数の駆動装置8によるカッターヘッド4を駆動する図示しない軸の駆動機構は特に限定するものではなく、ギヤやチェン等の伝動部品を介在させた種々の機構を選択的に採用することが可能である。本実施例では、軸に大径ギヤを固定すると共にこの大径ギヤに4個の小径ギヤを噛合させておき、各小径ギヤ毎に駆動装置8を設けて駆動し得るように構成している。従って、支持部15を中心として4台の駆動装置8が配置されている。
各駆動装置8及び支持部15は夫々隔壁5に取り付けられており、該隔壁5から機内室6の内部に向けて片持ち状に突出して構成されている。駆動装置8及び支持部15の隔壁5からの突出長さは限定するものではなく、カッターヘッド4を駆動するのに必要な動力を出力するための仕様に応じた長さを有している。
削土室7は、前端側がカッターヘッド4の面板4cによって規制されると共に後端側がシールド本体1に設けた隔壁5によって規制され、更に、外周がシールド本体1の一部である周壁1aによって規制されている。従って、削土室7はカッターヘッド4とシールド本体1によって囲まれた空間であり、後述するカッターヘッド4の面板4cに形成した取込口16から掘削した土砂や礫を取り込んで収容し得るように構成されている。
カッターヘッド4の所定位置には複数の掘削部材が配置されている。これらの掘削部材は、岩盤層を掘削するのに適したローラーカッター17、粘性土層を含む岩盤層以外の地層を掘削するのに適したカッタービット18が夫々所定数設けられている。これらのローラーカッター17、カッタービット18は夫々面板4cに対し着脱可能に取り付けられている。また、面板4cに於ける所定位置には、掘削された岩片や礫或いは土砂を削土室7に取り込むための取込口16が形成されている。
上記の如く構成した掘進機Aでは、削土室7の上部に泥水を供給し、テールシールド2の後端側から推力を付与しつつカッターヘッド4を回転させることで岩盤層や粘性土層からなる地山を掘削し、掘削された礫や土砂を削土室7に取り込み、取り込んだ礫や掘削土砂を搬送破砕装置Bによって搬送及び破砕或いは圧密し、排泥管10を介して外部に排出することで推進することが可能である。そして掘進機Aを推進するのに伴って該掘進機Aが予定敷設線からズレたことを検出した場合、方向制御ジャッキ3を駆動してシールド本体1とテールシールド2の角度を適宜設定して推進することで、掘進機Aを予定敷設線に沿って推進することが可能である。
次に、搬送破砕装置Bの構成について具体的に説明する。搬送破砕装置Bは、掘進機Aの隔壁5に着脱可能なユニットとして構成されており、筒状ケーシング21の先端部を隔壁に形成した穴5aに挿通することで装着され、離脱させることで脱着することが可能である。
搬送破砕装置Bは、先端が削土室7に開口して設けられた筒状ケーシング21と、筒状ケーシング21に接続された破砕部材22と、破砕部材22の内部に配置されたコーンローター23と、破砕部材22を貫通して配置されコーンローター23を自由回転可能に装着する駆動軸24と、駆動軸24の先端に取り付けられたボス25に設けた螺旋部材26と、ボス25に設けた攪拌部材27と、を有して構成されている。
筒状ケーシング21は、削土室7に開口した先端側に円筒部21aが形成されると共に該円筒部21aに連続して後方に向かうに従って径が拡大するテーパ部21bが形成されている。円筒部21aの径は限定するものではなく、予め想定した礫の大きさに対応した寸法を持って形成されている。またテーパ部21bのテーパ角度も特に限定するものではなく、ボス25の形状や破砕部材22の内面に形成した破砕壁28及びコーンローター23の形状等に応じて適宜設定されている。従って、筒状ケーシング21の断面積は略一定である。
筒状ケーシング21の先端側の外周面には複数の溝21cが形成されており、この溝21cに図示しないOリング等の止水材を嵌装した状態で、隔壁5に形成された穴5aに対し挿通又は離脱可能に構成されている。また、筒状ケーシング21のテーパ部21bに対応する位置には蓋21dが設けられており、該蓋21dを取り外すことで内部の点検を行えるように構成されている。
このように、筒状ケーシング21を隔壁5に対し挿入し、或いは離脱させることで、搬送破砕装置Bを隔壁5に着脱することが可能であり、掘進機Aの製作を合理化し、且つメンテナンスを容易に行うことが可能となる。特に、シールド本体1の所定位置(隔壁5に設けた穴5aの近傍)には取付座29が構成されており、筒状ケーシング21を隔壁5の穴5aに挿通すると共に取付座29に取り付けることで、搬送破砕装置Bを配置することが可能である。
筒状ケーシング21の長さは、駆動装置8の隔壁5からの突出長さに対応して該突出長さと略等しいか或いは長く設定される。即ち、筒状ケーシング21の円筒部21aを隔壁5に取り付けたとき、テーパ部21bの端部は駆動装置8の突出端部と略同じ位置か或いはより機内室6側(後方)に位置する。
従って、筒状ケーシング21に接続された破砕部材22は機内室6に於ける駆動装置8の突出端部よりも後方に位置することとなり、機内室6に於ける比較的広い空間に対応して位置することが可能となる。このため、破砕部材22に設けた駆動軸24を駆動する駆動モーター30を取り付ける際に該駆動モーター30の構造の選択の自由度や、取付姿勢の設定の自由度を高くすることが可能となる。
筒状ケーシング21を取付座29に取り付けたとき、該筒状ケーシング21はシールド本体1の軸心に対し僅かな角度を持って傾斜して配置される。この傾斜角度は限定するものではなく、方向制御ジャッキ3の作動に伴ってシールド本体1とテールシールド2が最大角度で屈折したとき、テーパ部21bの端部外周(筒状ケーシング21の最も寸法の大きい部位)又は筒状ケーシング21に接続された破砕部材22が、テールシールド2の内周面に接触することがないような角度であれば良い。従って、シールド本体1の長さや径等の条件によっては、筒状ケーシング21はシールド本体1の軸心と平行に設定されることもある。
破砕部材22は筒状ケーシング21のテーパ部21bの端部に接続されている。この破砕部材22の内面には前記テーパ部21bの最大径と等しい径を持つ先端から後端側に向けて径が小さくなるロート状に形成された破砕壁28が形成されており、後端側の壁部22aには、駆動軸24を支持する支持部22bと、破砕壁28とコーンローター23とによって構成された破砕室32に連通した排出室22cが形成されている。
壁部22aは支持部22bを構成するのに必要な寸法を有しており、該壁部22bの下方であって支持部22bの周囲に排出室22cが形成されている。この排出室22cには排出部材を構成する排泥管10が接続されている。
破砕壁28はコーンローター23と共に礫を破砕する機能を有するものであり、表面には複数の突起28aが形成されている。破砕壁28の前端側の径は筒状ケーシング21のテーパ部21bの後端側に於ける最大径と等しく設定され、後端側の径(破砕部材22の壁部22b側の径)はコーンローター23の元端部23bの径との関係で設定される。即ち、破砕壁28の後端側の径は、偏心回転するコーンローター23の元端部23bが離隔したときの隙間が排出部材を構成する送泥管10による破砕された礫の排出可能寸法と略等しいか或いは小さい寸法となるように設定される。
破砕部材22を貫通して駆動軸24が配置されており、本体部24aが支持部22bに取り付けた複数の軸受に嵌合することで回転可能に支持されている。駆動軸24の前端側は破砕部材22を貫通して略筒状ケーシング21のテーパ部21bの近傍に達している。しかし、駆動軸24の前端側が如何なる位置にあるかは限定するものではない。また、駆動軸24の後端側は破砕部材22の壁部22aから機内室6に突出しており、この突出した部分に設けた伝動機構を介して駆動モーター30に駆動されている。
駆動軸24の本体部24aを破砕部材22の支持部22bに支持したとき、破砕壁28と対応する位置に偏心部24bが形成され、偏心部24bの前端側に連続して本体部24aと同心状の先端部24cが形成されている。従って、駆動軸24は、本体部24aと先端部24cは同心回転し、偏心部24bが偏心回転することになる。本体部24aに対する偏心部24bの偏心量は限定するものではなく、地山を構成する岩盤層の質や掘削すべきトンネルの径等の条件に応じて適宜設定することが好ましい。本実施例では約5mmに設定している。
コーンローター23は、先端23aの径が小さく元端部23bの径が大きい円錐台状に形成され、外表面(テーパ面)には複数の突起23cが形成されており、駆動軸24の偏心部24bに自由回転可能に装着されている。即ち、駆動軸24の偏心部24bには複数の軸受31が取り付けられており、これらの軸受31によってコーンローター23が回転可能に支持されている。従って、コーンローター23は駆動軸24が回転したときには該駆動軸24の本体部24aの回転中心を中心として偏心回転を行う。そして、コーンローター23に周方向の力が作用したとき、この力に応じて駆動軸24に対し相対的に回転することになる。
コーンローター23の先端23aの径や元端部23bの径及びテーパ角度は特に限定するものではないが、先端23aはボス25の外径よりも駆動軸24の偏心寸法に対応した寸法だけ小さい寸法を有しており、駆動軸24の偏心に関わらず先端23aの外周縁がボス25の外周から飛び出すことがないように構成されている。またコーンローター23の元端部23bの径は破砕壁28との最大隙間寸法が排泥管10による破砕した礫の排出可能寸法と略同じかより小さい寸法となるように構成されている。
コーンローター23を駆動軸24の偏心部24bに装着したとき、該コーンローター23の表面と破砕壁28の表面との間に、先端側の間隔が大きく後端側に向けて間隔が小さくなる破砕室32が形成される。
上記の如く構成されたコーンローター23の内部には軸受31を嵌合するための空間が形成されている。このため、コーンローター23の先端23a側の及び元端部23b側の面は夫々掘削土砂や水が入り込まないようにシールされている。即ち、コーンローター23の先端23a側には駆動軸24の先端部24cに取り付けたボス25又は旋回部材27の対向する面との間にリップシール及びフローティングシールが設けられており、元端部23b側には破砕部材22の壁部22bとの間にメカニカルシールが設けられている。そして、これらのシール材によってコーンローター23の内部に土砂や水が浸入することを防止している。
駆動軸24の先端部24cにボス25がキー33を介して取り付けられている。即ち、ボス25は、該ボス25に取り付けられた螺旋部材26や攪拌部材27にトルクを伝達する機能を有するものである。特に、ボス25は筒状ケーシング21の略中心に位置するため、該筒状ケーシング21の内部に於ける土砂や礫の搬送を阻害することがないように、先端の径が小さく後端側に向かって径が大きくなる砲弾形状に形成されている。
ボス25には螺旋部材26が取り付けられており、該螺旋部材26と筒状ケーシング21とによって削土室7にある土砂や礫を搬送するコンベアを構成している。ボス25に対する螺旋部材26の取付構造は特に限定するものではない。しかし、螺旋部材26は土砂や礫を搬送するために大きなトルクが作用するため、螺旋部材26はボス25に対し溶接等の手段で強固に取り付けられることが好ましい。
螺旋部材26は先端が筒状ケーシング21の先端に略一致するように或いは先端から削土室7に突出するように配置されると共に、筒状ケーシング21の略全長にわたって配置されている。このため、螺旋部材26は円筒部21aに対応する部分では外周面26aの径が該円筒部21aの内径よりも僅かに小さく形成されており、テーパ部21bに対応する部分では該テーパ部21bのテーパ角度に対応したテーパを有し且つテーパ部21bの内径よりも僅かに小さい径を持って形成されている。
螺旋部材26は、長尺状の鋼板をコイル状に巻き付けて構成されており、外周面26aが筒状ケーシング21を構成する円筒部21a、テーパ部21bの内周面と対向し且つ内周面26bが予め設定された仮想円35の周面に位置するように形成されている。螺旋部材26の螺旋ピッチは略一定であり、該螺旋部材26の羽根と筒状ケーシング21の円筒部21aの内周面との間に構成された空間の容積は一定である。
上記の如く構成された螺旋部材26では、中心に仮想円35の直径に相当する貫通空間が形成されることとなり、土砂や礫を搬送する際に、筒状ケーシング21の全断面がこれらの土砂や礫によって閉塞されることがない。このため、常に水の流れを確保することが可能であり、この流れによって土砂の移動を助けることが可能である。
尚、螺旋部材26の先端側の羽根の表面には硬質材料による溶接肉盛り部が形成されている。この該溶接肉盛り部は螺旋部材26により削土室7にある土砂や礫を筒状ケーシング21内に取り込む際の摩耗を防ぐためのものであり、先端から2〜3枚分程度の羽根に形成されている。
ボス25には攪拌部材27が一体的に設けられている。攪拌部材27は螺旋部材26と共に回転し、該螺旋部材26の後端側から破砕壁28の間に形成された空間と破砕室32の内部を攪拌してこの空間内にある土砂や礫を流動させる機能を有するものである。
このため、攪拌部材27は、ボス25の外周面から突出して形成されたアーム27aと、アーム27aの先端に設けた翼部27bと、を有して構成されている。特に、翼部27bは螺旋部材26の後端部と破砕壁28との間の空間及び破砕室32に土砂や礫が滞留することがないように、先端側の幅及び厚さが大きく、後端側の幅及び厚さが小さく形成され、回転方向上流側の端面27cが略直線状に形成され、回転方向下流側の端面27dが傾斜面として形成されている。
従って、攪拌部材27が回転すると翼部27bは螺旋部材26の後端部と破砕壁28との間の空間及び破砕室32の内部を駆動軸24の先端部24cを中心とする円周に沿って移動し、この移動過程で前記空間及び破砕室32にある土砂や礫に衝突して破砕室32の後端側へと移動させることが可能である。
シールド本体1の軸心又は軸心に沿った近傍には掘進機Aの推進方向を制御するために必要なレーザプロジェクターやインジケーターが設けられている。このため、駆動軸24を駆動する駆動モーター30は、駆動軸24の軸心方向に対し直交方向に、且つシールド本体1の中心軸を避けるように該軸心から周壁方向に傾斜した状態で配置されている。
前述したように、筒状ケーシング21は隔壁5に設けた駆動装置8の突出端部よりも機内室6の後方となるような寸法を有しているため、該筒状ケーシング21に接続された破砕部材22は更に機内室6に於ける駆動装置8から離隔した位置を占めることとなる。従って、駆動モーター30が駆動装置8に干渉することはなく、且つ該駆動モーター30の姿勢をシールド本体1の軸心から周壁側に向けて傾斜させることによって、レーザプロジェクターやインジケーターに干渉することもない。
上記の如く構成された掘進機Aでは、送泥管9から削土室7に水を供給し、且つ駆動モーター30によって駆動軸24を駆動することでコーンローター23を偏心回転させると共に螺旋部材26、旋回部材27を回転させつつ、カッターヘッド4を回転させて掘進機Aを推進すると、掘削された土砂や礫が削土室7に取り込まれる。
削土室7に取り込まれた土砂や礫は、螺旋部材26と筒状ケーシング21とによって供給された水と共に後方に搬送される。このとき、螺旋部材26の内周面26bが仮想円35の直径に相当する円周上に位置するため、該螺旋部材26の中心に貫通した空間が形成され、羽根の間に大量の土砂や礫を取り込んだとしても、土砂と水は前記空間を通って後方に流れることが可能である。即ち、筒状ケーシング21に取り込まれた土砂や礫は、螺旋部材26の回転と水の流れによって搬送されることとなり、円滑な搬送を実現することが可能である。
筒状ケーシング21の内部を螺旋部材26によって搬送された土砂や礫は、該螺旋部材26の後端であるボス25の近傍に形成された空間に達したとき、螺旋部材26による搬送から離脱し、水の流れによって搬送される。前記空間は攪拌部材27の翼部27bによって常に攪拌されており、この攪拌によって該空間に到達した土砂や礫を破砕室32に移動させている。
そして、破砕室32に移動した土砂や礫は、偏心回転するコーンローター23と破砕壁28とに挟まれる。このとき、土砂は圧密されつつ攪拌部材27の翼部27bに攪拌されて流動化し、水の流れに伴って排出室22cに排出され、該排出室22cから排泥管10を経て外部に排出される。
また、礫は、コーンローター23の駆動軸24の回転に伴う回転軸心から外周側へと移動する動作により破砕壁28に挟まれて押し潰されるようにして破砕される。このときコーンローター23には礫の破砕に伴う力が作用し、この力に応じて駆動軸24の偏心部24bを中心として回転する。
上記の如く、礫に対する破砕はコーンローター23が駆動軸24の回転軸心から外周側へと移動する際に生じる力によって行われるが、この力は極めて大きいため、駆動軸24の回転トルクは小さくてすみ、駆動モーター30の出力を小さくすることが可能である。
これに対し、特許文献1に記載されているように軸に固定したクラッシャー回転体によって礫を破砕する構造では、礫をクラッシャー回転体と該クラッシャー回転体の外側に配置された破砕壁との間に挟んでせん断して破砕することとなり、極めて大きいトルクが要求される。更に、礫とクラッシャー回転体とは大きい力が作用した状態で滑りを生じるため摩耗が激しくなり、この結果、破砕された礫が大きくなって円滑な排出を阻害することもある。
特に、破砕室32に到達した礫は攪拌部材27の翼部27bによって攪拌されるため、該破砕室32の下方に滞留することがなく満遍なく分散される。このため、コーンローター23の略全周で礫の破砕を行うことが可能となり、礫に対する破砕処理能力を向上させることが可能となる。
上記の如くして破砕された礫は、コーンローター23の元端部23bと破砕壁28との間を通って排出室22cに排出され、該排出室22cから排泥管10を経て外部に排出される。
次に第2実施例に係る掘進機Aの構成について図4により説明する。図に示す掘進機Aは、第1実施例に係る掘進機Aと比較して螺旋部材の構成と水の供給系の一部の構成が異なっている。このため、図4に於いて、前述の第1実施例に係る掘進機Aと同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する(以下同じ)。
図に示すように、筒状ケーシング21の内部に配置された螺旋部材40は、駆動軸24の前端に取り付けられたボス25に固定された軸40aと、ボス25及び軸40aの外周面に固定された羽根40bと、によって構成されている。羽根40bは、外周面が筒状ケーシング21の内周面と対向して配置されており、前後の羽根40bと、筒状ケーシング21の内周面と、軸40aの外周面とによって構成された搬送空間41に土砂や礫を取り込んで搬送し得るように構成されている。
機内室6に配置されている送泥管9から分岐管45が分岐しており、該分岐管45はバルブ45aを介して筒状ケーシング21に接続されている。分岐管45の筒状ケーシング21に対する接続位置は特に限定するものではなく、該筒状ケーシング21と螺旋部材40とによって構成された搬送空間41に水を供給することが可能であれば良い。
しかし、分岐管45から搬送空間41に水を供給することによって、該搬送空間41に取り込んだ土砂や礫を円滑に搬送すると共に破砕室32に存在する土砂や礫を速やかに排出室22cに排出し得ることが好ましい。このため、本実施例では、分岐管45を筒状ケーシング21を構成するテーパ部21bに接続している。
上記の如く構成された掘進機Aでは、削土室7に取り込まれた土砂や礫は、螺旋部材40の回転に伴って搬送空間41に取り込まれて後方へと搬送され、筒状ケーシング21のテーパ部21bに連続した破砕室32に搬送される。破砕室32に搬送された土砂は攪拌部材27によって破砕室32の内部で移動しながら排出室22cに排出され、礫は破砕室32の内部で破砕されて小片となり排出室22cに排出される。
螺旋部材40による土砂や礫の搬送過程で、搬送空間41に大量の土砂や礫と取り込んで該搬送空間41が閉塞されてしまうことがある。この場合、削土室7から破砕室32への水の流れが停止して水流による搬送、土砂の流動性の確保等を期待し得なくなり、駆動軸24の駆動モーター30に過大な負荷が作用する虞が生じる虞がある。
本実施例では、分岐管45を介して筒状ケーシング21、特に、テーパ部21bの内部に直接水を供給することによって、破砕室32内の水流を確保することが可能となり、該破砕室32内に於ける土砂の排出、礫の破砕と排出を確実に行うことが可能となる。このため、駆動軸24の駆動モーター30に過大な負荷が作用することがなく、円滑で且つ確実な土砂や礫の搬送と排出を行うことが可能である。
次に第3実施例に係る掘進機Aの構成について図5により説明する。図に示す掘進機Aでは、削土室7に供給された水を筒状ケーシング21に導いて該筒状ケーシング21の内部に供給し得るように構成されている。
即ち、本実施例に係る掘進機Aでは、前端側が機内室6と削土室7を分離する隔壁5に開口し後端側が筒状ケーシング21のテーパ部21bに接続された供給管46が設けられている。この供給管46にはバルブ46aが設けられており、該バルブ46aの開閉に伴って削土室7と筒状ケーシング21のテーパ部21bとを接続し、或いは遮断し得るように構成されている。
上記の如く構成された掘進機Aでは、削土室7の内部圧力は地山の地下水圧と平衡し、テーパ部21bの内部圧力は削土室7の内部圧力よりも低い(排泥管10には図示しない排泥ポンプによる吸い込みが作用しているため)。特に、筒状ケーシング21と螺旋部材40とによって構成された搬送空間41が土砂や礫によって閉塞されたような場合には、削土室7とテーパ部21bの内部圧力の差はより大きくなる。
このため、送泥管9から削土室7に供給された水は、供給管46を経てテーパ部21bの内部に確実に供給される。そして、供給管46を介してテーパ部21bの内部に直接水を供給することによって、破砕室32内の水流を確保することが可能となり、該破砕室32内に於ける土砂の排出、礫の破砕と排出を確実に行うことが可能となる。
本発明に係る掘進機は、岩盤層や粘性土層からなる地山に比較的径の小さいトンネルを掘削する際に利用して有利である。
A 掘進機
B 搬送破砕装置
C 推進管
1 シールド本体
1a 周壁
2 テールシールド
3 方向制御ジャッキ
4 カッターヘッド
4a ボス部
4b スポーク
4c 面板
5 隔壁
5a 穴
6 機内室
7 削土室
8 駆動装置
9 送泥管
10 排泥管
11〜13 機器類
14 テレビカメラ
15 支持部
17 ローラーカッター
18 カッタービット
16 取込口
21 筒状ケーシング
21a 円筒部
21b テーパ部
21c 溝
21d 蓋
22 破砕部材
22a 壁部
22b 支持部
22c 排出室
23 コーンローター
23a 先端
23b 元端部
23c 突起
24 駆動軸
24a 本体部
24b 偏心部
24c 先端部
25 ボス
26 螺旋部材
26a 外周面
26b 内周面
27 攪拌部材
27a アーム
27b 翼部
27c、27d 端面
28 破砕壁
29 取付座
30 駆動モーター
31 軸受
32 破砕室
33 キー
35 仮想円
40 螺旋部材
40a 軸
40b 羽根
41 搬送空間
45 分岐管
45a、46a バルブ
46 供給管

Claims (5)

  1. 先端にカッターヘッドを回転可能に配置すると共に該カッターヘッドとの間に掘削物を収容する削土室を構成するための隔壁を設けたシールド本体と、
    前記シールド本体の後端に屈折可能に接続されたテールシールドと、
    削土室に開口した先端側に円筒部が形成され該円筒部に連続して後端側に向けて径が拡大するテーパ部が形成された筒状ケーシングと、
    前記筒状ケーシングのテーパ部に接続され先端側の内径が大きく後端側にかけて内径が小さくなるロート状に形成された破砕壁を有する破砕部材と、
    前記破砕部材に接続され前記筒状ケーシングを通過した掘削物を排出する排出部材と、
    前記破砕部材の破砕壁と対応する位置に配置され先端部の外径が小さく元端部の外径が大きい円錐台状に形成されたコーンローターと、
    前記破砕部材を貫通して配置され該破砕部材の破砕壁と対応する部位に偏心部が形成されると共に該偏心部に前記コーンローターを自由回転可能に装着した駆動軸と、
    前記駆動軸の前記破砕部材を貫通した先端に取り付けられたボスに設けられ外周面が前記筒状ケーシングの内周面と対向して該筒状ケーシングと共にコンベアを構成する螺旋部材と、
    前記駆動軸の前記破砕部材を貫通した先端に、前記螺旋部材を設けたボスと共に取り付けられ、前記破砕部材に形成された破砕壁と前記駆動軸の偏心部に自由回転可能に装着されたコーンローターとの間に構成された空間に配置された翼部を有する攪拌部材と、
    を有することを特徴とする掘進機。
  2. 前記削土室に開口し該削土室に水を供給する水供給部材を有し、前記水供給部材から削土室に水を供給して供給された水と削土室に収容された掘削物とを、前記筒状ケーシングと前記螺旋部材とによって構成されたコンベアによって前記破砕部材に形成された破砕壁と前記駆動軸の偏心部に自由回転可能に装着されたコーンローターとの間に構成された空間を通して排出部材から排出し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載した掘進機。
  3. 前記螺旋部材が、外周面が前記筒状ケーシングの内周面と対向し且つ内周面が予め設定された仮想円周面に位置するように形成された螺旋状の羽根を有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した掘進機。
  4. 前記螺旋部材が、前記駆動軸の前記破砕部材を貫通した先端に取り付けられたボスに設けられた軸と、該軸の外周に形成され外周面が前記筒状ケーシングの内周面と対向して螺旋状の羽根と、を有して構成され、且つ前記筒状ケーシングの内部に水を供給する配管が接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した掘進機。
  5. 前記シールド本体に設けた隔壁に前記カッターヘッドを駆動する駆動モーターを含む駆動装置が突出して取り付けられており、前記筒状ケーシングに接続された破砕部材は前記駆動装置の突出端部よりも後端側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載した掘進機。
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