JP5242862B1 - トンネル掘削装置 - Google Patents

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Abstract

掘削装置前方に設けられた収容空間内に収容された掘削土をスムーズに排出する。
トンネル掘削装置1は、地盤を掘削するためのビット28を備える回転駆動可能なカッタ部20を含む掘削機構4と、掘削機構の後方に接続された殻体2と、掘削機構4を掘削進行方向に推進させる推進機構8と、掘削機構4により掘削された掘削土を収容空間10Eに収容し、収容空間10Eの後方に設けられた隙間10Fから装置内側へ排出する掘削土排出機構6と、を備え、掘削土排出機構6は、収容空間10E内に掘削進行方向と反対方向に向かってカッタ部20の周方向に傾斜する板材34を備え、板材34はカッタ部20とともに回転し、これにより収容空間10E内に収容された掘削土は収容空間10Eの後方に設けられた隙間10Fへ送られる。

Description

本発明は、円環状に地盤を掘削するためのトンネル掘削装置に関する。
近年、大断面のシールドトンネルをより効率良く構築する方法として、リングシールド工法が知られている。リングシールド工法では、先端部の円環状に設けられたカッタ部により地盤を掘削する円筒状の掘削装置を用いて、トンネルの外殻部に当たる位置の地盤を先行して断面円環状に掘削する工程と、掘削した部分に円筒状に覆工体を構築する工程と、覆工体に反力をとって掘削装置を推進させる工程とを繰り返して先行して断面円環状に地盤を掘削し、さらに、これと並行して覆工体の内側に円柱状に残留した土砂を後方側から掘削することによりトンネルを構築する(特許文献1参照)。
特許2604622号公報
ここで、特許文献1記載の装置では、掘削装置本体の前面に設けられた土砂取込口からズリ収容部内に掘削土を収容し、ズリ収容部の後部に設けられた送泥管により掘削土を装置外部へ搬出している。しかしながら、このように送泥管により掘削土を搬出する方法では、送泥管内に掘削土がつまってしまい、掘削土をスムーズに搬出できなくなる虞がある。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、円環状に地盤を掘削する掘削装置において、地盤を掘削することにより発生した掘削土をスムーズに搬出できるようにすることである。
本発明のトンネル掘削装置は、地盤にトンネルを掘削するための円筒形のトンネル掘削装置であって、トンネル掘削装置の掘削進行方向の先端面に設けられ、先端面に地盤を掘削するためのビットを備える回転駆動可能な円環状のカッタ部を含む掘削機構と、円筒形状の外筒体と、外筒体と同心状に配置され、外筒体よりも小径の円筒形状の内筒体とを有し、先端面の後方に接続された殻体と、掘削機構を掘削進行方向に推進させる推進機構と、掘削機構により掘削された掘削土を、先端面に形成された開口から、トンネル掘削装置の前方に内筒体と外筒体との間に形成された収容空間に収容し、内筒体の収容空間の後部に形成された隙間からトンネル掘削装置の内側空間へ排出する掘削土排出機構と、を備え、掘削土排出機構は、収容空間内に後方方向に向かって周方向に傾斜するように設けられた板材を備え、板材はカッタ部とともに回転し、これにより収容空間内に収容された掘削土が収容空間の後方に形成された隙間へ送られる、ことを特徴とする。
上記の構成の本発明によれば、収容空間内に板材が後方に向かって傾斜するように設けられているため、カッタ部とともに板材が回転することにより、板材により収容空間内に収容された掘削土を後方へスムーズに収容空間の後方へ送り、掘削装置の内側空間へ排出することができる。
好ましくは、上記の発明において、殻体は、掘削進行方向先方側から順に設けられた、第1の殻体と、第2の殻体と、を含み、第1の殻体はカッタ部とともに第2の殻体に対して回転し、収容空間は第1の殻体内に形成され、隙間は、第1の殻体の内筒体の後縁と、第2の殻体の内筒体の前縁との間に形成されている。
上記の構成の本発明によれば、カッタ部とともに回転する第1の殻体と、第2の殻体との間に隙間を形成しているため、装置の構成がシンプルになる。
好ましくは、上記の発明において、第1の殻体の内筒体の後縁と、第2の殻体の内筒体の前縁に設けられた隙間の所定高さよりも下方の部分を閉鎖する閉鎖プレートを備え、これにより、隙間は、所定高さよりも上方において内筒体の内側に開口している。
上記の構成の本発明によれば、第1の掘削部殻体の内筒体の後縁と、第2の掘削部殻体の内筒体の前縁との間の隙間を閉鎖プレートにより閉鎖する構成としたため、隙間から装置内側に排出された掘削土が、下方に堆積して隙間を閉塞することを防止し、掘削土排出機構につまりが生じることを抑止できる。
本発明によれば、掘削装置の先端面に形成された開口から収容空間に収容された掘削土が、板材により収容空間の後方に設けられた隙間まで送られ、隙間から装置内部へ排出されるため、掘削土をスムーズに搬出できる。
本発明の第1実施形態による掘削装置を示す斜視図である。 図1に示す掘削装置の軸方向の鉛直断面図である。 図1に示す掘削装置の先端下部の水平断面図である。 図2におけるA−A視側面図である。 図2におけるB−B視断面図である。 図2におけるC−C視断面図である。 本発明の第1実施形態による掘削装置を用いてトンネルを掘削する様子を示す鉛直断面図である。 本発明の第1実施形態による掘削装置における推進方法を説明するための図であり、後方の径方向油圧ジャッキを伸長させた状態を示す。 本発明の第1実施形態による掘削装置における推進方法を説明するための図であり、前方及び後方の軸方向油圧ジャッキを伸長させた状態を示す。 本発明の第1実施形態による掘削装置における推進方法を説明するための図であり、前方の径方向油圧ジャッキを伸張させ、後方の径方向油圧ジャッキを後退させた状態を示す。 本発明の第1実施形態による掘削装置における推進方法を説明するための図であり、前方及び後方の軸方向油圧ジャッキを収縮させた状態を示す。 本発明の第2実施形態による掘削装置の軸方向の鉛直断面図である。 図12におけるA−A視側面図である。 図12におけるB−B視断面図である。 図12におけるC−C視断面図である。
以下、本発明の第1実施形態である掘削装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態による掘削装置1を示す斜視図、図2は、図1に示す掘削装置1の軸方向の鉛直断面図、図3は、図1に示す掘削装置1の先端部の水平断面図である。また、図4は、図2におけるA−A視側面図、図5は、図2におけるB−B視断面図、図6は、図2におけるC−C視断面図である。
図1及び図2に示すように、掘削装置1は、円筒状の殻体2と、殻体2の掘削進行方向(以下、前方という)の先端に設けられた掘削機構4と、掘削土排出機構6と、掘削機構4を推進させるための推進機構8とを備える。
図2に示すように、殻体2は、前方から順次接続された第1の掘削部殻体10と、第2の掘削部殻体12と、前方の殻体14と、後方の殻体16とにより構成される。
第1の掘削部殻体10は、先端面を形成する円環状の先端面部10Aと、先端面部10Aの外周縁から後方に延びる円筒状の前方外筒体10Bと、前方外筒体10Bの後端に接続され、前方外筒体10Bよりも小径の円筒状に形成された後方外筒体10Cと、先端面部10Aの内周縁から後方に延びる円筒状の内筒体10Dと、前方及び後方の外筒体10B、10Cと内筒体10Dとを結ぶように設けられた複数の支持部材(図示せず)を有する。
また、第2の掘削部殻体12と、前方の殻体14と、後方の殻体16とは、それぞれ、第1の掘削部殻体10の前方外筒体10Bと略同径に形成された円筒状の外筒体12C、14C、16Cと、外筒体12C、14C、16C内に配置され、第1の掘削部殻体10の内筒体10Dと略同径に形成された円筒状の内筒体12D、14D、16Dと、内筒体12D、14D、16Dと外筒体12C、14C、16Cを結ぶように設けられた複数の支持部材(図示せず)とにより構成される。これら殻体10、12、14、16はそれぞれ鋼材からなる。なお、第1の掘削部殻体10の内筒体10Dの後端は、第2の掘削部殻体12の内筒体12Dの前端との間に隙間10Fが形成されるように、第2の掘削部殻体12の内筒体12Dの前端よりも前方において終端している。
第1の掘削部殻体10、第2の掘削部殻体12、前方の殻体14、及び後方の殻体16を構成する内筒体10D、12D、14D、16D及び外筒体10B、10C、12C、14C、16Cは、後に詳述する掘削機構4の回転軸と同心同軸に配置されており、これにより、内筒体10D、12D、14D、16Dと外筒体10B、10C、12C、14C、16Cとの間に環状空間が形成される。支持部材は、棒状又は板状の鋼材からなり、外筒体10B、10C、12C、14C、16Cに作用する土圧を支持可能な本数、内筒体10D、12D、14D、16Dの中心軸を中心として放射状に、周方向及び軸方向に適宜な間隔をあけて、これら内筒体10D、12D、14D、16Dと外筒体10B、10C、12C、14C、16Cを結ぶように設けられている。そして、内筒体10D、12D、14D、16Dと、外筒体10B、10C、12C、14C、16Cとの間の環状空間内に推進機構8が収容されている。
第1の掘削部殻体10の後方外筒体10Cは、第2の掘削部殻体12の外筒体12Cの内側に収容されており、これにより、第1の掘削部殻体10は第2の掘削部殻体12に対して回転可能に接続されている。なお、第1の掘削部殻体10の後方外筒体10Cは、第2の掘削部殻体12の外筒体12Cとの間にベアリング等を介在させることにより滑りを向上することができる。
また、第2の掘削部殻体12は、内筒体12Dの内周面の後端部及び外筒体12Cの外周面の後端部が切り欠かれている。また、前方の殻体14は、内筒体14Dの外周面の先端部及び外筒体14Cの内周面の先端部が切り欠かれている。そして、第2の掘削部殻体12の後端部の内側に、前方の殻体14の先端部が収容されることにより、第2の掘削部殻体12が前方の殻体14に対して軸方向に摺動可能に接続されている。
これと同様に、前方の殻体14は、内筒体14Dの内周面の後端部及び外筒体14Cの外周面の後端部が切り欠かれている。また、後方の殻体16は、内筒体16Dの外周面の先端部及び外筒体16Cの内周面の先端部が切り欠かれている。そして、前方の殻体14の後端部の内側に、後方の殻体16の先端部が収容されることにより、前方の殻体14が後方の殻体16に対して軸方向に摺動可能に接続されている。なお、第2の掘削部殻体12と前方の殻体14、及び、前方の殻体14と後方の殻体16の接続部に、軸方向の摺動を案内するガイド部材を設けてもよい。
図3に示すように、掘削機構4は、第1の掘削部殻体10の先端面部10Aに形成された複数の削孔ビットを含むカッタ部20と、第1の掘削部殻体10内に配置された減速機22と、第2の掘削部殻体12内に配置されたモータ24と、を備える。
図4に示すように、第1の掘削部殻体10の先端面部10Aには、周方向に間隔をあけて複数の開口26が形成されており、外部と第1の掘削部殻体10内の空間10Eとがこの開口26を通して連通している。
カッタ部20は、第1の掘削部殻体10の先端面部10Aに周方向に間隔をあけて設けられた13対のローラービット28と、先端面部10Aに形成された開口26の縁に設けられた削孔ビット30と、を備える。
また、図3に示すように、第1の掘削部殻体10の後端部には、ピンラック32が取り付けられている。
図3に示すように、第2の掘削部殻体12内にモータ24が配置され、このモータ24の回転軸には減速機22が接続されており、この減速機22にはピニオン22Aが取り付けられている。そして、減速機22に取り付けられたピニオン22Aが、第1の掘削部殻体10に取り付けられたピンラック32と噛み合っている。これにより、モータ24が回転すると、この回転力が減速機22を介してトルクが増幅されて第1の掘削部殻体10に伝達され、第1の掘削部殻体10はその中心軸を中心として第2の掘削部殻体12に対して回転する。
各ローラービット28は、半径方向に異なる位置に配置されている。これにより、第1の掘削部殻体10が周方向に回転した際に、各ローラービット28が通過する軌跡が、半径方向に略等間隔な同心円となり、径によらず均質な掘削を行うことができる。
また、削孔ビット30は、先端が鋭利なビットからなり、第1の掘削部殻体10が回転することにより、ローラービット28により切削された切削面を平坦に整えるように掘削する。
図2に示すように、掘削土排出機構6は、第1の掘削部殻体10内の空間10Eを周方向に複数の室10Gに分割するように、第1の掘削部殻体10の内部の空間10E内に設けられた複数の板材34と、第2の掘削部殻体12の内筒体12Dに前方へ延出するように取り付けられた閉鎖プレート36と、地盤に向かって水を噴射するように、その噴出口が第1の掘削部殻体10の先端面部10Aの表面に露出して設けられたジェットノズル(図示せず)と、を備えている。
各板材34は、先端がそれぞれ、第1の掘削部殻体10の先端面部10Aの削孔ビット30が取り付けられた箇所の裏面に接続されており、後述するように、第1の掘削部殻体10が回転した際に、空間10E内の掘削土を後方に向かって押しやるように、後方に向かって周方向に傾斜して設けられている。
閉鎖プレート36は、第1の掘削部殻体10の内筒体10Dの後端と、第2の掘削部殻体12の内筒体12Dの前端との間の隙間10Fを、周方向に最下部から所定の高さまでの部分(本実施形態では、最下部から周方向両側にそれぞれ約120°の部分)を閉鎖するように設けられている。
図2に示すように、推進機構8は、掘削進行方向に延び、直列接続された複数対の前方及び後方の軸方向油圧ジャッキ40、42と、周方向に隣接する軸方向油圧ジャッキ40、42の間に配置された複数の前方及び後方の径方向油圧ジャッキ44、46と、前方及び後方の径方向油圧ジャッキ44、46の先端に夫々接続された前方及び後方の複数の支持板48、50と、補助用の推進ジャッキ60と、により構成される。
各対の前方及び後方の軸方向油圧ジャッキ40、42は掘削進行方向に延びるように直列接続されている。各対の前方及び後方の軸方向油圧ジャッキ40、42は、角度によらず均一な推進力が得られるように、殻体2の周方向に等角度間隔で設けられている。
前方の軸方向油圧ジャッキ40は、第2の掘削部殻体12から前方の殻体14に亘って、内筒体12D、14Dと外筒体12C、14Cと間に収容されており、先端が第2の掘削部殻体12に設けられた接続プレート52に固定され、後端が前方の殻体14に設けられた接続プレート54に固定されている。
後方の軸方向油圧ジャッキ42は、前方の殻体14から後方の殻体16に亘って、内筒体14D、16Dと外筒体14C,16Cと間に収容されており、先端は前方の殻体14の接続プレート54に固定され、後端は後方の殻体16に設けられた接続プレート56に固定されている。このように、前方及び後方の軸方向油圧ジャッキ40、42は、接続プレート54を介して直列接続されている。
図5に示すように、前方の径方向油圧ジャッキ44は、矩形状の支持板48に対して、周方向に並ぶ2台の油圧ジャッキが一組として設けられている。対となる径方向油圧ジャッキ44は周方向に間隔をあけて第2の掘削部殻体12内に収容されている。
また、図2及び図6に示すように、後方の径方向油圧ジャッキ46は、前後方向に並ぶ一対の支持板50のそれぞれに対して、4台の油圧ジャッキが一組として、支持板50の四隅に当たる位置に設けられている。後方の径方向油圧ジャッキ46は、前後方向及び周方向に間隔をあけて、後方の殻体16内に収容されている。
第2の掘削部殻体12及び後方の殻体16の外筒体12C、16Cには、前方及び後方の径方向油圧ジャッキ44、46に対応した位置に開口12A,16Aが形成されている。前方及び後方の径方向油圧ジャッキ44,46は、一端が第2の掘削部殻体12及び後方の殻体16の内筒体12D,16Dに固定されており、他端が外筒体12C、16Cに形成された開口12A,16Aと略同一形状の支持板48、50に接続されている。かかる構成により、前方及び後方の径方向油圧ジャッキ44,46が伸長することにより、支持板48、50が外周に向かって突出することとなる。
なお、これら軸方向油圧ジャッキ40、42及び径方向油圧ジャッキ44、46は、制御装置(図示せず)に接続されており、制御装置により油圧が供給される。
以下、上記の掘削装置1を用いたトンネルの掘削方法を説明する。
図7は、本実施形態による掘削装置1を用いたトンネルの掘削を示す鉛直断面図である。同図に示すように、本実施形態では、先行して、掘削装置1により円筒状に地盤62を掘削し、後行して、残された中心部の地盤64を重機66によって掘削することにより円形断面のトンネルを構築する。
まず、図8〜図11を参照して、推進機構8により、掘削機構4を推進させる方法について説明する。なお、この推進作業は、掘削機構4のカッタ部20を掘削装置1の軸を中心として回転させるとともに、掘削土排出機構6により掘削土を排出させながら行う。
まず、図8に示すように、前方及び後方の軸方向油圧ジャッキ40、42が収縮した状態で、後方の径方向油圧ジャッキ46を伸長させて支持板50により周囲の地盤を押圧する。そして、図9に示すように、支持板50により地盤に反力をとった状態で、前方及び後方の軸方向油圧ジャッキ40,42を伸長させて掘削機構4を前方へ押し出し、掘削機構4により地盤を円筒状に掘削していく。
このようにして、所定の距離、掘削を行ったら、図10に示すように、前方の径方向油圧ジャッキ44を伸張させて、支持板48により周囲の地盤を押圧する。そして、後方の径方向油圧ジャッキ46を後退させる。
さらに、図11に示すように、前方及び後方の軸方向油圧ジャッキ40,42を収縮させる。これにより、前方及び後方の殻体14、16を前進させることができる。なお、この際、掘削が完了したトンネルの内周壁に取り付けられたセグメントに反力を取った状態で、補助用の推進ジャッキ60を伸張させることにより、前方及び後方の殻体14、16を容易に前進させることができる。
以上の工程を繰り返すことで、掘削機構4を前方へ進出させるとともに掘削装置1を推進させることができる。
上記の推進作業とともに、カッタ部20を回転させて地盤を掘削し、掘削することで生じた掘削土を装置後方へと送る。すなわち、推進機構8によりカッタ部20を地盤に押し付けた状態で、掘削機構4のモータ24を回転させる。モータ24の回転力は減速機22に伝達されてトルクが増幅され、ピニオン22A及びピンラック32を介して第1の掘削部殻体10を回転させる。第1の掘削部殻体10が回転すると、まず、地盤がカッタ部20のローラービット28により断面鋸形状に掘削され、さらに、削孔ビット30により表面の凹凸が削りとられる。これにより円環状に地盤を掘削することができる。
カッタ部20により地盤を掘削することで生じた掘削土は、ジェットノズルから噴射される水と攪拌されて、流動性が向上される。そして、掘削土は、第1の掘削部殻体10の先端面部10Aに形成された開口26から第1の掘削部殻体10内の室10Gに収容される。そして、第1の掘削部殻体10が回転することにより、第1の掘削部殻体10内に取り付けられた板材34により後方に送られ、隙間10Fから装置の内側の空間へ排出される。
ここで、上記の通り、第1の掘削部殻体10の内筒体10Dの後端と、第2の掘削部殻体12の内筒体12Dの前端との間の隙間10Fは、周方向に最下部から所定の高さまでの部分が閉鎖プレート36により閉鎖されている。このため、所定の高さ以下に位置している室10Gからは掘削土が排出されることはなく、第1の掘削部殻体10が回転することにより、所定の高さまで回転した室10G内の掘削土が閉鎖プレート36上に落下することとなる。これにより、室10Gを通して隙間10Fまで運ばれた掘削土が、下方にたまってしまい、隙間10Fを閉塞することを防止できる。
そして、掘削装置1の後方において、円筒状に掘削されたトンネル内周面に仮保護プレートを取り付ける。
上記の先行掘削作業と並行して、掘削装置1により円環状に掘削された部分の内側の地盤64を第1の掘削部殻体10の後方位置まで掘削する。この掘削作業は、ブレーカーやバックホウ等の重機を用いればよい。
そして、ブレードにより運ばれた掘削土及び地盤を掘削して発生した掘削土を、シャフローダによりダンプトラックに積載し、トンネル外部に搬出する。
次に、トンネル全断面の掘削が完了した部分において、トンネル内周面から仮保護プレートを取り外し、セグメントなどの覆工を施す。
以上の工程により、円形断面のトンネルを構築することができる。
本実施形態によれば、第1の掘削部殻体10内の空間10E内に板材34が後方に向かって周方向に傾斜するように設けられているため、第1の掘削部殻体10が回転することにより、第1の掘削部殻体10内の室10Gに収容された掘削土が板材34により後方へスムーズに送られ、隙間10Fから装置1の内側空間へ排出することができる。
また、隙間10Fの下方部分を閉鎖プレート36により閉鎖する構成としたため、第1の掘削部殻体10内の空間10Eから装置内側に排出された掘削土が、装置1の内側の下方に堆積して隙間10Fを閉塞することを防止し、掘削土排出機構6につまりが生じることを抑止できる。
また、第1の掘削部殻体10内の空間10E内につまりが生じた場合であっても、閉鎖プレート36を取り外すことにより、掘削装置1の内筒体や外筒体を解体することなく容易につまりを除去することができる。
また、掘削土排出機構6として、第1の掘削部殻体10の内部に後方に向かって周方向に傾斜するように板材34を設ける構成としたため、従来の送泥管などに比べて、大断面の掘削土を排出するためのスペースを確保でき、掘削土を大量に排出することができる。
また、本実施形態によれば、第1の掘削部殻体10が回転することにより、板材34が掘削土を搬出することができ、カッタ部20を回転させるための動力と別個に、掘削土を排出するための動力を設ける必要がない。
なお、本実施形態では、第1の掘削部殻体10内の空間10Eに板材34を設ける構成としたが、これに限らず、例えば、螺旋状の板材を設ける構成としてもよい。
また、上記実施形態では、閉鎖プレート36を第2の掘削部殻体12の内筒体12Dに取り付けることにより、隙間10Fの下方部分を閉鎖して、空間10Eと装置1の内側の空間とが内筒体の上方のみで連通する構成としたが、これに限らず、第2の掘削部殻体12の内筒体12Dの下部を前方に向かって延出させることにより、隙間10Fの下部を閉鎖してもよい。
また、上記実施形態では、カッタ部20が形成された先端面部10Aとともに、第1の掘削部殻体10を構成する内筒体10D及び外筒体10Bとが回転する構成としたが、これに限らず、少なくとも先端面部10Aのみが回転し、これとともに板材34が回転すればよい。
以下、本発明の第二実施形態を説明する。
なお、以下の説明で、第一実施形態と同様の構成要素については、同じ番号を付して説明を省略する。
図12は、本実施形態の掘削装置の鉛直断面図であり、図13は図12におけるA−A正面図、図14は図12におけるB−B断面図、図15は図12におけるC−C断面図である。
図12に示すように、掘削装置101は、円筒状の殻体102と、殻体102の掘削進行方向(以下、前方という)の先端に設けられた掘削機構4と、掘削土排出機構106と、掘削機構4を推進させるための推進機構8とを備える。なお、本実施形態の掘削装置における掘削機構4の構成は第1実施形態と同様である。また、本実施形態における推進機構の構成は、径方向油圧ジャッキの数が少ないものの、その構成は第1実施形態と同様である。
図12に示すように、殻体102は、前方から順次接続された第1の掘削部殻体10と、第2の掘削部殻体12と、前方の殻体14と、後方の殻体16とにより構成される。本実施形態では、第2の掘削部殻体12を構成する内筒体12Eの前端は、第1の掘削部殻体10を構成する内筒体10Dの後端まで進出しており、これら内筒体10D、12Eの間に隙間が形成されていない。
また、本実施形態では、第1の掘削部殻体10と、第2の掘削部殻体12と、前方の殻体14と、後方の殻体16を構成する内筒体10D、12E、14D、16Dは第1実施形態に比べて小径に構成されており、内筒体10D、12E、14D、16Dと外筒体10B、12C、14C、16Cとの間に第1実施形態よりも幅広い環状空間が形成されている。
なお、本実施形態では、殻体2内に配置される掘削機構4及び推進機構8を構成する部材は、全て殻体2内の空間の外周側に配置されており、殻体2内の内周側には各機構を構成する部材が配置されておらず、殻体2の内周側には掘削土を排出する際に利用される環状の内側空間108が画成されている。
内周側の環状の内側空間108と掘削機構4及び推進機構8を構成する部材が配置された空間との間には、これらの空間を分割するように第2の掘削部殻体12内に円筒状の中間筒体12Fが設けられている。また、第2の掘削部殻体12の先端部において、この中間筒体12Fと外筒体12Cとの間は閉鎖板12Gで閉塞されている。本実施形態では、この中間筒体12Fは第2の掘削部殻体12内にのみ設けられているが、前方の殻体14及び後方の殻体16内にも設けてもよい。
本実施形態では、図12に示すように、第1の掘削部殻体10内の空間10Eは、殻体2内の内側空間108と殻体2内において連通している。掘削土排出機構106は、第1の掘削部殻体10内の空間10Eを周方向に複数の室10Gに分割するように第1の掘削部殻体10の内部の空間10Eに設けられた複数の板材134と、第2の掘削部殻体12の内筒体12Dに前方へ延出するように取り付けられた閉鎖プレート136と、地盤に向かって水を噴射するように、その噴出口が第1の掘削部殻体10の先端面部10Aの表面に露出して設けられたジェットノズル(図示せず)と、内側空間108内の下部に設けられた、例えば、ベルトコンベアからなる搬送手段112と、を備えている。
各板材34は、先端がそれぞれ、第1の掘削部殻体10の先端面部10Aの削孔ビット30が取り付けられた箇所の裏面に接続されており、後方に向かって第1の掘削部殻体10の周方向に傾斜するように設けられている。また、板材134の後方内周側は中間筒体12Fの先端と、第1の掘削部殻体10の内筒体10Dの後端とを結ぶように傾斜している。
図14及び図15に示すように、閉鎖プレート136は、中間筒体12Fの先端と、第1の掘削部殻体10の内筒体10Dの後端との間の隙間110Fを、周方向に最下部から所定の高さまでの部分(本実施形態では、最下部から周方向両側にそれぞれ約120°の部分)を閉鎖するように設けられている。
以下、本実施形態の掘削装置101の掘削土排出機構106による掘削土の排出方法を説明する。
第1実施形態と同様に、第1の掘削部殻体10が回転すると、カッタ部20が地盤を掘削する。カッタ部20により地盤を掘削することで生じた掘削土は、ジェットノズルから噴射される水と攪拌されて、流動性が向上される。そして、掘削土は、第1の掘削部殻体10の先端面部10Aに形成された開口26から第1の掘削部殻体10内の室10Gに収容される。
また、第1の掘削部殻体10が回転すると、これとともに板材134が回転する。これにより、第1の掘削部殻体10内の室10Gに収容された掘削土は、回転した板材134により後方に送られ、隙間110Fから内側空間108へ排出される。
この際、閉鎖プレート136により、周方向に最下部から所定の高さまでの部分が閉鎖されているため、第1の掘削部殻体10が回転することにより、所定の高さまで回転した室10G内の掘削土のみが内側空間108に落下することとなる。そして、閉鎖プレート136により、板材34の後方内周側は中間筒体12Fの先端と、第1の掘削部殻体10の内筒体10Dの後端との間の隙間110Fの所定の高さまでの部分が閉鎖されているため、落下した掘削土が隙間10Fを閉塞することを防止できる。
このようにして、内側空間108に落下した掘削土は、内側空間108の下部に設けられた搬送手段112により装置後方へ搬送される。
以上説明したように、本実施形態によっても、第1の掘削部殻体10内の空間10E内に板材134が後方に向かって第1の掘削部殻体10の回転方向に傾斜するように設けられているため、第1の掘削部殻体10とともに板材134が回転することにより、第1の掘削部殻体10内の室10Gに収容された掘削土をスムーズに搬送手段112まで送ることができる。
また、隙間110Fの下方部分を閉鎖プレート136により閉鎖する構成としたため、第1の掘削部殻体10内の室10Gから隙間110Fを通じて装置内側に排出された掘削土が、下方に堆積して隙間110Fを閉塞することを防止し、掘削土排出機構6につまりが生じることを抑止できる。
また、掘削土排出機構6として、第1の掘削部殻体10の内部に後方に向かって第1の掘削部殻体10の回転方向に傾斜するように板材134を設ける構成としたため、第1の掘削部殻体10が回転することにより板材134により掘削土を後方へ搬送することができるため、大断面の掘削土を排出するためのスペースを確保でき、掘削土を大量に排出することができる。
また、本実施形態によれば、第1の掘削部殻体10が回転することにより、板材134が掘削土を搬出することができ、カッタ部20を回転させるための動力と別個に動力を設ける必要がない。
なお、本実施形態においても、板材134に代えて、例えば、螺旋状の板材を設けてもよく、先端面部10Aと板材134のみが回転する構成としてもよい。
1、101 掘削装置
2、102 殻体
4 掘削機構
6、104 掘削土排出機構
8 推進機構
10 第1の掘削部殻体
10A 先端面部
10B 前方外筒体
10C 後方外筒体
10E 空間
10F、110F 隙間
10G 室
12 第2の掘削部殻体
12C、14C、16C 外筒体
10D、12D、14D,16D、12E 内筒体
20 カッタ部
26 開口
28 ローラービット
30 削孔ビット
34、134 板材
36、136 閉鎖プレート
108 内側空間
112 搬送手段

Claims (3)

  1. 地盤を円環状に掘削するための円筒状のトンネル掘削装置であって、
    該トンネル掘削装置の掘削進行方向の先端面に設けられ、先端面に地盤を掘削するためのビットを備える回転駆動可能な円環状のカッタ部を含む掘削機構と、
    円筒形状の外筒体と、前記外筒体と同心状に配置され、前記外筒体よりも小径の円筒形状の内筒体とを有し、前記先端面の後方に接続された殻体と、
    前記掘削機構を掘削進行方向に推進させる推進機構と、
    前記掘削機構により掘削された掘削土を、前記先端面に形成された開口から、前記トンネル掘削装置の前方に内筒体と外筒体との間に形成された収容空間に収容し、前記内筒体の前記収容空間の後部に形成された隙間から該トンネル掘削装置の内側空間へ排出する掘削土排出機構と、を備え、
    前記掘削土排出機構は、前記収容空間内に後方方向に向かって周方向に傾斜するように設けられた板材を備え、該板材は前記カッタ部とともに回転し、これにより前記収容空間内に収容された掘削土が前記収容空間の後方に形成された隙間へ送られる、
    ことを特徴とするトンネル掘削装置。
  2. 前記殻体は、前記掘削進行方向先方側から順に設けられた、第1の殻体と、第2の殻体と、を含み、
    前記第1の殻体は前記カッタ部とともに前記第2の殻体に対して回転し、
    前記収容空間は前記第1の殻体内に形成され、
    前記隙間は、前記第1の殻体の内筒体の後縁と、前記第2の殻体の内筒体の前縁との間に形成されている、請求項1に記載されたトンネル掘削装置。
  3. 前記第1の殻体の内筒体の後縁と、前記第2の殻体の内筒体の前縁に設けられた前記隙間の所定高さよりも下方部分を閉鎖する閉鎖プレートを備え、これにより、前記隙間は、所定高さよりも上方において前記内筒体の内側に開口している請求項2に記載されたトンネルの掘削装置。
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