JP5848162B2 - ハニカム構造体の乾燥方法 - Google Patents
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Description
押出成形後のハニカム構造体は、含水率が40質量%程度であり、このまま焼成工程を行うと、ハニカム構造体にひびや割れ等が発生してしまう。これを防止するためには、予めハニカム構造体の含水率を10質量%程度へ低下させるべく、乾燥工程が必要となる。
マイクロ波乾燥方法は、自然乾燥方法や調湿乾燥方法と比べて乾燥時間を大幅に短縮することが可能であり、生産効率を向上させることができる。乾燥方法としては、電界分布を均一にした乾燥炉内へ、ハニカム構造体を設置するバッチ式による乾燥方法や、ハニカム構造体を、マイクロ波発生装置を備えるマイクロ波照射槽内へ連続的に通過させて乾燥させる連続式による乾燥方法が知られている(例えば、引用文献1、2等)。
そのため、マイクロ波照射槽から搬出されたハニカム構造体が十分に乾燥したか、個々に含水率を確認しなければならず、乾燥の不十分なハニカム構造体については、追加で乾燥させる必要があった。
また、乾燥の不十分なハニカム構造体の含水率も個々にばらつきがあるため、追加の乾燥は含水率に応じてバッチ式等により乾燥させる必要があった。このような含水率の再測定や、追加の乾燥といった手間や時間が必要となることで、乾燥手順が煩雑となるだけでなく、生産効率の低下にもつながることとなった。
その結果、ハニカム構造体同士の間隔が近すぎると、一方のハニカム構造体へマイクロ波が優先して照射され、そのハニカム構造体については乾燥が進行するものの、他方のハニカム構造体へはマイクロ波がほとんど照射されず、乾燥しないことがわかった。そして、マイクロ波が照射されていたハニカム構造体がマイクロ波照射槽から搬出された後は、マイクロ波は上記マイクロ波がほとんど照射されていないハニカム構造体を飛ばして、新たに搬送されたハニカム構造体へ照射されることもわかった。
このような照射ムラが発生するのは、ハニカム構造体の水分量が影響することがわかった。すなわち、含水率がほぼ同じハニカム構造体であっても、これらの間隔が近い場合には、わずかでも含水率の高いハニカム構造体へマイクロ波が優先して照射される結果がみとめられた。
さらに、マイクロ波がほとんど照射されていないハニカム構造体であっても、わずかにマイクロ波が照射されることで、含水率が低くなっていた。この含水率の低下が、マイクロ波がハニカム構造体を飛ばして新たに搬送されたハニカム構造体を照射する原因となることがわかった。すなわち、マイクロ波が優先して照射されていたハニカム構造体がマイクロ波照射槽から搬出された後は、マイクロ波がほとんど照射されていないハニカム構造体よりも、新たに搬送されたハニカム構造体の方が、水分量が多いため、マイクロ波は水分量の多いハニカム構造体へ優先して照射される結果がみとめられた。
マイクロ波の性質について、これらの知見を得た上で、本発明者は、ハニカム構造体の水分量に応じて照射ムラが生じることを防止するべく、鋭意検討を行った。その結果、ハニカム構造体同士の間隔を所定の長さ以上とすれば、含水率の異なる場合であっても、マイクロ波はどのハニカム構造体にもムラなく照射されることを見出した。さらに、間隔を所定の長さ以上としたことにより、照射が飛ばされてしまうハニカム構造体はなくなり、均一に乾燥できることを見出し、本発明を完成するに至った。
まず、本発明の乾燥方法は、ハニカム構造体を対象とする。ハニカム構造体は、その形状が一定のものではなく、ハニカム面が四角形や五角形、六角形といった多角形形状である多角柱状のものや、ハニカム面が円形状である円柱状のものが挙げられる。
そして、本発明の乾燥方法は、連続乾燥装置により複数のハニカム構造体を連続して乾燥する方法である。ここで、連続乾燥装置は、マイクロ波を発生しハニカム構造体に照射して乾燥するマイクロ波発生装置を備えるマイクロ波照射槽と、このマイクロ波照射槽の前後に設置された吸収負荷を備えた照射槽入口および照射槽出口と、ハニカム構造体を載置して照射槽入口、マイクロ波照射槽内、および照射槽出口を順次搬送する搬送装置とを少なくとも備える。ハニカム構造体は、マイクロ波照射槽内を通過中にマイクロ波が照射され乾燥する仕組みである。
このような乾燥装置であれば、ハニカム構造体を搬送装置へ順次載置することにより、照射槽入口からマイクロ波照射槽内へ搬送して乾燥させ、その後照射槽出口へ搬送された乾燥後のハニカム構造体を取り出すことで、連続的な乾燥処理が可能となる。この乾燥装置においては、搬送装置の搬送速度を調整することによっても、マイクロ波の照射時間を調節することができるため、ハニカム構造体の乾燥を制御することができる。
なお、マイクロ波は、周波数が300MHz〜30GHz(波長1cm〜1m)の電波の総称であり、ハニカム構造体に照射するマイクロ波はこの範囲の周波数のものを用いることができる。一般的には、周波数が2450MHz前後のマイクロ波を用い、この場合のマイクロ波の波長(λ)は、約120mmである。
上記間隔がマイクロ波の波長の2倍よりも短い場合、マイクロ波の照射にムラが生じたり、照射を飛ばされてしまうハニカム構造体が現れてしまう。また、上記間隔が長すぎても乾燥そのものに影響することはないが、乾燥効率が低下してしまうことから、マイクロ波の波長の4倍程度の間隔をおよその上限として、ハニカム構造体を乾燥させることができる。
ハニカム構造体は、搬送装置に直列に載置する。搬送装置に、搬送装置と平行する方向に一列に載置するのであり、2列以上の並列で載置する方法については、以下に説明する。
なお、マイクロ波の照射源となるマイクロ波発生装置と、ハニカム構造体との距離は、マイクロ波の波長の2倍〜10倍であることが好ましい。当該距離が2倍よりも短いと、近接電界が発生し、ハニカム構造体の1箇所のみにマイクロ波が集中して乾燥ムラが生じるおそれがある。また、当該距離が10倍よりも長いと、多重反射の影響が大きくなり、乾燥ムラの原因となるおそれがある。上記2倍〜10倍の範囲内の距離であれば、このような乾燥ムラのおそれがなく、ハニカム構造体を良好に乾燥することができる。
並列で載置する場合には、並列で隣り合うハニカム構造体の間隔は、マイクロ波の波長(λ)の2倍以上となるように載置する。間隔をマイクロ波の波長の2倍以上空けることで、並列に隣り合うハニカム構造体の含水率が異なる場合であっても、マイクロ波は均等にムラなく照射される。また、ハニカム構造体が照射を飛ばされてしまうこともなくなるため、結果としていずれのハニカム構造体も均一に乾燥することができる。
上記間隔がマイクロ波の波長の2倍よりも短い場合、マイクロ波の照射にムラが生じたり、照射を飛ばされてしまうハニカム構造体が現れてしまう。また、上記間隔が長すぎても乾燥そのものに影響することはないが、乾燥効率が低下してしまうことから、マイクロ波の波長の4倍程度の間隔をおよその上限として、ハニカム構造体を乾燥させることができる。
マイクロ波の照射源を複数備えれば、ハニカム構造体へ照射されるマイクロ波の照射全量が増えるため、より速やかに乾燥することができるからである。
この場合、隣り合うマイクロ波発生装置の間隔は、マイクロ波の波長の2倍以上となるように載置する。マイクロ波発生装置の間隔が狭いと、複数のマイクロ波発生装置からハニカム構造体にマイクロ波が重なって照射されてしまうことで、乾燥ムラが生じるおそれがあるからである。
なお、上記間隔が長すぎても照射そのものに影響することはないが、乾燥効率が低下してしまうことから、マイクロ波の波長の4倍程度の間隔をおよその上限として、マイクロ波発生装置を設置することができる。
マイクロ波照射槽の天井部にマイクロ波発生装置を設置し、かつ、ハニカム構造体のセルの軸方向を水平方向として搬送装置に載置することにより、ハニカム側面へのマイクロ波の入射密度がハニカム面への入射密度よりも高くすることができる。ハニカム面よりもハニカム側面の方が、照射を受ける面積が大きいことから、ハニカム側面への入射密度を高くすることにより、乾燥を促進することができる。
搬送方向に対するハニカム構造体のセルの軸方向に傾斜角をつけるのは、進行方向に対してハニカム構造体を斜めに載置して、ハニカム構造体全体へ一度にマイクロ波が照射されないよう、ハニカム構造体の端からマイクロ波が照射されるようにするためである。
ハニカム構造体が水分量の分布に若干の偏りがある場合に、ハニカム構造体の全体へ一度にマイクロ波が照射されてしまうと、水分量の多い部分にマイクロ波が集中して照射されてしまい、乾燥ムラや白化、ひびや割れ等の原因となるおそれがあるからである。ハニカム構造体の端から全体へと徐々にマイクロ波を照射すれば、乾燥も端から進むため、乾燥ムラが生じることなく、良好に乾燥することができる。
傾斜角を35度〜75度とするのは、この範囲内であると乾燥ムラをより効果的に防止することができるためである。傾斜角がこの範囲を超えた場合でも、防止効果は弱まるものの、均一に乾燥させることは可能である。
また、前列のハニカム構造体の側面等の端と、前記前列に続いて載置されたハニカム構造体の側面等の端の距離がマイクロ波の波長の2倍以上となるように載置するのは、ハニカム構造体の間隔を、このようにマイクロ波の波長の2倍以上空けることで、隣り合うハニカム構造体の含水率が異なる場合であっても、マイクロ波は均等にムラなく照射される。また、ハニカム構造体が照射を飛ばされてしまうこともなくなるため、結果としていずれのハニカム構造体も均一に乾燥することができる。
また、マイクロ波が常にいずれかのハニカム構造体に照射されるため、照射に無駄が生じることがなく、結果として照射出力を低減することができる。
マイクロ波の照射により、ハニカム構造体中の水分が揮発して乾燥するところ、ハニカム構造体のセルの軸方向が上下方向であることにより、揮発した水分がハニカム構造体内部から外部へと抜けやすくなるため、乾燥時間を短縮することができる。例えば、セルの軸方向が水平方向である場合には、揮発した水分がハニカム構造体の内部から抜けにくいため、内部で結露してしまい、乾燥が遅くなる場合がある。ただし、この場合でも、ハニカム構造体が乾燥不良となることはない。
上記したように、ハニカム構造体のセルの軸方向が上下方向であることで、揮発した水分がハニカム構造体内部から外部へと抜けやすくなる。しかしながら、セルの軸方向の長さが、マイクロ波の波長の0.5倍以上である大型のハニカム構造体の場合には、セルの軸方向を上下方向となるように載置すると、ハニカム構造体の自重によりハニカム構造体が変形してしまうおそれがある。
このような大型のハニカム構造体の場合には、セルの軸方向の傾斜角を水平方向に対して1度〜10度となるように傾けて載置することで、揮発した水分をハニカム構造体の外部へ抜けやすくすることができ、乾燥時間を短縮することができる。傾斜角が1度よりも小さいと、生産効率の観点から、乾燥時間の短縮効果が期待できない。また、傾斜角が10度よりも大きいと、自重により変形してしまうおそれがある。
マイクロ波照射槽の天井部にマイクロ波発生装置を設置することにより、ハニカム側面へのマイクロ波の入射密度がハニカム面への入射密度よりも高くすることができる。ハニカム面よりもハニカム側面の方が、照射を受ける面積が大きいことから、ハニカム側面への入射密度を高くすることにより、乾燥を促進することができる。
搬送方向に対するハニカム構造体のセルの軸方向に傾斜角をつけるのは、進行方向に対してハニカム構造体を斜めに載置して、ハニカム構造体全体へ一度にマイクロ波が照射されないよう、ハニカム構造体の端からマイクロ波が照射されるようにするためである。
ハニカム構造体が水分量の分布に若干の偏りがある場合に、ハニカム構造体の全体へ一度にマイクロ波が照射されてしまうと、水分量の多い部分にマイクロ波が集中して照射されてしまい、乾燥ムラや白化、ひびや割れ等の原因となるおそれがあるからである。ハニカム構造体の端から全体へと徐々にマイクロ波を照射すれば、乾燥も端から進むため、乾燥ムラが生じることなく、良好に乾燥することができる。
傾斜角を35度〜75度とするのは、この範囲内であると乾燥ムラをより効果的に防止することができるためである。傾斜角がこの範囲を超えた場合でも、防止効果は弱まるものの、均一に乾燥させることは可能である。
また、前列のハニカム構造体の側面等の端と、前記前列に続いて載置されたハニカム構造体の側面等の端の距離がマイクロ波の波長の2倍以上となるように載置するのは、ハニカム構造体の間隔を、このようにマイクロ波の波長の2倍以上空けることで、隣り合うハニカム構造体の含水率が異なる場合であっても、マイクロ波は均等にムラなく照射される。また、ハニカム構造体が照射を飛ばされてしまうこともなくなるため、結果としていずれのハニカム構造体も均一に乾燥することができる。
また、マイクロ波が常にいずれかのハニカム構造体に照射されるため、照射に無駄が生じることがなく、結果として照射出力を低減することができる。
上記多角形形状のハニカム構造体において、ハニカム面の対角線のうち少なくとも1つの長さ、多角形の辺の長さ、または、ハニカム構造体の高さのいずれかが、マイクロ波の波長の0.5倍以上である場合には、白化やひび、割れ等の発生を予め防止するべく、被覆材を被覆することができる。なお、対角線は、多角形上のことなる2つの頂点同士を結ぶ線分のうち辺を除く線分のことであり、三角形以外の多角形は全て2本以上の対角線を持つ。
被覆工程では、ハニカム構造体の表面のうち、少なくとも隅角部および各辺に被覆材を被覆する。隅角部や各辺はマイクロ波が集中しやすいため、こういった部分を被覆すれば、当該部分の白化やひび、割れ等の発生を防止することが出来る。
被覆材で被覆する場合、被覆間隔は、マイクロ波の波長の0.5倍〜2倍の長さであることが好ましい。ハニカム構造体のうち、ハニカム面の対角線のうち少なくとも1つの長さ、多角形の辺の長さ、または、ハニカム構造体の高さのいずれかが、マイクロ波の波長の0.5倍以上である場合には、当該0.5倍以上の幅等があるハニカム面や側面に、ひびや割れ等が発生しやすく、これらの発生を防止することができるからである。例えば、ハニカム構造体の高さがマイクロ波の波長の0.5倍〜2倍の長さである場合には、ハニカム側面のうち隅角部と各辺を被覆材で被覆することにより、白化、ひびや割れ等を防止することができる。また、ハニカム構造体の高さがマイクロ波の波長の2倍以上の長さである場合には、ハニカム側面のうち隅角部と各辺を被覆材で被覆するのみでは、ハニカム側面にひびや割れ等が発生するおそれがあるため、隅角部と各辺に加え、各辺からマイクロ波の波長の0.5倍〜2倍の距離にあるハニカム側面にも被覆材を被覆することが好ましい。
上記円柱状のハニカム構造体において、円形状のハニカム面の直径、または、ハニカム構造体の高さのいずれかが、マイクロ波の波長の0.5倍以上である場合には、白化やひび、割れ等の発生を予め防止するべく、被覆材を被覆することができる。
被覆工程では、ハニカム構造体の表面の少なくとも円柱端部に、被覆材を被覆する。円柱端部は、ハニカム面とハニカム側面とが接するところであり、マイクロ波が集中しやすい部分である。この円柱端部を被覆すれば、当該部分の白化やひび、割れ等の発生を防止することが出来る。
被覆材で被覆する場合、被覆間隔は、マイクロ波の波長の0.5倍〜2倍の長さであることが好ましい。ハニカム構造体のうち、ハニカム面の直径、または、ハニカム構造体の高さのいずれかが、マイクロ波の波長の0.5倍以上である場合には、当該0.5倍以上の幅等があるハニカム面や側面に、ひびや割れ等が発生しやすく、これらの発生を防止することができるからである。例えば、ハニカム面の直径がマイクロ波の波長の0.5倍〜2倍の長さである場合には、ハニカム構造体の円柱端部を被覆材で被覆することにより、白化、ひびや割れ等を防止することができる。また、ハニカム面の直径がマイクロ波の波長の2倍以上の長さである場合には、ハニカム構造体の円柱端部を被覆材で被覆するのみでは、ハニカム面に発生するひびや割れ等が発生するおそれがあるため、円柱端部に加え、円柱端部からマイクロ波の波長の0.5倍〜2倍の距離にあるハニカム面およびハニカム側面に被覆材を被覆することが好ましい。すなわちこの場合には、ハニカム面へ太陽十字形に被覆材を被覆すると共に、ハニカム構造体上部のハニカム面と下部のハニカム面に被覆された十字形の被覆材をつなぐように、ハニカム側面に被覆材が被覆されることとなる。
ハニカム面が多角形形状である多角柱状またはハニカム面が円形状である円柱状であって、ハニカム構造体のセルの軸方向の長さが、マイクロ波の波長の0.5倍よりも短いハニカム構造体である場合には、自重によりハニカム構造体が変形するおそれがないため、用いることのできる方法である。ハニカム構造体のセルの軸方向が上下方向となるように載置することで、揮発した水分がハニカム構造体内部から外部へと抜けやすくなるため、乾燥時間を短縮することができる。
乾燥対象となるハニカム構造体が、ハニカム面が多角形形状である多角柱状またはハニカム面が円形状である円柱状であって、ハニカム構造体のセルの軸方向の長さが、マイクロ波の波長の0.5倍以上であるハニカム構造体である場合に、用いることのできる方法である。水平方向に対するハニカム構造体のセルの軸方向の傾斜角13を1度〜10度となるように載置することで、揮発した水分をハニカム構造体の外部へ抜けやすくすることができ、乾燥時間を短縮することができる。
ハニカム構造体のセルの軸方向を水平方向に対して傾斜させる方法としては、例えばコンベア8とハニカム構造体7との間に傾斜させたい角度のテーパー角を有するテーパー台14を設置する方法が挙げられる。テーパー台14は、ハニカム構造体の乾燥を阻害するものであってはならない。例えば、セラミックスやフッ素樹脂、塩化ビニル等の素材のテーパー台であれば、ハニカム構造体の乾燥を阻害することはない。
なお、セル軸方向の長さが短い複数のハニカム構造体を、セル軸方向を連結させて一体のハニカム構造体を模擬した連結体とした場合にも、テーパー台14等を用いることにより、連結体のセルの軸方向を水平方向に対して傾斜させて乾燥することができる(図3(e))。
なお、図3(d)と同様に、ハニカム構造体のセルの軸方向が水平方向に対して傾斜するように、テーパー台14等を用いて載置することもできる(図4(b))。セル軸方向を連結させて一体のハニカム構造体を模擬した連結体とした場合にも、連結体のセルの軸方向を水平方向に対して傾斜させることで、同様に乾燥することができる。
なお、ハニカム構造体のセルの軸方向が水平方向に対して傾斜するように、テーパー台14等を用いてハニカム構造体やその連結体を載置することもできる。
そして、複数のハニカム構造体は、前列のハニカム構造体の側面等の端と、前記前列に続いて載置されたハニカム構造体の側面等の端の距離がマイクロ波の波長の2倍以上であるように、載置している。すなわち、複数のハニカム構造体は、搬送方向10と平行する方向の間隔12がマイクロ波の波長の2倍以上である(図6(b))。
なお、ハニカム構造体のセルの軸方向が水平方向に対して傾斜するように、テーパー台14等を用いてハニカム構造体やその連結体を載置することもできる。
なお、ハニカム構造体のセルの軸方向が水平方向に対して傾斜するように、テーパー台14等を用いてハニカム構造体やその連結体を載置することもできる。
ハニカム構造体7は、ハニカム面の各辺の長さおよびハニカム構造体の高さがマイクロ波の波長の0.5倍〜2倍の長さであり、そのため、ハニカム構造体1のうち隅角部7bと各辺7cを被覆材で保護すれば、マイクロ波を照射して乾燥することによる白化、ひびや割れ等を防止することができる。
ここで、アルミ板の幅は、一律にマイクロ波の波長の0.2倍とすることで、ハニカム構造体を良好に乾燥させることができる。更には、ハニカム構造体の長手方向のアルミ板のみ、その幅A’をマイクロ波の波長の0.4倍とすることにより、ハニカム構造体が均一に乾燥される。このように、被覆幅の基準をマイクロ波の波長の0.2倍とし、ハニカム構造体の形状や大きさに応じて適宜被覆幅を調整することで、ハニカム構造体を更に効率良く乾燥させることができる。
ハニカム構造体7は、ハニカム面の直径およびハニカム構造体の高さがマイクロ波の波長の0.5倍〜2倍の長さであり、そのため、ハニカム構造体7のうち円柱端部21を被覆材で保護すれば、マイクロ波を照射して乾燥することによる白化、ひびや割れ等を防止することができる。
[ハニカム構造体m]
タルク、カオリン、アルミナ、バインダー、水、および添加剤等を混練して均一な坏土状としたものを、押出成形することにより、ハニカム面の縦50mm、ハニカム面の横50mm、高さ(セルの軸方向の長さ)50mm、壁厚1mm、セル数484個(縦方向:22個、横方向:22個)の四角柱状の小型のハニカム構造体1(含水率:40質量%)を作成した。
ハニカム構造体mの作成方法と同様に坏土状としたものを、押出成形して、ハニカム面の縦150mm、ハニカム面の横150mm、高さ(セルの軸方向の長さ)800mm、壁厚1mm、セル数484個(縦方向:22個、横方向:22個)の四角柱状のハニカム構造体2を作成した。
ハニカム構造体1の作成方法と同様に坏土状としたものを、押出成形して、ハニカム面の縦150mm、ハニカム面の横150mm、高さ(セルの軸方向の長さ)200mm、壁厚1mm、セル数484個(縦方向:22個、横方向:22個)の四角柱状のハニカム構造体3を作成した。
作成したハニカム構造体m〜oを用いて、以下の乾燥処理を行った。
ハニカム構造体m(10体)について、図1に示す連続乾燥処理装置を用いて、マイクロ波を連続的に照射した。
マイクロ波照射装置の仕様は、マイクロ波発生装置3の出力:1kW(連続可変)、周波数:2450±30MHz、電源入力:三相交流、200Vであり、マイクロ波発生装置3と、ハニカム構造体7との距離は、最短距離として、マイクロ波の波長の4倍とした。
マイクロ波照射槽2の仕様は、内寸:600W×700H×1200L(mm)、内炉材質:SUS304である。
コンベア8は、乾燥処理開始時にハニカム構造体mがマイクロ波照射槽へ入り、乾燥処理終了時にマイクロ波照射槽から出るように速度を調整した。マイクロ波の照射時間は、1体あたり1時間とした。
ハニカム構造体mの載置は、図3(a)に示すように、コンベア8の進行方向(搬送方向)10に対してハニカム構造体mのセル軸方向11が垂直となるように、また、ハニカム面7aがコンベア8の進行方向10に対して垂直方向を向き、セル軸方向11は、水平方向とした。ハニカム構造体mは、搬送方向10と平行する方向の間隔12をマイクロ波の波長の2倍とした。
ハニカム構造体の載置の他は、実施例1と同様の方法により、マイクロ波を連続的に照射した。
ハニカム構造体mの載置は、図4(a)に示すように、コンベア8の進行方向10に対してハニカム構造体mのセル軸方向11が平行となるように、また、ハニカム面7aがコンベア8の進行方向10に対して平行方向を向き、セル軸方向11は、水平方向とした。ハニカム構造体mは、搬送方向10と平行する方向の間隔12をマイクロ波の波長の2倍とした。
ハニカム構造体の載置の他は、実施例1と同様の方法により、マイクロ波を連続的に照射した。
ハニカム構造体mの載置は、セルの軸方向を水平とし、図4(a)と同様に、コンベア8の進行方向10に対してハニカム構造体mのセル軸方向11が平行となるように、また、搬送方向10と平行する方向の間隔12がマイクロ波の波長の2倍以上となるようにした。さらに、図5に示すように、コンベア8へハニカム構造体mが2列となるように並列に載置し、搬送方向10と直交する方向の間隔15はマイクロ波の波長の2倍とした。
ハニカム構造体m(30体)を乾燥対象とし、ハニカム構造体の載置の他は、実施例1と同様の方法により、マイクロ波を連続的に照射した。
ハニカム構造体mは、図3(b)に示す70のように、3体のハニカム構造体のセル軸方向を連結させて、一体のハニカム構造体を模擬した連結体とした。そして、連結体の載置は、セルの軸方向を水平とし、図6に示すように、搬送方向10に対するセルの軸方向を傾斜させ、その傾斜角16を60度とした(図6(a))。そして、搬送方向10と平行する方向の間隔12をマイクロ波の波長の2倍とした(図6(b))。
ハニカム構造体の載置の他は、実施例4と同様の方法により、3体のハニカム構造体を連結体とし、マイクロ波を連続的に照射した。
ハニカム構造体mの連結体の載置は、セルの軸方向を水平とし、図6(a)と同様に、搬送方向10に対するセルの軸方向を傾斜角16を60度に傾斜させ、搬送方向10と平行する方向の間隔12をマイクロ波の波長の2倍とした。さらに、図7に示すように、コンベア8へ連結体が2列となるように並列に載置し、搬送方向10と直交する方向の間隔17をマイクロ波の波長の2倍とした。
図2に示す連続乾燥処理装置を用い、マイクロ波の照射時間を1体あたり30分とした他は、実施例1と同様の方法により、マイクロ波を連続的に照射した。
連続乾燥処理装置は、複数のマイクロ波発生装置3a〜3dをマイクロ波照射槽2の内部に備え、これらの発生装置の間隔9はマイクロ波の波長の2倍の間隔とした。
マイクロ波照射装置の仕様は、マイクロ波発生装置1個あたり出力:1kW(連続可変)、周波数:2450±30MHz、電源入力:三相交流、200Vであり、マイクロ波発生装置3と、ハニカム構造体7との距離は、最短距離として、マイクロ波の波長の4倍とした。
マイクロ波照射槽2の仕様は、内寸:600W×700H×1200L(mm)、内炉材質:SUS304である。
コンベア8は、乾燥処理開始時にハニカム構造体mがマイクロ波照射槽へ入り、乾燥処理終了時にマイクロ波照射槽から出るように速度を調整した。
ハニカム構造体oの隅角部および各辺を保護するため、厚み0.1mm、幅A(図8)が30mmのアルミ板を被覆材として被覆した(図8)。そのうえで、実施例1と同様の条件により、マイクロ波を連続的に照射した。
ハニカム構造体mを20体とし、その載置について、搬送方向10と平行する方向の間隔12をマイクロ波の波長の1倍とする他は、実施例1と同様の方法により、マイクロ波を連続的に照射した。
ハニカム構造体mを20体とし、その載置について、搬送方向10と平行する方向の間隔12をマイクロ波の波長の1倍とする他は、実施例6と同様の方法により、マイクロ波を連続的に照射した。
結果として、実施例1のハニカム構造体は、ハニカム構造体同士の間隔をマイクロ波の波長の2倍とすることにより、含水率が10質量%前後となり、良好に乾燥することができた。
他の実施例2〜実施例7についても、実施例1と同様に、含水率が10質量%前後となり、良好に乾燥することができた。
比較例1では、ハニカム構造体同士の間隔が狭すぎたために、マイクロ波が十分に照射されず、乾燥の不十分なハニカム構造体がみられた。また、乾燥の不十分なハニカム構造体が、十分に乾燥されたハニカム構造体と交互に現れる傾向がみとめられた。この傾向は、マイクロ波が、ハニカム構造体を1つ飛ばして、次に載置されたハニカム構造体を照射したことによるものであると考えられる。
また、3体のハニカム構造体を連結させて一体のハニカム構造体を模擬した連結体としたことにより、実施例1と同じ乾燥時間で、実施例1の3倍量である30体のハニカム構造体を乾燥することができた。
乾燥対象としてハニカム構造体nを3体使用し、その隅角部、各辺および側面の一部を保護するため、厚み0.1mm、幅A(図10)が30mm、幅A’(図10)が50mmのアルミ板を被覆材として被覆した(図10)。ハニカム構造体nは、高さ(セルの軸方向の長さ)が800mmであることから、ハニカム構造体の側面については、ハニカム側面を3等分するように、マイクロ波の波長の2倍(約240mm)の長さの間隔で50mmのアルミ板を被覆した。
アルミ板を被覆した上記ハニカム構造体n(1体)を、バッチ式の乾燥装置へ設置し、マイクロ波を連続的に照射して含水率が10質量%となるまで乾燥させた後、乾燥に要した時間を測定すると共に、ハニカム構造体1の白化、ひびや割れの有無を評価した。バッチ式の乾燥装置としては、マイクロ波照射装置と、ハニカム構造体を載置して回転駆動する回転体を備えるマイクロ波照射槽を備えるものを使用した。ハニカム構造体nは、セルの軸方向が水平方向となるように、すなわち、水平方向に対するハニカム構造体のセルの軸方向の傾斜角が0度となるように、回転体へ載置することで、バッチ式の乾燥装置へ設置した。
マイクロ波照射装置の仕様は、ハニカム構造体1個あたり出力:1kW(連続可変)、周波数:2450±30MHz、電源入力:三相交流、200Vであり、マイクロ波照射槽の仕様は、内寸:600W×700H×1200L(mm)、内炉材質:SUS304である。
ハニカム構造体nの水分量測定は、マイクロ波発振器を用い、乾燥用のマイクロ波と同じ周波数帯のマイクロ波を出力20mWにてハニカム構造体nに照射して、ハニカム構造体nから反射されたマイクロ波を測定することにより行った。
回転体とハニカム構造体nの間にテーパー台を設置し、水平方向に対するハニカム構造体nのセルの軸方向の傾斜角を3度とした他は、実施例8と同様にハニカム構造体nを乾燥した。
回転体とハニカム構造体nの間にテーパー台を設置し、水平方向に対するハニカム構造体nのセルの軸方向の傾斜角を5度とした他は、実施例8と同様にハニカム構造体nを乾燥した。
図15は、ハニカム構造体のセルの軸方向について、水平方向に対して傾斜をつけた場合の、乾燥速度を評価した結果である。セルの軸方向が水平方向、すなわちセルの軸方向の傾斜角が0度(実施例8)の場合には、乾燥に120分要したところ、傾斜角に応じて乾燥時間が短縮し、傾斜角が5度(実施例10)の場合には乾燥時間が60分となり、傾斜角が0度から5度となることで、乾燥時間を半分に短縮することができた。
この結果から、セルの軸方向の傾斜をより急勾配とすれば、ハニカム構造体の乾燥時間をより短縮可能であることを予想しうる。ただし、ハニカム構造体nは、高さ(セルの軸方向の長さ)が800mmと大型であり、ハニカム構造体そのものの重量もある。そのため、ハニカム構造体の形状を維持するためには、セル軸方向の傾斜角は10度が限度であり、10度を越えると自重によりハニカム構造体が変形してしまうことがわかった。
実施例8〜10では、バッチ式の乾燥装置を用いて乾燥を行ったところ、これらの結果から、連続乾燥処理装置を用いる場合にも、テーパー台等により、水平方向に対するハニカム構造体のセルの軸方向を傾斜させることにより、乾燥時間の短縮が可能であることは明らかである。
2 マイクロ波照射槽
3 マイクロ波発生装置
3a マイクロ波発生装置
3b マイクロ波発生装置
3c マイクロ波発生装置
3d マイクロ波発生装置
4 照射槽入口
5 照射槽出口
6 吸収負荷
7 ハニカム構造体
7a ハニカム面
7b ハニカム構造体の表面の隅角部
7c ハニカム構造体の表面の辺
8 コンベア
9 マイクロ波発生装置の間隔
10 進行方向(搬送方向)
10a 進行方向(搬送方向)
11 セル軸方向
12 搬送方向と平行する方向の間隔
13 傾斜角
14 テーパー台
15 搬送方向と直交する方向の間隔
16 搬送方向に対するセルの軸方向の傾斜角
17 搬送方向と直交する方向の間隔
18 アルミ板
19 サセプタ
20 ボルト
21 ハニカム構造体の表面の円柱端部
70 ハニカム構造体の連結体
A アルミ板の幅
A’ アルミ板の幅
Claims (9)
- 連続乾燥装置により複数のハニカム構造体を連続して乾燥するハニカム構造体の乾燥方法であって、
前記連続乾燥装置は、マイクロ波を発生し前記ハニカム構造体に照射して乾燥するマイクロ波発生装置を備えるマイクロ波照射槽と、当該マイクロ波照射槽の前後に設置された吸収負荷を備えた照射槽入口および照射槽出口と、ハニカム構造体を載置して前記照射槽入口、前記マイクロ波照射槽内、および前記照射槽出口を順次搬送する搬送装置とを少なくとも備え、
前記ハニカム構造体が、ハニカム面が多角形形状である多角柱状またはハニカム面が円形状である円柱状のハニカム構造体であり、
前記多角柱状のハニカム構造体のハニカム面およびハニカム側面の隅角部ならびに各辺に、または、前記ハニカム面が円形状である円柱状のハニカム構造体のハニカム面およびハニカム側面の円柱端部に、マイクロ波からハニカム構造体を保護する被覆材を被覆する被覆工程と、
前記複数のハニカム構造体を前記搬送装置に載置する載置工程と、
前記マイクロ波照射槽内を通過中の前記ハニカム構造体にマイクロ波を照射して乾燥する照射乾燥工程と、を少なくとも含み、
前記載置工程は、前記複数のハニカム構造体を搬送方向と平行する方向の間隔がマイクロ波の波長(λ)の2倍以上となるように前記搬送装置に直列に載置する直列載置工程であることを特徴とするハニカム構造体の乾燥方法。 - 前記載置工程は、前記複数のハニカム構造体を搬送方向と直交する方向の間隔がマイクロ波の波長の2倍以上となるように前記搬送装置に並列に載置する並列載置工程をさらに含む請求項1記載のハニカム構造体の乾燥方法。
- 前記マイクロ波照射槽は、前記ハニカム構造体の搬送方向と平行して設置された複数の前記マイクロ波発生装置を備え、
当該複数のマイクロ波発生装置は、マイクロ波の波長の2倍以上の間隔で設置されている請求項1または請求項2記載のハニカム構造体の乾燥方法。 - 前記マイクロ波発生装置は、前記マイクロ波照射槽の天井部に設置され、
前記載置工程が、前記複数のハニカム構造体のセルの軸方向を水平方向とするとともに、搬送方向に対する当該セルの軸方向の傾斜角を35度〜75度とし、かつ、前列のハニカム構造体の側面等の端と、前記前列に続いて載置されたハニカム構造体の側面等の端の距離がマイクロ波の波長の2倍以上であるように、載置する工程を含む請求項1〜請求項3のいずれかに記載のハニカム構造体の乾燥方法。 - 前記ハニカム構造体は、ハニカム面が多角形形状である多角柱状であって、当該ハニカム構造体のセルの軸方向の長さが、マイクロ波の波長の0.5倍よりも短いハニカム構造体であり、
前記載置工程が、前記ハニカム構造体のセルの軸方向が上下方向となるように載置する工程を含む請求項1〜請求項3のいずれかに記載のハニカム構造体の乾燥方法。 - 前記ハニカム構造体は、ハニカム面が円形状である円柱状であって、当該ハニカム構造体のセルの軸方向の長さが、マイクロ波の波長の0.5倍よりも短いハニカム構造体であり、
前記載置工程が、前記ハニカム構造体のセルの軸方向が上下方向となるように載置する工程を含む請求項1〜請求項3のいずれかに記載のハニカム構造体の乾燥方法。 - 前記ハニカム構造体は、ハニカム面が多角形形状である多角柱状であって、当該ハニカム構造体のセルの軸方向の長さが、マイクロ波の波長の0.5倍以上であるハニカム構造体であり、
前記載置工程が、水平方向に対する前記ハニカム構造体の前記セルの軸方向の傾斜角を1度〜10度となるように載置する工程を含む請求項1〜請求項3のいずれかに記載のハニカム構造体の乾燥方法。 - 前記ハニカム構造体は、ハニカム面が円形状である円柱状であって、当該ハニカム構造体のセルの軸方向の長さが、マイクロ波の波長の0.5倍以上であるハニカム構造体であり、
前記載置工程が、水平方向に対する前記ハニカム構造体の前記セルの軸方向の傾斜角を1度〜10度となるように載置する工程を含む請求項1〜請求項3のいずれかに記載のハニカム構造体の乾燥方法。 - 前記マイクロ波発生装置は、前記マイクロ波照射槽の天井部に設置され、
前記載置工程が、搬送方向に対する当該セルの軸方向の傾斜角を35度〜75度とし、かつ、前列のハニカム構造体の側面等の端と、前記前列に続いて載置されたハニカム構造体の側面等の端の距離がマイクロ波の波長の2倍以上であるように、載置する工程をさらに含む請求項7または請求項8に記載のハニカム構造体の乾燥方法。
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