本発明の実施形態の目的は、ドープ半導体領域の完全活性ドーピングプロファイルを決定するための良好な非破壊方法およびシステムを提供することである。
本発明のある実施形態の利点は、ユーザーフレンドリーで操作が容易な方法が、半導体基板の活性ドーパントプロファイルを短い測定時間で決定するために適用可能なことである。
本発明のある実施形態の利点は、ドーピングプロファイルの光学測定から、完全な活性ドーピングプロファイルが決定または再構築できることである。活性ドーピングプロファイルは、何れか任意のドーピングプロファイルであってもよい。
PMORは、本発明に係る実施形態において、活性化した注入(implantation)プロファイルを決定するために使用できる。そこではPMOR信号は、プラズマ成分と熱的成分との間の繊細なバランスに起因する。特に、本発明の実施形態の利点は、PMOR信号がポンププローブビーム分離の関数として測定されるようにしたPMORオフセットカーブに含まれる結合した情報は、時間非依存の(DC)反射率において結合され、下地にある自由キャリアプロファイルを再構築するのに充分であることである。
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の利点は、接合深さを抽出する方法またはシステムを提供することであり、抽出した接合深さはSIMSで得られる接合深さと極めて良好な相互関係にある。
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の利点は、15nm〜30nmの深さについてサブnmの再現性を持つ、この接合深さを抽出する方法またはシステムを提供することである。
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の利点は、ドーピングプロファイルのピークドーピング濃度を抽出する方法またはシステムを提供することである。
本発明のある実施形態の利点は、サンプルを実質的に破壊することなく、高いドーピング濃度を有するサンプルについて完全な活性ドーピングプロファイルが測定可能であることである。
本発明のある実施形態の利点は、極浅接合におけるキャリアプロファイルが、非破壊的に、即ち、サンプル準備なしで決定できることである。
本発明のある実施形態の利点は、ドーピング取り込みが、処理フローでの重要なポイントで監視可能であり、これにより高い生産品質をもたらすことである。
本発明のある実施形態の利点は、活性ドーパントプロファイルを決定する方法が、インラインで、即ち、生産プロセス環境において適用可能であることである。
本発明の実施形態の利点は、活性ドーピングプロファイルの光学測定に基づいて、一意的な解が活性ドーピングプロファイルについて決定できることである。
本発明の実施形態の利点は、未知の任意のドーピングプロファイルが光学測定から高速で柔軟な方法で再構築可能であるとともに、ドーピング濃度または接合深さについて事前の推定が必要でないことである。
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の利点は、半導体領域の活性ドーピング濃度プロファイルを決定するための光変調光学測定テクニック、およびこのテクニックを実行するデバイスおよびソフトウエアが提供されることである。
本発明の少なくとも幾つかの実施形態の利点は、方法、システムおよびソフトウエアが、特定の半導体基板におけるピークドーパント濃度及び/又は接合深さ及び/又は急峻性の独立した抽出のために提供されることである。
本発明の実施形態の利点は、サンプル準備が不要か殆ど要しない直接の方法で、活性化した注入(implantation)プロファイルの測定値が測定できることである。
本発明の実施形態の利点は、サンプルのPMOR信号および同時に測定するDCプローブ反射率の組合せに基づいて、活性化した注入プロファイルについて下地にある自由キャリアプロファイルの再構築が再構築可能であることである。その結果は、約3nm(接合深さ)の平均精度で、2次イオン質量分析および走査型広がり抵抗顕微鏡法と良好な一致をみる。
本発明の実施形態の利点は、接合深さの決定が得られるだけでなく、完全なドーパントプロファイルが再構築できることである。
本発明の実施形態の利点は、高いドーパント濃度(例えば、活性ドーピング濃度が1020cm−3またはこれ以上になる最新の極浅接合において存在する)で高感度のDC成分、および、完全なドーパント濃度プロファイルについて良好な感度を得るための低濃度でのAC成分を使用することである。
上記目的は、本発明に係る方法およびデバイスによって達成される。
一態様において、本発明は、ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルを光学的に決定する方法に関し、ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルは、物理パラメータの組によって特徴付けられる。該方法は、下記のステップを含む。
・完全に活性化したドーピングプロファイルを含むサンプル、およびリファレンスを取得するステップ。
・完全に活性化したドーピングプロファイルを含む前記サンプルおよび前記リファレンスについて、光変調反射率(PMOR)オフセットカーブ測定データおよびDC反射率測定データを取得するステップ。
・光変調反射率オフセットカーブ測定値およびDC反射率測定値の両方に基づいて、ドーピングプロファイルの物理パラメータの組についての値を決定するステップ。
光変調反射率オフセットカーブ測定データおよびDC反射率測定データを取得することは、光変調反射率オフセットカーブ測定を実施し、DC反射率測定を実施することによって行ってもよい。
DC反射率測定とは、時間非依存の反射率測定または、サンプルの全体反射率の決定を可能にする反射率測定を意味する。
光変調反射率オフセットカーブ測定データおよびDC反射率測定データを取得することは、同じ測定設定(setup)を用いて記録したデータを取得することでもよい。
光変調反射率オフセットカーブ測定データおよびDC反射率測定データを取得することは、ほぼ同時または同時に記録したデータを取得することでもよい。
該方法は、典型的には、物理パラメータの組によって定義される完全に活性化したドーピングプロファイルについての所定のプロファイル形状を選択することを含み、ここで物理パラメータの組についての値を決定することは、所定のプロファイル形状を定義する物理パラメータの組についての値を決定することを含む。
ドーピングプロファイルの物理パラメータの組を決定することは、リファレンスについて取得した光変調反射率オフセットカーブ測定データから表面過剰キャリア濃度ΔNsubおよび過剰温度ΔTsurfを決定することと、リファレンスについて取得したDC測定データから反射率R0を決定することとを含んでもよい。
ドーピングプロファイルの物理パラメータの組を決定することは、サンプルでの光変調反射率オフセットカーブ測定データおよびサンプルでのDC反射率測定データから、接合深さXj、活性ドーピング濃度Nact、およびプロファイル急峻性または裏面(backside)スロープSactのうちの1つ又はそれ以上、好ましくは全てを決定することを含んでもよい。
一態様において、本発明は、ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルを決定するための光学測定に関し、ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルは、物理パラメータの組によって特徴付けられる。該方法は、下記のステップを含む。
・完全に活性化したドーピングプロファイルを含むサンプル、およびリファレンスを取得するステップ。
・サンプル測定を実施するステップ。サンプル測定は、下記ステップを含む。
○ サンプルパラメータを、サンプルでの光変調反射率測定値から決定すること。
・リファレンス測定を実施するステップ。リファレンス測定は、下記ステップを含む。
○ 基板パラメータを、リファレンスでの光変調反射率測定値から決定すること。
・物理パラメータの組を、基板パラメータおよびサンプルパラメータから抽出するステップ。
リファレンスとは、ドーパントフリーで、ほぼ完全に活性化したドーピング濃度プロファイルを持つサンプルと同じ処理ステップ、即ち、ドーピング取り込みステップを除いて、例えば、活性化ステップおよび予備アモルファス化(pre-amorphization)ステップが施されたサンプルの一部または他のサンプルを意味する。こうしてサンプルおよびリファレンスの両方にとって同じ活性化プロセスが実施されるとともに、リファレンスはドーパントフリーであることから、リファレンスについては活性化されるドーパントが無く、一方、サンプルについてはほぼ全てのドーパントが活性化されることが重要である。もしサンプルに、例えば、予備アモルファス化注入および次のアニールステップが施された場合は、リファレンス(ドーパントフリー)にも、サンプルで用いたのと同じパラメータを用いて予備アモルファス化注入および次のアニールステップが施される。
サンプルを、ドープ部分を含むように用意してもよい(ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルを含むドープ部分)。サンプルはまた、リファレンスを含んでもよく、ここでリファレンスはアンドープ部分、即ち、ドーパントフリーでもよい。
ほぼ完全な活性ドーピングプロファイルは、物理パラメータの組によって特性評価できる。物理パラメータの組は、接合深さXj、活性ドーピング濃度Nact、プロファイル裏面スロープSact、表面活性ドーピング濃度Nsurfを含んでもよい。一般に、ドーピングプロファイルが、任意の関数ドーパント(Xj,Nact,Sact,Nsurf,…)によって特性評価できる。光変調反射率(ninput)測定に加えて収集した独立入力の数(ninput)に依存して(後述を参照)、決定可能な物理パラメータの数は、少なくとも1+ninputである。
ドーピングプロファイルが、例えば、次のようなガウシアンプロファイルによって特徴付けできる。
ガウシアンプロファイルは、例えば、z=0(即ち、Δ=0)で中心に位置し、これはドーピング濃度プロファイルのピーク濃度が表面に位置決めされることを意味する。この場合、2つの物理パラメータを決定することが必要であり(N0およびW)、従って1つの独立した測定(例えば、PMOR DC測定)が基本PMOR測定の上に必要になる。これは後述する。
ドーピングプロファイルが、例えば、ローレンツ型(Lorentzian)関数によって特徴付けできる。
ローレンツプロファイルは、例えば、z=0(即ち、Δ=0)で中心に位置する。この場合、2つの物理パラメータを決定することが必要であり(N0およびW)、従って1つの独立した測定(例えば、PMOR DC測定)が基本PMOR測定の上に必要になる(これは後述する)。
ドーピング濃度プロファイルが、例えば、相補誤差(Complementary Error)関数によって特徴付けできる。
相補誤差関数は、例えば、z=0(即ち、Δ=0)で中心に位置する。この場合、2つの物理パラメータを決定することが必要であり(N0およびW)、従って1つの独立した測定(例えば、PMOR DC測定)が基本PMOR測定の上に必要になる(これは後述する)。
しかしながら、サンプルのドーピング濃度プロファイルは、上述した関数プロファイルに限定されず、任意の関数プロファイルD(Xj,Nact,Sact,Nsurf,…)であってもよい。
ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルとは、ドーパント全量の50%より大きい、より好ましくは60%より大きい量が活性化されることを意味する。ドーパント活性化が、注入した状態の量に対する活性量の百分率として定義できる(例えば、ホール測定によって決定される)。
リファレンスでの光変調反射率測定値から基板パラメータを決定することは、下記ステップを含む。
・リファレンスでの光変調反射率(PMOR)オフセットカーブ測定を実施するステップ。ここから表面過剰キャリア濃度ΔNsubおよび過剰温度ΔTsurfを決定する。
・DC反射率測定を実施し、ここからDC反射率R0を決定するステップ。
基板パラメータを用いて、サンプルでの光変調反射率測定値からサンプルパラメータを決定することは、
・サンプルでの光変調反射率(PMOR)オフセットカーブ測定を実施するステップ。
・少なくともサンプルでのDC反射率測定を実施するステップ。
少なくともこれら2つ独立した測定、即ち、サンプルでの光変調反射率(PMOR)オフセットカーブ測定およびサンプルでのDC反射率測定から、ドーパントプロファイルを特性評価する物理パラメータの少なくとも2つを決定する。
例えば、z=0(即ち、Δ=0)で中心に位置するガウシアンプロファイルでは、決定することが必要な2つの物理パラメータは、N0およびWである。
一般に、物理パラメータは、例えば、XjおよびNactでもよく、またはN0およびWを持つガウシアンプロファイルの特別な場合。物理パラメータの少なくとも2つを決定することは、リファレンスPMOR測定からのΔNsubおよびΔTsurfに基づいて行われる。
さらに、少なくとも他のサンプルパラメータを、リファレンスパラメータおよび基板パラメータから物理パラメータの組を抽出するステップの前に決定してもよい。例えば、シート抵抗(Rs) 測定を、サンプルでのPMORオフセットカーブ測定およびDC測定の後に実施してもよい。ここから一般に1つの追加の物理パラメータ、例えば、Sact(または、例えば、一般化したガウシアンの場合はΔ)を決定する。
代替として、PMORパワーカーブを測定してもよく、ここから一般に1つの追加の物理パラメータ(これはドーピングプロファイルの再構築に必要である)を決定する。
ドーピングプロファイルの複雑さに依存して、2またはそれ以上の物理パラメータを決定する必要がある。
サンプルでのPMORオフセットカーブ測定およびDC反射率測定の組合せに基づいて、物理パラメータの組はリファレンスパラメータおよび基板パラメータから抽出できる。
サンプル測定を実施するステップは、リファレンス測定を実施する前に行ってもよく、あるいはその逆でもよい。
本発明の実施形態によれば、ドーパントプロファイルの再構築が、PMORオフセットカーブ測定、DC反射率測定、および(決定する必要がある物理パラメータの数に依存して)多数の追加の物理測定、例えば、シート抵抗測定、PMORパワーカーブ測定、SIMS測定、電気AFM測定(例えば、SSRM)…などに基づいて実施される。
さらに、キャリブレーションまたはフィッティングのステップが、種々の物理パラメータを適合させるために必要である。再構築ステップは、キャリブレーションステップの前に実施してもよく、あるいはその逆でもよい。
本発明の実施形態によれば、新しい高速の非破壊で極めて局所的なキャリアプロファイル分析テクニックが、プローブレーザのPMORオフセットカーブおよびDC反射率の組合せ測定をベースとしている。このテクニックは、GE PAIを有しおよび有しない種々のB−注入層についてテストを行った。抽出したキャリアプロファイルは、アニール温度およびPAI条件になった場合、予想される定量的な傾向に従う。このプロファイルは、他のプロファイル分析テクニック、例えば、SIMSまたはSSRMと、約3nmの平均精度で良好に一致することを証明する。
本発明はまた、ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルを光学的に決定するためのシステムに関する。ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルは、物理パラメータの組によって特徴付けられる。該システムは、下記の構成を備える。
・光変調反射率(PMOR)オフセットカーブ測定データおよびプローブレーザのDC反射率測定データを取得するためのポンプレーザおよびプローブレーザを含むPMOR測定システム。
・ドーピングプロファイルの物理パラメータの組についての測定データ値に基づいて、サンプルおよびリファレンスについて、光変調反射率(PMOR)オフセットカーブ測定データを受信し、プローブレーザのDC反射率測定データを取得するための処理システム。
本発明はまた、ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルを光学的に決定するためのコンピュータプログラム製品に関し、ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルは、物理パラメータの組によって特徴付けられる。該コンピュータプログラム製品は、ドーピングプロファイルの物理パラメータの組についての測定データ値に基づいて、サンプルおよびリファレンスについて、光変調反射率(PMOR)オフセットカーブ測定データを受信し、プローブレーザのDC反射率測定データを受信するように適合している。
本発明はまた、上述したようなコンピュータプログラム製品を格納する機械読み取り可能なデータキャリア、あるいは、ネットワークを通じたこうしたコンピュータプログラム製品の伝送に関する。
本発明の特定かつ好ましい態様が、添付した独立および従属の請求項に記述されている。従属請求項からの特徴は、独立請求項の特徴および他の従属請求項と適切に組み合わせてもよく、請求項に明記されたものだけに限らない。本発明のこれらおよび他の態様が、以下に記載した実施形態を参照して明らかになり解明されるであろう。
本発明は、特定の実施形態に関して一定の図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載した図面は、概略的かつ非限定的なものである。図面において、幾つかの要素のサイズは、説明目的のために誇張したり、縮尺どおり描写していないことがある。寸法および相対寸法は、本発明の実際の具体化に対応していない。
さらに、説明および請求項での用語「第1」「第2」「第3」などは、類似の要素を区別するために使用しており、必ずしも時間的または空間的な順番を記述するためではない。ここで使用した用語は、適切な状況下で交換可能であり、ここで本発明の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能であると理解すべきである。
さらに、説明および請求項での用語「上(top)」、「下(bottom)」、「の上に(over)」、「の下に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であって、ここで説明した本発明の実施形態がここで説明または図示した以外の他の向きで動作可能であると理解すべきである。
用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他の要素またはステップを除外していないことに留意する。記述した特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を、参照したように特定するように解釈する必要があるが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、あるいはこれらのグループの存在または追加を除外していない。こうして表現「手段A,Bを備えるデバイス」の範囲は、構成要素A,Bのみから成るデバイスに限定すべきでない。
本明細書を通じて「一実施形態」または「実施形態」への参照は、実施形態との関連で記載した特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書を通じていろいろな場所での「一実施形態」または「実施形態」の語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照していないが、そうこともある。さらに、1つ又はそれ以上の実施形態において、本発明から当業者にとって明らかなように、特定の特徴、構造または特性は、いずれか適切な方法で組み合わせてもよい。
同様に、本発明の例示の実施形態の説明において、本開示を合理化し、本発明の1つ又はそれ以上の種々の態様の理解を支援する目的で、単一の実施形態、図面、または説明において、本発明のいろいろな特徴が一緒にグループ化していることがあると理解すべきである。しかしながら、この開示の方法は、請求項の発明が、各請求項で明示的に記載したものより多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈すべきでない。むしろ下記の請求項が反映しているように、発明の態様は、単一の前述した実施形態の全ての特徴より少ない場合がある。こうして詳細な説明に追従する請求項は、この詳細な説明の中に明示的に組み込まれており、各請求項は、本発明の別々の実施形態として自立している。
さらに、ここで説明した幾つかの実施形態が、他の実施形態に含まれる幾つかの他でない特徴を含むとともに、当業者によって理解されるように、異なる実施形態の特徴の組合せが本発明の範囲内にあって、異なる実施形態を構成することを意味する。例えば、下記の請求項において、請求した実施形態の何れも、何れの組合せで使用可能である。
ここで提供した説明では、多数の具体的な詳細を説明している。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施してもよいことは理解されよう。別の例では、本説明の理解を曖昧にしないために、周知の方法、構造、および技法は詳細には示していない。
一態様において、本発明は、ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルを光学的に決定する方法に関する。ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルは、物理パラメータの組によって、例えば、物理パラメータの組によって特徴付けられる所定のプロファイルによって特徴付けられる。こうした所定のプロファイルは、任意のタイプのプロファイル、例えば、ガウシアンプロファイル、ローレンツ型プロファイル、箱型または箱状のプロファイルでもよいが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
該方法は、完全に活性化したドーピングプロファイルを含むサンプルおよびリファレンスを取得することを含む。ここで、リファレンスは、同じサンプルの一部でもよい。該方法はまた、完全に活性化したドーピングプロファイルを含む前記サンプルおよび前記リファレンスについて、光変調反射率(PMOR)オフセットカーブ測定データおよびDC反射率測定データを取得することを含む。測定データは、同じ測定設定、例えば、PMOR記録システムを用いて好都合に取得される。例えば、DC反射率測定データは、PMOR記録システムで用いられるプローブレーザのDC反射率についてのDC反射率測定データでもよい。ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルを取得するのは、比較的簡単な設定を用いて取得でき、PMOR設定とは異なる測定機器の必要性がないことが有利である。測定データは、好都合には同時に取得してもよい。該方法はまた、光変調反射率オフセットカーブ測定値およびDC反射率測定値の両方に基づいて、ドーピングプロファイルの物理パラメータの組についての値を決定することを含む。
本発明の実施形態は、好都合には、ドーピング濃度に関する情報を取得するために、活性ドーピング濃度に対してリニア感度を有するDC反射率(reflectivity)と、深さおよび必要ならば活性ドーピングプロファイルの急峻性を決定するために、低ドーピング濃度に感度を有するPMORによって取得されるAC反射率を利用する。後者は、図1に示しており、活性ドーピングプロファイルについてのプロファイルを示す。ここで、DC反射率測定データは、特に活性ドーピング濃度の決定に関与し、PMOR測定データは、特に活性ドーピングプロファイルの深さおよび急峻性の決定に関与する。好都合には、活性ドーピングプロファイルは、PMORおよびDC反射率測定データを用いて決定されるパラメータを用いて特徴付けられる所定のプロファイルを用いて記述できる。こうした所定のプロファイルは、測定データが記録されていない領域についての追加の情報を提供できる。
本発明の一実施形態に係るキャリアプロファイルを決定するための例示のテクニックを図2に例として示している。本発明の実施形態はこれに限定されない。例示の方法200は、第1ステップにおいて、ドーパントフリーの領域においてDC反射率およびPMORオフセットカーブを測定すること(210)を含む。こうした測定により、決定すべき活性ドーピングプロファイルを決定するために用いられるモデルに関するモデルパラメータを決定できる(220)。モデルパラメータを決定することは(220)、例えば、1つの特定の実施形態では、DC反射率測定に基づいてアンドープ半導体のDC反射率を決定すること(222)、およびポンプレーザによって発生する過剰キャリア濃度および過剰温度を取得すること(224)でもよく、本発明の実施形態はこれに限定されないが、使用するモデルに応じて、他のモデルパラメータをドーパントフリー領域での測定から導出してもよい。
次のステップでは、DC反射率およびPMORオフセットカーブは、活性ドーピングプロファイルを含む領域において測定される(230)。ステップ230で取得される測定値およびステップ220で決定されるモデルパラメータに基づいて、測定結果は、活性ドーピングプロファイルについて選択したモデルに対してフィッティングが行われ、こうして活性ドーピングプロファイルが決定される。これはステップ240に示す。特定の実施形態では、活性ドーピングプロファイルを決定することは、活性ドーピングプロファイルについてモデルをさらに定義するパラメータを決定することでもよく、これを含んでもよい。こうしたパラメータは、一例では、表面ピーク自由キャリア濃度、キャリア濃度が減衰し始める深さ、プロファイルの急峻性でもよい。
例として、本発明の実施形態はこれに限定されないが、本発明の実施形態の特徴および利点について、実施した例示の研究を用いてさらに説明する。
第1の例では、異なるレーザアニール温度および種々の予備アモルファス化(PAI)条件を伴う種々のB−注入層について説明する。抽出したプロファイルは、他の特性評価テクニックと比較している。この研究では、データは、ThermaProbe TP630XPツール(TP)を用いて測定した。ここで、高い周波数(1MHz)で変調したポンプレーザパワー、固定したポンプおよびプローブレーザ波長(それぞれ790nmと670nm)、固定したポンプおよびプローブレーザパワー(それぞれ13.5mWと2.5mW)を用いて、両方とも0.5μmビーム半径に集光するPMORの特別な実装であった。
例として、DC反射率およびPMORオフセットカーブへの自由キャリアプロファイルの影響を最初に理論的に議論する。本発明の実施形態に係るテクニックが、PMORオフセットカーブをプローブレーザのDC反射率と組み合わせて、キャリアプロファイルを再構築しているからある。本発明の実施形態は、こうした理論的考察または使用した数学公式に限定すべきでないことに留意する。
PMOR信号は、ポンプレーザによる、過剰キャリアおよび熱(表面過剰温度ΔTsurfaceをもたらす)の注入に起因したプローブレーザの反射率変化ΔRの測定値である。任意のキャリアプロファイルNact(z)(zは深さを表す)を持つサンプルの場合、下記のように記述できる。
深さ方向および横方向の過剰キャリア分布ΔN(z,x)は、下記の式で与えられ、(平衡)自由キャリアプロファイルNact(z)および基板注入ΔNsub(x)に依存する。
ここで、xは、プローブレーザとポンプレーザとの間の横方向距離を表す。この過剰キャリア分布の高速な深さ方向変動に起因して、波長λprobeを持つプローブレーザのPMOR信号は、下記のように記述するする必要がある。
ここで、me(またはmh)は、シリコン中での電子(または正孔)の有効質量である。R0はアンドープSiのDC反射率、n0はアンドープSiの屈折率、βはドルーデ(Drude)係数、δ=δn/δTはSi中の屈折率の温度係数であり、4つ全ては波長λprobeで取得している。上記の式は、PMOR信号は、過剰キャリアプロファイル(括弧間の最後の成分で表される表面での熱成分を含む)の全ての深さで生ずる反射のコヒーレント合計(sum)(干渉)として理解できることを示す。過剰キャリア分布ΔN[Nact(z),ΔNsub(x)]と(平衡)自由キャリアプロファイルNact(z)の間のリンクは、当業者に知られている。
PMORオフセットカーブを決定するために、上記の式で与えられるようなPMOR信号は、プローブビームとポンプビームとの間の距離x(4μmの最大距離)の関数として測定される。PMOR信号と同時に測定すると、プローブレーザのDC反射率Rも(平衡)自由キャリアプロファイルによって影響を受ける。正孔プロファイルNact(z)に起因した、波長λprobeでのDC反射率ΔRDCの変化は、下記の式で与えられる。
この式によれば、ΔRDCは、(平衡)自由キャリアプロファイルの全ての深さで生ずる反射率のコヒーレント合計として容易に理解される。換言すると、DC反射率は、Nact(z)の直接像であり、一方、PMOR信号は、Nact(z)[via ΔN]の間接像である。キャリアプロファイルに対する感度がある場合、PMORオフセットカーブとDC反射率との組合せが極めて有望になる。PMORオフセットカーブは、プロファイル深さに対して本質的な感度を有することが示されている。第2に、DC反射率の変化は、上記の式から判るように、ピークキャリア濃度と正比例する。換言すると、両方とも測定したパラメータの組合せは、プロファイル深さ(大部分はPMORオフセットカーブを介して)およびプロファイルのキャリア濃度(大部分はDC反射率を介して)へのアクセスを与える。
本例では、各プロファイルについて、測定およびフィッティング手順が2つの段階に分割される。両方の段階は、取得したデータの測定およびフィッティングを含む。議論した例示の研究におけるフィッティングアルゴリズムは、レーベンバーグ・マルカート(Levenberg- Marquardt)最適化アルゴリズムをベースとしており、本発明の実施形態はこれに限定されない。
第1段階Iでは、キャリブレーション段階とも称され、上記の式で現れて、自由キャリアプロファイルにリンクしていない3つのパラメータ、即ち、ΔNsub(x),ΔTsurf(x),R0は固定した。これら3つのパラメータは、段階IIで用いた。この目的のため、ドーパントフリー領域でのDC反射率およびPMORオフセットカーブを測定した。最初に、測定したDC反射率はリファレンスR0を決定した。第2に、PMORオフセットカーブは、単独のフィッティングパラメータとして、キャリア再結合寿命および両極性(ambipolar)拡散率とフィッティングを行った。最適化ループの各ステップでは、3次元リニア両極性拡散式および熱伝導方程式を解いた。これは、ΔNsub(x),ΔTsurf(x)、即ち、ポンプレーザによって発生するSi基板中の過剰キャリア濃度および過剰温度を決定した。重要には、予備アモルファス化層の場合のように、ΔNsub(x),ΔTsurf(x)は、基板の何れの可能性のあるダメージによって影響される。従って、各サンプルでは、キャリブレーション段階は、ドーパントフリー箇所で測定したが、考慮したドープサンプルと同じ予備アモルファス化注入PAI(およびアニール)を施した。この理由のため、各極浅プロファイルの処理の際、リソグラフステップを実施してドーパントフリー領域を維持した。この追加ステップを除いて、ドーパントフリー領域は、ドープ領域と同じプロセスに従って、ΔNsub(x),ΔTsurf(x)のキャリブレーションのための理想的な候補にした。これによりB注入は、サンプルに対して無視できる特別なダメージを誘起したと推測される。
第2段階IIでは、再構築段階とも称され、考慮した活性ドーピングプロファイルでのPMORオフセットカーブおよびDC反射率を測定した。そして、データは、慎重にパラメータ化したプロファイルを用いてフィッティングを行った。一意性のため、2パラメータまたは3パラメータのプロファイルに限定した(箱型、ガウシアン、ローレンツ型、…)ここで、指数関数テール(3つのパラメータ)を持つ箱型プロファイルの例を以下で議論する。換言すると、本例示の研究で用いたフィッティングプロファイルは、下記のように記述できる。
ここで、N0は、表面(ピーク)自由キャリア濃度、Xは、キャリア濃度が減衰し始める深さ、αはプロファイルの急峻性である。フィッティングアルゴリズムは、上記の式に基づいて、キャリブレーション段階で決定した値、またはR0,ΔNsub(x),ΔTsurf(x)を用いてN0,X,αを最適化した。
上記テクニックは、。2つの異なる注入量(5x1014at cm−2と1015at cm−2)で一連の0.5keV B−注入サンプルで使用した。全ての層が、低ドープn型(モニタ)ウエハに注入した。Ge予備アモルファス化注入(PAI)を適用した。PAI条件は、エネルギー(5keV〜20keV)および注入量(1014at cm−2と5×1014at cm−2)で変化させた。各B注入量について、PAI無しのリファレンスウエハを追加した。全てのサンプルは、3スキャンアニール(150mm・s−1)によって1150℃〜1300度の範囲で5つの異なる温度を用いてレーザアニールを行った。
PMOR信号は、上記の式のプラズマ成分を介してのみ、自由キャリアプロファイルに対して感度があることを覚える必要がある。従って、プラズマ成分は、熱成分を好都合に支配すべきである。後者は、層内の高い活性化および低い(範囲の端)欠陥濃度を用いて得られる。典型的には、予備アモルファス化注入(PAI)量またはエネルギーが高くなるほど、好都合には、使用するアニール温度が高くなる。これはテクニックの有用性を改善する。
不十分な活性化の場合を除いて、得られたプロファイルは、アニール温度と共に予想される傾向と一致した。即ち、アニール温度が増加すると、より活性にドープされ、僅かにより深くなる。同様に、抽出したプロファイルへのPAIの存在の影響も、予想に従った。シート抵抗測定から予想されるように、アニール温度は、PAIを適用した場合、本来、ピーク濃度およびプロファイル深さに対する影響が少ない。得られたキャリアプロファイルの品質を評価するため、他の特性評価テクニックと比較した。得られたプロファイルは、2次イオン質量分析(SIMS)および走査型広がり抵抗顕微鏡法(SSRM)と比較した。
図3は、Ge予備アモルファス化(5keV,5x1014cm−2)後に、高いB注入量(1015cm−2)で注入を行って、1300℃でアニールしたサンプルについてのSIMSプロファイル、SSRMプロファイルおよびPMORプロファイル間の比較を示す。3つのテクニック全てで優れた一致が観察された。
PMORと対照的に、SIMSおよびSSRMはキャリアプロファイルの直接測定でないため、プロファイルのより定量的な比較が困難であった。SIMSは、全(即ち、電気的に活性および不活性の)ドーピングプロファイルを測定し、SSRMは、抵抗率プロファイルを測定する。シート抵抗およびキャリア移動度が取得できれば、キャリアプロファイルをSIMS測定から抽出することが可能であることを示した。同様に、キャリア移動度が既知であれば、キャリアプロファイルがSSRM測定から推定できる。例えば、図3でのSSRMプロファイルは、ドープした層で100cm2V−1s−1の正孔移動度を推定する。換言すると、SIMSまたはSSRMを使用すれば、キャリアプロファイルを抽出した場合、移動度が常に必要になる。
SIMS測定に着目すると、正しい比較のために、シート抵抗値および移動度を測定する必要がある。4点プローブ法(FPP)を用いてシート抵抗値を測定した。移動度については、測定した値が入手できないため、2つの異なる移動度モデルを用いて、移動度範囲に上限および下限をそれぞれ設定する(従って、活性ドーピング濃度範囲の上限および下限をそれぞれ定義する)。両方の移動度の値がクラーセン(Klaassen)モデルを用いて得られる。移動度範囲の上限を決定するために、第1モデルは、活性ドーパントでのキャリア散乱だけを考慮した(不活性ドーパントでの散乱は無い)。これは、モデルIとも称される。しかしながら、この推定は、極浅接合USJでの移動度を過大評価する傾向があることは広く知られている。結果として、得られたキャリア濃度は、過小評価になる。第2モデルは、SIMSプロファイルで測定されたB原子が散乱中心であることを想定している。これは、モデルIIとも称される。これは、移動度を著しく過小評価し、従って、活性ドーピングをかなり過大評価すること(多くの場合、固体溶解度の上)を証明している。プロファイルの深さおよび急峻性は、1つのモデルまたは他のモデルを用いて、明らかに同じままである。
SIMSプロファイルとPMORプロファイルとの比較は、図4、図5、図6に要約している。特に、図4は、抽出したPMORプロファイルのピーク濃度N0と活性SIMSプロファイルのピーク濃度との間の相関を示す。上述したように、比較のため2つのピーク活性SIMSドーピング濃度を与えるSIMS測定での使用のための移動度を決定するために、2つの移動度モデルが使用される。N0は、第1移動度モデルI(菱形)を用いたSIMSと良好に一致するが判る。予想されるように、N0は、常に、第2移動度モデルII(星形)を用いて観測されるSIMS値よりかなり小さいことも観察される。
図5は、5x1019cm−3の濃度で、PMORプロファイルとSIMSプロファイルとの間で深さを比較している。PMORは、多くの場合、SIMSで与えられるように、PMORの深さを系統的に過大評価することが観察される。これは、実際、図3において観察でき、ΔNsub(x)の起こり得る過大評価(キャリブレーションに起因)によって説明できる。
最後に、図6は、PMORプロファイルとSIMSプロファイルとの間で急峻性を比較している。一致は極めて良好であったが、PMORプロファイルが系統的に少し急峻である(典型的には1nm/dec)。
第2の例では、第2の研究を提供し、本発明の実施形態の特徴および利点を示している。理論に束縛されたくないが、特徴および利点は、下記の理論的考察によってさらに説明できる。本発明の実施形態は、これによっても使用した数学的公式によっても限定されない。この研究は、ΔRACおよびΔRdcの組み合わせた使用により、プロファイルの深さ、急峻性、活性ドーピング濃度の同時測定が可能になり、即ち、プロファイルをほぼ決定できることを示す。
任意の形状のプロファイルにおいて、ΔRACは次のように記述できる。
ΔRACは、2つの反射のコヒーレント合計として理解できる。第1反射は、表面で生じ、表面過剰キャリアΔNl1(z=0)および過剰温度ΔT1の両方に起因する。第2反射は、過剰キャリアプロファイルの各深さで発生する。
図7は、類似性を示す。詳細には、それは、異なるスロープを持つ2つの活性ドーピングファイルを示し(図7aは、無限スロープのプロファイル702と、有限スロープのプロファイル704を示す)、次の過剰キャリアプロファイルを基板での2つの異なる過剰キャリア濃度について1017cm−3および1018cm−3の場合について示し(図7bは、次の過剰キャリアプロファイルを示すもので、基板キャリア濃度が1017cm−3である場合は有限スロープ712および無限スロープ714を示し、基板キャリア濃度が1018cm−3である場合は有限スロープ722および無限スロープ724を示す)。上記式の被積分関数(integrand)の挙動を計4つの状況について図7cに示す。
他方、箱状プロファイルの場合、上記式の被積分関数は接合でのピークに減少し、即ち、界面反射は単一の大きな反射で構成される。さらに、このピーク位置は、基板注入から独立している。他方、プロファイルのスロープが有限である場合、界面における多重反射がピークを幅広にする。このピークの最大の位置、即ち、最大界面反射は、ΔRACが感度を有する深さとして理解できる。図7cにおいて判るように、有限スロープを持つプロファイルの場合、最大界面反射は基板注入に従って移動する。数学的には、これは、次のように理解できる。被積分関数の余弦エンベロープを無視して、最大界面反射の位置zmaxは、過剰キャリアプロファイルが最も急峻である位置として定義できる。即ち、zmaxの近似値は、下記の陰(implicit)方程式を解くことによって見つけられる。
ここで、ボルツマン統計に関する推定を使用し、BGNは無視している。上記式は、最大界面反射の深さは、関数Pdoping(z)/ΔNsubおよびその導関数のみに依存することを単に意味する。指数関数テールで減衰する活性ドーピングプロファイルの例を用いた場合、最大界面反射は深さzmaxで発生する。
即ち、最大界面反射は、ドーピング濃度が1.57xΔNsubである深さから到来する。この結果から、最大界面反射は、プロファイル自体から独立して、ドーピングが基板接合と釣り合う深さから常に由来することを推定するのが正しい。しかしながら、プロファイル導関数が関与しているため、上記式で得られた特定の値は全てのプロファイルについて一般化できないことに留意する。
結論として、上述から、ΔRACは、活性ドーピングプロファイルが基板接合のオーダーの濃度に到達する深さに対して感度を有することが判る。最初に、実施した測定において、ΔRACは、プロファイルの適度にドープした領域に対して感度を有するだけであることを意味する。第二に、注入レベルが何らかの方法で変化できる場合、最大界面ピークの位置はそれに応じてシフトし、即ち、プロファイルの一部が走査される。これは、プロファイルの急峻性に対するオフセットカーブの感度を説明するもので、ポンプビームから遠ざかる場合、より低いキャリア注入の直接の結果としてである。
DC反射率ΔRdcに関して、ΔRACとは対照的に、プロファイルの高くドープした領域に対して多くの感度があることは知られている。本発明の実施形態のテクニックの原理の特徴を示す図1を参照して図示し説明したように、ΔRdcは、プロファイルの適度にドープした領域でのΔRACによって決定される深さおよび急峻性に基づいて、ピークドーピング濃度を固定することが理解できる。ΔRACは、1019cm−3ドーピング濃度を超えて位置するプロファイルの領域に対して隠れており、ΔRdcによって決定されるピーク濃度は、その特定領域での推定プロファイル形状に依存することに留意する。
対応する一意性の問題は、活性ドーパントプロファイルについて良好なプロファイル形状を選択することによって解決される。本例の研究では、図2を参照して上述したような方法を、活性ドーパント濃度を決定するために使用した。例示の方法の更なる特徴を以下に説明する。
該方法は、ドーパントフリー領域においてDC反射率およびPMORオフセットカーブを測定することを含む。換言すると、基板またはリファレンスの測定、即ち、無ドープ層を有し、調査対象のサンプルと同じ処理フローを施したサンプルに対する測定が行われる。例えば、アニールした注入層の場合、ドーパント注入を受けずに予備アモルファス化し(関係する場合)、調査対象のドープしたサンプルと全く同様にアニールを行ったサンプルのある領域について基板測定が行われる。この測定は、ΔRac substrateオフセットカーブおよびRdc substrate反射率を出力する。
該方法はまた、活性ドーピングプロファイルを決定するために用いられるモデルに関するモデルパラメータを決定することを含む。DC反射率R0は、Rdc substrate反射率から導出できる。均質なサンプルでのAC反射率に関するモデルは、基板内の過剰キャリア分布、即ち、ΔNsub0(r)、ΔNsub1(r)および過剰温度ΔT1(r)を決定するための実験ΔRac substrateオフセットカーブに対してフッィティングが可能である。添字sub0は、時間非依存モードを参照し、添字sub1は、時間依存モードを参照する。
該方法はまた、活性ドーピングプロファイルを含む領域においてDC反射率およびPMORオフセットカーブを測定することを含む。換言すると、特性評価すべきサンプルについてプロファイル測定が行われる。これは、ΔRac profileオフセットカーブおよびRdc profileを出力する。
該方法はまた、活性ドーピングプロファイルのモデルおよび取得したモデルパラメータを用いて測定結果のフィッティングを行って、活性ドーピングプロファイルを決定することを含む。従って、非均質サンプルでのAC反射率およびDC反射率についてのモデルは、典型的には、実験ΔRac profileオフセットカーブに対して前回決定したΔNsub0(r)、ΔNsub1(r)およびΔT1(r)を用いて、そして実験ΔRdc=Rdc profile−Rdc substrateに対してフッィティングが可能である。
測定は全ての情報を提供しないため、プロファイル形状について好都合に幾つかの制約を課している。プロファイル形状は、2つまたは3つのパラメータフィッティングによって決定できる。アニールした注入層の場合、指数関数テールを持つ箱状プロファイルを使用し、適切な結果を提供するようだった。
ここで、N0はプロファイルのピーク活性ドーピング濃度、Xcstはプロファイルが減衰し始める深さ、Aはその急峻性(ナノメータ/decade)である。フィッティングアルゴリズムは、N0、XcstおよびAを決定する。
本例におけるフィッティングは、レーベンバーグ・マルカート(Levenberg- Marquardt)アルゴリズムをベースとしておいる(最小自乗誤差の最小化)。本例でのテクニックは、基板プラズマおよび熱的成分の決定のための基板測定に依拠している。その結果、基板測定は、好都合には、慎重に監視される。任意のプロファイルの場合、基板測定が条件を満たすこと、即ち、ΔNsub0(r)、ΔNsub1(r)およびΔT1(r)が基板測定およびでプロファイル測定で同じであることを確認するために、照合手順が使用できる。これを照合する1つの方法が、未知のアンドーププロファイルで測定したプロファイル測定Rac profileから、基板測定Rac substrateを引き算することでもよい。この引き算の結果は熱的成分を排除しているため、プラズマの位相および波長が認識できる。これは、図8に示している。プラズマの位相および波長は、図8(d)において、最低のアニール温度を除いて全ての層について識別でき、温度で支配される後者の挙動の根拠となる。後者はまた、ボロン注入誘起によるダメージのプラズマおよび熱的成分への影響が無視できる(アニール後)を示している。
上述の方法を用いて、多数の実験結果が得られた。本例のモデルの不正確さを考慮して、このテクニックは、本例では高ドープ層(>1020cm−3)について使用しただけである。これらの高濃度では、ドーピングに対するΔRACの感度が消滅し、ΔRACおよびRdcの組合せフィッティングの収束が可能になるからである。上述の方法は、高温でアニールしたB−注入層に適用した。特に、同じB注入(エネルギー0.5keV,注入量=1015cm−2)およびアニール(1300℃の3回のレーザアニール)を受けて、しかし、異なるGe予備アモルファス化(PAI)を施した3つのサンプル、即ち、それぞれ(5 S1:keV,1014cm−2),(S2:5keV,5x1014cm−2)および(S3:20keV,1014cm−2)であるサンプルについて結果が提供される。
フィッティングカーブを、基板測定について図9(a)(b)に示し、プロファイル測定について図9(c)(d)に示している。理論カーブは、実験データにうまくフィットしていることが明瞭に観察される。フィットしたデータから得られるいわゆるTPプロファイルは、3つのサンプルで測定したSIMSプロファイルとともに図9(e)に示している。サンプルのうちの1つについて測定したSSRMプロファイルも追加した(推定した移動度は100cm2V−1s−1)。TPプロファイルは、30分間未満で得られた(20分間の測定と10分間未満のフィッティング)。平均で、TPプロファイルとSIMS(およびSSRM)プロファイルとの量的な一致は許容でき、それは1019cm−3のドーピングで導出した深さでの平均偏差は3nmであるためである。ピーク活性ドーピング濃度の平均偏差は、5x1018cm−3である。
TPプロファイルは、本例では、SIMSプロファイルより深い。3つのプロファイルの相対深さになると、TPおよびSIMSも矛盾している。
完全のため、図9に示すように、ΔRac profileの振幅だけがフィットしている。位相は、実際には本例のフィッティングアルゴリズムで無視した。これは、位相が熱的成分の重要性をほぼ示す浅い層について許容できる近似である。熱的成分の決定は、基板測定をフィッティングさせることによって考慮され、ここでは位相は特別に重要であり、よって図9(b)を考慮している。プロファイル測定後の実験の位相および理論的位相は、許容可能に一致していることが確認できる。。
開発したテクニックの精度を評価し、図9(e)で観察された不一致がランダム誤差に起因するか否かを決定するために、下記の反復モンテカルロ手法を使用した。最初に、各繰り返しにおいて、我々の実験で測定したデータの上にランダムノイズを加算することによって、ノイズの多いデータについてシミュレーションを行った。測定したΔRac profileとΔRdc profileでのノイズは、正規分布に従いことが想定され、その標準偏差は、信号再現性、即ち、それぞれσΔRac=7×10−4(任意単位)とσΔRdc=5×10−6で与えられる。全てのランダム誤差を考慮するには、ノイズを基板測定データ、即ち、ΔRac substrateおよびΔRdc substrateにも追加する。第2に、シミュレーションを行ったノイズの多いカーブを、上述した我々のフィッティング手順に当てはめる。3つのプロファイルパラメータN0,Xcst,Aのフィッティング値を、繰り返しに沿って記録した。50回の繰り返しに制限して、図10に示す測定確率分布が得られ、カーブ1002,1003,1006によって3つの例について示される。3つのプロファイルパラメータN0,Xcst,Aの個々の精度σN0,σXcst,σAは、個々の分布の標準偏差として定義される。3つのパラメータ全てが極めて高い精度で決定されることが観察できる。図10(b)でのXcstのピークは、明確に分離されることが判る。結論として、ランダム誤差が、図9(e)で観察されたTPプロファイルとSIMSプロファイルの間の不一致を説明できない。
このテクニックは、プロファイル特性を高い精度で決定することを証明するため、TPプロファイルとSIMSプロファイルの間の不一致は、系統的誤差、特に、信号の活性ドーピング依存性を説明するのに我々のモデルの不十分な精度に起因していると予想できる。
図11(a)は、我々の測定テクニックから得られたピーク活性ドーピング濃度N0と、SIMSおよびシート抵抗測定(バルク移動度を想定)から得られたピーク活性ドーピング濃度NSIMS at 10^19との比較を示す。図11(b)は、TPプロファイルおよびSIMSプロファイルが1019cm−3濃度に到達したときの深さXTP at 10^19とXSIMS at 10^19の比較を示す。図11(c)は、TPおよびSIMSプロファイル急峻性AとASIMS at 10^19との比較を示す(約1019cm−3濃度での値)。
パラメータの変動の影響を示すために異なるモデルが使用される。モデルIIは、30%大きい電界誘起屈折率効果を想定し、この効果の観察される過小評価を中和する。モデルIIIは、ポンプレーザの二重変調放射を想定し、基板中の過小評価した過剰キャリア濃度を説明する。最後に、モデルIVは、層注入を減少させて、層中の活性ドーピング濃度に対する過大評価した感度を中和する。特に、後者のモデルは、基板中の過剰キャリア濃度の一定モードΔNsub0が、2|ΔNsub1|(ΔNsub0の下限)と等しいことを想定している。
これらのモデルの各々に使用した値は、異なるモデル化誤差の影響について良好な印象を与える。図11(b)は、1019cm−3濃度でのTPプロファイルおよびSIMSプロファイルの深さを比較する。図9(e)で既に観察したように、TPプロファイルは、常にSIMSプロファイルより深い。さらに、SIMS測定の深さはより浅い。図11(b)では、TPプロファイルの深さは、使用したモデルに従って変化するが、反相関(anti-correlation)を説明する変更したモデルはないことが判る。従って、誤差は、上述したモデル化誤差と相関しないように見える。
反相関は、基板測定フィッティングに存在する追加のモデル化誤差に起因し得る。既に述べたように、図9(c)での|ΔRac profile|の評価は、SIMSプロファイルと一致した接合深さの評価を示すように見える。しかしながら、これらのデータで観察された傾向は、図9(a)で観察できるように、Ge PAI量またはエネルギー(増加したダメージ)を増加させた場合に予想されるように、基板プラズマ成分での減少に部分的にも起因する。換言すると、誤差は、両方の影響(基板プラズマ成分およびより深いプロファイル)の間の小さく正確な差別に起因するであろう。これは、Ge注入のエネルギーおよび量とのΔNsub1およびΔT1の変動が適切に説明されていないことを示すであろう。多くの場合、推定した均質な両極性拡散率および再結合寿命を非難する必要がある。
図11(c)に移動して、TPプロファイルの急峻性はSIMSと良好に一致することが判る。さらに、使用したモデルに対する、制限した感度のみを示す。従って、得られた値は、かなり堅牢(robust)である。
最後に、図11(a)でのピーク活性ドーピング濃度の比較は、N0が、モデル化誤差に対して極めて敏感であることを示す。これは、N0がモデル化誤差に対して極めて敏感であることによって容易に説明できる。これは、N0が、深さおよび急峻性をΔRacによって決定した後、Rdcによって固定されることによって容易に説明できる。さらに、N0の値は、NSIMS peak値と比較するのが困難である。後者は、結晶移動度を想定しているからである。N0へのモデル化誤差の影響は複雑であり、有利な実施形態では深さ精度を決定する場合に考慮できる。結論として、図11に示すように、モデル化誤差に対して、TPプロファイルの深さおよび活性ドーピング濃度の高い感度を想定すると、TPプロファイルとSIMSプロファイルとの間の不一致は、モデル化誤差に起因する(基板測定のフィッティングから由来するある誤差を含む(Ge注入の影響))と考えられる。
提案した測定テクニックでのフィッティングアルゴリズムの関与は、得られたプロファイルの一意性の問題を提起する。従って、フィッティング手順は、常に3つのプロファイルパラメータN0,Xcst,Aの同じ値に向かって収束することを主に確認すべきである。しかしながら、上述の議論を想定すると、プロファイルパラメータ得られた値が実際に一意的であることは自明に見える。さらに、これは、フィッティングアルゴリズムでの3つのパラメータの初期の推定値を変化させることによって確認できる。最終出力値での変動は、典型的には、これらの個々の精度σN0,σXcst,σAのオーダーである。
さらに、フィッティングプロファイルがこれらの形状の推定にどのように依存するかも評価すべきである。この依存性をテストするために、我々は、指数関数的に減衰するプロファイルまたは相補誤差関数の挙動に従うプロファイルをそれぞれ想定した場合、サンプルについて得られたTPプロファイルを比較することを提案する。
図12は、3つ全てのサンプルについて得られたTPプロファイルを比較している。適度にドープした領域で得られた深さおよび急峻性は、推定した形状から独立しているとともに、ピーク活性ドーピング濃度はプロファイル形状によって著しく影響される。
この挙動は、上記の理論的考察から説明できる。深さおよび急峻性は、ΔRacオフセットカーブによって固定される。オフセットカーブの各ポイントがプロファイルの異なる領域に対して感度を有し、従って、プロファイルの適度にドープした領域は、一意的に定義される(<1019cm−3)。ΔRacの値は、プロファイルのピークドーピング濃度だけでなく、高くドープした領域(>1019cm−3)にも感度を有する。換言すると、高くドープした領域の決定は、図12に示す不確実性をもたらすRdcの単一の値に依拠する。曖昧さを排除するために、より高い基板注入でのΔRacの測定を考慮すべきであることに留意する。
上では、本発明の実施形態に従って、ΔRacオフセットカーブおよびRdcの組み合わせ測定をベースとした、高速で非破壊のプロファイル特性評価テクニックの例について議論した。このテクニックは、高い精度を有し、SIMSおよびSSRMと許容可能に一致する。有利な実施形態では、モデル化誤差が考慮できる。さらに、このテクニックを用いて得られるプロファイルの深さおよび急峻性は一意的であるが、得られたピーク活性ドーピング濃度は、推定したプロファイル形状に依存する。代替として、より大きいポンプ放射が、この一意性の問題を直接に解決できる。
一態様において、本発明はまた、ほぼ完全に活性化したドーピングプロファイルを光学的に決定するための方法の少なくとも一部を実施するためのコンピュータ実装の方法に関する。本発明の実施形態はまた、対応するコンピュータプログラム製品に関する。該方法は、コンピュータシステムで実装できる。これらは、ソフトウエア、ハードウエアまたはこれらの組合せとして実装できる。こうした方法は、自動化及び/又は自動的な方法でコンピュータ上で実施されるように適合できる。
ソフトウエアとして実装または部分的に実装した場合、こうしたソフトウエアは、1つ又はそれ以上のプロセッサに基づいて、適切なコンピュータ、コンピュータプラットフォーム上で実行するように適合できる。ソフトウエアは、適切なオペレーティングシステム、例えば、ウインドウズ・オペレーティングシステムまたはリナックス・オペレーティングシステムを用いて使用のために適合できる。コンピューティングとは、処理手段またはデータを処理するプロセッサを意味する。プロセッサの他に、コンピュータシステムは、ROMやRAMなどを含むメモリシステム、CD−ROMやDVDドライブなどの出力システム、あるいはネットワークに情報を出力するための手段を含んでもよい。従来のコンピュータコンポーネント、例えば、キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイス、入出力ポートなどを含んでもよい。データ輸送は、データバスをベースとして設けてもよい。コンピュータシステムのメモリは、命令セットを含んでもよく、コンピュータシステム上で実行した場合、上述のような方法の標準ステップおよび、必要に応じて上述のような任意のステップの一部または全部の実行が得られる。得られた結果は、プロッタ、プリンタ、ディスプレイなどの出力手段によって出力してもよく、あるいは電子フォーマットでデータを出力してもよい。
本発明の実施形態の更なる態様は、コンピュータ装置上で実行するための機械読み取り可能なコードを運ぶキャリア媒体に埋め込まれたコンピュータプログラム製品を包含する。コンピュータプログラム製品自体は、データキャリア、例えば、DVDまたはCD−ROMまたはメモリ装置などである。従って、実施形態の態様は、コンピュータプログラム製品、およびそれに対応する伝送信号を、ネットワーク、例えば、ローカルネットワークまたはワイドエリアネットワークなどを通じて送信することも包含する。