JP5847152B2 - 内燃機関 - Google Patents

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本発明は、クランク室が負圧クランク室に構成される内燃機関に関する。
従来、クランク室内と、それに連通するミッション室内のエアをポンプにより吸い出すようにした密閉クランクケースを備え、ピストンの昇降によるポンピングロスを抑制する内燃機関があり、例えば下記特許文献1に示される。
特許文献1に説明されるように、そのようなポンプは、クランク軸に連動して作動するメカニカルポンプを用いることが考えられるが、内燃機関に設ける場合には、負圧空間となる密閉クランク室と、吸入エアを排出する正圧空間を構成する密閉された別室とを接続するように設ける必要がある。
レイアウトの制約上から、ポンプを正圧空間内に配置する場合には、ポンプの動力を同じ正圧空間の中に配置された、クランク軸と同期する回転部材で駆動することになるが、ポンプと回転部材とが離れて配置される場合には、これらを連動する機構が複雑あるいは大型化するなどの課題がある。
その対策として、クランク軸から直接、動力を取り出すことが考えられるが、負圧空間と正圧空間の間で密閉空間を確保しながら動力をポンプに伝達できる構造が求められる。
特開2007−120411号公報(図2〜図4、段落〔0047〕)
本発明は、上記従来技術に鑑み、正圧空間内のポンプによりエアが排出されクランク室が負圧クランク室に構成される内燃機関において、クランク軸とポンプとを連動する機構をコンパクトに構成して、負圧空間と正圧空間の間で密閉空間を確保しながらクランク軸の動力をポンプに伝達できる構造を備える内燃機関を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の気筒を直列に配列した多気筒式の内燃機関であって、同内燃機関のクランクケースは、クランク軸を回転自在に軸支する密閉されたクランク室と、同クランク室とは別に隔壁により同クランク室から隔離された補機室とを構成し、前記クランク室内のエアを吸引して前記補機室に排出するスカベンジポンプが、前記補機室内に配置され、前記クランク室が負圧クランク室に構成される内燃機関において、前記クランク軸で発生した駆動力を取り出すためのプライマリドライブギヤが、同クランク軸における前記クランク室の内部の位置に設けられ、前記スカベンジポンプを前記プライマリドライブギヤにより駆動させるポンプ駆動アイドルギヤが、前記クランク室内に配置されて前記プライマリドライブギヤに噛み合う被動アイドルギヤ部と、前記補機室内に配置されて前記スカベンジポンプのポンプ受動ギヤに噛み合う駆動アイドルギヤ部と、前記被動アイドルギヤ部と駆動アイドルギヤ部とが両端に取り付けられるアイドル軸部とを備え、前記隔壁に貫通して設けられた軸受孔に、前記アイドル軸部が、前記被動アイドルギヤ部と駆動アイドルギヤ部との間で直接支持されたことを特徴とする内燃機関。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関において、前記隔壁は、前記軸受孔の周囲が厚肉に形成されたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関において、前記軸受孔の前記アイドル軸部との摺動面が、前記内燃機関を循環する潤滑オイルにより満たされることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関において、前記クランク軸は、前記クランクケースの上側ケースと下側ケースの結合面に支持され、クラッチ装置が軸端に取り付けられる変速機軸が、前記結合面から上方に離反した位置に配置され、前記ポンプ駆動アイドルギヤは、前記プライマリドライブギヤにおけるプライマリドリブンギヤとの噛み合い部の下方に位置して同プライマリドライブギヤと噛み合うことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関において、前記プライマリドライブギヤが、前記クランク軸において軸方向最外方に位置するシリンダに対応したクランクピン部よりも内側に設けられて、前記プライマリドライブギヤと噛み合う前記プライマリドリブンギヤが一体化された前記クラッチ装置を収容するクラッチ室を有し、前記プライマリドライブギヤとプライマリドリブンギヤとが噛み合う空間を通して前記クランク室と前記クラッチ室が連通されたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の内燃機関において、前記ポンプ駆動アイドルギヤは、前記クランク室側に配置される被動アイドルギヤ部が、前記補機室側に配置される駆動アイドルギヤ部に比べて外径を大きく設定され、前記ポンプ駆動アイドルギヤを避ける凹部収容室が前記クラッチ室の下壁に形成されて、同凹部収容室に対応して同クラッチ室の下壁面が膨出されたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の内燃機関において、前記凹部収容室が、前記クラッチ室の最低部に設けられたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関において、前記クラッチ室の外壁をなすクラッチカバー部材が、前記クランクケースの側壁に環状に立設された立設壁に取り付けられることにより、前記クランクケースの側壁と立設壁と前記クラッチカバー部材との間にクラッチ室が構成され、前記クラッチ室には、前記内燃機関の始動装置からの動力を前記クランク軸に伝達するスタータアイドルギヤが配置され、同スタータアイドルギヤを支持するスタータアイドル軸の両端を支持する一対の支持部の何れもが、前記クランクケースの立設壁の底面に立設配置されたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明の内燃機関によれば、クランク室側と補機室側とを隔てる隔壁に貫通する軸受孔を設け、ポンプ駆動アイドルギヤの被動アイドルギヤ部と駆動アイドルギヤ部が両端に取り付けられたアイドル軸部を軸受孔に直接支持し、軸受孔を挿通して配置されたポンプ駆動アイドルギヤを介して、クランク軸から駆動力をスカベンジポンプに伝達するようにしたので、摺動軸受けとなる軸受孔のアイドル軸部直接支持により、クランク軸とスカベンジポンプとを連動する機構がコンパクトに構成されて複雑化、大型化が回避され、クランク室側の負圧空間と補機室側の正圧空間を保ちつつスカベンジポンプへクランク軸の駆動力を伝達をすることが可能となり、クランク室側を負圧空間に保持することができ、ポンピングロスの低減が図られる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、軸受孔の周囲を厚肉に形成することにより、軸受孔のアイドル軸部との摺動面の軸方向長さが増えて、摺動面とアイドル軸部との隙間を軸方向に通過するエアの流通をより低減でき、クランク室側の負圧空間の維持が容易となる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、軸受孔の摺動面が潤滑オイルで潤滑されるとともに、摺動面とアイドル軸部との隙間に潤滑オイルが満たされることにより、エアの軸方向の流通が極力抑制されて、クランク室側の負圧空間を一層維持することが可能となる。
請求項4の発明によれば、請求項1ないし請求項3のいずれか一項の発明の効果に加え、プライマリドライブギヤにおけるプライマリドリブンギヤおよびポンプ駆動アイドルギヤとの噛み合い位置が、プライマリドリブンギヤとポンプ駆動アイドルギヤとで上下に並べて配置されたことで、相互の空き空間を利用してコンパクトな軸配置を可能にして、ひいては内燃機関の小型化が可能となる。
請求項5の発明によれば、請求項1ないし請求項4のいずれか一項の発明の効果に加え、プライマリドライブギヤとプライマリドリブンギヤとが噛み合う空間を通してクランク室とクラッチ室が連通して負圧空間が拡大されたので、プライマリドライブギヤよりも軸方向外側に位置するシリンダにおけるエアも吸入排出されて、例外なくすべてのシリンダにおいてポンピングロスを低減できる。
請求項6の発明によれば、請求項5の発明の効果に加え、ポンプ駆動アイドルギヤを避ける凹部収容室をクラッチ室の下壁に形成して、凹部収容室に対応して下壁面が膨出するようにクラッチ室を形成したので、ポンプ駆動アイドルギヤを包含するクラッチ室の全体としての大型化を回避して、内燃機関の大型化を抑制した。
請求項7の発明によれば、請求項6の発明の効果に加え、凹部収容室がクラッチ室の最低部に設けられたことにより、クラッチ室内の潤滑オイルが凹部収容室内に溜まりやすくなり、ポンプ駆動アイドルギヤの潤滑および軸受孔の潤滑を行うことが可能となる
請求項8の発明によれば、請求項5ないし請求項7のいずれか一項の発明の効果に加え、スタータアイドルギヤを支持するスタータアイドル軸の一対の支持部の両方が、クランクケースの立設壁の底面に立設配置されたことにより、スタータアイドル軸を両持ちにより強固に支持でき、一方の支持部がクラッチカバー部材側に跨らないので、スタータアイドル軸の組み付け作業が容易に行える。
本発明の一実施形態に係る内燃機関を搭載する自動二輪車の左面図である。 図1中の内燃機関の左側面図である。 図1中の内燃機関の、一部が切り欠いて示される右側面図である。 図3中IV−IV矢視による内燃機関の断面図である。 図3中V−V矢視による内燃機関の断面図である。 図3中概ねVI−VI矢視による断面を示す斜視図である。 図3中概ねVII−VII矢視による断面を示す斜視図である。 図3中概ねVIII−VIII矢視による断面を示す斜視図である。
図1から図8に基づき、本発明の一実施形態に係る内燃機関につき説明する。
特許請求の範囲および本明細書の説明における前後左右上下等の向きは、本実施形態の内燃機関を搭載した車両の向きに従うものとする。本実施形態において車両は鞍乗型車両であり、具体的には自動二輪車である。
図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関3を搭載する自動二輪車1の左面図である。図1に示されるように、本発明の本実施形態に係る自動二輪車1の車体フレーム2は、前輪10を軸支するフロントフォーク11を操向可能に支承するヘッドパイプ20と、ヘッドパイプ20から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム21と、ヘッドパイプ20と左右のメインフレーム21の前部に連接されるとともにメインフレーム21の下方で後下がりに延びる左右一対のエンジンハンガ22と、メインフレーム21の後端部に連設されて下方に延びる左右一対のピボットフレーム23と、両メインフレーム21の後部から後上がりに延びる左右一対のシートレール24とを備える。
車体フレーム2には、メインフレーム21の下方にエンジンハンガ22とピボットフレーム23により前後を懸架されて内燃機関3が搭載され、ピボットフレーム23に前端を軸支されたスイングアーム12が後方に延び、その後端部に後輪13が軸支され、内燃機関3の出力軸31に嵌着される駆動スプロケット32と後車軸に嵌着される従動スプロケット14とに無端状の駆動チェーン15が巻き掛けられる。
内燃機関3の上方には、車体フレーム2におけるヘッドパイプ20の後方に位置するようにしてエアクリーナ16が配置され、エアクリーナ16の後部および上部を覆う燃料タンク17が、車体フレーム2における両メインフレーム21上に搭載され、燃料タンク17の後方には、メインシート18およびピリオンシート19がシートレール24に支持されて設けられている。
内燃機関3の前方にはラジエータ33が配置されている。
内燃機関3の左側面図である図2に示されるように、内燃機関3は、クランクケース30内に変速機8を備えた、いわゆるパワーユニットを構成している。
本内燃機関3は、水冷4ストロークサイクル直列4気筒内燃機関であり、クランク軸6を車幅方向(左右方向)に指向させ、4つ気筒を車幅方向に並べて配列させて車体フレーム2に横置きに搭載される。
クランクケース30は、車幅方向(左右方向)に指向するクランク軸6を上下から挟んで軸支するように、上側ケース30Aと下側ケース30Bの上下割りに構成されている。
上側ケース30Aの前方上部にやや前傾してシリンダブロック40、シリンダヘッド41が順次重ねられ、図示しないスタッドボルトにより一体に締結され、シリンダヘッド41の上にはシリンダヘッドカバー42が被せられ、下側ケース30Bの下にはオイルパン43が取り付けられる。
一部が切り欠いて示される内燃機関3の右側面図である図3に示されるように、クランクケース30には、上側ケース30Aと下側ケース30Bの上下結合面(本発明における「結合面」)30aにおいてクランク軸6が回転自在に軸支されるとともに、クランク軸6の後方には変速機8が内蔵され、結合面30aから上方に離反した位置に変速機8のメイン軸(本発明における「変速機軸」)81が、右端部にクラッチ装置9を備えてクランク軸6と平行に軸支配置され(図5参照)、そのやや後方で、クランクケース30の上下結合面30aにおいてクランク軸6と平行にカウンタ軸82が軸支配置されている。カウンタ軸82のクランクケース30を貫通突出した左軸端には前述の駆動スプロケット32が嵌着され(図2参照)、カウンタ軸82は内燃機関の出力軸31をなす。
図2に示されるように、若干前傾したシリンダヘッド41の後側壁41aには吸気ポート45に接続して4つのスロットルボディ34および4つのファンネル35が気筒配列方向に配列して上方に突設されており、ファンネル35はエアクリーナ16のクリーンサイドに嵌入している(図1参照)。
内側2つのスロットルボディ34、34の間には、電動モータ37aによりスロットルバルブを駆動するスロットルバルブ駆動機構37が設けられている。
シリンダヘッド41の前側壁41bには、排気ポート46に接続して排気管38が前方に延出し、下方に屈曲して内燃機関3の下方に回り込んで後方に延び、さらに上方に屈曲してピリオンシート19の下に配設される排気マフラー39に接続されている(図1参照)。
本実施形態の内燃機関3は、吸気弁および排気弁を開閉動作するDOHC形式の4バルブシステムの動弁装置を備えており、図3、および図3中IV−IV矢視による断面を示す図4に示されるように、クランク軸6と平行に吸気カム軸47と排気カム軸48とを有している。なお、図4においては、排気側が示される。
吸気カム軸47の右端部にはカムチェーン被動スプロケット49が取付けられ、クランク軸6の右端側に取り付けられたカムチェーン駆動スプロケット50との間に巻き掛けられたカムチェーン51を介して、クランク軸の1/2の回転速度で吸気カム軸47が回転駆動される。
吸気カム軸47と排気カム軸48の内側2つのシリンダ52の間となる中央部には(図4参照)、それぞれ駆動カムギヤ53と被動カムギヤ54が嵌着されており(図2、図3参照)、駆動カムギヤ53と被動カムギヤ54は同径で互いに噛み合っている。
したがって、排気カム軸48は、クランク軸6により駆動される吸気カム軸47と連動して、互いに反対方向に同じ回転速度で回転する。
図4に示されるように、上側ケース30Aの上ジャーナル壁71A1〜71A5と下側ケース30Bの下ジャーナル壁71B1〜71B5が、クランク軸6のジャーナル部6aを主軸受72を介して上下から挟むようにして支持してクランク軸6を回転自在に軸支する。
内燃機関3は、4つのシリンダ(本発明における「気筒」)52を直列に配列して一体に成形された直列4気筒であるので、クランク軸6は5つのジャーナル部6aを有し、上側ケース30Aの5つの上ジャーナル壁71A1〜71A5と、下側ケース30Bの5つの下ジャーナル壁71B1〜71B5とによりクランク軸6は回転自在に支持される。
上側ケース30Aと下側ケース30Bは、互いの上下結合面30aを合せてボルトにより一体に締結されている(図2、図3参照)。
クランク軸6の隣合うジャーナル部6aの間には、左右をウエブ部6bに挟まれて、クランクピン6cが一体に形成されている。
上側ケース30Aに締結されたシリンダブロック40の4つのシリンダ52には、ピストン55が往復摺動可能に嵌合され、ピストン55はコンロッド55aを介してクランク軸6のクランクピン6cに連結される。
シリンダヘッド41には、シリンダ52毎に、ピストン55に対向して形成される燃焼室56と、燃焼室56に開口して1対の吸気弁57により開閉される吸気ポート45が後方へ延出し、1対の排気弁58により開閉される排気ポート46が前方に延出し、さらに燃焼室56に臨む点火プラグ59が装着される(図2参照)。
各吸気弁57および各排気弁58は、シリンダヘッド41に回転可能に軸支される上述の吸気カム軸47および排気カム軸48により、クランク軸6の回転に同期して開閉駆動される。
シリンダブロック40とシリンダヘッド41の右端部には、カムチェーン51を配設するためのカムチェーン室44が形成されている。なお、図3、図4においては、カムチェーン室44の右側面を覆う壁部が切り欠かれて図示されている。
図4に示されるように、本実施形態の内燃機関3においてはクランクケース30内に、4つのシリンダ52に対応して、5組の上下ジャーナル壁71A1,71B1〜71A5,71B5と、クランク軸6の後方において変速機8を収納するミッション室(本発明における「補機室」)80およびクランク軸6の下方に位置するオイルパン43とを隔離する隔壁73とによって、密閉された4つのクランク室70が形成されている。
ただし、図3中概ねVI−VI矢視による断面を示す斜視図である図6に示されるように、左から2つ目の下ジャーナル壁71B2から最右側の下ジャーナル壁71B5までの各下ジャーナル壁の下部には、隔壁73近くに連通孔74が設けられ、4つのクランク室70とカムチェーン室44とが連通されている。
また、図6に示されるように、内側2つのクランク室70の間で、隔壁73の底部に流入路102を開口させてスカベンジポンプ100が、ミッション室80内に配置されて取付けられている。スカベンジポンプ100の右隣りにはフィードポンプ103が配置される。
クランク軸6と平行に配置され、中心線Yのみ示す各ポンプ共通のポンプ軸101の、ミッション室80の左側壁83Lを貫通した左端には、冷却用のウォータポンプ104が取付けられるとともに、ミッション室80内に位置する右端にはポンプ受動ギヤ106が取付けられている。
スカベンジポンプ100は、クランク室70内のエアを、滴下した、または浮遊する潤滑オイルとともに吸引して、正圧空間をなすミッション室80に排出し、クランク室70内等を負圧空間として、クランク室70を負圧クランク室に構成する。なお、ミッション室80内は正圧空間である。
そのため、各クランク室70内でのピストン55の昇降によるポンピングロスを抑制することができる。
スカベンジポンプ100が排出した潤滑オイルは図示しないノズルにより変速機8の潤滑に供され、その後オイルパン43内に流下し、排出したエアは図示しないブローバイガス流路により内燃機関3の吸気系に導入されて未燃焼ガス等が燃焼処理される。
図4に示されるように、クランク軸6において軸方向最も右外方に位置するシリンダ52に対応するクランクピン6cの両側のウエブ部6bのうちの機関中心側のウエブ部6bには、クランク軸心X周り全周に亘って、クランク軸6と同芯にプライマリドライブギヤ6fが設けられている。
すなわち、クランク軸6で発生した駆動力を取り出すためのプライマリドライブギヤ6fが、クランク軸6におけるクランク室70の内部の位置に設けられている。
また、図3中V−V矢視による断面を示す図5に示されるように、クランク軸6の後方においてクランクケース30の後部に設けられるミッション室80は、クランクケース30のケース左側壁30Lの一部となるその左側壁83Lを、クランク軸方向で左から二番目の上下ジャーナル壁71A2,71B2の近傍に、クランクケース30のケース右側壁30Rの一部となる右側壁83Rを、クランク軸方向で右から二番目の上下ジャーナル壁71A4,71B4の近傍に位置させて、4つのクランク室70よりも幅狭に設けられている。
変速機8は、常時噛合い式の歯車変速機であり、クランク軸6の後方で斜め上方位置において(図3参照)、メイン軸81が上側ケース30Aに、すなわちミッション室80の左側壁83Lと右側壁83Rに軸受を介して回転自在に軸支され、クランク軸6の後方で上側ケース30Aと下側ケース30Bの上下結合面30aに挟まれて(図3参照)、カウンタ軸82が軸受を介して回転自在に軸支される。
図5においては、メイン軸81がその軸受と変速ギヤ群とともに抜き出された状態が示される。図示しないカウンタ軸82も同様に変速ギヤ群を備え、互いに対となる変速ギヤどうしを噛合しており、軸にスプライン嵌合しシフタとなる変速ギヤの変速操作機構による移動によって変速がなされる。
また、メイン軸81の、ミッション室80の右側壁83Rを貫通し、右方に突出した右端部には多板式のクラッチ装置9が設けられている。
クラッチ装置9にはプライマリドリブンギヤ91が同芯に一体的に備えられており、プライマリドリブンギヤ91はクランク軸6の右側から数えて2番目のウエブ部6bに形成されたプライマリドライブギヤ6fと噛合して1次減速機構を構成している。
クランクケース30のケース右側壁(本発明における「側壁」)30Rとなるミッション室80の右側壁83Rと、最も右側の上下ジャーナル壁71A5,71B5とからは、右方に突出して立設壁75Rがクランクケース30の前後略全長に亘って環状に形成されており、立設壁75Rにクラッチ室90の外壁をなすクラッチカバー部材76が取付けられて(図3参照)、クランクケース30のケース右側壁30Rと立設壁75Rとクラッチカバー部材76との間にクラッチ室90が形成され、クラッチ装置9が収容される。
したがって、プライマリドライブギヤ6fとプライマリドリブンギヤ91とが噛み合う空間を通してクランク室70とクラッチ室90が連通されており、内燃機関3が運転されてスカベンジポンプ100が作動し、各クランク室70が負圧空間となると、クラッチ室90も負圧空間となる。
クランク室70とクラッチ室90が連通して負圧空間が拡大されたので、スカベンジポンプ100はプライマリドライブギヤ6fよりも軸方向外側に位置する最も右側のシリンダ52におけるエアも吸入排出して、例外なくすべてのシリンダ52においてポンピングロスが低減される。
クラッチ64の出力側はメイン軸81にスプライン嵌合しており、よってクランク軸6の回転が1次減速機構6f、91およびクラッチ装置9を介して変速機8のメイン軸81に伝達される。
なお、クランク軸6の回転動力は、クランク軸6側のプライマリドライブギヤ6f、クラッチ装置9側のプライマリドリブンギヤ91を介してクラッチ装置9に伝達されるが、クラッチ装置9は、変速機8のギヤ切換え中にはクランク軸6の回転動力を切断して変速機8に伝達せず、変速機8のギヤ切換えが終了するとともに回転動力を接続して、クランク軸6の回転動力を変速機8に伝達するように構成されている。
前述のように、カウンタ軸82は、内燃機関3の出力軸31でもあり、クランクケース30のケース左側壁30Lを左側方に貫通して、すなわちミッション室80の左側壁83Lの外部に突出し、その左端部に駆動スプロケット32が嵌着され、後輪13の従動スプロケット14との間に駆動チェーン15が掛け渡され2次減速機構が構成され、2次減速機構を介して動力が後輪13に伝達される(図1参照)。
図5に示されるように、クランク軸6において右から2番目のクランク室70内の機関中心側のウエブ部6bには、クランク軸6で発生した駆動力を取り出すためのプライマリドライブギヤ6fが形成され、前述のようにプクラッチ装置9に同芯に取り付けられたプライマリドリブンギヤ91がライマリドライブギヤ6fに噛合している。
図3に示されるように、プライマリドライブギヤ6fにおけるプライマリドリブンギヤ91との噛み合い部91aの下方に、スカベンジポンプ100のポンプ軸101に回転駆動力を伝達するためのポンプ駆動アイドルギヤ105とプライマリドライブギヤ6fとの噛み合い部105aが位置している。
そのため、プライマリドリブンギヤ91とポンプ駆動アイドルギヤ105とは、プライマリドライブギヤ6fとの噛み合い部91a、105aを上下にずらして位置させ、コンパクトな軸配置となっている。
図3中概ねVII−VII矢視による断面を示す斜視図である図7に示されるように、スカベンジポンプ100をプライマリドライブギヤ6aにより駆動させるポンプ駆動アイドルギヤ105は、アイドル軸部105bの両端に被動アイドルギヤ部105cと駆動アイドルギヤ部105dとを取付けて構成されている。
被動アイドルギヤ部105cは、最も右側のクランク室70内の下部であり、且つクラッチ室90の下部に配置されて、プライマリドライブギヤ6aに噛み合い、駆動アイドルギヤ部105dはミッション室80内に配置されて、スカベンジポンプ100のポンプ軸101の右端部に取り付けられたポンプ受動ギヤ106と噛み合っている。
図7において、ポンプ軸101は一転鎖線で中心線Yのみが示され、ポンプ受動ギヤ106は切り欠かれた一部のみが示されるが、ポンプ軸101は、フィードポンプ103、ウォータポンプ104等のポンプ軸でもある。
ミッション室80の右側壁83Rの前方上部は、最も右側のクランク室70の下部との間を隔離する上下方向に延在する隔壁73aを構成しており、クランク室70側とミッション室80側とを隔てる隔壁73aに貫通して設けられた軸受孔77に、ポンプ駆動アイドルギヤ105のアイドル軸部105bが、被動アイドルギヤ部105cと駆動アイドルギヤ部105dとの間で直接支持されている。
軸受孔77は、アイドル軸部105aの摺動軸受けであり、軸受孔77を挿通して配置されたポンプ駆動アイドルギヤ105を介して、クランク軸6から駆動力をスカベンジポンプ100に伝達するようにしたので、摺動面に僅かな隙間があっても、クランク室6側の負圧空間とミッション室80側の正圧空間を保ちつつスカベンジポンプ100へ駆動伝達をすることが可能となり、クランク軸6とスカベンジポンプ100とを連動する機構の複雑化、大型化を回避しつつクランク室70側を負圧空間に保持することができ、ポンピングロスの低減が図られる。
特に、隔壁73aは、図7に示されるように、軸受孔77の周囲は厚肉に形成されており、軸受孔77のアイドル軸部105bとの摺動面の軸方向長さを大きくしているので、摺動面とアイドル軸部105bとの隙間を軸方向に通過するエアの流通がより低減され、クランク室70側の負圧空間の維持が容易となっている。
また、軸受孔77はプライマリドライブギヤ6fの設けられたクランク室70の下部に設けられているため、軸受孔77のアイドル軸部105bとの摺動面が、内燃機関3を循環する潤滑オイルにより満たされ、軸受孔77の摺動面が潤滑オイルで潤滑されるとともに、摺動面とアイドル軸部105bとの隙間に潤滑オイルが満たされることにより、エアの軸方向の抜けが極力抑制されて、クランク室70側の負圧空間が一層維持されるようになる。
なお、ポンプ駆動アイドルギヤ105のクランク室70側に配置される被動アイドルギヤ部105cは、ミッション室80側に配置される駆動アイドルギヤ部105dに比べて外径が大きく設定されており、クランク室70と連通したクラッチ室90の下部に延在するので、ポンプ駆動アイドルギヤ105の特に被動アイドルギヤ部105cを避ける凹部収容室78が、クラッチ装置9の下方においてクラッチ室90の最下部の下壁に形成されて(図3参照)、凹部収容室78に対応してクラッチ室90の下壁面92を構成する立設壁75が膨出されている。
そのように、凹部収容室78に対応して下壁面92が膨出するようにクラッチ室90が形成されたので、ポンプ駆動アイドルギヤ105を包含するクラッチ室90の全体としての大型化が回避され、内燃機関3の大型化が抑制され、また、凹部収容室78がクラッチ室90の最低部に設けられたことにより、クラッチ室90内の潤滑オイルが凹部収容室78内に溜まりやすくなり、ポンプ駆動アイドルギヤ105の潤滑および軸受孔77の潤滑を行うことが可能となっている。
なお、図4に示されるように、クランクケース30のケース左側壁30Lをなす最も左側の上下ジャーナル壁71A1,71B1から左方へ突出したクランク軸6の左端部6dには、ACジェネレータ60が設けられている。
また、クランクケース30のケース右側壁30Rをなす最も右側の上下ジャーナル壁71A5,71B5から右方へ突出したクランク軸6の右端部6eには、上述のカムチェーン駆動スプロケット50が取付けられるほか、さらに先端側に隣接して一方向クラッチ62を介してクランク軸従動ギヤ63が取付けられている。
図3に示されるように、クランクケース30のケース右側壁30R、すなわちミッション室80の右側壁83Rと最も右側の上下ジャーナル壁71A5,71B5とを大きく覆って、それらの右側面に環状に立設された立設壁75Rの右端部に、クランクケース30のクラッチカバー部材76が取付けられて、その内部にクラッチ室90が形成されている。
また、下側クランクケース30Bの外側前部には、クランク軸6と軸芯を平行に配してスタータモータ(本発明における「内燃機関の始動装置」)61が取り付けられ、クラッチカバー部材76がクランクケース30の前部側面まで延在したクラッチ室90内の前部には、スタータモータ61からの動力をクランク軸6に伝達するスタータアイドルギヤ65が配置されている。
すなわち、スタータモータ61の右軸端は、図5に示されるように、クラッチ室90内に貫通されて、スタータモータ61のスピンドルギヤ61aは、スタータアイドル軸64に回転自在に軸支されたスタータアイドルギヤ65の大ギヤ部65aに噛合し、大ギヤ部65aに固定取付けされ一体回転する小ギヤ部65bは、クランク軸従動ギヤ63と噛合している。
したがって、始動時のスタータモータ61の回転は、スピンドルギヤ61a、スタータアイドルギヤ65の大ギヤ部65a、小ギヤ部65b、クランク軸従動ギヤ63、一方向クラッチ62を介してクランク軸6に伝達され、内燃機関3が運転された後のクランク軸6回転は、一方向クラッチ62によりスタータモータ61には伝達されない。
また、図3中概ねVIII−VIII矢視による断面を示す斜視図である図8に示されるように、スタータアイドルギヤ65を支持するスタータアイドル軸64の両端を支持する一対の支持部79の何れもが、クランクケース30の立設壁75Rの底面75Raに立設配置されている。
そのため、スタータアイドルギヤ65を支持するスタータアイドル軸64の一対の支持部79の両方が、クランクケース30の立設壁75Rの底面75Raに立設配置されたことにより、スタータアイドル軸64が両持ちにより強固に支持され、一方の支持部79がクラッチカバー部材76側に跨らないので、スタータアイドル軸64の組み付け作業が容易となっている。
なお、スタータアイドルギヤ65が、スタータアイドル軸64に固定するように取付けられ、スタータアイドル軸64が、一対の支持部79に回転自在に支持されてもよい。
また、本実施形態においては、クラッチ室90は、その前部においてスタータアイドルギヤ65の領域をも包含するので、スタータアイドルギヤ65と噛合するクランク軸従動ギヤ63とカムチェーン駆動スプロケット50の領域、すなわちカムチェーン室44とも連通し、また、カムチェーン室44は前述のように連通孔74によっても最も右側のクランク室70と連通しているから、クランク室70、クラッチ室90、カムチェーン室44からシリンダヘッドカバー42内に至る領域が負圧空間となり、ピストン55の昇降によるポンピングロスが効果的に抑制される。
以上述べたように、本実施形態の内燃機関3は、4つのシリンダ52を直列に配列した多気筒式の内燃機関であって、クランクケース30は、クランク軸6を回転自在に軸支する密閉されたクランク室70と、クランク室70とは別に隔壁73、73aによりクランク室70から隔離されたミッション室80とを構成し、クランク室70内のエアを吸引してミッション室80に排出するスカベンジポンプ100が、ミッション室80内に配置され、クランク室70が負圧クランク室に構成されている。
そして、クランク軸6で発生した駆動力を取り出すためのプライマリドライブギヤ6fが、クランク軸6におけるクランク室70の内部の位置に設けられ、スカベンジポンプ100をプライマリドライブギヤ6fにより駆動させるポンプ駆動アイドルギヤ105が、クランク70室内に配置されてプライマリドライブギヤ6fに噛み合う被動アイドルギヤ部105cと、ミッション室80内に配置されてスカベンジポンプ100のポンプ受動ギヤ106に噛み合う駆動アイドルギヤ部105dと、被動アイドルギヤ部105cと駆動アイドルギヤ部105dとが両端に取り付けられるアイドル軸部105bとを備え、隔壁73aに貫通して設けられた軸受孔77に、アイドル軸部105bが、被動アイドルギヤ部105cと駆動アイドルギヤ部105dとの間で直接支持されている。
すなわち、クランク室70側とミッション室80側とを隔てる隔壁73aに貫通する軸受孔77を設け、ポンプ駆動アイドルギヤ105の被動アイドルギヤ部105cと駆動アイドルギヤ部105dが両端に取り付けられたアイドル軸部105bを軸受孔77に直接支持し、軸受孔77を挿通して配置されたポンプ駆動アイドルギヤ105を介して、クランク軸6から駆動力をスカベンジポンプ100に伝達するようにしたので、摺動軸受けとなる軸受孔77のアイドル軸部105b直接支持により、クランク軸6とスカベンジポンプ100とを連動する機構がコンパクトに構成されて複雑化、大型化が回避され、クランク室70側の負圧空間とミッション室80側の正圧空間を保ちつつスカベンジポンプ100へクランク軸6の駆動力を伝達することが可能となり、クランク室70側を負圧空間に保持することができ、ポンピングロスの低減が図られる。
また、隔壁73aは、軸受孔77の周囲が厚肉に形成されているので、軸受孔77のアイドル軸部105bとの摺動面の軸方向長さが増えて、摺動面とアイドル軸部105bとの隙間を軸方向に通過するエアの流通をより低減でき、クランク室70側の負圧空間の維持が容易となる。
また、軸受孔73aのアイドル軸部105bとの摺動面が、内燃機関3を循環する潤滑オイルにより満たされているので、軸受孔77の摺動面が潤滑オイルで潤滑されるとともに、摺動面とアイドル軸部105bとの隙間に潤滑オイルが満たされることにより、エアの軸方向の流通が極力抑制されて、クランク室70側の負圧空間を一層維持することが可能となる。
また、クランク軸6は、クランクケース30の上側ケース30Aと下側ケース30Bの結合面30aに支持され、クラッチ装置7が軸端に取り付けられる変速機8のメイン軸81が、結合面30aから上方に離反した位置に配置され、ポンプ駆動アイドルギヤ105は、プライマリドライブギヤ6fにおけるプライマリドリブンギヤ91との噛み合い部91aの下方に位置してプライマリドライブギヤ6fと噛み合っている。
そのため、プライマリドライブギヤ6fにおけるプライマリドリブンギヤ91およびポンプ駆動アイドルギヤ105との噛み合い位置91a、105aが、プライマリドリブンギヤ91とポンプ駆動アイドルギヤ105とで上下に並べて配置されたことで、相互の空き空間を利用してコンパクトな軸配置を可能にして、ひいては内燃機関3の小型化が可能となる。
また、プライマリドライブギヤ6fが、クランク軸6において軸方向最外方に位置するシリンダ52に対応したクランクピン部6cよりも内側に設けられて、内燃機関3は、プライマリドライブギヤ6fと噛み合うプライマリドリブンギヤ91が一体化されたクラッチ装置9を収容するクラッチ室90を有し、プライマリドライブギヤ6fとプライマリドリブンギヤ91とが噛み合う空間を通してクランク室70とクラッチ室90が連通されている。
そのため、プライマリドライブギヤ6fとプライマリドリブンギヤ91とが噛み合う空間を通してクランク室70とクラッチ室90が連通して負圧空間が拡大されたので、プライマリドライブギヤ6fよりも軸方向外側に位置するシリンダ52におけるエアも吸入排出されて、例外なくすべてのシリンダ52においてポンピングロスを低減できる。
また、ポンプ駆動アイドルギヤ105は、クランク室70側に配置される被動アイドルギヤ部105cが、ミッション室80側に配置される駆動アイドルギヤ部105dに比べて外径を大きく設定され、ポンプ駆動アイドルギヤ105の被動アイドルギヤ部105cを避ける凹部収容室78がクラッチ室90の下壁に形成されて、凹部収容室78に対応してクラッチ室90の下壁面92が膨出されている。
すなわち、ポンプ駆動アイドルギヤ105の被動アイドルギヤ部105cを避ける凹部収容室78をクラッチ室90の下壁に形成して、凹部収容室78に対応して下壁面92が膨出するようにクラッチ室90を形成したので、ポンプ駆動アイドルギヤ105を包含するクラッチ室90の全体としての大型化を回避して、内燃機関3の大型化を抑制した。
また、凹部収容室78が、クラッチ室90の最低部に設けられたので、クラッチ室90内の潤滑オイルが凹部収容室78内に溜まりやすくなり、ポンプ駆動アイドルギヤ105の潤滑および軸受孔77の潤滑を行うことが可能となっている。
そして、クラッチ室90の外壁をなすクラッチカバー部材76が、クランクケース30のケース右側壁30Rに環状に立設された立設壁75Rに取り付けられることにより、クランクケース30のケース右側壁30Rと立設壁75Rとクラッチカバー部材76との間にクラッチ室90が構成され、クラッチ室90には、内燃機関3の始動装置としてのスタータモータ61からの動力をクランク軸6に伝達するスタータアイドルギヤ65が配置され、スタータアイドルギヤ65を支持するスタータアイドル軸64の両端を支持する一対の支持部79の何れもが、クランクケース30の立設壁75Rの底面75Raに立設配置されている。
そのため、スタータアイドル軸64を両持ちにより強固に支持でき、一方の支持部79がクラッチカバー部材76側に跨らないので、スタータアイドル軸64の組み付け作業を容易に行なうことができる。
以上、本発明に係る一実施形態の内燃機関につき説明したが、本発明の態様が上記実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。
例えば、本発明の内燃機関は、車載用に限らず定置型を含め多様な内燃機関であっても請求項1の要件を備える内燃機関であればよい。
また、各機器の左右の配置は、説明の便宜上、図示のものに特定して記載したが、上記実施形態に示すものと左右逆となる配置のものであってもよく、本発明に含まれる。
3…内燃機関、6…クランク軸、6a…ジャーナル部、6b…ウエブ部,6c…クランクピン部,6f…プライマリドライブギヤ、8…変速機、9…クラッチ装置、30…クランクケース、30a…上下結合面(本発明における「結合面」)、30A…上側ケース、30B…下側ケース、30L…ケース左側壁、30R…ケース右側壁(本発明における「側壁」)、40…シリンダブロック、41…シリンダヘッド、42…シリンダヘッドカバー、43…オイルパン、44…カムチェーン室、48…排気カム軸、49…カムチェーン被動スプロケット、50…カムチェーン駆動スプロケット、51…カムチェーン、52…シリンダ(本発明における「気筒」)、53…駆動カムギヤ、54…被動カムギヤ、55…ピストン、61…スタータモータ(本発明における「内燃機関の始動装置」)、62…一方向クラッチ、63…クランク軸従動ギヤ、64…スタータアイドル軸、65…スタータアイドルギヤ、65a…大ギヤ部、65b…小ギヤ部、70…クランク室、71A1〜71A5…上ジャーナル壁、71B1〜71B5…下ジャーナル壁、73、73a…隔壁、74…連通孔、75R…立設壁、75Ra…底面、76…クラッチカバー部材、77…軸受孔、78…凹部収容室、79…支持部、80…ミッション室(本発明における「補機室」)、81…メイン軸(本発明における「変速機軸」)、82…カウンタ軸、83L…左側壁、83R…右側壁、90…クラッチ室、91…プライマリドリブンギヤ、91a…噛み合い部、92…下壁面、100…スカベンジポンプ、101…ポンプ軸、105…ポンプ駆動アイドルギヤ、105a…噛み合い部、105b…アイドル軸部、105c…被動アイドルギヤ部、105d…駆動アイドルギヤ部、106…ポンプ受動ギヤ、X…クランク軸心、Y…(ポンプ軸101の)中心線

Claims (8)

  1. 複数の気筒(52)を直列に配列した多気筒式の内燃機関(3)であって、
    同内燃機関(3)のクランクケース(30)は、クランク軸(6)を回転自在に軸支する密閉されたクランク室(70)と、同クランク室(70)とは別に隔壁(73,73a)により同クランク室(70)から隔離された補機室(80)とを構成し、
    前記クランク室(70)内のエアを吸引して前記補機室(80)に排出するスカベンジポンプ(100)が、前記補機室(80)内に配置され、前記クランク室(70)が負圧クランク室に構成される内燃機関において、
    前記クランク軸(6)で発生した駆動力を取り出すためのプライマリドライブギヤ(6f)が、同クランク軸(6)における前記クランク室(70)の内部の位置に設けられ、
    前記スカベンジポンプ(100)を前記プライマリドライブギヤ(6f)により駆動させるポンプ駆動アイドルギヤ(105)が、前記クランク室(70)内に配置されて前記プライマリドライブギヤ(6f)に噛み合う被動アイドルギヤ部(105c)と、前記補機室(80)内に配置されて前記スカベンジポンプ(100)のポンプ受動ギヤ(106)に噛み合う駆動アイドルギヤ部(105d)と、前記被動アイドルギヤ部(105c)と駆動アイドルギヤ部(105d)とが両端に取り付けられるアイドル軸部(105b)とを備え、
    前記隔壁(73a)に貫通して設けられた軸受孔(77)に、前記アイドル軸部(105b)が、前記被動アイドルギヤ部(105c)と駆動アイドルギヤ部(105d)との間で直接支持されたことを特徴とする内燃機関。
  2. 前記隔壁(73a)は、前記軸受孔(77)の周囲が厚肉に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記軸受孔(77)の前記アイドル軸部(105b)との摺動面が、前記内燃機関(3)を循環する潤滑オイルにより満たされることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記クランク軸(6)は、前記クランクケース(30)の上側ケース(30A)と下側ケース(30B)の結合面(30a)に支持され、クラッチ装置(9)が軸端に取り付けられる変速機軸(81)が、前記結合面(30a)から上方に離反した位置に配置され、
    前記ポンプ駆動アイドルギヤ(105)は、前記プライマリドライブギヤ(6f)におけるプライマリドリブンギヤ(91)との噛み合い部(91a)の下方に位置して同プライマリドライブギヤ(6f)と噛み合うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関。
  5. 前記プライマリドライブギヤ(6f)が、前記クランク軸(6)において軸方向最外方に位置するシリンダ(52)に対応したクランクピン部(6c)よりも内側に設けられて、
    前記プライマリドライブギヤ(6f)と噛み合う前記プライマリドリブンギヤ(91)が一体化された前記クラッチ装置(9)を収容するクラッチ室(90)を有し、
    前記プライマリドライブギヤ(6f)とプライマリドリブンギヤ(91)とが噛み合う空間を通して前記クランク室(70)と前記クラッチ室(90)が連通されたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関。
  6. 前記ポンプ駆動アイドルギヤ(105)は、前記クランク室(70)側に配置される被動アイドルギヤ部(105c)が、前記補機室(80)側に配置される駆動アイドルギヤ部(105d)に比べて外径を大きく設定され、前記ポンプ駆動アイドルギヤ(105)を避ける凹部収容室(78)が前記クラッチ室(90)の下壁に形成されて、同凹部収容室(78)に対応して同クラッチ室(90)の下壁面(92)が膨出されたことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関。
  7. 前記凹部収容室(78)が、前記クラッチ室(90)の最低部に設けられたことを特徴とする請求項6に記載の内燃機関。
  8. 前記クラッチ室(90)の外壁をなすクラッチカバー部材(76)が、前記クランクケース(30)の側壁(30R)に環状に立設された立設壁(75R)に取り付けられることにより、前記クランクケース(30)の側壁(30R)と立設壁(75R)と前記クラッチカバー部材(76)との間にクラッチ室(90)が構成され、
    前記クラッチ室(90)には、前記内燃機関(3)の始動装置(61)からの動力を前記クランク軸(6)に伝達するスタータアイドルギヤ(65)が配置され、
    同スタータアイドルギヤ(65)を支持するスタータアイドル軸(64)の両端を支持する一対の支持部(79)の何れもが、前記クランクケース(30)の立設壁(75R)の底面(75Ra)に立設配置されたことを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関。
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