以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。図1は、この発明に係る画像形成装置の一例としてのレーザ複写機であって、その本体の概略構成を示すものである。なお、本発明はモノクロ画像形成装置とカラー画像形成装置のどちらにも適用可能であるが、簡略化のためにモノクロ画像形成装置としてのレーザ複写機を以下説明する。
(レーザ複写機本体)
レーザ複写機本体(以下、「複写機本体」という)は、像担持体に画像を形成する作像装置100を有する。この作像装置100の上に、原稿画像を読み取る画像読取装置200、さらにその上に背面側を支点に上下に開閉自在の自動原稿搬送装置400を配置している。また、作像装置100の下には、記録媒体を供給する媒体収納装置300などを設けている。
作像装置100には、プロセスユニットPUを備える。プロセスユニットPUには、ケース10内にドラム状の感光体12を設け、その感光体12のまわりに帯電装置、現像装置、クリーニング装置などを備える。感光体12には、プロセスユニットPUの転写窓wを通してローラ状の転写装置14が接触する。そして、作像装置100には、それら感光体12と転写装置14とが接触する位置を転写位置aとし、その転写位置aを通って下方から上方へと延びる記録媒体搬送路16を形成する。
ここで、プロセスユニットは、例えば、i)帯電手段、現像剤担持体又はクリーニング手段と像担持体とを一体ユニット化し、このユニット体を複写機本体に対して着脱可能にしたもの。ii)帯電手段、現像剤担持体、クリーニング手段の少なくとも一つと像担持体とを一体ユニット化して複写機本体に着脱可能としたもの。iii)現像剤担持体と像担持体とを一体ユニット化して複写機本体に着脱可能としたもの。のいずれであってもよい。
記録媒体搬送路16には、転写位置aの手前に一対のレジストローラ18を配置する。他方、転写位置aの先には、定着装置20、排出ローラ22を備える。排出ローラ22の先には、作像装置100と画像読取装置200との間に、画像記録済みの記録媒体を排出してスタックする媒体スタックスペース24を設けてなる。
図中符号26は、作像装置100に備えるレーザ書込み装置である。また、符号28は、プロセスユニットPUの現像装置にトナーを補給するトナーボトルである。
画像読取装置200には、コンタクトガラス30の下に、光源32、複数のミラー34、結像レンズ36、CCD等のイメージセンサ38などを備える。そして、コンタクトガラス30に沿って光源32を移動し、光源32からの光をコンタクトガラス30上の原稿面で反射し、その反射光をミラー34で反射して結像レンズ36で結像し、原稿画像をイメージセンサ38で読み取る。
この複写機を用いてコピーをとるときは、自動原稿搬送装置400に原稿をセットし、または自動原稿搬送装置400を開いて画像読取装置200のコンタクトガラス30上に直接原稿をセットする。そして、操作表示部39のスタートスイッチを押し、自動原稿搬送装置400を駆動してコンタクトガラス30上に搬送した原稿、またはあらかじめコンタクトガラス30上にセットしてある原稿の画像情報を、画像読取装置200で読み取る。
同時に、プロセスユニットPUの感光体12を反時計まわりに回転してその表面を帯電装置で一様に帯電し、次いで画像読取装置200の読取内容に応じてレーザ書込み装置26からレーザ光Lを照射することにより書込みを行って感光体12上に静電潜像を形成する。その後現像装置でトナーを付着してその静電潜像を現像し、感光体12上にトナー画像を形成する。
一方、適宜の送出ローラ40を回転し、媒体収納装置300内に多段に備える複数の媒体カセット42中の対応する媒体カセット42内から記録媒体Pを繰り出す。この記録媒体Pを記録媒体搬送路44を通して複数対の搬送ローラ46で搬送し、作像装置100の記録媒体搬送路16に入れて一対のレジストローラ18間に突き当てて止める。
そして、感光体12上の上述したトナー画像にタイミングを合わせてレジストローラ18を回転し、プロセスユニットPUのケース10で案内して転写位置aへと導き、感光体12上のトナー画像を転写装置14で該記録媒体Pへと転写する。
画像転写後の記録媒体Pは、定着装置20に入れ、定着ローラ21Aと加圧ローラ21Bとで熱と圧力とを加えて転写画像を定着する。そして、排出ローラ22で排出して画像記録済みの記録媒体Pを媒体スタックスペース24に排出してスタックする。
トナー画像転写後の感光体12の表面は、プロセスユニットPUのクリーニング装置でクリーニングして残留トナーを除去する。
(複写機の要部)
図2は、複写機の要部の概略構成を示す概略図である。これから分かるように、感光体12のまわりには、その横に設けるローラ状の帯電装置11から感光体12の矢印Aで示す回転方向に順に、下に現像装置52、横に転写装置14と用紙分離装置15、上にクリーニング装置53を備える。コピーを取るときは、公知のとおり、不図示のコンタクトガラス上に原稿をセットしてから、コピースイッチを押し、図示しない光学読取装置で原稿の画像を読み取ると同時に、感光体12と転写装置14間に記録媒体Pを送り込む。
感光体12は、所定の周速度で回転し、その回転にともない、クリーニングパッド54で清掃する帯電装置51で表面を一様に帯電し、その表面に不図示の光書込み装置からレーザ光Lを照射して書き込みを行う。そして感光体12上に、上記読み取った原稿画像の静電潜像を形成し、続いて現像装置52位置を通るときトナーを付着して同静電潜像を逐次可視像化する。この可視像化して形成したトナー画像を、上述したとおり感光体12と転写装置14間に搬送した記録媒体P上に転写装置14で転写する。
転写後、記録媒体Pは、用紙分離装置15で放電して、静電的に付着する感光体12から分離し、不図示の定着装置へ搬送してそこで転写画像を定着し、不図示の排紙部へと排出する。用紙分離装置15に代えて分離爪を設け、感光体12から機械的に分離するようにしてもよい。他方、画像転写後の感光体12は、表面に残った残留トナーを、クリーニング装置53に備えるクリーニングブレード55で掻き落として表面を清掃した後、不図示の除電ランプで除電して表面電位を初期化する。
(プロセスユニット)
上述した感光体12、帯電装置51、現像装置52及びクリーニング装置53は、図2、図3のように1つのユニットケース56内に配置されたプロセスユニットPUを構成する。このようなプロセスユニットPUにおいて、上述した現像装置52は、下部側に現像剤収容部57を設け、上部側に現像剤担持部58を設けて構成することができる。現像剤収容部57には、キャリアとトナーとよりなる乾式二成分現像剤を収容し、その現像剤を撹拌しながら搬送する押し出し部材59を設ける。
ここで、現像装置52内に設けた不図示のトナー濃度センサについて説明する。このトナー濃度センサは、トナー濃度が低下するにつれて磁性体のキャリアが密集してその透磁率が高まる現象に着目し、磁性体の透磁率から現像剤中のトナーとキャリアの混合比すなわちトナー濃度を検知する。そして、トナー濃度センサの信号に基づいて、トナー濃度が一定になるようにトナーの補給タイミングを決定するようにしている。
トナー濃度センサは現像装置52内の残留トナーの量がゼロ(トナーエンド)または少量(トナーニアエンド)になったことを検知するトナーエンドセンサとしても機能し、その検知情報を複写機の操作パネル上のトナーエンド警告灯で表示するようにしている。前記トナーエンドやトナーニアエンドは、トナー濃度センサにより検知する他、トナー消費量にほぼ比例する作像画像の画素数の積算値によって検知してもよい。
なお、「トナーエンド」はそれ以降1枚たりとも出力ができない状態を意味するものではなく、トナーエンド検知以降もある程度の枚数は正常に出力できる。したがって、トナーエンド状態となった場合でも現像装置内にはトナーが残っており、直ちにジョブを中断して粉体容器(トナーカートリッジあるいはトナーボトル)の交換を行わなければならない状態ではない。
図2の現像剤担持部58には、現像窓60を通して感光体12と対向する位置に、内部に磁石を有する現像スリーブ(現像剤担持体)61を設ける。また、感光体12への現像剤の供給量を制御する現像ドクタ(現像剤規制部材)62を設ける。
感光体12の上に配置したクリーニング装置53には、ユニットケース56のクリーニングケース部56a内に、クリーニングブレード55で掻き落した残留トナーを掻き上げる回収羽根63を備える。また、回収羽根63により掻き上げた残留トナーを図3から分かるように感光体12の軸方向に搬送するコイル状のトナー搬送部材64を備える。
そして、プロセスユニットPUに、クリーニング装置53で回収したトナーを、さらにパイプ等で形成した搬送通路を通して、スクリュー、コイル、ベルト等の搬送部材を用いたり重力を利用したりして、現像装置52の現像剤収容部57に戻すトナーリサイクル装置65を備える。このプロセスユニットPUでは、感光体12の駆動系と同期してトナーリサイクル装置65も駆動される。
そして、現像装置52では、複写時、不図示の駆動モータを駆動し、その駆動を伝達して現像スリーブ61を回転するとともに、押し出し部材59を回転して現像剤を撹拌し、トナーとキャリアを摩擦帯電しながら現像スリーブ61へ搬送する。一方、現像スリーブ61に所定バイアスを印加して現像剤中のトナーを感光体12の表面に静電的に付着し、その表面上の潜像を可視像化する。
一方、クリーニング装置53では、感光体12の回転をギヤでトナー搬送部材64に伝達することで同搬送部材64を回転駆動し、感光体12から除去した残留トナーをトナー搬送部材64で搬送する。そして残留トナーをクリーニングケース部56a内の手前側に集め、トナーリサイクル装置65で現像装置52に戻す。
複写機の現像装置52では、像担持体である感光体12は図2のようにA方向(図中反時計まわり)に回転し、現像剤担持体である現像スリーブ61はB方向(図中時計まわり)に回転する。
現像スリーブ61には、現像剤規制部材である現像ドクタ62の先端を対向させる。現像ドクタ62は、薄い金属板で基端を上向きに折り曲げて断面L形状につくり、現像スリーブ61の軸方向に沿って水平に配置して、両端を不図示の支持板で支持する。
(トナーボトル)
次に、粉体容器としてのトナーボトル28について説明する。このトナーボトル28は図4(A)(B)に示すように例えば樹脂などにより円筒形状に形成したものであって、トナーボトル28の前面壁28aの中央にトナーボトル28の軸線方向に円筒状に突出した補給口28bを有する。この補給口28bに、トナーボトル28を複写機本体から取り外した時に内部のトナーが不用意に外部に出るのを防止するため、図5の右側に示す蓋29を軸線方向に着脱自在に装着するようにしている。補給口28bの内側の縁には蓋29の装着を容易にするテーパ面28kが形成されている。
一方、トナーボトル28の底面壁28cの中央に、ボトルの直径方向に延びた突起28dを形成している。この突起28dに対して、複写機本体側に配置した駆動部のジョイント溝を係合するようにしている。そして、前述したトナー濃度センサの出力情報もしくは作像画像の画素数情報から、トナー補給が必要と判断された場合に、駆動部が駆動してその回転トルクが突起28dに伝達され、トナーボトル28を所定回転数だけ回転するようにしている。
トナーボトル28の内周面には、ボトル内のトナーをボトルの補給口28b側に順次移動させるための螺旋状の突起28eが形成されている。すなわち、螺旋状の突起28eと突起28eの間に螺旋状の溝が形成されている。そして複写機のジョブ実行中にトナー濃度センサの出力情報もしくは作像画像の画素数情報から、トナー補給が必要と判断された場合に、トナーボトル28が駆動部によって回転されることでトナーボトル28内のトナーが補給口28bから吐出するようになっている。
なお、この時のトナーボトル28の回転角度は、後述する蓋29の第1突起29dと第2突起29eの周方向等配角度の整数倍となるように駆動部が制御される。つまり、第1突起29dと第2突起29eの組を例えば3組周方向等配角度で配置した場合、トナーボトル28の回転角度は120°の整数倍となるように駆動部が制御される。また、第1突起29dと第2突起29eの組を4組周方向等配角度で配置した場合は、トナーボトル28の回転角度は90°の整数倍となるように駆動部が制御される。これにより、トナーカートリッジ内で蓋29を補給口28bに装着する際に、トナーボトル28の補給口28bにおける切欠き28hの開口部28jの位置と、蓋29の第1突起29dの位置とを周方向で合わせることができる。
蓋29は、例えば樹脂などにより図5、図6に示す形状に成形されている。すなわち、蓋29はトナーボトル28に対する装着側に底面を有するカップ状に成形され、その内側底面の中央に軸部29aが軸線方向に突設されている。この軸部29aは、トナーボトル28とは反対側の蓋29の開口側からやや飛び出す位置まで延びており、その先端は基端側よりやや大径の円形頭部29a1を形成している。蓋29の底面側角部は補給口28bにスムーズに装着できるように約45°で傾斜したテーパ面29cとされている。テーパ面29cに続く蓋29の外径は、補給口28bの内径よりわずかに大きくされ、蓋29を補給口28bに軽く圧入するようにしている。
蓋29の開口側縁部に隣接した外周面には、第1突起29dと、この第1突起29dの両側に隣接した一対の第2突起29eが形成されている。第2突起29eは補給口28bに装着された蓋29の位置が変わるのを防止する移動防止機構を構成する。このような第1突起29dと第2突起29eの組は、図5と図6では1組だけを示すが、1組だけでなく蓋の周方向に複数組で形成するのが望ましい。例えば、第1突起29dと第2突起29eの組を蓋の周方向等配位置に3組または4組で形成すると、1組だけ形成した場合に比べて蓋29の開閉ないし脱着時に蓋29に作用する力の偏りが少なくなり、よりスムーズな蓋29の開閉・脱着が可能になる。移動防止機構としての第2突起29eは一例であって、補給口28bに装着された蓋29の位置が変わるのを防止する構成であればよい。従って、例えば補給口28b側に第2突起29eのような突起を形成し、この突起を蓋29側に嵌め込むようにしても機能的に同等の移動防止機構を構成することができる。
第1突起29dと第2突起29eの両側には、蓋29の周壁を軸線方向に切り欠いた形のスリット29bが形成されている。このスリット29bは第1突起29dと第2突起29eの長さよりも十分長く延びており、これにより第1突起29dと第2突起29eが蓋の径方向に弾性的に変位可能になっている。
第1突起29dと第2突起29eの図6で左端の位置は同じであるが、第1突起29dの右端は蓋29の開口縁まで延びているが、第2突起29eの右端は第1突起29dの中央付近で終わっている。つまり、第1突起29dと第2突起29eの蓋29の軸線方向における長さを比べると、第1突起29dの方が第2突起29eの約二倍の長さである。また、第1突起29dの上面は逆V字状の複合テーパ面を構成しているのに対し、第2突起29eの上面は第1突起29dの左端のテーパ面の開始位置付近から下り傾斜となる単一テーパ面を構成している。第1突起29dと第2突起29eの図6で左端は蓋の周面に対して垂直なストッパ面29gを構成し、このストッパ面29gに第1突起29dと第2突起29eの上面のテーパ面が接続している。なお、実際に機能するのは第2突起29eの左端のストッパ面29gの方である。
次に、蓋29が装着される補給口28bの構造について説明する。図5、図6に示すように、補給口28bに隣接するようにして矩形状の切欠き28hが形成されている。図5、図6では1つの切欠き28hだけを示すが、蓋29の第1突起29dと第2突起29eの組と同数で形成する。蓋29を装着した状態では第1突起29dの一部と第2突起29eが切欠き28h内にちょうど収まるようになっている。第1突起29dと第2突起29eを複数組等配位置に形成する場合は、その複数等配状態に対応させて切欠き28hも同数で等配状態に形成する。切欠き28hの周方向中央部分は、開口部28jを通じて補給口28bに続いている。開口部28jはトナーボトル28の軸線方向に延びていて、その周方向両側を補給口28bの一対の張り出し部28iによって挟まれている。そして蓋29を図6(B)のように補給口28bに装着すると、蓋29の第1突起29dが開口部28jに入って蓋29の回転を防止するようになっている。
トナーボトル28とその蓋29は以上のように構成され、トナーボトル28にトナーを充填して蓋29を補給口28bに対して図6(A)の状態から図6(B)のように装着すると、蓋29の第2突起29eが補給口28bの切欠き28h内に嵌まる。この際、第2突起29eが補給口28bの張り出し部28iを超えることができるように第1突起29dを少し押し下げる。図6(B)の状態では第2突起29eの前方に張り出し部28iがあるので、蓋29は図6(B)の第1閉位置にロックされる。この図6(B)の蓋位置が新品トナーボトルの蓋位置であって、この状態でトナーボトル28がユーザーの元まで搬送される。蓋29は第1閉位置にロックされているで、搬送中の振動や衝撃で蓋29の位置がずれることがない。従って、後述する新品検知時(図11)の光学センサ94による誤検知のおそれがない。
図6(C)は蓋29をいったん図6(A)のように補給口28bから取り外し、その後第1突起29dを押し下げないで再度補給口28bに装着した状態である(第2閉位置)。この場合は第2突起29eのストッパ面29gが張り出し部28iに当たるので、それ以上深く補給口28bに入れることができない。但し、前述のように蓋29は補給口28bに圧入しているので、簡単に補給口28bから外れることはない。
このように、トナーボトル28の蓋29の位置が新品と旧品で異なるので、トナーボトル28を装着する複写機側のセンサで簡単に新品か旧品かを判別することができる。また、トナーボトル28の蓋29の位置は目視によっても確認できるので、複写機に装着する前のトナーボトル28の新品と旧品の識別が容易である。
以上説明したトナーボトル28は、図2のトナーカートリッジTC内に着脱自在に装着可能である。このようなトナーカートリッジTCは、例えば特開平10−232541号公報に記載のように周知であって、一般的に下ハウジングと上ハウジングからなる外装部材を有する。外装部材はトナーカートリッジTC全体を被うもので、下ハウジングの凹状の部位にトナーボトル28を収納し、この凹状の部位に被せるようにして上ハウジングを組み合わせることによりトナーボトル28を保持する。
このようなトナーカートリッジTCは、トナーボトル28を内部に収容した状態でトナーカートリッジTCごと複写機のプロセスユニットPUに着脱自在であるため、トナーボトル28を直接交換するのに比べてトナー漏れを心配することなく迅速容易にトナーを補給できる。また、トナーボトル28が外装部材で被われるので、トナーカートリッジTC単品としての見栄えもよくなる。また、上ハウジングは下ハウジングとともにトナーボトル28の脱落を防止し、かつ、複写機内の熱源、主として定着装置20からの熱によるトナーボトル28の温度上昇を防止する。
前記下ハウジングはトナー補給手段を有し、このトナー補給手段はトナーカートリッジが複写機本体に装着された状態で駆動力が与えられると、トナーボトル28の回転に従い、トナーボトル28内のトナーを現像装置52に向けて搬送補給する機能を有する。
トナーカートリッジは図7に示すようにボトル保持部材80を有し、このボトル保持部材80の外側にさらにカバー82が配置されている。そしてトナーボトル28の前端側がボトル保持部材80によって保持され、また外装部材の不図示の上ハウジングの前端側がカバー82の内側に保持されるようになっている。トナーボトル28の外周面複数箇所には図4(A)と図7に示すように突起28mが形成され、この突起28mがボトル保持部材80の内周面に当接することによりトナーボトル28の径方向の位置が定まるようになっている。ボトル保持部材80は第1リブ80aと第2リブ80bを有し、第1リブ80aにトナーボトル28の前面壁28aを当接させることでトナーボトル28の前後方向の位置決めを行う。
ボトル保持部材80の第2リブ80bは、トナーボトル28の補給口28bの外周を覆うように円環状に形成されている。そしてトナーボトル28を図7のようにトナーカートリッジのボトル保持部材80に装着すると、蓋29の第1突起29dが第2リブ80bによって半径方向内側に押されるようになっている。また、第2リブ80bの内周面の一箇所または複数箇所に形成された不図示の平面部が、補給口の外周面の一部に同様に形成された平面部と当接し、これによりトナーボトル28の回転力が前記平面部を通じてボトル保持部材80に伝達されるようになっている。従って、トナーボトル28が回転する時はこれと一体的にボトル保持部材80も回転する。なお、カバー82はボトル保持部材80が回転する時の周方向ガイドとしても機能する。
第2リブ80bの外周面には、この第2リブ80bを延長する方向に円筒部80cが同軸的に連結されている。この円筒部80cにはトナーが内側から外側に通過できるように不図示の複数の穴が形成され、またその先端側内周面に図8のように雌ネジ部80dが形成されている。この雌ネジ部80dは後述する蓋位置検知部材91をトナー補給作動と連動して移動させるためのもので、螺旋状の突条を円筒部80cの内周面で2〜5回程度周回するように形成してなる。円筒部80cの外周面にはマイラーやゴム等の弾性材料からなる複数の押し出し部材59が円周方向等配状態で配置されている。そして、トナーボトル28を回転させてトナー補給作動をする時に、押し出し部材59の先端がカバー82の一部で構成されたホッパー部84の内面を擦りながら周回して、トナーボトル28の補給口28bから補給されたトナーを掻き上げるようにしている。
(蓋開閉装置)
カバー82の中心部には、図8に示すようにトナーボトル28の蓋29を開閉するための軸部材76を含む蓋開閉装置が配置されている。この軸部材76はトナーボトル28の軸線の延長線上に位置し、図8で左右方向に移動可能とされている。軸部材76の右端部には直径方向の貫通孔が形成され、この貫通孔にスライド軸86が嵌挿されている。このスライド軸86の両端は、トナーカートリッジの端部に配置された不図示の蓋開閉ハンドルのカム部に当接している。そして、蓋開閉ハンドルを所定の開蓋方向に操作することにより軸部材76が図8で矢印J方向に移動して蓋29を開き、また蓋開閉ハンドルを逆方向に操作することによって軸部材76が反対方向に移動して蓋29を閉じるようにしている。
軸部材76の先端にはコレットチャック70が取り付けられている。このコレットチャック70はその先端側が弾性的に拡縮可能な複数本のアーム部70aで構成され、これらアーム部70aの拡縮によって蓋29の軸部29aの頭部29a1を把持したり開放したりできるようになっている。コレットチャック70の各アーム部70aの内面には内リブ70bが形成され、アーム部70aで蓋29の軸部29aの先端にある頭部29a1を把持した状態で内リブ70bが頭部29a1に当接するようになっている。
コレットチャック70はその先端側以外の大部分が円筒ケース72に収容され、蓋開閉ハンドルの操作によってコレットチャック70が円筒ケース72に対して軸線方向に相対移動するようになっている。そして、蓋開閉ハンドルの開蓋方向の操作でコレットチャック70が円筒ケース72内に軸線方向に相対的に引き込まれることによって、アーム部70aの外側面が円筒ケース72の突起72aに押圧されてアーム部70aが弾性的に収縮するようになっている。円筒ケース72はその軸線方向すなわち図8の左右方向に移動可能であって、シール75を介してカバー82に支持されている。円筒ケース72とカバー82との間にはバネ73が配設され、このバネ73によって円筒ケース72がトナーボトル28側に付勢されている。
円筒ケース72の外周面には、筒状の蓋位置検知部材91が円筒ケース72に対して軸線方向に相対移動可能に取り付けられている。この蓋位置検知部材91は円筒ケース72との間に配置されたバネ92によってトナーボトル28側に付勢されている。また蓋位置検知部材91は半径方向外側に立ち上がった立上部91aを有し、この立上部91aの左右方向移動位置すなわち軸線方向位置がカバー82の外側に固定配置された光学センサ(蓋位置検知機構)94によって検知されるようになっている。カバー82には立上部91aが通過可能なスリット82bが形成され、蓋位置検知部材91が図8の位置から右方向に移動可能になっている。なお、立上部91aとスリット82bは蓋位置検知部材91の回り止めの機能も兼ねている。
蓋位置検知部材91の外周面には当該外周面をほぼ一周する螺旋状の突条91bが形成されている。この突条91bは、ボトル保持部材80と一体に回転する雌ネジ部80dのネジ溝に対して進入可能であって、ボトル保持部材80と雌ネジ部80dが回転することによって軸線方向に移動してネジ溝を通り抜けるように構成されている。そして、トナー補給作動によりボトル保持部材80が回転して突条91bが雌ネジ部80dのネジ溝に対して図8で左側から右側に進入すると、ボトル保持部材80が回転するにつれて蓋位置検知部材91が蓋29から次第に離れる方向に移動するようになっている。蓋位置検知部材91には、その突条91bが形成された先端側から軸線方向所定長さにわたってスリット91cが形成されている。このスリット91cは前記蓋29の第1突起29dと第2突起29eの組と同数で形成され、周方向に隣り合う2つのスリット91cの周方向間隔のちょうど中央に蓋29の第1突起29dが位置する位置関係になっている。そしてこのスリット91cによって、蓋位置検知部材91の突条91bが半径方向に弾性的に変位可能とされている。
(新旧トナーボトルの装着)
次に、図9A、図9Bによって、トナーボトル28をトナーカートリッジに装着する際の蓋29の第1突起29dと第2突起29eの作動を、ボトル保持部材80の第2リブ80bおよびトナーボトル28の補給口28bの張り出し部28iとの関係で説明する。なお、蓋29と、コレットチャック70および位置検知部材91との関係については後述する。
図9A(a)〜(c)は新品のトナーボトル28をトナーカートリッジに装着する際の蓋29の作動を示すもので、図9A(a)は新品トナーボトル28をトナーカートリッジに装着する直前の状態を示している。この状態ではトナーボトル28が未使用で蓋29を一度も開蓋していないので、図6(B)のように蓋29がトナーボトル28の補給口28bに深い位置(第1閉位置)に嵌って補給口28bを閉塞している。この時、第2突起29eは補給口28bの切欠き29h内にあってその前端が補給口28bの張り出し部28iに当接しているので、蓋29の開蓋動作がロックされている。
図9(B)は新品トナーボトル28をトナーカートリッジに装着した状態を示す。この状態では蓋29の第1突起29dがトナーカートリッジ側のボトル保持部材80の第2リブ80bに押圧され、第1突起29dとこれに隣接する第2突起29eが補給口28bの内側に弾性変位する。これにより第2突起29eのテーパ面の前端側が補給口28bの張り出し部28iよりも低い位置に移動する。従って、この図9A(b)の状態では第2突起29eのテーパ面が張り出し部28iを乗り越え可能であり、蓋29を右方向すなわち開蓋方向に移動させることが可能になる。
図9A(c)は図9A(b)の状態から蓋29を少し引き出した状態を示している。蓋29の引き出しは前述したコレットチャック70により行う。蓋29を図9A(b)で右方向に引き出すと、第2突起29eのテーパ面が補給口28bの張り出し部28iに押圧されて第2突起29eが図9A(c)のように補給口28bの内側に弾性的に移動しつつ前進する。一方、第1突起29dのテーパ面の頂部が蓋位置検知部材91の内側に入り込んで蓋位置検知部材91の内面に当接し、この内面を蓋29の弾性復元力によって外側に押圧する。これにより蓋位置検知部材91の突条91bが半径方向外側に弾性移動する。これにより突条91bが後述するように雌ネジ部80dのネジ溝に進入可能となる。
また、第2突起29eのテーパ面が張り出し部28iを乗り越えてそのストッパ面29gの上端が張り出し部28iのテーパ面28kに対向する。この状態から蓋29をさらに引き出すと、蓋29と蓋位置検知部材91が一体的に引き出し方向に移動するが、蓋29をそのまま元の方向に移動させると、ストッパ面29gの上端が張り出し部28iのテーパ面28kを乗り越えるので、蓋29は図9A(b)の元の位置まで戻る。
次に、図9B(a)〜(c)により旧品トナーボトル28をトナーカートリッジに装着する際の蓋29の作動を説明する。ここで「旧品」とは、蓋29を一度でも開蓋してトナーの補給作動を行ったことがあるトナーボトル28のことをいう。通常は新品トナーボトル28を装着すると最後まで使い切るのが普通であるが、従来のトナーエンド検知方法ではトナーボトル28がまだ十分使用可能であるにも拘わらずトナーエンドまたはトナーニアエンドが検知される場合がある。このような場合にトナーボトル28をいったん取り出して他のトナーボトルをトナーカートリッジに装着した後、再び使いかけの前のトナーボトル28を再装着して使用する場合がある。旧品トナーボトル28とはこのようなものを指す。
図9B(a)は旧品トナーボトル28をトナーカートリッジに装着する直前の状態を示している。この状態では蓋29の第2突起29eのストッパ面29gが補給口28bの張り出し部28iに当接しており、蓋29は図6(C)のように新品のものよりも浅い位置(第2閉位置)で補給口28bに嵌って補給口28bを閉塞している。この時、蓋29は補給口28bにロックされていないので、第1突起29dを押圧しないでも蓋29に軸線方向の力を作用させることで蓋29を開蓋させることができる。
図9B(b)は、旧品トナーボトル28をトナーカートリッジに装着中の状態を示している。この時、蓋29の第1突起29dはボトル保持部材80の第2リブ80bによって押圧され、第1突起29dと第2突起29eは弾性的に下方に移動している。トナーボトル28を図9B(b)で右方向にさらに押し込むと、図9B(c)のように蓋29の先端29fと第1突起29dで円筒ケース72と蓋位置検知部材91を押しながら第1突起29dがボトル保持部材80の第2リブ80bを乗り越える。そして第1突起29dが第2リブ80bを乗り越えた途端、第1突起29dと第2突起29eが蓋29の弾性復元力で元の高さ位置に復帰する。図9B(c)の蓋29の位置は第2突起29eのストッパ面29gが補給口28bの張り出し部28iに当接した第2閉位置であり、蓋29は前方には移動可能であるが後方すなわち第2閉位置から第1閉位置に移動することはできない。
(トナーボトルの蓋の開閉作動)
次に、前述した蓋29の第1突起29dと第2突起29eの作動説明に加えて、図8、図10〜図13に基づいて、トナーボトル28の蓋29の開閉作動をコレットチャック70および蓋位置検知部材91との関係を含めて説明する。図8は新品トナーボトル28をトナーカートリッジに装着した直後の状態を示し、トナーボトル28の蓋29は補給口28bの深い位置(第1閉位置)に嵌って補給口28bを閉塞している。また、蓋位置検知部材91はバネ92によってボトル保持部材80の第2リブ80bの先端に当接し、円筒ケース72の先端面72bはバネ73によってトナーボトル28の補給口28bの先端と蓋29の先端29fに当接している。
この状態から前述した蓋開閉ハンドルを開蓋方向に操作して軸部材76を図10のように矢印J方向に移動させると、コレットチャック70に軸部29aの頭部29a1を掴まれた蓋29が蓋位置検知部材91と一体的に図11のように移動して開蓋する。これによりトナーボトル28内のトナーが補給口28bからカバー82の内側のホッパー部84に対して供給可能になる。この時、蓋位置検知部材91の立上部91aが光学センサ94の検知範囲に到達し、光学センサ94によって検知された立上部91aの位置によって新品トナーボトル28が装着されたことが複写機の制御装置に認識される。そしてこの新品検知情報が複写機の制御装置内の不揮発性メモリなどの所定の記憶装置に記憶され、この情報に基づいて後述する新品検知時の複写機の所定の制御が実行される。
また、図11の開蓋状態からトナー補給作動をまったく行わないまま直ちに蓋開閉ハンドルを元の方向に戻すと、軸部材76が図11の位置から左動し、コレットチャック70に掴まれた蓋29が蓋位置検知部材91を保持したまま図10の状態に復帰する。そして蓋開閉ハンドルを最初の位置(蓋閉位置)まで戻すと、蓋29がコレットチャック70の弾性的な内リブ70bに押されて最初の図8の位置まで戻る。この時、蓋29の第1突起29dは蓋29が図8の位置に戻る直前まで図9A(c)のように蓋位置検知部材91を保持している関係で第2突起29eのストッパ面29gが低くなっており、これにより第2突起29eがテーパ面28kと張り出し部28iを乗り越えることができる。
一方、蓋29を図11のように開蓋すると、蓋位置検知部材91の突条91bは半径方向外側に弾性変形した状態でボトル保持部材80の雌ネジ部80dのネジ溝の入口に到達する。この状態からトナー補給作動の開始によりトナーボトル28とボトル保持部材80が一体的に回転すると、突条91bが雌ネジ部80dのネジ溝に進入する。そしてトナーボトル28とボトル保持部材80が所定回転数以上回転すると、図12のように突起72aが雌ネジ部80dを通過して反対側に押し出される。同時に、今まで蓋29の第1突起29dのテーパ面頂部を押圧していた蓋位置検知部材91の内周面が当該テーパ面頂部から外れる。これにより、蓋29の第1突起29dと第2突起29eが蓋29の弾性力により図5に示す自然状態に復帰し、蓋位置検知部材91の突条91bも元の高さ位置に戻る。また、第1突起29dのテーパ面に対して蓋位置検知部材91の先端がバネ92の力で当接した状態になる。
図12の状態から蓋開閉ハンドルを元の方向に戻すと図13のようになる。この図13からわかるように、蓋29は図8の最初の位置までは戻らず、補給口28bに対してやや浅く装着される第2閉位置までしか戻らない。すなわち、本発明のトナーボトル28では蓋29をいったん開蓋して補給作動を行った場合、蓋29を図13の浅い第2閉位置にしか戻すことができず、再び図8の最初の第1閉位置までは戻すことはできなくなる。これは、図12の状態では蓋29の第1突起29dが蓋位置検知部材91から外れて内側方向に押圧されなくなっているためで、蓋29が元の第1閉位置まで戻る前に第2突起29eの後面のストッパ面29gが図9B(c)のように補給口28bの張り出し部28iに当接するからである。このように、蓋29を第2閉位置から第1閉位置に戻すことができないので、旧品トナーボトル28を新品トナーボトル28として誤検知するおそれがない。
このように、蓋開閉ハンドルを最初の位置(蓋閉位置)まで戻し、蓋29の軸部29aの頭部29a1をコレットチャック70の内リブ70bで押しても、蓋29は図13の位置までしか戻らない。また、この時、蓋位置検知部材91は蓋29の第1突起29dの先端に当接してボトル保持部材80の第2リブ80bからは離間した位置にある。
要するに、移動防止機構としての第2突起29eは、蓋29が第1閉位置から第2閉位置に移動するのを防止する第1機能と、第2閉位置から第1閉位置に移動するのを防止する第2機能を有する。第1機能はトナーボトルを複写機に装着していない状態で有効であるが、トナーボトル28を複写機に装着する装着動作と連動して第1機能無効化手段を構成する第1突起29dと第2リブ80bの協働作用により無効になる。第2機能はトナーボトルを一度でも複写機に装着して補給作動した後に第2機能有効化手段により有効となる。この第2機能有効化手段は、トナーボトル28を回転する駆動部、ボトル保持部材80の雌ネジ部80d、蓋位置検知部材91の突条91bなどで構成される。
一方、図13の位置まで戻った蓋29を蓋開閉ハンドルにより再度開蓋作動すると、蓋位置検知部材91が図12のように移動する。この際、蓋位置検知部材91は蓋29の第1突起29dから外れてその突条91bが元のように低位置に戻っているので、ボトル保持部材80の雌ネジ部80dと干渉しない。また、図13の状態からトナーボトル28をいったんトナーカートリッジから取り出し、再度トナーカートリッジに装着して蓋開閉ハンドルにより蓋29を開蓋作動した場合も、蓋位置検知部材91の突条91bが以上と同様に図12のように移動する。そして図12の状態で蓋位置検知部材91の立上部91aの位置が光学センサ94によって検知されることで旧品トナーボトルが装着されたことが複写機の制御装置に認識される。この旧品検知情報は複写機の制御装置内の不揮発性メモリなどの所定の記憶装置に記憶され、この情報に基づいて後述する旧品検知時の複写機の所定の制御が実行される。
本発明の実施形態は、前述のように、蓋29をいったん開蓋して補給作動を行った場合、蓋29を図13の浅い第2閉位置までしか戻すことができなくなる。このため、新品トナーボトル28を装着後に短時間の補給作動(新品検知情報に基づく補給作動)を行い、その直後に間違って蓋開閉ハンドルを最初の位置(閉蓋位置)まで戻してから再度開蓋作動すると、実質的に新品トナーボトル28であるのに旧品検知時の制御しか実行できない。これでは大量のトナーがボトル内に残ってしまい無駄である。そこで、新品トナーボトル28の装着後の新品検知情報を、複写機の制御装置内の記憶装置に、新品トナーボトル28装着後のボトル回転数が所定値に達するまで、又は新品トナーボトル28装着後の複写機の所定稼動時間が経過するまで暫定記憶する。そしてこの間は、光学センサ94の検知結果に拘わらず、記憶した新品検知情報に基づいて新品検知時制御を行うことにした。これにより、蓋開閉ハンドルの誤操作による旧品検知時制御を防止することができる。
(新旧トナーボトルの検知による複写機の制御)
本発明の実施形態は、前述のように、トナーボトル28の蓋29の位置によって、トナーカートリッジTCに対して新品トナーボトルが装着されたか、あるいは旧品トナーボトル28が装着されたかを、その装着時期とともにボトル毎に判断することができる。そこで、以下に説明するように、新旧トナーボトル28の装着とその時期を検知することで、トナーカートリッジの最大補給回数の設定と、トナー消費量の正常・異常の判定も行うようにした。これら設定と判定は、画像形成装置としての多くの複写機に本来備わっている制御系を一部変更することで実施可能である。
(トナーカートリッジの最大補給回数設定)
本発明の画像形成装置としての複写機は、新旧各トナーボトル28の装着タイミングを光学センサ94の信号で検知し、この検知情報に基づいて、トナーカートリッジの最大補給回数の設定を行う。前述したように、トナーの補給は現像装置52内に設けたトナー濃度センサの信号に基づいて行うのであるが、トナー濃度センサは周囲温度の影響やトナーの流動性の変化によるトナー補給量の変動の影響を受けやすい。このため、現像装置52のトナー残量を正確に検知することは困難である。
一方、粉体容器(トナーカートリッジあるいはトナーボトル)の交換によりトナーを補充する場合、ユーザーの待ち時間が長くなってしまう。すなわち、トナーエンドを迎えてから粉体容器(トナーカートリッジあるいはトナーボトル)を交換し、再び複写が可能となるまでのトナーエンドリカバリーモードの時間が長くかかるので待ち時間が長くなる。また、ジョブ中にトナーエンドを迎えた場合、残り数枚が僅かであったとしてもトナーエンドリカバリが終わるまで待たねばならず、ユーザーにとっては大きな不満になりうる。そこで、トナーカートリッジの最大補給回数を予め設定しておき、補給回数が設定値に達すると、トナー濃度センサの測定値に拘わらず、ネットワークなどを経由してサービス管理会社やサービス担当者にそのことを通知する。これにより、トナーカートリッジを早期に補充することが可能になり、ユーザーの待ち時間を短縮することができる。
図14はトナーカートリッジの補給回数の設定制御を示すフローチャートであって、ステップS1でジョブが実行され、続くステップS2で前回の制御終了時からトナーボトルが交換されたか否かが判断される。トナーボトルが交換されていない場合はステップS3でジョブが終了したかどうかが判断され、ジョブが終了していない場合はステップS1に戻ってジョブが継続され、ジョブが終了している場合はそのまま制御終了となる。
ステップS2でトナーボトルが交換されたと判断された場合、ステップS4でトナーエンドか否かが判断される。トナーエンドでない場合はステップS1に戻ってジョブが継続され、トナーエンドの場合はステップS5でトナーボトルの蓋の位置から当該トナーボトルが新品か否かが判断される。すなわち、光学センサ94によってトナーボトル28の蓋29の位置が検知され、蓋29の位置によってトナーボトルが新品か旧品かが判断される。
トナーボトルが新品である場合、ステップS6で新品時のトナーエンドリカバリ動作での最大補給回数Nが例えばN=50回と設定され、トナーエンドの検知信号が消えるまでトナーが補給される。この時の補給回数のカウントの仕方は、トナーボトル28を一定の回転数(例えば5回転)だけ回転させてトナーを補給した時に補給回数を「1回」とカウントする。数回トナー補給してもトナーエンドの検知信号が消えない場合は、トナーエンドの検知信号が消えるまでさらに補給を継続する。最大補給回数Nの設定時からの補給回数の合計が50回に達した時点で、その時点でのトナーエンドの検知信号の有無に拘わらず、補給動作が終了となる。
この時、複写機の操作パネルの表示部に「トナーボトルを交換してください」のように表示することで、ユーザーによるトナーボトルまたはトナーカートリッジの交換を速やかに行うことが出来る。なお、50回の補給動作終了直後に検知信号が消えない場合があったとしても、その場合でも現像装置52内にはある程度のトナーが残っている。このため、そのような場合でもユーザーは直ちにジョブを中断してトナーボトルまたはトナーカートリッジを交換する必要はなく、ある程度の枚数まではジョブを継続することが可能である。
ステップS5でトナーボトルが旧品であると判断されると、ステップS7で旧品時のトナーエンドリカバリ動作での最大補給回数nが例えばn=3回と設定される。そして前記同様にトナーエンドの検知信号が消えるまで補給作動が行われる。最大補給回数nの設定時からの補給回数の合計が3回に達した時点で、その時点でのトナーエンドの検知信号の有無に拘わらず、補給動作が終了となる。この時も、複写機の操作パネルの表示部に「トナーボトルを交換してください」のように表示することで、ユーザーによるトナーボトルまたはトナーカートリッジの交換を速やかに行うことが出来る。旧品の場合、最大補給回数をトナーエンドの検知信号が消える最低限の補給回数に設定しておくことで、ユーザーの待ち時間を短縮できるとともに、必要にして十分なトナー補給も確保できる。
複写機から取り出したトナーボトルまたはトナーカートリッジが、実はまだ十分に使用可能であることが分かった場合、新品を装着する代わりに、取り出したトナーボトルまたはトナーカートリッジをそのまま再装着して使用を継続したい場合がある。この場合、取り出したトナーボトルまたはトナーカートリッジの重量に基づいて、前記最大補給回数nを複写機の操作パネルからの手入力により3回<N≦50回の任意の値に修正可能にしてもよい。
なお、ユーザーが誤って空のトナーボトルをトナーカートリッジに装着した場合、当該トナーカートリッジの蓋の位置は旧品位置であるため、前述と同様に補給回数が最大でn=3回に設定される。このため、ステップS5の設定後に形だけのトナーエンドリカバリ動作が行われるが、ユーザーが空のトナーボトルの装着に気付かないまま、新品時と同じようにトナーエンドリカバリ動作を50回繰り返す事態が回避される。そして最大補給回数Nの設定時からの補給回数の合計が3回に達した時点で補給動作が終了となり、ユーザーは複写機の操作パネルの表示部に従いボトル交換作業をすることで空のトナーボトルから新品のトナーボトルに早期に交換することができる。
以上のように、ステップS5でトナーボトルが旧品であると判断されると、ステップS7で旧品時のトナーエンドリカバリ動作での最大補給回数nがn=3回と設定されるが、同時にトナーリサイクル装置65の駆動系を停止させる制御を追加してもよい。リサイクルトナーは、一度作像工程を通過することによりSiなどの外添剤がトナーから遊離するかまたは埋め込まれてしまい、その結果、トナーの流動性が低下し、あるいは摩擦帯電能力も低下してしまう。このためにトナーが帯電不足となり、多量にリサイクルトナーが現像装置52に戻されると定着した画像の濃度低下や地汚れが発生しやすい。
前述した旧品時のトナーエンドリカバリ動作では最大補給回数が少ないので、現像装置52内のリサイクルトナーの割合が増加しやすい。そこで、ステップS5でトナーボトルが旧品であると判断されると同時にトナーリサイクル装置65の駆動系を停止させる。これにより現像装置52に供給されるトナーは旧品トナーボトル28からの新しいトナーのみとなり、帯電量の低いリサイクルトナーが補給されないために地汚れなどの異常を防止できる。
なお、前述した最大補給回数Nとnの設定は、新旧トナーボトルの蓋の位置(第1閉位置と第2閉位置)を検知することを利用した制御の一例である。新旧トナーボトルの蓋の位置によって、トナーの補給方法を最大補給回数以外で変更する別の制御手段を設けてもよいことは勿論である。
(トナー消費量異常の判定)
本発明の画像形成装置としての複写機は、新旧各トナーボトル28の装着タイミングを光学センサ94の信号で検知し、この検知情報に基づいて複写機のトナー消費量が正常か異常かを自動的に判定する判定手段を有する。
図15は複写機の制御部500を略図的に示したもので、この制御部500はログデータ記憶部510、トナー消費量検出部520、新品検知検出部530を有する。そして制御部500において図16に示すフローチャートが実行されるようになっている。なお、旧品のトナーボトル28は正確なトナー残量が分からない場合が多いので、旧品のトナーボトル28の装着タイミングを使用した異常判定は省略した。
トナー濃度センサによってトナーエンドが検知された場合、まず制御部500内にある新品検知検出部530の前回の新品検知のタイミング情報、すなわち新品トナーボトルの装着時期の情報をトナー消費量検出部520で読み込む。
次に、制御部500内のトナー消費量検出部520は、ログデータ記憶部510より、前回の新品検知時以降の複写機の稼働状況に基づいて用紙サイズごとの画素カウンタAを読み込む(図16のステップS1)。
次に、トナー消費量検出部520は、ログデータ記憶部510より、前回の新品検知時以降の複写機稼働状況に基づいて用紙サイズごとの枚数カウンタBを読み込む(図16のステップS2)。
次に、制御部500内での演算に使用するトナー消費量を算出する。1画素当たりに感光体上に現像されるトナー重量C(g)を予めトナー消費量検出部520に記憶しておくことにより、用紙サイズごとのトナー消費量m(g)は、m=A×B×Cとなる。これを用紙サイズのすべてについて計算してその総和をとることによって、前回の新品検知時以降の複写機のトナー消費量mを算出することが可能となる(図16のステップS3)。
理想的には、前回の新品検知時以降のトナー消費量m(g)と、トナーボトル重量M(g)の関係は、m/M=1とならなければならないが、実際は誤差があるのでm/M=1とはならない。そこで、予め誤差を見込んだm/Mの閾値を設定し、この閾値未満の場合にトナー消費量が異常であると判断することにした。本実施例では、この閾値を0.9とし、m/M<0.9の場合に異常であると判断することにした(図16のステップS4)。異常の原因としては、例えばトナーボトルの装着不良などでトナー補給が正常に行われていないことが考えられる。
本実施例では、異常と判断するタイミングはトナーボトル1本ごとであるが、トナーボトル数本分ごとの計算結果で判断するようにしてもよい。また、前述のように閾値未満ではなく閾値以上、例えば1.1≦m/Mの場合に別の異常があると判断してもよい。このような異常の原因としては例えば制御系のトラブルが考えられる。
異常と判断された場合には、例えば、当該複写機の制御部500内に格納してある顧客情報部の情報に基づいて、当該複写機を担当しているサービス管理会社やサービス担当者にネットワークを経由して自動メール等で通知することができる。この通知により、当該管理会社や担当者は複写機の顧客に連絡を取って早期に異常の状況を確認したり、顧客の当該複写機設置場所に先に出向いて異常個所を早期に発見し問題を解決したりすることが可能となる。また、異常と判断された場合には、複写機の操作パネルの表示部に「トナーボトルが正常に装着されているか確認してください」などの表示を出したり、複写機本体を停止したりすることができる。複写機本体を停止した場合は、異常のさらなる進行を阻止するとともに、異常状況の保存と確認が可能になる(図16のステップS5)。
以上はトナー消費量の算出を画素データにより行う場合であるが、トナーボトル28を回転させてトナー補給する方式においては、トナーボトル28の回転数からトナー消費量を算出することも可能である。この場合は、ボトル1回転当たりのトナー排出量Qを予め制御部500に記憶させておき、この1回転当たりのトナー排出量Qと、前回の新品検知時から現在までのボトル回転数Nの積Q・Nによりトナー消費量を算出する。このトナー消費量算出方法でも前述した画素データに基づく異常検知と同様の異常検知が可能である。
(第2実施形態)
次に、本発明の他の実施形態(以下、第2実施形態という)を図17〜図31に基づいて説明する。前述の実施形態(以下、第1実施形態という)は、トナー補給の前後でトナーボトル28の蓋29を図6(B)の第1閉位置から図6(C)の第2閉位置に軸方向に移動するようにした。これに対して以下の第2実施形態は、トナーボトル128を交換した後の画像形成装置としてのレーザ複写機の累積トナー消費量の増大(トナーボトルの残量減少)に対応させて、トナーボトル128に対する蓋129(229)の相対回転位置を段階的に変えるようにした。こうすることで蓋129(229)の回転位置からトナー残量を知ることができる。蓋129(229)の形式は、例えば、図17〜図19に示す第1形式(蓋129)と、図21Bに示す第2形式(蓋229)が可能である。第2実施形態は蓋129(229)の回転位置を多段階に選択できるので、より正確なトナー残量を知ることができ、図31のようにネットワークを活用した粉体容器などの消耗品の調達システムで利用することができる。
蓋129(229)の回転位置を段階的に変えるために、第2実施形態で使用するトナーボトル128は、トナーボトル128の補給口128bと蓋129(229)の形状を第1実施形態のものから変更している。トナーボトル128本体の基本的形状は第1実施形態の図4(A)(B)のトナーボトル28と同様である。すなわち、トナーボトル128の内周面には、ボトル内のトナーをボトルの補給口128b側に順次移動させるための不図示の螺旋状の突起が形成され、トナーボトル128が回転されることでボトル内のトナーが補給口128bから吐出するようになっている。但し、第2実施形態ではトナーボトル128に対する蓋129(229)の回転方向位置によってトナーボトル128内のトナー残量が一目で分かるように、図20のように補給口128bの外周面に残量表示部186又は187を設けている。残量表示部186、187の表示形式は図示例では2種類であるが、他の任意の表示形式を採用してよい。
第2実施形態で使用するトナーボトル128は、図17〜図19に示すように、トナーボトル128の一端に形成された円筒状の補給口128bの内周面に、補給口128bの出口に隣接するように、内歯歯車状の内周凹凸形状Nが形成されている。一方、補給口128bに装着する蓋129(229)の形状は、第1形式に係る蓋129では、円盤状の第1段部分129bと、この第1段部分129bから所定の隙間cを明けて離間したリング状の第2段部分129cの二段構成にしている。そして第1段部分129bの外周に、内周凹凸形状Nに軸線方向から嵌合する第1外周凹凸形状G1が形成され、第2段部分129cの外周に、内周凹凸形状Nに軸線方向から嵌合する第2外周凹凸形状G2が形成されている。第1段部分129bと第2段部分129cは、周方向90°間隔で周縁部に配置した4本の連結部129dによって互いに連結されている。連結部129dの数は4本である必要はなく、例えば3本又は5本としてもよい。そして、蓋129を図19(B)のように開いた状態で第1段部分129bと第2段部分129cの間の隙間cからトナーが排出されるようになっている。すなわち、隙間cがトナーの実質的な排出口として機能する。
蓋129の第2外周凹凸形状G2はラチェット歯車のように凹凸の歯を傾斜させたものであって、この第2外周凹凸形状G2を図19(B)のように補給口128bの内周凹凸形状Nに嵌合した状態で、トナーボトル128を固定して蓋129を矢印A方向に回転することは可能であるが、反対の矢印B方向には回転できない。つまり、第2外周凹凸形状G2でワンウェイ係合構造が構成されている。このワンウェイ係合構造は、トナーボトル128側から見ると、蓋129を固定した状態でトナーボトル128を図19の矢印B方向に回転させることはできるが、矢印A方向には回転させることができない。この関係を図20を参照して説明すると、図20の(B1)又は(B2)で蓋129を固定してトナーボトル128を時計方向に回転させると、蓋129の文字表示185の矢印が示す残量表示部186、187のトナー残量が少なくなる。トナーボトル128を固定して蓋129を反時計方向に回転させる場合も、蓋129の文字表示185の矢印が示す残量表示部186、187のトナー残量が少なくなる。
これに対して蓋129の第1外周凹凸形状G1は、補給口128bの内周凹凸形状Nと相補的であって、図19(C)のように蓋129を閉じると第1外周凹凸形状G1が内周凹凸形状Nに嵌合し、蓋129はいずれの回転方向にも回転不能となる(移動防止機構)。これにより、蓋129が勝手に回転することによる誤作動を防止することができる。蓋129の第1段部分129bの外周には、図18に示すように、半径方向に突出した突起部129eが形成されている。この突起部129eは、後述するように蓋位置センサ(蓋位置検知機構)188によって蓋129の回転位置を検知するためのものである。
蓋129の第1段部分129bの前面中央には、トナーボトル28に対する蓋129の着脱の際に、本体側のコレットチャック170を係合させるための軸部129aが形成されている。そして、この軸部129aの先端頭部の外周面に外周凹凸形状129a1が形成されている。この外周凹凸形状129a1は、ラチェット歯車のように凹凸の歯を傾斜させたものである。コレットチャック170側には、図21Aのように、軸部129aの外周凹凸形状129a1に嵌合する内周凹凸形状170bが拡縮可能な4分割の各アーム部170aの内面に形成されている。そして軸部129aの外周凹凸形状129a1にコレットチャック170の内周凹凸形状170bを嵌合させた状態で、コレットチャック170を固定して蓋129を図17で矢印A方向に回転させることはできるが、矢印B方向に回転させることはできないワンウェイ係合構造が構成されている。
蓋129の第1段部分129bの前面には、図20のように、軸部129aの周囲に矢印付きの「トナー残量」の文字表示185が付されている。また、補給口128bの外周面には、図20(B1)のように「Full」、「50%」、「END」の各文字を帯状目盛の両端と中央に配した表示186が付されている。
トナーボトル128は、第1実施形態と同様に、図21Aに示すようにトナーカートリッジTCに装着された状態でレーザ複写機の本体装置600に装着される。図21Aは、蓋129の軸部129aの先端頭部である外周凹凸形状129a1をコレットチャック170で掴んで蓋129を引き出し、蓋129の第1段部分129bと第2段部分129cの間の隙間cをホッパー部184に連通させた状態を示している。この状態で補給モータ197によってトナーボトル128を回転することで、ボトル内のトナーを隙間cから排出し、本体装置600にトナーを補給できるようになっている。
第2実施形態のトナーカートリッジTCが第1実施形態のトナーカートリッジTCと異なるのは、1)蓋位置検知部材91と光学センサ94が、蓋129の突起部129eと蓋位置センサ188に代替されていること、2)ボトル検知センサ189又は190が設けられていること、3)コレットチャック170の内周面に内周凹凸形状170bが形成されていること、及び4)コレットチャック170を支持する軸部材176が複数のギヤ191〜193と蓋駆動モータ(蓋位置変更機構)194によって回転駆動されるようになっていることである。
蓋駆動モータ194と当該モータ194に連結されたギヤ191は本体装置600に配置され、他のギヤ192とギヤ193はトナーカートリッジTC側に配置されている。ギヤ193は軸部材176の外周に固定され、またギヤ192は中間ギヤとして支軸198に取り付けられている。そしてトナーカートリッジTCをレーザ複写機に装着した段階で本体装置600側のギヤ191にトナーカートリッジTC側のギヤ192が噛み合い、トナーボトル128を補給モータ(蓋位置変更機構)197で回転すると、基本的に蓋駆動モータ194も補給モータ197に同期して同方向に同じ回転数で回転するようになっている。その他は第1実施形態のトナーカセットと同じ構成である。
図21Aの状態で補給モータ197によってトナーボトル128を矢印B方向に回転させると、ボトルの回転力が補給口128bの内周凹凸形状Nと蓋129の第2外周凹凸形状G2の係合を介して蓋129に伝達されるので、トナーボトル128と蓋129が一体的に回転する。所要のトナーが補給された段階で補給モータ197の駆動を停止し、その時点のトナー消費量(トナー残量)を後述する図26のトナー残量更新制御フローに従って決定し、当該消費量に対応する量だけ補給モータ197によってトナーボトル128を逆方向(図21Aで矢印B方向)に回転する。この時、蓋駆動モータ194は停止し、コレットチャック170により蓋129が回転しないように拘束しておく。トナーボトル128の矢印B方向の回転は第2外周凹凸形状G2のワンウェイ係合構造により蓋129に伝わらず、蓋129がコレットチャック170によって回転を拘束された状態でトナーボトル128のみが回転する。
この結果、図20において蓋129側の文字表示185の矢印が示す補給口128b側の表示のレベルがEND側に移動する。このようにして、トナーボトル128の残量を蓋129の回転位置で表すことができる。なお、補給モータ197を駆動する代わりに、補給モータ197を停止したままで蓋駆動モータ194によって蓋129を矢印A方向に回転させてもよい。この場合も蓋129の第2外周凹凸形状G2がワンウェイ係合構造として機能する。
なお、図21Aのトナーボトル128には図17〜図19に示す第1形式の蓋129を使用しているが、蓋を補給口128bから完全に離脱させた状態でトナーを補給する場合でも本発明を適用可能である。図21Bはこのような適用例を示したもので、トナーボトル128に第2形式の蓋229を使用している。この場合、蓋229を補給口128bに装着した状態で蓋229が勝手に回転しないように、補給口128bの内周凹凸形状Nと蓋229の第1外周凹凸形状G1を形成しておく。これにより蓋229が勝手に回転することによる誤作動を防止することができる。なお、コレットチャック170で掴む軸部229aの先端頭部の外周凹凸形状229a1は、蓋229を補給口128bから離脱させるので特にワンウェイ係合構造にする必要はなく、コレットチャック170との間で蓋229が勝手に回転しない凹凸形状であればよい。
蓋129、229の回転位置は、蓋129、229の突起部129e、229eをトナーカートリッジTC側の蓋位置センサ188で検知することにより検知されるようになっている。なお、この蓋位置センサ188に光学センサを使用する場合、トナーで蓋位置センサ188の表面が汚れるのを防止するために、突起部129e、229eによって蓋位置センサ188の表面に付着したトナーを掻き取る位置構成にするか、蓋位置センサ188の近傍に別途掻き取り部材を設けるようにするとよい。また、蓋位置センサ188として光学センサ以外の非接触式センサを使用することも可能である。
また、トナーボトル128の回転位置は、ボトルの底面又は側面に設けた被検知物195又は196をトナーカートリッジTC側に配置したボトル検知センサ189又は190で検知することにより検知されるようになっている。そして、蓋位置センサ188で検知された蓋129の角度位置と、ボトル検知センサ189、190で検知されたボトルの角度位置が、本体装置600の不図示の制御部に出力され、当該制御部において図22のように2つの角度位置のズレすなわち角度D(=角度B−角度A)が検出されるようになっている。図22の上側が蓋の回転角度、下側がボトルの回転角度である。蓋位置センサ188とボトル検知センサ189又は190の検知タイミングは、レーザ複写機の電源オン時又はレーザ複写機の前カバーを閉じた時など、トナーボトル128を取り出した可能性のあるタイミングで行うとよい。
前記角度A、Bは、補給モータ197の単位駆動時間当たりのトナーボトル128の回転角を予め決めておくことで、その駆動時間に基づいて算出することができる。そして図24のように駆動時間の差Δtを検知することによって角度Dを算出することができる。この図24は、補給モータ197を駆動した時に、まず始めにトナーボトル128の被検知物195又は196がボトル検知センサ189によって検知され、それからΔtを経過した時点で蓋129、229の突起部129e、229eが蓋位置センサ188によって検知されることを示している。
駆動時間の差Δtは図25に示すようにトナー残量と一定の関係を有する。この関係を予め本体装置600の制御部に記憶させておくことにより、角度Dに置き換えることなく時間差Δtに基づいてトナー残量を検知することも可能になる。図25の左下がりの直線が図23の左下がりの直線に対応する。トナーボトル128の残量が100%の時に時間差Δtをゼロに設定することもでき、この場合はトナー残量ゼロ(トナーエンド)でΔtが最大になる。
角度Dの範囲は−360°≦D≦+360°であり、図23はこの角度Dとトナー残量の関係を示している。トナーボトル128が新品(トナー残量100%)のときの前記角度DをXとすると、当該トナーボトル128をレーザ複写機に装着してトナー補給すると、最終的にはトナー残量がゼロになる。この間、トナー補給の度に、当該トナー補給量に対応する量だけ、補給モータ197によってトナーボトル128が図21A、図21Bで矢印B方向に回転されるか、蓋駆動モータ194によって蓋129、229が図21A、図21Bで矢印A方向に回転される。これにより、角度Dの値は図23のXから右側に移動する。従って、図23の関係を予め本体装置600の制御部に記憶させておくことにより、角度Dに基づいてトナー残量を検知することが可能になる。
次に、トナー残量の設定手順を図26のフローチャートにより説明する。このフローチャートの機能は後述の図28の制御部601に組み込むことができる。トナー残量設定の前提条件として、この第2実施形態では、トナーボトル128の残量表示を11段階(Full=残量10、残量9、…、残量1、END=残量ゼロ)で行うものとし(トナー残量:N=0〜10)、トナーボトル128を30回転する毎にトナーボトル128内のトナーの10%が消費(補給用に排出)されるものとする(ボトル回転数:R)。残量表示は11段階よりもさらに多くしてもよいし、少なくしてもよい。
図26のステップS1でプリント命令が出されると、ステップS2でトナーエンドセンサが出力を出す。トナーエンドは、例えば図2の現像装置52内に設けたトナー濃度センサや、作像画像の画素数の積算値や、或いは補給モータ197の回転時間によって検知する。トナーエンドセンサの出力が「トナーなし」の場合はステップS3に進み、ここでN=0と置き換えられた後、ステップS4に進んで蓋129、229がその回転位置に拘わらずトナーエンド表示部まで一気に回転される。
図20のようにトナー残量をアナログ表示する場合、「END」表示に近付くと、残量がゼロであるのか、或いはあと僅かであるのかの見分けが難しくなる。前記のようにトナーエンドを検知して蓋129、229をトナーエンド表示部まで一気に回転させることでトナーエンド表示の信頼性を高めることができる。なお、画素数の積算値や補給モータ197の回転時間では一般的にある程度の誤差が発生するので、トナーエンドはトナーエンドセンサで検知するのが信頼性の観点から望ましい。本体装置にトナー濃度センサの他に別途専用のトナーエンドセンサがある場合はこの専用のトナーエンドセンサの検知結果を優先してもよい。
トナーエンドセンサの出力が「トナーあり」の場合はステップS5に進み、ここでN=1であるか否かが判定される。N=1の場合は直ちにトナー残量の設定終了となる(蓋129、229の回転なし)。少しでもトナーが残っていれば「END」表示にせず、残量1を表示するためである。N=1でない場合、ステップS6に進み、トナーボトル128の回転数Rが30回転以上であるか否かが判定される。30回転以上の場合、ステップS7に進み、ここでR=R−30の置き換えと、N=N−1の置き換えが実行される。その後、ステップS8に進行し、1目盛分だけ蓋129、229を回転させてトナー残量の設定を終了する。なお、回転数Rと残量Nの値は制御部500のメモリに格納し、回転数Rに対してその後のトナーボトル128の回転数を加算する。
図26のフローチャートは、トナーボトル128を30回転する毎にトナーボトル128内のトナーの10%が消費(補給用に排出)されることを前提としているが、実際はトナーボトル128内の残留トナー量が少なくなるにつれて、トナーボトル128を同じ1回転させてもトナー補給量は次第に少なくなってくる。すなわち、図27に示すように、トナー残量が多いときはトナーボトル1281回転当たりのトナー補給量は狙いの補給量Mとほぼ同じかMに近い量である。
しかし、レーザ複写機がトナーを消費してトナーボトル128内の残留トナー量が少なくなると、トナーボトル128を1回転させた時の内部のトナー移動量が減少し、トナー補給量が次第に少なくなってくる。このようなトナー補給量の変化を10%消費時のトナーボトル128の回転数に反映させることでより正確な残量表示を行うことができる。例えば、狙いの補給量をMとすると、トナー残量NがN=4(Mの40%)、N=3(Mの30%)、N=2(Mの20%)と少なくなってくると、前記「30回転」を2.5倍の「75回転」、3.3倍の「99回転」、5倍の「150回転」にする。
図28はレーザ複写機の本体装置600のトナー消費量予測を行う制御部601とトナーボトル情報部605の構成図である。制御部601は、画像形成装置制御部602、画素カウンタ検出部603及び枚数カウンタ検出部604を有する。トナーボトル情報部605は、トナーボトル検知部606、トナー消費量算出部607及びトナー消費量予測部608を有する。本体装置600にトナーボトル128ないしトナーカートリッジTCがセットされると、トナーボトル検知部606によってトナーボトル128に対する蓋129、229の位置が検知される。
すなわち、トナーボトル128の被検知物195又は196を検知するボトル検知センサ189又は190の出力と、蓋129、229の突起部129e、229eを検知する蓋位置センサ188の出力が検知され、例えば図24、図25のように、両センサの出力時の時間差Δtによって当該トナーボトル128の残量が検知される。ここで、新品トナーボトル128でトナー残量が100%の時に時間差Δtがゼロであるとし、レーザ複写機のトナー消費量に応じたトナーボトル128と蓋129、229の相対回転を、例えばトナーを5%消費(補給)する毎に実行するものとする。この相対回転は、例えば図21Bにおいて補給モータ197でトナーボトル128を矢印A方向に回転する間、蓋駆動モータ194を一時的に補給モータ197と同期駆動せずにt秒間だけ停止することで実現することができる。
同様の相対回転は、図21Aの場合はトナーボトル128を矢印B方向にt秒間だけ回転することで実現することができる。このような相対回転によって図24の時間差Δtが発生し、この時間差Δtが例えば10t秒間であればトナー残量が、100%−(10×5%)=50%と判断され、時間差Δtが15t秒間であればトナー残量が、100%−(15×5%)=25%と判断される。この情報は表示部700に伝えられ、本体装置600に配置した不図示の表示パネルに「トナー残量50%」、「トナー残量25%」などと表示される。そして、トナー消費量予測部608の結果が顧客管理情報部800に格納される。
図29はトナー消費量の予測手順を示すもので、最初に前回のトナーボトル128のセット時からの経過日数を算出する。次に当該期間内での記録媒体の使用枚数を記録し、平均使用枚数を算出する。次に当該期間内での画素カウンタを記録し、続いて平均画素数を記録する。これで平均トナー消費量を算出することができる。そしてこの平均トナー消費量に基づいてトナー消費量予測を行い、当該予測値は例えば本体装置600のパネル等に表示する。
本発明の第2実施形態は、前記のようにトナー消費量予測を本体装置600のパネルに表示するだけでなく、トナー消費量の予測値に基づいて、図30のように、トナーボトルの発注処理を自動で行うようにすることも可能である。この自動発注は、例えば 図31のように、レーザ複写機の上位ホストとしてのクライアント装置(PC)と消耗品調達サーバ910とをネットワーク930を介して接続することで実現することができる。クライアント装置900は消耗品調達サーバ910に対して複数接続することができる。
図30を参照して、トナーボトル128のセットから自動発注までを順を追って説明する。まず、トナーボトル128ないしトナーカートリッジTCを本体装置600にセットしたことをボトル検知部606で検知し、当該検知時点からの日数期間を読み込む。続いて、その期間内でのプリント使用枚数を枚数カウンタ検出部604にて記録し、当該期間内での1日平均使用枚数を算出する。また、当該期間内にプリントされた積算画素についても画素カウンタ検出部603にて記憶し、1枚当たりの平均画素数を算出する。そして予め1画素当たりのトナー消費量を把握しておくことで、1日平均使用枚数と1枚当たりの平均画素数の情報から、1日当たりの平均トナー消費量及び1枚当たりの平均消費量が算出される。前記日数期間の読み込み、記録・記憶及び算出動作は、すべてトナー消費量算出部607にて実行される。
続いて、トナー消費量予測部608にて、トナーエンドになるまでの使用枚数予測が行われる。この予測は、トナーボトル検知部606によるトナーボトル128セット時の情報と、現在のトナー残量の検知情報と、トナーボトル128セット時からの1日当たりの平均トナー消費量及び1枚当たりの平均トナー消費量の関係から、現在を基準としたトナーエンドとなるまでの日数及び印刷可能枚数を予測するものである。これらの情報は、トナー消費量予測部608から表示部700に伝えられ、図示しない本体表示パネルに表示される。
次に、トナーボトルの発注処理であるが、この処理を行う前提として、ユーザーはトナー残量、残り使用可能枚数、残り使用可能日数の少なくとも1つを、トナー自動発注の設定値としてレーザ複写機側に設定する必要がある。図30は使用可能日数をレーザ複写機側に設定する例であり、ユーザーは残り使用可能日数が何日になった場合にトナーボトル128を発注するかをレーザ複写機側に設定する。そして、トナー消費量予測による使用可能日数がユーザー設定値よりも大きいか否かが判定され、使用可能日数がユーザーの設定値以下になると、トナーボトル128の発注処理が行われる。
すなわち、トナー消費量予測に基づいて算出したトナーボトル128の残り使用可能日数がユーザーの設定値に達した時点で、図28の本体装置600内にある顧客管理情報部800から必要な情報が読み出され、レーザ複写機の上位クライアント装置900とネットワーク930を経由して消耗品調達サーバ910に当該情報(トナーボトル128の種類や交換日など)が送信される。そして消耗品調達サーバ910からの出荷指示に基づいて、販売者が消耗品をトラック等の輸送手段を用いて発注者に納品し、納品時に使用済みのトナーボトル128を回収する。またクライアント装置900では、あらかじめトナーの在庫状況、顧客の情報等を管理し、供給できるまでの日数を考慮した上でユーザーの設定した値になる前に消耗品調達サーバ910に情報が伝わるようにし、顧客側で急にトナー使用量が増えた場合に備えて早めにトナーボトル128の供給を開始するようにしてもよい。
以上、本発明の第1実施形態と第2実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば第1実施形態では蓋29を軸方向に移動させ、第2実施形態では蓋129、229を回転させるようにしたが、軸方向移動(二段階以上)と回転方向移動の両方を組み合わせ、トナーカートリッジ側にも軸方向センサと回転方向センサの両方を備えることにより、さらに多くの情報を蓋の位置で表すことが可能となる。
また、粉体容器としてはトナーボトルのようないわゆるハードボトルに限る必要はなく、可撓性の長袋状容器の底部に外側から凸部材を押し当てて長手方向に移動させることにより、容器内部のトナーを容器端部に形成した排出口から押し出す形式の粉体容器にも本発明を適用可能である。この場合、トナーの補給量を検知するためにボトルの回転数に代えて前記凸部材の往復動回数を使用することができる。