JP5845384B2 - 活性物質発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有機物を酸化する能力をもつ活性酸素種やハロゲン酸化物などの活性物質を発生させ、気相や液相などに拡散して放出する装置に関する。
従来、この種の有機物の酸化分解には、酸化チタンを用いた光触媒反応が知られている。酸化チタンは、光触媒作用があることが知られており、光(紫外線)を酸化チタンに照射することにより、酸化チタン上に酸化力の高い活性物質として知られるヒドロキシルラジカルが酸化チタン表面および近傍に発生し、発生したヒドロキシルラジカルが、有機物を分解する。例えば、従来この種の反応装置として、図6に示すように、光触媒101をガラス管102表面に付着させ、外部から光源103によって光を照射して色素の脱色を行なう方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ガラス管102が色素溶液104にわずかしか接触していない状態であっても、活性物質が近傍に発生して、色素を分解できるというものである。
また、同様な活性物質の発生を利用して、光リソグラフィー法に応用する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
図7に示すように、光触媒近傍に発生する活性物質が3mm以内であれば、対象物の酸化作用をもつとしたもので、パターンを形成する対象物105と光触媒106を3mm以内の距離に配し、パターン107を介して紫外線108を照射することで、対象物105を部分的に酸化し、パターン形状を形成できるというものである。
特開2003−335505号公報 特開2003―236390号公報
特許文献1に記載の従来の活性物質発生装置は、光触媒101の近傍に効果が限定されているうえ、紫外線を対象物全体に照射しなければならないという課題があった。これは、光触媒上に発生するヒドロキシルラジカルは不安定であり、寿命が極めて短いために、光触媒の近傍までしか存在できず、光触媒近傍に効果が限定されるためである。紫外線により直接色素を分解する作用を併用しなければ、ほとんど脱色効果が得られないが、対象物によっては紫外線を照射できない場合や、紫外線が当たりにくい場合があるため、紫外線を対象物に直接照射しないで活性物質によって酸化作用を得ることが求められている。
また、特許文献2に記載の従来の活性物質発生装置は、対象物105と光触媒106の距離が3mm以内である必要があるという課題がある。光触媒上に発生するヒドロキシルラジカルは不安定であり、寿命が極めて短いためであり、活性物質がさらに遠方まで到達して効果を及ぼすためには、活性物質を安定なものに変換することが求められている。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、安定で寿命が長い活性物質、例えば活性酸素種、あるいはハロゲン酸化物などを、酸化チタンから気相などに放出することができ、対象物に直接紫外線を照射せずとも、比較的安定な活性物質によって3mm以上の遠方に対しても酸化作用を及ぼす活性物質の発生装置を提供することを目的としている。
本発明の活性物質発生装置は、上記目的を達成するために、触媒を担持した基材と、前記光触媒に励起光を照射するための光源とを備え、前記光触媒から活性物質を発生させる活性物質発生装置であって、前記光触媒は、第一のハロゲンを含有したハロゲン含有の酸化チタンであって、前記基材は、先に前記ハロゲン含有の酸化チタンを担持したのち、オキソ酸および第二のハロゲンを添着したことを特徴とする活性物質発生装置したものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
本発明によれば、触媒を担持した基材と、前記光触媒に励起光を照射するための光源とを備え、前記光触媒から活性物質を発生させる活性物質発生装置であって、前記光触媒は、第一のハロゲンを含有したハロゲン含有の酸化チタンであって、前記基材は、先に前記ハロゲン含有の酸化チタンを担持したのち、オキソ酸および第二のハロゲンを添着した構成にしたことにより、ハロゲンと酸化チタンとが強固に結合し、例えば、活性物質の発生量を向上できる。
本発明の実施の形態の活性物質発生装置を示す図 本発明の実施例1および2の過酸化水素の測定結果を示す図 本発明の実施例1および2の有効塩素の測定結果を示す図 本発明の実施例3の過酸化水素の測定結果を示す図 本発明の実施例3の有効塩素の測定結果を示す図 従来のラジカル発生装置を示す図 従来の活性種によるリソグラフィー法を示す図
本発明の請求項1記載の発明は、触媒を担持した基材と、前記光触媒に励起光を照射するための光源とを備え、前記光触媒から活性物質を発生させる活性物質発生装置であって、前記光触媒は、第一のハロゲンを含有したハロゲン含有の酸化チタンであって、前記基材は、先に前記ハロゲン含有の酸化チタンを担持したのち、オキソ酸および第二のハロゲンを添着した構成としたものである。これにより、ハロゲンと酸化チタンとが強固に結合し、例えば、活性物質の発生量を向上できる。
(実施の形態1)
本発明の活性物質発生装置1を図1に示す。オキソ酸およびハロゲンを含有する光触媒2と、光触媒2に励起光を照射して光触媒反応を行なうための光源3と、少なくとも1つの開口部として吹き出し口12と吸い込み口13をもち、光触媒2と光源3を覆うケーシング4と、光触媒2に空気を搬送して光触媒反応によって発生した活性物質を光触媒2から揮散させる搬送手段であるファン5と、光触媒2と光源3の周囲に配置されて、漏れ出てくる光を反射させて光触媒に光を当てる反射板6と、光源の長軸方向に沿って気流を誘導する風路7と、ケーシング4の開口部に備えられ、活性物質の搬送方向を制御する搬送方向制御手段であるルーバー8と、光触媒2の上流側に設けられて光触媒2に供給される空気に含まれる粗塵を除去するためのプレフィルタ9と、光触媒2に供給する空気を加湿するための加湿手段10、また、ファン5の後段に位置し、空気を加熱して光触媒の温度を上昇させる加熱手段であるヒーター11からなる。光触媒2において、光源3から照射された励起光によって光触媒反応を行なうことで活性物質を発生させ、ファン5によって光触媒2から離れた場所まで気流によって搬送し、離れた場所にある対象物を酸化するものである。
本発明の光触媒2としては、例えば酸化チタン、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム、酸化ニオブ、酸化タンタルなどが挙げられる。これらのうち、安定性や活性の強さの点から、4価の酸化チタン(IV)が好ましい。
酸化チタン(IV)には、アナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンが挙げられ、暗所における抗菌効果が得られることに加えて、高い光触媒活性が得られることから、アナタース型酸化チタンが好ましい。本発明において「アナタース型酸化チタン」とは、粉末X線回折スペクトル測定において(使用電極:銅電極)、回折角度2θ=25.5度付近に回折ピークが現れる酸化チタンのことをいう。
酸化チタンとしては、二酸化チタンのほか、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン、酸素欠損型酸化チタン、窒素置換型酸化チタン、硫黄置換型酸化チタンなどが挙げられる。光触媒活性を有していれば結晶形については特に制限はなく、無定形、アナタース形、ルチル形、ブルッカイト形のいずれでもよい。ルチル型とアナターゼ型酸化チタンの組み合せなど、結晶形の違う成分を複合してもなんら問題はない。
酸化チタンは粉末状であることが多いが、チタン板などの金属表面を酸化して、酸化チタン薄膜を形成してもよい。また、チタンアルコキシドなどをコーティングして、加熱処理することによってチタン薄膜を形成してもよい。チタン粉末を金属表面などに溶射して、酸化チタン膜を形成してもよい。
また、酸化チタンの表面にPt、Pd、Rh、Ru、Au、Ag、Cu、Fe、Ni等の金属を被覆して用いることも何ら限定するものではない。また、表面にCrやVなどの不純物金属を含有させて光の吸収波長を拡大させた光触媒を用いることもなんら限定するものではない。
酸化チタンは、比表面積が200〜350m/gの範囲が好ましく、より好ましくは250〜350m/gの範囲である。ここで、本発明において比表面積とは、BET法(窒素の吸着・脱離方式)により測定した、酸化チタンの粉末1g当たりの表面積値である。比表面積が200m/g以上の場合、分解する対象物との接触面積を大きくすることができる。また、アナタース型酸化チタンを用いる場合は、比表面積が350m/g以下であると、アモルファス状の酸化チタンを用いた場合よりも高効率な光触媒反応を行うことができる。
本発明において、「オキソ酸」とは、ヒドロキシル基(OH)および、オキソ基(C=O)を有する化合物であり、例えば、リン酸、亜リン酸、硫酸、亜硫酸、炭酸、硝酸、亜硝酸、ホウ酸、ケイ酸、ヒ酸、カルボン酸、スルホン酸、スルフィン酸、クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸や、ハロゲンオキソ酸である次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、過臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸などが挙げられる。一方、光触媒により酸化分解されないものが好ましく、リン酸、硫酸、炭酸、硝酸、ホウ酸が挙げられる。
オキソ酸として、例えばリン酸を使用する場合、リン酸塩、リン酸水素塩を用いて、適当な濃度の水溶液として用いることができる。また、ポリリン酸やメタリン酸などのリン酸化合物も同様に使用できる。いずれも、その構造中に複数のオキソ基を有している。
オキソ酸によってラジカル状態の物質が安定な化合物に変換されるメカニズムについては明らかではないが、オキソ酸のように酸素を多く含む構造が、ラジカルに配位して、より安定した活性物質へと変換されるものであると考えられる。
本発明において、ハロゲンとしては、フッ素、ヨウ素、臭素及び塩素が挙げられる。例えば、ハロゲンとして、フッ素を使用する場合、フッ素の含有量は、活性物質の発生量及び光照射時の抗菌性能の増強の点から、1.25重量%〜4.0重量%であることが好ましい。フッ素含有酸化チタン(IV)におけるフッ素の含有量は、吸光光度分析法(JIS K 0102)により求めることができる。
本発明において「ハロゲンの少なくとも一部が光触媒と化学結合している」とは、光触媒、例えば酸化チタン(IV)とハロゲンの少なくとも一部とが化学的に結合していることをいう。好適には担持や混合ではなく酸化チタンとハロゲンとが原子レベルで結びついている状態のことをいい、より好適には酸化チタンとハロゲンとがイオン結合していることをいう。本発明において「化学結合しているハロゲン」とは、例えば、酸化チタンに含まれるハロゲンのうち、水に溶出しにくいハロゲンのことをいう。尚、二種類以上のハロゲンを含有させる場合には、そのうちの1種類以上が化学的に結合している状態であれば効果が得られる。
光触媒と化学結合しているハロゲンの量は、光触媒を水中に分散させ、pH調整剤(例えば、塩酸、アンモニア水)でpH=3以下又はpH=10以上に保持し、水中へのハロゲンの溶出量を比色滴定等により測定し、光触媒に含まれるハロゲンの総量から上記溶出量を差し引くことにより算出できる。
化学結合は、イオン結合であることが好ましい。化学結合がイオン結合である場合は、ハロゲンと光触媒とが強固に結合し、例えば、抗菌活性や光触媒反応の促進作用を向上できる。光触媒とハロゲンとのイオン結合は、光電子分光装置により分析できる。例えば、ハロゲンがフッ素であって、光触媒が酸化チタン(IV)である場合、酸化チタンを光電子分光分析装置で分析した際に、フッ素の1s軌道(F1s)のピークトップが683eV〜686eVの範囲となるスペクトルを示す場合をいう。これは、フッ素とチタンとがイオン結合したフッ化チタンのピークトップの値が上記範囲内であることに由来する。
光触媒に酸化チタンを使用する場合、励起光を照射するための光源3は、波長370nmから400nmに強度をもつものであれば特に限定されないが、前記波長の範囲に強い発光ピークを持つものであるほど、投入電力に対して効率的に酸化チタンの励起を行うことができる。例えば、直管型の熱陰極型あるいは冷陰極型のブラックライトを使用すると、広い範囲に強い光を照射できるため、基材の面積が広い場合に好適に使用できる。
また、前記波長に強い発光ピークをもつ光源3として、半導体素子を使用したものがある。例えば、発光ダイオード、半導体レーザーなどが使用できる。これらは、照射面積が小さく、光源の大きさも小さいため、小さな部分に局所的に照射するのに適している。
本発明の活性物質の発生方法によって発生する活性物質とは、有機物と反応して酸化させる作用、あるいは有機物の高次構造を変性させる作用をもつ酸化剤であり、例えば、活性酸素種やハロゲン酸化物などがある。
活性酸素種には、ヒドロキシルラジカルや、スーパーオキシドラジカル、一重項酸素、過酸化水素、オゾンなどがある。これらは、有機物の基本骨格であるC−C結合(結合エネルギー約347kJ/mol)や、C−H結合(結合エネルギー約415kJ/mol)、あるいは、C=C結合のπ結合(結合エネルギー約285kJ/mol)などの結合を酸化反応によって切断することが知られている。
この結合を切断するためには、結合エネルギーよりも高い解離エネルギーが必要となる。例えば、強い活性酸素種であるヒドロキシルラジカルの酸化電位はおよそ2.8Vであり、解離エネルギーは約504kJ/molであるため、C−C結合を切断して酸化分解することができる。このような酸化剤は、エネルギーが大きいため、反面、不安定で寿命が極めて短い(約1ミリ秒以下)という性質がある。
一方、過酸化水素の場合、酸化電位は1.77Vであり、解離エネルギーは319kJ/molである。この場合、C−C結合を切断するエネルギーよりも低いため切断できないが、C=C二重結合のπ結合を切断することができる。また、たんぱく質や酵素などの比較的分子量の大きい有機物の場合、元来の機能を果たすためには立体的な高次構造が重要であるが、過酸化水素などの活性物質は強い酸化力によってそれらの高次構造を変性させ、元来の機能を失わせることができ、除菌作用や抗ウイルス作用を得ることができる。そして、過酸化水素は酸化電位が低い分、ヒドロキシルラジカルに比べて安定性が増すため、寿命が長くなる(約1時間以上)という性質がある。気相や液相などの離れた位置に活性物質を作用させる場合には、このような物質が適している。
また、ハロゲン酸化物には、塩素酸化物(例えば、次亜塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、二酸化塩素など)や臭素酸化物(例えば、臭素酸、次亜臭素酸、過臭素酸など)、ヨウ素酸化物(例えば、ヨウ素酸、過ヨウ素酸など)などが使用できる。これらは酸化力を有しており、例えば、次亜塩素酸の酸化電位は1.5Vであり、解離エネルギーは約268kJ/molである。C−C結合の切断エネルギーよりも低いが、水素結合やファンデルワールス結合を切断し、たんぱく質や酵素などの比較的分子量の大きい有機物の高次構造を変性させ、元来の機能を失わせることができ、除菌作用や抗カビ作用や抗ウイルス作用を得ることができる。また、染料などの光吸収構造に影響を与え、脱色作用を得ることができる。
これらの活性物質は、臭気物質やVOCなどの環境化学物質や、細菌、真菌、あるいは原生動物などの微生物、染料などの着色物質と反応し、これらの全部、または一部を酸化することによって、脱臭、抗カビ、抗ウイルス、脱色あるいは抗菌などの作用を発現する。
本発明において「抗菌」とは、気相の菌を殺菌及び/又は分解することをいい、好適には気相の菌濃度の低減及び/又は菌の増殖を抑制することをいう。
具体的には、活性物質と菌が24時間以上接触した場合に、接触した菌濃度を初期濃度よりも2桁以上減少できることをいう。本発明において、抗菌活性の対象は特に制限されず、例えば、細菌、カビ、ウイルス等が挙げられ、抗菌活性の点からは、細菌が好ましい。細菌としては、例えば、大腸菌、黄色ぶどう球菌、緑膿菌、MRSA、セレウス菌、肺炎桿菌が挙げられる。
本発明においては、発生する活性物質の種類は、含有するオキソ酸およびハロゲンの種類と量によって選択的に発生させることができる。例えば、オキソ酸としてリン酸塩を使用した場合、活性物質として過酸化水素を発生させることを確認している。また、ハロゲンとして、フッ素および塩素を使用した場合、次亜塩素酸を発生させることを確認している。なお、ハロゲンの含有状態は一様ではなく、ハロゲンが酸化チタン(IV)と化学結合していると活性酸素の活性物質の発生量を向上させることができ、結合していないハロゲンの一部は、塩素酸系活性物質のような抗菌性の高い活性物質に変化して放出されるものと思われる。ハロゲンの含有状態や比率は、発生させたい目的物質によって制御すればよい。尚、オキソ酸を含有させず、ハロゲンから生じるハロゲンオキソ酸にて同様の効果を得ることは、ハロゲンオキソ酸の発生量が少ないため好ましくない。活性物質を選択的に発生させることにより、例えば食品や飲料などに活性物質を含む空気をあてる場合には、活性物質として過酸化水素のみを発生させ、残留塩素が残らないように抗菌あるいは抗カビ処理を行うことができる。
光触媒は、基材に担持することで、光の照射や、光触媒の飛散防止を効果的に行うことができる。基材に担持する場合には、先にハロゲン含有酸化チタンを作製し、基材に担持したのち、オキソ酸および追加のハロゲンを添着させて作製する。基材としては、特に限定されないが、一般的なフィルタ基材を使用でき、金属、プラスチック、合成樹脂繊維、天然繊維、木材、紙、ガラス、セラミックなどが挙げられ、光触媒反応によって分解されにくいという観点から、金属やセラミックやガラスであることが好ましい。また、プラスチックや紙を基材として用いる場合は、基材表面にシリコーンやフッ素樹脂、シリカなどを被覆して光触媒反応によって分解されにくくしたのち、酸化チタンを担持してもよい。
基材の形状は特に限定されないが、板状、網状、ハニカム状、繊維状、ビーズ状、スリット状、発泡体形状、フィルタ状などが使用でき、多孔体にすると光の照射と空気の接触を効率的に行なうことができる。板状のフィルタであれば、板に孔を空けたパンチング形状、繊維を編みこんだ編物形状、繊維を接着した不織布形状など、開口を備えたものが好適である。板状であれば、板をプリーツ状に折ってフィルタの表面積を広げることによって圧力損失を低減させてもよい。
基材にガラス繊維織物を用いると、光や放射線に対する耐久性が強く、有機合成繊維や紙よりも酸性のバインダーによる化学的腐食を受けにくく好適である。また、ガラス繊維は光透過性および光散乱性を有するため、光触媒に光を照射する場合には、効率的に光を照射することができる。ガラス繊維の材質としては、石英ガラス、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Aガラスなどが挙げられる。繊維形状は特に限定されないが、単繊維よりも、4〜9μmの径を有する短繊維ガラスを複数束ねた繊維束によって形成することが好ましい。繊維束は50本〜6400本程度の任意の本数を束ねて利用することができる。複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束に酸化チタンを担持すると、繊維間に酸化チタン粒子が入りこみあるいは付着して固定化される。太い単繊維の表面に酸化チタンを担持する場合に比べて、繊維間に酸化チタンを保持することができるため、担持量を増やすことができる。
また、繊維間に入り込んだ酸化チタン粒子は繊維にはさまることによって強固に固定化されるとともに、外部から衝撃が加わった場合にも繊維を介して衝撃が伝わるので脱落しにくいという作用を得ることができる。
バインダーを使用する場合、NaO、KO、LiOなどのケイ酸塩からなるアルカリシリケート、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾルなどの無機コロイド、シリカ、ケイ素、チタンなどのアルコキシド類とその加水分解物などが挙げられる。なお、Naなどのアルカリ成分は酸化チタン(IV)の結晶性を低下させ、性能を低下させることがあるため、バインダーとしては、主成分がSiOであることがのぞましく、シリカゾルまたはシリカアルコキシド類の加水分解物などが好適である。
ケイ素のアルコキシド類としては、テトラエトキシシランおよびその重合体であるメトキシポリシロキサン、エトキシポリシロキサン、ブトキシポリシロキサン、リチウムシリケートなどが挙げられ、チタンのアルコキシド類としては、テトラプロポキシチタンおよびその重合体などが挙げられる。これらの金属アルコキシド類は、水と酸によって加水分解され、バインダーとして用いることができる。
バインダーは酸性であることが好ましく、ケイ素、チタンなどを酸で加水分解した物や酸性のシリカゾル、アルミナゾルなどが挙げられる。ケイ素、チタンなどを酸で加水分解する場合には、塩酸、硫酸などを用いてpHを1〜5に調整するとよい。シリカゾルを用いる場合には、pH2〜4、粒子径10〜50nm程度のものが好適である。pHが中性あるいはアルカリ性のシリカゾルを用いると、ハロゲンを含有する酸化チタンを添加した際にゲル化をおこし、基材に均一に担持することが困難になることが多い。
Na、K、NHなどの陽イオン成分がバインダーに含まれていると、ハロゲンとの反応の進行および酸化チタン(IV)表面への吸着により、抗菌性能の低下が発生することがあり、上記陽イオン成分は極力少ないほうがよい。例えば、バインダー溶液にNaが含まれている場合には、Na濃度がNaOとして0wt%より大きく0.05wt%以下であることが好ましい。
ガラス繊維織物の目付け量としては10〜900g/mのものが好ましく、製造を容易にするためには100〜400g/mのものを選択するとよい。また、織物の織り方は、平織、綾織、朱子織、からみ織り、模紗織など、どのような織り方でもかまわないが、形状安定性の観点から模紗織が好ましい。糸の密度としてはタテ・ヨコの繊維束が20〜40本/25mm、厚さは0.1〜2mm、引張り強度100NN/25mm以上が好ましい。
基材に光触媒を担持する方法としては、ディップコート、スプレーなどが挙げられるが、基材に光触媒が固定化できればいかなる手段でもよい。1回の処理で担持量が十分でなければ、複数回の処理工程を繰り返してもよい。また、担持後に、乾燥機で50〜700℃程度の温度で0.01〜5時間程度加熱することによりバインダーを収縮させて基材に強固に固定化してもよく、90〜150℃で0.1時間の加熱がさらに好適である。このような加熱乾燥処理を行う場合には、基材の主成分をガラス、セラミックスで構成することが望ましい。
光触媒の粒子径は、繊維の直径よりも小さいほうが好ましい。光触媒粒子が繊維の直径よりも小さい場合、光触媒粒子が繊維間の編目や重なり部分に入り込みやすく、強固に固定化されるという効果を得ることができる。その結果、光触媒の担持量を増加させることができる。光触媒の粒子径は、一次粒子径として6〜100nm程度であるが、実際は一次粒子が凝集して0.1〜100μm程度の二次粒子になっていることが多い。ここでいう光触媒の粒子径は二次粒子の状態を示し、光触媒を編物に分散させる際に繊維の編目や重なり部分に入り込みやすいことが必要である。
光触媒に、オキソ酸および追加のハロゲンを添着するときは、第一の工程で作製したハロゲン含有光触媒に、オキソ酸や、前記ハロゲンとは異なる種類のハロゲンを含む水溶液に接触させて作製することができる。オキソ酸としては、特に限定されないが、一般的なオキソ酸化合物を使用することができる。例えば、オキソ酸がリン酸化合物である場合、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸銀(I)、リン酸クロム(III)、リン酸コバルト、リン酸第二鉄、リン酸チタン、リン酸鉄(III)、リン酸銅(II)、リン酸鉛(II)、リン酸マグネシウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸三アンモニウム、リン酸三カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三リチウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ポリリン酸、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、核酸化合物等が挙げられる。
また、オキソ酸が炭酸化合物である場合、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸鉛、炭酸バリウム、炭酸マンガン、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸セシウム、炭酸セリウム、炭酸鉄、炭酸銅などが挙げられる。
また、オキソ酸が硫酸化合物である場合、硫酸、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸すず(II)、硫酸ストロンチウム、硫酸セシウム、硫酸第一鉄、硫酸第一マンガン、硫酸第二クロム、硫酸第二鉄、硫酸チタン、硫酸銅(II)、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸リチウムなどが挙げられる。
また、オキソ酸が硝酸化合物である場合、硝酸、硝酸亜鉛、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸クロム(III)、硝酸コバルト(II)、硝酸セシウム、硝酸鉄(II)、硝酸銅(II)、硝酸ニッケル、硝酸バリウム、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硝酸リチウムなどが挙げられる。
また、オキソ酸がホウ酸化合物である場合、ホウ酸、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガン(II)などが挙げられる。
オキソ酸は、適当な溶媒に溶解可能な濃度を混合して添着に使用する。例えば、精製水などに0.01重量%から10重量%程度の濃度になるように溶解して使用する。
また、溶液には、化学結合させるハロゲンとは異なる種類のハロゲン化合物を混合して、同時に添着させることができる。このときのハロゲンは、例えば、塩素化合物においては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの塩化物が挙げられる。また、ヨウ素化合物においては、ヨウ化カリウムなどが挙げられる。また、臭素化合物においては、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化アンモニウム、臭化ナトリウムなどの臭化物が挙げられる。これらも、オキソ酸の溶液に溶解可能な量を混合し、溶解させて使用する。例えば、0.01重量%から10重量%程度の濃度になるように溶解し、使用することができる。
光触媒にオキソ酸を添着する方法としては、ディップコート、スプレーなどが挙げられるが、ハロゲン含有酸化チタンに付着できればいかなる手段でもよい。酸化チタンをオキソ酸溶液に接触させた後、粉末であれば遠心分離やろ過、また、基材に固定化した状態であれば、引き上げたのち、100℃以下の低温で乾燥させて液体の残留を無くす。このようにして添着されたオキソ酸およびハロゲンは、酸化チタンと化学結合するのではなく、酸化チタンの細孔や、表面にランダムに吸着している状態にあると推測される。
光源3として、熱陰極型あるいは冷陰極型のブラックライトを使用する場合、光触媒2は、ガラス管で形成される光源3を取り囲むように配置すると、光源からの光を効率よく光触媒に照射することができる。また、光源3を取り囲む光触媒2の厚みを厚くし、光が透過することを防ぐ構造にすると、周辺の部材が紫外線などの光によって劣化することを防止することができる。また、光触媒2の周囲には、表面を金属で形成させた反射板6を使用することで、光源3からの光を光触媒2は反射して再び光触媒2の表面に光が照射されるようにする。
また、光触媒2は、周辺あるいは内部に通気するために、多孔体として、一定の空隙と開口をもたせることが好ましい。光触媒を多孔体にすると、表面積が増加して活性物質の発生部位が増加し、発生量を増加させることができる。更に空気との接触効率が向上するため、空気中に発生させる量を増加させることができる。
光触媒2と光源3を収納するために、ケーシング4を設けることができる。活性物質の発生は、ケーシングの有無とは直接の関係性が低いが、ケーシング4を備えることにより、光の周囲への漏出や、自然拡散による活性物質の損失を防止することができる。ケーシング4は、樹脂、あるいは金属、セラミックなどが使用できるが、好ましくは光源3によって劣化が少ない金属で形成されることがよい。
ケーシング4内には、光触媒2と光源3を備える風路7を設けてある。風路7は、光源3の長軸方向に気流を誘導するように、光源3に沿って配置される。風路7は、直接、光源3の光が照射されるか、あるいは活性物質と接触するものであるため、樹脂、金属、セラミックなどが使用できるが、好ましくは金属で形成されることがよい。
また、光源3がブラックライトあるいは発光ダイオードであった場合、発光強度は時間ともに減衰し、光触媒反応が低減するため、光源3は着脱可能な構造として、発光強度が低減した場合にも劣化していない光源3に交換できることが好ましい。また、光触媒2についても、時間とともに表面に吸着した無機成分などが蓄積し、光触媒反応が低下する場合があるため、光触媒2も着脱可能な構成とすることが好ましい。ケーシング4を設ける場合に、このような着脱を行うことを考慮して、容易に取り外すことができるように、分割できる構造とすることや、あるいは取り外すための開閉可能な開口部を備えた構造としてもよい。
光触媒2で発生した活性物質は、熱や気流などによって光触媒から離脱し、搬送手段で遠方まで飛散させる。搬送手段としては、送風機、加圧ポンプ、吸引ポンプ、あるいはガスボンベなどの圧縮空気を用いることができる。また、光触媒2の近傍から活性物質を離脱させるという点では、光触媒2を回転、振動など運動させるような機構を組み合わせることも有効である。搬送手段から光触媒2までの空気を連続的に簡便に送風するために、送風機であるファン5を用いることが好ましい。ファン5を使用することで、風量、風速などが簡便に設定することができる。
ケーシング4には、少なくとも1つの開口部を備えており、ここから活性物質を放出することができる。また、開口部より活性物質を搬送する方向を制御するための搬送方向制御手段であるルーバー8を備えることができる。ルーバー8はステッピングモータなどの動力によって電気的に角度を調節する物や、あるいは手動で角度を切り替えるものが使用できる。
なお、ケーシング4を設けない場合には、光触媒2の搬送方向下流側にルーバー8を設けることで、活性物質の搬送方向を制御することができる。
開口部には、活性物質を放出する吹き出し口12を設けるが、もう一つ開口部を設け、光触媒に供給される空気をケーシング4内に吸い込むための吸い込み口13を設けてもよい。さらに、吸い込み口13にプレフィルタ9を備えると、粗塵を除去することができ、光触媒2や光源3に粗塵が付着することによる性能劣化を防止することができる。
また、ファン5の下流側には、光触媒2に供給する空気を加湿するための加湿手段10を備えることができる。加湿手段10としては、空気中に水蒸気を多く含有させることができるものが好ましい。例えば、図1に示す、フィルタに水分を付着させて通気するものの他、ノズルから圧力を加えた微細水滴を噴霧するもの、あるいは、水槽を設けて超音波振動子で水を微細化させる方法などが用いられるが、空気中に水蒸気を多く含有させることができるものであれば、この限りでない。光触媒反応には、空気中の水分の吸着が不可欠であるが、湿度が極端に低い場合、光触媒反応が起こりにくくなるということがある。そのため、光触媒の上流側に加湿手段を設けて、水分を供給してやることにより、光触媒反応を安定して行い、活性物質を安定して発生させることができる。
なお、ケーシング4、搬送手段であるファン5を設けない場合には、光触媒2に隣接するように加湿手段10を配置し、水蒸気が自然拡散によって到達できる距離におくことで、光触媒2を加湿することができる。
また、ファン5の下流側に、光触媒2に供給する空気を加熱するための加熱手段であるヒーター11を設けることができる。光触媒反応は、温度が高くなると活性が高まり、活性物質の発生量が多くなることが知られている。ヒーター11としては、ニクロム線、PTCヒーター、ペルチェ素子、冷凍サイクル、温水コイル、あるいは廃熱を回収したコイルなどが使用できる。ヒーター11によって加熱する温度としては、水が完全に気化する100℃を超えない範囲であることがよく、10℃以上100℃以下であることがよく、好ましくは20℃以上80℃以下であり、更に好ましくは40℃以上60℃以下である。
加熱手段であるヒーター11と、加湿手段10は、いずれもファン5の下流側でかつ光触媒2の上流側に設けるが、ヒーター11が加湿手段10よりも上流側にある方が、加湿量を増加させることができる点から好ましい。
なお、ケーシング4、搬送手段であるファン5を設けない場合、加湿手段10とともに光触媒2に隣接して配置することで、光触媒2を目的の温度に加熱することができる。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明するが、本発明は、以下の記載に何ら限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
<1>.ハロゲン含有酸化チタンの調製
酸化チタン(商品名:SSP−25、堺化学工業株式会社製、アナタース型、粒径:5〜10nm、比表面積:270m/g以上)の濃度が150g/Lとなるように酸化チタンに純水を加え、これを撹拌して、酸化チタン分散液を調製した。この酸化チタン分散液に、酸化チタンに対してフッ素(元素)に換算して3重量%に相当するフッ化水素酸(和光純薬社製、特級)を添加し、pH3に保持しながら25℃で60分間反応させた。得られた反応物を水洗した。水洗は、反応物を濾過して回収される濾液の電気伝導度が1mS/cm以下となるまで行った。そして、これを空気中において130℃で5時間乾燥させてフッ素含有酸化チタンを調製した。
<2>.ハロゲン含有酸化チタンを担持したフィルタの作製
得られたハロゲン含有酸化チタンとシリカ系のバインダー(Na成分がNaO濃度として0.05wt%以下、pH=3、SiO濃度20wt%のシリカゾル)と精製水を混合し、ボールミルで24時間分散混合してスラリーを作成した。出来上がったスラリーに、基材として開口率15%のガラス繊維織物をディップしてハロゲン含有酸化チタンを含浸させ、エアブローして余剰液を排除した後、120℃の乾燥機で30分乾燥させ、ハロゲン含有酸化チタンを含むフィルタを作成した。同様のディップ作業を繰り返し、ハロゲン含有酸化チタンとバインダーを合わせた担持量を500g/mにした。フィルタの基材となるガラス繊維織物は、目付け量354g/m、糸の密度11×3本/25mm(タテ・ヨコ同じ)の模紗織、厚さは0.42mmのものを用いた。作成したフィルタの開口率は約15%であった。
<3>.オキソ酸およびハロゲン含有酸化チタンフィルタの作製
得られたハロゲン含有酸化チタンフィルタを、オキソ酸およびハロゲンの供給源である50mMリン酸緩衝生理食塩水に含浸したのち、引き上げ、50℃の乾燥炉にて2時間静置して乾燥させ、オキソ酸およびハロゲン含有酸化チタンフィルタとした。
<4>.活性物質の発生量の測定
作製した酸化チタンフィルタを、長さ30cm、幅1cmの短冊状に裁断し、直径3cmの石英製のガラス管に挿入した。ガラス管の両端は、ガスの漏洩のないように密閉しながら配管を配置し、上流側より空気(温度約25℃、相対湿度約50℃)を0.5L/minの流量で送気した。下流側には、ガラス製のガス採取管(インピンジャー)を接続し、内部に捕集液である蒸留水を20ml入れた。石英管を挟むようにブラックライトを5mW/cm2となるように照射し、24時間ガスを流通させて、フィルタから発生する活性物質を回収した。
24時間後、ガス捕集管の内部に残存していた蒸留水を回収し、活性物質である過酸化水素および次亜塩素酸の定量を行った。過酸化水素の測定は、過酸化水素定量用発色基質(商品名:H2O2 DetectionKit Colorimetric、AssayDesigns社製)を使用し、582nmの発色を紫外可視吸光度計にて測定した。その結果を図2に示す。また、次亜塩素酸の測定は、DPD法による遊離塩素測定試薬(HACH社製)を使用し、直読水質分析計で有効塩素濃度を測定した。その結果を図3に示す。
(実施例2)
実施例2として、ハロゲン含有酸化チタンに替えて、ハロゲンを含まず光触媒活性を有するアナタース型酸化チタン(商品名:SSP−25、堺化学工業株式会社製)を使用してフィルタを作成した以外は、実施例1と同様にして活性物質の発生量の測定を行った。その結果を図2および図3に示す。
(比較例1)
比較例1として、オキソ酸ハロゲン含有酸化チタンに替えて、オキソ酸を含まないハロゲン含有酸化チタンを使用したフィルタを用いた以外は、実施例1と同様にして活性物質の発生量の測定を行った。その結果を図2および図3に示す。
(比較例2)
比較例2として、実施例1と同様の方法において、紫外線の照射を行わずに暗所にて活性物質の発生量の測定を行った。その結果を図2および図3に示す。
また、実施例1、2および比較例1、2の条件について一覧を表1に示す。
Figure 0005845384
図2に示すように、実施例1のフィルタは、24時間後に約153nmol/m3の過酸化水素が検出された。一方、比較例1のフィルタは、0.14nmol/m3、比較例2のフィルタは検出下限以下(0.1nmol/m3未満)、比較例3のフィルタは検出下限以下(0.1nmol/m3未満)であった。オキソ酸を含有し、光照射をすることによって、活性物質である過酸化水素がフィルタ上から放出されていることが確認された。また、ハロゲン含有酸化チタンを用いることにより、その発生量は1000倍以上に増大することが確認された。
一方、図3に示すように、有効塩素である次亜塩素酸が、実施例1のフィルタより23.6μg/m3検出された。また、実施例2では1.3μg/m3検出された。また、比較例1、比較例2では検出下限以下(0.1μg/m3以下)であった。過酸化水素と同様に、オキソ酸を含有し、光照射によって、次亜塩素酸が放出されていることが確認された。また、ハロゲン含有酸化チタンを用いることにより、約20倍発生量が増加することが確認された。
(実施例3)
実施例1と同様にして作製した、オキソ酸およびハロゲン含有酸化チタンフィルタを、励起光源である紫外線発光ダイオード(中心波長約370nm)および回路と、活性物質のトラップ用の蒸留水20mLを入れたシャーレとともに6.7Lの樹脂製ボックスに封入した。発光ダイオードによって、酸化チタンフィルタに、約0.85mW/cm2となるように紫外線を照射した。同様に作製したボックスを15℃、30℃、40℃に静置し、15時間後、蒸留水を取り出して、溶解している過酸化水素と有効塩素酸濃度を測定した。測定は、実施例1と同様な方法で行った。
その結果を図4および図5に示す。蒸留水中にトラップされた過酸化水素の濃度は、15℃では0.05μMと比較的低いが、30℃になると0.18μMとなり3倍に増加した。更に40℃になると、0.75μMとなって15℃と比べて15倍に増加した。一方、有効塩素である次亜塩素酸の濃度も、温度が上昇するのにつれて増加する傾向を示した。発生する活性物質の種類によって好適な温度が若干差が見られる可能性があるが、温度を高めることによって、活性物質の発生量が増加することが明らかとなった。
光触媒と接触させずに臭気成分や微生物を酸化分解する方法を提供することができ、空気浄化装置や、空気清浄装置、エアコンなどの用途に適用できる。
1 活性物質発生装置
2 光触媒
3 光源
4 ケーシング
5 ファン
6 反射板
7 風路
8 ルーバー
9 プレフィルタ
10 加湿手段
11 ヒーター
12 吹き出し口
13 吸い込み口
101 光触媒
102 ガラス管
103 光源
104 色素溶液
105 対象物
106 光触媒
107 パターン
108 紫外線

Claims (1)

  1. 触媒を担持した基材と、前記光触媒に励起光を照射するための光源とを備え、前記光触媒から活性物質を発生させる活性物質発生装置であって、前記光触媒は、第一のハロゲンを含有したハロゲン含有の酸化チタンであって、前記基材は、先に前記ハロゲン含有の酸化チタンを担持したのち、オキソ酸および第二のハロゲンを添着したことを特徴とする活性物質発生装置。
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