JP5540721B2 - 抗菌処理水生成装置およびそれを用いた抗菌処理方法 - Google Patents

抗菌処理水生成装置およびそれを用いた抗菌処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、細菌や真菌、あるいはウイルスなどを抗菌、抑制する能力をもつ活性酸素種やハロゲン酸化物などの抗菌成分を液中に発生させ、抗菌作用をもつ液体を生成する装置と、それを用いて対象物である固体または液体を抗菌処理する抗菌処理方法に関する。
従来、この種の抗菌処理水の生成装置には、塩化物水溶液を電気分解して得られる電解水生成装置が知られている。塩化物イオンを含む水を水槽に貯留し、水槽内に設置した電極で電気分解し、陽極上から塩素を発生させる。発生した塩素は、水中に溶解し、抗菌作用をもつ次亜塩素酸に変化する。例えば、従来この種の抗菌処理水の生成装置として、図3に示すような、電解水生成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
これは、第1の電極101と第2の電極102とがイオン透過性隔膜103で隔てられ、第1の電解槽104に供給された食塩水を第1の電極101で電解することにより、抗菌作用をもつ次亜塩素酸を発生させるものである。
また、別の活性物質の生成装置としては、放電を利用した技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。活性酸素種の一つである過酸化水素の発生装置には、図4に示されるものがある。水素および酸素を含む混合ガスを原料ガスとして放電により過酸化水素を発生させる。原料ガス201である、水素および酸素を爆発しないような濃度に調整しながら、第1放電部202に導入し、放電を行ったのち、さらに酸素補給口203から酸素を供給しながら第2放電部204に導入して放電を行い、過酸化水素および水素、酸素、あるいは水の混合物を得るというものである。気相中に活性物質を発生させる方法であるが、得られたガスを液相にトラップすることで、抗菌成分を含む液体を得ることができる。
特許第4249657号公報 特開平4−130002号公報
特許文献1に記載の従来の抗菌処理水の生成装置は、構造が比較的単純であるが、発生する抗菌成分は主に次亜塩素酸であり、刺激臭による弊害が避けられないという課題があった。そのため、臭気が弱い低濃度であっても、強い酸化力をもつ抗菌成分を混合して同様に抗菌作用が得られるものが求められている。また、電解による次亜塩素酸の生成において、副生成物として人体に有害なトリハロメタンを産生するという課題があり、有害な副生成物を発生させず、有効な成分を選択的に生成させるものが求められている。
また、特許文献2に記載の従来の活性物質の発生方法は、原料ガスである酸素と水素を供給する必要があり、ボンベなどのガス貯留手段が必要となる。このため、局所的に長期間連続使用する場合には、原料ガスの補充が常に必要となるため、原料ガスの補給無しに空気などから直接選択的にガスを発生させることが求められている。また、放電を利用しているため、放出した電子と反応して様々な反応物が生成し、量と種類を制御することが困難であるという課題がある。活性物質の中には、オゾンのような強い刺激臭をもつものがあり、このような成分を選択的に発生させないようにすることが求められている。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、刺激臭の少ないハロゲン酸化物である次亜塩素酸を選択的に発生し、電解を用いないため人体に有害なトリハロメタンやオゾンなどの発生がなく、空気中においては原料ガスを補給する必要がなく、安定で寿命が長く、抗菌作用をもつ次亜塩素酸を含有する抗菌処理水を生成するための装置を提供することを目的とする。
本発明の抗菌処理水生成装置は、上記目的を達成するために、反応原液のリン酸緩衝生理食塩水および酸素を含有する気体を貯留して反応を行なう貯留部と、前記貯留部に貯留された前記反応原液に一部または全体が接触するように設置された光触媒としてフッ素が酸化チタン(IV)に少なくとも一部が化学結合しているフッ素含有のアナタース型酸化チタンを担持したフィルタと、前記フィルタに光を照査する光源と、前記反応原液中に前記気体を混合して前記気体を前記光触媒と接触させるための気体混合手段と、を備え、前記気体混合手段によって前記気体をバブリングさせながら前記フィルタに前記光源によって光照射をすることによって、抗菌成分である次亜塩素酸を前記フィルタ上から前記反応原液中に放出させるものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
本発明によれば、反応原液のリン酸緩衝生理食塩水および酸素を含有する気体を貯留して反応を行なう貯留部と、前記貯留部に貯留された前記反応原液に一部または全体が接触するように設置された光触媒としてフッ素が酸化チタン(IV)に少なくとも一部が化学結合しているフッ素含有のアナタース型酸化チタンを担持したフィルタと、前記フィルタに光を照査する光源と、前記反応原液中に前記気体を混合して前記気体を前記光触媒と接触させるための気体混合手段と、を備え、前記気体混合手段によって前記気体をバブリングさせながら前記フィルタに前記光源によって光照射をすることによって、抗菌成分である次亜塩素酸を前記フィルタ上から前記反応原液中に放出させる構成にしたことにより、液体中で光触媒を担持したフィルタに気体接触させ、前記フィルタに光源によって光照射をすることによって、抗菌成分である次亜塩素酸を前記フィルタ上から前記反応原液中に放出させることができ、従来と比較して刺激臭が少なくて取り扱いが容易であり、人が存在する空間であっても抗菌処理水を使用できるという効果が得られる。また、原料の液体や気体を連続的に供給することで連続的な抗菌処理水の生成を行うことができるという効果を得ることができる。
本発明の実施例1の抗菌処理水生成装置を示す図 本発明の実施例1の次亜塩素酸の測定結果を示すグラフ 従来の電解水生成装置を示す図 従来の活性物質発生方法を示すブロック図
本発明の請求項1記載の発明は、反応原液のリン酸緩衝生理食塩水および酸素を含有する気体を貯留して反応を行なう貯留部と、前記貯留部に貯留された前記反応原液に一部または全体が接触するように設置された光触媒としてフッ素が酸化チタン(IV)に少なくとも一部が化学結合しているフッ素含有のアナタース型酸化チタンを担持したフィルタと、前記フィルタに光を照査する光源と、前記反応原液中に前記気体を混合して前記気体を前記光触媒と接触させるための気体混合手段と、を備え、前記気体混合手段によって前記気体をバブリングさせながら前記フィルタに前記光源によって光照射をすることによって、抗菌成分である次亜塩素酸を前記フィルタ上から前記反応原液中に放出させることを特徴としたものである。これにより、光触媒反応によって発生したヒドロキシル基(活性酸素種を、リン酸緩衝生理食塩水と反応させることにより、抗菌作用があって、比較的安定な次亜塩素酸に変化させることができ、液体中に比較的長時間貯留することができる。
また、請求項記載の抗菌処理方法は、請求項1の抗菌処理水生成装置によって抗菌処理水である次亜塩素酸を生成する工程と、前記抗菌処理水を対象物と接触または混合させて対象物を抗菌処理する工程を含むことを特徴としたものである。抗菌処理水生成装置によって生成した抗菌処理水である次亜塩素酸を、対象物である固体や液体に供給し、接触、または混合することによって、対象物を抗菌処理することができる。必要時に前記抗菌処理水を生成し、反応させることで、抗菌成分を保管、必要量供給する手間を省くことができ、保管に伴う抗菌成分の変質によって必要な抗菌性能が得られなくなることを防止して、より確実に抗菌処理することができる。
(実施の形態)
[ハロゲン含有酸化チタンによる抗菌処理液の生成]
本発明における抗菌処理水生成装置1を図1に示す。抗菌処理水生成装置1は、反応原液である液体2と酸素を含む気体3とを貯留し、密閉状態で反応を行うための貯留部4と、貯留部4内には、液体2と接触、または含浸するように光触媒5を設ける。光触媒5は鉛直方向に長くなるように配置し、その近傍に光源6を設ける。光触媒5の下部には、配管7で貯留部4内の気体3を誘導して液体2中に微細化して混合するための気体混合手段8を設ける。貯留部4には、気体3に含まれる酸素濃度を検知するための酸素検知手段9を貯留部4の上部の気相部分あるいは下部の液相部分に設け、連続的、もしくは断続的に液体2もしくは気体3の酸素濃度を検知する。また、貯留部4の上部には、外部よりあらたな気体を導入するための気体導入手段である給気バルブ10を設け、酸素検知手段9によって酸素濃度の低下を検知した場合に、給気バルブ10が開放し、貯留部4内の酸素濃度を増加させる。また、貯留部4の液体2の液位を検知するための液位検知手段11と、貯留部4内に新たな液体を導入するための液体導入手段である入水口12を設ける。これにより、反応液の量の減少を検知して液位が常時一定となるようにする。さらに、貯留部4の液体2に接するように、抗菌成分検知手段13を設け、液体2の抗菌成分濃度が所定の値になった場合に、反応の停止や、液体の採取を行えるようにする。尚、これらの動作は、制御手段を設けて値や結果を表示させたり、自動でバルブの開閉や、光源の動作を行うようにあらかじめプログラムして行っても、なんら問題ない。
液相で光触媒反応させる場合、生成する抗菌成分の濃度を徐々に高めるために、一定の反応時間を要するため、反応は原液を貯留する貯留部4にて、原液に光触媒5の一部または全体を含浸して行なう。貯留部4は、生成した抗菌成分の酸化力によって変質せず、また光源6によって照射される紫外線によって変質しないものを用いる。例えば金属や無機材料によるもの、またはこれらを表面にコーティングしたものが使用できる。金属であれば、ステンレス、アルミ、銅などであり、無機化合物であれば、セラミックやガラスなどが使用できる。光源6の光を反射して光触媒反応効率を高める観点からステンレスが好ましい。
貯留部4には、光触媒5と光源6を設置するが、反応効率を高めるためには光触媒5と光源6との距離が近いほどよく、また光源6から照射される光を効率よく使用するために、光源6を取り囲むように、光触媒5を配置する構成であることがのぞましい。光源6であるランプは寿命があるため、あらかじめ交換しやすいように、貯留部4の外部より、ガラスなどの紫外線を透過する材料を介して配置してもよい。
酸化チタンに照射する光は、酸化チタンを活性化できる波長の光をもつものであれば特に限定されないが、波長350nmから450nmの波長範囲に強い発光ピークを持つものであるほど、投入電力に対して効率的に酸化チタンの励起を行うことができる。例えば、直管型の蛍光灯型ブラックライトを使用すると、380nm付近の波長を多く含み、効率的に広い範囲に強い光を照射できるため、基材の面積が広い場合に好適に使用できる。また、ハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀ランプなどの光源を、紫外線の吸収が少ないミラーやレンズなどによって広い面積が照射できるように配置することでも実施できる。
また、前記波長に強い発光ピークをもつ光源として、半導体素子を使用したものがある。例えば、発光ダイオード、半導体レーザーなどが使用できる。これらは、照射面積が小さく、光源の大きさも小さいため、小さな部分に局所的に照射するのに適している。
光触媒反応には、酸素が必要とされるため、効率的に反応を行なうためには、液中に含有されている量では不十分である。そのため、濃縮酸素ガスや空気などの酸素を含む気体を、反応液中に混合させ、溶存酸素量を増加させることが望ましい。反応液に気体を混合させる気体混合手段8としては、ノズルから圧縮した気体を液体中に吹き出して混合させるものや、ノズルと回転体とから構成され、吸引効果などで供給された気体3を液体2にて激しく撹拌し、液相中に気相成分を混合させるものなどがある。ノズルから噴霧させる場合、ノズルの形状によって、液中に噴霧できる気泡が微細化し、液中に多くの酸素を長時間安定して混合させることができる。ノズル先端に多孔質体の散気管を設置すると、液中に放出される気泡が微細化し、水中への溶存量が増加する。さらに、気泡を回転体と衝突させ、微細化させると、さらに長時間安定させることができる。
液中に分散させた気泡は、時間とともに浮上し、やがて気相に戻る。光触媒5の表面に気泡が接触する効率を向上させるためには、気泡が浮上することを考慮して、光触媒5を気体混合手段8の上部に配置することで、光触媒5の表面を気泡が接触しやすくなり、反応が増加し、生成量を増加させることができる。さらに、光触媒5を鉛直方向に長く配置させると、浮上する気体が光触媒5の表面に接触する時間を長くとることができ、反応効率を向上させることができる。
液中に分散させる気体は、貯留部4にあらかじめ貯留させておき、外部に排出させないようにすることで、発生した抗菌成分を流出することを防止して、効率よく有効な濃度に生成させることができる。そのため、貯留部4の気体を循環させて液中に混合させることがのぞましい。
一方、貯留部4内の酸素が消費されて、酸素濃度が低下した場合には、反応が低下する。そのため、このような酸素の低下を検出し、あらたな酸素を含む気体を貯留槽外から供給することによって、反応を回復させ、抗菌成分を安定して生成することができる。酸素検知手段9として、液中の溶存酸素濃度を検知する電気式の溶存酸素計が使用できる。これは、連続的に液中の溶存酸素濃度をモニタリングできるため、濃度の低下をいち早く検出し、反応効率が低下する前に、給気バルブ10を開放し、酸素を供給することができるため、好適である。尚、給気バルブ10は電磁弁を用いて、酸素検知手段9と連動して、自動で開閉するように制御してもよい。
貯留部4には、反応原液を槽内に取り入れる入水口12と、生成した抗菌処理水を取り出す取水口を設けて容易に液体を搬送できるようにしてもよい。これにより、連続的に原液の取込みと、反応後の抗菌処理水を取り出すことができる。生成した抗菌成分の濃度が必要量まで達するためには一定の時間を要するため、原液の取込みタイミングと、反応後の液の取り出しタイミングは異なる。そのため、抗菌成分検知手段13を設け、反応後の抗菌成分の濃度を検知して、取水口の開閉を電磁弁などで制御し、取り出しタイミングを自動的に制御して行なってもよい。抗菌成分として次亜塩素酸を検知する場合には、電気式または光学式の次亜塩素酸センサなどが使用できるが、測定する対象物に応じてセンサを選択するとよい。抗菌処理水の取り出し後に、入水口12より原液を新たに貯留槽内に供給する必要があるが、入水口12の開閉タイミングを決めるために、貯留槽内に液位を検知する液位検知手段11を設けると、自動で原液の取込みを制御できる。液位検知手段11としては、フロート式、電気式、重量式などが使用できるが、構造が単純で通電なしで用いることができるフロート式が好ましい。入水口12の開放によって新たな原液を供給し、所定の液位に達したとき、入水口12を閉鎖して、常に一定量の液体を反応させることにより、安定した抗菌処理水の供給を行なうことができる。
貯留部4を複数接続すると、短時間で生成できる量を増加させることができる。直列に接続すると、少量であるが濃度を効率的に増加させることができ、並列に接続すると大量に生成するのに都合が良い。
本発明の抗菌処理水生成装置1によって生成する抗菌性分とは、細菌や真菌、原生動物、ウイルスなどの微生物を対象とし、これらの増殖、活動を抑制する静菌作用をもつものと、構成成分を分解、変性して活動を停止させる殺菌作用をもつものがある。
本発明において「抗菌」とは、液相の菌を殺菌及び/又は分解することをいい、好適には液相の菌濃度の低減及び/又は菌の増殖を抑制することをいう。具体的には、抗菌成分と菌が24時間以上接触した場合に、接触した菌濃度を初期濃度よりも2桁以上減少できることをいう。本発明において、抗菌活性の対象は特に制限されず、例えば、細菌、カビ、ウイルス等が挙げられ、抗菌活性の点からは、細菌が好ましい。細菌としては、例えば、大腸菌、黄色ぶどう球菌、緑膿菌、MRSA、セレウス菌、肺炎桿菌が挙げられる。
抗菌成分でよく知られているものとして、次亜塩素酸などの塩素酸化合物、ポビドンヨードなどのヨウ素化合物、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、過酢酸などの過酸化物、第4級アンモニウム塩、などが挙げられる。また、ヒドロキシルラジカルや、スーパーオキシドラジカル、一重項酸素、過酸化水素、オゾンなど活性酸素種などの酸化作用を持つものも、抗菌作用を与えることができる。本発明においては、光触媒反応で分解されない無機系の成分がのぞましく、塩素酸化合物やヨウ素化合物などのハロゲン酸化物、または活性酸素種のうち、比較的安定なスーパーオキシドラジカルやオゾン、過酸化水素などが好適である。
ハロゲン酸化物には、塩素酸化物(例えば、次亜塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、二酸化塩素など)や臭素酸化物(例えば、臭素酸、次亜臭素酸、過臭素酸など)、ヨウ素酸化物(例えば、ヨウ素酸、過ヨウ素酸など)などが使用できる。これらは酸化力を有しており、例えば、次亜塩素酸の酸化電位は1.5Vであり、解離エネルギーは約268kJ/molである。C−C結合の切断エネルギーよりも低いが、水素結合やファンデルワールス結合を切断し、たんぱく質や酵素などの比較的分子量の大きい有機物の高次構造を変性させ、元来の機能を失わせることができ、除菌作用や抗カビ作用や抗ウイルス作用を得ることができる。また、次亜塩素酸は細菌の細胞内に取り込まれ、代謝系を阻害するなどの作用によって、抗菌活性を発現するとも考えられている。幅広い抗菌スペクトルをもつことから食品衛生や上水道など広く使用されている実績をもつ。
一方、活性酸素種は、酸化力が強いため、有機物の基本骨格であるC−C結合(結合エネルギー約347kJ/mol)や、C−H結合(結合エネルギー約415kJ/mol)、あるいは、C=C結合のπ結合(結合エネルギー約285kJ/mol)などの結合を酸化反応によって切断することが知られている。この結合を切断するためには、結合エネルギーよりも高い解離エネルギーが必要となる。例えば、強い活性酸素種であるヒドロキシルラジカルの酸化電位はおよそ2.8Vであり、解離エネルギーは約504kJ/molであるため、C−C結合を切断して酸化分解することができる。このような酸化剤は、エネルギーが大きいため、反面、不安定で寿命が極めて短い(約1ミリ秒以下)という性質がある。
活性酸素種の一つである過酸化水素は、酸化電位は1.77Vであり、解離エネルギーは319kJ/molである。この場合、C−C結合を切断するエネルギーよりも低いため切断できないが、C=C二重結合のπ結合を切断することができる。また、たんぱく質や酵素などの比較的分子量の大きい有機物の場合、元来の機能を果たすためには立体的な高次構造が重要であるが、過酸化水素などの活性物質は強い酸化力によってそれらの高次構造を変性させ、元来の機能を失わせることができ、除菌作用や抗ウイルス作用を得ることができる。そして、過酸化水素は酸化電位が低い分、ヒドロキシルラジカルに比べて安定性が増すため、寿命が長くなる(約1時間以上)という性質がある。液相中の離れた位置に抗菌作用を与えることができる。
これらの抗菌成分は、細菌、真菌、あるいは原生動物などの微生物の細胞と反応し、これらの全部、または一部を酸化することによって、抗菌作用を発現する。
本発明における光触媒5は、酸化チタン、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム、酸化ニオブ、酸化タンタルなどが挙げられる。これらのうち、活性の強さの点から、酸化チタンが好ましい。
酸化チタン(IV)としては、例えば、アナタース型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンが挙げられ、高い光触媒活性が得られることから、アナタース型酸化チタンが好ましい。本発明において「アナタース型酸化チタン」とは、粉末X線回折スペクトル測定において(使用電極:銅電極)、回折角度2θ=25.5度付近に回折ピークが現れる酸化チタンのことをいう。
酸化チタンとしては、二酸化チタンのほか、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン、酸素欠損型酸化チタン、窒素置換型酸化チタン、硫黄置換型酸化チタンなどが挙げられる。光触媒活性を有していれば結晶形については特に制限はなく、無定形、アナタース形、ルチル形、ブルッカイト形のいずれでもよい。ルチル型とアナターゼ型酸化チタンの組み合せなど、結晶形の違う成分を複合してもなんら問題はない。
酸化チタンは粉末状であることが多いが、チタン板などの金属表面を酸化して、酸化チタン薄膜を形成してもよい。また、チタンアルコキシドなどをコーティングして、加熱処理することによってチタン薄膜を形成してもよい。チタン粉末を金属表面などに溶射して、酸化チタン膜を形成してもよい。
また、酸化チタンの表面にPt、Pd、Rh、Ru、Au、Ag、Cu、Fe、Ni等の金属を被覆して用いることも何ら限定するものではない。また、表面にCrやVなどの不純物金属を含有させて光の吸収波長を拡大させた光触媒を用いることもなんら限定するものではない。
酸化チタンは、比表面積が200〜350m/gの範囲が好ましく、より好ましくは250〜350m/gの範囲である。ここで、本発明において比表面積とは、BET法(窒素の吸着・脱離方式)により測定した、酸化チタンの粉末1g当たりの表面積値である。比表面積が200m/g以上の場合、分解する対象物との接触面積を大きくすることができる。
本発明において、液中に含有させるハロゲン化合物は、光触媒反応によってハロゲン酸化物となり、抗菌作用を得られるようになる。その詳細なメカニズムは明らかではないが、光触媒上で発生したヒドロキシルラジカルと、液中にハロゲン化合物のイオンが反応することによって、ハロゲン酸化物になるものと推測される。液中に含有させるハロゲン化合物は、例えば、塩素化合物においては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの塩化物が挙げられる。また、ヨウ素化合物においては、ヨウ化カリウムなどが挙げられる。また、臭素化合物においては、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化アンモニウム、臭化ナトリウムなどの臭化物が挙げられる。これらは水溶液として反応させることが好ましく、反応原液に混合させるか、反応原液に元来含まれるものを利用することも有効である。例えば、水道水や、海水などに含まれる塩化物イオンなどが利用できる。
本発明において、液中に含有させるオキソ酸化合物とは、ヒドロキシル基(OH)および、オキソ基(C=O)を有する化合物であり、液中でイオンの状態で存在し、光触媒表面で発生した活性酸素種を比較的安定な状態に変換する作用を持つ。オキソ酸によってラジカル状態の物質が安定な化合物に変換されるメカニズムについては明らかではないが、オキソ酸のように酸素を多く含む構造が、ラジカルに配位して、より安定した活性物質へと変換されるものであると考えられる。オキソ酸としては、特に限定されないが、一般的なオキソ酸化合物を使用することができる。例えば、オキソ酸がリン酸化合物である場合、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸銀(I)、リン酸クロム(III)、リン酸コバルト、リン酸第二鉄、リン酸チタン、リン酸鉄(III)、リン酸銅(II)、リン酸鉛(II)、リン酸マグネシウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸三アンモニウム、リン酸三カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三リチウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ポリリン酸、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、核酸化合物等が挙げられる。
また、オキソ酸が炭酸化合物である場合、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸鉛、炭酸バリウム、炭酸マンガン、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸セシウム、炭酸セリウム、炭酸鉄、炭酸銅などが挙げられる。
また、オキソ酸が硫酸化合物である場合、硫酸、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸すず(II)、硫酸ストロンチウム、硫酸セシウム、硫酸第一鉄、硫酸第一マンガン、硫酸第二クロム、硫酸第二鉄、硫酸チタン、硫酸銅(II)、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸リチウムなどが挙げられる。
また、オキソ酸が硝酸化合物である場合、硝酸、硝酸亜鉛、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸クロム(III)、硝酸コバルト(II)、硝酸セシウム、硝酸鉄(II)、硝酸銅(II)、硝酸ニッケル、硝酸バリウム、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硝酸リチウムなどが挙げられる。一方、光触媒により酸化分解されないものが好ましく、リン酸、硫酸、炭酸、硝酸、ホウ酸が挙げられる。
オキソ酸として、例えばリン酸を使用する場合、リン酸塩、リン酸水素塩を用いて、適当な濃度の水溶液として用いることができる。また、ポリリン酸やメタリン酸などのリン酸化合物も同様に使用できる。いずれも、その構造中に複数のオキソ基を有している。
本発明においては、発生する抗菌成分の種類は、含有するオキソ酸およびハロゲンの種類と量によって選択的に発生させることができる。例えば、オキソ酸化合物としてリン酸塩を使用した場合、活性物質として過酸化水素を発生させることを確認している。また、ハロゲン化合物として、塩化ナトリウムを使用した場合、次亜塩素酸を発生させることを確認している。
ハロゲンの含有状態や比率は、発生させたい目的物質によって制御すればよい。尚、オキソ酸を含有させず、ハロゲンから生じるハロゲンオキソ酸にて同様の効果を得ることは、ハロゲンオキソ酸の発生量が少ないため好ましくない。
本発明において「ハロゲンの少なくとも一部が酸化チタン(IV)と化学結合している」とは、酸化チタン(IV)とハロゲンの少なくとも一部とが化学的に結合していることをいう。好適には担持や混合ではなく酸化チタンとハロゲンとが原子レベルで結びついている状態のことをいい、より好適には酸化チタンとハロゲンとがイオン結合していることをいう。本発明において「化学結合しているハロゲン」とは、例えば、ハロゲン含有酸化チタンに含まれるハロゲンのうち、水に溶出しにくいハロゲンのことをいう。尚、二種類以上のハロゲンを含有させる場合には、そのうちの1種類以上が化学的に結合している状態であれば効果が得られる。
本発明において、酸化チタン(IV)と化学結合させるハロゲンとしては、フッ素、ヨウ素、臭素及び塩素が挙げられる。例えば、ハロゲンとして、フッ素を使用する場合、フッ素の含有量は、活性物質の発生量及び光照射時の抗菌性能の増強の点から、1.25重量%〜4.0重量%であることが好ましい。フッ素含有酸化チタン(IV)におけるフッ素の含有量は、吸光光度分析法(JIS K 0102)により求めることができる。
酸化チタン(IV)と化学結合しているハロゲンの量は、酸化チタン光触媒を水中に分散させ、pH調整剤(例えば、塩酸、アンモニア水)でpH=3以下又はpH=10以上に保持し、水中へのハロゲンの溶出量を比色滴定等により測定し、ハロゲン含有酸化チタンに含まれるハロゲンの総量から上記溶出量を差し引くことにより算出できる。
化学結合は、イオン結合であることが好ましい。化学結合がイオン結合である場合は、ハロゲンと酸化チタンとが強固に結合し、例えば、抗菌活性や光触媒反応の促進作用を向上できる、酸化チタンとハロゲンとのイオン結合は、光電子分光装置により分析できる。例えば、ハロゲンがフッ素である場合、ハロゲン含有酸化チタンを光電子分光分析装置で分析した際に、フッ素の1s軌道(F1s)のピークトップが683eV〜686eVの範囲となるスペクトルを示す場合をいう。これは、フッ素とチタンとがイオン結合したフッ化チタンのピークトップの値が上記範囲内であることに由来する。
[ハロゲン含有酸化チタンの製造方法]
本発明のハロゲン含有酸化チタンは、例えば、n−ブチルアミンの吸着量が8μmol/g以下である酸化チタンの水分散液とハロゲン化合物とを混合し、さらに、前記混合液のpHが3を超える場合は酸を用いてpHを3以下に調整することによって、前記混合液中で前記酸化チタンと前記ハロゲン化合物とを反応させる工程と、前記反応させて得られた反応物を洗浄することによって、ハロゲンの少なくとも一部が酸化チタンと化学結合しているハロゲン含有酸化チタンを得る工程とを含む製造方法により製造することができる。n−ブチルアミンの吸着量が8μmol/g以下であるアナタース型酸化チタンとしては、例えば、堺化学工業株式会社製SSP−25等が使用でき、その水分散液としては、例えば、堺化学工業株式会社製CSB−M等が使用できる。
ハロゲン化合物としては、特に限定されないが、一般的なハロゲン化合物を使用できる。ハロゲン化合物が、フッ素化合物である場合、例えば、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素酸が挙げられ、これらの中でも、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム及びフッ化水素酸が好ましい。ハロゲン化合物がヨウ素化合物である場合、ヨウ化水素、過ヨウ素酸、ヨウ化アンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化合物が臭素化合物である場合、臭化水素酸、臭化アンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化合物が塩素化合物である場合、塩酸、塩化ナトリウム、次亜塩素酸が挙げられる。
酸化チタン1g当たりのn−ブチルアミンの吸着量の測定方法は以下の通りである。つまり、130℃で2時間乾燥した酸化チタンのサンプル1gを、50mLの共栓付き三角フラスコにて精秤し、これにメタノールで希釈した0.003規定濃度のn−ブチルアミン溶液を30mL加える。次いで、これを1時間超音波分散させた後、10時間静置し、その上澄み液を10mL採取する。そして、採取した上澄み液を、メタノールで希釈した0.003規定濃度の過塩素酸溶液を用いて電位差滴定し、そのときの中和点における滴定量からn−ブチルアミンの吸着量を求めることができる。
また、酸化チタン(IV)は、基材に担持することで、光の照射や、光触媒の飛散防止を効果的に行うことができる。基材としては、特に限定されないが、一般的なフィルタ基材を使用でき、金属、プラスチック、合成樹脂繊維、天然繊維、木材、紙、ガラス、セラミックなどが挙げられ、金属やセラミックやガラスなどが適している。プラスチックや紙を基材として用いる場合は、基材表面にシリコーンやフッ素樹脂、シリカなどを被覆して酸化チタンを担持してもよい。
基材の形状は特に限定されないが、板状、網状、ハニカム状、繊維状、ビーズ状、スリット状、発泡体形状など、フィルタ状にすると光の照射と空気の接触を効率的に行なうことができる。板状のフィルタであれば、板に孔を空けたパンチング形状、繊維を編みこんだ編物形状、繊維を接着した不織布形状など、開口を備えたものが好適である。板状であれば、板をプリーツ状に折ってフィルタの表面積を広げることによって圧力損失を低減させてもよい。
基材にガラス繊維織物を用いると、光や放射線に対する耐久性が強く、有機合成繊維や紙よりも酸性のバインダーによる化学的腐食を受けにくく好適である。また、ガラス繊維は光透過性および光散乱性を有するため、ハロゲン含有酸化チタンに光を照射する場合には、効率的に光を照射することができる。ガラス繊維の材質としては、石英ガラス、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Aガラスなどが挙げられる。繊維形状は特に限定されないが、単繊維よりも、4〜9μmの径を有する短繊維ガラスを複数束ねた繊維束によって形成することが好ましい。繊維束は50本〜6400本程度の任意の本数を束ねて利用することができる。複数の短繊維ガラスを束ねた繊維束に酸化チタンを担持すると、繊維間に酸化チタン粒子が入りこみあるいは付着して固定化される。太い単繊維の表面に酸化チタンを担持する場合に比べて、繊維間に酸化チタンを保持することができるため、担持量を増やすことができる。また、繊維間に入り込んだ酸化チタン粒子は繊維にはさまることによって強固に固定化されるとともに、外部から衝撃が加わった場合にも繊維を介して衝撃が伝わるので脱落しにくいという作用を得ることができる。
バインダーを使用する場合、NaO、KO、LiOなどのケイ酸塩からなるアルカリシリケート、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾルなどの無機コロイド、シリカ、ケイ素、チタンなどのアルコキシド類とその加水分解物などが挙げられる。なお、Naなどのアルカリ成分は酸化チタン(IV)の結晶性を低下させ、性能を低下させることがあるため、バインダーとしては、主成分がSiOであることがのぞましく、シリカゾルまたはシリカアルコキシド類の加水分解物などが好適である。
ケイ素のアルコキシド類としては、テトラエトキシシランおよびその重合体であるメトキシポリシロキサン、エトキシポリシロキサン、ブトキシポリシロキサン、リチウムシリケートなどが挙げられ、チタンのアルコキシド類としては、テトラプロポキシチタンおよびその重合体などが挙げられる。これらの金属アルコキシド類は、水と酸によって加水分解され、バインダーとして用いることができる。チタンアルコキシドの場合、加熱処理することによって、それ自身に光触媒作用を持たせることができる。
バインダーは酸性であることが好ましく、ケイ素、チタンなどを酸で加水分解した物や酸性のシリカゾル、アルミナゾルなどが挙げられる。ケイ素、チタンなどを酸で加水分解する場合には、塩酸、硫酸などを用いてpHを1〜5に調整するとよい。シリカゾルを用いる場合には、pH2〜4、粒子径10〜50nm程度のものが好適である。pHが中性あるいはアルカリ性のシリカゾルを用いると、ハロゲンを含有する酸化チタンを添加した際にゲル化をおこし、基材に均一に担持することが困難になることが多い。
Na、K、NHなどの陽イオン成分がバインダーに含まれていると、ハロゲンとの反応の進行および酸化チタン(IV)表面への吸着により、抗菌性能の低下が発生することがあり、上記陽イオン成分は極力少ないほうがよい。例えば、バインダー溶液にNaが含まれている場合には、Na濃度がNaOとして0wt%より大きく0.05wt%以下であることが好ましい。
ガラス繊維織物の目付け量としては10〜900g/mのものが好ましく、製造を容易にするためには100〜400g/mのものを選択するとよい。また、織物の織り方は、平織、綾織、朱子織、からみ織り、模紗織など、どのような織り方でもかまわないが、形状安定性の観点から模紗織が好ましい。糸の密度としてはタテ・ヨコの繊維束が20〜40本/25mm、厚さは0.1〜2mm、引張り強度100N/25mm以上が好ましい。
基材にハロゲン含有酸化チタンを担持する方法としては、ディップコート、スプレーなどが挙げられるが、基材にハロゲン含有酸化チタンが固定化できればいかなる手段でもよい。1回の処理で担持量が十分でなければ、複数回の処理工程を繰り返してもよい。また、担持後に、乾燥機で50〜700℃程度の温度で0.01〜5時間程度加熱することによりバインダーを収縮させて基材に強固に固定化してもよく、90〜150℃で0.1時間の加熱がさらに好適である。このような加熱乾燥処理を行う場合には、基材の主成分をガラス、セラミックスで構成することが望ましい。
ハロゲン含有酸化チタンの粒子径は、繊維の直径よりも小さいほうが好ましい。ハロゲン含有酸化チタンが繊維の直径よりも小さいため、ハロゲン含有酸化チタンが繊維間の編目や重なり部分に入り込みやすく、強固に固定化されるという効果を得ることができる。その結果、ハロゲン含有酸化チタンの担持量を増加させることができる。ハロゲン含有酸化チタンの粒子径は、一次粒子径として6〜100nm程度であるが、実際は一次粒子が凝集して0.1〜100μm程度の二次粒子になっていることが多い。ここでいうハロゲン含有酸化チタンの粒子径は二次粒子の状態を示し、ハロゲン含有酸化チタンを編物に分散させる際に繊維の編目や重なり部分に入り込みやすいことが必要である。
このようにして作製されたハロゲン含有酸化チタンと、紫外線光源を用いて、抗菌成分を液中に生成することができる。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明するが、本発明は、以下の記載に何ら限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
<1>.ハロゲン含有酸化チタンの調製
酸化チタン(商品名:SSP−25、堺化学工業株式会社製、アナタース型、粒径:5〜10nm、比表面積:270m/g以上)の濃度が150g/Lとなるように酸化チタンに純水を加え、これを撹拌して、酸化チタン分散液を調製した。この酸化チタン分散液に、酸化チタンに対してフッ素(元素)に換算して3重量%に相当するフッ化水素酸(和光純薬社製、特級)を添加し、pH3に保持しながら25℃で60分間反応させた。得られた反応物を水洗した。水洗は、反応物を濾過して回収される濾液の電気伝導度が1mS/cm以下となるまで行った。そして、これを空気中において130℃で5時間乾燥させてフッ素含有酸化チタンを調製した。
<2>.ハロゲン含有酸化チタンを担持したフィルタの作製
得られたハロゲン含有酸化チタンとシリカ系のバインダー(Na成分がNaO濃度として0.05wt%以下、pH=3、SiO濃度20wt%のシリカゾル)と精製水を混合し、ボールミルで24時間分散混合してスラリーを作成した。出来上がったスラリーに、基材として開口率15%のガラス繊維織物をディップしてハロゲン含有酸化チタンを含浸させ、エアブローして余剰液を排除した後、120℃の乾燥機で30分乾燥させ、ハロゲン含有酸化チタンを含むフィルタを作成した。同様のディップ作業を繰り返し、ハロゲン含有酸化チタンとバインダーを合わせた担持量を500g/mにした。フィルタの基材となるガラス繊維織物は、目付け量354g/m、糸の密度11×3本/25mm(タテ・ヨコ同じ)の模紗織、厚さは0.42mmのものを用いた。作成したフィルタの開口率は約15%であった。
<3>.抗菌成分の発生量の測定
作製した光触媒フィルタを、長さ5cm、幅2cmの短冊状に裁断し、直径3cm深さ10cmのガラス試験管に挿入した。さらに試験管に反応原液の50mMのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を10ml加えた。リン酸緩衝生理食塩水に空気を送気するために試験管内に直径3mmのテフロン(登録商標)チュープにて空気配管を設けた。配管の先端には、微細な気泡を放出できるようセラミック多孔体の散気管を設置した。尚、配管の先端は、光触媒フィルタの下方になるように配置した。この状態で配管よりダイアフラム型ポンプで空気を0.1ml/minの流量で液中に送気した。
試験管の外側には、試験管を挟むようにブラックライトを5mW/cmとなるように照射し、12時間空気を流通させて、フィルタから発生する抗菌成分を液中に捕集した。12時間後、試験管内の反応液を回収し、液体中の抗菌成分である次亜塩素酸の定量を行った。次亜塩素酸の測定は、DPD法による遊離塩素測定試薬(HACH社製)を使用し、直読水質分析計で遊離塩素濃度を測定した。その結果を図2に示す。
(比較例1)
比較例1として、捕集液のリン酸緩衝生理食塩水に替えて、蒸留水を用いた以外は、実施例1と同様にして抗菌成分の発生量の測定を行った。その結果を図2に示す。
(比較例2)
比較例2として、実施例1と同様の方法において、紫外線の照射を行わずに暗所にて抗菌成分の発生量の測定を行った。その結果を図2に示す。
また、実施例1および比較例1から2の条件について一覧を表1に示す。
Figure 0005540721
図2に示すように、実施例1のフィルタは、12時間後に約0.17mg/Lの次亜塩素酸が検出された。一方、比較例1のフィルタは検出下限以下(0.01mg/L未満)、比較例2のフィルタは約0.01mg/Lであった。オキソ酸であるリン酸塩と、ハロゲン化合物として塩化ナトリウムを反応液中に含有させ、気体をバブリングさせながら光触媒フィルタに光照射をすることによって、抗菌成分である次亜塩素酸がフィルタ上から放出されていることが確認された。
光触媒を液中で光触媒反応によって抗菌成分を選択的に生成する方法を提供することができ、配水設備の除菌や排液の除菌などの用途にも適用できる。
1 抗菌処理水生成装置
2 液体
3 気体
4 貯留部
5 光触媒
6 光源
7 配管
8 気体混合手段
9 酸素検知手段
10 給気バルブ
11 液位検知手段
12 入水口
13 抗菌成分検知手段
101 第1の電極
102 第2の電極
103 イオン透過性隔膜
104 第1の電解槽
201 原料ガス
202 第1放電部
203 酸素補給口
204 第2放電部

Claims (2)

  1. 反応原液のリン酸緩衝生理食塩水および酸素を含有する気体を貯留して反応を行なう貯留部と、前記貯留部に貯留された前記反応原液に一部または全体が接触するように設置された光触媒としてフッ素が酸化チタン(IV)に少なくとも一部が化学結合しているフッ素含有のアナタース型酸化チタンを担持したフィルタと、前記フィルタに光を照査する光源と、前記反応原液中に前記気体を混合して前記気体を前記光触媒と接触させるための気体混合手段と、を備え、前記気体混合手段によって前記気体をバブリングさせながら前記フィルタに前記光源によって光照射をすることによって、抗菌成分である次亜塩素酸を前記フィルタ上から前記反応原液中に放出させる抗菌処理水生成装置。
  2. 請求項1の抗菌処理水生成装置によって抗菌処理水である次亜塩素酸を生成する工程と、前記抗菌処理水を対象物と接触または混合させて対象物を抗菌処理する工程を含む抗菌処理方法。
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