JP5845223B2 - 建物解体用圧砕機の破砕爪の溶接方法 - Google Patents

建物解体用圧砕機の破砕爪の溶接方法 Download PDF

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Description

本発明は、建物の解体を行う圧砕機に用いる破砕爪の爪先部の耐摩耗性を向上するようにした建物解体用圧砕機の破砕爪の溶接方法に関する。
近年において解体工事の対象となる建物は、高度経済成長期に建てられた建物に比べて相当高いコンクリート強度及び堅牢性を有するものである。このため、建物を解体する際に用いる圧砕機には、高度な堅牢性や耐摩耗性を有する破砕爪を使用することが要求される。
また、近年において解体すべき建物は、RC構造の他、SRC構造の需要も増え、建物の高層化に伴って、解体重機を上層階に上げる必要のある現場も増加している。従って、このような現場においては、解体重機を設置した上層階より地上階に至るまで、ノーメンテナンスで解体作業を終えることができるように、圧砕機の破砕爪を長寿命化する必要がある。
さらに、解体現場においては、解体物の仕分け作業、鉄骨、鉄板等のつかみ等のような細かな作業ができるように、圧砕機に設けた破砕爪の耐摩耗性及び靭性が重要視される状況となっている。
ここで、上記のような圧砕機に用いられている破砕爪の現状について、以下に述べる。
(1)従来の破砕爪としては、主に鋳鉄製品が多く用いられ、圧砕機のアームの先端に溶接接合するという作業上、溶接熱により爪先の焼き入れ硬度が低下するという難点がある。
(2)耐摩耗性鋼板のブリネル硬度(HB)が500相当のものとして、エバーハード鋼、スミハード鋼、ウェルハード鋼、ハルドックス鋼等を爪先に用いる場合もあるが、各鋼材はいずれも熱に弱く、250℃で硬さが低下する。また、各鋼材は、ガス切断による熱影響によって硬度が低下する。さらに、破砕爪の爪先が磨耗することによって、爪先の噛み合わせ隙間を零に保つ性能に難点が生じる。
(3)破砕爪の爪先に表面硬化棒溶接を施すことによって耐摩耗性を持たせるようにした従来の方法は、あくまでも表面2、3層の硬化溶接であり、硬化棒層が摩耗すると、溶接熱によって硬度が低下している母材は、一気に摩耗が進むという不都合が生じる。
(4)上記のように、従来の破砕爪は、爪先の噛み合わせ隙間を零に保持する期間が短いため、爪先の先端形状の断面積を大きく取ることによって耐摩耗性を持たせることがある。しかしながら、爪先が尖がっていないため、解体物への食い込みが悪くなり、このように爪先が解体物へ食い込まない場合、シリンダーの推力によって爪先がコンクリート面を滑るため、滑り摩擦により摩耗が進むことになる。
このように、圧砕機に用いられている従来の爪先は、種々の問題を有するものである。そこで、そのような問題を解消すべく、公知の特許文献を調査した結果、後述する特許文献1のように、圧砕機の作業能率を向上するようにした技術は存在するが、圧砕機の爪先の硬度や靭性等を向上する技術は見出すことができなかった。
特開平7−26739号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、建物の解体を行う圧砕機に用いる破砕爪の爪先部を高硬度且つ高靭性の材料で形成することによって、耐摩耗性を向上するようにした建物解体用圧砕機の破砕爪の溶接方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1における建物解体用圧砕機の破砕爪の溶接方法は、建物解体用圧砕機のアームの先部を構成する破砕爪の先端に熱間金型工具鋼としてSKD61を溶接することによってSKD61による爪先部を形成する建物解体用圧砕機の破砕爪の溶接方法において、破砕爪の先端と爪先部の後端の両側に開先角度を設け、破砕爪の先端頂部と爪先部の後端頂部との間に隙間を設けて向かい合わせた状態で、破砕爪の先端頂部の中心箇所と爪先部の後端頂部の中心箇所とを点付け溶接すると共に、破砕爪と爪先部との間に片側ずつ両側へ交互に複数層の溶接を行うことによって破砕爪の先端と爪先部の後端とを溶接した後、この破砕爪にSKD61の爪先部を溶接した状態で、SKD61の熱処理条件にて、焼きなまし、焼き入れ及び焼き戻しを行うことで単体の破砕爪を形成し、さらに破砕爪の後端とアームの先端の両側に開先角度を設け、破砕爪の後端頂部とアームの先端頂部とを向かい合わせた状態で、破砕爪の後端頂部とアームの先端頂部とを溶接すると共に、破砕爪とアームとの間に片側ずつ両側へ交互に複数層の溶接を行うことによって、破砕爪の後端とアームの先端とを溶接するようにしたことを特徴とする。
本発明は、圧砕機に用いるアームの先部を構成する破砕爪の耐摩耗性を向上するため、高硬度且つ高靭性の材料として、熱間金型工具鋼の中からSKD61を選択し、この材料を破砕爪の先端に溶接することによって爪先部としたものである。
上記のように、本発明においては、熱間金型工具鋼の中から、高硬度且つ高靭性の材料としてSKD61を用い、このSKD61を破砕爪の先端に溶接することによって破砕爪の先端にSKD61による爪先部を形成した構成としている。このため、破砕爪の爪先部において、SKD61の高硬度且つ高靭性の特質が作用することにより、破砕爪の耐摩耗性を向上することが可能となる。
また、このように破砕爪の爪先部としてSKD61を溶接したことにより、解体現場の破砕作業においては、破砕爪の爪先部が丸みを帯びて摩耗するのではなく、先端が尖がった状態に磨耗する現象が確認されている。このように、破砕爪の先端が尖がった爪先部の場合、コンクリートへの食い込みが良く、破砕効率が向上するという利点を有し、破砕爪のメンテナンスに要する頻度や労力や削減され、圧砕機への負担が少ない等の施工性を向上することが可能となる。
本発明の実施例において、破砕爪の先端に爪先部としてSKD61を直接溶接した状態を示す側面図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施例において、単体の破砕爪の後端をアームの破損又は磨耗した先部に溶接した状態を示す側面図である。 本発明の実施例における破砕爪とSKD61による爪先部との両側面に流れ止め板を当てて溶接する状況を示す透視的斜視図である。 本発明の実施例において、破砕爪の先端にSKD61による爪先部を溶接する方法を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。 (a)〜(d)は、本発明の実施例において、破砕爪の先端にSKD61による爪先部を溶接する手順を示す側面図である。 本発明の実施例において、SKD61に関する連続冷却変態曲線である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明者は、圧砕機に用いる破砕爪の爪先部の耐摩耗性を向上するため、高硬度且つ高靭性の爪先部に適する材料を追求した結果、熱間金型工具鋼の中から、後述する理由で、SKD61に焦点を当てることにした。
ところで、従来からSKD61は溶接性の炭素当量が高く(平均値1.9%)、通常の溶接方法では割れが生じるため、破砕爪の先端に溶接する溶接材には適格でないとされていた。
しかしながら、本来の溶接の定義に基づくならば、材料への予熱は活発な動きをする自由原子を材料内に生み出し、予熱温度が高ければ高いほど自由な原子が多く生まれ、溶接性が向上することが知られている。
また、本発明者は、上記した溶接の際の割れの発生原因について、溶接時の急激な温度変化による内部歪、特に溶接後に起こる急冷による行き過ぎた焼入れが原因ではないかと考えた。そして、その後の研究で、十分な予熱、パス間温度管理、また溶接後の熱処理として、焼きなまし、焼き入れ、焼き戻しを行うことにより、溶接熱の影響部の緩和と溶接部の欠陥を解消し、良好な溶接性能を確保することができるとの結論を得た。
さらに、本発明者による研究の成果として、熱間金型工具鋼の中でも高硬度且つ高靭性に優れた材料としてSKD61に注目し、この材料を用いて、後述する溶接方法により、割れの生じない良好な溶接性能を得ることができた。
なお、SKD61は、JIS記号で表記される熱間金型工具鋼であり、JIS・SKD61相当鋼として、本実施例では、大同特殊鋼株式会社のDHA1を使用している。
また、SKD61の主要な化学成分としては、C、Si、Mn、Cr、Mo、Vを含有する。各成分の含有率(%)は、C:0.32〜0.42、Si:0.80〜1.20、Mn:≦0.50、Cr:4.50〜5.50、Mo=1.00〜1.50、V:0.80〜1.20である。
ここで、圧砕機に用いる破砕爪の爪先部を形成する溶接材に上記のSKD61を選んだ理由について、以下に述べる。
(1)SKD61は、熱間金型工具鋼の中では炭素当量が低い。なお、冷間金型鋼、切削工具鋼は炭素量が多く、破砕爪の溶接材としては適格ではない。
(2)熱処理が空気中で行うことができる。即ち、焼きなまし徐冷、焼き入れ、焼き戻しを空冷で行うことができ、溶接部に影響が出ない。これに対して、油冷、水冷では、急冷になりすぎるため、溶接部に影響が出る。このため、耐衝撃工具鋼は、硬度は高いが、油冷、水冷であるため、溶接材としては適格ではない。
(3)SKD61は、焼き戻し温度が高いため(550〜580℃)、熱影響を受けにくい。合金工具鋼では、多くの物の焼き戻し温度が空冷180℃であり、溶接しても溶接熱、予熱、後熱で焼き入れ硬度が下がってしまう。これに対して、SKD61は、表面硬化棒の推奨後熱として600℃がほぼ実施可能である。これによって、表面硬化棒の剥離が出にくくなるという利点がある。また、後述する図2に示すように、アーム1とは別体に設けた破砕爪2の先端に爪先部3としてSKD61を溶接することにより、単体の破砕爪2を形成し、該単体の破砕爪2の後端をアーム1の破損又は磨耗した先部に溶接する場合、この溶接部4bと破砕爪2の先端に溶接したSKD61(爪先部3)とは離れた位置にあるため、焼き戻しによる硬度低下がない。
(4)ところで、上記の3点をクリアする熱間金型鋼には4種類ある。即ち、SKD6、SKD61、SKD62、SKD7である。これらの熱間金型鋼は、空冷であって、炭素量が比較的低い。しかも、焼き戻し温度が高いという条件を満たしているが、この4種類の中でも硬度が一番高いのがSKD61である。なお、SKD61の硬度は、HRC47〜52である。このため、本発明では、SKD61を溶接材として選んだ。
次に、上記のSKD61を破砕爪の先端に溶接する方法について述べる。
(1)SKD61の溶接形態としては、図1に示すように、アーム1の破砕爪2の先端にSKD61を直接溶接する(溶接部4aが該当する)ことによって爪先部3を形成する場合と、図2(a)に示すように、アーム1とは別体に設けた高張力鋼又は鋳鋼等による破砕爪2の先端に爪先部3としてSKD61を溶接する(溶接部4aが該当する)ことによって単体の破砕爪2を形成し、図2(b)に示すように、この単体の破砕爪2の後端をアーム1の破損又は磨耗した先部に溶接する(溶接部4bが該当する)場合とがある。
上記の図1の場合は、破砕爪2の先端に、爪先部3としてSKD61を直接溶接する場合であるため、溶接作業に本発明の技術を必要とする。一方、図2(a)、(b)に示す場合、本発明による技術を用いて、破砕爪2の先端にSKD61を爪先部3として溶接することによって、図2(a)に示すような単体の破砕爪2を形成し、この単体の破砕爪2を製品として市場に流通させることが可能となる。そして、この単体の破砕爪2を得た者は、通常の溶接技術によって、高張力鋼又は鋳鋼等による破砕爪2をアーム1の破損又は磨耗した先部に溶接することが可能となる。
(2)上記のように、SKD61を母材である破砕爪に溶接した後、溶接部及び母材側に表面硬化棒を溶接することによって、母材である破砕爪と溶接部の耐摩耗性を向上することが可能となる。
(3)溶接後に、後述する熱処理温度で熱処理を行う。
(4)熱処理はフレームハード(火炎焼き入れ)、またはそれに準ずる方法を用いる。
上記の溶接の際の熱処理温度についての条件は、次の通りである。
溶接予熱温度 450℃〜600℃
パス間温度 600℃以上
焼きなまし温度 820℃〜870℃徐冷
焼き入れ温度 1020℃〜1050℃空冷
焼き戻し温度 550℃〜580℃空冷
さらに、SKD61の大きさについて述べると、特に、大割機においては、爪先摩耗に関して、両爪先間が約30mm〜70mmに摩耗すると、解体現場においては、概ね用をなさなくなる。ゆえに、摩耗した爪先間に、大きさ40mm×40mm×100mm(アームの板厚)程度の小さな先端材としての材料を介在すればよいことになる。
しかしながら、従来の爪先は、焼き戻しによる硬度低下を避けるために、爪先自体の大きさは、約130mm×100mm×100mmと大きく、溶接棒の消費量と溶接時間を多大に費やするものであった。また、従来は、溶接入熱によるパス間温度の上昇により、連続溶接ができなくなり、待ち時間を要したのであった。
これに対して、溶接材をSKD61にした場合、小さな部材ですみ、溶接棒の使用量の低減や溶接時間の短縮が可能となる。さらに、予熱、溶接パス間温度管理、熱処理が容易になるという利点がある。
なお、現状では、溶接材として用いるSKD61を25mm×25mm×70mm〜45mm×45mm×150mm程度の大きさにして、破砕爪の先端に溶接するようにしている。
上記のように、破砕爪の溶接材としてSKD61を使用した利点について以下に述べる。
(1)SKD61の硬度はHRC47〜52で硬度が高く、最初からある程度、爪先部の先端を尖がらせているが、摩耗が進行すると共に、先端形状が丸く摩耗せず、逆に先端が尖がってくることが確認されている。このように先端の爪先部が尖がった破砕爪によって、コンクリートへの食い込みが良くなり、破砕効率が向上する。
また、このように爪先部の食い込みが良くなると、オペレーターへのストレスが低減する。さらに、圧砕機への負担が少なくなり、金属疲労の寿命が延びるという利点がある。また、油圧機器やホースへの負担が低減され、破砕機の稼動部であるピンやブッシュの磨耗が低減する。さらにまた、解体現場の効率化、油圧ショベルの燃費向上等によって、環境への負荷が低減することになる。
(2)SKD61の硬度がHRC47〜52という高硬度であることは、破砕爪の爪先部の表面のみにとどまらず、内部の芯まで高硬度合金鋼の特徴を有するため、芯まで焼きが入りやすい。ちなみにSKD61の成分は、C、Si、Mn、Cr、Mo、Vであり、焼入れ性が大きいのである。
(3)高温熱処理のため、圧砕爪の表面硬化溶接部へ熱が伝わり、硬化棒溶接部の靭性が高くなり、剥がれが少なくなる。
(4)爪先部としてSKD61を溶接した本発明の破砕爪を実際の現場で使用した結果として、激しい解体作業の現場において最も酷使される破砕爪の爪先部(SKD61)が欠けるようなことがあっても、溶接部が取れてしまうことは一度もなく、本発明の溶接方法が堅固であることは明らかである。
例えば、圧砕機の300φシリンダー(圧力280kg/cm)が作る推力は198トンであり、その機構上、1/3の破砕力を発揮するとして、約66トンの力がアームとその先端の爪先部に作用し、さらに油圧ショベルが作り出すブーム、アーム、バケットの複合動作による「こじる力」がアームの爪先部に加わった場合でも、アームの爪先部として溶接されたSKD61が取れることはなかった。
また、解体作業現場において、約100mm×300mmの断面積の120キロ級高張力鋼板のアームが折れることがあっても、
そのアームの先端に溶接されたSKD61が取れることはなかった。
実際の解体現場において、従来の約2倍〜3倍の摩耗寿命を延ばすことが可能であり、破砕力の小さい小型の圧砕機であればあるほど、破砕爪の爪先部が長寿命化していることが確認されている。
上記のように、本発明の圧砕機に用いた破砕爪の爪先部によれば、現場への圧砕機の入れ替え、または現場での溶接修理の不要、爪先交換の修理間隔の長期化等、省資源化、環境負荷の低減を実現することが可能となる。
以下に、具体的な実施例として、上記のSKD61を爪先部として破砕爪の先端に溶接する方法について述べる。
図1又は図2(a)、(b)に示すように、破砕爪2に爪先部3を溶接する際、破砕爪2の先端頂部2aとSKD61による爪先部3の後端頂部3aとの互いの開先角度が、例えばα=60°となるように形成する。また、図3又は図4(a)、(b)に示すように、破砕爪2の先端頂部2aと爪先部3の後端頂部3aとの間に隙間D(D=3〜4mm程度)を設けて向かい合わせる。
また、破砕爪2の先端付近の側面2bと爪先部3の後端付近の側面3bに流れ止め板5を当てた状態にする。この流れ止め板5は、図3に示すように、破砕爪2の先端頂部2aの両側部を固定部5a、5aとして流れ止め板5に溶接する。また、爪先部3の側面には段差3c、3cを形成して、上記のように破砕爪2の両側に固定した流れ止め板5、5を段差3c、3cに当てた状態で挟持する。
次に、本実施例において、溶接材(爪先部3)であるSKD61と母材(破砕爪2)である鋳鋼または高張力鋼との溶接について述べる。
まず、予熱は、段取りがあるため、高めの温度600℃で開始し、母材とSKD61の両方を暖める。なお、SKD61は、冷えた状態で仮付け(点付け)溶接をすると、その溶接部からSKD61側に熱を一挙に奪われてしまうことになる。また、SKD61を点付けで仮付けすると、溶接部に変形が生じるため、変形が生じないように拘束をする工夫が必要となる。
予熱の開始温度600℃は非常に冷め易いため、パス間温度保持のために、迅速な溶接、段取りを行う必要がある。従って、予熱を所定温度に確保するために、再加熱を要する場合もある。
上記の図1又は図2で示したように、例として、開先60°とし、破砕爪2の先端頂部2aと爪先部3の後端頂部3aとの間に約3〜4mmの隙間Dを設け、図3又は図4(a)、(b)に示すように、破砕爪2の先端頂部2aと爪先部3の後端頂部3aとの中央箇所を点付け溶接6で固定する。
次いで、図5(a)〜(d)(この図は流れ止め板5を省略してある)に示すように、破砕爪2の先端部と爪先部3の後端部と溶接する。即ち、この溶接においては、図5(b)に示すように最初の一層目の溶接7aを片側に行うと、この溶接7aの冷却に伴う収縮によって爪先部3は溶接7a側へ引かれて爪先部3dのように傾斜する。
さらに、図5(c)に示すように、溶接7aの反対側へ溶接7bを行うことによって、その溶接7bの冷却に伴う収縮によって爪先部3は、上記とは反対側の溶接7b側へ引かれて爪先部3eのように復帰する。そして、このような溶接を両側へ交互に複数層行い、図5(d)に示すように生じた余盛り8a、8bをグラインダーで削ることによって仕上げ面9とすることが可能である。
上記の溶接方法としては、1.2ミリソリッドワイヤーを用いて270A〜350Aの溶接電流で食い込ませるように溶接する。このとき、溶接で発生するフラックス、不純物の巻き込みがないように注意する必要がある。また、フラックス等を圧縮エアーで作用させるジェットタガネはSKD61に当てないようにする。その理由は、高温時のSKD61にジェットタガネの芯が接触するとSKD61に傷が容易に発生し、従ってこの傷が割れの原因となる可能性がある。
また、表層溶接は電流270A程度にして余盛りを行い、グラインダー仕上げで溶接の段差をなくすようにする。さらに、600℃の状態で、溶接部に、素早く、表面硬化棒(ブリネル硬度約600)を溶接する。ただし、SKD61には表面硬化棒を溶接しないように注意を要する。
次に、溶接後の焼きなましについて述べる。
上記の溶接の後、付着スパッタ、フラックス、SKD61に付いたスケール等をグラインダーを用いてすばやく除去する。その後、なるべく冷さないようにして、フレームハード(火炎焼き入れ)で、焼きなまし温度(820℃〜870℃)まで加熱する。この加熱後、40mm厚のグラスウールにて保温しつつ徐冷を行う。その後、SKD61の表面に湧き出ているスケールを除去し、白無垢状態とする。これは、スケールが残っていると、焼き入れ時の焼きむらが生じるからである。
次に、焼き入れについて述べる。
上記の徐冷後、溶接部等が常温まで下がっていることを確認し、焼入れ加熱後、空冷する。焼入れ温度は、1020℃〜1050℃であるが、フレームハード(火炎焼き入れ)においては、900℃程度を限界とする。これよって、硬度が上がらず、HRC47〜48程度の硬度になるが、むしろ靭性は高くなる。次いで、この焼き入れ後に空冷を行い、常温になったことを確認して、グラインダーを用いてスケールを除去する。
次に、焼き戻しについて述べる。
焼き戻し加熱は、550℃〜600℃で行う。この焼き戻し加熱は、SKD61の表面温度を一挙に昇温するのではなく、徐々に温度を上げることによって、SKD61内の芯から昇温する必要がある。このため、フレームハード(火炎焼き入れ)の場合は、遠火で加熱をする。この加熱後に空冷を行った後、亀裂のないことを点検して、焼き戻しを終了する。
上記の本発明における、SKD61に関する熱処理の特殊性について述べる。
本来、SKD61に関する熱処理データは、SKD61のみの熱処理データであって、従来から、SKD61と母材を溶接した状態での熱処理データは存在しない。よって、SKD61に関して行う熱処理は、母材が付いているとはいえ、SKD61のみの熱処理データに近づける必要があると思われる。
例えば、加熱は、SKD61が母材よりも小さいので、早く温度が上がってしまう。従って、母材へと熱が移行して急冷となるため、母材への加熱が必要となる。実際の加熱は、母材とSKD61の間の溶接部辺りを加熱することで急冷を回避する。
逆に言えば、母材の温度コントロールによって、冷却時間調整ができ、
硬度コントロールを行うことが可能となる。また、夏場と冬場等の四季の温度変化に対する温度管理を必要とする。例えば、夏場は、母材への予熱(加熱)を控え目にする。冬場は、十分に母材への予熱を行い、場合によっては、溶接環境をコンパネ等で覆い、空気が流れないようにする。また、ストーブ等を用いることによって、溶接環境を昇温する必要もある。
さらに、作業日の気温、母材の体積によって、加熱の仕方が変わってくるが、いずれにしても、図6のSKD61に関する連続冷却変態曲線を守る必要がある。なお、図6に示す連続冷却変態曲線は、成分含有率(%)が、C:0.37、Si:1.01、Mn:0.42、Cr:5.20、Mo=1.12、V:0.85、オーステナイト化:1030℃×10minのSKD61に関する連続冷却変態曲線である。この図に示す各冷却時間に対応して得られる硬度HRCは、66.4、65.8、65.5、65.2、63.7、62.5、54.6、52.4、46.1、40.7であり、SKD61の硬度がHRC47〜48程度となるように冷却時間を取ることによって、SKD61の靭性を確保することが可能となる。
本発明の建物解体用圧砕機の破砕爪の溶接方法は、建物の解体に用いる圧砕機の破砕爪における爪先部を高硬度且つ高靭性の材料としてSKD61で形成することによって、耐摩耗性を向上するようにした建物解体用圧砕機の破砕爪の溶接方法として利用可能である。
1 アーム
2 破砕爪
2a 破砕爪の先端頂部
2b 破砕爪の側面
3 爪先部(SKD61)
3a 爪先部の後端頂部
3b 爪先部の側面
3c 段差
3d 傾斜した爪先部
3e 復帰した爪先部
4a 爪先部と破砕爪との溶接部
4b 破砕爪とアームとの溶接部
5 流れ止め板
5a 流れ止め板の固定部
6 点付け溶接
7a 最初の一層目の溶接
7b 反対側の一層目の溶接
8a、8b 余盛り
9 グラインダー仕上げの面
D 破砕爪の先端頂部と爪先部の後端頂部との隙間

Claims (1)

  1. 建物解体用圧砕機のアームの先部を構成する破砕爪の先端に熱間金型工具鋼としてSKD61を溶接することによってSKD61による爪先部を形成する建物解体用圧砕機の破砕爪の溶接方法において、破砕爪の先端と爪先部の後端の両側に開先角度を設け、破砕爪の先端頂部と爪先部の後端頂部との間に隙間を設けて向かい合わせた状態で、破砕爪の先端頂部の中心箇所と爪先部の後端頂部の中心箇所とを点付け溶接すると共に、破砕爪と爪先部との間に片側ずつ両側へ交互に複数層の溶接を行うことによって破砕爪の先端と爪先部の後端とを溶接した後、この破砕爪にSKD61の爪先部を溶接した状態で、SKD61の熱処理条件にて、焼きなまし、焼き入れ及び焼き戻しを行うことで単体の破砕爪を形成し、さらに破砕爪の後端とアームの先端の両側に開先角度を設け、破砕爪の後端頂部とアームの先端頂部とを向かい合わせた状態で、破砕爪の後端頂部とアームの先端頂部とを溶接すると共に、破砕爪とアームとの間に片側ずつ両側へ交互に複数層の溶接を行うことによって、破砕爪の後端とアームの先端とを溶接するようにしたことを特徴とする建物解体用圧砕機の破砕爪の溶接方法
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