以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る使用電力制御システムの一実施の形態を示した全体構成図である。図1には、電力を利用する家屋、ビル等電力需要者側の設備としての需要者側設備1と、電力供給側(電力会社)又は独立したサービス事業者の設備として、発電所等の発送電設備2、送電線3を介して高圧で送られてきた電力を、需要者側設備1で利用する100V又は200V等に降圧してから引込線4を介して需要者側設備1に供給する降圧設備5、及び通信路6を介して発送電設備2から送られてくる発電能力情報を受信する管理サーバ30が示されている。発送電設備2から需要者側設備1に電力を供給する電力供給側の設備自体は、従前と同じでよい。
図1には、更に、需要者側設備1側に、引込線4を介して供給される電力を受けるブレーカ、分電盤(以下、「分電盤」)7、1又は複数の電気機器8が接続される1又は複数のコンセント9、分電盤7から各コンセント9へ100V又は200V等の電力を供給する配線としての分電配線10、電力制御装置40及びアダプタ60が示されている。アダプタ60は、電気機器8とコンセント9との間に配設される。つまり、アダプタ60は、接続された電気機器8に対してコンセント9からの電力を供給することになるが、本実施の形態の場合、後述するように電力制御装置40からの指示に従い電気機器8への電力の供給/停止という電力の供給制御を行う。
通信網11は、インターネット、固定電話網、携帯電話網、あるいはこれらを組み合わせて構成される情報通信ネットワークである。電力制御装置40は、この通信網11を介して管理サーバ30と接続される。一方、電力制御装置40は、需要者側設備1内のアダプタ60と無線により接続される。電力制御装置40とアダプタ60との間の無線通信は、無線LAN,ZigBee(登録商標)、特定小電力無線等、通信可能であれば無線通信方式を限定する必要はない。
なお、図1では、1台の電力制御装置40が需要者側設備1内の全てのアダプタ60との間で通信を行うように図示しているが、需要者側設備1内の全てのアダプタ60との通信を、複数の電力制御装置40で分担して行うようにしてもよい。複数の電力制御装置40を設ける場合でも、各電力制御装置40には同等の処理機能を持たせればよいので、本実施の形態では、1台の電力制御装置40のみを示して説明する。また、本実施の形態における電力制御装置40は、アダプタ60とは無線接続するように説明したが、電力制御装置40とアダプタ60との位置関係によっては有線でもよいし、有線と無線とを組み合わせて接続してもよい。管理サーバ30との接続に関しても同様である。
また、電力制御装置40は、電力の供給制御対象とするアダプタ60と通信ができればよいので、需要者側設備1の中に必ずしも設置して使用する必要はなく、電力供給側(電力会社)又は独立したサービス事業者の設備側に設置してもよい。あるいは、電力制御装置40を別個に設けずに、電力制御装置40の機能を管理サーバ30に持たせるように構成してもよい。
図2は、本実施の形態における電力制御装置40のハードウェア構成図である。本実施の形態における電力制御装置40は、一般的なコンピュータにて実現される。このコンピュータは、図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24を接続したHDDコントローラ25、入力手段として設けられたマウス26とキーボード27、及び表示装置として設けられたディスプレイ28をそれぞれ接続する入出力コントローラ29、通信手段として設けられたネットワークコントローラ18を内部バス19に接続して構成される。なお、本実施の形態においては、基本的には、ユーザインタフェース手段に相当する入力手段及び表示装置を必ずしも用いる必要はないが、本実施の形態の変形例や後述する実施の形態において用いる場合があるため図示した。また、管理サーバ30は、サーバコンピュータにて実現してもよいので、そのハードウェア構成は図2のようになる。また、アダプタ60には、HDDや表示装置は搭載されていないが、CPU、ROM、RAMなどの構成が内蔵されている。
図3は、本実施の形態における管理サーバ30のブロック構成図である。本実施の形態における管理サーバ30は、通信部32、節電情報生成部33、節電要求部34、制御部35及び記憶部36を有している。通信部32は、電力制御装置40との間でデータ通信を行う。節電情報生成部33は、電力の供給予測値及び需要予測値から電力供給量が不足するか否かを判定し、不足と予測した場合に、要求する節電に関する節電情報を生成する。節電情報には、節電目標(電力供給能力の不足率又は不足量)及び当該節電が必要な時間帯が含まれる。記憶部36には、過去の使用電力量が電力需要の実績値として蓄積されており、節電情報生成部33は、この実績値に対して、必要により過去の使用電力量の推移、平日/休日、天気、気温、季節変動天候等の条件を考慮した補正を行うなどして需要予測値を算出する。節電情報生成部33は、また、発送電設備2から送られてくる発電能力情報を供給予測値として用いる。あるいは発電能力情報に必要により補正を行うなどして供給予測値を算出する。節電要求部34は、節電情報に基づく節電要求情報を節電要求先となる電力制御装置40へ送信することによって節電を要求する。本実施の形態においては、節電情報に含まれる情報がそのまま節電要求情報として用いられる。そして、節電要求情報は、全ての電力制御装置40を節電要求先として通信部32経由で送信される。制御部35は、各構成要素32〜34と連携動作して、管理サーバ30における処理機能を実現する。
管理サーバ30における各構成要素32〜35は、管理サーバ30を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、記憶部36は、管理サーバ30に搭載されたHDD24にて実現される。もちろん、外部に存在する記憶手段を記憶部36として用いてもよい。
図4は、本実施の形態における電力制御装置40のブロック構成図である。本実施の形態における電力制御装置40は、通信部41、無線通信部42、節電対象決定部43、制御指示部44、情報収集部45、優先度決定部46、制御部47、使用電力量情報記憶手段として設けられた使用実績情報記憶部51、利用特性情報記憶手段として設けられた利用特性情報記憶部52、優先度候補情報記憶手段として設けられた節電制御パターン記憶部53及び優先度情報記憶部54を有している。通信部41は、管理サーバ30との間でデータ通信を行う。無線通信部42は、電力の供給制御対象とするアダプタ60との間で無線によりデータ通信を行う。ここで、「電力の供給制御対象とするアダプタ60」というのは、需要者側設備1に設けられたアダプタ60のうち当該電力制御装置40が通信を行って電力の供給制御、すなわち電力の供給/停止を実行させるアダプタ60のことをいう。これは、複数の電力制御装置40が需要者側設備1に設けられている場合、需要者側設備1内の全てのアダプタ60を各電力制御装置40に分担して電力の供給制御を行うことになるので、自電力制御装置40が電力の供給制御を行わないアダプタ60は除くという意味である。ただ、本実施の形態では、便宜的に1台の電力制御装置40のみを図示し、需要者側設備1の全てのアダプタ60を制御対象としているので、以下の説明では「電力の供給制御対象とするアダプタ60」を単に「アダプタ60」と称することにする。節電対象決定部43は、節電対象決定手段として設けられ、入力された節電要求情報に応じて、使用実績情報記憶部51に蓄積された使用電力量情報及び優先度決定部46により決定された優先度を参照することによって電力の供給を停止すべき優先度を決定する。アダプタ60には、後述するように電気機器8がそれぞれ接続される1又は複数のコンセント70が設けられているが、指示情報送信手段として設けられている制御指示部44は、優先度決定部46により決定された各コンセント70の優先度と節電対象決定部43により決定された優先度とを照合することで電力の供給を停止させるコンセント70を特定し、その特定したコンセント70を有するアダプタ60に対して当該コンセント70からの電力の供給を停止させるための停止指示情報を無線通信部42を介して送信する。本実施の形態の場合、指示情報として、コンセント9と電気機器8とを遮断することで電力の供給を停止させる停止指示情報と、コンセント9と電気機器8とを接続することで停止された電力の供給を開始させる開始指示情報と、がある。情報収集部45は、無線通信部42を介してアダプタ60から送られてくる電力の使用実績情報を収集し、使用実績情報記憶部51に登録する。優先度決定部46は、優先度決定手段として設けられ、使用実績情報記憶部51に蓄積された使用実績情報及び利用特性情報記憶部52に登録されている利用特性情報に基づき電力利用の分析処理を行うことによってコンセント70それぞれに接続された電気機器8を推測し、その推測した電気機器8に基づき節電制御パターン記憶部53に登録されている節電制御パターンを参照することによって、コンセント70それぞれに設定する優先度を決定する。なお、本実施の形態において推測するのは、型番や商品番号で識別されるような電気機器の機種ではなく、誘導灯、テレビ等電気機器の種類である。制御部47は、各構成要素41〜46と連携動作して、電力制御装置40における処理機能を実現する。
図5は、本実施の形態における利用特性情報記憶部52に予め登録されている利用特性情報のデータ構成の一例を示した図である。利用特性情報は、コンセント70に接続されて使用される各電気機器8の利用に関連する情報である。図5には、説明の便宜上、4種類の電気機器8についての利用特性情報の例を示したが、予め登録しておく利用特性情報は、これに限るものではない。図5に例示したように、各電気機器8に対し、待機時間、稼動時間、待機時使用電力量、稼働時使用電力量、稼働時平均電力量、立上り時間、立下り時間及び遷移回数という電気機器8の利用特性を表す各指標項目が設定されており、各指標項目に対する利用特性値が電気機器8毎に設定される。本実施の形態では、利用特性値には、各電気機器8につき一般的、代表的なモデル機器の数値を設定することにする。つまり、図5において、文言で表記した部分に各機器においてモデル機器の数値が設定される。本実施の形態では、後述するように使用実績情報と利用特性情報記憶部52に登録されている利用特性情報とを参照することによってコンセント70それぞれに接続された電気機器8を推測することになるが、一般的なモデル機器の利用特性値を使うことで実際に接続された電気機器8との利用特性にずれが生じてくる可能性がある。ただ、1つの指標項目だけで電気機器8を正しく推測できないような場合でも、複数の指標項目の利用特性値を組み合わせて分析を行った結果、他の電気機器8との利用特性の差異が明確となり、最終的に実際にコンセント70に接続された電気機器8が推測できればよい。誘導灯の待機時間のように待機している時間がないような場合には、必ずしも利用特性値を設定する必要はない。逆に具体的数値が設定されていないことが当該電気機器8の利用特性を表す特徴ということができる。
図6は、本実施の形態における節電制御パターン記憶部53に予め登録されている節電制御パターンのデータ構成の一例を示した図である。節電制御パターンは、電気機器8に対してそれぞれ設定すべき優先度の候補が予め設定された優先度候補情報に相当し、各電気機器8に対して優先度が設定されている。本実施の形態では、一例として3つのレベルの優先度を設定できるようにした。図6に示した例によると、誘導灯には優先度1が、テレビには優先度3が、空調にはその中間の優先度2がそれぞれ設定されている。ある時間帯において電力供給量が不足すると予測された場合、当該時間帯において電気機器8への電力供給を停止することによって節電を実施するが、優先度の最も高い優先度1は、節電時にも電力の供給を継続して、最後まで動作させたい電気機器8を接続するのに適した優先度である。一方、優先度の最も低い優先度3は、節電時には電力の供給が停止されてもよいとする、不要不急の電気機器8を接続するのに適した優先度である。優先度1と優先度3との間に位置する優先度2は、節電時でもなるべく動作させたいものの優先順位を付けるとしたならば、優先度1ほど継続した電力供給を希望するほどでもない電気機器8を接続するのに適した優先度である。なお、優先度のレベル(段階)の数はこの例に限定されるものではない。また、上記とは逆に1を最も低い優先度としてもよい。また、図6には7種類の電気機器8に対する情報が示されているが、基本的には、需要者側設備1で利用されうる全ての電気機器8に対する優先度を設定登録しておく。
なお、使用実績情報記憶部51及び優先度情報記憶部54に記憶される各情報は、本実施の形態における動作時に登録されるので、動作と共に説明する。
電力制御装置40における各構成要素41〜47は、電力制御装置40を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部51〜54は、電力制御装置40に搭載されたHDD24あるいはRAM23にて実現される。
図7は、本実施の形態におけるアダプタ60のブロック構成図である。本実施の形態におけるアダプタ60は、無線通信部61、入力部62、出力部63、計測部64、制御スイッチ部65、通知部66及び制御部67を有している。無線通信部61は、電力の供給制御を実行する電力制御装置40との間で無線によりデータ通信を行う。「電力の供給制御を実行する電力制御装置40」というのは、需要者側設備1に複数の電力制御装置40が存在する場合に、当該アダプタ60の電力の供給制御を実行する電力制御装置40のことをいう。以下の説明では、単に「電力制御装置40」と称することにする。入力部62は、プラグ69が差し込まれたコンセント9から電力を入力する。出力部63は、コンセント70に差し込まれた電気機器8へ電力を供給する。計測部64は、対応するコンセント70に接続された電気機器8における使用電力量を計測する。制御スイッチ部65は、制御部67による制御のもと、配線を接続/切断することにより入力部62から出力部63への通電/遮断を行う。出力部63、計測部64及び制御スイッチ部65の組は、コンセント70毎に設けられる。通知部66は、アダプタ60における電力の使用実績を通知する使用実績通知手段として設けられ、計測部64により計測されたアダプタ60に設けられたコンセント70それぞれに接続された電気機器8における各使用電力量及び当該使用電力量の計測日時を特定する日時情報を含む電力の使用実績情報を無線通信部61を介して電力制御装置40へ送信する。制御部67は、アダプタ60における各構成要素61〜66と連携動作してアダプタ60における機能を実現する。特に、本実施の形態における制御部67は、制御手段として設けられ、電力制御装置40から送信された停止指示情報を受信した場合において、節電の開始のタイミングで、その停止指示情報により電力の供給の停止対象として特定されたコンセント70に接続された電気機器8に対する電力の供給を停止させる。また、電力制御装置40から送信された開始指示情報を受信した場合において、節電の終了のタイミングで、停止指示情報により電力の供給の停止対象として特定されたコンセント70に接続された電気機器8に対する電力の供給を開始させる。
アダプタ60における各構成要素61〜67は、アダプタ60に搭載されたCPU等と、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により、また前述したようにプラグ69又はコンセント70等と共に実現される。
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを実行することで各種処理機能が実現される。
次に、本実施の形態における動作について説明するが、最初に需要者側設備1における通常運用時の動作について説明する。
電力供給量が不足していない間は節電する必要性がないので、各アダプタ60における制御部67は、制御スイッチ部65に指示することにより入力部62と出力部63とを接続させた状態にする。すなわち、アダプタ60に接続された電気機器8は、電力が供給されることによって使用可能な状態にある。各計測部64は、対応するコンセント70における使用電力量を常時計測するが、通知部66は、予め決められた周期、例えば30分毎に各計測部64により計測された当該時点における使用電力量と、当該使用電力量の計測日時を特定する日時情報と、を含む電力の使用実績情報を生成する。そして、通知部66は、使用実績情報を電力制御装置40へ送信する。
アダプタ60から使用実績情報が送信されてくると、電力制御装置40における情報収集部45は、その使用実績情報を収集し、使用実績情報記憶部51に登録する。
情報収集部45により使用実績情報記憶部51に蓄積される使用実績情報のデータ構成例を図8に示す。使用実績情報は、各アダプタ60の識別情報(アダプタID)に、当該アダプタ60に設けられたコンセント70の識別情報(コンセントID)、使用実績情報から得られる当該コンセント70における使用電力量及び日時情報とが対応付けられて構成される。情報収集部45は、使用実績情報が送信されてくる度に使用実績情報記憶部51に順次登録する。
需要者側設備1における通常運用時の動作については、以上の通りである。次に、本実施の形態において需要者側設備1に節電を実施させるための電力供給制御処理を実行する前に、事前準備として各アダプタ60のコンセント70に対して優先度を設定する必要がある。この本実施の形態において特徴的な優先度の自動設定処理について図9に示したフローチャートを用いて説明する。
優先度決定部46は、通常運用時において使用実績情報記憶部51に蓄積された使用実績情報を分析して、図5に示した電気機器8の利用特性情報に対応する、実績に基づく利用特性情報(以下、「実績特性情報」とも称する)をコンセント70毎に生成する(ステップ101)。優先度決定部46は、少なくとも1日分の使用実績情報が蓄積されたときに実績特性情報を生成する。2日以上の使用実績情報を用いる場合には、平均値等を算出することで実績特性情報を生成してもよい。この処理で生成される実績特性情報のデータ構成例を図10に示す。図5に示した利用特性情報と比較すると明らかなように、優先度決定部46は、利用特性情報と同じ指標項目に対し、各利用特性値に対応する実績特性値をコンセント70毎に求める。
続いて、優先度決定部46は、利用特性情報を利用特性情報記憶部52から読み出し(ステップ102)、コンセント70毎に求めた実績特性情報を、各電気機器8の利用特性情報と照合する。そして、実績特性情報に最も類似している利用特性情報を特定する。このようにして特定した利用特性情報に対応する電気機器8が、当該コンセント70に接続された電気機器と推測する(ステップ103)。
なお、各コンセント70の実績特性情報に最も類似している利用特性情報を特定する処理において、いずれの利用特性情報と類似しているかという判定条件としては、例えば、時間帯(00:00〜06:00等)のように利用特性情報における利用特性値が範囲指定されている指標項目の場合、実績特性値と利用特性値との包含関係、あるいは時間の重なり部分の時間が所定値以上かどうか、などを類似の判定条件とする。また、空調の待機時使用電力量のように利用特性値が単一の数値の場合、実績特性値と利用特性値との差分量若しくは差分率等で類似しているかどうかを判定する。また、誘導灯の待機時間のように利用特性情報における利用特性値が設定無しの場合は、実績特性値の有無で判断する。このように、指標項目毎にコンセント70の実績特性情報が利用特性情報に類似しているかを判定し、そして指標項目毎の判断結果に基づきコンセント70の実績特性情報が利用特性情報に類似しているかを総合的に判断する。そして、最も類似している判断した電気機器8が、当該コンセント70に接続されている電気機器8と推測する。
以上のようにして、各コンセント70に接続されている電気機器8を推測すると、優先度決定部46は、節電制御パターン記憶部53に登録されている節電制御パターンを参照して、コンセント70それぞれに対して優先度を決定する(ステップ104)。例えば、コンセントA001に接続されている電気機器8が誘導灯であると推測した場合、図6に例示した節電制御パターンを参照すると、誘導灯には優先度“1”が設定されているので、コンセントA001の優先度を“1”と決定する。同様に、コンセントA002に接続されている電気機器8が空調であると推測した場合、図6に例示した節電制御パターンを参照すると、空調には優先度“2”が設定されているので、コンセントA002の優先度を“2”と決定する。なお、コンセント70に電気機器8が接続されていないと判断した場合、本実施の形態においては、最も低い優先度を設定するようにしてもよいし、優先度の設定は無しとしてもよい。
以上のようにして、各コンセント70に設定する優先度を決定すると、優先度決定部46は、その決定した優先度を優先度情報記憶部54に設定登録する(ステップ105)。優先度情報記憶部54に優先度が設定登録されて生成された優先度情報のデータ構成例を図11に示す。図11に例示したように、優先度情報は、各アダプタ60においてコンセント70毎に、決定された優先度が対応付けして構成される。
本実施の形態においては、以上説明したように使用実績情報に基づき生成された実績特性情報と、予め設定された利用特性情報とを比較、照合することによって、各コンセント70に接続されている電気機器8を推測し、そして推測した電気機器8に基づき節電制御パターンを参照することによって各コンセント70に設定すべき優先度を決定する。
以上のようにして、各アダプタ60に設けられている各コンセント70それぞれに対して優先度を自動的に設定した後に、需要者側設備1に節電を実施させるための電力供給制御処理が実行可能となる。以下、本実施の形態における電力供給制御処理について説明する。まず最初に、図12に示したフローチャートを用いて管理サーバ30における処理を説明する。
図12において、管理サーバ30における節電情報生成部33は、発送電設備2から送られてくる供給予測値を受信すると共に、記憶部36に記憶されている需要予測値を読み出すことで各予測値を取得する(ステップ111)。供給予測値は、現時点での発送電設備2における電力供給能力から得られる。また、各予測値は、前述したように適宜補正してもよい。本実施の形態において取り扱う各予測値は、従前からある手法にて得られるデータでよい。
ここで、節電情報生成部33は、供給予測値と需要予測値とを比較し(ステップ112)、供給予測値が需要予測値を下回ることによって電力供給量が不足すると予測した場合(ステップ113でY)、その不足すると予測した時間帯を特定すると共にその不足分を算出する(ステップ114)。具体的には、|供給予測値−需要予測値|/需要予測値×100という計算式にて節電が必要な割合を計算する。ここでは、例えば、10時から14時の間の電力供給量が10%不足することを予測したとすると、節電情報生成部33は、その旨を示す節電情報を生成する。なお、不足分を割合ではなく不足する電力供給量を求めるようにしてもよい。このように、節電情報には、電力需要側全体としての節電目標が設定される。節電情報生成部33により生成された節電情報を受けた節電要求部34は、その節電情報に基づき節電要求情報を生成する(ステップ115)。
図13は、本実施の形態における節電要求情報のデータ構成の一例を示した図である。節電要求情報は、電力の供給制御の指示を識別する識別コードとその指示に対応する制御コマンドに、具体的な指示の内容を示す指示情報が対応されて構成される。この例のように節電要求(SAVE_REQUEST)の場合の指示情報には、節電を行う年月日及び時間帯(開始時刻及び終了時刻)からなる日時情報と、節電目標値として当該時間帯における節電の割合が含まれる。
節電要求部34は、この生成した節電要求情報を通信部32を介して各需要者側設備1に設置された各電力制御装置40へ配信することによって各需要者側設備1に節電を要求する(ステップ116)。
なお、電力供給量が不足しないと予測した場合(ステップ113でN)、当然ながら節電の指示を配信しないが、節電の必要性がない旨を各電力制御装置40へ配信するようにしてもよい。
次に、図14に示したフローチャートを用いて電力制御装置40における処理を説明する。
管理サーバ30から送られてきた節電要求情報を通信部41を介して取得すると(ステップ121)、節電対象決定部43は、節電要求情報を解析することによって2012年4月30日の10時から14時までの間に10%の節電をするようにという指示内容であることを認識する(ステップ122)。次に、節電対象決定部43は、優先度情報記憶部54に設定登録されている優先度と、使用実績情報記憶部51に蓄積されている使用実績情報から、各アダプタ60においてどの優先度のコンセント70に接続された電気機器8に使用を中止させると、どれだけの割合の節電が可能かを算出する(ステップ123)。つまり、電力の供給停止による節電効果を試算してみる。なお、以降の説明では、1つのアダプタ60に着目して説明するが、他のアダプタ60に対しても同様に処理すればよい。ここでは、例えば、あるアダプタ60が有する3つのコンセントA,B,Cに対して設定された優先度がそれぞれ1,2,3、コンセントA,B,Cに接続された電気機器8における使用電力量がそれぞれ60,100,100である場合を例にして節電効果の計算方法について説明する。
この例によると、コンセントA,B,Cの合計使用電力量は60+100+100=260となる。ここで、最も優先度の低い優先度3までの電力供給を停止した場合の節電は、1(100%)から合計使用電力量に対して電力の継続して使用可能な優先度1,2の使用電力量の占める割合を差し引いた値、すなわち、1−(60+100)/260=0.38=38%となる。つまり、節電の要求10%に対して38%の節電効果を得ることが可能になる。
ちなみに、優先度2までの電力供給を停止した場合の節電は、1(100%)から合計使用電力量に対して電力の継続して使用可能な優先度1の使用電力量の占める割合を差し引いた値、すなわち1−60/260=0.77=77%となる。つまり、節電の要求10%に対して77%の節電効果を得ることが可能になる。なお、優先度1までの電力供給を停止した場合の節電は、100%である。
以上のことから、優先度3までの電力供給を停止することで、要求された10%の節電に応えることができることが試算により把握できる。なお、節電効果の計算に用いる使用実績情報は、例えば直前、前日の同時刻、あるいは1年前の同日同時刻の情報を用いるなどして、電力供給を停止した場合における節電効果を精度良く算出できるようにする。
以上のようにして、どのレベルまでの優先度のコンセント70からの電力の供給を停止すればよいのかが決定されると(ステップ124)、制御指示部44は、節電の開始のタイミング(2012年4月30日10時00分)までに電力の供給停止対象となったコンセント70(この例ではコンセントC)を特定する情報を含む停止指示情報を生成し、節電のタイミングになった時点でその停止指示情報を当該アダプタ60に送信することで停止指示を出す(ステップ125)。
次に、図15に示したフローチャートを用いてアダプタ60における処理を説明する。
電力制御装置40から送られてきた指示情報を無線通信部61を介して取得すると(ステップ131)、制御部67は、取得した指示情報の内容を確認する(ステップ132)。この例では、コンセントCに対する停止指示なので(ステップ133でY)、制御部67は、コンセントCに対応する制御スイッチ部65に指示することで、入力部62とコンセントCに対応する出力部63との間の配線を遮断させ、接続された電気機器8に対する電力の供給を停止させる(ステップ134)。
以上のように動作することによって、需要者側設備1では、38%の節電を行うことができるので、電力供給側から要求された10%という節電効果以上の節電を達成することができる。
図14において、コンセントCにおいて電力の供給を停止した後、節電要求された時間帯の終了時刻(この例では、2012年4月30日14時00分)になると、制御指示部44は、節電の終了のタイミングまでに電力の供給停止対象となっていたコンセント70(この例ではコンセントC)を特定する情報を含む開始指示情報を生成し、節電の終了タイミングになった時点でその開始指示情報を当該アダプタ60に送信することで接続指示を出す(ステップ126)。
図15において、電力制御装置40から送られてきた指示情報を無線通信部61を介して取得すると(ステップ131)、制御部67は、取得した指示情報の内容を確認する(ステップ132)。この例では、コンセントCに対する開始指示なので(ステップ133でN,ステップ135でY)、制御部67は、コンセントCに対応する制御スイッチ部65に指示することで、入力部62とコンセントCに対応する出力部63との間の配線を接続させ、接続された電気機器8に対する電力の供給を開始させる(ステップ136)。なお、取得した指示情報が停止指示情報でも開始指示情報でもない場合は(ステップ135でN)、本実施の形態の適用外なので処理を終了させるが、認識不能な情報を受信したものとしてエラー処理を実施するようにしてもよい。
なお、本実施の形態においては、計時手段(図示せず)を電力制御装置40に持たせ、指示情報を節電の開始/終了のタイミングで電力制御装置40に送信させるようにしたが、計時手段をアダプタ60に持たせるようにしてもよい。この場合、電力制御装置40は生成した指示情報をアダプタ60に即座に送信し、アダプタ60において、指示情報に含まれる節電の開始/終了のタイミングまで待機させ、そして電力の供給の停止/開始の制御をさせるようにしてもよい。
なお、本実施の形態においては、電気機器8を推測する際に使用する利用特性情報を、代表的なモデル機器の利用特性値を用いて生成し、誘導灯、テレビ等電気機器8の種類を推測するようにしたが、各電気機器8のカタログスペックなどを参照して、利用特性情報を電気機器8の機種毎に用意するようにしてもよい。すなわち、電気機器8の種類ではなく機種まで推測できるようにする。コンセント70に接続された電気機器8をより精度良く推測することが可能になる。また、例えば、ある電気機器8が使用実績情報を収集したときに最大消費電力までの利用がされなかった場合でも、今後、利用されうる最大使用電力量を予測することが可能になる。これにより、節電効果をより精度良く求めることが可能になる。
また、本実施の形態では、電力制御装置40は、管理サーバ30から送信されてくる節電要求情報に従って節電を実施するが、電力制御装置40の入力手段を用いて入力される節電要求情報に従って節電を実施するようにしてもよい。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、単一の節電制御パターンを用意していたので、電気機器8が推測されることで各コンセント70に設定する優先度が一意に決定されていた。本実施の形態では、複数の節電制御パターンを用意し、電気機器8の利用状況に応じた優先度が設定されるようにしたことを特徴としている。
例えば、同種の電気機器8であっても利用される環境によって異なる優先度を設定した方が都合の良い場合がある。例えば、空調は、住宅でもオフィスでも同程度の重要度(優先度)かもしれないが、パソコンは、オフィスでは業務用途で利用されているため重要であるが、住宅では主に趣味等の用途で利用されるためオフィスに比べると重要ではないと考えられる。
そこで、本実施の形態においては、電気機器8が使用される建物の種類それぞれに対応させて節電制御パターンを用意し、節電制御パターン記憶部53に予め登録しておくようにした。例えば、オフィス用には、誘導灯、空調、パソコンの各優先度を1,2,2とする節電制御パターンを用意し、一方、住宅用には、誘導灯、空調、パソコンの各優先度を1,2,3とする節電制御パターンを用意する。このように、本実施の形態においては、各電気機器8に対して設定する優先度の組み合わせがそれぞれ異なる複数の節電制御パターンを用意して、節電制御パターン記憶部53に予め登録しておく。
本実施の形態におけるシステム構成、管理サーバ30、電力制御装置40及びアダプタ60の各ハードウェア構成及び機能ブロック構成は、実施の形態1と同じでよく、優先度決定部46における処理機能及び節電制御パターン記憶部53に登録される節電制御パターンの構成が実施の形態1と異なる。本実施の形態における優先度決定部46は、電気機器が使用される建物の種類を特定する建物特定手段としても機能する。また、本実施の形態における節電制御パターン記憶部53には、前述したオフィス用、住宅用の例のように、各電気機器8に対して設定する優先度の組み合わせがそれぞれ異なる節電制御パターンが複数記憶されており、本実施の形態における優先度決定部46は、優先度を決定する際に、節電制御パターン記憶部53に記憶された節電制御パターンの中から電気機器8の利用状況に応じた節電制御パターンを選択して参照することを特徴とする。本実施の形態における電気機器8の利用状況というのは、電気機器8を利用する建物(場所)のことをいう。
本実施の形態における動作は、優先度決定部46における優先度の決定処理のみが実施の形態1と異なるので、この優先度の決定処理について図16に示したフローチャートを用いて説明する。なお、実施の形態1と同じ処理ステップには同じ符号を付け、説明を適宜省略する。
優先度決定部46は、ステップ101において生成した実績特性情報を、ステップ102において読み出した利用特性情報と照合することで、各コンセント70に接続された電気機器8を推測する(ステップ103)。続いて、優先度決定部46は、各コンセント70に接続された電気機器8はどの建物で利用されているのかを次のようにして特定する(ステップ201)。
例えば、電力制御装置40に設けられた入力手段を用いて指定された建物の種類を受け付けて、その入力値に従って建物を特定する。あるいは、電力供給側等で管理している各電力需要者の契約種別から個人/法人を区別して、個人であれば住宅と、法人であればオフィスと、それぞれ判断するようにしてもよい。あるいは、需要者側設備1における総使用電力量を計測し、その計測値を予め設定した閾値とを比較することで、建物の種類を判別してもよい。もちろん、これら以外の手法にて建物の種類を特定してもよい。
建物の種類を特定すると、優先度決定部46は、節電制御パターン記憶部53に登録されている当該建物の種類に対応した節電制御パターンを参照して、コンセント70それぞれに対して優先度を決定する(ステップ104)。そして、優先度決定部46は、その決定した優先度を優先度情報記憶部54に設定登録する(ステップ105)。
本実施の形態においては、以上説明したように、電気機器8の利用状況に応じた優先度、換言すると電気機器8が利用される建物、すなわち利用される場所や環境に適した優先度を設定することができる。
実施の形態3.
上記実施の形態2では、電気機器8の利用状況として電気機器8を利用する建物の種類を用い、各建物に対応させて節電制御パターンを用意するようにした。本実施の形態では、電気機器8の利用状況として時節を用い、各時節に対応させて節電制御パターンを複数用意したことを特徴としている。
例えば、オフィスにおける就業時間内/外、店舗における営業時間内/外等、同じ建物であっても時間帯によって電気機器8の利用状況が変わってくる場合がある。例えば、オフィスにおいてパソコンの優先度は、終業時間内は相対的に高く設定しておく必要があっても、昼休みなどの終業時間外だと相対的に低く設定してよいかもしれない。
そこで、本実施の形態においては、時節の一例として時間帯に対応させて節電制御パターンを用意し、節電制御パターン記憶部53に予め登録しておくようにした。本実施の形態における節電制御パターンの設定例を図17に示す。図17では、3時間毎に設定した計8個の節電制御パターンを合体させて表形式にて示している。図17に示した節電制御パターンによると、太線で囲んで示したように、空調は、就業時間内に該当する時間帯に対応する節電制御パターンの優先度が相対的に高く設定されている。また、給茶機は、昼休みを含む時間帯に対応する節電制御パターンの優先度が相対的に高く設定されている。
なお、上記実施の形態2から後述する実施の形態10まで、実施の形態1とは節電制御パターン記憶部53に予め登録される節電制御パターン、及び/又はこれを用いた優先度決定部46における処理内容が異なり、システム構成、管理サーバ30、電力制御装置40及びアダプタ60の各ハードウェア構成及び機能ブロック構成は同じでよいので、説明を省略する。
次に、本実施の形態における動作について説明するが、優先度決定部46における優先度の決定処理のみが実施の形態1と異なるので、それ以外の説明は省略する。また、優先度の決定処理の処理フローは、実施の形態2で用いた図16と同じでよく、参照する節電制御パターンが異なることに伴いステップ201における具体的な処理内容が異なるだけである。
本実施の形態における優先度決定部46は、ステップ101において生成した実績特性情報を、ステップ102において読み出した利用特性情報と照合することで、各コンセント70に接続された電気機器8を推測する(ステップ103)。続いて、優先度決定部46は、各コンセント70に接続された電気機器8が利用されている時間帯を特定する(ステップ201)。これは、例えば現在時刻が含まれる時間帯を特定すればよい。なお、現在時刻は、電力制御装置40に内蔵された時計、あるいはインターネットから取得すればよい。そして、優先度決定部46は、節電制御パターン記憶部53に登録されている当該時間帯に対応した節電制御パターンを参照して、コンセント70それぞれに対して優先度を決定し(ステップ104)、そして、その決定した優先度を優先度情報記憶部54に設定登録する(ステップ105)。
本実施の形態によれば、以上のように時間帯毎に節電制御パターンを用意しておき、現在の電気機器8の利用状況、すなわち電気機器8を利用している時間に対応した節電制御パターンを参照して当該電気機器8を接続しているコンセント70それぞれに電気機器8を利用している時間に応じた優先度を設定することができる。
なお、本実施の形態では、3時間毎に計8個の節電制御パターンを設けたが、1日の時間分割単位は3時間に限る必要はなく、住宅、オフィス、店舗等電気機器8を利用している場所に適合させればよい。
また、本実施の形態では、時節として時間帯を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、時節として曜日や日にちに対応させて節電制御パターンを用意してもよい。また、営業日/休業日、あるいはテナント店舗が入るショッピングセンタなどでは、ショッピングセンタの休館日等独自の営業日カレンダに対応させて節電制御パターンを用意してもよい。
更に、時節として季節毎に、また季節及び場所(地方)に対応させて節電制御パターンを用意してもよい。この場合、夏、冬における空調の優先度を春、秋に対し相対的に高く設定してもよい。なお、季節は、現在時刻と同様に、内蔵されたカレンダ若しくはインタネットからカレンダを取得して特定してもよい。
実施の形態4.
上記実施の形態3では、時節に対応した節電制御パターンを用意して、時節に応じた優先度を設定できるようにした。ただ、例えば、冬であっても春みたいに気温が上昇して暖かくなる場合もある。つまり、冬という季節でも例外的な日も存在しうる。
そこで、本実施の形態においては、時節に対応した節電制御パターンを参照して優先度が決定しても、その決定した優先度を例外的に訂正できるようにしたことを特徴としている。より具体的にいうと、季節という電気機器8の利用状況を参照することで決定した優先度に対し、更に現在の気温という外部からの入力によって認識しうる電気機器8の利用状況をも参照し、いったん決定した優先度を、外部からの入力によって認識しうる電気機器8の利用状況に応じて必要により上下させることで調整し、最終的な優先度を決定する。この本実施の形態における優先度決定処理を図18に示したフローチャートを用いて説明する。なお、実施の形態2における処理(図16)と同じ処理には同じステップ番号を付け、説明を適宜省略する。
本実施の形態における優先度決定処理は、図16と比較すれば明らかなように、ステップ401が追加されただけである。すなわち、本実施の形態における優先度決定部46は、時節に対応した節電制御パターンを参照して優先度を決定する(ステップ104)。例えば、冬に対応した節電制御パターンを参照して優先度が決定されたとする。ここで、優先度決定部46は、外部から取得した外気温と予め設定された温度の差異の許容範囲とを比較し、外気温がその許容範囲から外れた場合、空調の優先度を1つ上げるように調整する。また、その他の例として、例えば、時間帯に対応した節電制御パターンを参照して優先度が決定されたとする。優先度決定部46は、外部から取得した室内の照度と予め設定された照度の差異の許容範囲とを比較し、現在の室内の照度がその許容範囲から外れた場合、照明の優先度を1つ上げるように調整する。
本実施の形態では、このように節電制御パターンを参照していったん決定した優先度を、外部からの入力(上記例では外気温と照度)に応じて調整して、最終的な優先度を決定する(ステップ401)。
以上の例では、共に優先度を1つ上げる例を示したが、必ずしも1つとする必要はない。また、状況によって優先度を下げる場合もあり得る。
なお、外部からの入力(外気温と照度)は、建物の取り付けた温度センサや照度センサから取得するようにしてもよい。あるいは、電力制御装置40やアダプタ60に各種センサを設けて温度等の情報を取得してもよいし、インターネット上のサービスから情報を取得するようにしてもよい。
実施の形態5.
本実施の形態は、節電制御パターンに予め設定する優先度の決め方に関する。上記各実施の形態においては、電気機器8に対して他の電気機器8に設定する優先度とは独立して個々に設定していた。ただ、複数の独立した電気機器であっても利用形態を想定した場合に同時に動作していないと意味がない場合がある。例えば、ビデオプレーヤやテレビゲーム機を利用する場合、テレビも同時に利用可能な状態でないと意味がない。また、CDプレーヤとアンプから成るオーディオにおいてCDプレーヤとアンプは同時に利用されないと意味がない。また、夜間に照明がついていないとIHヒータ等の電気調理器具に給電しても料理はできない。
この例のように、電気機器8に対して優先度を単独で設定するのではなく、電気機器8間の利用形態の関係により依存性を持たせて設定した方が適切であると考えられる場合がある。本実施の形態では、ある電気機器8に対する優先度を、他の電気機器8の優先度の設定と関連付けて設定することを特徴としている。
本実施の形態における節電制御パターンの設定例を図19に示す。例えば、アンプとCDプレーヤは、前述したとおり、常に同時に利用されるため依存性がある。従って、同じ優先度を設定するのが都合がよい。節電時に一方だけ電力の供給が停止されても意味がないからである。また、テレビとテレビゲーム機は、前述したとおり、テレビは単独でも利用可能であるが、テレビゲーム機はテレビと同時でしか利用できない。このように、テレビはテレビゲーム機の利用に依存しないので、テレビゲーム機に対しては、テレビと同じか低い優先度を設定するのが都合がよい。
図20は、本実施の形態における節電制御パターンの他のデータ構成例を示した図である。図19においては、関係性のある電気機器8に対しても優先度を個々に設定したが、図20に例示したように、優先度を相対的に設定できるようにしてもよい。すなわち、関係性のある電気機器8をグループ化し、各グループにおいて1つの電気機器8に対して優先度を設定し、その他の電気機器8に対して相対的な優先度を設定する。図20に示した設定例によると、グループ“AUDIO”には、アンプに優先度“3”を設定し、その他の電気機器8であるCDプレーヤには、アンプと同じ優先度を設定するような書式“=アンプ”にて優先度が設定されている。また、グループ“VISUAL”には、テレビに優先度“3”を設定し、その他の電気機器8であるテレビゲーム機とビデオプレーヤには、テレビと同じ又はアンプと同じ優先度を設定するような書式“≧テレビ”にて優先度が設定されている。
なお、夜間に照明がついていないとIHヒータ等の電気調理器具に給電しても料理はできない、という依存性について例示した。ただ、これは、夜間という時節が関係してきている。つまり、昼間であれば、照明がついていなくても電気調理器具を用いて料理することは可能である。そこで、実施の形態2〜4に示したように時節等電気機器8の利用状況に対応させて用意する節電制御パターンそれぞれを、図19又は図20に例示した書式にて生成するようにしてもよい。
実施の形態6.
ところで、リビングや個人部屋にそれぞれオーディオを設置するなど複数台のアンプとCDプレーヤを有する住宅も存在しうる。この場合、上記実施の形態5によると、全てのアンプとCDプレーヤに同じ優先度が設定されることになる。ただ、リビング及び個人部屋それぞれに設置されたオーディオには、利用上、何の関係もない。そこで、本実施の形態では、オーディオの組み合わせを特定して、その特定したグループにおいて同じ優先度を設定するようにしたことを特徴としている。
すなわち、上記実施の形態1において説明したように、優先度決定部46は、使用実績情報を参照してコンセント70に接続されている電気機器8を推測するが、この使用実績情報を参照することで、推測した電気機器8の使用時間帯を照合することで、どのアンプとCDプレーヤとが同時に利用されているのかを特定できる。つまり、本実施の形態における優先度決定部46は、学習機能処理手段としても機能し、推測した電気機器8の利用状況を監視し、同時に使用される電気機器の組み合わせを学習する。そして、同時に使用されると学習された電気機器8それぞれが接続されたコンセント70に対して設定する優先度が同じとなるよう決定する。
これにより、リビングに設置したアンプとCDプレーヤとには優先度“2”を、個人部屋に設置したアンプとCDプレーヤとには優先度“3”を、などと同じグループ内の電気機器8には同じ優先度を設定し、他のグループとは異なる優先度を設定することができる。
実施の形態7.
本実施の形態では、コンセント70に常時接続されている電気機器8は優先度が相対的に高い可能性が高く、他方、頻繁に抜き差しされている電気機器8は優先度が相対的に低い可能性が高いと考える。そこで、本実施の形態においては、一定期間、コンセントの利用状況を観測し、常時接続されていると判断した電気機器の優先度を高く設定するようにした。
そのために、コンセント70からの電気機器8の挿抜状態を検出する必要がある。そのための手段として、例えば、コンセント70に電源タップ等に採用されているロック付きコンセント(ひねって抜き差しするタイプ)を採用し、さらにひねった状態を検出するためのスイッチ等の検出手段をアダプタ60に備える構成とする。この検出手段により検出されたひねりの回数を挿抜の回数とする。そして、アダプタ60における通知部66は、使用実績情報と共に、あるいは別個に検出手段により検出された挿抜を接続有無の状態として電力制御装置40に通知する。
本実施の形態における優先度決定部46の優先度決定処理は図18に示したフローチャートを用いて説明でき、ステップ401の処理が実施の形態4と異なる。すなわち、優先度決定部46は、前述したように節電制御パターンを参照して優先度を決定するが(ステップ104)、一定期間(例えば1週間)経過後、コンセント70毎に常時接続されていたのか、抜き差しされていたのかを接続有無の状態から判断する。そして、常時接続されていたコンセント70については、現在の優先度にプラス1などして、いったん決定した優先度をより高い優先度に設定し直すことで優先度を最終的に決定する(ステップ401)。
本実施の形態における優先度決定部46は、このように各コンセント70の優先度を、各コンセント70に対する電気機器8の挿抜状態に応じて必要により上下させて、コンセント70それぞれに設定する優先度を決定する。
実施の形態8.
上記各実施の形態においては、また後述する実施の形態においても、優先度は、優先度決定部46により自動設定される。従って、利用者(需要者)は、優先度を設定するための作業が不要となる。しかし、その一方で、節電が実施されることになった場合に、各コンセント70に対してどのような電力の供給制御が行われるのか、つまり、どの電気機器8への電力の供給がどの優先度のコンセント70まで停止されるのか、利用者はわからない。そこで、本実施の形態においては、優先度決定部46により決定された優先度を表示することによって利用者に知らせることを特徴としている。
図21は、本実施の形態における電力制御装置のブロック構成図である。本実施の形態における電力制御装置40は、実施の形態1における電力制御装置40に優先度情報管理部48を追加した構成を有している。優先度情報管理部48は、優先度表示制御手段として設けられ、優先度決定部46により決定された優先度を優先度情報記憶部54から読み出し、表示手段に表示させる。
例えば、電力制御装置40にディスプレイ28が接続されている場合、優先度情報管理部48は、優先度決定部46により優先度が自動設定された時点で、あるいは自動設定後、利用者による所定の指示操作に応じて優先度を表示手段としてのディスプレイ28に表示する。この優先度を表示する優先度表示画面が表示されたときの例を図22に示す。図22には、優先度順に表示した例が示されている。もちろん、表示形式は、これに限定するものではなく、どのコンセント70にどの優先度が設定されてるのかがわかればよい。なお、節電の計画がすでに決まっている場合には、節電実施期間、実施対象とされた優先度等節電に関する情報も合わせて表示してもよい。
また、アダプタ60のコンセント70それぞれに対応させて表示部が表示手段として設けられている場合、優先度情報管理部48は、無線通信部42を介して優先度をアダプタ60に送信することで、アダプタ60に、各コンセント70に設定された優先度を当該表示部に表示させるようにしてもよい。また、優先度情報管理部48は、テレビ、パソコン、あるいはCDプレーヤや空調の表示パネル等表示手段を有する電気機器8に対して表示指示を送信することで、アダプタ60に通知した優先度を表示させるようにしてもよい。なお、表示手段として3通りの例をあげたが、これらを組み合わせて表示するようにしてもよい。以上のように、設定された優先度を表示するようにしたので、利用者は、自動設定された優先度を確認することができる。
ただ、利用者は、例えば自己のライフスタイルからして、自動設定された優先度では受け入れがたいと考えるかもしれない。そこで、自動設定された優先度を変更できる機能を追加してもよい。すなわち、優先度情報管理部48は、優先度情報更新手段として設けられ、利用者に指定された優先度で優先度情報記憶部54に設定登録されている優先度を更新する。
例えば、図22に示した優先度表示画面から優先度を編集できるようにする。利用者は、マウス26やキーボード27などの入力手段を用いて表示されている優先度を変更する。優先度情報管理部48は、変更された優先度を受け付け、優先度情報記憶部54に設定登録されている優先度を更新する。このようにして、優先度決定部46により自動設定された優先度を利用者に変更させることができる。
また、表示部に表示された優先度を変更するための入力部をアダプタ60に設け、また、電気機器8においても操作ボタン等の入力手段を用いて優先度を変更できるようにしてもよい。アダプタ60側で優先度が変更された場合、変更された優先度は、無線通信部61を介して電力制御装置40へ通知される。優先度情報管理部48は、無線通信部42を介して受け付けた優先度にて優先度情報記憶部54に設定登録されている優先度を更新する。以上のようにして、利用者は、自動設定された優先度を変更することができる。
ただ、優先度決定部46により自動設定された優先度を利用者に無条件に変更できるようにすると、例えば、全てのコンセント70に対し、利用者により最も高い優先度が設定されてしまうかもしれない。そうすると、所望の節電効果が得られなくなってしまう可能性が生じてくる。そこで、優先度の変更に関し、変更を制限するための何らかの条件を設けるようにしてもよい。
例えば、一つの電気機器8の優先度を上げる変更をしようとした場合、同時に他の一つの電気機器8の優先度を下げないと変更できないようにする。あるいは、優先度が高・中・低の3段階である場合に、高・中・低それぞれに含まれる電気機器8の個数を一定にしないと変更できないようにする。あるいは、上記2つの解決策は、電気機器8を個数で管理しているが、使用電力量を用いて同様の管理を行うようにしてもよい。すなわち、例えば、100Wを使用する電気機器8の優先度を「低」から「中」に変更した場合、100Wを使用する他の電気機器8または合計100Wとなるよう複数の電気機器8の優先度を「中」から「低」に変更しなければ変更できないようにする。
このような変更を制限するための条件を予め設定しておき、優先度情報管理部48は、これらの条件を満たした場合にのみ優先度の変更を許可するようにしてもよい。
実施の形態9.
上記各実施の形態においては、アダプタ60が有する全てのコンセント70に対して優先度が設定されていた。従って、場合によっては、全てのコンセント70からの電力の供給が停止してしまう可能性がある。従って、特殊な事情で優先度による電力供給制御を実施させずに電気機器8を継続して利用したい場合でも、電力の供給が強制的に停止されてしまう可能性がある。例えば、節電が実施されている間に掃除をしたい場合において節電が実施されると、掃除機が利用できなくなり不便である。
そこで、本実施の形態においては、アダプタ60の特定のコンセント70、例えば、物理的に一番先端にあるコンセント70を優先度の自動設定の対象から外し、電力を常時供給し続けることができるコンセント70を設けることを特徴としている。
すなわち、優先度決定部46は、優先度を決定する際、優先度の決定対象外と特定したコンセント70に対しては優先度の決定対象外とする。優先度の決定対象外とするコンセント70は、一番先端に位置するなど、アダプタ60における物理的な位置によって特定してもよいし、利用者の手動により指定されたコンセント70を認識することで特定してもよい。また、優先度の決定対象外とするコンセント70は、1つでも複数でもよい。
本実施の形態によれば、このように優先度決定の対象外とするコンセント70を設けることで、当該コンセント70は、優先度による電力供給制御の対象外となる。これにより、優先度が設定されていないコンセント70に電気機器8を接続することで、利用者は、その電気機器8を節電時においても確実に継続して利用することができる。
ところで、継続使用可能なコンセント70は、上記のように固定的に決めてもよいし、コンセント70の利用状況を分析することによって自動設定するようにしてもよい。
例えば、アダプタ60に4つのコンセント70がある場合に、同じ電気機器8(例えばテレビ等)を常時接続しておくコンセント70と、平時は空けておいて、掃除の際にのみ掃除機を接続するコンセント70と、で使い分ける場合を想定する。このように、コンセント70を使い分けておくと、後者、すなわち平時は空けておくコンセント70は、通常は空けておいて、掃除機などを接続して利用するコンセント、と推定させることができる。換言すると、優先度決定部46は、使用実績情報を分析することで、当該コンセントは、通常は使用されずに、掃除機などの電気機器8を使用したいときだけに接続して利用されるコンセントであることを認識し、そのコンセント70を優先度の決定対象外と特定する。このように、コンセント70の利用状況から優先度の自動設定対象外とするコンセント70を優先度決定部46に特定させるようにしてもよい。優先度決定部46に特定させることで、優先度の自動設定対象外とするコンセント70を固定的に特定させたり、利用者に手動により指定させなくてすむ。
実施の形態10.
優先度決定部46により自動的に設定された優先度が利用者にとって適切ではなく、優先度による電力供給制御によりあるコンセント70への電力の供給が停止された場合、本実施の形態では、その停止されたコンセント70への給電を強制的に再開できるようにしたことを特徴としている。
具体的には、制御スイッチ部65により入力部62と出力部63との間の遮断された配線を強制的に接続する強制給電用スイッチをコンセント70毎に対応させてアダプタ60に設ける。そして、節電により電力の供給が停止させられたコンセント70への給電を再開させたい場合、利用者は、当該コンセント70に対応する強制給電用スイッチを操作する。これにより、当該コンセント70への電力の供給を強制的に再開させることで、当該コンセント70に接続されている電気機器8を継続して利用する。
なお、電力の供給の再開は、強制給電用スイッチに対して直接操作しなくてもよい。例えば、電力制御装置40のユーザインタフェース手段に対し、利用者に給電再開指示のための所定の操作及び再開させるコンセント70を指定させる。電力制御装置40は、その操作に応じてコンセントIDを含む再開指示をアダプタ60に送信する。アダプタ60は、その再開指示に応じて、指定されたコンセント70の強制給電用スイッチを操作して、指定されたコンセント70への電力の供給を再開する。
ところで、強制給電用スイッチに対する操作指示が電力の供給停止の度に行われた場合、当該コンセント70に設定された優先度、つまり節電制御パターンに設定登録されている電気機器8の優先度が利用者の期待より低く設定されているとも考えられる。
そこで、節電制御パターンにおいて、強制給電用スイッチに対する操作指示により電力の供給が再開されたコンセント70に接続された電気機器8の優先度を1つ上げることで、節電時にも電力の供給の停止をされにくくする。なお、当該コンセント70を実施の形態9において説明した優先度の設定対象外としてもよい。
また、強制給電用スイッチに対する1回の操作指示で即座に優先度を上げるのではなくて、操作指示の履歴を取り、その操作指示の回数が所定の閾値を超えた段階で優先度を上げるようにしてもよい。また、この逆に節電により電力の供給が停止されたけれども強制給電用スイッチに対する操作指示のないコンセント70に対しては、その操作指示がされなかった回数が所定の閾値を超えた段階で優先度を下げるようにしてもよい。
各実施の形態において優先度の自動設定について、また優先度の自動設定に関連する応用例、例外処理等について説明してきたが、これらの実施の形態は、適宜組み合わせて実施してもよい。