JP5843344B2 - 大環状抗生物質化合物並びにその製造及び使用の方法 - Google Patents

大環状抗生物質化合物並びにその製造及び使用の方法 Download PDF

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Description

本願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2007年11月27日に出願された係属中の米国特許仮出願第60/996,609号の優先権を主張する。
本発明は、18員大環状抗菌性物質の活性代謝産物、特にチアクミシンB(tiacumicin B)の代謝産物を包含し、ある実施形態では、R−チアクミシンB及び/又はその関連化合物を包含する。特に、本発明は、細菌感染、特にクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)(C.difficile)及びウェルシュ菌(クロストリジウム・パーフリンジェンス、Clostridium perfringens)(C.perfringens)の毒素産生株によって引き起こされるGI感染症の治療のための強力な抗生物質として働く化合物を包含する。
大環状化合物は治療上重要なクラスの抗生物質である。これらの化合物はしばしば、密接に関連する生物発生同属種(biogenetic congeners)のファミリーとして産生される。チアクミシン類は、その大環状環が1又は2個の糖にグリコシド結合している一連の18員大環状抗生物質である。表1に示すように、7炭糖(R)は様々な位置で低分子脂肪酸によりエステル化されている。その他の糖(R)は、存在する場合は、置換安息香酸、例えばエベルニン酸の異性体でエステル化されている(Journal of Liquid Chromatography, 1988, 11 : 191-201)。
チアクミシン類は、以下の式Iに示す18員環を含む関連化合物のファミリーである。

現在、いくつかの異なるチアクミシン類が同定されており、これらのうちの6つ(チアクミシンA〜F)は、表1に示すように、置換基R、R及びRの特定パターンによって定義される(例えば米国特許第4,918,174号;J. Antibiotics, 1987, 40: 575-588参照)。

最近、関連物質の群が発見され、米国特許出願公開第2007−105791号に記載された。それらは以下を含む。






チアクミシン類は、細菌によって、例えばARS Patent Collection of the Northern Regional Research Center,United States Department of Agriculture,1815 North University Street,Peoria,IL 61604、アクセッション番号NRRL 18085より入手し得る、ダクチロスポランギウム・オーランチアカム (Dactylosporangium aurantiacum)亜種ハムデネンシス(hamdenensis)によって産生され得る。AB 718C−41株の特徴は、J. Antibiotics, 1987, 40: 567-574及び米国特許第4,918,174号に述べられている。
チアクミシン類は様々な病原性細菌に対して、特にグラム陽性菌であるクロストリジウム・ディフィシルに対して活性を示す(Antimicrob. Agents Chemother. 1991, 1108-1111)。C.ディフィシルは、腸の感染症を引き起こす嫌気性胞子形成細菌である。下痢は最も一般的な症状であるが、腹痛及び発熱も起こり得る。C.ディフィシルは、抗生物質摂取後に起こり得る大腸炎(すなわち大腸の炎症)及び下痢の主要な原因因子である。この細菌は、主として病院及び長期療養介護施設において獲得される。チアクミシンBはC.ディフィシルに対して有望な活性を示すことから、哺乳動物における細菌感染、特に胃腸管の細菌感染の治療において有用であることが期待される。そのような治療の例としては、大腸炎の治療及び過敏性大腸症候群の治療が含まれるが、これらに限定されない。チアクミシンはまた、胃腸癌の治療のためにも使用され得る。
チアクミシン抗生物質は、すべて参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,918,174号(1990年4月17日発行)、J. Antibiotics, 1987, 40: 575-588, J. Antibiotics, 1987, 40: 567-574, J. Liquid Chromatography, 1988, 11 : 191-201, Antimicrobial Agents and Chemotherapy 1991, 35: 1108-1111、米国特許第5,583,115号(1996年12月10日発行)、及び米国特許第5,767,096号(1998年6月16日発行)に記載されている。関連化合物は、すべて参照により本明細書に組み込まれる、リピアルマイシン抗生物質(J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 1987, 1353-1359 and J. Antibiotics 1988, 41: 308-315参照) 及びクロストマイシン(Clostomicin)抗生物質(J. Antibiotics 1986, 39: 1407-1412)である。
米国特許第4,918,174号 米国特許出願公開第2007−105791号 米国特許第4,918,174号 米国特許第5,583,115号 米国特許第5,767,096号
Journal of Liquid Chromatography, 1988, 11 : 191-201 J. Antibiotics, 1987, 40: 575-588 J. Antibiotics, 1987, 40: 567-574 Antimicrob. Agents Chemother. 1991, 1108-1111 J. Liquid Chromatography, 1988, 11 : 191-201 Antimicrobial Agents and Chemotherapy 1991, 35: 1108-1111 J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 1987, 1353-1359 J. Antibiotics 1988, 41: 308-315 J. Antibiotics 1986, 39: 1407-1412
本発明は、遊離形態の式II:


の化合物又はその医薬的に許容される塩を包含する。
他の実施形態では、本発明は、遊離形態の式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する組成物を包含する。ある実施形態では、本発明は、遊離形態の式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を含有する組成物を包含する。他のある実施形態では、組成物は、医薬的に許容される担体又は賦形剤をさらに含有する。
もう1つの実施形態では、本発明は、遊離形態の式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩の治療有効量をその必要のある被験者に投与することにより、疾患及び/又は障害、例えば感染、例えばグラム陽性嫌気性菌によって引き起こされる細菌感染を治療する方法を包含する。
さらなる他の実施形態では、本発明は、被験者を遊離形態の式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩の治療有効量と接触させることにより、疾患及び/又は障害、例えば感染、例えばグラム陽性嫌気性菌によって引き起こされる細菌感染を治療する方法を包含する。
5%糞便物質の存在下と不在下でのC.ディフィシルATCC 700058に対するMIC値と、OPT−80及び式IIの糞便中レベルとの比較を示す。
(全般的説明)
本発明は一般に、遊離形態又はその医薬的に許容される塩の形態の式II:


の化合物を含有する医薬組成物を包含する。
ある実施形態では、式IIの化合物は立体異性的に純粋である。
ある実施形態では、医薬組成物は経口投与剤形の形態である。
ある実施形態では、式IIの化合物は約0.001mg〜約4000mgの量で存在する。
ある実施形態では、経口投与剤形は錠剤、カプセル、ジェルキャップ、溶液、シロップ又はエリキシルである。
ある実施形態では、式IIの化合物は約0.001mg〜約2000mgの量で存在する。
ある実施形態では、式IIの化合物は約0.01mg〜約1000mgの量で存在する。
ある実施形態では、式IIの化合物は約0.1mg〜約800mgの量で存在する。
ある実施形態では、式IIの化合物は約1mg〜約500mgの量で存在する。
ある実施形態では、式IIの化合物は塩酸塩の形態である。
ある実施形態では、医薬組成物は、医薬的に許容される担体又はビヒクルをさらに含有する。
本発明はまた、哺乳動物において細菌感染を治療又は予防する方法であって、遊離形態又はその医薬的に許容される塩の形態の式II:


の化合物の治療的又は予防的に有効な量を含有する組成物を哺乳動物に投与することを含む方法を包含する。
ある実施形態では、治療的又は予防的に有効な量は、約0.001mg/kg〜約2000mg/kgである。
ある実施形態では、哺乳動物はヒトである。
ある実施形態では、投与の経路は経口又は非経口である。
ある実施形態では、投与の経路は静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、硬膜外、大脳内又は膣内である。
ある実施形態では、用量は、被験者の体重kg当たり0.001mg〜200mgである。
ある実施形態では、用量は、被験者の体重kg当たり0.01mg〜100mgである。
ある実施形態では、用量は、被験者の体重kg当たり0.1mg〜50mgである。
本発明はまた、哺乳動物において細菌感染を治療又は予防する方法であって、哺乳動物の胃腸管を遊離形態又はその医薬的に許容される塩の形態の式II:


の化合物と接触させることを含む方法を包含する。
(定義)
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「抗生物質に関連する状態」という用語は、抗生物質療法が腸の微生物叢のバランスを乱し、病原生物、例えばC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌(S.aureus)及びウェルシュ菌のエンテロトキシン産生株が繁殖することを許容する場合に生じる状態を指す。これらの生物は下痢、偽膜性大腸炎及び大腸炎を引きおこすことがあり、他の症状の中でも特に、下痢、尿意促迫、腹部仙痛、テネスムス及び発熱として現れる。下痢は、重症の場合、脱水症及び脱水に関連する医学的合併症を引き起こす。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「非対称に置換された」という用語は、4の四面体原子価を有する1個の原子が4個の異なる原子又は基に結合している分子構造を指す。最も一般的な場合は炭素原子を含む。そのような場合、炭素原子当たり、互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの光学異性体(D−及びL−鏡像異性体又はR−及びS−鏡像異性体)が生じる。多くの化合物が2個以上の不斉炭素を有する。これは多くの光学異性体の可能性をもたらし、その数は式2n[式中、nは不斉炭素の数である]によって決定される。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「生加水分解性(biohydrolyzable)カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」、「生加水分解性ホスフェート」という用語は、1)化合物の生物活性には干渉しないが、その化合物にインビボで好都合な性質、例えば取込み、作用期間若しくは作用の開始を付与することができる;又は2)生物学的に不活性であるが、インビボで生物学的に活性な化合物に変換される化合物の、それぞれカルバメート、カーボネート、ウレイド及びホスフェートを意味する。生加水分解性カルバメートの例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環式及び複素芳香族アミン、並びにポリエーテルアミンが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「生加水分解性エステル」という用語は、1)化合物の生物活性には干渉しないが、その化合物にインビボで好都合な性質、例えば取込み、作用期間若しくは作用の開始を付与することができる;又は2)生物学的に不活性であるが、インビボで生物学的に活性な化合物に変換される化合物のエステルを意味する。生加水分解性エステルの例としては、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル及びコリンエステルが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「生加水分解性アミド」という用語は、1)化合物の生物活性には干渉しないが、その化合物にインビボで好都合な性質、例えば取込み、作用期間若しくは作用の開始を付与することができる;又は2)生物学的に不活性であるが、インビボで生物学的に活性な化合物に変換される化合物のアミドを意味する。生加水分解性アミドの例としては、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド及びアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、本明細書で使用される「ブロス」という用語は、発酵(fermentation)の間に又は発酵後に得られる液体培地を指す。ブロスは、水、所望の抗生物質(1又は複数)、未使用の栄養素、生存又は死滅生物、代謝産物、及び吸着された生成物を伴うか又は伴わない吸着剤の混合物を含有する。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「化合物」又は「本発明の化合物」という用語は交換可能に使用され、式II、式IIaの化合物、その塩、立体異性体、立体異性体の混合物及びそのプロドラッグを指す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「賦形剤」という用語は、化合物の投与をさらに容易にするために医薬的組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖類及び様々な種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br及びIを含む。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「水和物」という用語は、非共有結合分子間力によって結合された化学量論的又は非化学量論的量の水をさらに含む本発明の化合物又はその塩を意味する。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「異性体混合物」という用語は、同じ化学式を有する2又はそれ以上の立体配置的に異なる化学種の混合物を意味する。異性体混合物は、個々の異性体種を含む属(genus)である。異性体混合物の例としては、例えばペリ環状反応から生じ得るような、立体異性体(鏡像異性体及びジアステレオマー)、位置異性体が含まれる。本発明の化合物は、非対称に置換された炭素原子を含む。そのような非対称に置換された炭素原子は、特定の非対称に置換された炭素原子での立体異性体の混合物又は単一の立体異性体を生じ得る。結果として、本発明の化合物のラセミ混合物、ジアステレオマーの混合物、並びに単一ジアステレオマーが本発明に包含される。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、単独で又は組合せでの「低級アルキル」という用語は、1〜約8個の炭素(例えばC、C、C、C、C、C、C、C)、より好ましくは1〜4個の炭素(例えばC、C、C、C)を有する、場合により置換された直鎖又は場合により置換された分枝鎖を指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが含まれる。「低級アルキル」は、一般に短いアルキル、例えば1〜約4個の炭素原子(例えばC、C、C、C)を含むアルキルである。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「大環状化合物」という用語は、通常10個を超える原子を含む大きな環構造を有する有機分子を指す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「18員大環状化合物」という用語は、18個の原子を含む環構造を有する有機分子を指す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「員環」という用語は、任意の環状構造、例えば前述した炭素環及び複素環を包含することができる。「員」という用語は、環を構成する骨格原子の数を表すことが意図されている。それ故、例えばピリジン、ピラン及びチオピランは6員環であり、またピロール、フラン及びチオフェンは5員環である。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「MIC」又は「最小阻止濃度」という用語は、インビトロで細菌分離株の増殖を阻止するのに必要とされる抗生物質の最小濃度を指す。抗生物質のMICを決定するための一般的な方法は、抗生物質の段階希釈液を含むいくつかの管を調製し、次に、対象とする細菌分離株をそこに接種することである。抗生物質のMICは、混濁を示さない(増殖がない)最小濃度を有する管から決定することができる。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「MIC50」という用語は、所与の細菌種内で試験した細菌株の50%の増殖を阻止するのに必要な抗生物質の最小濃度を指す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「MIC90」という用語は、所与の細菌種内で試験した細菌株の90%の増殖を阻止するのに必要な抗生物質の最小濃度を指す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「OPT−80」という用語は、R−チアクミシンB及びチアクミシンB関連化合物(例えばチアクミシン、リピアルマイシンA4及びC−19ケトンが含まれるが、これらに限定されない)を含有する製剤を指す。この種の製剤は、国際公開第2004/014295A2号の国際公開公報番号を有するPCT出願第PCT/US03/21977号に詳細に記載されており、この製剤は参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「医薬的に許容される担体」という用語は、医薬的に許容される担体又は希釈剤を指す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「医薬的に許容される塩」という用語は、医薬的に許容される無機塩基及び有機塩基から誘導される塩を指す。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えばナトリウム又はカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)塩、アンモニウム塩及びN(C−Cアルキル) 塩等が含まれる。これらの一部の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウム等が含まれる。「医薬的に許容される塩」という用語はまた、医薬的に許容される非毒性の酸、例えば無機酸及び有機酸から調製される塩を指す。適切な非毒性の酸としては、無機酸及び有機酸、例えば酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルコレン酸(glucorenic acid)、ガラクツロン酸、グリシド酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、リン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれるが、これらに限定されない。塩酸、臭化水素酸、リン酸及び硫酸が特に好ましく、塩酸塩が最も好ましい。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「医薬組成物」という用語は、本明細書で述べるR−チアクミシン又はその生理的に許容される塩と、その他の化学成分、例えば生理的に許容される担体及び/又は賦形剤との組成物を指す。医薬組成物の目的は、哺乳動物、例えばヒトへの化合物の投与を容易にすることである。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「生理的に許容される担体」という用語は、「医薬的に許容される担体」という用語と同義に使用され、生物に対して重大な刺激を生じさせず、且つ投与された化合物の生物活性及び生物学的性質を無効にしない担体又は希釈剤を指す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「プロドラッグ」という用語は、生物学的条件下(インビトロ又はインビボ)で加水分解して、酸化して又はさもなければ反応して、化合物を提供することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生加水分解性部分、例えば生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド及び生加水分解性ホスフェート類似体を含有する化合物が含まれるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例としては、−NO、−NO、−ONO又は−ONO部分を含有する化合物が含まれる。本発明の化合物を表すために使用される場合、「プロドラッグ」という用語はまた、本発明の他の化合物、例えばラセミ化合物を除外すると解釈され得る。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「偽膜性大腸炎」又は「腸炎」という用語は、小腸及び大腸の両方の粘膜の炎症による偽膜性物質(すなわちフィブリン、粘液、壊死上皮細胞及び白血球から成る物質)の形成を指す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、本明細書で使用される「R」及び「S」配置という用語は、IUPAC 1974 Recommendations for Section E, Fundamental Stereochemistry, Pure Appl. Chem. (1976) 45, 13-30によって定義されるとおりである。キラル分子は、原子又は原子の群の原子番号、不斉中心に結合する配位子に基づいて命名され得る。配位子には優先順位(原子番号が大きいほど優先順位が高い)が与えられ、優先順位が時計回り方向に大きくなる場合、配位子はR配置であると言われる。あるいは、配位子が反時計回り方向に優先順位付けられる場合、配位子はS配置であると言われる。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「R−チアクミシンB」という用語は、以下:


に示すように、C−19に(R)−ヒドロキシ基を有する、チアクミシンBの光学的に純粋な(R)−異性体を表す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「立体異性体」という用語は、それらの分子が同じ数及び同じ種類の原子並びに同じ原子配列を有するが、空間配置が異なる化合物を指す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「光学的に純粋」、「立体異性的に純粋」及び「実質上立体異性的に純粋」という用語は、交換可能に使用され、ある化合物の1つの立体異性体、又はある化合物の1つの立体異性体を含む組成物であって、且つその化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する立体異性的に純粋な化合物又は化合物の組成物は、その化合物の逆鏡像異性体を実質的に含まない。2つのキラル中心を有する立体異性的に純粋な化合物又は化合物の組成物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、約80重量%を超えるその化合物の1つの立体異性体と約20重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含み、より好ましくは約90重量%を超えるその化合物の1つの立体異性体と約10重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含み、さらに一層好ましくは、約95重量%を超えるその化合物の1つの立体異性体と約5重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含み、最も好ましくは約97重量%を超えるその化合物の1つの立体異性体と約3重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含む。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「被験者」という用語は、医学的治療を必要とするヒト又は動物を指す。本発明に関して、ヒト被験者は、典型的には一次医療施設、例えば病院又は療養介護施設に収容される。しかし、抗生物質又は癌化学療法若しくは抗ウイルス療法の使用に関連する疾患の治療は、一次医療施設からの退院後に外来患者として行われ得るか、又は一次医療施設には関係しない、在宅治療のための医師によって処方され得る。医学的治療を必要とする動物は、典型的には獣医によって治療される。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「糖」という用語は、一般に単糖、二糖又はオリゴ糖を指す。糖は置換されていてもよく、例えばグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルグルコース、アセチルガラクトース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、ガラクトシル−N−アセチルグルコサミン、N−アセチルノイラミン酸(シアル酸)等、並びに硫酸化糖及びリン酸化糖であってもよい。この定義に関して、糖類は、それらのピラノース型又はフラノース型である。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、本明細書で使用される「チアクミシン」という用語は、そのすべてが以下の式I:


に示す18員大環状化合物を含む化合物のファミリーを指す。
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、本明細書で使用される「収量」という用語は、メタノール中でもとの発酵ブロスと同じ容量に再構成される粗チアクミシンの量を指す。収量は、標準HPLC手法を使用して測定される。収量はmg/Lの単位で報告される。
(本発明の化合物)
本発明の化合物は、チアクミシンBの糖質上のイソプロピルカルボキシ基が切断された、式II:


の構造を有するチアクミシンBの代謝産物である。
本発明は、遊離形態又はその医薬的に許容される塩の形態の式IIの医薬化合物に関する。
ある実施形態では、本発明の化合物は、R−チアクミシンBの代謝産物(すなわち式IIの化合物)である。
ある実施形態では、式IIの化合物はラセミ化合物であり、式IIa:


の化合物によって表すことができる。
他の実施形態では、式IIの化合物は実質上立体異性的に純粋であり、式IIの化合物によって例示され得る。
本発明はまた、チアクミシンBの代謝産物の医薬的に許容される塩を包含する。
(本発明の化合物の治療的及び予防的使用)
本発明は、細菌感染、特にクロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)及びウェルシュ菌(クロストリジウム・パーフリンジェンス)(C.perfringens)の毒素産生株によって引き起こされるGI感染症に関連する障害を治療するうえで有効な式IIの化合物を包含する。
本発明のもう1つの実施形態では、C.ディフィシルへの式IIの化合物の選択的作用は親化合物、OPT−80の作用と同様であり、C.ディフィシルに対してバンコマイシンと同程度に活性であった。
他の実施形態では、本発明は、式II若しくは式IIaの化合物又はその塩又はそのような化合物を含有する組成物の治療有効量をその必要のある被験者に投与することを含む、抗生物質に関連する状態を治療する方法を包含する。
他の実施形態では、本発明は、抗生物質療法が腸の微生物叢のバランスを乱し、病原生物、例えばC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及びウェルシュ菌のエンテロトキシン産生株が繁殖することを許容する場合に生じる状態を治療する方法を包含する。この方法は、式II若しくは式IIaの化合物又はその塩又はそのような化合物を含有する組成物の治療有効量をその必要のある被験者に投与することを含む。
他の実施形態では、本発明は、腸管におけるC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及びウェルシュ菌の異常増殖に関連する障害を、ある実施形態では抗生物質又は他の抗菌薬を服用している被験者において、治療する方法を包含する。本発明の方法によって治療できる又は予防できる障害としては、下痢から生命を脅かす大腸の炎症にまで及ぶ症状が含まれ、偽膜性大腸炎−大腸の重症炎症、並びに他の症状の中でも特に下痢、尿意促迫、腹部仙痛、テネスムス及び発熱として現れる大腸炎が含まれるが、これらに限定されない。下痢は、重症の場合、脱水症及び脱水に関連する医学的合併症を引き起こす。
式IIの化合物若しくは式IIaの化合物又はその塩又はそのような化合物を含有する組成物で治療できるC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及びウェルシュ菌に関連するさらなる障害としては、しばしば吐気及び腹部の痛みと痙攣を伴う水様下痢の発作、大腸炎又は偽膜性大腸炎、重篤な水様下痢−1日に10回又はそれ以上の腸運動、しばしば101°Fを超える発熱、重症であり得る腹痛、便中の血液又は膿、吐気、脱水症、及び体重減少が含まれる。
ある実施形態では、被験者は、抗生物質療法の間に又は抗生物質療法の終了直後にC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及びウェルシュ菌感染を発症し得るが、徴候及び症状は治療が停止された後数週間、さらには数ヶ月間現れないこともある。本発明の化合物及び組成物は、長期的な治療のため及び細菌感染又は細菌感染に関連する障害の再発を予防するために有用である。
理論に拘束されるものではないが、被験者が感染を治療するために抗生物質を服用する場合、抗生物質はしばしば、疾病を引き起こしている細菌だけでなくこれらの有益な細菌も破壊すると考えられる。健康に良い細菌が不足することにより、C.ディフィシルのような危険な病原菌が制御不能に急速に増殖することがある。C.ディフィシルは、ひとたび定着すると、腸の内層を攻撃する有害毒素を産生することができる。毒素は細胞を破壊し、大腸の内側表面に偽膜−炎症細胞の警告斑(telltale patches)(プラーク)及び腐敗性細胞デブリを生成する。理論に拘束されるものではないが、ほとんどいずれの抗生物質も腸内で有害細菌の増殖を生じさせ得るが、アンピシリン、アモキシシリン、クリンダマイシン、フルオロキロノロン類及びセファロスポリン類は、ほとんどの場合C.ディフィシル感染に関与する。広範囲の細菌を標的する広域スペクトルの薬剤の使用及び長期間にわたる抗生物質の服用は感染の可能性を高める。抗ウイルス薬及び抗真菌薬並びに化学療法剤を含む他の抗菌薬も、C.ディフィシルによる感染の危険度上昇を導き得る。
従って、本発明は、感染、例えばC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及びウェルシュ菌の異常増殖によって引き起こされる細菌感染を治療するうえで、及び/又はC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及びウェルシュ菌の異常増殖に関連する障害を治療又は予防するうえで有用な式IIの化合物又はその塩を含有する組成物及び製剤をさらに包含する。
本発明はまた、感染、例えばC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及びウェルシュ菌によって引き起こされる細菌感染を含むがこれらに限定されない細菌感染を治療する方法、及び/又はC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及びウェルシュ菌に関連する障害を治療又は予防する方法であって、式II若しくは式IIaの化合物又はその塩又はそのような化合物を含有する組成物の治療的又は予防的に有効な量を、治療又は予防を必要とする被験者、好ましくは哺乳動物に投与することを含む方法を包含する。
1つの実施形態では、式II若しくは式IIaの化合物又はその塩及び医薬的に許容されるビヒクルを含有する本発明の組成物は、嫌気性及び微好気性GI微生物叢に関連する障害を有する哺乳動物、好ましくはヒトに投与される。
もう1つの実施形態では、式II若しくは式IIaの化合物又はその塩及び医薬的に許容されるビヒクルを含有する本発明の組成物は、C.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及びウェルシュ菌によって引き起こされる感染を有する哺乳動物、好ましくはヒトに投与される。
もう1つの実施形態では、式II若しくは式IIaの化合物又はその塩及び医薬的に許容されるビヒクルを含有する本発明の組成物は、C.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及び/又はウェルシュ菌に関連する障害を有する哺乳動物、好ましくはヒトに投与される。
1つの実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、嫌気性及び微好気性GI微生物叢又はC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及びウェルシュ菌の異常増殖に関連する細菌感染に関連する、疾患又は障害又はそれらの少なくとも1つの認識可能な症状の改善を指す。もう1つの実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、治療を必要とする被験者によって必ずしも認識されない、少なくとも1つの測定可能な身体的パラメータの改善を指す。さらにもう1つの実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、疾患又は障害の進行を身体的に阻止すること、例えば認識可能な症状の安定化、疾患又は障害の進行を生理的に組織すること、例えば身体的パラメータの安定化、又はその両方を指す。さらにもう1つの実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、疾患又は障害の発症を遅延させることを指す。
ある実施形態では、本発明の組成物は、そのような疾患に対する予防措置として被験者、好ましくはヒトに投与される。本明細書で使用される、「予防」又は「予防すること」は、所与の疾患又は障害を獲得する危険度の低下を指す。この実施形態の好ましい態様では、本発明の組成物は、嫌気性及び微好気性GI微生物叢又はC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及び/又はウェルシュ菌の異常増殖に関連する細菌感染又は障害への素因を有する被験者、好ましくはヒトに対して予防措置として投与される。
(治療的/予防的投与及び組成物)
式II及び式IIaの化合物並びにその塩の活性のゆえに、化合物は獣医学及びヒト医学において好都合に有用である。前述したように、本発明の化合物は、嫌気性及び微好気性GI微生物叢、C.ディフィシルに関連する障害、又はC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及び/又はウェルシュ菌に関連する障害の治療又は予防のために有用である。
一部の実施形態では、被験者は、異常な/変化した腸微生物叢を有するが、嫌気性及び微好気性GI微生物叢、C.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及び/又はウェルシュ菌の異常増殖に関連する生理的症状、又はC.ディフィシル、黄色ブドウ球菌及び/又はウェルシュ菌に関連する障害を示さない又は発現しない。
本発明は、式IIの化合物を含有する組成物の治療的又は予防的に有効な量の被験者への投与による治療及び予防の方法を包含する。本発明はまた、被験者の腸又はGI管を式II若しくは式IIaの化合物又はその塩の治療的又は予防的に有効な量と接触させることによる治療及び予防の方法を包含する。
被験者は、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモットなどの動物を含むがこれらに限定されない哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
式IIの化合物を含有する組成物は、好ましくは経口的に投与される。本発明の化合物はまた、何らかの他の好都合な経路によって、例えば注入又はボーラス注射によって、上皮又は粘膜皮膚内層(例えば口腔粘膜、直腸及び腸粘膜)を介した吸収によって投与されてもよく、また別の生物学的に活性な物質と共に投与されてもよい。投与は全身的又は局所的であり得る。様々な送達システム、例えばリポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセル等への封入が公知であり、式II、式IIaの化合物又はその塩を投与するために使用できる。投与の方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、経口、舌下、鼻内、大脳内、膣内、経皮、直腸経路、吸入によって、又は、特に耳、鼻、眼又は皮膚に局所的に投与することが含まれるが、これらに限定されない。好ましい投与の方法は医師の裁量に委ねられ、一部には、医学的状態の部位に依存する。
ほとんどの場合、投与は本発明の化合物の血流中への放出を生じさせない。例えば、本発明の1つの実施形態に従って、多回経口投与後、式IIの低いMCCレベルが血漿中で検出されたが、その大部分は定量限界未満であった。これに対し、試験における式IIの糞便中レベルは極めて高く、C.ディフィシルに対するそのMIC値の1,000倍を超えた。
しかし、ある実施形態では、本発明の化合物を全身的に投与することが有用であり得る。従って、他の実施形態では、投与は本発明の化合物の血流中への放出を生じさせる。
特定実施形態では、本発明の1又はそれ以上の化合物を、治療を必要とする領域に局所的に投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、限定としてではなく、手術中の局所注入によって、局所適用によって、例えば手術後の創傷包帯と共に、注射によって、カテーテルによって、坐薬によって、インプラントによって達成され得、前記インプラントは、シアラスティック膜のような膜又は繊維を含む、有孔性、無孔性又はゼラチン状物質である。1つの実施形態では、投与は、アテローム性動脈硬化性プラーク組織の部位(又はもとの部位)への直接注射によってであり得る。
肺投与も、例えば、吸入器又はネブライザ及びエアロゾル化剤を含む製剤の使用によって、又はフルオロカーボン又は合成肺表面活性物質中での灌流を介して使用できる。ある実施形態では、本発明の化合物は、伝統的な結合剤及びビヒクル、例えばトリグリセリドと共に、坐薬として製剤することができる。
もう1つの実施形態では、本発明の化合物は、小胞、特にリポソーム中で送達することができる(Langer, 1990, Science 249:1527-1533; Treat et al, in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, ibid., pp. 317-327;一般に上記参照)。
さらにもう1つの実施形態では、本発明の化合物は制御放出システムで送達することができる。1つの実施形態では、ポンプを使用し得る(Langer, supra; Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng.14:201; Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507 Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321 :574参照)。もう1つの実施形態では、ポリマー材料が使用できる (Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, FIa. (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984); Ranger and Peppas, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61参照; Levy et al., 1985, Science 228:190; During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105も参照のこと)。さらにもう1つの実施形態では、制御放出システムは、本発明の化合物の標的の近くに、例えば肝臓に位置付けることができ、それ故全身用量の一部しか必要としない(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp. 115-138 (1984)参照)。Langer, 1990, Science 249:1527-1533による総説において論じられている他の制御放出システムも使用し得る。
組成物は、式II、式IIaの化合物又はその塩の治療的若しくは予防的に有効な量を、好ましくは精製形態で、患者への適切な投与のための形態を提供するために適切な量の医薬的に許容されるビヒクルと共に含有する。
特定実施形態では、「医薬的に許容される」という用語は、連邦政府又は州政府の規制当局によって承認されていること、又は動物、特にヒトにおける使用に関して米国薬局方若しくは他の一般的に認められている薬局方に記載されていることを意味する。「ビヒクル」という用語は、本発明の化合物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又は担体を指す。そのような医薬ビヒクルは、液体、例えば水及び油、例えば石油、動物、植物又は合成起源の油、例えば落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等であり得る。医薬ビヒクルは、食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、滑石、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素等であり得る。加えて、助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤も使用し得る。患者に投与される場合、本発明の化合物及び医薬的に許容されるビヒクルは、好ましくは無菌である。本発明の化合物が静脈内投与される場合、水は好ましいビヒクルである。食塩水並びにデキストロース及びグリセロール水溶液も、特に注射用溶液のための、液体ビヒクルとして使用できる。適切な医薬ビヒクルはまた、賦形剤、例えばデンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、滑石、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等を含む。本発明の組成物は、所望する場合、少量の湿潤剤若しくは乳化剤又はpH緩衝剤も含有し得る。
本発明の化合物はまた、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル、液体を含有するカプセル、粉末、持続放出製剤、坐薬、乳剤、エアロゾル、スプレー、懸濁液の形態、又は使用に適した何らかの他の形態で投与できる。1つの実施形態では、医薬的に許容されるビヒクルはカプセルである(例えば米国特許第5,698,155号参照)。適切な医薬ビヒクルの他の例は、"Remington's Pharmaceutical Sciences" by A.R. Gennaroに記載されている。
ある実施形態では、式IIの化合物は、ヒトへの静脈内投与に適合された医薬組成物として、常套的な手順に従って製剤される。典型的には、静脈内投与のための本発明の化合物は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要な場合には、組成物は可溶化剤も含有し得る。静脈内投与のための組成物は、場合により、注射部位の痛みを緩和するために局所麻酔薬、例えばリドカインを含有してもよい。一般に、成分は、別々に供給されるか又は単位投与形態中で一緒に混合して、例えば凍結乾燥粉末として又は密閉された容器、例えば活性物質の量を指示したアンプル又は小袋中の無水濃縮物として供給される。本発明の化合物が注入によって投与される場合は、例えば滅菌医薬グレードの水又は食塩水を含む注入ボトルで配薬され得る。本発明の化合物が注射によって投与される場合は、投与の前に成分を混合し得るように、注射用滅菌水又は食塩水のアンプルが提供され得る。
他の実施形態では、本発明の組成物は経口的に投与することができる。経口送達用の組成物は、例えば錠剤、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、顆粒、粉末、乳剤、カプセル、シロップ又はエリキシルの形態であり得る。経口投与組成物は、医薬的に口当たりの良い製剤を提供するため、場合により1又はそれ以上の作用物質、例えば甘味料、例えばフルクトース、アスパルテーム又はサッカリン;着香剤、例えばペパーミント、冬緑油又はチェリー;着色剤;及び防腐剤を含有し得る。さらに、錠剤又は丸剤形態の場合、組成物は、胃腸管での崩壊と吸収を遅延させるために被覆されてもよく、それにより長期間にわたる持続的作用を提供する。浸透圧活性推進化合物(osmotically active driving compound)を取り巻く選択的透過性膜も、本発明の経口投与化合物に適する。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルを取り囲む環境からの流体が推進化合物によって吸収されて、推進化合物が膨張し、開口部を通して薬剤又は薬剤組成物と置き換わる。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤の急上昇プロフィール(spiked profile)とは対照的に、基本的にゼロ次送達プロフィールを提供することができる。時間遅延物質、例えばモノステアリン酸グリセロール又はステアリン酸グリセロールも使用し得る。経口組成物は、標準的なビヒクル、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等を含有し得る。そのようなビヒクルは、好ましくは医薬品グレードである。
本明細書で開示される特定障害又は状態の治療において有効な本発明の化合物の量は、障害又は状態の性質に依存し、標準的な臨床手法によって決定することができる。加えて、最適用量範囲を同定するのを助けるために、インビトロ又はインビボアッセイも場合により使用し得る。組成物中で使用されるべき正確な用量はまた、投与の経路及び疾患又は障害の重症度にも依存し、医師の判断及び各々の患者の状況に従って決定されるべきである。
経口投与のための経口組成物中の式II若しくは式IIaの化合物又はその塩の適切な量は、一般に本発明の化合物約0.001mg〜4000mgである。本発明の好ましい実施形態では、その量は約0.01mg〜2000mg、より好ましくは約0.1mg〜1000mg、より好ましくは約0.5mg〜800mg、さらに一層好ましくは1mg〜500mgである。好ましい実施形態では、組成物中の本発明の化合物又はその塩の量は、化合物約4000mgである。好ましい実施形態では、組成物中の本発明の化合物又はその塩の量は、化合物約2000mgである。好ましい実施形態では、組成物中の本発明の化合物又はその塩の量は、化合物約1000mgである。好ましい実施形態では、組成物中の本発明の化合物又はその塩の量は、化合物約500mgである。他の好ましい実施形態では、組成物中の本発明の化合物又はその塩の量は、化合物約250mgである。好ましい実施形態では、組成物中の本発明の化合物又はその塩の量は、化合物約100mgである。他の好ましい実施形態では、組成物中の本発明の化合物又はその塩の量は、化合物約50mgである。好ましい実施形態では、組成物中の本発明の化合物又はその塩の量は、化合物約10mgである。本明細書で述べる投与量は、投与される総量を表す;すなわち、本発明の2つ以上の化合物が投与される場合、好ましい用量は、投与される本発明の化合物に総量に相当する。経口組成物は、好ましくは10重量%〜95重量%の有効成分を含有する。ある実施形態では、経口投与レジメンは、1日に複数回経口用量を服用すること、例えば1日1回、1日2回、1日3回、1日4回又は1日を通じて一定の間隔をあけてそれ以上の回数、経口用量を服用することを含み得る。
他の実施形態では、経口投与のための適切な用量範囲は、一般に体重kg当たり本発明の化合物約0.001mg〜2000mgである。本発明の特定の好ましい実施形態では、経口用量は、体重kg当たり0.01mg〜1000mg、より好ましくは体重kg当たり0.1mg〜500mg、より好ましくは体重kg当たり0.5mg〜200mg、さらに一層好ましくは体重kg当たり1mg〜100mgである。最も好ましい実施形態では、経口用量は体重kg当たり本発明の化合物5mgである。本明細書で述べる投与量は、投与される総量を表す;すなわち、本発明の2つ以上の化合物が投与される場合、好ましい用量は、投与される本発明の化合物に総量に相当する。経口組成物は、好ましくは10重量%〜95重量%の有効成分を含有する。
静脈内(i.v.)投与のための適切な用量範囲は、体重kg当たり0.01mg〜100mg、体重kg当たり0.1mg〜35mg、及び体重kg当たり1mg〜10mgである。鼻内投与のための適切な用量範囲は、一般に約0.01pg/kg体重〜1mg/kg体重である。坐薬は、一般に体重kg当たり本発明の化合物0.01mg〜50mgを含有し、0.5重量%〜10重量%の範囲の有効成分を含有する。皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、硬膜外、舌下、大脳内、膣内、経皮投与又は吸入による投与のための推奨用量は、体重kg当たり0.001mg〜200mgの範囲内である。本発明の化合物はまた、局所製剤、例えば軟膏、スアブ(suave)、クリーム又はオイルに組み込むこともできる。局所投与のための本発明の化合物の適切な用量は、化合物が投与される面積に依存して、0.001mg〜2000mgの範囲内である。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から導かれる用量−反応曲線から推定され得る。そのような動物モデル及び系は、当分野において周知である。
本発明はまた、本発明の1又はそれ以上の化合物を満たした1又はそれ以上の容器を含む医薬パック又はキットを提供する。場合により、医薬品又は生物学的製剤の製造、使用又は販売を管理する政府当局によって規定される形態の通知書がそのような容器に添付されることがあり、通知書は、ヒトでの投与のための製造、使用又は販売の当局による認可を反映する。ある実施形態では、キットは本発明の2つ以上の化合物を含む。他の方法は当業者に公知であり、本発明の範囲内である。
以下の実施例は、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の特定実施形態を説明するために提供されるものである。
(実施例1)
式IIの調製
0℃で、MeOH 12mL中のLiOH(42mg)をOPT−80 783mgに添加した。溶液を0℃に5時間保持し、その後飽和NHCl溶液の添加によってクエンチングした。生じた混合物をクロロホルムで抽出した。有機層を分離し、乾燥して、濃縮した。CHCl:CHOH 10:1を溶離液として使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製した。所望の生成物(154mg)をHPLCにより97.05%の純度で単離した。

式IIの分析データ
HPLCクロマトグラフィー分析は、Walters 2695分離モジュールをWalters 2487検出器と共に使用して実施した。
カラム:Agilent、ZORBAX Eclipse XDB−C8 4.6×150mm、3.5ミクロン
検出器波長:230nm
移動相Aは水、0.1%TFAであり、移動相Bはアセトニトリル、0.05%TFAである。

4.81分のピークは、発酵後のOPT−80生産の粗物質のHPLCダイアグラムにおいても認められた。
(実施例2)
式IIの生物活性
細菌株:
大部分の細菌株はAmerican Type Culture Collection(Manassas,VA)より購入した。ブドウ球菌属(Staphylococcus)及びバンコマイシン耐性エンテロコッカス属(Enterococci)の少数の臨床単離物は、Christiana Care Health System(Wilmington,DE)より購入し、Biomerieux API同定システム(Durham,NC)によって同定された。
抗菌化合物:
OPT−80及び式IIはOptimer Pharmaceuticalsによって生産された。バンコマイシンはSigma−Aldrich(St.Louis,MO)より購入した。
式IIのプロファイリング:
OPT−80及びその主要代謝産物である式IIの嫌気性及び好気性GI細菌に対するMICを、CLSI標準感受性試験法を使用して決定した。
寒天培地希釈法:(1)
この方法は、嫌気性生物(バクテロイデス属(Bacteroides)、クロストリジウム属(Clostridium)、ビフィドバクテリウム属 (Bifidobacteria)、プレボテラ属(Prevotella)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、ベイヨネラ属(Veillonella)及び微好気性乳酸杆菌属(Lactobacillus spp) に関して使用し、これらはすべてAmerican Type Culture Collection(ATCC)より購入した:
1.化合物の2倍希釈溶液を、0.016μg/mL〜16μg/mLの最終濃度範囲を達成するように、ヘミン、ビタミンK及び5%溶血ヒツジ血液を添加したブルセラ(Brucella)寒天培地中で作製した。
2.直接コロニー懸濁法を使用して、細菌接種材料を0.5マクファーランド標準(約10CFU/mL)に近い密度で調製し、続いて約10CFU/スポットを送達するようにステアズレプリケーターを使用して接種材料を寒天プレート上にスポットした。
3.プレートを嫌気チャンバーにおいて35℃で48時間インキュベートした。乳酸杆菌株については、ミューラーヒントン寒天培地(Mueller Hinton Agar)及び5%COのインキュベーション大気を使用した。
4.増殖を示さない又は増殖の著明な減少を示す抗生物質の最小濃度をMICとして読み取った。
マイクロブロス希釈法:
この感受性法は、好気性及び通性生物(エシェリキア属(Escherichia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サルモネラ属(Salmonella)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)及びエンテロコッカス属(Enterococcus))に関して使用した:
1.化合物の2倍段階希釈溶液を、0.125μg/mL〜64μg/mLの濃度範囲を達成するようにカチオン調整ミューラーヒントンブロス中で作製した。
2.直接コロニー懸濁法を使用して、0.5マクファーランド標準の細菌接種材料を希釈し、約5×10CFU/mL(又は5×10CFU/ウエル)の最終密度になるように各々のマイクロタイタープレートに接種した。
3.マイクロタイタープレートを周囲空気中35℃で16〜24時間(生物に依存して)インキュベートした。
4.MICを、目に見える増殖が存在しない最小濃度として読み取った。
OPT−80及び式IIのインビトロ活性への糞便物質の影響:
C.ディフィシルATCC 700057に対するOPT−80、式II及びバンコマイシンのインビトロ活性を、バクテロイデス・フラジリス(B. fragilis)について推奨されるようにCLSI(臨床検査標準協会)ガイドラインによるマイクロブロス希釈感受性試験法を使用して糞便の存在と不在下で測定した。実験のために使用したブルセラブロス培地(BB)には、ヘミン(5μg/mL)及びビタミンK(1)を添加した。糞便スラリーを、Swanson et al (Antimicrobial Agents and Chemotherapy. 35(6): 1108-1111; J of Antibiotics. XLII (1): 94-101)によって述べられている方法に従って調製した。
1.簡潔に述べると、新鮮ヒト糞便試料5.5gをBB 110mlに添加し、続いて約10分間ホモジナイズすることによって5%糞便スラリーを調製した。
2.スラリーを、以下の薬剤:OPT−80、式II、バンコマイシン(VAN)の所望の最高濃度の2倍を含む、又は薬剤を含まない別々の管(それぞれ製剤A〜F及びI)にアリコートとして分配した。
3.糞便を含まないBB中の上記薬剤の同様の製剤も、実験手順についての対照として調製した(それぞれ製剤E〜G及びJ)。
製剤A:糞便添加BB+OPT−80 32μg/mL
製剤B:糞便添加BB+式II 256μg/mL
製剤C:糞便添加BB+VAN 256μg/mL
製剤E:無添加BB+OPT−80 32μg/mL
製剤F:無添加BB+式II 256μg/mL
製剤G:無添加BB+VAN 256μg/mL
製剤I:糞便添加BB、薬剤なし
製剤J:無添加BB、薬剤なし
室温で30分間のインキュベーション後、すべての製剤を遠心分離して固体物質を除去し、1.2μmマイクロファイバーガラスプレフィルターで1回ろ過して、0.2μmフィルター装置で3回ろ過した。
製剤A〜Cからのろ液物質を、5%糞便スラリーろ液(すなわち製剤I)を希釈剤として使用して96穴マイクロタイタープレートの長さにわたって段階的に希釈した。
製剤E〜Gからのろ液物質を、BB(製剤J)を希釈剤として使用して96穴マイクロタイタープレートの長さにわたって段階的に希釈した。
プレートを嫌気グローブボックスに移し、嫌気環境に4時間平衡させた。
一晩培養物から細菌を採集し、糞便添加又は無添加BB中で0.5マクファーランド懸濁液を調製することによって細菌接種材料を作製した。
作製した接種材料を、次に、段階希釈した薬剤を含むプレートに添加し、薬剤の1:2希釈溶液を生成して所望の最終濃度を得た。
マイクロタイタープレートを嫌気条件下にて35℃で約48時間インキュベートし、MICを、目に見える増殖が存在しない最小薬剤濃度として読み取った。
式IIのプロファイリングの結果
式IIは、親化合物と同様に、一部のグラム陽性菌(C.ディフィシル、ウェルシュ菌、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B. longum)、ファインゴルディア・マグナ(F. magna)、ぺプトニフィラス・アサッカロリティカス(P. asaccharolyticus)、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス(P. anaerobius)、ミクロモナス・ミクロス(M. micros)及び微好気性ラクトバチルス・カゼイ(L. casei))に対して抗菌活性を示したが、MIC値はOPT−80の4〜16倍大きかった。他のグラム陽性菌、例えば黄色ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)及びラクトバチルス・ラムノサス(L. rhamnosus)に関して、式IIは、>16μg/mLのMICでインビトロ活性を示した。これは、式IIがC.ディフィシルに対する非常に狭域の抗生物質として使用できることを明確に示す。

200mgのOPT−80を1日2回(予定される投与レジメン)投与したCDAD患者におけるOPT−80の第2A相試験において、親OPT−80の糞便中レベルは1433±975μg/gであり、一方代謝産物である式IIの糞便中レベルは760±373μg/gであった(6)。それ故、経口投与後、親化合物及び代謝産物の両方が、C.ディフィシルに対するそれらのMIC値をはるかに超えるレベルで存在する(図1)。
式IIは、経口投与後、OPT−80と共に、C.ディフィシルに対するそれらのMIC値をはるかに超えるレベルで(1,000倍)腸内に存在する。

図1 5%糞便物質の存在下と不在下でのC.ディフィシルATCC 700058に対するMIC値と、OPT−80及び式IIの糞便中レベルの比較





OPT−80及び式IIのインビトロ活性への糞便物質の影響
OPT−80、式II及び、CDADに関してFDAに認可されている唯一の治療薬である、バンコマイシンの抗菌活性への糞便物質の影響をC.ディフィシルATCC株700057に対して評価した(表3)。
5%糞便物質の存在下で、MIC値の同様の倍数上昇が3つの薬剤すべてに関して認められた;OPT−80(2μg/ml;8倍)、式II(4μg/ml;4倍)及びバンコマイシン(8μg/ml;4倍)。インビトロデータは、糞便物質の存在下でさえも、代謝産物及びOPT−80の両方が、CDADについての認可治療薬であるバンコマイシンと比較してより良好な又は同様のインビトロ活性を有することを明らかにする。さらに、経口投与後のOPT−80の平均糞便中濃度は1,400μg/g便を超えることが示されており(6)、糞便物質の存在下でさえもMICをはるかに超えるレベルである。
上記で考察したすべての参考文献は、すべての目的に関してそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明を、その好ましい実施形態を参照して詳細に示し、記述したが、形態及び詳細の様々な変更が、付属の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神と範囲から逸脱することなく行われ得ることは当業者に理解される。

Claims (20)

  1. 遊離形態又はその医薬的に許容される塩の形態の、式II:

    の化合物を含有する医薬組成物。
  2. 式IIの化合物が立体異性的に純粋である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 経口投与剤形の形態の請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 経口投与剤形が錠剤、カプセル、ジェルキャップ、溶液、シロップ又はエリキシルである、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 式IIの前記化合物が0.001mg〜4000mgの量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 式IIの前記化合物が0.01mg〜2000mgの量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 式IIの前記化合物が0.1mg〜1000mgの量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 式IIの前記化合物が1mg〜800mgの量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
  9. 式IIの前記化合物がアルカリ金属塩又は第三級アルキルアンモニウム塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
  10. 式IIの前記化合物がNa、K、Mg2+、Ca2+、Zn2+塩である、請求項1に記載の医薬組成物。
  11. 医薬的に許容される担体又はビヒクルをさらに含有する、請求項1に記載の医薬組成物。
  12. 遊離形態又はその医薬的に許容される塩の形態の式II:

    の化合物の治療的又は予防的に有効な量を含有し、哺乳動物における細菌感染の治療又は予防のために、前記哺乳動物に投与する医薬組成物。
  13. 前記治療的又は予防的に有効な量が0.001mg/kg〜2000mg/kgである、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 前記哺乳動物がヒトである、請求項12に記載の医薬組成物。
  15. 投与の経路が経口又は非経口である、請求項12に記載の医薬組成物。
  16. 投与の経路が静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、硬膜外、大脳内又は膣内である、請求項12に記載の医薬組成物。
  17. 前記用量が、被験者の体重kg当たり0.001mg〜200mgである、請求項12に記載の医薬組成物。
  18. 前記用量が、被験者の体重kg当たり0.01mg〜100mgである、請求項12に記載の医薬組成物。
  19. 前記用量が、被験者の体重kg当たり0.1mg〜50mgである、請求項12に記載の医薬組成物。
  20. 遊離形態又はその医薬的に許容される塩の形態の式II:

    の化合物含み、前記式IIの化合物と哺乳動物の胃腸管とを接触させることにより哺乳動物における細菌感染を治療又は予防するための医薬組成物。
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