JP5825217B2 - 18員大環状化合物及びその類似化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、一般にチアクミシン(Tiacumicin)、特にR−チアクミシンB又
はチアクミシンBと呼ばれる18員大環状抗菌剤及びその関連化合物に関する。特に、本
発明は、細菌感染症、特にクロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)、
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含めた黄色ブドウ球菌(Staphylo
coccus aureus)及びクロストリジウム・パーフリンジェンス(C.per
fringens)の毒素産生菌株によって引き起こされるGI感染症の治療用の強力な
抗生物質としての実質的に純粋なR−チアクミシンBに関する。
大環状化合物(macrocycle)は、治療上重要な種類の抗生物質である。これ
らの化合物は、密接な関係がある生物発生同属種(biogenetic congen
er)のファミリーとして製造される場合が多い。チアクミシン類は、その巨大環が1個
又は2個の糖にグリコシド結合している一連の18員大環状抗生物質である。7炭糖は、
種々の位置で小さな脂肪酸によりエステル化される。その他の糖は、存在する場合には、
完全に置換された安息香酸、すなわちエベルニン酸の異性体によりエステル化される(非
特許文献1)。
チアクミシン類は、下記の式I
Figure 0005825217
で示される18員環を含有する関連化合物のファミリーである。
現在、幾つかの別個のチアクミシンが確認されており、これらのうちの6個(チアクミ
シンA〜F)は、表1に示すように、置換基R1、R2及びR3の特定のパターンによって
定義される(特許文献1;非特許文献2)。
Figure 0005825217
Figure 0005825217
チアクミシンA〜Fは、分光学的に及びその他の物理的方法によって特定されている。
チアクミシン類の化学構造は、分光分析法:UV−vis、IR及び1H及び13C NM
Rに基づいており、例えば、非特許文献2が参照される。表1を検討すると、前記ファミ
リーのある構成メンバー同士は、構造的に関連した異性体であること、及び/又はある部
分の存在又は不存在によって異なることが分かる。その他の構成メンバーは、それらのエ
ステル基の性質の点で異なる。
チアクミシン類は、細菌、例えばダクチロスポランギウム・オーランティアカム(Da
ctylosporangium aurantiacum)亜種ハムデネンシス(ha
mdenensis)によって生産され、この細菌は、ARS Patent Coll
ection of the Northern Regional Research
Center,United States Department of Agri
culture,1815 North University Street,Peo
ria,IL 61604,受託番号NRRL 18085から取得し得る。菌株AB
718C−41の特徴は、非特許文献3及び特許文献1に示されている。
クロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)が関係した下痢(CDAD
)は、激しく、また痛みを伴う下痢に特徴がある疾患である。クロストリジウム・デフィ
シレ(C.difficile)は、抗生物質が関係した下痢(AAD)の症例の約20
%及び抗生物質が関係した大腸炎(AAC)の症例の大部分の原因である。これらの疾患
は、典型的にはクロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)、メチシリン
耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含めた黄色ブドウ球菌(Staphylococcu
s aureus)、及びクロストリジウム・パーフリンジェンス(C.perfrin
gens)の毒素産生菌株によって引き起こされる。AADは、米国だけで、過剰な病院
費用において控えめにみて年当たり30〜60億ドルと見積もられる医療制度にとって大
きな経済的負担となっている。
腸管定着が一定の感染保有宿主を提供するバンコマイシン耐性腸球菌もまた、増大した
医療費及び死亡率に関連した主要な院内病原菌として出現している。VREは、クロスト
リジウム・デフィシレ(C.difficile)に感染した患者において重感染として
出現しうるか、又はより一般的にはある種の危険性の高い患者、例えば血液及び癌患者、
集中治療室の患者並びに固形臓器移植を受ける患者において感染症を引き起こす。
メチシリン耐性ブドウ球菌、例えばMRSAは、病院及び社会環境の両方において有病
率を増大しつつある。ブドウ球菌は、皮膚で並びに消化管及び気道内で見出されるが、開
いた傷口及やけどに感染することがあり、そして深刻な全身感染症に進行することがある
。特に、抗生物質の使用が頻繁であり且つ薬剤耐性生物に対する選択圧力が高い病院での
多剤耐性ブドウ球菌の出現は、これらの患者を治療するための課題となっている。患者及
び医療従事者の皮膚にMRSAが存在すると、多剤耐性生物の伝播を促進する。
同様の疾患、例えば以下に限定されないがクロストリジウム腸炎、新生児下痢、抗生物
質が関連した腸炎、散発性腸炎、及び院内腸炎もまた、幾つかの動物種では深刻な問題で
ある。
AADは、病院及び長期介護施設において並びに一般社会において深刻な問題である。
クロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)は、病院内のAADの主要な
原因であり、AADの症例の約20%及び抗生物質が関係した大腸炎(AAC)の症例の
大部分の割合を占める。クロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)が関
係した下痢(CDAD)の発生率の上昇は、入院患者に対する広域スペクトル抗生物質の
頻繁な処方に起因している。
最も深刻な形の疾患は、偽膜性大腸炎(PMC)であり、これは組織学的には粘膜斑を
有する大腸炎を呈し、臨床的には重度の下痢、腹部けいれん及び全身毒性を呈する。CD
ADによる全死亡率は低いが、重度の大腸炎又は全身毒性になる患者ではよりいっそう高
い。最近の研究により、死亡がクロストリジウム・デフィシレ(C.difficile
)に直接起因していない場合であっても、CDAD患者での死亡率は、症例適合対照と比
べるとはるかに大きいことが明らかにされている。
下痢及び大腸炎は、1種又はそれ以上のクロストリジウム・デフィシレ(C.diff
icile)毒素の生成(elaboration)によって引き起こされる。前記生物
は、広域スペクトル抗生物質を受けているか又はあまり一般的ではないが癌化学療法を受
けている患者の結腸で増殖する。CDADは、このような薬剤を用いた治療後に下痢にな
る入院患者の約20%において診断される。
現在、CDADについて2つの主要な治療剤:すなわちバンコマイシン及びメトロニダ
ゾールが存在する。バンコマイシンは、主としてそれが幾つかの深刻な生命を脅かす多剤
耐性菌に対して有効な唯一の抗生物質であるという理由から、CDADの一次治療には推
奨されない。従って、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)又はバンコマイシン耐性黄色
ブドウ球菌(VRSA)の出現を最小限に抑えるために、医学界は、絶対に必要である場
合を除いてこの薬剤の使用を推奨していない。
メトロニダゾールは、バンコマイシン耐性腸管内菌叢、特に腸球菌の促進及び淘汰(s
election)に対する懸念から初期療法として推奨される。クロストリジウム・デ
フィシレ(C.difficile)耐性の頻度は幾つかの国では>6%であり得るとい
う報告にもかかわらず、メトロニダゾールは、相変わらずバンコマイシンとほぼ同じ程度
の効果があり、それよりも相当に安く、しかも経口又は静脈内使用することができる。メ
トロニダゾールは、著しい副作用、例えば吐き気、神経障害、白血球減少、発作、及びア
ルコールに対する中毒反応を伴う。また、メトロニダゾールは、子供又は妊婦に使用する
場合には安全ではない。臨床再発が、バンコマイシン又はメトロニダゾールを用いた治療
後に、最大20%の症例で生じる。メトロニダゾールを用いた療法は、VREコロニー形
成及び感染にとって重要な危険因子であることが報告されている。胃腸感染症、例えばク
ロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)が関係した下痢(CDAD)に
対する現行の治療計画は、かなり厄介であり、1日に最大500mgを4回、10〜14
日間必要とする。従って、CDADの症例について並びにその他の抗生物質が関係した下
痢(AAD)及び抗生物質が関係した大腸炎(AAC)の症例について、よりよい治療に
対する要求がある。
チアクミシン類、特にチアクミシンBは、種々の病原菌に対して、特にクロストリジウ
ム・デフィシレ(C.difficile)、グラム陽性菌に対して活性を示す(非特許
文献4)。クロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)は、腸の感染症を
引き起こす嫌気性胞子形成細菌である。下痢は最も一般的な症状であるが、腹痛及び発熱
も起こり得る。クロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)は、抗生物質
摂取の後に生じ得る大腸炎(結腸の炎症)及び下痢の主な病因物質である。この細菌は、
主として病院及び長期介護施設で獲得される。チアクミシンBはクロストリジウム・デフ
ィシレ(C.difficile)に対して期待できる活性を示すことから、哺乳動物の
細菌感染症、特に胃腸管の細菌感染症の治療に有用であることが期待される。このような
治療の例としては、大腸炎の治療及び過敏性大腸症候群の治療が挙げられるが、これらに
限定されない。チアクミシンはまた、胃腸癌の治療にも用途を見出し得る。
チアクミシン抗生物質は、特許文献1(1990年4月17日発行)、非特許文献2、
非特許文献3、非特許文献1、非特許文献4、特許文献2(1996年12月10日発行
)、及び特許文献3(1998年6月16日発行)に記載されており、これらは全て参照
することにより本明細書に組み込まれる。関連化合物はリピアルマイシン(Lipiar
mycin)抗生物質(非特許文献5及び非特許文献6参照)及びクロストマイシン(C
lostomicin)抗生物質(非特許文献7)であり、これらは全て参照することに
より本明細書に組み込まれる。
[先行技術文献]
(特許文献1)米国特許第4,918,174号明細書
(特許文献2)米国特許第5,583,115号明細書
(特許文献3)米国特許第5,767,096号明細書
(非特許文献1)Journal of Liquid Chromatograp
hy,1988,11:191−201
(非特許文献2)J.Antibiotics,1987,40:575−588
(非特許文献3)J.Antibiotics,1987,40:567−574
(非特許文献4)Antimicrob.Agents Chemother.19
91,1108−1111
(非特許文献5)J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,1987
,1353−1359
(非特許文献6)J.Antibiotics 1988,41:308−315
(非特許文献7)J.Antibiotics 1986,39:1407−141
本発明は、R−チアクミシン類、特に光学的に純粋なR−チアクミシンBを含有する新
規な医薬組成物、及びグラム陽性嫌気性菌によって引き起こされる感染症を治療するため
の現存薬剤と組み合わせたこれら新規組成物の使用に関する。
本発明の一つの実施形態は、チアクミシンBのC−19での不斉中心が生物活性に対し
て大きな影響を及ぼすという発見に関する。今般、C−19にR−ヒドロキシ基を有する
より高い活性のR−チアクミシンBの実質的に純粋な製剤(preparation)が
、意外にもチアクミシンBの光学的に純粋なS−異性体及びその他のチアクミシンB関連
化合物よりも低いMIC値を有することが見い出された。
本発明の別の実施形態において、実質的に純粋なR−チアクミシンBは、著しく長い抗
生物質投与後効果(PAE)を有する。
本発明は、微生物ダクチロスポランギウム・オーランティアカム(Dactylosp
orangium aurantiacum)亜種ハムデネンシス(hamdenens
is)の液中好気性発酵による実質的に純粋なR−チアクミシン類を含有する新規抗生物
質の組成物を包含する。その製造方法は、国際公開第WO2004/014295A2号
明細書の記載が参照でき、その記載は参照することにより本明細書に組み込まれる。
図1はR−チアクミシンBのOak Ridge Thermal Ellipsoid Plot Program(ORTEP)化学構造を表す。
(定義)
「抗生物質が関係した状態」という用語は、抗生物質療法が腸の微生物叢のバランスを
乱し、病原生物、例えばクロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)、黄
色ブドウ球菌(S.aureus)及びクロストリジウム・パーフリンジェンス(C.p
erfringens)のエンテロトキシン産生菌が繁茂することを可能にする場合に生
じる状態を表す。これらの生物は、下痢、偽膜性大腸炎及び大腸炎を引きこすことがあり
、他の症状の中で下痢、尿意促迫、腹痛、テネスムス及び発熱を呈する。下痢は、重度の
場合には、脱水症及び脱水症に関連した医学的合併症を引き起こす。
「非対称に置換された」という用語は、4個の四面体原子価(tetrahedral
valence)を有する原子が4個の異なる原子又は基に結合している分子構造を表
す。最も一般的な例は、炭素原子を含む。このような例では、炭素原子当たり、互いに重
ね合わせることができない鏡像である2つの光学異性体(D−及びL−鏡像異性体又はR
−及びS−鏡像異性体)が生じる。多数の化合物が2個以上の不斉炭素を有する。これは
、多数の光学異性体の可能性をもたらし、その数は式2n(式中、nは不斉炭素の数であ
る)によって決定される。
本明細書で使用する「ブロス」という用語は、発酵中に又は発酵後に得られる液体培地
を表す。ブロスは、水、所定の抗生物質(1種又は複数)、未使用栄養素、生存又は死滅
生物、代謝産物、及び吸着された生成物を有するか又は有していない吸着剤の混合物を含
有してなる。
「C−19ケトン」という用語は、以下の式II:
Figure 0005825217
で示されるチアクミシンB関連化合物を表す。
「ジアステレオマー」という用語は、互いに鏡像でない立体異性体を表す。
「鏡像異性体」という用語は、それ自体重ね合わせることができない鏡像を表す。光学
活性異性体の鏡像異性体は、平面偏光を元の異性体と同程度であるが反対方向に回転する
。光学活性異性体とその鏡像異性体とを等量含む溶液は、ラセミ溶液として知られており
、ゼロの平面偏光の正味の回転を有する。鏡像異性体は、互いに反対の接頭辞を有するで
あろう:D−はL−になり又はR−はS−になる。大部分の生物反応が酵素によるもので
あり、酵素は鏡像異性体の一方にのみ結合できるため、一方の鏡像異性体のみが生物系で
活性である場合が多い。
「賦形剤」という用語は、化合物の投与をさらに促進するために薬理学的組成物に添加
される不活性物質を表す。賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種
々の糖類及びある種のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレン
グリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br及びIを含む。
「異性体混合物」という用語は、同じ化学式をもつ2つ又はそれ以上の立体配置が異な
る化学種の混合物を意味する。異性体混合物は、個々の異性体種を含有する種類(gen
us)である。異性体混合物の例としては、例えばペリ環状反応から得られるような立体
異性体(鏡像異性体及びジアステレオマー)、位置異性体が挙げられる。本発明の化合物
は、非対称に置換された炭素原子を含有する。このような非対称に置換された炭素原子は
、特定の非対称に置換された炭素原子での立体異性体の混合物又は単一の立体異性体をも
たらすことができる。結果として、本発明の化合物のラセミ混合物、ジアステレオマーの
混合物、及び単一のジアステレオマーが、本発明に含まれる。
「リピアルマイシン(Lipiarmycin)A4」という用語は、以下の式III

Figure 0005825217
で示されるチアクミシンB関連化合物を表す。
「低級アルキル」という用語は、単独で又は組み合わせで、1個〜約8個の炭素(例え
ば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8)、さらに好ましくは1〜4個の炭素(例
えば、C1、C2、C3、C4)を有し、場合により置換されていてもよい直鎖、又は場合に
より置換されていてもよい分岐鎖を表す。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基
、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基が挙げられる。「低級アルキル」は、一般に短いアルキル、例えば1
〜約4個の炭素原子(例えば、C1、C2、C3、C4)を含有するアルキルである。
「大環状化合物」という用語は、通常10個を超える原子を含有する大きな環構造を有
する有機分子を表す。
「18員大環状化合物」という用語は、18個の原子を含有する環構造をもつ有機分子
を表す。
「員環」という用語は、任意の環状構造、例えば前記のような炭素環及び複素環を包含
することができる。「員」という用語は、環を構成する骨格原子の数を表すことを意味す
る。従って、例えば、ピリジン、ピラン及びチオピランは6員環であり、またピロール、
フラン、及びチオフェンは5員環である。
「MIC」又は「最小阻止濃度」という用語は、インビトロで細菌分離株の増殖を阻止
するのに必要な抗生物質の最小濃度を表す。抗生物質のMICを調べる一般的な方法は、
抗生物質の段階希釈液を入れた幾つかの管を調製し、次いでそれに関心の細菌分離株を接
種することである。抗生物質のMICは、濁りを示さない(増殖がない)最小濃度を有す
る管から決定することができる。
「MIC50」という用語は、所定の細菌種の中で試験した細菌株の50%の増殖を阻止
するのに必要な抗生物質の最小濃度を表す。
「MIC90」という用語は、所定の細菌種の中で試験した細菌株の90%の増殖を阻止
するのに必要な抗生物質の最小濃度を表す。
「OPT−80」という用語は、約70〜100%、好ましくは90%(全抗生物質に
対して、HPLCアッセイによる)の光学的に純粋なR−チアクミシンB(これはC−1
9にR−ヒドロキシ基を有する、式IV参照)を含有する製剤を表す。その残部は、本質
的に少量のチアクミシンB関連化合物(例えば、リピアルマイシンA4及びC−19ケト
ンが挙げられるが、これらに限定されない)からなる。この種の製剤は、WO2004/
014295A2の国際公開番号をもつPCT出願第PCT/US03/21977号明
細書に詳細に記載されており、その製剤は参照することにより本明細書に組み込まれる。
しかし、ヒト以外での専用については、70%未満の光学的に純粋なR−チアクミシンB
(全抗生物質に関して、HPLCアッセイにより)を含有する粗製「OPT−80」を使
用してもよい。
「ORTEP」という用語は、結晶構造説明図を描くためのフォートランで書かれたO
ak Ridge Thermal Ellipsoid Plotコンピュータープロ
グラムを表す。公表に適した品質のボールと棒(Ball−and−stick)型の説
明図は、原子の位置に、異方性温度因子パラメーターから誘導される球又は熱運動可能性
楕円(thermal−motion probability ellipsoids
)を用いて作成される。プログラムはまた、原子の複雑な配置及びその相関熱運動パター
ンの視覚化に役立つ説明図の立体視の対図(stereoscopic pairs)も
作成する。
「PAE」又は「抗生物質投与後効果」という用語は、抗生物質曝露後の細菌増殖の持
続的抑制を反映する十分に確立された薬力学的パラメーターを表す。
「患者」という用語は、医学的療法を必要とするヒト又は動物を表す。本発明の目的に
、ヒト患者は、典型的には一次医療施設、例えば病院又は養護施設に収容される。しかし
、抗生物質又は癌化学療法又は抗ウイルス療法の使用に付随した病気の治療は、一次養護
施設からの退院して外来患者として生じ得るか、又は一次医療施設に関連しない在宅ケア
のために医師によって指示されることができる。医学的療法を必要とする動物は、典型的
には獣医の世話になる。
「薬学的に許容し得る担体」という用語は、薬学的に許容し得る担体又は希釈剤を表す
「薬学的に許容し得る塩」という用語は、薬学的に許容し得る無機及び有機塩基から誘
導される塩を表す。適当な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えば、ナト
リウム又はカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、アンモニウム
塩及びN(C1−C4アルキル)4 +塩などが挙げられる。これらの幾つかを説明する例とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウムなどが挙げら
れる。
「医薬組成物」という用語は、本明細書に記載の1種又はそれ以上のチアクミシン、あ
るいはその生理学的に許容し得る塩と、その他の化学成分、例えば生理学的に許容し得る
担体及び/又は賦形剤との混合物を表す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投
与を促進することにある。
「生理学的に許容し得る担体」という用語は、生物に対して著しい刺激を生じない及び
投与された化合物の生物活性及び生物学的性質を無効にしない担体又は希釈剤を表す。
「偽膜性大腸炎」又は「腸炎」という用語は、小腸及び大腸の両方の粘膜の炎症による
偽膜物質(すなわち、フィブリン、粘液細胞、壊死上皮細胞及び白血球からなる物質)の
形成を表す。
本明細書で使用する「R」及び「S」配置という用語は、IUPAC 1974 Re
commendations for Section E,Fundamental
Stereochemistry,Pure Appl.Chem.(1976)45,
13−30により定義される。キラル分子は、原子又は原子群の原子番号、不斉中心に結
合する配位子に基づいて命名することができる。配位子は、優先順位(原子番号が大きけ
れば大きいほど優先順位が大きい)が示され、優先順位が時計回り方向に大きくなる場合
には、配位子はR−であると言われる。あるいは、配位子が反時計回り方向に優先順位付
けされる場合には、配位子はS−であると言われる。
「R−チアクミシンB」という用語は、以下の式IV:
Figure 0005825217
に示されるようにC−19に(R)−ヒドロキシ基を有するチアクミシンBの光学的に純
粋な(R)−異性体を表す。
「S−チアクミシンB」という用語は、以下の式V:
Figure 0005825217
に示されるようにC−19に(S)−ヒドロキシ基を有するチアクミシンBの光学的に純
粋な(S)−異性体を表す。
「立体異性体」という用語は、その分子が同じ数及び種類の原子並びに同じ原子配列を
有するが、その空間配置が異なっている化合物を表す。
「糖」という用語は、一般に、単糖、二糖又はオリゴ糖を表す。単糖は、置換されてよ
く、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、アセチルグルコース、アセチルガラクトー
ス、N−アセチルグルコサミン、N−アセチル−ガラクトサミン、ガラクトシル−N−ア
セチルグルコサミン、N−アセチルノイラミン酸(シアル酸)など並びに硫酸化及びリン
酸化された糖であってもよい。この定義の目的を考慮すると、単糖類は、そのピラノース
又はフラノース型である。
本明細書で使用する「チアクミシン」という用語は、その全てが以下の式I:
Figure 0005825217
に示される18員大環状化合物を含む化合物のファミリーを表す。
本明細書で使用する「チアクミシンB」という用語は、以下の式VI:
Figure 0005825217
に示される18員大環状化合物を表す。
本明細書で使用する「収量」という用語は、元の発酵ブロスの容量と同じ容量にメタノ
ール中で再構成された粗製チアクミシンの量を表す。収量は、標準HPLC法を使用して
決定される。収量はmg/Lの単位で報告される。
本発明は、微生物ダクチロスポランギウム・オーランティアカム(Dactylosp
orangium aurantiacum)亜種ハムデネンシス(hamdenens
is)の液中好気性発酵による新規抗生物質、チアクミシンの組成物を包含する。この製
造方法は、国際公開第WO2004/014295A2号明細書の記載が参照される。
本発明は、R−チアクミシン類、特にR−チアクミシンB(これはC−19位にR−ヒ
ドロキシを有する)を含有する新規抗菌組成物、及びグラム陽性嫌気性菌によって引き起
こされる感染症を治療するための現存薬物と組み合わせたこれら新規な組成物の使用に関
する。
本発明はまた、約70〜100%、好ましくは90%(全抗生物質に対して、HPLC
アッセイによる)のR−チアクミシンBを含有する新規OPT−80製剤に関する。その
残部は、本質的に少量のチアクミシンB関連化合物(例えば、リピアルマイシンA4及び
C−19ケトンが挙げられるが、これらに限定されない)からなる。この種の製剤は、W
O2004/014295A2の国際公開番号をもつPCT出願第第PCT/US03/
21977号明細書に詳細に記載されている。しかし、ヒト以外の専用に関しては、70
%未満のR−チアクミシンB(全抗生物質に対して、HPLCアッセイによる)を含有す
る粗製「OPT−80」を使用してもよい。
本発明に従って、式VII:
Figure 0005825217
〔式中:
Xは低級アルキルから選択され、この場合に使用する「低級アルキル」という用語は、
1個又は2個の炭素原子を含む分岐又は直鎖アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基などを表し;及び
YはOH又はケトン(=O)から選択され;及び
ZはH又は低級アルキルから選択され、この場合に本明細書で使用する「低級アルキル
」という用語は、1〜5個の炭素原子を含む分岐又は直鎖アルキル基、例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などを表す〕
の構造を有する化合物が提供される。
本発明の好ましい化合物は、Xがメチル又はエチルであり、Yがケトン(=O)又はO
Hであり、及びZがイソプロピルである式VIIの化合物である。
本発明のさらに好ましい化合物は、Xがエチルであり、Yがケトン(=O)又はOHで
あり、及びZがイソプロピルである式VIIの化合物である。
本発明の最も好ましい化合物は、Xがエチルであり、YがOHであり、及びZがイソプ
ロピルである式VIIの化合物である。
本発明の一つの実施形態は、チアクミシンBのC−19の不斉中心が生物活性に対して
大きな影響を及ぼすという発見に関する。今般、R−チアクミシンB(これはC−19に
R−ヒドロキシ基を有する)が、S−チアクミシンB及びその他のチアクミシンB関連化
合物(リピアルマイシンA4及びC−19ケトン)よりも著しく高い活性を有することが
見い出された。この高い活性は、非常に低いMIC値によって示され、これらはクロスト
リジウム・デフィシレ(C.difficile)、黄色ブドウ球菌(S.aureus
)、エンテロコッカス・フェーカリス(E.faecalis)及びエンテロコッカス・
フェシウム(E.faecium)の幾つかの菌株について以下の実施例3、表3及び4
で認めることができる。生物活性に対するC−19不斉中心のこの効果は、予測されない
新規な発見である。
本発明の別の実施形態において、OPT−80(これはほぼ完全にR−チアクミシンB
からなる)は、著しく長い抗生物質投与後効果(PAE)を有する。これは以下の実施例
4で論議され、そこではOPT−80が24時間を越えるPAEを有することが示される
。このPAEは、1〜5時間の通常の抗生物質のPAEよりも予想外に長い。
本発明はまた、本発明の化合物を薬学的に許容し得る担体と組み合わせて含有してなる
医薬組成物の開示に関する。
本発明のさらに別の局面は、患者に治療有効量の本発明の化合物を単独で又は別の抗菌
剤もしくは抗真菌剤と組み合わせて投与することを含む、ヒトの細菌感染症を阻止又は治
療する方法を開示する。
(製造)
18員大環状化合物及びその類似化合物は、発酵によって製造される。チアクミシン類
を製造するためのダクチロスポランギウム・オーランティアカム(Dactylospo
rangium aurantiacum)亜種ハムデネンシス(hamdenensi
s)AB 718C−41 NRRL 18085の培養は、炭素源、無機塩及びその他
の有機成分を1種又はそれ以上の吸収剤と共に含有する培地中で適切な通気条件下、滅菌
環境中で混合しながら行う。
活性抗菌剤を製造するための微生物は、アクチノプラナセエ(Actinoplana
ceae)科、ダクチロスポランギウム(Dactylosporangium)属に属
することが確認された(Journal of Antibiotics,1987,4
0:567−574及び米国特許第4,918,174号明細書)。それは、ダクチロス
ポランギウム・オーランティアカム(Dactylosporangium auran
tiacum)亜種ハムデネンシス(hamdenensis)718C−41と命名さ
れている。継代培養物は、ARS Patent Collection of the
Northern Regional Research Center,Unite
d States Department of Agriculture,1815
North University Street,Peoria,IL.61604,
U.S.A.から得られ、そこでは受託番号NRRL 18085が割り当てられた。菌
株AB 718C−41の特徴は、Journal of Antibiotics,1
987,40:567−574及び米国特許第4,918,174号明細書に示されてい
る。
本発明は、微生物ダクチロスポランギウム・オーランティアカム(Dactylosp
orangium aurantiacum)亜種ハムデネンシス(hamdenens
is)の液中好気性発酵による新規抗生物質、チアクミシンの組成物を包含する。この製
造方法は、国際公開第WO2004/014295A2号明細書(これは参照することに
より本明細書に組み込まれる)に包含される。
(医薬製剤及び投与)
本発明のチアクミシン化合物を含む本発明の医薬組成物、特にOPT−80(これは、
ほぼ完全にR−チアクミシンからなる)は、投与時に実質的に即時に抗生物質を放出する
か、あるいは投与後の所定の時間又は期間で抗生物質を放出するように製剤され得る。
後者の型の組成物は、一般に放出調節製剤として知られており、放出調節製剤としては
、腸管内で長時間にわたって実質的に一定の濃度の薬物を生み出す製剤、及びModif
ied−Release Drug Delivery Technology,編者M
.J.Rathbone,J.HodgraftおよびM.S.Roberts、Mar
cel Dekker,Inc.New Yorkに記載されているような時間的及び環
境的基準に基づいて調節された放出特性を有する製剤が挙げられる。
任意の経口的で、生物学的に許容し得る剤形又はその組み合わせを、本発明の方法で用
いることができる。このような剤形の例としては、限定されることなく、チュアブル錠剤
、迅速溶解錠剤、発泡錠剤、再形成性粉末、エリキシル、液剤、坐薬、クリーム、溶液、
懸濁液、エマルジョン、錠剤、多層錠剤、二層錠剤、カプセル、ソフトゼラチンカプセル
、ハードゼラチンカプセル、浸透圧性錠剤、浸透圧性カプセル、カプレット、ロゼンジ、
チュアブルロゼンジ、ビーズ、散剤、顆粒、粒子、微粒子、分散性顆粒、インジェスティ
ブル(ingestibles)、輸液、健康バー(health bar)、糖剤(c
onfections)、動物飼料、シリアル(cereal)、シリアル被覆剤(ce
real coatings)、食品、栄養食品、機能性食品及びこれらの組み合わせが
挙げられる。前記剤形の調製は、当業者には周知である。さらに、医薬製剤は、標的部位
に到達した際に抗生物質が即時放出又は制御放出するように設計し得る。即時放出組成物
又は制御放出組成物の選択は、種々様々な因子、例えば処置されるグラム陽性菌の種及び
抗生物質感受性並びに治療剤の静菌/殺菌特性に依存する。製剤を調製するための技術に
おいて周知の方法は、例えば、Remington:The Science and
Practice of Pharmacy(第20版)、編者A.R.Gennaro
,2000,Lippincott Williams & Wilkins,Phil
adelphia 又はEncyclopedia of Pharmaceutica
l Technology,編者J.SwarbrickおよびJ.C.Boylan,
1988−1999,Marcel Dekker,New Yorkに見出される。
経口用途の即時放出製剤としては、活性成分(1種又は複数)を無毒性の薬学的に許容
し得る賦形剤との混合物で含有する錠剤又はカプセルが挙げられる。これらの賦形剤は、
例えば、不活性希釈剤又は充填剤(例えば、スクロース、ソルビトール、糖、マンニトー
ル、微晶質セルロース、デンプン例えばジャガイモデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナト
リウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム);造
粒剤及び崩壊剤(例えば、セルロース誘導体、例えば微晶質セルロース、デンプン、例え
ばジャガイモデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、又はアルギン酸
);結合剤(例えば、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、アカシア
、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファー化デンプン、微
晶質セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポ
リビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール);並びに滑沢剤、流動促進剤、及び
付着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シ
リカ、硬化植物油、又はタルク)であってもよい。その他の薬学的に許容し得る賦形剤は
、例えば、The Handbook of Pharmaceutical Exci
pients,第3版,編者Arthur H.Kibbe,American Pha
rmaceutical Association Washington DCに見ら
れるような着色剤、着香剤、可塑剤、保湿剤、緩衝剤などであり得る。
溶解又は拡散制御放出は、化合物の錠剤、カプセル、ペレット又は造粒製剤の適当な被
覆によるか、あるいは化合物を適当なマトリックスに組み入れることによって達成するこ
とができる。放出制御被膜としては、1種又はそれ以上の前記の被覆物質及び/又は、例
えば、シェラック、ミツロウ、グリコワックス(glycowax)、カスターワックス
、カルナウバロウ、ステアリルアルコール、グリセリルモノステアレート、グリセリルジ
ステアレート、グリセロールパルミトステアレート、エチルセルロース、アクリル樹脂、
dl−ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリ
ドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタ
クリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコ
ールメタクリレート、及び/又はポリエチレングリコールを挙げ得る。放出制御マトリッ
クス製剤において、マトリックス物質としてはまた、例えば、水和メチルセルロース、カ
ルナウバロウ及びステアリルアルコール、カルボポール(carbopol)934、シ
リコーン、グリセリルトリステアレート、メチルアクリレート−メチルメタクリレート、
ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、及び/又はハロゲン化フルオロカーボンを挙げ得る。
放出制御組成物はまた、浮遊性の錠剤又はカプセル(すなわち、経口投与の際、胃内容
物の上にある一定の時間浮く錠剤又はカプセル)の形態であってもよい。前記化合物(1
種又は複数)の浮遊錠剤製剤は、抗生物質と、賦形剤及び20〜75%(重量/重量)の
親水コロイド、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又は
ヒドロキシプロピルメチルセルロースとの混合物を造粒することによって調製することが
できる。次いで、得られた顆粒は、錠剤に圧縮することができる。胃液と接触すると、錠
剤は、その表面の周囲に実質的に水不浸透性ゲルバリアーを形成する。このゲルバリアー
は、1未満の密度を維持するのに関与し、それによって錠剤を胃液に浮遊させたままの状
態にする。その他の有用な放出制御組成物は、当分野で公知である(例えば、米国特許第
4,946,685号及び第6,261,601号明細書参照)。
放出調節組成物は、圧縮−被覆されたコアであってその幾何学的配置が封入された抗生
物質の放出プロフィールを調節する圧縮−被覆されたコアからなり得る。コアの幾何学的
形状を変えることによって、抗生物質放出のプロフィールは、0次、1次又はこれら0次
及び1次の組み合わせに従うように調節され得る。この系は、より多くの有益な薬剤(そ
れぞれ異なる放出プロフィールを有する)を同時に送達するように設計することもできる
(例えば、米国特許第第4,111,202号及び第3,279,995号明細書参照)
本発明のチアクミシン化合物、特にOPT−80(これはほぼ完全にR−チアクミシン
からなる)を標的とする製剤であって、腸管の特定の領域に放出する製剤も調製すること
ができる。本発明のチアクミシン化合物、特にOPT−80は、胃の中での放出崩壊及び
放出を防止するが、小腸の弱酸性又は中性pH環境下で容易に溶解する腸溶性コーティン
グに封入することができる。重合体マトリックス又はコーティングの時間依存侵食、pH
依存侵食又は酵素侵食などの技法を利用して、抗生物質の結腸への放出を標的とする製剤
も使用できる。
本発明のチアクミシン化合物、特にOPT−80(これはほぼ完全にR−チアクミシン
Bからなる)を含有する製剤の標的送達特性は、その他の手段で変更させ得る。例えば、
抗生物質は、包接、イオン会合、水素結合、疎水性結合又は共有結合によって複合体を形
成し得る。さらにまた、酵素溶解又微生物溶解に感受性のある重合体又は複合体もまた、
薬物を送達させる手段として使用し得る。
本発明のチアクミシン化合物、特にOPT−80(これはほぼ完全にR−チアクミシン
Bからなる)の微小球カプセル化は、標的化抗生物質放出にとって別の有用な医薬製剤で
ある。抗生物質含有微小球は、抗生物質送達に単独で使用することができるし、又は2段
階放出製剤の一つの成分として使用することができる。本発明のチアクミシン化合物、特
にOPT−80(これはほぼ完全にR−チアクミシンBからなる)を封入する適当な段階
的放出製剤は、酸安定性微小球からなり得るものであり、抗生物質を胃及び上部十二指腸
に送達するために即時放出製剤と混合され、下部腸管で後に放出される。
微小球は、適当な方法で、又は薬学的に許容し得る物質から調製することができる。特
に有用なのは、プロテノイド微小球(例えば、米国特許第5,601,846号又は第5
,792,451号明細書参照)及びPLGA含有微小球(例えば、米国特許第6,23
5,224号又は第5,672,659号明細書参照)である。微小球の形成に一般に使
用されるその他の重合体としては、例えば、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(e−カプ
ロラクトン−コ−DL−乳酸)、ポリ(DL−乳酸)、ポリ(DL−乳酸−コ−グリコー
ル酸)及びポリ(s−カプロラクトン−コ−グリコール酸)が挙げられる(例えば、Pi
ttら,J.Pharm.Sci.,68:1534,1979参照)。微小球は、当分
野で周知の方法、例えば噴霧乾燥、コアセルベーション、及び乳化で調製することができ
る(例えば、Davisら、Microsphere and Drug Therap
y,1984,Elsevier;Benoitら、Biodegradable Mi
crospheres:Advances in Production Techno
logies,Chapter 3,編者Benita,S,1996,Dekker,
New York;Microencapsulation and Related
Drug Processes,編者Deasy,1984,Dekker,New Y
ork;米国特許第6,365,187号明細書参照)。
水を加えることによる、本発明のチアクミシン化合物、特にOPT−80(これはほぼ
完全にR−チアクミシンBからなる)の水溶液又は懸濁液の調製に適した粉末、分散性粉
末、又は顆粒が、経口投与に都合のよい剤形である。懸濁液としての製剤は、有効成分を
分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種又はそれ以上の防腐剤との混合物で提供する。適当な
分散剤又は湿潤剤は、例えば、天然リン脂質(例えば、レシチン又はエチレンオキシドと
脂肪酸、長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、あるいは脂肪酸から誘導される部分エス
テル)及びヘキシトール又はヘキシトール無水物(例えば、ポリオキシエチレンステアレ
ート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタン
モノオレエートなど)である。適当な懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することを何ら意図することなく、本発明の特定
の実施形態を説明する目的で提供される。
(実施例1:R−チアクミシンBの正確な構造)
R−チアクミシンB(OPT−80の主要な最も活性な成分)の正確な構造を、以下の
式IVに示す。R−チアクミシンBのX線結晶構造を、メタノール中で成長させた無色の
平行六面体形状の結晶(0.08×0.14×0.22mm)から得、図1にORTEP
図として示す。このX線構造により、以下の式IVに示す構造が確認される。その公式な
化学名は、3−[[[6−デオキシ−4−O−(3,5−ジクロロ−2−エチル−4,6
−ジヒドロキシベンゾイル)−2−O−メチル−β−D−マンノピラノシル]オキシ]−
メチル]−12(R)−[[6−デオキシ−5−C−メチル−4−O−(2−メチル−1
−オキソプロピル)−β−D−リキソ−ヘキソピラノシル]オキシ]−11(S)−エチ
ル−8(S)−ヒドロキシ−18(S)−(1(R)−ヒドロキシエチル)−9,13,
15−トリメチルオキサシクロオクタデカ−3,5,9,13,15−ペンタエン−2−
オンである。
Figure 0005825217
(実施例2:OPT−80及び関連物質の分析データ)
OPT−80(これはほぼ完全にR−チアクミシンBからなり、R−チアクミシンBは
OPT−80の最も活性な成分である)、及び3つの関連化合物(S−チアクミシンB、
リピアルマイシンA4、及びC−19ケトン)の分析データを、以下に要約する。これら
の化合物の構造を、以下の式VIII及び表2に示す。
Figure 0005825217
Figure 0005825217
(R−チアクミシンBの分析データ)
mp166−169℃(イソプロパノールから得た白色針状晶);
[α]D 20−6.9(c2.0、MeOH);
MS m/z(ESI)1079.7(M+Na)+
11H NMR NMR(400MHz、CD3OD)δ7.21(d,1H),6
.59(dd,1H),5.95(ddd,1H),5.83(br s,1H),5.
57(t,1H),5.13(br d,1H),5.09(t,1H),5.02(d
,1H),4.71(m,1H),4.71(br s,1H),4.64(br s,
1H),4.61(d,1H),4.42(d,1H),4.23(m,1H),4.0
2(五重,1H),3.92(dd,1H),3.73(m,2H),3.70(d,1
H),3.56(s,3H),3.52−3.56(m,2H),2.92(m,2H)
,2.64−2.76(m,3H),2.59(六重,1H),2.49(ddd,1H
),2.42(ddd,1H),2.01(dq,1H),1.81(s,3H),1.
76(s,3H),1.65(s,3H),1.35(d,3H),1.29(m,1H
),1.20(t,3H),1.19(d,3H),1.17(d,3H),1.16(
d,3H),1.14(s,3H),1.12(s,3H),0.87(t,3H);
13C NMR(100MHz,CD3OD)δ178.4,169.7,169.1,
154.6,153.9,146.2,143.7,141.9,137.1,137.
0,136.4,134.6,128.5,126.9,125.6,124.6,11
4.8,112.8,108.8,102.3,97.2,94.3,82.5,78.
6,76.9,75.9,74.5,73.5,73.2,72.8,71.6,70.
5,68.3,63.9,62.2,42.5,37.3,35.4,28.7,28.
3,26.9,26.4,20.3,19.6,19.2,18.7,18.2,17.
6,15.5,14.6,14.0,11.4。
(S−チアクミシンBの分析データ)
Figure 0005825217
NaBH4(9当量、48mg)を、C−19ケトン(150mg)を3mLのMeO
Hに溶解した溶液に3回に分けて加えた。1時間後に、飽和NH4Cl溶液を加えた。得
られた混合物をCHCl3で抽出し、次いで濃縮した。S−チアクミシンBをYMC−p
ack ODS−A 75×30mm ID.カラム(H2O:MeOH:AcOH 2
8:72:1)で精製し、純粋な35mgの精製S−チアクミシンBを得た。
MS m/z1074.5(M+NH4+
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.15(d,J=11.4Hz,1H)
,6.58(dd,J=14.1,11.4Hz,1H),5.82(ddd,J=14
.1,10.6,3.5Hz,1H),5.78(s,1H),5.40(dd,J=7
.8,7.8Hz,1H),5.15(dd,J=9.5,9.5Hz,1H),5.0
1(d,J=9.9Hz,1H),5.01(d,J=9.9Hz,1H),4.77(
ddd,J=5.8,5.3,5.3Hz,1H),4.68(d,J=11.6Hz,
1H),4.65(br s,1H),4.62(br s,1H),4.42(d,J
=11.6Hz,1H),4.28(br s,1H),4.07−3.97(m,2H
),3.74−3.58(m,4H),3.61(s,3H),3.52(dq,J=9
.5,5.8Hz,1H),3.08(dq,J=12.6,6.1Hz,1H),3.
01(dq,J=12.6,6.1Hz,1H),2.77−2.65(m,2H),2
.60(7重,J=6.9Hz,1H),2.55−2.44(m,3H),1.95−
1.84(m,1H),1.80(s,3H),1.76(s,3H),1.66(s,
3H),1.34(d,J=5.8Hz,3H),1.29−1.24(m,1H),1
.27(d,J=6.6Hz,3H),1.21(t,J=6.1Hz,3H),1.1
9(d,J=6.9Hz,3H),1.18(d,J=6.9Hz,3H),1.15(
s,3H),1.10(s,3H),0.84(t,J=7.2Hz,3H);
13C NMR(100 MHz,CDCl3)δ177.4,170.1,168.8
,157.6,152.8,144.4,143.1,141.1,136.7,136
.2,134.9,133.8,128.7,125.7,125.2,123.0,1
13.9,107.5,107.2,101.7,94.9,92.6,80.8,79
.2,76.6,74.8,73.5,72.7,71.9,71.7,70.2,70
.1,69.5,63.5,62.3,41.5,36.6,34.3,29.5,28
.2,26.2,26.0,19.4,19.3,18.9,18.5,17.8,17
.3,15.3,14.1,13.7,11.1;
(リピアルマイシン A4の分析データ:)
MS m/z 1060.5(M+NH4+
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.12(d,J=11.6Hz,1H)
,6.59(dd,J=14.1,11.6Hz,1H),5.85(br s,1H)
,5.83(ddd,J=14.1,10.6,4.8Hz,1H),5.47(dd,
J=8.3,8.3Hz,1H),5.12(dd,J=9.6,9.6Hz,1H),
5.00(d,J=10.1Hz,1H),4.98(br d,J=10.6Hz,1
H),4.75−4.69(m,1H),4.68(d,J=11.4Hz,1H),4
.66(br s,1H),4.62(br s,1H),4.40(d,J=11.4
Hz,1H),4.26(br s,1H),4.07−4.00(m,1H),4.0
2(br d,J=3.3Hz,1H),3.75−3.61(m,4H),3.62(
s,3H),3.55(dq,J=9.6,6.1Hz,1H),2.82−2.45(
m,6H),2.60(s,3H),2.07−1.97(m,1H),1.92(s,
3H),1.81(s,3H),1.67(s,3H),1.32(d,J=6.1Hz
,3H),1.30−1.22(m,1H),1.21(d,J=6.6Hz,3H),
1.19(d,J=7.1Hz,3H),1.18(d,J=7.1Hz,3H),1.
15(s,3H),1.10(s,3H),0.83(t,J=7.2Hz,3H);
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ177.4,170.5,168.9,
157.8,153.0,144.3,140.9,137.7,137.0,136.
3,134.6,134.4,129.1,127.9,125.3,123.2,11
4.5,107.4,107.0,101.8,94.7,92.5,80.3,79.
6,76.7,74.9,73.5,72.7,71.9,71.6,70.2,70.
1,69.1,63.6,62.3,41.9,36.9,34.4,28.8,28.
2,25.9,20.0,19.3,19.0,18.6,18.5,17.8,17.
2,15.5,13.8.11.2;
(C−19ケトンの分析データ)
MS m/z 1072.5(M+NH4+
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.27(d,J=11.4Hz,1H)
,6.61(dd,J=14.7,11.4Hz,1H),5.91(ddd,J=14
.7,9.1,5.8Hz,1H),5.83(s,1H),5.31(dd,J=7.
9,7.9Hz,1H),5.14(dd,J=9.7,9.7Hz,1H),5.06
(d,J=10.6Hz,1H),5.00(d,J=10.1Hz,1H),4.98
(dd,J=7.1,4.8Hz,1H),4.67(d,J=11.9Hz,1H),
4.66(br s,1H),4.61(br s,1H),4.42(d,J=11.
9Hz,1H),4.30(br s,1H),4.02(br d,J=3.3Hz,
1H),3.63−3.60(m,4H),3.62(s,3H),3.51(dq,J
=9.7,6.1Hz,1H),3.09(dq,J=14.4,7.3Hz,1H),
3.03(dq,J=14.4,7.3Hz,1H),2.76−2.50(m,6H)
,2.21(s,3H),1.93−1.87(m,1H),1.87(s,3H),1
.75(s,3H),1.63(s,3H),1.32(d,J=6.1Hz,3H),
1.27−1.22(m,1H),1.21(t,J=7.3Hz,3H),1.19(
d,J=7.1Hz,3H),1.18(d,J=7.1Hz,3H),1.14(s,
3H),1.10(s,3H),0.84(t,J=7.3Hz,3H);
13C NMR(100MHz,CDCl3)δ205.5,177.4,170.1,
166.9,157.6,152.8,145.7,143.1,142.0,137.
1,136.8,135.5,133.7,128.3,124.8,124.0,12
2.8,113.9,107.3,107.2,101.3,94.8,92.4,80
.4,77.7,76.6,74.7,73.5,72.6,71.8,71.7,70
.2,70.0,63.0,62.3,41.5,36.5,34.3,29.6,28
.1,26.2,26.1,26.0,19.2,18.9,18.5,17.8,17
.3,15.2,14.0,13.3,11.0。
(実施例3:生物活性)
(数種のクロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)株について測定し
たMIC値)
OPT−80(これはほぼ完全にR−チアクミシンBからなる)及びその関連化合物を
クロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)に対して試験した。得られた
MIC値を以下の表3に報告する。本発明者らが認めることができるように、OPT−8
0は、S−チアクミシンB及びリピアルマイシンA4と比較すると特に活性であった。
Figure 0005825217
(種々の微生物について測定したMIC値)
OPT−80(これはほぼ完全にR−チアクミシンBからなる)及びその関連化合物を
、その他の数種の病原菌に対して試験した。得られたMIC値を以下の表4に報告する。
本発明者らが認めることができるように、OPT−80は、S−チアクミシンB及びリピ
アルマイシンA4と比較すると特に活性であった。
Figure 0005825217
(実施例4:クロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)におけるOP
T−80の抗生物質投与後効果)
OPT−80(これはほぼ完全にR−チアクミシンBからなる)の抗生物質投与後効果
(PAE)を、クロストリジウム・デフィシレ(C.difficile)ATCC 4
3255及び臨床分離株LC3の2つの菌株に対して測定した。バンコマイシン及びリフ
ァンピンをLC3に対してさらに試験した。
4×MICでのPAEは、両方の菌株について、極めて長い:すなわち24時間よりも
大きいことが観察された。この効果が長期間であるために、正確なPAEは算出されなか
った。一方、バンコマイシンは、菌株LC3に対して4×MICで使用した場合には1時
間未満のより標準的なPAEを有していた。
(実施例5:OPT−80のインビトロ活性)
OPT−80(これはほぼ完全にR−チアクミシンBからなる)、メトロニダゾール及
びバンコマイシンのインビトロ(in vitro)効果を、寒天希釈によるクロストリ
ジウム・デフィシレ(C.difficile)の110種の遺伝的に異なる分離株に対
して評価した。得られたMICデータを表5及び6に示す。
Figure 0005825217
Figure 0005825217
Figure 0005825217
(実施例6:選択した嫌気性種に対して比較したOPT−80の活性)
OPT−80のインビトロ活性を、350種の嫌気性菌に対して調べた。実験手順は、
Antimicrobial Agents and Chemotherapy,20
04,48:4430−4434(これは、その全体を参照することにより本明細書に組
み込まれる)に概説されている。
全ての生物、例えば21種類のクロストリジウム・デフィシレ(C.difficil
e)株は、別々の分離株であり、クローン的に関連がない。NCCLSによって推奨され
る全ての品質管理グラム陰性菌株及びグラム陽性菌株が各実験に含まれる:どの場合にお
いても、結果(得られる場合)は範囲内にあった。
MIC試験の結果を表7に示す。
Figure 0005825217
(実施例7:腸内細菌に対するOPT−80のインビトロ活性)
腸内細菌に対するOPT−80のインビトロ活性を評価した。実験手順は、Antim
icrobial Agents and Chemotherapy,2004,48
:4898−4902(これは、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる
)に概説されている。
抗菌濃度範囲は、試験培地中の薬剤の溶解度の限界値に制約され、腸内で達成されるで
あろう濃度を含むか又はそれを越えるように選択した(この情報が利用できる程度まで)
。試験中に使用したOPT−80の濃度の範囲は、0.03μg/ml〜1024μg/
mlであった。
分析のために、試験した細菌は、少なくとも10種の分離株を用いて、属、種又はその
他の群に大まかに分類した。10種よりも少ない菌株について試験した生物を除き、分離
株の50%及び90%が阻止される範囲及びMICを測定した。その範囲のみを報告する
(表8)。
OPT−80は、大部分の嫌気性グラム陽性非胞子形成桿菌及び嫌気性グラム陽性菌に
対して良好な活性を有していた。OPT−80はまた、腸球菌及びブドウ球菌に対しても
良好な活性を示した。
Figure 0005825217
Figure 0005825217
(他の実施形態)
上記で論じた全ての参考文献は、全ての目的に対して、その全部を参照することにより
本明細書に組み込まれる。本発明をその好ましい実施形態に関連して、具体的に示し、説
明したが、その形態及び詳細の種々の変化が、添付した特許請求の範囲によって定義され
る本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書においてなし得ることは当業者
には理解されるであろう。

Claims (13)

  1. 式IV
    Figure 0005825217
    の化合物式VII
    Figure 0005825217
    〔式中、Xはメチルであり;YはOHであり;Zはイソプロピルである〕の化合物及び式VII
    Figure 0005825217
    〔式中、Xはメチルであり;Yはケトンであり;Zはイソプロピルである〕の化合物、又はそれらの生理学的に許容し得る塩を含む、クロストリジウム・デフィシレの胃腸部感染によって哺乳動物において生じる下痢を治療するための、経口医薬組成物。
  2. 錠剤として処方される、請求項に記載の組成物。
  3. カプセルとして処方される、請求項に記載の組成物。
  4. 懸濁物として処方される、請求項に記載の組成物。
  5. 前記式IVの化合物が90重量%を超える純度である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記式IVの化合物が他のジアステレオマー化合物を含まない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記式VIIの化合物が他のジアステレオマー化合物を含まない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物
  8. 前記哺乳動物がヒトである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 前記下痢が抗生物質関連性下痢である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 前記下痢がクロストリジウム・デフィシレ関連性下痢である、請求項に記載の組成物。
  11. クロストリジウム・デフィシレ関連性下痢の再発を予防する、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記ヒトが以前にクロストリジウム・デフィシレ関連性下痢を治療したことがある、請求項11に記載の組成物。
  13. 式IVの化合物を90%以上、及び式VIIの化合物〔式中、Xはメチルであり、YはOHであり、Zはイソプロピルである〕と式VIIの化合物〔式中、Xはメチルであり、Yはケトンであり、Zはイソプロピルである〕とを10%以下含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
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