JP5842628B2 - ガスパージ装置及び該ガスパージ装置を有するロードポート装置 - Google Patents

ガスパージ装置及び該ガスパージ装置を有するロードポート装置 Download PDF

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本発明は、半導体製造プロセス等において、ポッドと呼ばれる密閉型の搬送容器の内部に保持されたウエハを半導体処理装置に移載する、或いはウエハを該半導体処理装置より該ポッドに移載する際に用いられる所謂FIMS(Front-Opening Interface Mechanical Standard)システム、即ち該ポッド内部をガスでパージするガスパージ装置、及び該ガスパージ装置を有するロードポート装置に関する。
半導体製造プロセスは、近年では各種処理装置の内部、ウエハを収容して各処理装置間でのウエハ搬送を可能とするポッド、及び該ポッドより各処理装置へのウエハの受け渡しを行う微小空間、の3空間のみを高清浄状態に保つことで、プロセスを通じての清浄度の管理を行う手法が一般的となっている。このようなポッドは、ウエハを内部に収容し且つ一側面にウエハ挿脱用の開口を有する本体部と、該開口を閉鎖してポッド内部を密閉空間とする蓋と、から構成される。また、該微小空間は、前述したポッドの開口と対向可能な開口部と、該開口部と向かい合い半導体処理装置側に配置される第二の開口部と、を有する。
ロードポート装置は、この開口部が形成された隔壁の一部となる部材であるサイドプレートと称呼される壁と、該開口部を閉鎖するドアと、該ドアの動作を司るドア駆動機構と、ポッドが載置される載置台と、から構成される。載置台は、ポッドの開口と開口部とを向かい合わせるようにポッドを支持可能であり、且つポッドと一緒に蓋をドアに向かって近接或いはドアより離間させる。ドアは、ポッドの蓋を保持可能であり、ドア駆動機構によって蓋を保持した状態で開口部を開放、閉鎖すると共に、開口部と第二の開口部との間の空間より下方に退避或いは該空間への侵入をさせられる。微小空間内にはロボットが配置され、該ロボットは開口部−ポッド開口を介してポッド内部に対する侵入及び退避が可能であって、第二の開口部も介して該ポッド内部と該半導体処理装置との間でウエハの移載を行う。
半導体の製造工程において、ポッド内に収容されているウエハには、例えば金属配線等が形成されたものが存在する。この様な金属配線は表面が酸化されることによって素子完成時に所望の特性が得られなくなる恐れがあり、このためにポッド内部における酸素濃度を低レベルに保つ必要がある。この様な要求に対応する技術として、特許文献1では、蓋開放状態にあるポッド内部で隔置されて平行に並べられるウエハ各々の隙間に対して、開口両側辺より不活性ガスを供給する構成が開示されている。当該構成では、更に不活性ガスの供給と対応して、ウエハの上面側を通ってポッド奥に向けて流れた不活性ガスを該ウエハの下面側を通ってポッド外部に排出されるように、不活性ガスの吸引手段を更に付加している。特許文献2には、ポッド内部にクリーンエアを供給し且つポッド開口の下方より過剰なクリーンエアを吸引排気してポッド内部の気体の清浄化を図る構成が開示されている。また、特許文献3にも、ポッドの開口の両側辺よりポッド内部に不活性ガスを供給する構成が開示されている。
特許第4541232号公報 特許第4386700号公報 特開2004−235516号公報
上述した従来構造からなるロードポート装置において、ポッド内の酸素濃度は1000ppmレベルにまでは低下可能であることが確認されている。しかし、半導体素子の高性能化に伴った配線、パターン等の微細化やウエハ厚さ方向への集積化に伴い、従来許容された酸素濃度レベルで生じ得る酸化膜等にために、素子の十分な性能を担保することが困難となりつつある。本発明はこのような状況に鑑みて為されたものであり、ポッド内の酸素濃度をより低いレベルまで低減可能なロードポート装置、及び該装置に適用可能なガスパージ装置の提供を目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るガスパージ装置は、微小空間を外部空間から分離する壁の一部を構成するサイドプレートと前記サイドプレートが有する開口部を閉鎖可能なドアとを有し、被収容物が収容される密閉容器の開口を前記開口部と対向させるとともに、前記開口に取付けられる蓋を前記ドアが保持して前記密閉容器を開閉することにより前記開口を介して前記密閉容器の内部へガスの供給を行うガスパージ装置であって、前記開口部を囲んで前記微小空間内に配置され、前記微小空間の一部を第二の微小空間として区切るカバー部材と、前記第二の微小空間の内部で前記開口部の上部に配置されて前記第二の微小空間の内部へパージガスを供給するカーテンノズルと、前記第二の微小空間の内部で前記開口部の両側部に配置され、前記開口部を介して前記密閉容器の内部へ前記パージガスを供給する一対のパージノズルと、を有し、前記一対のパージノズルの各々は前記密閉容器の前記開口を開放した際に前記密閉容器の前記開口の両側辺に沿って延在して前記パージガスを吹き出すスリットを有し、前記スリットは前記密閉容器の前記開口の中心を通り前記密閉容器の前記開口に垂直な面を中心に対称に配置され、前記密閉容器は、前記被収容物を前記密閉容器内に収容する収容空間と、前記収容空間と前記開口との間に配置されて前記開口を閉鎖する際に前記蓋が収容される蓋収容空間と、を有し、前記スリットの下端は、前記スリットの延在する方向に関して、前記収容空間の底面が存在する位置と前記蓋収容空間の開口の下辺が存在する位置との間に配置されることを特徴とする。
なお、上述したパージ装置において、前記スリットの上端は、前記スリットの延在する方向に関して、前記密閉容器の前記開口の上辺が存在する位置よりも上方に配置されることが好ましい。更に、前記スリットは、前記スリットの上端から下端に至るにつれて幅が狭くなることがより好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明に係るロードポート装置は、被収容物が収容される密閉容器を開閉することにより前記密閉容器に対する前記被収容物の挿脱を可能とするロードポート装置であって、微小空間を外部空間から分離する壁の一部を構成し、開口部を有するサイドプレートと、前記開口部を閉鎖可能であって、前記密閉容器の開口に取付けられる蓋を保持して前記密閉容器を開閉するドアと、前記ドアを支持し、前記ドアに対して前記開口部への開閉動作を行わせるドア駆動機構と、前記外部空間に配置されて前記密閉容器を載置可能であって、前記開口と前記開口部とを対向させるように前記密閉容器と前記開口部とを整列させる載置台と、更に上述したガスパージ装置と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、ポッド内部に供給する不活性ガスの流れの最適化を図ることにより、ポッド内部に残留する気体をより効率的にポッド外部に押し出すことが可能となる。これによりポッド内部の残留酸素濃度を、従来のロードポート装置等が達成し得る1000ppmよりも一桁以上低い100ppm未満のレベルまで低減することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るガスパージ装置及びこれが取付けられたロードポート装置にポッドを載置してこれらを側面から見た状態の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態であって、図1に示した構成におけるポッド、ドア、ガスパージ装置に関してこれらを面A−Aに沿って切断した状態を上方から見た図である。 図2に示す実施形態について、図2に示されたガスパージノズルを図2と同様の様式にて拡大して示す図である。 図2に示す実施形態について、図1と同じ方向からガスパージ装置を見た場合の部分断面を含む概略構成図である。 図1に示すパージノズルとポッドの開口部に関し、これらを拡大して示す図である。 図5における領域6Aを拡大して示す図である。 図5における領域6Bを拡大して示す図である。 パージノズルからポッド内部に供給されるパージガスに関して、図2と同様の様式にてこれらを矢印にて示す図である。 本発明に係るパージノズルについて、更なる実施形態を模式的に示す図である。
本発明の実施形態について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態におけるガスパージ装置を付加したロードポート装置に関し、ポッド1を載置テーブル上に載置した状態を側面から見た場合の概略構成を示している。また、図2は、該ロードポート装置に関して、後述するドアがポッド1の蓋を保持した状態について図1の構成を断面A−Aで切断し、これを上方から見た場合の概略構成を、図3は図2におけるパージノズルの拡大図を夫々示している。また、図4は、図1と同じ方向からガスパージ装置を見た場合の部分断面を含む概略構成図である。更に、図5、図6A及び図6Bは、図1に示されるパージノズル等の説明を容易にするためにこれらを順次拡大して示す図である。
本実施形態の説明に際し、被収容物のウエハを収容するポッド(密閉容器)について先に述べる。図1に示されるポッド1は、ポッド本体2と蓋3とから構成される。ポッド本体2は略立方体形状であって内部にウエハ等を収容する収容空間2bを有し、且つ該立方体形状における一側面に当該収容空間2bに連通する開口2aを有している。当該一側面には、更に蓋3が収容されるように当該開口2aと繋がった蓋収容空間2cが形成されている。収容空間2b内には不図示のウエハ(図中二点鎖線により記載)を水平に支持する複数の棚(不図示)が側壁等から突き出しており、当該棚により複数のウエハが均等な間隔を明けて該収容空間2b内にて水平に保持される。また、ポッド本体2の開口2aは、規格により所謂段付きの構造を有する。詳細には、収容空間2bの天井面2dと底面2d及び側面2dが構成する第一開口2aに対し、蓋3を収容するために該第一開口2aよりも内形或いは口径を大きくした蓋用収容空間の開口たる第二開口2aが連なり、更に蓋3により開口2aを閉鎖する際に蓋3の取り付けを容易にするために順次第二開口2aを拡大するテーパ領域2aを経る構造で開口2aが形成されている(図5参照)。
次に、本実施形態におけるガスパージ装置が取付けられるロードポート装置の構成について、以下に述べる。ロードポート装置101は、サイドプレート105によって外部空間104と分離される微小空間103を構成し、該サイドプレート105に隣接して配置されるポッド載置台121を有する。サイドプレート105は、微小空間103と外部空間104とを連通させる第一の開口部111、及びシール部材114を有する。サイドプレート105等によって構築される微小空間103の上部には不図示のファンが配置され、ロードポート装置が取付けられる半導体処理装置の筐体の外部空間104に存在する気体を微小空間内部に導入し、微小空間103内部に上方から下方に向かう気体の流である所謂ダウンフローを生成する。
なお、当該ファンに対しては、外部空間の清浄度に応じて、当該空間から導入される気体より塵埃等の汚染物質を除去するフィルタが付随している。微小空間103の下部にはダウンフローが流出可能となるような構造が配置されており、該微小空間103内部で発生する粉塵等は当該ダウンフローに運ばれて微小空間103の下部から外部空間に排出される。ドアシステム115におけるドア115aは第一の開口部111を略閉鎖可能となっている。ドア115aは、蓋3を保持可能であると共に、ポッド本体2に対する蓋3の固定及び分離の操作が可能となっている。
ポッド載置部121は、載置されたポッド1を固定可能であると共に該ポッド1を前述した第一の開口部111(より正確にはこれを閉鎖するドア115a)に対して接近及び離間させることが可能である。ポッド載置部121は、ポッド1が所定の間隔まで或いはドア115aと当接するまでポッド1の接近動作を行い、ポッド1の駆動が停止した状態でドア115aは蓋3を保持する。この時、ポッド本体2の開口2aはサイドプレート105のシール部材114と接触し、ポッド1の収容空間2bと微小空間103とが第一の開口部111を介して気密に接続される。該シール部材114は、金属、樹脂、或いはゴム、さらにはこれらの組み合わせより構成される。ドア115aはこの状態でポッド本体2からの蓋3の分離を行い、更にドア駆動機構115bにより第一の開口部111に対して下方に移動することによってポッド1の開口部2aを微小空間103に対して開放させる。なお、本実施例において、ポッド本体2の駆動方向をX軸方向とし、該X軸に直交して該X軸と共にウエハの延在面を規定する方向(紙面に垂直な方向)をY軸方向とし、これら軸からなるXY平面に垂直な方向をZ軸として便宜上規定する。本実施例では鉛直方向がZ軸方向に対応し、本明細書における上方及び下方は鉛直方向における上方及び下方に対応する。しかし、本発明におけるZ軸の延在方向はこの鉛直方向に限定されず、必要に応じて鉛直方向からずらせて設定することも可能である。
本実施形態に係るガスパージ装置200は以上に述べたロードポート装置に対し固定されて用いられる。以下にガスパージ装置について詳述する。本発明に係るガスパージ装置200は、カーテンノズル210、一対のパージノズル220、及びカバー部材230を有する。カバー部材230は、上面プレート231、一対の側面プレート233、及び室画定プレート235より構成される。上面プレート231は、第一の開口部111の上辺より所定間隔だけ外方(上方)であって、サイドプレート105より微小空間103側(X軸方向)に所定幅wだけ突き出すように配置される。一対の側面プレート233は、上端部において各々上面プレート231に接続され鉛直方向(Z軸方向)に延在し、サイドプレート105より微小空間103側に突き出すように固定される。これら構成により、カバー部材230は第一の開口部111を囲み且つ突き出し幅wを有した、下方が開口するコの字形状を形成する。該コの字形状の上辺はL1の長さを有し、両側辺はh1の長さを有する。開口部111の下方に向かう該コの字状における開口は、ドア115aが蓋を保持して開口部111の下方に退避する際の動作範囲を確保するためのドア用開口部232を構成する。
室画定プレート235は、該コの字形状のカバー部材230のサイドプレート105への固定側とは逆側の自由端である辺に対し、該コの字形状を介してサイドプレート105と対向するように固定される。該室画定プレート235には、鉛直方向にh2の長さを有し且つ水平方向にL2の長さを有するカバー部材開口部237が設けられる。カバー部材開口部237は、該カバー部材開口部237を介してポッド1内部に収容されるウエハの挿脱の実行を可能とすると共に、ドア115aの背面にて閉鎖可能となる大きさにされている。以上に述べた構成を有することによって、カバー部材230は、第一の開口部111と微小空間103との間に配置され且つ微小空間103とは一部が区切られた第二の微小空間117を形成する。
なお、本形態において、カバー部材230はカバー部材開口部237とドア用開口部232とを有し5面が略画定された第二の微小空間117を構成している。当該構成とすることによって、微小空間103内に生成されている所謂ダウンフローに対して微少空間103の一部を第二の微小空間117として区切り、当該ダウンフローが第二の微小空間117に及ぼす影響をできる限り抑制しようとしている。しかし、後述するカーテンノズル210からの十分な量のパージガスの供給が可能である、或いは開口部111の直前に十分な濃度の不活性ガスが存在する領域を形成することが可能である場合、例えば室画定プレート235を無くする、更には側面プレート233の突き出し量を小さくする等を為して、第二の微小空間117が明確な外縁を有さない構成とすることも可能である。この場合も、本発明では、該カバー部材230は、開口部111を囲んで微小空間103の一部をダウンフローに対して区切るものとして規定する。図4に示すように、カーテンノズル210は、第二の微小空間117の内部を規定する上面プレート231の内側であって、第一の開口部111(本発明における開口部)の上辺に沿って平行に位置するようにその外側に配置される。なお、ここで、カーテンノズル210は直方体形状を有し、その底面217はフィルタ部材より構成されて全域に多数のガス噴出し口が分布している。カーテンノズル210やパージノズル220から供給されるパージガスとしては、窒素或いは所謂希ガスに例示される不活性ガスが挙げられる。
次に、パージノズル220について述べる。該パージノズル220は第二の微小空間117内において、第一の開口部111の両側部に配置される。パージノズル220は、第一の開口部111の両側辺と平行な鉛直方向に各々延在する第一のパージノズル室225、及び第二のパージノズル室227を有し、カバー部材230の内側であって側面プレート233に対して固定されている。また、ガス供給配管221は、第二の微小空間117内に存在する各々の構成の数を低減する目的から、本実施形態ではパージノズル220と一体化した態様とされている。第一のパージノズル室225及び第二のパージノズル室227は、長手方向の長さがポッド本体2の開口部と略一致するように構成されている。ガス供給配管221から第一のパージノズル室225(パージノズル220)へのパージガスの供給は、ガス供給配管221の延在方向とは異なる方向(本形態では直交する方向)に設けられたこれらを連通させる連通路221aを介して行われる。第一のパージノズル室225と第二のパージノズル室227との間には、パージノズル室用フィルタ228が配置される。
該パージノズル室用フィルタ228は、第一のパージノズル室225と第二のパージノズル室227との間に差圧を形成しつつ、第一のパージノズル室225から第二のパージノズル室227へのパージガスの供給を可能としている。本実施形態ではガス供給配管221から第一のパージノズル室225へのパージガスの供給は単一の連通路221aより為される。ここで、パージノズル室用フィルタ228の存在により連通路221aから第二のパージノズル室227への直接的なパージガスの流入を抑制することでパージガスの第一のパージノズル室225内での均等な伝播の時間を確保している。当該構成によって、第二のパージノズル室227には、長手方向においてほぼ均等な圧力分布でパージノズル室用フィルタ228からのパージガスの供給が為される。
第二のパージノズル室227はガス噴出し用のスリット227aを有する。スリット227aはポッド本体2の開口2aの両側部と対応しこれと平行となるように延在するように設けられている。該スリット227aは、後述するようにポッド本体2の開口2aに対応して長さが定められる。また、スリット227aの開口は、ポッド1内に収容されるウエハの中心を通りポッド1の進退方向と一致する直線において、ポッド本体2の開口2aからウエハの中心までの間の任意の位置に向かうように設定される。前述したように、パージノズル220は、第一の開口部111の両側辺に沿って一対配置される。より厳密には、パージガスの供給或いは吹き出し口であるスリット227aが当該条件を満たすように配置される。これらは、ポッド本体2の開口2aの中心と第一の開口部111の中心とを含み且つウエハ面に垂直な平面に対して左右対称に配置されている。より詳細には、スリット227aの開口からウエハ中心に向かう距離及び角度が左右のパージノズル220において均等になるように配置される。
該スリット227aの開口には、パージノズル用フィルタ229が配置される。該パージノズル用フィルタ229も第二のパージノズル室227内と外部の空間との間に差圧を形成可能であって、該パージノズル用フィルタ229を介することによってスリット227aから外部空間に供給されるパージガスの延在方向、即ち鉛直方向における流量の均一性が確保される。なお、パージ室用フィルタ228は、パージ用フィルタ229に対して気体透過が容易な所謂粗い目からなり、且つパージガスの透過範囲は狭くなるように設定されている。また、パージ室用フィルタ228は、パージ用フィルタ229に対して厚さを薄くしている。即ち、圧損の程度について、パージ室用フィルタ228については小さく、パージ用フィルタ229については大きくなるようにしている。当該構成とすることによって、第一のパージノズル室225から第二のパージノズル室227への気体の導入の容易化を図り、且つポッド内パージ用に該パージノズル220から放出されるパージ用ガス流生成用のパージガスの流速及び流量について、パージノズル220全域での均等化を図っている。以上の構成より、流れ方向に垂直な方向においてある程度の幅を有するパージガス流からなるパージガスを放出することが可能となり、局所的にパージガス濃度が高く且つ酸素濃度が抑制された領域の生成無しにパージガス流をポッド内部に導くことが可能となる。
また、パージノズル220は、スリット227aの開口と対応してパージノズル用フィルタ229の外側に配置される流れ制御部222を更に有する。流れ制御部222は、前述したスリット227aの開口方向と一致する方向であって該スリット227aと同一幅のスリット形状からなる。パージノズル用フィルタ229を介してパージノズル220の外部に流出するパージガスは大まかな指向性しか有さない。しかし、該流れ制御版222を配置することにより、パージガスの流れに対して指向性を付与し、ポッド本体2の内部の所定の位置に向けて所定の噴出し角度範囲でのパージガスの供給が可能となる。なお、本実施例では、第一のパージノズル室225、第二のパージノズル室227を一体化させる部材に流れ制御部222を作りこむ様式とし、その形状を単純にスリット227aの開口形状をそのまま延長する態様としている。しかし、例えば板状の整流板を付加する態様としても良い。或いは、パージノズル用フィルタ229から供給されたパージガスの拡散を抑制するように開口に向かって幅を狭くする或いはこれとは逆に幅を拡大する形状としても良い。
ここで、パージノズル220におけるスリット227aからのパージガスの供給様式について考察する。図7に図2と同様の様式にてパージノズル220よりポッド内の収容空間2bに供給されるパージガスの流れを複数の矢印Pにて模式的に示す。ポッド1中心に対して左右対称に配置されたパージノズル220から供給されたパージガスは、図中白抜矢印Qを中心にパージノズル220から離れるに従って流域が拡大するように放出される。ポッド本体2の両側から放出されたパージガスはポッド中心及び開口2a中心を通りウエハ面に垂直な平面にて衝突し、一部はポッド開口2a方向に、他は収容空間2bの奥に向かう方向に流れの向きを変える。本実施形態のガスパージ装置200では、カーテンノズル210により第二の微小空間117の上方から下方へ流れるパージガスの気流であるガスカーテンが生成されている。このため、開口2aに向かったパージガスの一部は開口2aよりポッド外部に至った後、ガスカーテンに乗せられて第二の微小空間117の下方に排出される。
また、このガスカーテンの存在によってポッド内は上方から下方に向かう気流が生成される圧力分布となる。このため、ウエハ1の表面あるいは裏面に沿って収容空間2bの奥に向かったパージガスは、ポッド本体2内部の奥壁2eに当って下方に向きを変えて流れ、奥壁2eに沿った第一の下降気流経路に沿って底面2dまで流れ、更に底面2dに当って底面2dに沿った向きに流れを変えて開口2aより排出される。また、供給されるパージガスの総量に応じ、上段のウエハから下段のウエハに至る位置の間で開口2aから供給されるパージガス量と、開口2aに向かって排出されるパージガス量の逆転する領域が生じ、この領域より下段では収容空間2b奥から開口2aに向かうパージガスの流れが増加し始める。収容空間2bの奥から開口2aに向かうパージガスの排出気流は、開口2aに近づくにつれて収容空間2bの両側面2dに沿った流れに集まり、図7の黒矢印Rが記載されている平面視でのウエハの存在しない略三角形の領域において底面2dに向かう第二の下降気流経路を形成し、底面2dまで流れる。これらのパージガスの流れは、一対のパージノズル220が所謂層流の状態を保ちながら鉛直方向で連続的に、互いに衝突するようにパージガスを供給することで該第一及び第二の下降気流経路を含む上述のガス排出経路を生成することが容易となる。従って、層流を生成困難となる微少量及び過剰量の供給は適当ではない。特許文献1等に示すような個別のノズルによってパージガスを供給する場合には、このような条件を満たすことは困難となる。鉛直方向に沿ってパージガスが噴出す位置と全く噴出さない位置とが交互に存在するためである。これに対し、本形態の如く連続するスリット227aより供給する様式とすることにより、層流の状態をある程度維持しつつ左右からのパージガスを鉛直方向で連続的に、均等且つ中央で衝突させることが可能となり、上述したパージガスの流れを安定的に生成することが可能となる。
次にパージノズル220に配置されるスリット227aの形成範囲LSについて説明する。図5は図1に示すポッド1の開口2a近傍と対応するガスパージ装置200を同様の様式にて拡大して示している。また、図6Aは図5に示すパージノズル220の上端部及びその近傍を、図6Bは下端部及びその近傍を各々拡大して示している。前述した第二開口2aの開口上端は第二開口天井面2fにより規定され、開口下端は第二開口底面2fにより規定される。これら第二開口天井面2f及び第二開口底面2fは、各々ポッド中心に対して天井面2d及び底面2dより隔置し、蓋3の上辺及び下辺に応じて配置される。また、テーパ領域2aを介して連なる開口2aの最外縁部は、ポッド中心に対して第二開口天井面2f及び第二開口底面2fより更に隔置して配置される。なお、図6A及び6Bにおいて、ポッド1内に収容されるウエハの内最上段に保持されるものをウエハ5a、最下段に保持されるものをウエハ5bとして示す。また、図5中において、スリット227aの形成範囲(長さ)はLSとして示されており、本発明では主として当該LSの最適化を図ることによりポッド1内の酸素濃度の低減化を達成している。以下LSの長さ及びその根拠について詳述する。
本実施形態において、スリット227aの上端は、ポッド載置台121に載置されたポッド1の収容空間天井面2dと、第一の開口部111の上辺との間に位置する。前述したように、パージノズル220から噴出されたパージガスがポッド1の開口2aにいたる経路にはカーテンノズル210により形成されるガスカーテンが存在している。このガスカーテンによるポッド1の開口2a正面における上から下へ向かう気流により、パージノズル220から供給されるパージガスも下方に流された後にポッド開口2aに至る。従って、スリット227aの上端は天井面2dよりも上方まで形成されることを要する(図6の範囲LSU1)。なお、実際には収容空間2bからポッド開口2aに至るまでに蓋3のための収容空間2cが存在し、当該空間の上限を形成する第二開口天井面2fがポッド本体2には配置される。この蓋3のための収容空間2cの上部を好適にパージする関係上、スリット227aの形成範囲LSの上端はこの第二開口天井面2fより外側に位置することが好ましい(図6Aの範囲LSU2)。
また、前述したように、収容空間2cの第二開口2aから開口2aに至るには、蓋3の開閉を容易にするためのテーパ領域が存在する。よって、スリット227aの形成範囲LSの上端は、更にテーパ領域の開口縁部である開口部2aの上辺よりも外側或いは上側に配置されることがより好ましい(図6Aの範囲LSU3)。これにより収容空間2cの隅においても気体の滞留を抑制することが可能となり、開口2a近傍まで酸素濃度を低下させておくことが可能となる。なお、前述したように、これら好ましい配置までスリット227aを延在させた場合、該スリット227aから放出されるパージガスはガスカーテンの影響でポッド1の開口2aに至る際には噴出し位置よりも下方にシフトする。従って、このシフト量を考慮し、開口2aの上辺よりも上方にパージガスの到達位置が設定されるようにLSの上端を定める、或いはパージガスとカーテン生成用のガス各々の流量の最適化を図ることがより好適である。
また、パージガスがサイドプレート105に当る場合には、開口2aの上方にポッド1の内部に入り込まないパージガスがガスカーテンの好適な生成を妨げる可能性がある。従って、LSの上限として、サイドベース105における第一の開口部111の上辺が定められることがより好ましい。
本実施形態において、スリット227aの形成領域LSの下端は、最下段のウエハ5bの下面からポッド1の開口2aの下辺(下辺のテーパ部の開口縁部)の間に位置するように定められている(図6Bの範囲LSL1)。ここで、ポッド1内部には複数のウエハが隔置して並べられており、スリット227aから放出されるパージガスはこれら各々のウエハの間で層流を形成し、これを維持した状態でポッド1の開口2aの前面に存在するガスカーテンのガス流れに合流することを要している。例えば特許文献1等に開示されるように部分的に強制排気を行うことでポッド内部のガスパージを行おうとした場合、ポッド1の開口2a、或いはウエハ間の何れか等で乱流を形成してしまい、結果的に気体を排出できない領域を形成することが考えられる。また、ポッド形状が方体形状である関係上、図7に示されるようにパージノズル220近傍には黒矢印Rが記載されたウエハの存在しない略三角柱状の空間が存在する。この空間はウエハの存在する部分よりも単位空間あたりの気体が存在し得る体積が大きくなって圧力が下がるため、ウエハ間を流れた気体が当該空間に至るとその流速が低下すると考えられる。
本発明の如く図7に示すようにパージガスを供給することで図中黒矢印Rに示すようなパージガスの生成が可能となり、当該パージガス流れによって当該略三角柱状部分での流速低下を制御することが可能となる。これにより、前述した第二の下降気流経路に沿ったパージガスの排出が良好に実現される。また、スリット227a形成領域LSの下端を最下段のウエハ5bよりも下或いは外側に配置することによって全てのウエハの間で安定的な層流を形成することが可能となり、気体の停滞領域の発生を抑制することが可能となる。なお、上述したように、収容空間2bからポッド1の開口2aに至るまでには収容空間2cが存在し、当該空間の下限を形成する第二開口底面2fがポッド本体2には配置される。
この収容空間2cの下部を好適にパージする関係上、スリット227aの形成範囲LSの下端は、ガスカーテンの影響を勘案して、収容空間2bの底面2dとテーパ領域2aの最外縁部である開口2aの下辺との間(図6Bの範囲LSL2)に設定されることが好ましい。これにより収容空間2cの隅においても気体の滞留を抑制することが可能となり、開口2a近傍まで酸素濃度を低下させておくことが可能となる。また、この最外縁部に至るテーパ領域2aの近傍の気体はガスカーテンにより下方に引き寄せられる効果もあることから、この下限を第二開口底面2fと考えても良い(図6Bの範囲LSL3)。以上のようにスリット227aの形成領域LSを設定することにより、ポッド1の内部を従来よりも1桁低い酸素濃度に到達させることが可能となる。
なお、本実施形態では、形成領域LSの上端から下端にかけて幅が一定のスリット227aを用いている。上述したように、層流れの維持と三角柱状部分の排気の観点から前述したLSの全ての領域でパージガスの供給が必要である。しかし、本発明でのパージ操作の原理がポッド1の開口2aの下方からパージガスが排出される態様であることから、パージノズル220の上方から下方に至るにつれてパージガスの供給量を順次減少させることがより好ましい場合も存在する。図8は本発明の他の実施形態であって、スリット227aのスリット幅を変化させることでこれを実現する形態を示している。同図に示すように、上端から下端に近づくに従ってスリット幅が順次減少していることがわかる。当該形態とすることによって、ポッド内の気体をより効果的にポッド1の開口2aの下端より排出することが可能となる。
なお、以上で述べたスリット形成領域LSは、前述した第一のパージノズル室225、第二のパージノズル室227、パージノズル室用フィルタ228、及びパージノズル用フィルタ229の全てについて対応していることが好ましい。これにより、製造工程上の左右の組み立て精度の影響を小さくし、上述した左右対称の条件を容易に満たすことが可能となる。また、前述したスリット幅の変化を、これら複数のフィルタの何れかのコンダクタンスを順次変化させる態様とする、或いはパージノズル220の延在方向に垂直なパージノズル室の断面を順次変化させることによっても、類似した効果を得ることが可能となる。
以上述べたように、本発明は半導体処理装置に対して好適に用いるロードポート装置に用いて所謂ポッド内部の酸化性ガスの低減を図るガスパージ装置に関している。しかしながら、本発明の利用可能性は当該処理装置むけのみに限定されず、例えば液晶ディスプレイのパネルを扱う処理装置等、半導体に準じた各種処理が行われる種々の処理装置に用いられる所謂ロードポート装置やガスパージ装置に対しても適用可能である。
1:ポッド、 2:ポッド本体、 3:蓋、 101:ロードポート装置、 103:微小空間、 105:サイドプレート、 111:第一の開口部、114:シール部材、 115:ドアシステム、 117:第二の微小空間、 121:ポッド載置部台、 200:ガスパージ装置、 210:カーテンノズル、 220:パージノズル、 221:ガス供給配管、 222:流れ制御部、 223:コンダクタンス調整手段、 225:第一のパージノズル室、 227:第二のパージノズル室、 228:パージノズル室用フィルタ、 229:パージノズル用フィルタ、 230:カバー部材、 231:上面プレート、 232:ドア用開口部、 233:側面プレート、 235:室画定プレート、 237:カバー部材開口部、 239:開放下面

Claims (4)

  1. 微小空間を外部空間から分離する壁の一部を構成するサイドプレートと前記サイドプレートが有する開口部を閉鎖可能なドアとを有し、被収容物が収容される密閉容器の開口を前記開口部と対向させるとともに、前記開口に取付けられる蓋を前記ドアが保持して前記密閉容器を開閉することにより前記開口を介して前記密閉容器内部へのガスの供給を行うガスパージ装置であって、
    前記開口部を囲んで前記微小空間内に配置され、前記微小空間の一部を第二の微小空間として区切るカバー部材と、
    前記第二の微小空間の内部で前記開口部の上部に配置されて前記第二の微小空間の内部へパージガスを供給するカーテンノズルと、
    前記第二の微小空間の内部で前記開口部の両側部に配置され、前記開口部を介して前記密閉容器の内部へ前記パージガスを供給する一対のパージノズルと、を有し、
    前記一対のパージノズルの各々は前記密閉容器の前記開口を開放した際に前記密閉容器の前記開口の両側辺に沿って延在して前記パージガスを吹き出すスリットを有し、
    前記スリットは前記密閉容器の前記開口の中心を通り前記密閉容器の前記開口に垂直な面を中心に対称に配置され、
    前記密閉容器は、前記被収容物を前記密閉容器内に収容する収容空間と、前記収容空間と前記開口との間に配置されて前記開口を閉鎖する際に前記蓋が収容される蓋収容空間と、を有し、
    前記スリットの下端は、前記スリットの延在する方向に関して、
    前記収容空間の底面が存在する位置と前記蓋収容空間の開口の下辺が存在する位置との間に配置されることを特徴とするガスパージ装置。
  2. 前記スリットの上端は、前記スリットの延在する方向に関して、前記密閉容器の前記開口の上辺が存在する位置よりも上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載のガスパージ装置。
  3. 前記スリットは、前記スリットの上端から下端に至るにつれて幅が狭くなることを特徴とする請求項1或いは2に記載のガスパージ装置。
  4. 被収容物が収容される密閉容器を開閉することにより前記密閉容器に対する前記被収容物の挿脱を可能とするロードポート装置であって、
    微小空間を外部空間から分離するための壁の一部を構成し、開口部を有するサイドプレートと、
    前記開口部を閉鎖可能であって、前記密閉容器の開口に取付けられる蓋を保持して前記密閉容器を開閉するドアと、
    前記ドアを支持し、前記ドアに対して前記開口部への開閉動作を行わせるドア駆動機構と、
    前記外部空間に配置されて前記密閉容器を載置可能であって、前記開口と前記開口部とを対向させるように前記密閉容器と前記開口部とを整列させる載置台と、
    更に請求項1乃至の何れか一項に記載されたガスパージ装置と、を有することを特徴とするロードポート装置。
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