JP5842496B2 - 固体パルスレーザ装置 - Google Patents
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Description
しかし、温度チューニング中に大きなエネルギーのレーザパルスがレーザ照射対象物あるいはレーザ照射対象物以外の物に不要に照射されてしまうと、それらを破損しかねない問題点があった。
そこで、本発明の目的は、大きなエネルギーを持ったパルスレーザを出力せずに温度チューニングを行うことが出来る固体パルスレーザ装置を提供することにある。
上記第1の観点による固体パルスレーザ装置(100)では、実働中は、共振器(20)でレーザ発振が起こらないように音響光学素子(4)により共振器(20)のロスを大きくして固体レーザ媒質(2)を高ゲインにしておき、次いで共振器(20)でレーザ発振が起こるように音響光学素子(4)により共振器(20)のロスを急速に小さくし、それまでの固体レーザ媒質(2)の高ゲインに応じた大きなエネルギーのパルスレーザを出力する。一方、温度チューニング中は、共振器(20)のロスの変化分を、実働中よりも小さくする。これにより、それまで固体レーザ媒質(2)が高ゲインであっても共振器(20)のロスが大きいままであるか(実施例1参照)、又は、それまで固体レーザ媒質(2)が低ゲインであるか(実施例2参照)のいずれかとなり、パルスレーザは小さなエネルギーで出力されることになる。そして、その状態でエネルギーがピークになるように波長変換用光学素子(5)の温度チューニングを行えばよいので、温度チューニングには支障を生じない。また、温度チューニング中に大きなエネルギーのレーザパルスがレーザ照射対象物などに不要に照射されてしまうことがなくなるため、それらを破損してしまうような問題を回避できる。
上記第2の観点による固体パルスレーザ装置(100)では、実働中は、共振器(20)でレーザ発振が起こらないように音響光学素子(4)により共振器(20)のロスを大きくして固体レーザ媒質(2)を高ゲインにしておき、次いで共振器(20)でレーザ発振が起こるように音響光学素子(4)により共振器(20)のロスを急速に小さくし、それまでの固体レーザ媒質(2)の高ゲインに応じた大きなエネルギーのパルスレーザを出力する。一方、温度チューニング中は、共振器(20)を連続発振させるように共振器(20)のロスを小さくする。連続発振のため、小さなエネルギーのレーザの連続出力になる(実施例3参照)が、その状態でエネルギーがピークになるように波長変換用光学素子(5)の温度チューニングを行えばよいので、温度チューニングには支障を生じない。そして、温度チューニング中に大きなエネルギーのレーザパルスがレーザ照射対象物などに不要に照射されてしまうことがなくなるため、それらを破損してしまうような問題を回避できる。さらに、温度チューニング中の小さなエネルギーを検出するために光検出手段(7,8)の増幅度を上げる必要があるが、レーザが連続出力であるので周波数応答性を考慮せずに増幅度を上げることが可能となり、容易に実施できる。
図1は、実施例1に係る固体パルスレーザ装置100を示す構成説明図である。
この固体パルスレーザ装置100は、励起レーザ光を発生する半導体レーザ1と、共振器20を構成するためのミラー3,3と、励起レーザ光によって励起され基本波を出射する固体レーザ媒質2と、共振器20内に設置された音響光学素子4と、基本波を波長変換し波長変換光を出射する波長変換用光学素子5と、共振器20から出力される出力光の一部を分岐するビームスプリッタ6と、ビームスプリッタ6で分岐された光を受光する光検出器7と、光検出器7での光検出信号を読み出す読出し回路8と、温度波長変換用光学素子5の温度を目標値に制御するための温調ユニット(ペルチェ素子および温度センサを含む)9aおよび素子温度調整機構9と、音響光学素子4を制御して共振器20のロスを変化させるためのRF信号制御機構10と、半導体レーザ1を駆動するための半導体レーザ駆動機構11と、読出し回路8で読み出した光検出信号に基づいて素子温度調整機構9の目標値を更新する温度チューニング機構12とを具備している。
読出し回路8は、AD変換回路を含んでいる。
RF信号制御機構10が音響光学素子4に十分なパワーのRF信号を与えて共振器20のロスを十分に大きくすると、レーザ発振が起こらないため、固体レーザ媒質2が高ゲインの状態になる。なお、この時の共振器20のロスを100%とする。
この状態で、RF信号制御機構10がRF信号を急速にオフすると共振器20のロスが小さくなり、共振器20でレーザ発振可能となり、固体レーザ媒質2の高ゲインに応じた大きな出力エネルギーのパルスレーザが出力される。
RF信号制御機構10が音響光学素子4に十分なパワーのRF信号を与えて共振器20のロスを十分に大きくすると、共振器20でレーザ発振が起こらないため、固体レーザ媒質2が高ゲインの状態になる。
この状態で、RF信号制御機構10がRF信号のパワーを急速に小さくして共振器20のロスを例えば50%にすると、共振器20でレーザ発振可能となり、パルスレーザが出力される。このパルスレーザの出力エネルギーは、それまで固体レーザ媒質2が高ゲインであっても、共振器20のロスが例えば50%もあるため、実働中に比べて小さくなる。
固体パルスレーザ装置の構成は、実施例1に係る固体パルスレーザ装置100と同様である。
RF信号制御機構10が音響光学素子4に実働時に比べて小さなパワーのRF信号を与えて共振器20のロスを例えば30%に小さくすると、ある程度は共振器20でレーザ発振可能であるため、固体レーザ媒質2が、実働中に比べると低いが、ある程度は高いゲインの状態になる。
この状態で、RF信号制御機構10がRF信号を急速にオフすると共振器20のロスが小さくなり、共振器20からパルスレーザが出力される。このパルスレーザの出力エネルギーは、固体レーザ媒質2のゲインが実働中に比べて低かったため、実働中に比べて小さくなる。
固体パルスレーザ装置の構成は、実施例1に係る固体パルスレーザ装置100と同様である。
RF信号制御機構10がRF信号をオフにしたままにすると共振器20のロスが最小になり、共振器20は連続発振状態になり、レーザが連続出力される。このレーザの出力エネルギーは、固体レーザ媒質2のゲインが低いままであるため、実働中に比べて小さくなる。
また、実施例3でのレーザの出力エネルギーは、実施例1や実施例2に比べても小さくなるため、光検出器7や読出し回路8の増幅度を上げる必要があるが、レーザが連続出力であるので周波数応答性を考慮せずに増幅度を上げることが可能であり、容易に実施できる。
2 固体レーザ媒質
9a 温調ユニット
3 ミラー
4 音響光学素子
5 波長変換用光学素子
6 ビームスプリッタ
7 光検出器
8 読出し回路
9 素子温度調整機構
10 RF信号制御機構
11 半導体レーザ駆動機構
12 温度チューニング機構
100 固体パルスレーザ装置
Claims (2)
- 励起レーザ光を発生する半導体レーザ(1)と、前記励起レーザ光によって励起され基本波を出射する固体レーザ媒質(2)と、前記固体レーザ媒質(2)を含んで形成される共振器(20)内に設置された音響光学素子(4)と、前記基本波を波長変換し波長変換光を出射する波長変換用光学素子(5)と、前記共振器(20)から出力される出力光を検出するための光検出手段(6,7,8)と、前記波長変換用光学素子(5)の温度を目標値に制御する温度制御手段(9)と、パルス出力を得るために前記音響光学素子(4)を制御して前記共振器(20)のロスを変化させる音響光学素子制御手段(10)と、前記光検出手段(6,7,8)による検出結果に基づいて前記温度制御手段(9)の目標値を更新する温度チューニング手段(12)とを具備し、
前記音響光学素子制御手段(10)は、前記温度制御手段(9)の目標値を更新中は、前記音響光学素子(4)に与えるRF信号のパワーを調整して実働中よりも前記共振器(20)のロスの変化分を小さくして前記パルス出力の出力エネルギーを小さくすることを特徴する固体パルスレーザ装置(100)。 - 励起レーザ光を発生する半導体レーザ(1)と、前記励起レーザ光によって励起され基本波を出射する固体レーザ媒質(2)と、前記固体レーザ媒質(2)を含んで形成される共振器(20)内に設置された音響光学素子(4)と、前記基本波を波長変換し波長変換光を出射する波長変換用光学素子(5)と、前記共振器(20)から出力される出力光を検出するための光検出手段(6,7,8)と、前記波長変換用光学素子(5)の温度を目標値に制御する温度制御手段(9)と、パルス出力を得るために前記音響光学素子(4)を制御して前記共振器(20)のロスを変化させる音響光学素子制御手段(10)と、前記光検出手段(6,7,8)による検出結果に基づいて前記温度制御手段(9)の目標値を更新する温度チューニング手段(12)とを具備し、
前記音響光学素子制御手段(10)は、前記温度制御手段(9)の目標値を更新中は、前記音響光学素子(4)に与えるRF信号のパワーを調整して前記共振器(20)を連続発振させるように前記共振器(20)のロスを下げることを特徴する固体パルスレーザ装置(100)。
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