JP5842242B2 - 回折環分析方法および回折環分析装置 - Google Patents

回折環分析方法および回折環分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、計測対象物の特定部分にX線または回折する性質を持つビームを照射し、この回折ビームにより形成される回折環の変形をフーリエ変換して、当該特定部分のひずみ、応力を求める回折環分析方法および回折環分析装置に関する。
従来の回折環分析装置に関して、特許文献1に開示されたX線回折装置や、特許文献2に開示された三軸応力測定方法等がある。
非特許文献1では、非特許文献2に開示されたX線応力測定方法の1つであるcosα法を発展させて回折環の2次元的データを解析することによって全平面応力成分を単一のX線照射によって同時一括に計測する手法が開示されている。その手法について図面を用いて説明する。
図30は、計測対象物表面にX線を照射した場合の座標系、入射X線および回折環を示す図である。同図に示すように、X線ビーム1を計測対象物であるサンプル2の特定部分3に照射し、その回折ビーム4により、回折環5(デバイ環)を撮像部6に結像させる。同図中、εαは、円周角αでの回折環の変形を表し、ηは結晶の格子面間隔とX線の波長で決まっている回折角θの余角である(つまりηは90°−θ)。また、ψ0は計測対象物表面の法線と入射ビームとのなす角で、φ0はX線ビームの測定対象物表面への投影線と計測対象物のx軸とのなす角である。
回折環5を用いた応力測定では、サンプル2の特定部分3にひずみがある場合、図31に示すように、ひずみがない時の真円の回折環8からずれた位置に、サンプル2のひずみに応じて変形したX線の回折環9が生じる。
このサンプル2のひずみ(応力状態)を回折環9の変形から求めるのが、cosα法である。この方式は中性子線など、結晶で回折する性質のあるビームであればX線以外でも利用可能である。
cosα法では回折環9上の中心角αの点での変形の測定値をεαで表すと、図32の様に、回折環9から、中心角α、π+α、−α、π−αの4方向の変形εα、επ+α、ε−α、επ−αを測定する。そして、この4つの測定値から、次の式(1)〜(4)で計算される4種のパラメーターの値を求める。
4種のパラメーターの実測値を縦軸、cosα、sinα、cos2α、sin2αの夫々を横軸にしてその関係を示したのが、図33〜図36である。図33からわかるように、cosαとε α(上バー付き)との間には明確な直線的な比例関係がみられる。つまり、式(1)のパラメーターε α(上バー付き)をcosαについてプロットすると直線関係が得られ、その直線の傾きに非特許文献1の式(9)を適用することで被測定物のひずみ(応力状態)を求めることができる(この例ではx方向の応力σx)。
一方、(2)〜(4)では直線関係はそれほど明確ではない(図34〜図36)。これはcosα法ではε α(上バー付き)、ε α(上チルダ付き)、E、Eとcosα、sinα、cos2α、sin2αとの関係がそれぞれ直線になるとしているが、この仮定が成り立つのは被測定物の応力状態が理想的な場合に限られるからである。実際には被測定物の応力状態は理想的な場合からずれており、それにより図34〜図36のように直線からのずれが生じる。このずれは被測定物の物理的状態の情報を含んでいるが、直線近似からひずみ(応力状態)を求めるcosα法ではその情報の取り扱いは困難である。
またcosα法では常に回折環上の4点を一組としてパラメーターの計算を行うので(図32)、図37のように一部が欠落した回折環では応力の計算が困難になる(図37の例ではε α(上バー付き)、ε α(上チルダ付き)、E、Eの各パラメーターの計算は不可能である)。
欠落した回折環の例として、非特許文献3ではスポッティ化した(つまり粒状性のある)回折環を示している。非特許文献3ではスポッティ化した回折環から精度良く応力を求める画像処理方法としてソフトウェア揺動法を開示しているが、図37のような回折環ではソフトウェア揺動法を利用してもcosα法の適用は困難である。
特開2005−241308号公報 特開2011−27550号公報
佐々木俊彦、広瀬幸雄 「2次元的X線検出器イメージングプレートを用いた全平面応力成分の単一入射X線応力測定」、材料 Vol.44, No.504, pp.1138-1143, (1995) 平修二、田中啓介、山崎利春 「細束X線 応力測定の一方法とその疲労き裂伝ぱ問題への応用」材料 Vol.27, pp.251-256, (1978) 佐々木俊彦、広瀬幸雄、安川昇一 「イメージングプレートを用いた粗大結晶粒材料のX線マクロ応力測定」、日本機械学界論文集(A編), 63, pp.533-541, (1997)
非特許文献1および非特許文献2によれば、cosα法の数値処理の都合上、次のような問題がある。
第1に、回折環に欠落がある場合(例えば図37)に応力の計算精度が劣化するか、あるいは計算できなくなる。
第2に、4点のひずみを加減算しているため、抽出するパラメーターには常に4点分の測定値誤差を含んでいることになる。これによってS/N比が劣化する。
第3に、回折環のひずみ情報には測定対象物の多くの応力状態についての情報を含んでいるが、それを4つのパラメーターに集約してしまうため、多くの情報が失われることになる。
本発明は、回折環に欠落がある場合であっても回折環を分析し、かつ精度を向上させる回折環分析方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の回折環分析方法は、結晶で回折する性質をもつビームとしてのX線または中性子線を計測対象物の特定部分に照射し、この特定部分から反射される回折ビームにより形成される回折環を測定し、この回折環の変形をフーリエ変換し、その結果から、特定部分の応力又はひずみの少なくとも一方を算出するものである。この構成により、計測対象物の特定部分の応力又はひずみを正確に求めることができ、また、回折環に欠落がある場合であっても計測対象物のひずみ(応力状態)を分析することができる。
具体的にフーリエ級数を求めるには、回折環の変形εαと回折環の中心角αの関係のリストを作成し、それに高速フーリエ変換(FFT)などのアルゴリズムを適用することでフーリエ級数の係数を求める。またcosα、sinα、cos2α、sin2α…との相関を計算することでもフーリエ級数の係数を求めることができる。
本発明の第2の回折環分析方法は、第1の回折環分析方法において、前記フーリエ級数の係数の他に、ヤング率、ポアソン比、回折角の余角、および前記計測対象物表面に対する法線と入射ビームとのなす角を用いた演算を、測定結果に対して施してもよい。この構成により、計測対象物の特定部分の応力又はひずみを更に正確に求めることができる。
本発明の第3の回折環分析方法は、第1又は第2の回折環分析方法において、回折環の一部に欠落部分がある場合、実測された回折環と欠落部分の中心角αの情報から、フーリエ級数の性質を用いて欠落のない場合の回折環のフーリエ級数を推定する方法であってもよい。これにより、回折環に欠落がある場合であっても計測対象物のひずみ(応力状態)を正確に分析することができる。
本発明の第4の回折環分析方法は、第1、第2又は第3の回折環分析方法において、フーリエ変換の結果得られたフーリエ級数のうち少なくとも0次から2次までの係数を利用してもよい。ここで、少なくとも1次の係数および2次の係数のいずれか一つを利用してもよい。この構成により、高次の係数を利用しなくても、従来のcosα法に比べて、正確に回折環の分析することができる。
本発明の第5の回折環分析方法は、第1、第2、第3又は第4の回折環分析方法において、1次および2次のフーリエ級数の係数をa1、b1、a2、b2とする時、計測対象物の応力を平面応力であると仮定してx軸、y軸方向の垂直応力σx、σをそれぞれ
とし、剪断応力τxy
の両式の少なくとも一方の式で算出してもよい。ここで、Eはヤング率、νはポアソン比、ηは回折角の余角、ψは前記計測対象物の表面の法線と入射X線ビームとのなす角を表す。
この構成により、垂直応力および剪断応力を正確に求めることができる。
本発明の第1の回折環分析装置は、結晶で回折する性質をもつビームとしてのX線または中性子線を計測対象物の特定部分に照射するビーム照射部と、この特定部分から反射される回折ビームを撮像し、撮像面に回折環を形成させる撮像部と、この撮像部で得られた測定結果をフーリエ変換し、前記特定部分の応力又はひずみの少なくとも一方を算出するデータ処理部を備えるものである。この構成により、計測対象物の特定部分の応力又はひずみを正確に求めることができ、また、回折環に欠落がある場合であっても回折環を分析する装置を提供できる。
本発明の第2の回折環分析装置は、第1の回折環分析装置において、撮像部が、半導体を利用した固体X線撮像素子またはイメージングプレーであってもよい。この構成により、正確に回折環の測定が可能になる。
本発明の回折環分析方法および装置によれば、回折環に欠落がある場合であっても回折環を分析し、かつ精度を向上させることができる。
言い換えれば、第1に、回折環に欠落がある場合(例えば図37)でもフーリエ級数への展開が可能なので、計算精度を劣化させることなく応力計算を可能にする。
第2に、4点のひずみを加減算する従来法とは異なり、回折環の存在する部分全てを用いてフーリエ級数に展開することにより4点分の測定値誤差を含まないのでS/N比を向上させることができる。
第3に、フーリエ級数の2次までの係数は従来法と等価な分析を可能にし、さらに、3次以上の係数は、従来法と比べて、回折環のひずみ情報に含まれるより多くの応力状態について分析することが可能にする。
図1は、実施の形態1における回折環分析装置の構成例を示すブロック図である。 図2は、実施の形態1を示す回折環分析方法を示すフローチャートである。 図3は、回折環の変形εαの実測値と2次以下の係数によって求めた変形εαの近似値の関係をしめしたグラフ(上図)と、その残差(下図)を示す図である。 図4は、回折環の変形データ例(一部)とそれから求めたフーリエ級数の係数を示す図である。 図5は、機械的に測定した負荷と実施の形態1のフーリエ方式で求めた応力σxの比較を示す図である。 図6は、実施の形態1における回折環計測装置の変形例における構成を示すブロック図である。 図7は、回折環計測装置の動作を示すフローチャートである。 図8は、第1の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。 図9は、図6の固体撮像素子の構成例を示すブロック図である。 図10は、第2の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。 図11は、図10の固体撮像素子の画素配置例を示す図である。 図12は、第3の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。 図13は、第4の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。 図14は、第5の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。 図15は、第6の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。 図16Aは、第7の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。 図16Bは、図16Aの変形例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。 図17は、第8の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。 図18は、第9の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。 図19は、第10の構成例における撮像部の(a)断面図および(b)下面図である。 図20は、第11の構成例における撮像部の(a)断面図および(b)下面図である。 図21は、実施の形態2における式(2.5)の行列Mを表す図である。 図22は、実施の形態2における実験に用いた資料の特性を示す図である。 図23は、実施の形態2における一部が欠けた回折環を作るためのマスク例を示す図である。 図24は、実施の形態2におけるマスクなしの場合とマスクにより回折光を遮った場合の回折環像を示す図である。 図25は、実施の形態2における各マスクについてデータ解析に用いた円周角αの範囲を示す図である。 図26は、実施の形態2における一部が欠けた回折環像から式(2.8) の方式で求めたσxのm依存性と、完全な回折環から求めたσx(破線) とを示す図である。 図27は、従来のcosα法により求めたσxと本実施の形態の方式により求めたσxとを示す図である。 図28は、回折環を8点で測定する場合の説明図である。 図29は、ε、ε′からのx1〜x5の推定値を示す図である。 図30は、計測対象物表面にX線を照射した場合の座標系、入射X線および回折環を示す図である。 図31は、計測対象物にひずみが生じている回折環の一例と無応力で無ひずみの回折環(真円)とを示す図である。 図32は、従来のcosα法の4分割の説明図である。 図33は、従来のcosα法により求めたε α(上バー付き)を縦軸に、cos αを横軸にとったグラフを示す図である。 図34は、従来のcosα法により求めたEを縦軸に、sin2αを横軸にとったグラフを示す図である。 図35は、従来のcosα法により求めたEを縦軸に、cos2αを横軸にとったグラフを示す図である。 図36は、従来のcosα法により求めたε α(上チルダ付き)を縦軸に、sin2αを横軸にとったグラフを示す図である。 図37は、回折環に欠落部分がある場合の状態を有する図である。
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。
(実施の形態1)
<回折環分析装置の構成>
図1は本実施の形態における回折環分析装置の構成例を示すブロック図である。この装置は、X線回折により発生する回折環を解析するものである。同図において、11は高圧電源、12はX線照射部を冷却する冷却部、13は回折環分析装置全体の動作を制御する制御部、14は測定対象物であるサンプルの特定部分にX線を照射するX線照射部、15はサンプルから反射される回折光により形成される回折環(デバイ環、デバイ=シェラー環とも呼ばれる。)を撮像する撮像部(たとえば、半導体などの固体撮像素子)、17は撮像部15により撮像された回折環画像を解析するデータ処理部、18は出力部である。
ここで、X線照射部14は、電子線をターゲットに衝突させてX線を発生させる装置と、発生したX線を細束のX線ビームとして計測対象物に照射するX線光学系とを備えている。X線発生装置として、たとえば、電子線を高電圧で加速して陽極に衝突させCr-Kα特性X線を発生させるためのX線管球(真空管)であり、また、X線光学系は、たとえば、発生したX線を細い平行ビームに絞り照射するピンホールコリメータである。
計測対象物表面とX線ビームとのなす角は自由に設定してよい。照射されるX線ビームの直径は、たとえば数100μm以下の細さでもよい。また照射するX線のエネルギーは4〜20 keV程度の軟X線でも良い。
撮像部15は、計測対象物からの回折ビームにより形成される回折環を撮像する。そのため、CCDイメージセンサ、MOS (Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子、あるいはイメージングプレートからなる。固体撮像素子の場合は(a) X線ビームが通過する貫通孔を中央部に有し、回折環全体を撮像する、または、(b) 回折環の一部、または複数の部分を撮像する1個または複数の固体撮像素子を備える。撮像にイメージングプレートを用いる場合は露光された回折環像を読み出すための読み出し装置を備える。
データ処理部17は撮像部15により撮像された回折環像を解析する。具体的には撮像された画像から回折環を判別し、判別された回折環と真円との半径方向のずれを、回折環の中心角αをパラメーターとする変形εαとして算出し、それをフーリエ級数で表現する。中心角αは、回折環の中心を通る基準となる線と、回折環の円周上の点とのなす中心角であり、円周角αとも呼ぶ。なおフーリエ級数の係数をフーリエ係数または単に係数と呼ぶ。そのフーリエ級数から上述の理論(平面応力状態の場合は後述する式(21)〜(24))に従って試験対象物の応力を求める。
出力部18は、表示装置および記憶部を備え、データ処理部17による解析結果を表示し、解析結果を示すデータを記憶部にファイルとして記録する。
なお、X線照射部14、撮像部15及びサンプルの測定状態は図30に示す通りである。
<データ処理部の詳細>
図2は本実施の形態である回折環分析方法に係るフローチャートを示すものである。
同図に示すように、本回折環分析方法はフーリエ級数による回折環分析方法であって、データ処理部17は、まず撮像部15により撮像された回折環画像から回折環を判別する(S21)。
そして、判別された回折環と真円との半径方向のずれを判別された回折環と真円との半径方向のずれを、回折環の中心角αをパラメーターとする変形εαとして算出する(S22)。
次に、回折環の中心角αをパラメーターとする変形をεαフーリエ変換し、このフーリエ級数の係数を算出する(S23)。
なお、判別された回折環に欠落がある場合には、測定された回折環と欠落部分の中心角αから欠落が無かったであろう場合のフーリエ級数を求める。この計算はフーリエ級数の性質を利用するものであり、欠落が無かったであろう場合のフーリエ級数を推定していることになる。
この後、この算出結果を用いて、サンプルの特定部分の応力又はひずみの少なくとも一方を算出する(S24)。
なお、図2において、回折環の真円とのずれをフーリエ級数に展開しているが、その代わりに、あるいは、それと併せて、回折環の幅、回折環の強度の変化をフーリエ級数に展開してもよい。これにより、回折環に含まれる情報に対してより多角的な分析を可能にする。
本形態の特徴としては第1に、回折環に欠落がある場合でもフーリエ級数への展開が可能なので、計算精度を劣化させることなく応力計算を可能にする。
第2に、4点のひずみを加減算する従来法とはことなり、回折環の存在する部分全てを用いてフーリエ級数に展開することにより4点分の測定値誤差を含まないのでS/N比を向上させることができる。
第3に、フーリエ級数の2次までの係数は従来法と等価な分析を可能にし、さらに、3次以上の係数は、従来法と比べて、回折環のひずみ情報に含まれるより多くの応力状態について分析することが可能にする。
フーリエ級数については、データ処理部17は、フーリエ級数の係数のうち少なくとも0次から2次までの係数を算出する。ここで、少なくとも1次の係数および2次の係数のいずれか一つを算出してもよい。例えば、0次から2次までの係数を算出してもよいし、3次以上の係数を算出してもよい。
なお、フーリエ級数による回折環の分析を行うデータ処理部17は、メモリとプロセッサを備えるマイクロコンピュータで構成してもよいし、汎用のパソコン(Personal computer)により構成してもよい。その場合、図2に示す処理は、プロセッサがメモリ中のソフトウェアを実行することによって実行される。すなわち、プロセッサがソフトウェアを実行するによって、データ処理部17の機能を実現するようにしてもよい。
また、本実施の形態におけるフーリエ級数は同等の直交級数であってもよく、フーリエ級数又は同等の直交級数に変換することをフーリエ変換と呼ぶ。
<回折環のフーリエ級数展開>
次に、回折環のフーリエ級数展開の内容を説明する。
入射ビームと試験対象物、撮像素子と回折環の位置関係は図30に示す通りである。ηは結晶の格子面間隔とX線の波長で決まっている回折角θの余角である(つまりηは90°−θ)。またψ0は計測対象物表面の法線と入射ビームとのなす角で、φ0はX線ビームの測定対象物表面への投影線と計測対象物のx軸とのなす角である。
一般に、試験対象物のx、y、z軸方向の垂直ひずみをそれぞれεx、εy、εz、、剪断ひずみをγxy、γyz、γzxとすると、円周角αでの回折環の変形εα
で表される。ただしn、n、nは、ひずみεα方向の方向余弦で、図30でφ0=0に設定するとき(以下の考察では妥当な設定である)
で表される。一方、変形εαをフーリエ級数の形に表すと
である。式(8)を式(7)に代入したものと式(9)とを比較することで計測対象物のひずみと回折環の歪のフーリエ級数を関連付けることができる。具体的には
のようになる。k>=3の係数は全て0になるが、試験対象物のひずみがビームの照射領域内で一様で無い場合にはεx、εy、εz、γxy、γyzのいずれかまたは全てがαの関数となりk>=3成分が観測される。
以上の様に、回折環の円周角αと変形εαを求め、それを用いて、フーリエ変換し、そのフーリエ級数の係数を関連付けることにより、試験対象物の応力、ひずみを正確に求めることができる。
<平面応力状態>
式(10)〜(14)では変数が6個あるのに対し、方程式は5個なのでこのままでは解くことができない。そこで通常は試験対象物の応力状態に仮定を置いて測定を行う。比較的単純な例として平面応力状態を考える。これは試験対象物の深さ方向に対して応力が変化しないという仮定で、近似的に多くの場合で成り立っており、工業的に重要である。具体的にはヤング率Eとポアソン比v、応力成分σx、σyおよびτxyを用いて
および
のように表される。
式(11)〜(14)に式(15)および式(16)を代入すると
のようにフーリエ級数の係数と応力の関係式が得られる。ただしa0は応力の決定には利用しないので省略した。
式(17)よりσx
のように計算される。このσxと式(19)を利用するとσy
のように求められる。同様に式(18)、式(20)からそれぞれ
のようにτxyが独立に計算される。
<応力の測定例>
本発明のフーリエ方式を検証するためJIS-SS400C材に機械的負荷(四点曲げ)を与え、裏面に貼ったひずみゲージによる機械的応力と本フーリエ方式による測定値を比較した。回折用のビームにはX線(Cr-Kα線)を、回折画像の取得にはイメージングプレート(IP)を利用した。回折角θが78.44度なので、ηは11.56度であった。また試験対象物とIPとの距離は39mm、Ψ0=35度であった。
<フーリエ係数の抽出>
図3は回折環の円周角と変形との関係を示す図である。具体的には、10 MPaの負荷をかけたときに得られた回折環の変形εαの例を示す図である。同図の横軸は回折環の円周角α、縦軸は変形εαを表している。εαの実測値(図3の上図の実線で示す)をαについてフーリエ級数に展開し、各項の係数の2次以下の係数によってひずみを近似して求めると、図3の上図の破線のようになる。なお、ここでは高速フーリエ変換(FFT)によって係数を求めており、同図では4次までの係数を示している(実際にはさらに高次の係数も求まる)。
図3の下図は上図の実線(実測値)と破線(近似計算値)との間の残差である。2次以下の近似とは図3のa1、b1、a2、b2だけを式(7)に代入した近似で、残差とは実測値と近似値との間の差である。
同図から明らかなように、実測値と計算値の誤差は僅かであり、本回折環分析方法および同装置の効果を実証するものである。なお、同図の下図に示される残差は、これは式(13)および(14)の平面応力状態という近似が完全には成り立っていないことや、ひずみを求める際の回折ピークの位置決定の誤差が原因であると考えられる。
<応力の決定>
図4は、試験対象物に機械的負荷を10 MPaかけた状態で回折環の変形εαを測定し、フーリエ級数の係数を求めた結果を示す図である。同図で、係数a1、b1、a2、b2はそれぞれ、式(1)〜(4)に対応するものである。図4から明らかな様に、本実施形態の回折環分析方法および同装置では、従来のcosα法では求めることができなかった高次の係数a3、b3、a4、b4まで求めことが可能になっている。これは、本実施形態では、上記の様に、実測値との関係が明確に理論づけされているからに他ならない。
図5は、試験対象物に10、43、73、106、140、174、209 MPaの各負荷を機械的にかけながら本実施形態のフーリエ方式で求めた応力σxである。図の横軸は機械的な負荷による応力で、縦軸が本発明のフーリエ方式で求めた応力σxである。それぞれの負荷でフーリエ係数から応力の平均と標準偏差を求め、式(21)から負荷方向の応力σxを決定した。この図では機械的な負荷による応力と本発明のフーリエ方式で求めた応力σxの比例係数がほぼ1になっており、本実施形態のフーリエ方式で応力を正確に測定できることがわかる。
<結晶面間隔d0の影響>
本発明の応力測定方式(フーリエ方式)の誤差要因について検討する。最初の要因は結晶面間隔d0の誤差の影響である。結晶の回折現象は結晶面間隔d0の値に依存するが、その値は試験対象物の測定だけからは求まらないため、別に求める必要がある。その決定の誤差は応力測定値の誤差になるため、影響を評価する必要がある。
回折環の変形εαは、非特許文献2の式(14)より
と表される。これを結晶面間隔d0で偏微分すると
従ってd0の誤差δd0によるεαへの影響誤差δεα
となる。δd0/d0は定数とみなせるから、フーリエ級数の性質より(7)の各係数への影響は
および
となる。通常の測定ではその影響は十分小さい。
<回折角θの変化による影響>
ここまでは回折角θの余角であるη (η=90°−θ)がεαによって変化せず一定であると仮定した。しかし実際にはひずみによって結晶面間隔dが変化を受け、ηもその影響を受ける。それに伴って式(8)の方向余弦も変化する。以下では検証実験の結果の範囲で影響を考察する。
非特許文献2の式(14)によれば、無ひずみ状態での回折角θがひずみのためθ+Δθになったとすると回折環の変形εα
と表される。これよりηは
だけ変化することがわかる。
一方、図4より検証実験ではフーリエ級数(9)の係数のうちa、a2以外は小さいので
と近似する。これと式(31)から
および
が得られる。式(31)および(32)を式(5)、(6)に適用し、a、a2の高次の項を(微小なので)無視すると
のようにaへの影響を見積ることができる。
検証実験では式(22)よりσy〜150MPaと見積られたので、回折角θの変化によるフーリエ級数の係数への影響は
となる。これによる応力測定値への影響は無視できる。
<フーリエ方式とcosα法との比較 (1)>
本発明の応力決定方式(フーリエ)を従来法(cosα法)と比較する。試験対象物のひずみがX線(ビーム)の照射領域で一様であるとすると、εα
のように表すことができる。これを従来のcosα法の基礎式(式(1)〜(4)の再掲)
に代入すると
が得られる。式(39)から明らかなように、従来のcosα法ではフーリエ級数の係数を簡易的に計算している。従ってひずみεαが式(37)で記述される場合には本発明のフーリエ方式と従来のcosα法は等価であると言える。
<フーリエ方式とcosα法との比較 (2)>
次にcosα法と本発明のフーリエ方式が等価にならない場合を考える。実際の試験対象物ではひずみが完全に一様ではないため、式(9)の回折環の変形εαがk>=3の項を含むようになる。ここでは簡単のために
とする。これを式(38)に代入すると
が得られる。これらの式は式(39)と比較して高次の項が加わっている。実際には5次以上のさらに高次の項が含まれることになる。従来法では式(41)の各式を直線で近似しているため、高次の項の影響を取り除くのは難しい。一方、本発明のフーリエ方式では高次の項の影響を分離することができるため、これまでよりも高い精度で応力を測定できることが期待できる。
以上、本発明の回折環分析方法としてフーリエ方式について説明した。
<回折環分析装置の変形例>
続いて、本発明のフーリエ方式を有効に適用可能な回折環分析装置の変形例について説明する。
図6は、本実施の形態における回折環分析装置の変形例における構成を示すブロック図である。同図の回折環分析装置は、図1に示した回折環分析装置と比べて、画像処理部16が追加されている点と、撮像部15が(a)X線ビームが通過する貫通孔を中央部に有し、回折環全体を撮像する1個の固体撮像装置、または、(b)回折環の一部、または複数の部分を撮像する複数の固体撮像素子を備えており、イメージングプレートではない点とが異なっている。これは、上記(b)の回折環の一部、または複数の部分を撮像する場合であっても、本発明のフーリエ方式では精度良く分析できる点で、本発明のフーリエ方式を有効に適用できるからである。以下、図6に示す変形例の構成について、図1に示した構成と異なる点を中心に説明する。
画像処理部16は、撮像部15により撮像された回折環を表す回折環画像を生成する。回折環画像を生成する処理は、撮像部15が(a)X線が通過する貫通孔を中央部に有し、回折環を撮像する第1の固体撮像素子、および、(b)回折環の互いに異なる部分を撮像する複数の第2の固体撮像素子の何れを有しているかによって異なる。
画像処理部16は、(b)の場合、複数の第2の固体撮像素子から得られる画素信号列から画像を形成し、さらにそれらの画像を1枚の回折環画像に合成する処理を行う。合成された回折環画像では、回折環の一部が欠落することになる。また、画像処理部16は、撮像部15から得られる画像の座標系が直交座標ある場合は極座標に変換する処理をしてもよい。また、画像処理部16は、(a)の場合、第1の固体撮像素子から得られる画素信号列から回折環画像を生成する。この回折環画像は欠落のない回折環を表すことになる。この場合、画像処理部16は、複数の画像を1枚の回折環画像に合成する処理からは解放される。
図7は、本実施の形態における回折環計測装置に動作を示すフローチャートである。
回折環計測装置10は、まずX線照射部14から計測対象物にX線ビームを照射し、同時に撮像部15により回折環を撮像する(ステップS10)。次に、画像処理部16は、撮像部15からの画素信号列から1枚の回折環画像を生成する(ステップS20)。さらに、データ処理部17は、画像処理部16により生成された回折環画像を解析する(ステップS30)。この解析ステップでは、図2に示したデータ処理すなわちフーリエ方式による回折環の分析を行う。出力部18は、データ処理部17による解析結果を出力する(ステップS40)。
4つのステップS10〜S40は、シリーズに処理してもよいし、より高速化(高フレームレート化)するためにはパイプライン処理により並列化してもよい。
続いて、撮像部15のより具体的な構成について第1〜第11の構成例について説明する。
<撮像部の第1の構成例>
第1の構成例では、撮像部15は、1チップの第1の固体撮像素子を有している。この第1の固体撮像素子は、X線が通過する貫通孔と、円形の撮像エリアを有している。
図8は、撮像部15の第1構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。同図のように撮像部15は、基台151と固体撮像素子200(第1の固体撮像素子)とを有する。
基台151は、X線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔152を中央部に有し、下面に固体撮像素子200が配置される。貫通孔152の直径は、計測対象物の結晶状態や測定面積に応じて選択すればよく、X線ビームの直径が1〜2mm程度である場合、それよりも大きければよい。図9では、貫通孔152を明確にするために大きく描いている。
固体撮像素子200は、円形の撮像エリア201と、中央部にX線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔202とを有し、計測対象物で回折したX線により形成される回折環を撮像するイメージセンサである。撮像エリア201は、撮像する回折環の直径以上のサイズを有する。たとえば、撮像部15の画素サイズが10μ位の場合は、計測対象物と撮像部15との距離は10mm程度でよい。この場合、回折環のサイズは計測対象物に依存するがおおよそ半径4〜9mm程度が多いので、撮像エリア201のサイズ(短辺または内径)は10〜20mm程度でよい。
貫通孔202の直径は、貫通孔152の直径と同じでよい。
また、計測対象物と撮像部15との距離を小さくすれば、撮像エリア201のサイズもX線の強度もより小さくすることができる。この点で、計測対象物と撮像部15との距離は、撮像部15の画素サイズや回折角の大きさ等に依存するが約30mm以下とすることが望ましい。
図10は、図9の固体撮像素子200の構成例を示すブロック図である。同図では固体撮像素子200の撮像エリア201の構成を示している。撮像エリア201は、半径R方向に電荷を転送する複数のR転送部101と、複数の光電変換部102と、円周方向に電荷を転送する1個のθ転送部103とを含む。
複数の光電変換部102は、貫通孔を中央とする極座標に沿って配置され、例えばPN接合を含むフォトダイオードより構成される。複数の光電変換部102のそれぞれの受光面積は、極座標の内側の光電変換部102の受光面積よりも大きい。たとえば光電変換部102の受光面積が半径に比例する大きさとしてもよい。
複数のR転送部101は、貫通孔を中心に放射状に形成されている。複数のR転送部101のそれぞれは、半径方向に並ぶ光電変換部102から信号電荷を一斉に受けて、半径方向の中心側に向けて信号電荷を順次転送するCCDである。
θ転送部103は、複数のR転送部101から信号電荷を一斉に受けて、θ方向(つまりθ転送部103の円周方向)に信号電荷を転送するCCDである。θ転送部103の最終段にはアンプが形成されており、このアンプはθ転送部103によりθ方向に転送される最終段の信号電荷を電圧に変換して出力する。
固体撮像素子200と、二次元状に直交配置されたフォトダイオードを備える直交CCDイメージセンサとを比較すると、複数のR転送部101は直交CCDイメージセンサの複数の垂直CCDに対応し、θ転送部103は直交CCDイメージセンサの水平CCDに対応する。
1つの固体撮像素子200により回折環の全周(つまり欠落のない完全な回折環)を撮像することができる。
第1の構成例における画像処理部16は、撮像部15から回折環の全周を表す回折環画像が得られることから、複数枚の画像を結合する処理から解放される。
第1の構成例におけるデータ処理部17は、光電変換部102が極座標に沿って配置されているため、回折環の半径を求める際に、直交座標から極座標に変換する処理が不要になり、解析処理が簡単で精度を向上させることができる。また、光電変換部102が半径に比例した受光面積を有することにより、計測対象物との距離や回折角に対する輝度の補正が容易あるいは不要になる。このように、データ処理部17の処理負荷が小さくかつ良好な精度を得ることができる。
なお、図9の光電変換部102は矩形状であるが、扇形または円弧状としてもよい。
なお、固体撮像素子200は、MOS型の固体撮像素子であってもよい。
<撮像部の第2の構成例>
第1の構成例では、第1の固体撮像素子の撮像エリアが円形である例を説明したが、第2の構成例では第1の固体撮像素子の撮像エリアが矩形である例について説明する。
図10は、第2の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。同図のように撮像部15は、基台151と固体撮像素子300(第1の固体撮像素子)とを有する。
基台151は、X線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔152を中央部に有し、下面に固体撮像素子300が配置される。
固体撮像素子300は、矩形状の撮像エリア301と、中央部にX線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔302とを有し、計測対象物で回折したX線により形成される回折環を撮像するイメージセンサである。
図11は、図10の固体撮像素子300の画素配置例を示す図である。固体撮像素子300は、二次元状に直交配置された複数の画素111を有する。ただし、画素111は、貫通孔302の近くには配置されない。
固体撮像素子300は、たとえば、1つの半導体基板上に上半分(一点鎖線の上側)の画素111を有するCCDイメージセンサと、下半分(一点鎖線の下側)の画素111を有するCCDイメージセンサとを備える。上下2つのCCDイメージセンサの回路を対称に構成することにより、垂直転送パルス、水平転送パルス等の駆動信号を共通化することができる。上下2つのCCDイメージセンサの画素からの信号電荷の同時に読み出し可能なことから実質2倍速で読み出すことができる。
この場合、画像処理部16は、上下2つのCCDイメージセンサからの得られる2つの画像を合成することにより回折環画像を生成する。この回折環画像では欠落のない回折環の全周が表現される。
なお、図11では、1つの半導体基板上に上下2つのCCDイメージセンサを形成する構成について説明したが、左右に2つ、斜め方向に2つのCCDイメージセンサを構成してもよいし、全光電変換部をもれなく分担する複数のCCDイメージセンサを構成してもよい。また、固体撮像素子300は、CCDイメージセンサではなくMOSイメージセンサにより構成してもよい。
<撮像部の第3の構成例>
第3の構成例では、撮像部15は、複数の第2の固体撮像素子を有している。複数の第2の固体撮像素子は、X線照射部から照射されるX線を中心として、X線と直交する平面に配置される。ここでは、複数の第2の固体撮像素子が2つである例を説明する。
図12は、第3構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。同図のように撮像部15は、基台151と固体撮像素子400a、400b(2つの第2の固体撮像素子)とを有する。
基台151は、X線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔152を中央部に有し、下面に固体撮像素子400a、400bが配置される。
固体撮像素子400aは、撮像エリア401aを有する。固体撮像素子400bは、撮像エリア401bを有する。
第3の構成例では、固体撮像素子400a、400bはいずれも貫通孔を有しないので、貫通孔を有する第1の固体撮像素子よりも製造コストを低減することができる。
また、第3の構成例における画像処理部16は、2つの第2の固体撮像素子により撮像された画像を合成することにより回折環画像を生成する。この回折環画像には回折環に欠落が生じるが、データ処理部17の解析手法によっては欠落を十分に許容できる。
<撮像部の第4の構成例>
第3の構成例では、複数の第2の固体撮像素子が2つの例を説明したが、4つの例を説明する。
図13は、第4の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。同図のように撮像部15は、基台151と固体撮像素子500a〜500d(4つの第2の固体撮像素子)とを有する。
基台151は、X線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔152を中央部に有し、下面に固体撮像素子500a〜500dが配置される。
固体撮像素子500aは、撮像エリア501aを有する。固体撮像素子500b〜500dも、同様に撮像エリア501b〜501dをそれぞれ有する。
第4の構成例では、固体撮像素子500a〜500dはいずれも貫通孔を有しないので、貫通孔を有する第1の固体撮像素子よりも製造コストを低減することができる。
また、第4の構成例における画像処理部16は、4つの第2の固体撮像素子により撮像された画像を合成することにより回折環画像を生成する。この回折環画像には回折環に欠落が生じるが、データ処理部17の解析手法によっては欠落を十分に許容できる。
<撮像部の第5の構成例>
第4の構成例では、複数の第2の固体撮像素子が4つの例を説明したが、第5の構成例では10個の例を説明する。
図14は、第5の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。同図のように撮像部15は、基台151と固体撮像素子600a〜600j(10個の第2の固体撮像素子)とを有する。
基台151は、X線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔152を中央部に有し、下面に固体撮像素子600a〜600jが配置される。
固体撮像素子600aは、撮像エリア601aを有する。固体撮像素子600b〜600jも、同様に撮像エリア601b〜601jをそれぞれ有する。
また、第5の構成例における画像処理部16は、10個の第2の固体撮像素子により撮像された画像を合成することにより回折環画像を生成する。
<撮像部の第6の構成例>
第5の構成例では、複数の第2の固体撮像素子が10の例を説明したが、第6の構成例では12個の例を説明する。
図15は、第6の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。同図のように撮像部15は、基台151と固体撮像素子700a〜700l(12個の第2の固体撮像素子)とを有する。
基台151は、X線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔152を中央部に有し、下面に固体撮像素子700a〜700lが配置される。
固体撮像素子700aは、撮像エリア701aを有する。固体撮像素子700b〜700lも、同様に撮像エリア701b〜701lをそれぞれ有する。
また、第6の構成例における画像処理部16は、12個の第2の固体撮像素子により撮像された画像を合成することにより回折環画像を生成する。
<撮像部の第7の構成例>
第7の構成例では、撮像部15が複数の第2の固体撮像素子を有し、かつ、複数の第2の固体撮像素子のそれぞれが、貫通孔を中心とする扇形から扇央を含む扇形部分を除外した形状をもつ撮像エリアを有している。また、複数の第2の固体撮像素子は、貫通孔を中央とする極座標に沿って配置された複数の光電変換部を有する。さらに、複数の光電変換部のそれぞれの受光面積は、極座標の内側の光電変換部の受光面積よりも大きくなっている。
図16Aは、第7の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。同図のように撮像部15は、基台151と固体撮像素子800a〜800d(4つ第2の固体撮像素子)とを有する。
基台151は、X線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔152を中央部に有し、下面に固体撮像素子800a〜800dが配置される。
固体撮像素子800aは、撮像エリア801aを有する。固体撮像素子800b〜800dも、同様に撮像エリア801b〜801dをそれぞれ有する。
撮像エリア801aは、貫通孔を中心とする扇形から扇央を含む扇形部分を除外した形状を有し、貫通孔を中央とする極座標に沿って配置された複数の光電変換部を有する。撮像エリア801aは、図9に示した極座標のCCDイメージセンサのうちほぼ1/4(ほぼ90度)に相当する部分と同じ回路構成を有する。撮像エリア801b〜801dも同様である。たとえば、固体撮像素子800a〜800dの配置には隙間があるので、撮像エリア801aは図9に示したCCDイメージセンサの1/4(90度)よりも少し小さくなる。
画像処理部16は、複数の第2の固体撮像素子により撮像された画像から回折環画像を生成する。
第7の構成例では、回折環画像には回折環に欠落が生じるものの、極座標なので第1の構成例と同様の効果が得られ、しかも、第1の構成例よりもコストを低減することができる。
なお、図16Aに示した固体撮像素子800a〜800dの外形は矩形であるが、図16Bのような形状および配置にしてもよい。図16Bでは、固体撮像素子810a〜810dの扇央部分に該当する一部分を扇状に切り欠いた外形になっている。こうすれば、固体撮像素子810a〜810d間の配置の隙間を0にすることが、または小さくすることができる。図16Bの撮像エリア811a〜811dにより撮像される回折環の欠落は、図16Aと比べてより少なくすることができる。
なお図16Bの切欠きは、扇状でなくてもよく、斜め45度でもよい。
<撮像部の第8の構成例>
第8の構成例では、複数の第2の固体撮像素子は5つ以上のラインセンサである例を説明する。5つ以上のラインセンサは貫通孔を中心に放射状に配置される。また、画像処理部は、5つ以上のラインセンサにより撮像された画像から回折環画像を形成する。
図17は、第8の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。同図のように撮像部15は、基台151と16本のラインセンサ900a〜900pとを有する。
基台151は、X線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔152を中央部に有し、下面に16本のラインセンサ900a〜900pが放射状に配置される。
ラインセンサ900aは、直線状に並ぶ複数の光電変換部(フォトダイオード)を有する。複数の光電変換部のそれぞれの受光面積は、放射状の内側の光電変換部の受光面積よりも大きく形成されている。たとえば光電変換部の受光面積が半径に比例する大きさとしてもよい。ラインセンサ900b〜900pも同様である。
第7の構成例では、回折環画像には回折環に欠落が生じるものの、第1の構成例と同様の効果が得られ、しかも、第1の構成例よりもコストを低減することができる。
<撮像部の第9の構成例>
第8の構成例では、複数の第2の固体撮像素子が16本のラインセンサである例を説明したが、第9の構成例では、複数の第2の固体撮像素子が32本のラインセンサである例を説明する。
図18は、第8の構成例における撮像部の(a)側面図および(b)下面図である。同図のように撮像部15は、基台151と16本のラインセンサ901〜932とを有する。
基台151は、X線照射部14からのX線ビームを通過させる貫通孔152を中央部に有し、下面に32本のラインセンサ901〜932が放射状に配置される。
ラインセンサ901は、例えば、直線状に並ぶ複数の光電変換部(フォトダイオード)と、それと並列に配置されたCCDとを有するCCDリニアイメージセンサである。
複数の光電変換部のそれぞれの受光面積は、放射状の内側の光電変換部の受光面積よりも大きく形成されている。たとえば光電変換部の受光面積が半径に比例する大きさとしてもよい。ラインセンサ902〜932も同様である。
なお、ラインセンサ901〜932は、CCDリニアイメージセンサに限らずMOSリニアイメージセンサで構成してもよい。
第9の構成例では、回折環画像には回折環に欠落が生じるものの、第1の構成例と同様の効果が得られ、しかも、第1の構成例よりもコストを低減することができる。
<撮像部の第10の構成例>
第10の構成例では、第8の構成例におけるラインセンサの基台への取り付け角度に傾きを持たせる例について説明する。
図19は、第10の構成例における撮像部の(a)断面図および(b)下面図である。同図の(a)は、同図の(b)のA−A線で垂直に切った断面図である。同図のように基台152は、円錐状の内面形状を下面にもち、X線照射部から照射されるX線を通過させる貫通孔を円錐形状の頂点部分に有している。
第10の構成例は、第8の構成例と比較して、計測対象物からの回折X線と、ラインセンサとの角度を90度に近づけるので、回折環画像の精度を向上させることができる。
<撮像部の第11の構成例>
第10の構成例では16本のラインセンサを有する例を説明したが、第11の構成例では32本のラインセンサを有する例について説明する。
図20は、第11の構成例における撮像部の(a)断面図および(b)下面図である。同図の(a)は、同図の(b)のA−A線で垂直に切った断面図である。同図のように基台152は、円錐状の内面形状を下面にもち、X線照射部から照射されるX線を通過させる貫通孔を円錐形状の頂点部分に有している。
第11の構成例は、第10の構成例と比較して、回折環画像の精度をより向上させることができる。
なお、第10および第11の構成例においてラインセンサの傾き(円錐形状の下面の傾き)は、回折環が出現する方向、計測対象物の種類等に応じて設定すればよい。また、基台152は、下面の傾きを任意に設定可能な機構を備えてもよい。たとえば、X線照射管を軸としてラインセンサを骨に対応させた傘のような構成としてもよい。この場合の傘の骨およびラインセンサは直線状であってもよいし、球の内面に沿う曲線状であってもよい。また、図8〜図20に示した第1または第2の固体撮像素子の形状は、円錐形状の内面あるいは球の内面に沿う形状としてもよい。
なお、図19または図20においてラインセンサの本数は、2本以上であればよく、回折環として取り扱うためにより望ましくは5本以上であればよい。
また、撮像部15は取り外し可能な構成としてもよい。例えば(a)X線ビームが通過する貫通孔を中央部に有し、回折環を撮像する第1の固体撮像素子、および、(b)回折環の互いに異なる部分を撮像する複数の第2の固体撮像素子の何れか一方ではなく、両方を備え、選択あるいは交換可能な構成としてもよい。また、上記の第1〜第11の構成例の2つ以上の撮像部を備え、選択あるいは交換可能な構成としてもよい。
以上説明してきた回折環分析装置の変形例によれば、貫通孔をもつ第1の固体撮像素子、または、複数の第2の固体撮像素子により回折環を撮像するので、回折環の撮像から解析までをリアルタイムに行うことできる。さらに、回折環の一部が欠落している場合であっても、本発明のフーリエ方式により正確に分析することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2におけるX線回折分析法および装置について説明する。
まず、従来技術および実施の形態1における望ましい改善点について説明する。
実施の形態1におけるX線回折分析法(回折環分析方法)は、円環状の回折環(デバイ環)の情報を全周分活用して被測定物のひずみ、応力を求める方法を開示している。また従来はX線回折によるデバイ環の取得は非特許文献2で開示され、非特許文献1で発展されたイメージングプレート(IP)による方法が一般的であったが、実施の形態1における固体撮像素子(CCD、MOSセンサーなど)を利用した方法では分析装置(回折環計測装置)の構成が簡便になり、かつ測定が高速に行えることが期待される。
しかしX線回折環を利用した応力、ひずみの測定を精度良く行うにはX線の照射方向から回折像を撮影する必要があり(図30)、どうしても回折像の撮像素子の中心に穴を開ける必要がある。これは写真フィルムやIPのような撮像素子では問題にならなかったが、固体撮像素子で実現するには新規に固体撮像素子を設計したり、製作した固体撮像素子の中央に穴を開けたりするなどの特殊な作業が必要となり、開発・製作コストの増大を招く。一方、一般的な矩形の固体撮像素子をX線ビームを中心として並べる方式(例えば図12、図13等)ではどうしても固体撮像素子同士の間に隙間ができてしまうが、その状態で取得したデータにそのまま非特許文献1、非特許文献2や特許文献1の解析方法を適用したのでは得られる応力値に誤差が生じる。
以上のことから、固体撮像素子を利用してより低コストのX線ひずみ、応力分析装置を実現するためには隙間の空いた固体撮像素子から得られた、一部の欠けている回折環から正確に応力を分析する方法が必要である。
実施の形態1における回折環分析装置および方法に対して本実施の形態では、以下の点の改善を図っている。
この点で、実施の形態1では回折環を利用した従来方式の応力・ひずみ解析方法(cosα法)では回折環の一部または複数部分が欠けていると応力・ひずみの計算が全くできないか、計算できても誤差が大きくなることを指摘した。また実施の形態1の解析方法を利用すればそのような場合でも応力・ひずみを精度良く計算できる可能性を示唆した。
回折環の一部、または複数部分が欠けてしまう場合として第一に被測定物そのものの性質が原因の場合が考えられる。その例としては非特許文献3のように結晶粒が粗大である場合があげられる。非特許文献3ではそのような場合の対策として、被測定物を少しずつ平行移動しながら測定を行う、試料平面揺動法を提案しているが、この方法では機械的に試料を移動させる機構が必要となり、測定装置が大掛かりになってしまう。また通常のX線単一照射の場合と比較して測定時間が長くなってしまう。
回折環の一部、または複数部分が欠けてしまう第二の場合として、図12、図13等のように、固体撮像素子(CCD、MOSセンサーなど)で回折環を撮像する場合がある。従来はイメージングプレート(IP)による撮像が一般的であったが、IPの場合には撮像の後でレーザー光を照射して読み取る必要が有るため、そのための光学系とIPを回転させる機構が必要であり、コストと測定時間の両面で不利である。一方固体撮像素子を利用すると読み取り時間の短縮と読み取り機構の簡略化が可能である。しかしX線による応力・ひずみの測定では固体撮像素子の中央に穴を開ける必要があり(図30)、コスト的に不利である。そこで一般的な矩形の固体撮像素子を何枚か並べて回折環の読み取りをする方式(例えば、図12、図13等)が考えられるが、その場合、どうしても固体撮像素子同士の間に撮像できない部分ができてしまい、回折環が不完全になる。
以上説明した改善すべき点について、実施の形態2では、回折環の一部または複数部分が欠けている場合でも正確に応力・ひずみを計算する方法を説明する。
(実施の形態2の概要)
次に、実施の形態2の概要について説明する。
実施の形態1は回折環の変形を中心角αの関数としてε(α)とする場合、ε(α)のフーリエ級数の係数(以下フーリエ係数)と応力・ひずみに対応関係があることを開示した。従って回折環の一部または複数部分が欠けている場合でもフーリエ係数が精度良く推定できれば応力・ひずみを精度良く求めることができる。
また一般にε(α)をフーリエ級数に展開した場合にはα の係数が小さい項、特にcosα、sin α 、cos 2α、sin 2αの4項に応力・ひずみの情報が集中して含まれていて、αの係数が大きい項は係数が0とみなせる場合が多い。従って観測点の数に合わせてフーリエ級数を適当な項で打ち切ることにより精度の良い近似が可能になる。
具体的にはε(α)を回折環上の2k点または2k+1点で測定した場合、フーリエ級数展開で
の2k個または2k+1個の係数を決定可能である。一方、被測定物で平面応力状態が成り立っている場合、実施の形態1からsin 2αの項の係数(a4)までフーリエ係数が決定すれば応力を完全に決定することができる。従って一部または複数部分が欠けている回折環でも最低5点でε(α)を測定すれば応力を決定することができる。
すなわち、本実施の形態における回折環分析方法は、回折する性質をもつビームを計測対象物の特定部分に照射し、特定部分から反射される回折ビームにより形成される回折環の変形を測定し、測定結果を、フーリエ級数又は同等の直交級数に変換するフーリエ変換を行うことにより回折環を分析する。ここで、上記の測定において、測定点数を決定し、上記の分析において、測定点数に見合った項数のフーリエ級数で回折環を近似し、計測対象物の応力、ひずみを求めるようにしてもよい。
また、上記の分析において、回折環の変形をフーリエ級数による行列として表記し、その逆行列を利用してフーリエ級数の係数(以下フーリエ係数とする)、計測対象物の応力、ひずみ状態を分析してもよい。
ここで、上記の分析において、回折環の一部または複数部分が欠けている場合に、回折環を表現する行列のうち、欠けている部分の角度に対応する行を取り去り、同じ数だけ応力・ひずみ測定に影響の小さい列を取り去った行列を作り、その逆行列を利用してフーリエ係数、応力、ひずみを計算するようにしてもよい。影響の小さい列というのは、取り去らない他の列よりも影響の小さい列をいう。また、取り去る列の数は取り去った行の数と同じでなくてもよい。
以上のフーリエ級数決定法を一般化して、回折環上の任意の点数の測定データからε(α)の係数を決定する具体的な計算方法を開示し、合わせてその場合の計算精度の見積もり方法も開示する。
実施の形態2の回折環分析方法によれば、次のような効果がある。すなわち、被測定物の性質で回折環に欠落がある場合でも応力・ひずみを分析し、かつ精度を向上させることができる。また汎用の固体撮像素子などを隙間のある状態で配置して撮像した回折環からも応力・ひずみを精度良く求めることが可能になる。これによってX線回折による応力・ひずみの分析装置を現在よりも柔軟に構成することが可能になり、低価格化、測定時間の短縮が実現できる。
また本実施の形態で開示する計算方法によれば、回折環が欠けた状態から計算したフーリエ係数の誤差を、完全な回折環の場合と比較して計算することができるため、最終的に求めた応力・ひずみの信頼性を評価することが可能になる。
(実施の形態2の詳細)
本実施の形態における回折環分析装置の構成は、実施の形態1と同様であり、また、第1〜第11の構成例のそれぞれに対して適用可能である。よって、回折環分析装置の構成については繰り返しの説明を避けて、主に回折環分析方法について詳細に説明する。
<デバイ環の行列表示>
本実施の形態では、まず実施の形態1で開示されたデバイ環のフーリエ級数展開の派生として行列表示を導入する。この表示自体、デバイ環からの応力計算方法として利用可能である。
いまデバイ環の変形ε(α)のフーリエ級数が
で表わされるものとする。このε(α)を中心角α1…αnのn個の測定点で測定する場合
である。ただし円周を等間隔に分割する場合、α1=0、α2=2π/n、…、αn=2π(n-1)/n (単位はラジアン)である。式(2.4)は図21のような n×n行列Mを用いて
と表すことができる。ただしεおよびxは
で表わされるn次元のベクトルである。式(2.5)が本実施の形態で導入するデバイ環の行列表示である。フーリエ級数が直交基底であることからMには逆行列が存在し、xを
のように求めることができるが通常はより高速に計算できる高速フーリエ変換(FFT)を用いる。これにより式(2.3)の最初のn個の係数を決定し、被測定物の応力・ひずみを求めることができる。
<欠けているデバイ環の再現>
次に回折環が欠けている場合を説明する。回折環のk箇所{αi1,αi2,・・・,αik}(k<n)の測定値が得られなかったものとする。このときεから{εi1,εi2,・・・,εik}を取り除いたn−k次元のベクトルε′、行列Mの{i1,i2,・・・,ik}行を取り除いた(n−k)行n列の行列Mを考えると
である。行列Mの逆行列は存在しないので式(2.7) を逆行列で解くことはできない。
式(2.7) を解くためにx について仮定を置く。理想的な平面応力状態の試料の回折環ではx=0(k>5)であり、多くの場合にkは5より十分大きくてxは0とみなせるはずである。
したがってm次元のベクトル
を導入すると
と表すことができる。ただし、行列Mは行列M1のm+1列目以降を取り除いた(n−k)行m列の行列(m≦n−k) である。行列Mの逆行列は存在しないが擬似逆行列(つまり一般逆行列)M を用いると
からx′が得られ、試料の応力を推定することができる。例えばx2=a1であることを用いると、式(21)から
のように試料長手方向の応力σx を求めることができる。ここでE、νはX線的ヤング率、ポアソン比で、ηおよびΨ0 は測定系により定まる角度である。
<実験>
本実施の形態における回折環分析方法を検証するために回折環像を撮影するイメージングプレート(IP) の前に置いて回折環を欠けさせるマスクを作成し、応力の測定実験を行った。使用した試料はProto社のα−Fe の応力試験片で、詳細は図22の通りである。なお同図中のX-ray elastic constantはX線的ヤング率Eとポアソン比νを用いて
で表わされる。試料の応力_x の定格値は
で、Rigaku MSF−3 とCr−Kαを用いた測定で同様の値が得られた。
次に図22で用いた試料の応力を実施の形態1の方式で測定した。測定に使用した装置はパルステック社のμ−X360で、測定に使用した特性X 線はCr−Kαである。回折環像の解像度は円周方向が0.72°で、動径方向が50μmである。この回折環像よりε(α)を10−4 程度の精度で決定している。またΨ(図30を参照)については、Ψ = 45°とした。また一部が欠けた回折環を作るため、厚紙でマスクを作りIP の直前に置いた。0.35mm 厚の厚紙を2枚重ねたところ回折X 線を完全に遮断することができた。実際に使用したマスクを図23に示す。例えば、Mask Bは図12に対応する。何れのマスクも実施の形態1における、複数の固体撮像素子を備える回折環分析装置の構成等による測定を模写するために使用される。各マスクを用いた測定で150秒の露光を10回ずつ行ない、平均値と標準偏差を求めた。マスク無しの場合と、マスクで回折を遮った場合の回折環像を図24に示す。またそれぞれのマスクについて、データ解析に利用したαの範囲は図25の通りである。
最初に完全な回折環像から図22の値を用い、実施の形態1の回折環分析方法に従ってσx を求めたところ
であった。この結果は式(2.10) の定格値と同等である。
次にこの完全な回折環像からmask Aの回折環像と同じ形になるよう、データを取り除いてε´を模擬し、mの値を変えながら式(2.8) よりx′ を求めた。それより得られたσx と完全な回折環から求めたσx との比較例を図26に示す。この例ではm=5のときに両者の差が最も小さくなる。
他の測定データについても傾向は同じで、m=5の時に完全な回折環像から求めた値に最も近い応力値が得られた。他のマスク形状についても同じ傾向が見られたので、以下では特に断らない限りm=5 として求めた応力値で議論を進める。なお、図26では1回の測定によるσx を見ているため、式(2.11) の平均値とは違う値を取る。
以上の処理をそれぞれのマスクの測定データに対してほどこした結果を図27に示す。同図中のμ−X360の列は、μ−X360付属ソフトウェアの表示値で、これはcos α法で応力値を計算しているが、回折環の一部が欠けている場合には一般的な補完法でデータを補っている。本実施の形態の方式(Proposed technique の列)の応力値はm=5として式(2.2) および(2.9) から計算した。また同図中の“Specification” は応力標準の公称値を、“No Mask” は回折環が完全だった場合の解析値を示している。
μ-X360付属のソフトウェアによる応力値は回折環の一部が欠けている場合には誤差を考慮しても公称値、あるいは“No mask” の値と一致しない。一方、提案方式では“Mask A” の値がわずかに公称値より小さいが、それ以外では公称値あるいは回折環が完全な場合と同等である。μ−X360付属のソフトウェアによる応力と提案方式を比較すると、いずれの場合でも本実施の形態の方式の方がより公称値に近い値が得られた。
<まとめ>
本実施の形態では、回折環のひずみのフーリエ級数展開を利用して、回折環の一部が欠けている場合の応力の推定方法を開示した。すなわち、本実施の形態における回折環分析方法は、回折する性質をもつビームを計測対象物の特定部分に照射し、特定部分から反射される回折ビームにより形成される回折環の変形を測定し、測定結果を、フーリエ級数又は同等の直交級数に変換するフーリエ変換を行うことにより回折環を分析する。このとき、上記の測定において、測定点数を決定し、上記の分析において、測定点数に見合った項数のフーリエ級数で回折環を近似し、計測対象物の応力、ひずみを求める。上記の分析において、回折環の一部または複数部分が欠けている場合に、回折環を表現する行列のうち、欠けている部分の角度に対応する行を取り去り、同じ数だけ応力・ひずみ測定に影響の小さい列を取り去った行列を作り、その擬似逆行列(つまり一般化逆行列)を利用してフーリエ係数、応力、ひずみを計算する。なお、取り去る列の数は、取り去った行の数と同じ数でなくてもよい。同じ数であればこの擬似行列は正方行列になり、同じ数でなければ正方行列にならない。つまり、この擬似逆行列は正方行列でなくてもよい。
また応力試験片で実際に一部が欠けている回折環像を撮像し、実施の形態2の回折環分析方法を適用して長手方向の応力σx を求めた。その結果多くの場合で適正な応力値を推定することができ、単純な補間法とcos α法の組み合わせによる推定より良好な結果を得ることができた。
<単純な例>
本実施の形態における回折環分析方法の理解を容易にするため、単純な例で計算方法を説明する。まず、回折環の測定における測定点数の例を図28に示す。図28は回折環をα=0、π/4、π/2、3π/4、π、5π/4、3π/2、7π/4の8点で測定する場合の説明図である。同図は、回折環をn=8に分割してε(α)を測定する場合を示している。
つぎに、測定点数n=16とし、回折環を16に分割してε(α) を測定する場合を考える。測定点を等間隔に取るとすると
である。ただし単位はラジアンである。これより式(2.4) の行列Mは
の16×16行列になる。また
とすると
である。同様にεは
である。ただし測定の丸め誤差を模擬するためにεの値は小数点以下3桁に丸めた。
式(2.15)、(2.16)、(2.17) のM、x、εは式(2.5) を満たすから、式(2.6) より
のようにx を推定することができる。この結果は式(2.16) の初期設定をよく再現している。
次に回折環の一部が欠けている場合を考える。
回折環のひずみは円周角αの関数としてε(α)と表されるが、いま回折環の一部が欠けている場合を窓関数h(α)を用いて、
のように表す。ただし、h(α)は、
で定義し、回折環が測定できなかった場合はε'(α)=0であるものとする。
いま窓関数を
とするとεのうち(1,2,3,4,5,13,14,15,16)番目の要素が欠けることになる。これよりε´は
であり式(2.7) のM1は
の7×16行列になる。ただしM1の要素mi,j の値は式(2.15) で定義されているとおりである。M1の逆行列は存在しないが、8列目以降を取り除いた7×7の対称行列M2
には逆行列が存在し、これからxの最初の7要素x′を求めると
となる。式(2.21) と(2.16) および(2.18) を比較すると、(2.21) の精度が悪化している(xで約30%) ことがわかる。これはMの最小の固有値の絶対値が約3 であるのに対し、M2の最小の固有値の絶対値が0.01と非常に小さい事から計算誤差が大きくなったためである。
精度が悪化した原因の一つに、式(2.21) ではxを7項まで評価していることがあげられる。すなわち
で回折環を近似していることになる。一方、実施の形態1によればxの最初の5項が評価できれば平面応力状態を再現できるのでM2の最初の5列を取り出した7×5行列
を用いれば良い。
M3の逆行列は存在しないが擬似逆行列(一般逆行列)を用いれば式(2.8) からx′を推定することができる。以下ではその方法を説明する。M3は
のように特異値分解することができる。W、Vはそれぞれ7×7、5×5 の対称行列でW=W−1、V=V−1を満たす。またSはM3の特異値(k,k,k,k,k)(k≧k≧k≧k≧k)を用いて
で表わされる7×5行列である。以上のW、VおよびSを用いるとM3の擬似逆行列(一般逆行列)は
で求められる。ただしS−1
で表わされる5×7行列である。式(2.22) に従って実際に擬似逆行列を求め、式(2.8) に代入すると
のようにx の最初の5項を推定することができる。この推定値は明らかに式(2.21) よりも初期設定値式(2.16)) に近い。
以上の結果をまとめたの図29である。これは式(2.17)、(2.20)のε、ε′からのx〜xの推定値を示している。一段目が完全な回折環からの推定値で、式(2.16) の初期設定値を再現している。一方、二段目以降は一部が欠けた回折環からの推定値で、二段目はM2の逆行列を用いた推定値を、三段目はx に厳しい仮定を置いたM3の一般逆行列(つまり擬似逆行列)からの推定値である。同図から明らかなように一般逆行列による推定の方がより良い結果が得られている。
以上説明してきたように、実施の形態2の回折環分析方法によれば、被測定物の性質で回折環に欠落がある場合でも応力・ひずみを分析し、かつ精度を向上させることができる。また汎用の固体撮像素子などを隙間のある状態で配置して撮像した回折環からも応力・ひずみを精度良く求めることが可能になる。これによってX線回折による応力・ひずみの分析装置を現在よりも柔軟に構成することが可能になり、低価格化、測定時間の短縮が実現できる。
また本実施の形態で開示する回折環分析方法によれば、回折環が欠けた状態から計算したフーリエ係数の誤差を、完全な回折環の場合と比較して計算することができるため、最終的に求めた応力・ひずみの信頼性を評価することが可能になる。
本発明は、金属、セラミック等の工業材料の残留応力等の非破壊検査全般に有用である。またX線等を利用した非破壊検査装置や金属等の薄膜の応力分析にも有用である。
2 サンプル(計測対象物)
5、8、9 回折環
10 回折環分析装置
11 高圧電源
12 冷却部
13 制御部
14 X線照射部
15 撮像部
16 画像処理部
19 測定対象物
101 R転送部
102 光電変換部
111 画素
151、155 基台
152 貫通孔
200、300 固体撮像素子
201 撮像エリア
202 貫通孔
302 貫通孔
303 θ転送部
300、400a、400b、500a〜500d、600a〜600j 固体撮像素子
700a〜700l、800a〜800d、810a〜810d 固体撮像素子
301、401a、401b、501a〜501d、601a〜601j 撮像エリア
701a〜701l、801a〜801d、811a〜811d 撮像エリア
900a〜900p、901〜932 ラインセンサ

Claims (11)

  1. 結晶で回折する性質をもつビームとしてのX線または中性子線を計測対象物の特定部分に照射し、
    前記特定部分から反射される回折ビームにより形成される回折環の変形を測定し、
    測定結果を、フーリエ級数又は同等の直交級数に変換するフーリエ変換を行い、前記フーリエ変換の結果から、前記特定部分の応力およびひずみの少なくとも一方を算出することにより回折環を分析する
    回折環分析方法。
  2. 前記回折環の分析において、前記フーリエ級数の係数の他に、ヤング率、ポアソン比、回折角の余角、および前記計測対象物表面に対する法線と入射ビームとのなす角を用いた演算を施すことにより前記応力または前記ひずみの少なくとも一方を算出する
    請求項記載の回折環分析方法。
  3. さらに、前記回折環の一部に欠落部分がある場合、実測された回折環と欠落部分の中心角αの情報から数学的性質を用いて欠落のない場合の回折環のフーリエ級数を推定する
    請求項1または2に記載の回折環分析方法。
  4. 前記回折環の分析において、前記フーリエ変換の結果得られたフーリエ級数のうち少なくとも1次の係数および2次の係数のいずれか1つを利用する
    請求項1から請求項の何れかに記載の回折環分析方法。
  5. 前記回折環の分析において、前記フーリエ級数の1次および2次の係数をa1、b1、a2、b2とする時、前記計測対象物の応力を平面応力であると仮定して、x軸、y軸方向の応力σx、σyをそれぞれ
    を(1)式により算出し、剪断応力τxyを
    の(2)式の少なくとも一方の式で算出し,
    は前記フーリエ級数の1次の係数のうちcosαの係数、aは前記フーリエ級数の2次の係数のうちsin2αの係数、bは前記フーリエ級数の1次の係数のうちsinαの係数、bは前記フーリエ級数の2次の係数のうちcos2αの係数、αは前記回折環の中心角、Eはヤング率、νはポアソン比、ηは回折角の余角、ψは前記計測対象物の表面の法線と入射X線ビームとのなす角を表す
    請求項1から請求項の何れかに記載の回折環分析方法。
  6. 前記測定において、測定点数を決定し、
    前記分析において、前記測定点数に見合った項数のフーリエ級数で回折環を近似し、計測対象物の応力、ひずみを求める
    請求項1に記載の回折環分析方法。
  7. 前記分析において、回折環の変形をフーリエ級数による行列として表記し、その逆行列を利用してフーリエ級数の係数(以下フーリエ係数とする)、計測対象物の応力、ひずみ状態を分析する
    請求項1またはに記載の回折環分析方法。
  8. 前記分析において、回折環の一部または複数部分が欠けている場合に、回折環を表現する行列のうち、欠けている部分の角度に対応する行を取り去り、応力・ひずみ測定に影響の小さい列を取り去った行列を作り、その擬似逆行列を利用してフーリエ係数、応力、ひずみを計算する
    請求項に記載の回折環分析方法。
  9. 結晶で回折する性質をもつビームとしてのX線または中性子線を計測対象物の特定部分に照射するビーム照射部と、
    前記特定部分から反射される回折ビームを撮像し、撮像面に回折環を形成させる撮像部と、
    前記撮像部で得られた測定結果をフーリエ変換することにより、前記特定部分の応力又はひずみの少なくとも一方を算出するデータ処理部を備えた
    回折環分析装置。
  10. 前記撮像部が、半導体を利用した固体X線撮像素子またはイメージングプレートである請求項9に記載の回折環分析装置。
  11. 前記撮像部は、2枚の固体撮像素子を有し、回折環の上下を前記2枚の固体撮像素子の間の空隙に前記ビームを通すよう配置される
    請求項または10に記載の回折環分析装置。
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