JP6478189B2 - 応力解析装置、方法およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、回折X線の測定結果を用いて試料の残留応力を算出する応力解析装置、方法およびプログラムに関する。
X線の単一入射による応力解析法としてcosα法が知られている。cosα法は、次に説明する原理で、2次元検出器で得られた単一のX線回折画像から2軸応力を解析する場合に用いられる。
各記号を以下のように定義すると、デバイ‐シェラー(Debye-Scherrer)環のαの位置で観測される試料の垂直歪ε(α)は、装置座標軸上の垂直歪ε11、ε22、剪断歪ε12を用いて式(1)として表される。すなわち応力場が2軸であるとき、2次元検出器上では式(1)の関係が成り立つ。
ψ0:試料面法線と入射X線のなす角度
α:入射X線に対して垂直に配置した2次元検出器上でのデバイ‐シェラー環の周回角
α:入射X線と回折X線のなす角度、回折角度2θ α と2ηα=π-2θαの関係がある
α:デバイ‐シェラー環のαの位置での回折角度
Figure 0006478189
ここで、2つの値εα1、εα2を以下のように定義する。
Figure 0006478189
Figure 0006478189
αあるいはηαがαに対して不変であるとすると、次の関係が得られる。
Figure 0006478189
式(4)に基づいて、εα1、εα2のcosα、sinαに対するプロットを直線で近似すればその傾きからそれぞれσ11、σ12が得られる。この方法がcosα法である。
cosα法については、例えば非特許文献1において、繊維強化Ti合金のシンクロトロンX線による測定結果から局所的な応力を求める方法として開示されている。非特許文献1によれば、cosα法で算出された圧縮応力分布から得られるひび割れ開口の応力が、測定された開口応力と一致することが確認されている。
また、非特許文献2では、応力と歪みの式に拡張項の考え方を適用することについても記載されている。非特許文献2には、擬静圧応力項(pseudo hydrostatic strain component)のεphを拡張項(dilatation term)として式に追加することが記載されている。そして、この拡張項により、応力がゼロのときの正確な格子定数が分からなくても応力値を計算できることが主張されている。
K.TANAKA, Y.AKINIWA, "Diffraction Measurements of Residual Macrostressand Microstress Using X-Rays, Synchrotron and Neutrons", JSME International Journal. Series A, v.47, n. 3, Jul, 2004, p.252-263 Baoping Bob He, Kingsley L. Smith, Strain and Stress Measurements with a Two-Dimensional Detector, JCPDS-International Centre for Diffraction Data 1999, P505
上記のようにcosα法では、近似直線の定数項を独立変数にすることでd0の誤差に起因する大きな誤差は排除される。しかし、本来αの関数である2θαあるいはηαをαに対して不変であるという仮定で解析するため、厳密にデバイ‐シェラー環に合った散乱ベクトルを考慮しておらず計算結果にはこの仮定に起因する誤差が含まれる。
また、試料の結晶粒径が粗大である場合に、一部が欠けて生じたデバイ‐シェラー環を解析対象としなければならなくなり、cosα法を適用できなくなる。一方、cosα法のような近似をせずに一般式を用いた解析方法も考えられるが、そのままでは解くことができず、誤差を含んだ結晶格子面間隔の値を用いると計算結果にも誤差が含まれてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、散乱ベクトルを考慮し誤差項を導入して繰り返し解を改良することで応力値の精度を高めることができる応力解析装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の応力解析装置は、試料の残留応力を算出する応力解析装置であって、試料の表面に垂直な方向の応力が一定のとき、誤差の項を含み応力と歪みとの関係を示す方程式を用い、複数の散乱ベクトルに対する回折X線による測定値と暫定値を用いて前記誤差を解の一つとして算出する解析部と、前記算出された誤差により前記暫定値を補正する暫定値補正部と、を備え、前記解析部および補正部は、前記誤差の算出および前記暫定値の補正を繰り返すことを特徴としている。
このように散乱ベクトルを考慮し誤差項を導入して繰り返し解を改良することで応力値の精度を高めることができる。また、結晶粒径が粗大になりデータの欠損が生じても、解析結果を得ることができる。なお、例えば、上記の誤差項は、歪みの誤差を表す項であり、暫定値は、試料に歪みが無いときの結晶格子面間隔dの暫定値であるが、誤差、暫定値はその表現によらない。
(2)また、本発明の応力解析装置は、前記暫定値補正部が、結晶格子面間隔の誤差率が正負を反転した歪みの誤差に等しいと近似して前記暫定値を補正することを特徴としている。これにより、容易に無歪み状態での結晶格子面間隔の暫定値を補正することができる。
(3)また、本発明の応力解析装置は、前記方程式に前記補正された暫定値の最終値を代入したときに得られる各応力値を解析結果として出力する出力部を更に備えることを特徴としている。このように誤差を排除して各応力値を得ることができる。
(4)また、本発明の応力解析装置は、前記解析部が、前記方程式の解を最小自乗法で算出することを特徴としている。これにより、観測方程式から容易に誤差や応力を算出することができる。
(5)また、本発明の方法は、試料の残留応力を算出する応力解析の方法であって、試料の表面に垂直な方向の応力が一定のとき、誤差の項を含み応力と歪みとの関係を示す方程式を用い、複数の散乱ベクトルに対する回折X線による測定値と暫定値を用いて前記誤差を算出するステップと、前記算出された誤差により前記暫定値を補正するステップと、を含み、前記誤差の算出および前記暫定値の補正を繰り返すことを特徴としている。このように散乱ベクトルを考慮し誤差項を導入して繰り返し解を改良することで応力値の精度を高めることができる。
(6)また、本発明のプログラムは、試料の残留応力を算出する応力解析のプログラムであって、試料の表面に垂直な方向の応力が一定のとき、誤差の項を含み応力と歪みとの関係を示す方程式を用い、複数の散乱ベクトルに対する回折X線による測定値と暫定値を用いて前記誤差を算出する処理と、前記算出された誤差により前記暫定値を補正する処理と、をコンピュータに実行させ、前記誤差の算出および前記暫定値の補正を繰り返すことを特徴としている。このように散乱ベクトルを考慮し誤差項を導入して繰り返し解を改良することで応力値の精度を高めることができる。
本発明によれば、散乱ベクトルを考慮し誤差項を導入して繰り返し解を改良することで応力値の精度を高めることができる。
本発明の応力解析システムを示す概略図である。 X線回折装置およびデバイ‐シェラー環を示す模式図である。 (a)、(b)それぞれ歪み時におけるデバイ‐シェラー環の変形を示す図、ピーク位置の変化を示すグラフである。 応力解析装置の機能的構成を示すブロック図である。 応力解析装置の動作を示すフローチャートである。 試料表面上のオイラー角φ、ψで散乱ベクトルを示す模式図である。 (a)デバイ‐シェラー環のピーク位置をプロットしたグラフ、(b)生データおよび理論値の応力値の対比を示す表である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
[応力解析システムの構成]
図1は、応力解析システム10を示す概略図である。応力解析システム10は、X線回折装置50および応力解析装置100により構成されており、X線回折装置50と応力解析装置100との間はデータの送受信が可能になっている。なお、X線回折装置50と応力解析装置100との間は通信可能に接続されていることが好ましいが、記憶媒体を用いてデータを移動させてもよい。
[X線回折装置の構成]
X線回折装置50は、X線発生部、ピンホールコリメータ53および検出部55を備えている。X線発生部は、X線を発生させ、発生させたX線をピンホールコリメータ53に向けて照射する。ピンホールコリメータ53は、照射されたX線をコリメートし、歪みがないときに等方的な構造を有する試料の表面に照射する。ピンホールコリメータ53を通じて照射されたX線は、試料Sの特定結晶格子面によって回折される。このとき、回折X線は、X線照射点を頂点とするコーン状の領域に照射される。検出部55は、例えば2次元半導体検出器であり、ピンホールコリメータ53の両側に設けられ、回折X線を検出する。
図2は、X線回折装置50およびデバイ‐シェラー環75を示す模式図である。図2に示すように、試料Sの表面にX線を照射した場合の座標系、入射X線71、回折X線73およびデバイ‐シェラー環75を示している。X線ビームを試料Sの特定部分に照射し、その回折X線により、デバイ‐シェラー環75を検出部55に結像させている。また、ψは試料Sの表面の法線と入射X線71とのなす角である。図中のx、yはそれぞれ検出器55の表面上の座標軸を示している。
図3(a)、(b)は、それぞれ歪み時におけるデバイ‐シェラー環75の変形を示す図、回折角2θプロファイルのピーク位置の変化を示すグラフである。デバイ‐シェラー環75を用いた応力測定では、X線が照射される試料の特定部分に歪みがある場合、歪みがない時の真円のデバイ‐シェラー環75aからずれた位置に、試料の歪みに応じて変形したデバイ‐シェラー環75bが生じる。同じ円周角αに対する積分範囲80の回折角2θプロファイルが、デバイ‐シェラー環75aとデバイ‐シェラー環75bとで異なっている。このデバイ‐シェラー環75bを検出部55で検出できる。そして、検出されたデバイ‐シェラー環75bに対して測定値としてdφψが得られ、計算値としてφ、ψを算出できるため、方程式を解くことで各応力値を算出できる。
図4は、応力解析装置100の機能的構成を示すブロック図である。図4に示すように、応力解析装置100は、画像蓄積部110、ピーク位置決定部120、散乱ベクトル算出部130、操作部140、定数算出部150、解析部160、暫定値補正部170、制御部180および出力部190を備え、撮影されたデバイ‐シェラー環のデータから試料の残留応力を算出する。
画像蓄積部110は、X線回折装置50で撮影され、応力解析装置100に入力されたデバイ‐シェラー環の画像データを蓄積する。ピーク位置決定部120は、ピークの強度分布等からデバイ‐シェラー環の各αに対するピーク位置となる2θを決定する。散乱ベクトル算出部130は、αに対する各ピーク位置2θに対応する散乱ベクトルとしてオイラー角φ、ψを算出する。
操作部140は、例えばキーボード、タッチパネル等であり、ユーザの入力を受け付ける。ユーザは、操作部140により後述のループ処理の終了条件、暫定値の初期値、試料の特性値等を入力できる。定数算出部150は、試料の材質から決まるヤング率やポアソン比を用いて、後述の式(5)における定数S、Sを算出する。
解析部160は、試料Sの表面に垂直な方向の応力が一定のとき、誤差の項を含み応力と歪みとの関係を示す方程式を用い、複数の散乱ベクトルに対する回折X線による測定値と暫定値を用いて誤差を解の一つとして算出する。具体的には、異なるφ、ψでの回折X線を用いてdφψを測定し、それらの値から後述の式(9)を観測方程式としてσij(i,j=1,2)を求めることができる。解析部160は、観測方程式の解を例えば最小自乗法で算出することが好ましい。これにより、観測方程式から容易に誤差や応力を算出することができる。
暫定値補正部170は、算出された誤差により暫定値を補正する。暫定値補正部170は、結晶格子面間隔の誤差率が正負を反転した歪みの誤差に等しいと近似して、暫定値を補正することが好ましい。これにより、容易に結晶格子面間隔の暫定値を補正することができる。
制御部180は、所定の条件を満たすまで、解析部および補正部に誤差の算出および暫定値の補正を繰り返させる。このように散乱ベクトルを考慮し誤差項を導入して繰り返し解を改良することで応力値の精度を高めることができる。また、結晶粒径が粗大になりデータの欠損が生じても、解析結果を得ることができる。所定の条件は、例えば誤差が所定の数値より小さくなることが挙げられる。出力部190は、上記の繰り返しの処理が終り最終的に得られた方程式の解として得られた各応力値を解析結果として出力する。このように誤差を排除して各応力値を得ることができる。
[応力解析装置の動作]
上記のように構成される応力解析装置100の動作の一例を説明する。図5は、応力解析装置100の動作を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、分かりやすくするために後述の式(10)等に含まれる記号を用いている。
まず、X線回折装置50で撮影され、応力解析装置100に蓄積されたデバイ‐シェラー環の画像データを読み込む(ステップS1)。次に、画像データからデバイ‐シェラー環のピーク位置を決定し(ステップS2)、ピーク位置から散乱ベクトルφ、ψを算出し、定数S、Sおよび暫定値d0(k)を算出して、DRS(Direct Refinement Solution)法の方程式を作成する(ステップS3)。作成された方程式を解析して解を算出する(ステップS4)。
そして、誤差Δε(k)が所定の条件を満たすか否かを判定し(ステップS5)、誤差Δε(k)が条件を満たさない場合には暫定値d0(k)を補正し(ステップS6)ステップS4に戻る。誤差Δε(k)が条件を満たす場合には、応力値σij(k)を出力して(ステップS7)処理を終了する。
[原理]
次に応力を算出する原理を説明する。図6は、試料表面上のオイラー角φ、ψで散乱ベクトルを示す模式図である。装置座標系において、オイラー(Euler)角φ、ψで示される方位から見た垂直歪みεφψと、装置座標軸上での垂直応力σ11、σ22、σ33、剪断応力σ23、σ13、σ12との関係は以下のように表される。
Figure 0006478189
ここでS1、S2はX線的弾性コンプライアンスと呼ばれる定数で、ヤング率(Young’s modulus)Eとポアソン比(Poisson’s ratio)を使って以下のように表される。
Figure 0006478189
Figure 0006478189
一方、X線回折を用いれば結晶格子面間隔を測定することができる。X線の散乱ベクトルの向き、すなわち測定対象となる結晶格子面の法線の向きがφ、ψとなるように配置した光学系で測定した結晶格子面間隔をdφψ、また無歪み状態での結晶格子面間隔をd0とすると、φ、ψ方向の歪みεφψはdφψ、d0を用いて以下のように表される。
Figure 0006478189
0は材料固有の値なので、上記の(5)、(6)から、異なる6組以上のφ、ψにおいて結晶格子面間隔を測定すれば、理論上は応力σ11、σ22、σ33、およびσ23、σ13、σ12を求めることができる。
しかし、実際には、d0が結晶の状態によって容易に変化するために、全ての試料について事前に正確なd0を知ることができず、与えられたd0と式(5)をそのまま用いて応力の計算を行えば、計算結果は大きな誤差をもつ場合がある。また、7組以上のφ、ψで測定した結晶格子面間隔の値から作る、d0も変数として扱う非線形同時方程式は、解くことができない。このため従来の応力解析方法においては、そのような誤差を回避する計算手法を用いてきた。
それらの解析方法を用いればd0の誤差に起因する大きな誤差は回避することができるが、それでもなお、それぞれの解析方法で採用している、歪みと応力の関係を表すモデルに起因する誤差が残ってしまう。本実施形態として説明する応力解析方法の「DRS法」では、以下に挙げた[1]、[2]により、従来の解析方法と比較してより高い精度の計算結果を得ることができる。
[1]式(5)で示される、等方弾性体の歪みと応力の関係を最も忠実に表すモデルを直接使う。
[2]応力とd0の両方を変数とする非線型方程式を解き、d0の誤差に起因する応力計算値の誤差を完全に排除する。
DRS法では、計算精度を高めるために、等方弾性体における応力と歪の関係を最も忠実に表す式(5)を用いて応力の計算を行う。ただし、d0の誤差に起因する応力計算値の誤差を排除するために、d0を変数としてσ33以外の応力を計算する。その際、解の初期値を要求するNewton法のなどの一般的な非線形方程式の解法を用いず、次のような、問題の構造的特徴を利用したより効率的な方法を用いる。なお、上記のようにσ33を固定すればd0を変数として方程式を解くことができる理由は、後述する。
式(5)、(8)から、結晶格子面間隔に注目した以下のような方程式を立てる。ここでd0(k)は定数とするため、この方程式は線形である。またσ33は定数とする。例えば、σ33=0とする。Δε(k)は、d0の暫定値d0(k)の誤差によって生じる歪みの観測値の誤差を表す項である。
Figure 0006478189
具体的には、式(10)として表すことができる。
Figure 0006478189
これを解いて得られた応力σij(k)からはd0の誤差に起因する大きな誤差は排除されているが、もしそれが真の値に極めて近いならば、Δε(k) 0となる。そうでない場合には、d0(k)はまだ無視できない誤差を含んでおり、それを使って計算されたσij(k)も同様に誤差を含んでいる。後述の式(13)および式(14)から、Δε(k) Δ(k)であるので、以下のようにd0(k+1)を求め、それを使ってσij(k+1)、Δε(k+1)を計算すれば、σij(k+1)はより真の値に近づきΔε(k+1)はより0に近づく。この操作をΔε(k+1)が十分0に近づくまで繰り返せば、σij(k+1)は真の値に収束する。
[誤差項]
誤差を含んだ無歪み状態での結晶格子面間隔d0(k)を用いて応力を計算すれば、得られる値にも誤差が含まれる。そこで、d0(k)を式(11)のように定義し、この関係を利用してd0(k)の値を改良し、応力の計算精度を高める。
Figure 0006478189
またd0(k)とdφψから式(5)を使って計算した誤差を含む歪みεφψ(k)を式(12)のように定義する。
Figure 0006478189
式(11)(12)に基づき、 以下のように計算し、d0(k+1)を算出することができる。
Figure 0006478189
Figure 0006478189
Figure 0006478189
εφψは10-3以下の値であるから、例えばΔが10-2程度であってもΔεはεφψの数倍の値となる。そのため、このような誤差を含む歪から計算される応力の誤差もまた真の値の数倍の誤差を含むことになる。このような誤差を回避するには、σ33の値を固定し、式(10)の非線形方程式を解き、残りの応力と誤差項Δεを求め、式(15)を用いてd0(k+1)を求めることで可能となる。d0(k)よりd0に近づいたd0(k+1)を用いて方程式を解くことで応力値の精度を改良できる。
[σ33を固定すればd0を変数として方程式を解くことができる理由]
式(5)からd0も変数として誘導した以下の非線形方程式(16)は、その解の修正値を求める線形方程式で、d0の係数が、他の変数の係数の線形結合と定数の和になる。
Figure 0006478189
一方その線形方程式の係数間で、式(17)の関係がφ、ψの値に関係なく成り立つ。
Figure 0006478189
このため、解の修正値を求める線形方程式の、係数行列の列ベクトルは線形従属となり、全ての応力とd0の両方を変数とした方程式は解くことはできない。これはd0を定数とし、d0の誤差項を導入した線形方程式(12)においても同様である。しかし、σ33を定数とすれば式(17)の関係は成り立たない。したがって残りの応力とd0あるいはd0の誤差項を求めることができる。
[実施例]
(DRS法とcosα法の比較)
実際のデバイ‐シェラー環の撮影データを用いて、cosα法と本実施形態の方法(DRS法)とで、応力解析を行った。図7(a)は、円周角αおよび回折角2θの座標上に、撮影されたデバイ‐シェラー環のピーク位置および理論的なピーク位置をプロットしたグラフである。図7(b)は、生データから計算された応力値とピーク位置の理論値から再計算した応力値を対比した表である。なお、ピーク位置の理論値の計算方法は後述する。
図7(a)において、実際の測定データを使った計算の過程で得られた回折X線のピーク位置は「+」で表されている。図7(a)の「×」のマークは、応力が上記の計算値(σ11=-1757.8,σ12=-47.9,σ22=-1.3)である場合の理論的なピーク位置を示す。
図7(b)において、「生データから計算」の行は、実際の測定データを使って計算された応力値が示されている。一方、この理論的なピーク位置を使って計算した応力の値が、上記の表の「ピーク位置の理論値から再計算」の行に記載されている。
この結果から、「DRS法」では理論的なピーク位置から正確に元の応力値(σ11=-1757.8,σ12=-47.9,σ22=-1.3)が計算できているのに対し、cosα法では、(σ11=-1715.3σ12=-50.1)と、2桁程度の精度でしか応力値を計算できていないことが分かった。
(理論値の計算方法)
ピーク位置の理論値は、以下の手順[1]〜[6]で行った。
[1]DRS法で計算された無歪み状態での結晶格子面間隔d0と光学系の配置、および与えられたデバイ‐シェラー環の周回角αから、そのαにおける無歪み状態での散乱ベクトルのオイラー角φ(k)、ψ(k)を計算する。
[2]上記の計算によって得られたφ(k)、ψ(k)とd0、および与えられた応力値から、そのオイラー角において観測されるであろう結晶格子面間隔の暫定値dφψ(k)を、式(5)、(8)を用いて計算する。
[3]上記の計算によって得られたdφψ(k)から、手順[1]と同様にオイラー角の改良値φ(k+1)、ψ(k+1)を計算する。
[4]上記の計算によって得られたφ(k+1)、ψ(k+1)から、手順[2]と同様に結晶格子面間隔の改良値dφψ(k+1)を計算する。
[5]上記の手順[3]、[4]を|dφψ(k)−dφψ(k+1)|が、例えば10−8以下になるまで繰り返す。
[6]最終的に得られた結晶格子面間dφψ(k+n)から、与えられたαにおける回折角2θφψを計算する。
10 応力解析システム
50 X線回折装置
53 ピンホールコリメータ
55 検出部
75a、75b デバイ‐シェラー環
100 応力解析装置
110 画像蓄積部
120 ピーク位置決定部
130 散乱ベクトル算出部
140 操作部
150 定数算出部
160 解析部
170 暫定値補正部
180 制御部
190 出力部

Claims (5)

  1. 試料の残留応力を算出する応力解析装置であって、
    試料の表面に垂直な方向の応力が一定のとき、誤差の項を含み応力と歪みとの関係を示す方程式を用い、複数の散乱ベクトルに対する回折X線による測定値と暫定値を用いて前記誤差を解の一つとして算出する解析部と、
    前記算出された誤差により前記暫定値を補正する暫定値補正部と、を備え、
    前記解析部および補正部は、前記誤差の算出および前記暫定値の補正を繰り返し、
    前記暫定値補正部は、結晶格子面間隔の誤差率が正負を反転した歪みの誤差に等しいと近似して前記暫定値を補正することを特徴とする応力解析装置。
  2. 前記方程式に前記補正された暫定値の最終値を代入したときに得られる各応力値を解析結果として出力する出力部を更に備えることを特徴とする請求項1記載の応力解析装置。
  3. 前記解析部は、前記方程式の解を最小自乗法で算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載の応力解析装置。
  4. 試料の残留応力を算出する応力解析の方法であって、
    試料の表面に垂直な方向の応力が一定のとき、誤差の項を含み応力と歪みとの関係を示す方程式を用い、複数の散乱ベクトルに対する回折X線による測定値と暫定値を用いて前記誤差を算出するステップと、
    結晶格子面間隔の誤差率が正負を反転した歪みの誤差に等しいと近似して前記算出された誤差により前記暫定値を補正するステップと、を含み、
    前記誤差の算出および前記暫定値の補正を繰り返すことを特徴とする方法。
  5. 試料の残留応力を算出する応力解析のプログラムであって、
    試料の表面に垂直な方向の応力が一定のとき、誤差の項を含み応力と歪みとの関係を示す方程式を用い、複数の散乱ベクトルに対する回折X線による測定値と暫定値を用いて前記誤差を算出する処理と、
    結晶格子面間隔の誤差率が正負を反転した歪みの誤差に等しいと近似して前記算出された誤差により前記暫定値を補正する処理と、をコンピュータに実行させ、
    前記誤差の算出および前記暫定値の補正を繰り返すことを特徴とするプログラム。
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