以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
まず、本発明の第一実施形態に係るスクロール形流体機械4を備えた廃熱回収ランキンサイクルシステム1の構成について図1及び図2を用いて説明する。
廃熱回収ランキンサイクルシステム1は、作動媒体が水(蒸気)であり、エンジンからの排気ガス等を熱源として発電と熱供給とを並行して行う熱電併給システムである。図1に示すように、廃熱回収ランキンサイクルシステム1は、蒸気発生器2と、膨張機であるスクロール形流体機械4と、発電機11と、凝縮器12と、復水タンク14と、排気ポンプ16と、作動媒体供給ポンプ17と、制御装置19とを具備する。
蒸気発生器2は、作動媒体である水を、エンジンの排気ガス等で加熱して高温高圧の蒸気を生成する。蒸気発生器2は、作動媒体(後述の凝縮器12によって蒸気から凝縮された水)と排気との熱交換によって蒸気を生成する。蒸気発生器2は、作動媒体通路3を介してスクロール形流体機械4に接続される。蒸気発生器2において生成された蒸気は、作動媒体通路3を介してスクロール形流体機械4に供給される。なお、本実施形態において、熱源をエンジンの排気ガスとしたがこれに限定するものではない。
膨張機であるスクロール形流体機械4は、蒸気のエネルギーを回転力に変換して出力する。図2に示すように、スクロール形流体機械4は、主に固定スクロール5と、可動スクロール6と、クランク軸7とを具備する。
固定スクロール5は、膨張室Cを構成する部材である。固定スクロール5は、鏡板5aと鏡板5aの一側板面に形成される鏡板5aの中心から端部に向かう渦巻き状の仕切り板(以降、固定スクロールラップ5bという)からなる。固定スクロールラップ5bは、いわゆるインボリュート曲線に基づいて形成されている。固定スクロール5は、後述の可動スクロール6と組み合わされて膨張室Cを構成する。固定スクロール5は、クランク軸7を支持しているフレーム8に固定されている。固定スクロール5の外縁部には、蒸気排出口5cが設けられている。スクロール形流体機械4は、作動媒体通路10を介して蒸気排出口5cと後述の凝縮器12とが接続される。
可動スクロール6は、膨張室Cを構成する部材である。可動スクロール6は、鏡板6aと鏡板の一側板面に形成される渦巻き状の仕切り板(以降、可動スクロールラップ6bという)からなる。可動スクロールラップ6bは、いわゆるインボリュート曲線に基づいて形成される。可動スクロール6は、固定スクロール5と対向するように配置されている。より詳細に説明すると、可動スクロール6は、固定スクロールラップ5bの隙間に対向する可動スクロールラップ6bが挿入され、互いに組み合わされた状態で配置されている。
クランク軸7は、端部に偏心軸(以降、ピン部7aという)が形成された部材である。ピン部7aは、クランク軸7対して偏心しているため、クランク軸7の外周を公転するように構成される。クランク軸7は、フレーム8によって回転自在に支持される。ピン部7aは、軸受部9を介して可動スクロール6の鏡板6aを支持している。従って、ピン部7aは、可動スクロール6の旋回運動に伴ってクランク軸7の外周を公転する。すなわち、可動スクロール6の旋回運動によってクランク軸7が回転される。なお、スクロール形流体機械4は、可動スクロール6の旋回運動によって一本のクランク軸7が回転するように構成されているが、このような構成に限定するものではない。
図1に示すように、発電機11は、外部からの駆動力によって電気を発電する。発電機11は、スクロール形流体機械4のクランク軸7に連結される。すなわち、発電機11は、クランク軸7の回転によって発電可能に構成される。発電機11によって発電された電気は、廃熱回収ランキンサイクルシステム1の外部に供給される。
凝縮器12は、蒸気を給水によって冷却して凝縮させる(復水させる)。凝縮器12は、作動媒体通路10を介してスクロール形流体機械4から作動媒体である蒸気が供給される。凝縮器12は、作動媒体と給水通路20を介して供給される給水との熱交換によって蒸気を凝縮させる。凝縮器12は、作動媒体通路13を介して復水タンク14に接続される。凝縮器12において凝縮された水は、作動媒体通路13を介して復水タンク14に供給される。また、凝縮器12は、作動媒体と給水との熱交換によって給水を加熱する。凝縮器12において加熱された水は、暖房機や給湯器等の外部熱機器群21に供給される。
復水タンク14は、凝縮器12によって凝縮された水を溜める。復水タンク14は、作動媒体通路15を介して作動媒体供給ポンプ17に接続される。復水タンク14は、内部の圧力を検出する圧力検出手段である圧力センサー14aを具備する。また、復水タンク14には、排気ポンプ16が接続される。
排気ポンプ16は、復水タンク14内の気体を外部に排気する。排気ポンプ16は、単位時間当たりの排気量を任意に変更可能に構成される。排気ポンプ16は、復水タンク14内の気体を排気することで、復水タンク14内、作動媒体通路10内、凝縮器12内、及び作動媒体通路13内の圧力を減圧する。すなわち、廃熱回収ランキンサイクルシステム1は、排気ポンプ16によってスクロール形流体機械4の蒸気排出口5cの凝縮圧力Pを任意に変更可能に構成される。
作動媒体供給ポンプ17は、復水タンク14内の作動媒体を蒸気発生器2に供給する。作動媒体供給ポンプ17は、作動媒体通路18を介して蒸気発生器2に接続される。また、作動媒体供給ポンプ17は、作動媒体通路15及び作動媒体通路18を介して作動媒体を蒸気発生器2に供給する。
制御装置19は、熱需要に基づいて廃熱回収ランキンサイクルシステム1の制御を行う。制御装置19は、廃熱回収ランキンサイクルシステム1の制御を行うための種々のプログラムやデータが格納される。制御装置19は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
制御装置19は、外部熱機器群21に接続され、外部熱機器群21から熱需要についての情報を取得することができる。制御装置19は、廃熱回収ランキンサイクルシステム1を構成する各種装置、例えば、排気ポンプ16に接続され、排気ポンプ16の運転状態、すなわち排気ポンプ16の運転と停止及び回転数を制御することができる。また、制御装置19は、復水タンク14に具備される圧力センサー14aに接続され、圧力センサー14aが検出する復水タンク14の圧力信号、すなわちスクロール形流体機械4の蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの圧力信号を取得することができる。
このような構成の廃熱回収ランキンサイクルシステム1において、スクロール形流体機械4は、蒸気発生器2によって生成された高温高圧の蒸気のエネルギーを回転力に変換して発電機11を駆動する。スクロール形流体機械4から排出された蒸気は、凝縮器12によって凝縮された後に蒸気発生器2に供給される。凝縮器12において作動媒体との熱交換によって加熱された給水は、外部熱機器群21に供給される。
次に、図3を用いて、廃熱回収ランキンサイクルシステム1における作動媒体の相変化について説明する。
図3は、本実施形態におけるT−S線図(温度−エントロピ線図)である。図中における矢印は、作動媒体である水又は蒸気のランキンサイクルを示している。
図3に示すように、温度T1及びT3は、凝縮器12の入口温度、温度T2は、作動媒体の蒸気温度である。点A1及び点A6は、蒸気発生器2の入口(凝縮器12の出口)における作動媒体の状態である。点A2は、蒸気発生器2内での蒸気発生開始点である。点A3は、蒸気発生器2の出口(スクロール形流体機械4の供給口)における作動媒体の状態である。点A4及び点A5は、スクロール形流体機械4の蒸気排出口5c(凝縮器12の入口)における作動媒体の状態である。
点A1から点A2の間において、作動媒体は、液相である水として存在し、蒸気発生器2によって加熱及び加圧される。そして、点A2の状態において作動媒体は、水から気相である蒸気への相変化を開始する。
点A2から点A3の間において、作動媒体は、蒸気発生器2によってさらに加熱及び加圧される。この間において、作動媒体は、液相である水と気相である蒸気とが混在している。作動媒体は、点A3の状態において蒸気への相変化が完了される。点A3から点A4の間において、作動媒体は、スクロール形流体機械4の膨張室C内において膨張しながら仕事(可動スクロール6の旋回)をする。膨張室C内における作動媒体の膨張は、近似的な断熱膨張であることから作動媒体の温度が低下する。この間において、作動媒体の一部は、凝縮して気相である蒸気から液相である水への相変化を開始する。
点A4から点A1の間において、作動媒体は、凝縮器12によって冷却され、一定圧力の状態で凝縮する。この間において、作動媒体は、気相である蒸気から液相である水への相変化を開始する。この結果、作動媒体は、点A1の状態において液相である水への相変化が完了される。
点A3から点A4の間において、膨張室Cの外部圧力が点A4における外部圧力よりも高い場合、点A3から点A4においての作動媒体の膨張が抑制される。つまり、蒸気が膨張室C内において膨張することによる仕事(回転軸Lを中心とする可動スクロール6の旋回)が抑制される。また、近似的な断熱膨張過程における膨張の抑制に伴って作動媒体の温度低下が抑制される。このため、点A3から作動媒体の膨張が開始され、点A5において膨張が完了する。点A5における作動媒体の温度は、点A4における作動媒体の温度T1よりも高い温度T3となる。
作動媒体は、凝縮器12によって冷却され、点A5から一定圧力の状態で凝縮する。この間において、作動媒体は、気相である蒸気から液相である水への相変化を開始する。この結果、作動媒体は、点A6の状態において液相である水への相変化が完了される。
次に、図4を用いて、可動スクロール6の動作態様を説明する。具体的には、供給された蒸気によって可動スクロール6が旋回運動を行なう態様について説明する。なお、図中の矢印は、可動スクロール6の旋回方向を示している。また、図中の斜線部は、供給された蒸気を示している。
図4(A)は、固定スクロール5と可動スクロール6で構成される膨張室Cに蒸気が供給された状態を示している。ここで、膨張室Cとは、固定スクロール5と可動スクロール6の鏡板5a・6aの板面、及び固定スクロールラップ5bの側面と可動スクロールラップ6bの側面とが接触して構成される空間(蒸気が閉じ込められている空間)である。膨張室Cには、作動媒体通路3を介して蒸気発生器2から蒸気が供給される。
図4(B)は、固定スクロール5に対して可動スクロール6が図4(A)の状態から旋回した状態を示している。可動スクロール6は、蒸気の膨張により、可動スクロールラップ6bが接触している固定スクロールラップ5b上の位置が固定スクロールラップ5bにそって固定スクロール5の外縁部に向かうように移動される。つまり、可動スクロール6は、膨張室Cに供給された蒸気が膨張し、該膨張室Cを押し広げようとする力によって旋回される。これにより、可動スクロール6は、回転軸Lを中心として旋回される。この際、蒸気は膨張に伴って温度が低下する。可動スクロール6の移動に伴い、膨張室Cに連通している作動媒体通路3は、可動スクロールラップ6bの端面によって閉塞される。すなわち、膨張室Cは密閉される。
図4(C)は、固定スクロール5に対して可動スクロール6が図4(B)の状態から更に旋回した状態を示している。可動スクロール6は、膨張室Cに供給された蒸気がさらに膨張し、該膨張室Cを押し広げようとする力によって旋回される。膨張室Cは、可動スクロールラップ6bが接触している固定スクロールラップ5b上の位置の移動により、その体積を増加させながら外縁部に向かって連続的に移動される。これにより、可動スクロール6は、回転軸Lを中心としてさらに旋回される。この際、蒸気はその膨張に伴って更に温度が低下する。可動スクロール6の移動に伴い、固定スクロール5の中心部に、別途の膨張室Cが構成される。別途の膨張室Cは、作動媒体通路3介して蒸気発生器2から蒸気が供給される。
図4(D)は、固定スクロール5に対して可動スクロール6が図4(C)の状態から更に旋回した状態を示している。可動スクロール6は、膨張室C及び別途の膨張室Cに供給された蒸気の膨張によってさらに旋回される。これにより、可動スクロール6は、回転軸Lを中心としてさらに旋回される。この際、蒸気はその膨張に伴って更に温度が低下する。膨張室Cは、さらに外縁部に向かって移動され、固定スクロール5の蒸気排出口5cと連通される。この結果、膨張室Cに供給された蒸気は、スクロール形流体機械4の外部に排出される。
このように、可動スクロール6は、膨張室Cに供給された蒸気が膨張し、膨張室Cを押し広げようとする力によって360°旋回される。また、クランク軸7は、可動スクロール6の旋回運動によって360°回転される。なお、可動スクロール6が所定の旋回角度付近に近づくと、中央部分に現れた別途の膨張室Cに作動媒体通路3が連通され、該膨張室Cに蒸気が供給される。こうして、可動スクロール6の連続した旋回運動によってクランク軸7が回転される。この結果、クランク軸7に連結される発電機11は、スクロール形流体機械4によって駆動される。また、凝縮器12に供給される給水は、給水蒸気排出口5cから排出された蒸気によって加熱される。
次に、図3から図5を用いてスクロール形流体機械4の蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの影響について説明する。
図4(D)の状態において、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが図5に示す凝縮圧力P1になった場合、膨張室C内の蒸気の膨張が抑制されて膨張室C内における蒸気の仕事量が減少する。具体的には、蒸気の状態は、図3の点A3における状態から図3の点A5における状態になる。この際、膨張室C内における近似的な断熱膨張過程における膨張の抑制に伴って、蒸気排出口5cから排出される蒸気の温度低下が抑制される。この結果、蒸気の仕事量の減少に伴い、発電機11による発電量が減少する。一方、蒸気の温度低下の抑制に伴い、凝縮器12において給水に供給される給水の単位流量当たりの熱量(以下、単に「単位熱量Q」と示す)が増加する。
同様に、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが図5に示す凝縮圧力P2になった場合、膨張室C内の蒸気の膨張による蒸気の仕事量が増加する。具体的には、蒸気の状態は、図3の点A3における状態から図3の点A4における状態になる。この際、蒸気排出口5cから排出される蒸気の温度低下が促進される。この結果、蒸気の仕事量の増加に伴い、発電機11による発電量が増加する。一方、蒸気の温度低下の促進に伴い、凝縮器12において給水に供給される単位熱量Qが減少する。
つまり、排気ポンプ16によって蒸気排出口5cの凝縮圧力Pを変更することで、膨張室Cに供給される蒸気量を変更することなく発電量と熱量との比率を変更することができる。
以下では、図6を用いて上述の如く構成される廃熱回収ランキンサイクルシステム1における制御装置19の動作態様について説明する。
制御装置19は、圧力センサー14aからスクロール形流体機械4の蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの信号を取得する。また、制御装置19は、外部熱機器群21から熱需要(給水の温度、流量等)についての情報を取得する。制御装置19は、取得した情報に基づいて排気ポンプ16の運転状態(運転と停止及び回転数)を制御する(図1参照)。
図6に示すように、制御装置19は、以下のステップで排気ポンプ16の運転状態を制御する。
まず、ステップS101において、制御装置19は、制御装置19に接続されている外部熱機器群21からの熱需要についての情報、及び圧力センサー14aからの蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの信号を取得する。
ステップS102において、制御装置19は、外部熱機器群21からの熱需要についての情報と蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの信号とから、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも高いか否か判定する。すなわち、凝縮器12における熱交換によって作動媒体から給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも多いか否か判定する。その結果、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも高いと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも多いと判定した場合(図5におけるP1)、制御装置19は、ステップをステップS103に移行させる。一方、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも高くないと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも多くないと判定した場合、制御装置19は、ステップをステップS203に移行させる。
ステップS103において、制御装置19は、排気ポンプ16の運転状態を制御して蒸気排出口5cの凝縮圧力Pを所定量だけ低下(減圧)させる。これにより、蒸気が膨張室C内において膨張することによる仕事量が増大し、発電機11による発電量が増加する。一方、蒸気排出口5cから排出される蒸気の温度が低下し、凝縮器12において給水に供給される単位熱量Qが減少する。その後、制御装置19は、ステップをステップS101に戻す。
ステップS203において、制御装置19は、外部熱機器群21からの熱需要についての情報と蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの信号とから、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも低いか否か判定する。すなわち、凝縮器12における熱交換によって作動媒体から給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも少ないか否か判定する。その結果、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも低いと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも少ないと判定した場合(図5におけるP2)、制御装置19は、ステップをステップS204に移行させる。一方、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも低くないと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも少なくないと判定した場合(給水に供給される単位熱量Qが適正である場合)、制御装置19は、ステップをステップS101に戻す。
ステップS204において、制御装置19は、排気ポンプ16の運転状態を制御して蒸気排出口5cの凝縮圧力Pを所定量だけ上昇(昇圧)させる。これにより、蒸気が膨張室C内において膨張することによる仕事量が減少し、発電機11による発電量が減少する。一方、蒸気排出口5cから排出される蒸気の温度が上昇し、凝縮器12において給水に供給される単位熱量Qが増加する。その後、制御装置19は、ステップをステップS101に戻す。
以上が本実施形態に係る廃熱回収ランキンサイクルシステム1の動作態様についての説明である。なお、本発明の技術的思想は、上述したスクロール形流体機械4への適用に限るものではなく、その他の構成のスクロール形流体機械4に適用することが可能である。
加えて、スクロール形流体機械4は、例えば高温蒸気を用いて推進力を得る船舶等に利用することが可能である。また、本スクロール形流体機械4は、他の機器から廃熱を回収して回転動力に変換する動力機械として用いることが可能である。
以上の如く、蒸気発生器2から供給される蒸気によって駆動されるスクロール形流体機械4と、給水によってスクロール形流体機械4から排出される蒸気が凝縮される凝縮器12と、を備える廃熱回収ランキンサイクルシステム1において、凝縮器12の下流側に凝縮圧力Pを変更するための排気ポンプ16が接続されるものである。このように構成することで、スクロール形流体機械4の蒸気排出口5cの凝縮圧力Pを変更することでスクロール形流体機械4の出力を変更することができる。このため、供給する仕事量と熱量との比率の制御が容易になる。
また、制御装置19と、スクロール形流体機械4の下流側に凝縮圧力Pを検出する圧力検出手段である圧力センサー14aと、を更に備え、凝縮器12において給水が任意の温度に加熱されるように、排気ポンプ16の運転状態を制御して圧力センサー14aによって検出される凝縮圧力Pを所定の値である目標凝縮圧力Ptに変更するものである。このように構成することで、スクロール形流体機械4の蒸気排出口5cの凝縮圧力Pによって仕事量を制御することができる。このため、熱の需要量に基づいた仕事量と熱量との比率の制御が容易になる。
以下では、図7を用いて、本発明に係る廃熱回収ランキンサイクルシステム1における第二実施形態である廃熱回収ランキンサイクルシステム22について説明する。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
廃熱回収ランキンサイクルシステム22は、廃熱回収ランキンサイクルシステム1に加えて、凝縮器12に供給される給水の流量を変更するための調量弁23を更に備える。
調量弁23は、凝縮器12に供給される給水の流量を変更する。調量弁23は、給水通路20に設けられる。調量弁23は、単位時間当たりの給水の流量(単位流量)を任意に変更可能に構成される。制御装置19は、調量弁23に接続され、調量弁23の開度を制御することができる。
このような構成の廃熱回収ランキンサイクルシステム22において、凝縮器12に供給される給水の流量は、熱需要に基づいて調量弁23によって変更される。廃熱回収ランキンサイクルシステム22は、目標凝縮圧力Ptが大気圧Poよりも低い場合、排気ポンプ16の運転状態及び/又は調量弁23の開度を制御して凝縮圧力Pを変更する。また、目標凝縮圧力Ptが大気圧Poよりも高い場合、排気ポンプ16の運転を停止して大気開放するとともに調量弁23の開度を制御して凝縮圧力Pを変更する。
以下では、図8から図10を用いて上述の如く構成される廃熱回収ランキンサイクルシステム22における制御装置19の動作態様について説明する。
制御装置19は、圧力センサー14aからスクロール形流体機械4の蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの信号を取得する。また、制御装置19は、外部熱機器群21から熱需要についての情報を取得する。制御装置19は、取得した情報に基づいて排気ポンプ16の運転状態、及び調量弁23の開度を制御する(図7参照)。
図8に示すように、制御装置19は、以下のステップで排気ポンプ16の運転状態及び調量弁23の開度を制御する。
ステップS101は既に説明した実施形態と同様であるのでその具体的説明を省略する。
ステップS102において、制御装置19は、外部熱機器群21からの熱需要についての情報から算出される熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptが大気圧Poよりも低いか否か判定する。その結果、蒸気排出口5cの目標凝縮圧力Ptが大気圧Poよりも低いと判定した場合、制御装置19は、ステップをステップS103に移行させる。一方、蒸気排出口5cの目標凝縮圧力Ptが大気圧Poよりも低くないと判定した場合、制御装置19は、ステップをステップS203に移行させる。
ステップS103において、制御装置19は、処理Aを開始し、ステップをステップS104に移行させる(図9参照)。
ステップS103において、制御装置19は、処理Bを開始し、ステップをステップS404に移行させる(図10参照)。
図9に示すように、ステップS104において、制御装置19は、外部熱機器群21からの熱需要についての情報と蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの信号とから、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも高いか否か判定する。すなわち、凝縮器12における熱交換によって作動媒体から給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも多いか否か判定する。その結果、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも高いと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも多いと判定した場合(図5におけるP1)、制御装置19は、ステップをステップS105に移行させる。一方、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも高くないと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも多くないと判定した場合、制御装置19は、ステップをステップS205に移行させる。
ステップS105において、制御装置19は、排気ポンプ16の運転状態を制御して蒸気排出口5cの凝縮圧力Pを所定量だけ低下(減圧)させる。合わせて、調量弁23の開度を制御して給水の供給量を所定量だけ増大させる。これにより、蒸気が膨張室C内において膨張することによる仕事量が増大し、発電機11による発電量が増加する。一方、蒸気排出口5cから排出される蒸気の温度が低下するとともに、凝縮器12において給水に供給される単位熱量Qが減少する。その後、制御装置19は、処理Aを終了してステップをステップS101に戻す(図8参照)。
ステップS205において、制御装置19は、外部熱機器群21からの熱需要についての情報と蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの信号とから、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも低いか否か判定する。すなわち、凝縮器12における熱交換によって作動媒体から給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも少ないか否か判定する。その結果、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも低いと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも少ないと判定した場合(図5におけるP2)、制御装置19は、ステップをステップS206に移行させる。一方、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも低くないと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも少なくないと判定した場合(給水に供給される単位熱量Qが適正である場合)、制御装置19は、処理Aを終了してステップをステップS101に戻す(図8参照)。
ステップS206において、制御装置19は、調量弁23の開度を制御して給水の供給量を所定量だけ減少させる。これにより、凝縮器12に供給される給水量が減少し、凝縮器12において給水に供給される単位熱量Qが増大する。その後、制御装置19は、ステップをステップS207に移行させる。
ステップS207において、制御装置19は、凝縮圧力Pの信号から、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptと等しいか否か判定する。すなわち、凝縮器12における熱交換によって作動媒体から給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要と等しいか否か判定する。その結果、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptと等しいと判定した場合、すなわち、凝縮器12における熱交換によって作動媒体から給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要と等しいと判定した場合(給水に供給される単位熱量Qが適正である場合)、制御装置19は、処理Aを終了してステップをステップS101に戻す(図8参照)。一方、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptと等しくないと判定した場合、すなわち、給水量を減少させても給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも少ないと判定した場合(図5におけるP2)、制御装置19は、ステップをステップS308に移行させる。
ステップ206に示す制御により凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptと等しくなった場合、すなわち、外部熱機器群21からの熱需要に対して給水量を変更することで対応できる場合、発電機11による発電量を減少させることなく給水に供給される単位熱量Qを増加させることができる。
ステップS308において、制御装置19は、排気ポンプ16の運転状態を制御して蒸気排出口5cの凝縮圧力Pを所定量だけ上昇(昇圧)させる。これにより、蒸気排出口5cから排出される蒸気の温度が上昇し、凝縮器12において給水に供給される単位熱量Qが増大する。その後、制御装置19は、処理Aを終了してステップをステップS101に戻す(図8参照)。
図10に示すように、ステップS404において、制御装置19は、外部熱機器群21からの熱需要についての情報と蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの信号とから、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも高いか否か判定する。すなわち、凝縮器12における熱交換によって作動媒体から給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも多いか否か判定する。その結果、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも高いと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも多いと判定した場合(図5におけるP1)、制御装置19は、ステップをステップS405に移行させる。一方、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも高くないと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも多くないと判定した場合、制御装置19は、ステップをステップS505に移行させる。
ステップS405において、制御装置19は、排気ポンプ16の運転状態を制御して蒸気排出口5cの凝縮圧力Pを大気圧(大気開放)になるようにする。合わせて、調量弁23の開度を制御して給水の供給量を所定量だけ増大させる。これにより、凝縮器12において給水に供給される単位熱量Qが減少する。その後、制御装置19は、処理Bを終了してステップをステップS101に戻す(図8参照)。
ステップS505において、制御装置19は、外部熱機器群21からの熱需要についての情報と蒸気排出口5cの凝縮圧力Pの信号とから、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも低いか否か判定する。すなわち、凝縮器12における熱交換によって作動媒体から給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも少ないか否か判定する。その結果、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも低いと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも少ないと判定した場合(図5におけるP2)、制御装置19は、ステップをステップS506に移行させる。一方、蒸気排出口5cの凝縮圧力Pが熱需要に基づいた目標凝縮圧力Ptよりも低くないと判定した場合、すなわち、給水に供給される単位熱量Qが外部熱機器群21からの熱需要よりも少なくないと判定した場合(給水に供給される単位熱量Qが適正である場合)、制御装置19は、処理Bを終了してステップをステップS101に戻す。
ステップS506において、制御装置19は、排気ポンプ16の運転状態を制御して蒸気排出口5cの凝縮圧力Pを大気圧(大気開放)になるようにする。合わせて、調量弁23の開度を制御して給水の供給量を所定量だけ減少させる。これにより、凝縮器12において給水に供給される単位熱量Qが増大する。その後、制御装置19は、処理Bを終了してステップをステップS101に戻す(図8参照)。
以上の如く、凝縮器12から排出される給水の流量を変更する調量弁23をさらに備え、制御装置19は、凝縮器12において前記給水が任意の温度に加熱されるように、調量弁23の開度を制御して前記圧力検出手段である圧力センサー14aによって検出される凝縮圧力Pを所定の値に変更するものである。このように構成することで、スクロール形流体機械4の蒸気排出口5cの凝縮圧力Pを変更することに加え、給水の流量を変更することによって給水に供給される単位熱量Qを制御することができる。このため、熱の需要量に基づいた仕事量と熱量との比率の制御が容易になり、かつ制御範囲が拡大する。
また、制御装置19は、凝縮圧力Pを上昇させる場合、調量弁23の開度を制御した後に排気ポンプ16の運転状態を制御するものである。このように構成することで、給水の流量の変更では所定の目標凝縮圧力Ptに到達できない場合にスクロール形流体機械4の仕事量を変更するように制御することができる。これにより、蒸気による仕事と給熱との総合的な効率が向上する。