JP5840767B2 - 調整された酸素飽和条件下における、発酵によるl−シスチンの製造方法 - Google Patents

調整された酸素飽和条件下における、発酵によるl−シスチンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発酵によりL−シスチンを製造する方法に関する。
L−シスチンは、L−システイン2分子の酸化により形成されるジスルフィドである。この反応は可逆的であり、つまり、L−シスチンを還元によりL−システインに再転化することができる。
アミノ酸L−システインは、経済的に重要である。例えば、L−システインは、食品添加物(特に製パン工業において)として、化粧品の原料として、及び活性製薬成分(特にN−アセチルシステイン及びS−カルボキシメチルシステイン)を製造するための出発物質としても使用される。
L−システインは、全ての生物における硫黄代謝で重要な役割を果たし、タンパク質、グルタチオン、ビオチン、リポ酸、メチオニン及び他の硫黄含有代謝生成物の合成に使用される。さらに、L−システインは、補酵素Aを生合成するための前駆物質として役立つ。L−システインの生合成は、細菌、特に腸内細菌(Enterobacteria)で詳細に研究されており、Kredich(1996、Biosynthesis of cysteine、pp.514−527.F.C.Neidhardt,R.Curtiss III,J.L.Ingraham,E.C.C.Lin,K.B.Low,B.Magasanik,W.S.Reznikoff,M.Riley,M.Schaechter,and H.E.Umbarger(ed.),Eschericia coli and Salmonella:cellular and molecular biology,2nd ed.ASM Press,ワシントンD.C.)に詳細に記載されている。
ケラチン含有材料、例えば毛髪、剛毛、角、ひずめ及び羽、から抽出による、又は前駆物質の酵素転化を利用した生体内変化による、L−システインの古典的な製造に加えて、発酵によるL−システインの製造方法も数年前に開発された。微生物を使用する発酵によるL−システインの製造に関する先行技術は、例えば米国特許第6218168B1号、米国特許第5972663A号、米国特許出願公開第2004/0038352A1号、加国特許第2386539A1号、米国特許出願公開第2009/0053778A1号及び米国特許出願公開第2009/0226984A1号に記載されている。ここで使用されている細菌性ホスト生物は、とりわけ、Corynebacterium種及びEnterobacteriaceae科、例えばEscherichia coli又はPantoea ananatis、からの代表である。
突然変異及び選択による改良されたL−システイン生産菌を得る古典的な手順に加えて、菌株に対する特異的な遺伝子修飾も、効果的なL−システイン過生産を達成するために行われている。
L−システインによるフィードバック阻害を低減させたセリンO−アセチルトランスフェラーゼをコード化するcysE対立遺伝子の挿入により、システイン生産を増加している(米国特許第6218168B1号、Nakamori et al.,1998、Appl.Env.Microbiol.64:1607−1611;Takagi et al.,1999,FEBS Lett.452:323−327)。フィードバック耐性のCysE酵素により、L−システインの直接前駆物質であるO−アセチル−L−セリンの形成が、細胞内でL−システインレベルから大部分はデカップリングされる。
O−アセチル−L−セリンは、L−セリン及びアセチル−CoAから形成される。従って、L−システイン製造のために十分な量でL−セリンを提供することが非常に重要である。これは、L−セリンによるフィードバック阻害能力を下げた3−ホスホグリセリン酸脱水素酵素をコード化するserA対立遺伝子の挿入により達成される。L−セリンの前駆物質である3−ヒドロキシピルビン酸の形成は、細胞内でL−セリンレベルから大部分はデカップリングされる。そのようなSerA酵素の例は、欧州特許第0620853号、米国特許出願公開第2005/0009162A1号、米国特許出願公開第2005009162A2号及び欧州特許第0931833号に記載されている。
発酵におけるL−システイン収率は、L−システイン−分解酵素、例えばトリプトファナーゼTnaA又はシスタチオニン−β−リアーゼMalY又はMetC、をコード化する弱体化又は破壊遺伝子により増加させることができる(欧州特許第1571223号)。
細胞から外へのL−システインの搬送を増加することも、媒体中における生成物の収率を増加させるさらなる可能性である。これは、いわゆるエフラックス遺伝子の過発現により達成される。これらの遺伝子は、細胞からのL−システインの搬送を仲介する膜結合型タンパク質をコード化する。L−システイン搬送用の様々なエフラックス遺伝子が記載されている(米国特許第5972663A号、米国特許出願公開第2004/0038352A1号、米国特許第2005221453号、国際公開第2004113373号パンフレット)。
L−システインを細胞から発酵媒体へ搬送することには、幾つかの利点がある、すなわち
1)L−システインは、細胞内反応平衡から連続的に抽出され、その結果、このアミノ酸が、細胞中で低レベルに維持され、従って、L−システインによる酵素に感受性のあるフィードバック阻害が無い、すなわち
(1)L−システイン(細胞内)←→L−システイン(媒体)
2)媒体中に放出されたL−システインは、酸素の存在下でジスルフィドL−シスチンに酸化され、培養の際に媒体中に導入される(米国特許第5972663A号)、すなわち
(2)2L−システイン+1/2O←→L−シスチン+H
水溶液中の中性pHにおけるL−シスチンの溶解度は、L−システインと比較して非常に低いので、ジスルフィドは、低濃度でも沈殿し、白色沈殿を形成する、すなわち
(3)L−シスチン(溶解したもの)←→L−シスチン(沈殿)
L−シスチンの沈殿により、媒体中に溶解した生成物のレベルは低下し、それによって(1)及び(2)の反応平衡は、それぞれの場合に生成物側に引き寄せられる。
3)アミノ酸が発酵媒体から直接得られるなら、生成物が細胞内に蓄積し、初期細胞溶解を行わなければならない場合よりも、生成物の精製に関わる技術的な労力は著しく低い。
通性の嫌気細菌、例えばE.coli又はP.ananatis、は、炭水化物、例えばグルコース、から好気性代謝により、それぞれのエネルギー源からの発酵(嫌気性代謝)によるよりも、より多くのエネルギーを得ることができるので、好気性条件下、すなわち酸素の存在下で、成長が速い。
E.coli又はP.ananatisを使用するL−システインの生産は、好気性条件下でも行われる(米国特許出願公開第2004/0038352A1号、米国特許第5972663A号、加国特許第2386539A1号、欧州特許第1389427号、欧州特許第2138585号)。記載されている方法では、培養基に入る酸素が、発酵の際に培養基ブロスが50%の酸素含有量を有するように調節されることがより詳細に開示されている。
発酵によるL−システインの製造に関して記載されている方法の欠点は、アミノ酸が、培養基ブロス中に様々な形態で存在することである。沈殿物中に沈殿したL−シスチンに加えて、溶解した形態のL−シスチン及びL−システイン及びチアゾリジンも、培養基上澄み液中にみられる(米国特許第6218168B1号、米国特許第5972663A号、加国特許第2386539A1号)。このチアゾリジン(2−メチルチアゾリジン−2,4−ジカルボン酸)は、L−システイン及びピルベートの縮合生成物であり、純粋な化学反応で形成される。
本発明の文脈における用語「総システイン」は、L−システイン及びL−シスチン及びそこから形成されるチアゾリジンを組み合せ、発酵の際に形成され、培養基上澄み液及び沈殿物中に蓄積する。
公地の方法では、沈殿したL−シスチンの割合が、発酵の最後で異なっている。沈殿したL−シスチンの割合は、総システインの40〜66%(米国特許第5,972,663A号、加国特許第2386539A1号)であり、つまり総システインの残りの34〜60%は、培養基上澄み液中に存在する、すなわち主としてL−システインとチアゾリジンの形態にある。この生成物の不均質性が、培養基ブロスから生成物を回収し、精製することを妨げている。
従って、最終生成物が大部分ただ一つの形態でのみ生じる方法が望ましい。L−シスチンが生成物として主に形成される方法が特に好ましいが、これは、L−シスチンは、pHが中性の水性媒体中における溶解度が低いために低濃度でも沈殿し、それによって反応平衡が生成物側にシフトし、比較的高い生成物収率につながるためである。
そこで、本発明の目的は、発酵媒体中で、微生物菌株の発酵によりL−シスチンを製造する方法であって、L−シスチンが、形成された総システインに対して少なくとも70%の量で沈殿する方法を提供することにある。
この目的は、L−シスチンを形成する際の発酵媒体のO飽和が、少なくとも1%、最大40±3%に維持される方法により達成される。
媒体のO飽和は、溶解酸素量の、記載されている条件下で溶解可能な最大酸素量の百分率として定義される。
驚くべきことに、O飽和をこの低レベルに維持した場合、発酵の最後で、沈殿したL−シスチンが、培養基ブロス中の総システインの比率として少なくとも70%(総システインの1リッターあたりの重量に対する、沈殿したL−シスチンの1リッターあたりの重量)である。この知見は、特に欧州特許第1389427号が、高L−シスチン比率が、実際に、例えば酸素又は過酸化水素の形態にある酸化剤を培養基中に大量に導入することにより達成されることを開示しているので、驚くべきことである。
本発明による方法は、沈殿物として存在するL−シスチンが、簡単なデカンテーション工程により細胞から分離でき、生成物の精製が容易に達成できるので、非常に有利である。
本発明による発酵方法のシスチン形成段階は、培養基ブロス中で沈殿物として最初に検出される時点から出発し、培養の最後まで続行する。典型的には、この段階は、製造発酵槽の接種後約8〜10時間で開始される。
本発明による方法で使用できる微生物は、先行技術で記載されている全てのシステイン生産菌株である。そのような菌株は、例えば米国特許第6218168B1号、米国特許第5972663A号、米国特許出願公開第2004/0038352A1号、加国特許第2386539A1号、米国特許出願公開第2009/0053778号又は欧州特許第2138585号に開始されている。
好ましい微生物は、Enterobacteriaceae科の代表、特に好ましくはEscherichia及びPantoea属の代表、特に好ましくはE.coli及びP.ananatis種の菌株である。
微生物菌株の中で、修正されたセリンO−アセチルトランスフェラーゼを有し、対応する野生型酵素と比較して少なくとも2のファクターで、L−システインによるフィードバック阻害が低下しているか、又は、野生型細胞と比較してエフラックス遺伝子の過発現により少なくとも2のファクターで、細胞からのシステイン搬出が増加している菌株が好ましい。特に好ましいのは、セリンO−アセチルトランスフェラーゼを有し、対応する野生型酵素と比較して少なくとも2のファクターで、L−システインによるフィードバック阻害が低下しており、野生型細胞と比較してエフラックス遺伝子の過発現により少なくとも2のファクターで、細胞からのシステイン搬出が増加している微生物菌株である。そのような菌株は、例えば米国特許第6218168B1号及び米国特許第5972663A号から公知である。特に好ましい菌株は、さらに修正された3−ホスホグリセリン酸脱水素酵素を有する菌株であり、対応する野生型酵素と比較して少なくとも2のファクターで、L−セリンによるフィードバック阻害が低下しており(米国特許出願公開第2005/0009162A1号、米国特許第2005009162A2号)、野生型細胞と比較してこの酵素活性の最大50%だけが細胞中に存在する限り、少なくとも一種のL−システイン−分解酵素が弱体化している。
セリンO−アセチルトランスフェラーゼの好ましい変異は、野生型細胞と比較して、少なくとも5のファクターで、特に好ましくは少なくとも10のファクターで、特に好ましくは少なくとも50のファクターで、L−システインによるフィードバック阻害が低下している。
エフラックス遺伝子は、好ましくは、E. coliのydeD(米国特許第5972663A号参照)、yfik(米国特許出願公開第2004/0038352A1号参照)、cydDC(国際公開第2004113373号パンフレット参照)、bcr(米国特許第2005221453号参照)及びemrAB(米国特許第2005221453号参照)群、又は他の微生物からの対応する同族体遺伝子から生じる。同族体遺伝子は、この遺伝子の配列が、対応するE. coli遺伝子のDNA配列に少なくとも80%の程度対応することを意味する。
エフラックス遺伝子の過発現は、好ましくは、野生型細胞と比較して、少なくとも5のファクターで、特に好ましくは少なくとも10のファクターで、特に好ましくは少なくとも20のファクターで、細胞からのシステイン搬送増加につながる。
3−ホスホグリセリン酸脱水素酵素の好ましい変異は、対応する野生型酵素と比較して少なくとも5のファクターで、特に好ましくは少なくとも10のファクターで、特に好ましくは少なくとも50のファクターで、L−セリンによるフィードバック阻害が低下している。
L−システイン分解酵素は、好ましくはトリプトファナーゼ(TnaA)及びシスタチオニン−β−リアーゼ(MalY、MetC)の群に由来する。
野生型菌株と比較して、酵素活性の最大10%だけがなお細胞中に存在する限り、これらの酵素の少なくとも一種が弱体化している、微生物菌株が特に好ましい。特に好ましいのは、これら酵素の少なくとも一種が完全に不活性化されている菌株である。
L−システインを製造する際の細胞の培養は、好気性成長条件下で行われる。酸素は、様々な様式で培養基に、例えば培養基容器を振とう装置で振とうすることにより、導入することができる。培養を発酵槽中で行う場合、空気又は純粋酸素又はこれらのガスの混合物を培養基に吹き込むことができる。細胞に十分な酸素を確実に供給するには、発酵を加圧下(例えば、0.5〜1.2バールの過剰圧力)で行うこともでき、その場合、媒体に対する酸素の溶解度が増加する。撹拌しているタンク発酵槽では、導入する酸素を、媒体中の攪拌機によりさらに分散させ、それによって細胞に対する酸素の利用率が増加する。
媒体中に溶解した酸素は、好ましくは発酵の際にプローブにより連続的に測定する。これは、例えば光学的センサー又は化学的センサー(Clarkセル)で行うことができる。測定された媒体のO飽和は、予め決められた公称値に合わせて連続調節する。実際の値が公称値から外れた場合、ガス供給又は撹拌速度又は両方を、自動制御回路により、O飽和が公称値に再び回復するように調節する。このようにして、媒体中の酸素含有量を、発酵期間全体にわたって所望の値に維持することができる。
酸素測定プローブは、発酵の開始前に、まだ接種していない媒体中で、0%及び100%O飽和の制限値に校正する。これは、後に続く発酵温度で適切に行う。
プローブが0%O飽和に校正される前に、なお存在する酸素全体を先ず媒体から追い出す必要がある。これは、発酵槽で発酵媒体のその場における殺菌の際に自動的に行われるか、又は可能な最大撹拌速度の20%の撹拌速度で、媒体を純粋窒素でパージすることにより行うことができる。プローブの100%O飽和に対する校正は、一般的に発酵の開始(初期条件)時に、すなわち可能な最大ガス供給の40%、及び可能な最大撹拌速度の20%で、存在する酸素供給条件下で行われる。プローブの100%に対する校正は、酸素含有量が、選択した条件下で一定値に達した時にのみ行う。
L−シスチン発酵の製造段階における酸素含有量は、40±3%O飽和未満、好ましくは30±3%未満、特に好ましくは20±3%未満、特に好ましくは10±3%未満に維持しなければならない。
好ましい炭素源は、糖、糖アルコール、有機酸、又は糖含有植物加水分解物である。本発明による方法で使用する特に好ましい炭素源は、グルコース、フルクトース、ラクトース、グリセロール又はこれらの化合物の2種類以上を含んでなる混合物である。
炭素源は、L−システイン製造段階の際の発酵槽中の炭素源のレベルが10g/lを超えないように、好ましくは培養基に加えられる。2g/lの最大濃度が好ましく、特に好ましくは0.5g/l、特に好ましくは0.1g/lである。
本発明による方法で使用するN源は、好ましくはアンモニア、アンモニウム塩又はタンパク質加水分解物である。pHを安定化させるための補正手段としてアンモニアを使用する場合、このN源は、発酵の際に定期的に補充する。
元素リン、塩素、ナトリウム、マグネシウム、窒素、カリウム、カルシウム、鉄及び、痕跡量の(すなわちμM濃度)、元素モリブデン、ホウ素、コバルト、マンガン、亜鉛及びニッケルの塩を、さらなる媒体添加剤として加えることができる。
さらに、有機酸(例えば酢酸、クエン酸)、アミノ酸(例えばイソロイシン)及びビタミン(例えばB1、B6)を媒体に加えることができる。
使用する複雑な栄養源は、例えば酵母抽出物、コーンスティープリカー、大豆粉、又は麦芽エキスを含むことができる。
中温性微生物、例えばE.coli又はP.ananatis、用の培養温度は、好ましくは15〜45℃、特に好ましくは30〜37℃である。
発酵の際における発酵媒体のpHは、好ましくはpH5.0〜8.5、特に好ましくはpH7.0である。
L−システイン及びL−システイン誘導体の製造には、発酵中に硫黄源を供給しなければならない。この場合、サルフェート又はチオサルフェートの使用が好ましい。
記載する方法により発酵する微生物は、L−システイン及びL−システインに由来する化合物を、発酵媒体中に高い効率で、成長段階に続くバッチプロセス又は流加プロセスで8〜150時間の期間で分泌する。
発酵の後、沈殿物として存在するL−シスチンは、培養基ブロスの残りの構成部分から公知の方法により、例えばデカンターを使用して、分離することができる。
下記の工程は、粗製物をさらに精製するために行うことができる。
−粗製物の鉱酸による溶解
−粗製物溶液を遠心分離又は濾過により清澄化
−溶液を無色化
−沈殿物の結晶化
L−シスチンのL−システインへの還元は、例えば欧州特許第0235908号に記載されているような電気化学的方法により行うことができる。
下記の例は、本発明をさらに説明する。
例1 システイン生産菌株の発生
野生型菌株E.coli W3110(ATCC 27325)及びP.ananatis(ATCC 11530)を、それぞれの場合、プラスミドpACYC184/cysEX−GAPDH−ORF306(米国特許第5972663A号の例2に開示)で、米国特許第5972663A号に記載されている電気穿孔法により形質転換した。プラスミドpACYC184/cysEX−GAPDH−ORF306は、複製開始点及びテトラサイクリン耐性遺伝子に加えて、cysEX対立遺伝子も含んでなり、これは、L−システインによるフィードバック阻害が低下しているセリンO−アセチルトランスフェラーゼ、及びエフラックス遺伝子ydeD(ORF306)をコード化し、その発現は、構成するGAPDHプロモーターにより制御される。プラスミドを有する細胞の選択は、テトラサイクリン15mg/lを含むLB寒天プレート上で行った。QIAprep Spinプラスミドキット(Qiagen GmbH)を使用するさらなるプラスミド単離及び制限分析の後、所望の形質転換物、すなわちプラスミドpACYC184/cysEX−GAPDH−ORF306を取り入れた細胞、を単離し、例2に記載する発酵に使用した。
例2 様々な酸素飽和におけるシステイン生産の培養
予備培養基1(振とうフラスコ)
テトラサイクリン15mg/lを含むLB媒体20mlに、三角フラスコ(100ml)中で、それぞれの菌株(E.coli W3110 pACYC184/cysEX−GAPDH−ORF306又はP.ananatis pACYC184/cysEX−GAPDH−ORF306)を接種し、振とう装置(150rpm、30℃)で7時間培養した。
予備培養基2(振とうフラスコ)
続いて、予備培養基1を、SMI−媒体(KHPO12g/l、KHPO3g/l、(NHSO5g/l、MgSOx7HO 0.3g/l、CaClx2HO 0.015g/l、FeSOx7HO 0.002g/l、Naクエン酸塩x2HO 1g/l、NaCl 0.1g/l、NaMoOx2HO 0.15g/l、HBO2.5g/l、CoClx6HO 0.7g/l、CuSOx5HO 0.25g/l、MnClx4HO 1.6g/l、ZnSOx7HO 0.3g/lからなる痕跡量元素溶液)にグルコース5g/l、ビタミンB15mg/l及びテトラサイクリン15mg/lを捕捉したもの100ml中に完全に移した。培養基を、三角フラスコ(1l)中、30℃、150rpmで17時間振とうした。この培養に続いて、600nm光学密度(OD600)は、3〜5であった。
主培養基(発酵槽)
発酵は、Sartorius Stedimから入手したタイプBIOSTAT Bの発酵槽中で行った。総容積2lの培養基容器を使用した。発酵媒体(900ml)は、グルコース15g/l、トリプトン(Difco)10g/l、酵母エキス(Difco)5g/l、(NHSO5g/l、KHPO1.5g/l、NaCl 0.5g/l、MgSOx7HO 0.3g/l、CaClx2HO 0.015g/l、FeSOx7HO 0.075g/l、Naクエン酸塩x2HO 1g/l及び痕跡量元素溶液(上記参照)、ビタミンB1 0.005mg/l及びテトラサイクリン15mg/lを含んでなる。発酵槽中のpHは、開始時に、25%NHOH溶液をポンプで加え、7.0に調節した。発酵の際、pHは、25%NHOHを使用して自動補正により7.0に維持した。接種のために、100mlの予備培養基2を発酵容器にポンプで供給した。従って、出発容積は、約1lであった。培養基は、開始時に400rpmで撹拌し、無菌フィルターを経由して無菌の圧縮空気を2vvmで通気した。酸素プローブは、接種の前に、これらの出発条件下で100%飽和に校正しておいた。発酵中のO飽和に対する公称値は、実験バッチに応じて、50±5%、40±5%、30±5%、20±5%または10±5%に調節した。O飽和がそれぞれの公称値未満に低下した場合、調整カスケードを開始し、O飽和を公称値に回復させた。最初に、ガス供給を連続的に(最大5vvmに)増加し、次いで撹拌速度を連続的に(最大1500rpm)増加させた。
発酵は、温度30℃で行った。2時間の発酵時間の後、硫黄源の供給を、無菌60%チオ硫酸ナトリウムx5H O原液の形態で、毎時1.5mlの速度で行った。発酵槽中のグルコース含有量が初期の15g/lから約2g/lに低下した時、56%グルコース溶液を連続的に加えた。供給速度は、発酵槽中のグルコース濃度がその点から2g/lを超えないように調節した。グルコース測定は、YSI(Yellow Springs、オハイオ州、米国)から入手したグルコース分析装置で行った。発酵時間は48時間であった。その後、試料を採取し、培養基上澄み液中のL−システイン含有量、及びそこから誘導された誘導体の含有量、(特にL−システイン及びチアゾリジン)、及び沈殿物中(L−シスチン)をそれぞれ独立して測定した(表1参照)。この目的には、Gaitondeの熱量計試験をそれぞれの場合に使用した(Gaitonde,M.K.(1967),Biochem.J.104,627−633)。ここで、試験の強い酸性反応条件下で、遊離のL−システインだけではなく、チアゾリジンに結合したL−システインも一緒に記録され、定量されることに注意する。培養基上澄み液中に溶解したL−シスチンは、Gaitonde試験では、希釈溶液中で、pH8.0でジチオトレイトール(DTT)による還元に続いて、L−システインとして検出される。沈殿物中にあるL−シスチンは、先ず8%塩酸中に溶解させてから、同様に定量される。
Figure 0005840767

Claims (9)

  1. 発酵媒体中で、微生物菌株の発酵によりL−シスチンを製造する方法であって、L−システインを製造する際の細胞の培養が、好気性成長条件下で行われ、かつ前記L−シスチンが、総システインに対して少なくとも70%の量で沈殿し、使用される前記微生物菌株が、腸内細菌科の代表であり、前記L−シスチンを形成する際の前記発酵媒体のO飽和が、少なくとも1%、最大40±3%に維持される、方法。
  2. 前記L−シスチンを形成する際の前記O飽和が、30±3%未満に維持される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記L−シスチンを形成する際の前記O飽和が、10±3%未満に維持される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記微生物菌株が、対応する野生型酵素と比較して、少なくとも2のファクターで、L−システインによるフィードバック阻害が低下しているセリンO−アセチルトランスフェラーゼを有するか、又は、前記微生物菌株が、野生型菌株と比較して、エフラックス遺伝子の過発現により少なくとも2のファクターで、システイン搬出が増加している、請求項3に記載の方法。
  5. 前記微生物菌株が、さらに、対応する野生型酵素と比較して少なくとも2のファクターで、L−セリンによるフィードバック阻害が低下している3−ホスホグリセリン酸脱水素酵素を有する、請求項4に記載の方法。
  6. 素が、前記発酵媒体中に、振とう装置で培養基容器を振とうすることにより、あるいは空気又は純粋酸素もしくはこれらのガスの混合物を吹き込むことにより、導入される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 炭素源は、前記システイン製造段階における前記発酵槽中の炭素源レベルが10g/lを超えないように、発酵媒体に加えられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 培養温度が15〜45℃であり、前記発酵の際の前記発酵媒体のpHがpH5.0〜8.5である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 硫黄源が前記発酵の際に供給される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
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