JP5840376B2 - 鉄系材料およびその製造方法 - Google Patents
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(1)C:0.1mass%以上1.5mass%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる材料の表層を窒化して得た硬質相を有し、該硬質相は、N:(8−[C])at%以上(11−[C])at%以下を含有するとともに、構成ミクロ組織がフェライト中に1nm以上300nm以下のFe 4 Nおよび/またはFe 4 (C,N)が面積率で25〜60%分散した組織であり、かつ硬さがHV700以上であることを特徴とする鉄系材料。
ただし、[C]は材料中のC含有量(at%)
Cr:0.05 mass%以上2.0 mass%以下、
Al:0.005 mass%以上0.5 mass%以下、
Ti:0.0005 mass%以上0.5 mass%以下、
Nb:0.005 mass%以上0.1 mass%以下、
V:0.02 mass%以上1.0 mass%以下、
Mo:0.02 mass%以上1.0 mass%以下、
Mn:0.02 mass%以上2.0 mass%以下、
Si:0.02 mass%以上2.0 mass%以下、
Ni:0.02 mass%以上2.0 mass%以下、
Cu:0.02 mass%以上2.0 mass%以下および
Co:0.02 mass%以上2.0 mass%以下
の中から選択される少なくとも一種以上を含有することを特徴とする鉄系材料。
ただし、[C]は材料中のC含有量(at%)
Cr:0.05 mass%以上2.0 mass%以下、
Al:0.005 mass%以上0.5 mass%以下、
Ti:0.0005 mass%以上0.5 mass%以下、
Nb:0.005 mass%以上0.1 mass%以下、
V:0.02 mass%以上1.0 mass%以下、
Mo:0.02 mass%以上1.0 mass%以下、
Mn:0.02 mass%以上2.0 mass%以下、
Si:0.02 mass%以上2.0 mass%以下、
Ni:0.02 mass%以上2.0 mass%以下、
Cu:0.02 mass%以上2.0 mass%以下および
Co:0.02 mass%以上2.0 mass%以下
の中から選択される少なくとも一種以上を含有することを特徴とする鉄系材料の製造方法。
(組成の限定理由)
窒化による硬質相中のN含有量:(8−[C])at%以上(11−[C])at%以下
Nは、本発明の硬質相を形成する上で必須の元素である。先述の通り、本発明の鉄系材料においては、窒化処理による窒化層が形成され、この窒化層について、α(フェライト)中に微細なγ´(Fe4Nおよび/またはFe4(C,N))が分散した組織とすることにより硬質相を形成する。そのため、本発明の鉄系材料においては、硬質相を形成すべき部分に、γ´(Fe4Nおよび/またはFe4(C,N))の構成元素であるNを含有させる必要がある。硬質相のN含有量が(8−[C])at%未満では、Ms点が室温よりも高く、室温でオーステナイト組織を得ることが出来ず、また窒化冷却後の保持時に十分な量のα−Fe中に微細γ´(Fe4Nおよび/またはFe4(C,N))が分散した組織が得られないため、HV700以上の硬化層を形成することができない。一方、N含有量が(11−[C])at%を超えると、窒化を目的とした加熱保持中の組織がオーステナイト単相とならず、材料中に過剰なε窒化物を形成する。このε窒化物はその後の硬化熱処理後も残留して、硬化熱処理後のミクロ組織中に多量の空孔を形成し、最終部品の強度および靭性を著しく劣化させる。したがって、N含有量は(8−[C])at%以上(11−[C])at%以下に規定する。なお、[C]は材料中のC含有量(at%)であり、後述する鉄系材料中のC量0.1mass%〜1.5mass%をat%に換算した値(0.46〜6.6at%)の範囲内の値となる。
Cは、オーステナイト安定化元素であり、材料にCを添加した場合、窒化処理によりNを含有させる際に、Cの含有量(at%)分だけ低いN量でオーステナイトが形成するようになる。このオーステナイト組織を急冷して、オーステナイト組織を500℃以下の温度域まで残留させ、これを100〜500℃の温度域に加熱保持すると、CはNとともに鉄化合物γ´(Fe4(C,N))を形成し、α(フェライト)中に硬質のγ´(Fe4(C,N))が分散した組織が得られる。
また、本発明において、硬さHVは、荷重25gf(0.245N)、荷重保持時間15sの条件にて測定したビッカース硬さを意味する。
本発明の鉄系材料は、所定の組成を有する鉄系素材に、590℃以上の温度で窒化処理を施して該鉄系素材の一部または全体にN:(8−[C])at%以上(11−[C])at%以下を含有させた後、500℃以下の温度域まで1℃/s以上の速度で冷却し、その後、100〜500℃の温度域に加熱保持してHV700以上の硬質相を形成する方法により好適に製造することができる。
窒化処理温度を590℃以上とすることにより、鉄系素材中への十分な窒素の拡散速度を
得ることが可能になるとともに、窒化処理中に安定なオーステナイト相を得ることができ、オーステナイト相厚さの確保が可能となる。これによりその後の硬質相形成処理で硬化層厚さの確保が可能となる。ただし、窒化温度を極端に高くすると、窒化処理中の窒化進行速度の制御が困難になるとともに、窒化処理中に組織のオーステナイト粒の粗大化を引き起こし、窒化処理後の鉄系材料の延性および靱性に悪影響を及ぼす。そのため、窒化処理温度は1000℃以下にすることが好ましい。
上記条件で窒化処理を施した鉄系材料の少なくとも表層部は、N:(8−[C])at%以上(11−[C])at%以下を含有するオーステナイト組織が形成される。本発明においては、これを1℃/s以上の冷却速度で500℃以下の温度まで冷却することにより、上記オーステナイト組織を室温近傍まで残留させる。冷却速度が1℃/s未満である場合には、冷却中にフェライト相が形成してしまい、冷却終了時点におけるオーステナイト含有量が減少するため、その後の熱処理により所望の硬度を有する硬質相が得られない。なお、冷却速度の上限値は特に限定しないが、簡易な冷却方法で達成するために、50℃/s以下とすることが好ましい。
なお、1℃/s以上の冷却速度での冷却は、500℃まで行えばよく、500℃に達した後の冷却速度は任意である。
上記冷却工程を経た鉄系材料は、少なくともその表層部に軟質なオーステナイト組織を有する。しかし、この鉄系材料を100〜500℃の温度域に保持することにより、上記オーステナイト組織がα(フェライト)中に微細なγ´(Fe4Nおよび/またはFe4(C,N))が分散した組織に変化し、HV700以上の硬質相が形成される。保持温度が100℃未満では上記の組織変化が不十分となり、所望の硬度を有する硬質相が形成されない。また、保持温度が500℃を超えると、形成される組織の粗大化を生じるとともに、表層部で脱窒が発生し、やはり硬質相の硬度が不十分となる。また、鉄系材料を所望の組織とするためには、上記温度における保持時間を60min以上とする。上記温度における保持時間を60min未満とすると、組織変化が不十分となり、HV700以上の硬質相が得られない。なお、60000minを超えて保持しても、それ以上の硬度の上昇は望めないため、60000min以下とすることが好ましい。
すなわち、表2に示す条件にて、窒化処理、冷却、その後の硬化熱処理(硬質相形成処理)を行った。窒化処理後の鉄系材料および、硬化熱処理後の鉄系材料について、EPMAを用いて、表面から深さ20μm近傍の窒素濃度(at%)を測定した。また、窒化処理後および、硬化熱処理後の鉄系材料について、表面から深さ20μm部を光学顕微鏡により観察し、構成ミクロ組織の判定を行うとともに、その部分のビッカース硬さを測定した。さらに、硬化熱処理後の鉄系材料については、20μm間隔で深さ方向にビッカース硬さ測定を行い、硬さがHV700を超える領域の厚さを測定した。
ここで、ビッカース硬さの測定はいずれも、荷重25gf(0.245N)、荷重保持時間15sの条件にて行った。
材料は、本発明との比較を目的として特性を調査したものであり、素材としての比較には、上記の通り35mmφの棒材とした後に、球状化焼なましを行ったものを用いた。さらに、表2に示すように、焼入れ焼戻しを行った材料について、表層から20μm部のビッカース硬さ、構成ミクロ組織、硬さがHV700を超える領域の厚さを測定した。
窒化後冷却条件が不適なNo.5およびNo.6では、冷却途中または冷却完了後にフェライト(α)相が生じ、硬化熱処理後には微細γ´率が低くなって十分な硬さが得られなかった。
Claims (4)
- C:0.1mass%以上1.5mass%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる材料の表層を窒化して得た硬質相を有し、該硬質相は、N:(8−[C])at%以上(11−[C])at%以下を含有するとともに、構成ミクロ組織がフェライト中に1nm以上300nm以下のFe 4 Nおよび/またはFe 4 (C,N)が面積率で25〜60%分散した組織であり、かつ硬さがHV700以上であることを特徴とする鉄系材料。
ただし、[C]は材料中のC含有量(at%) - 請求項1に記載の鉄系材料が、更に、
Cr:0.05mass%以上2.0mass%以下、
Al:0.005mass%以上0.5mass%以下、
Ti:0.0005mass%以上0.5mass%以下、
Nb:0.005mass%以上0.1mass%以下、
V:0.02mass%以上1.0mass%以下、
Mo:0.02mass%以上1.0mass%以下、
Mn:0.02mass%以上2.0mass%以下、
Si:0.02mass%以上2.0mass%以下、
Ni:0.02mass%以上2.0mass%以下、
Cu:0.02mass%以上2.0mass%以下および
Co:0.02mass%以上2.0mass%以下
の中から選択される少なくとも一種以上を含有することを特徴とする鉄系材料。 - C:0.1mass%以上1.5mass%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる材料に590℃以上の温度で窒化処理を施して該材料の表層にN:(8−[C])at%以上(11−[C])at%以下を含有させた後、500℃以下の温度域まで1℃/s以上の速度で冷却し、その後100〜500℃の温度域に保持して、構成ミクロ組織がフェライト中に1nm以上300nm以下のFe 4 Nおよび/またはFe 4 (C,N)が面積率で25〜60%分散したミクロ組織であり、かつ硬さがHV700以上である硬質相を形成することを特徴とする鉄系材料の製造方法。
ただし、[C]は材料中のC含有量(at%) - 請求項3に記載の鉄系材料が、更に、
Cr:0.05mass%以上2.0mass%以下、
Al:0.005mass%以上0.5mass%以下、
Ti:0.0005mass%以上0.5mass%以下、
Nb:0.005mass%以上0.1mass%以下、
V:0.02mass%以上1.0mass%以下、
Mo:0.02mass%以上1.0mass%以下、
Mn:0.02mass%以上2.0mass%以下、
Si:0.02mass%以上2.0mass%以下、
Ni:0.02mass%以上2.0mass%以下、
Cu:0.02mass%以上2.0mass%以下および
Co:0.02mass%以上2.0mass%以下
の中から選択される少なくとも一種以上を含有することを特徴とする鉄系材料の製造方法。
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