JP5839644B1 - 害虫の防除シート - Google Patents

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Abstract

Bacillus thuringiensis が産生する殺虫タンパク質(Cry毒素という)を固定化したポリヘドリンタンパク質多角体(Cry多角体という)を使用する害虫の防除シートである。害虫の防除シートはCry多角体を含有し、水に浮かべて使用する。シート形状の第一シート基材10の下面に、純粋マトリクス層20とCry多角体51を含む毒素含有マトリクス層30を積層し、水面に浮かぶシートである。純粋マトリクス層20は易分解性又は水溶性の第二素材からなり、毒素含有マトリクス層30は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなる。防除シートを浮かべた水中に、毒素含有マトリクス層からCry多角体が徐放される。

Description

本発明は水に浮かべて使用する害虫の防除シートに関するものである。
Bacillus thuringiensis が産生する殺虫タンパク質(以下「Cry毒素」という)はある種の昆虫に対して殺虫活性を示す。Bacillus thuringiensis serovar israelensisが産生するCry毒素はカの幼虫に対する毒性を持つことが知られている。
発明者らはカイコサイポウルス(Bombyxmori cypovirus, BmCPV)が作るタンパク質微結晶であるポリヘドリンタンパク質多角体に、Cry毒素を固定化した。当該Cry毒素を固定化した多角体を、以下「Cry多角体」という。すなわち、Cry毒素のN末に、ポリヘドリンタンパク質多角体にCry毒素を固定化するためのタグを付加した。次に、当該タグ付加Cry毒素をポリヘドリンタンパク質多角体に固定化した。
発明者らは、
(1) Cry多角体にカの幼虫の殺虫活性があり、
(2) Cry多角体を摂食したカの幼虫が死亡すること、
を、報告した(非特許文献1参照)。
しかし、カの幼虫が生息する自然環境中で、カの幼虫にCry多角体を容易に摂食させるための方途は未だ見出されていなかった。
日本蚕糸学会合同大会 昆虫機能・利用学術講演会 日蚕関西講演集(2012) A6 Bacillus thuringiensis δ内毒素の多角体への固定化とその応用原田佳寛、小谷英治、浅野眞一郎、森肇 2012年11月10日
解決しようとする問題点は、害虫にCry多角体を容易に摂食させるための方途を見出し、Cry多角体を有効成分とする害虫の防除シートと防除物を作り出すことである。
本発明のその他の課題は、本発明の説明により明らかになる。
以下に課題を解決するための手段を述べる。理解を容易にするために、本発明の実施態様に対応する符号を付けて説明するが、本発明は当該実施態様に限定されるものではない。また、符号である数字は部品などを集合的に示す場合があり、後に説明する実施例において個別の部品などを示す場合に、当該数字のあとにアルファベットの添字を付けているものがある。
本発明の一の態様にかかる防除シートは、
Bacillus thuringiensis が産生する殺虫タンパク質(以下「Cry毒素」という)を固定化したポリヘドリンタンパク質多角体(以下「Cry多角体」という)を含有し、水に浮かべて使用する害虫の防除シートにおいて、
シート形状の第一シート基材(10)の下面に、
純粋マトリクス層(20)を積層し、
前記純粋マトリクス層の下面にCry多角体(51)を含む毒素含有マトリクス層(30)を積層した防除シートであって、
前記防除シートは水面に浮かぶものであり、
前記純粋マトリクス層は易分解性又は水溶性の第二素材からなり、
前記毒素含有マトリクス層は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなり、
前記防除シートを浮かべた水中に、前記毒素含有マトリクス層からCry多角体が徐放されることを特徴とする。
害虫とはCry毒素で死ぬ虫であって、例えばハエ目、コウチュウ目、チョウ目の昆虫が挙げられる。
害虫に含まれるカの幼虫(日本ではボウフラ、ボウフリとも呼ばれる)は、水の表面と表面下数cmの間を浮遊している。ボウフラは定期的に水面に浮上して空気呼吸をしつつ、水中で摂食活動を行う。一方、Cry多角体の比重は1.27である。
Cry多角体を用いるカの幼虫駆除薬剤として、Cry多角体懸濁液が思い浮かぶ。しかし、懸濁液の形状でCry多角体を水中に投じるならば、Cry多角体は即座に沈降する。このため、Cry多角体はカの幼虫の生息場所である水表面下数cmの間に留まることができず、カの幼虫にとって摂食機会が無い。したがって、Cry多角体懸濁液はCry多角体が持つカの幼虫の殺虫活性を発揮できない。
本発明にかかる防除シートは、その他の構成に加えて、
(1) 水面に浮かび、
(2) 毒素含有マトリクス層は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなる、
構成である。このため、前記防除シートを浮かべた水中に、毒素含有マトリクス層からCry多角体が徐放される。よって、Cry多角体がカの幼虫の生息圏、すなわち、摂食位置に定常的に供給される。こうして、カの幼虫がCry多角体を摂食し、Cry多角体の殺虫活性が発揮される。
本発明の好ましい実施態様にかかる防除シートは、第二素材が第三素材と同一の成分からなるものであってもよく、また、第三素材が特定の成分よりなるものであってもよい。
これらの特定成分は、人体への健康のリスクが低い物質であり、飲料水など生活用水の貯水槽内で防除シートを使用する場合に好適な防除シートとなる。
本発明の好ましい実施態様にかかる他の防除シートにおいて、
第一シート基材は易分解性の第一素材からなり、前記毒素含有マトリクス層の分解又は水溶解は第一シート基材の分解又は水溶解よりも短時間で進行し、かつ、純粋マトリクス層の分解又は水溶解は第一シート基材の分解又は水溶解よりも短時間で進行するものであってもよい。
本好ましい実施態様は、防除シートの構成部分全てが分解又は水溶解するものであり、かつ、毒素含有マトリクス層がCry多角体を放出する期間中はシート基材がその形状を保持するから、防除シートが分解性であってもCry多角体は徐放される。
本好ましい実施態様にかかる防除シートは、使用後に残余物が残らない利点を有する。
本発明の他の好ましい実施態様にかかる防除シートにおいて、第一シート基材が不織布またはメッシュシートのいずれかであってもよい。第一シート基材が不織布またはメッシュシートであれば、第一シート基材単位面積当たりのCry多角体保持量が増大する利点がある。また、不織布とメッシュシートは多孔構造であるから、第一シート基材に気泡を含ませて浮遊体とすることが容易に行える利点がある。
第一シート基材は平板であってもよい。平板には、板、薄板、シートとフィルムを含む。また、平板の片面及び/または両面は平滑であってもよく、全面または部分的に凹凸であってもよい。
本発明の好ましい他の実施態様にかかる防除シートは、水に浮く性質が防除シートを構成する部材に含まれる気泡又は空気室に由来するものであってもよい。
すなわち、前記防除シートにあって、第一シート基材は気泡を含んだシート基材であってもよく、シート形状であって気泡を含んだ第二シート基材を第一シート基材の上面に積層したものであってもよく、また、前記毒素含有マトリクス層が気泡を含んだ毒素含有マトリクス層であってもよく、さらには、第一基材シートを二重にして間に空気室を設けたものであってもよい。
本発明の他の好ましい実施態様にかかる防除シートは、水に浮く性質が防除シートの表面に設けた疎水領域に由来するものであってもよい。
すなわち、前記防除シートにあって、第一シート基材の下面にパターン形状で疎水部分を形成し、第一シート基材の下面であって前記疎水部分が形成されない部分に前記純粋マトリクス層と前記毒素含有マトリクス層を積層したものでもよく、また、第一シート基材の上面に疎水部分を形成したものであってもよい。
本発明の好ましい実施態様にかかるその他の防除シートは、第一シート基材の下面に意匠を形成したものであってもよい。
意匠は印刷、描画などで形成する。意匠は、例えば文字、図形などである。意匠は、例えば、防除シートに取り換え時期が来たことを示す意匠や、衛生に関する注意喚起意匠を例示できる。
例えば、上記した第一シート基材の下面にパターン形状で形成する疎水部分が、文字や図形などの意匠であってもよい。また、当該疎水部分が文字や図形の一部であってもよい。さらに、第一シート基材の下面に意匠が形成されて、当該意匠は純粋マトリクス層と毒素含有マトリクス層に覆われていて、防除シートの使用前は当該意匠が見えず、防除シートを一定期間使用した後に純粋マトリクス層と毒素含有マトリクス層が分解などで消失して、当該意匠が顕在するものであってもよい。
一定期間使用の後に意匠が顕在する方策として、第三素材と第二素材を着色してもよい。飲料水など生活用水の貯水槽内で防除シートを使用する場合に、着色は食用色素を用いて行うことが好ましい。
本発明の他の態様にかかる防除物は、
水に浮上する物体の下面に、Cry多角体を含む毒素含有マトリクス層を積層した害虫の防除物であって、
水に浮上する物体の下面である水に接する面に、
純粋マトリクス層を積層し、
前記純粋マトリクス層の下面にCry多角体を含む毒素含有マトリクス層を積層した防除用物体であって、
前記純粋マトリクス層は易分解性又は水溶性の第二素材からなり、
前記毒素含有マトリクス層は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなり、
前記防除物を浮かべた水中に、前記毒素含有マトリクス層からCry多角体が徐放されることを特徴とする。
本発明のその他の態様にかかる転写シートは、
害虫の防除シートまたは防除物を製作するために使用する転写シートにおいて、
転写シート基材の一の表面に、Cry多角体を含む毒素含有マトリクス層、純粋マトリクス層と接着層を順に積層したものであって、
前記毒素含有マトリクス層は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなり、
前記純粋マトリクス層は易分解性又は水溶性の第二素材からなる。
以上説明した本発明、本発明の好ましい実施態様、これらに含まれる構成要素は可能な限り組み合わせて実施することができる。
本発明の一の態様にかかる防除シートは、その他の構成とともに、前記毒素含有マトリクス層は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなり、また、第一シート基材と毒素含有マトリクス層の間に純粋マトリクス層を有する。
このため、毒素含有マトリクス層の分解又は水溶解にともないCry多角体が徐々に水中に放出される。さらに、純粋マトリクス層の存在により、Cry多角体と第一シート基材が接触しないので、Cry多角体の放出が円滑に行われる。
本発明の他の態様にかかる防除物は、その他の構成とともに、前記毒素含有マトリクス層は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなり、また、物体の下面と毒素含有マトリクス層の間に純粋マトリクス層を有する。
このため、毒素含有マトリクス層の分解又は水溶解にともないCry多角体が徐々に水中に放出される。さらに、純粋マトリクス層の存在により、Cry多角体と物体の下面が接触しないので、Cry多角体の放出が円滑に行われる。
本発明のその他の態様にかかる転写シートは、その他の構成とともに、転写シート基材の一の表面に、Cry多角体を含む毒素含有マトリクス層、純粋マトリクス層と接着層を順に積層している。このため、第一シート基材または物体の形状や物性にかかわらず、本転写シートを使用して転写シート基材上の積層物を転写することにより、層の厚さや層の均質性などの積層状態が好ましく制御された防除シートまたは防除物を製作できる利点がある。
図1は第一防除シート1aの断面説明図である。 図2は第二防除シート1bの断面説明図である。 図3は第三防除シート1cの断面説明図である。 図4は第四防除シート1dの断面説明図である。 図5は第五防除シート1eの断面説明図である。 図6は第六防除シート1fの断面説明図である。 図7は第七防除シート1gの断面説明図である。 図8は防除物の断面説明図である。 図9は防除物を製作するための転写シートの断面説明図である。 図10は第八防除シート1hの断面説明図である。 図11は第九防除シート1iの断面説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施例にかかる防除シート、防除物と転写シートをさらに説明する。本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするため、一部の構成要素を誇張して表すなど模式的に表しているものがある。このため、構成要素間の寸法や比率などは実物と異なっている場合がある。
また、積層状態を図示する断面図にあって、層と層の間の空白は、積層状態を分かり易く説明するために図面に設けたものである。実際の防除シートと防除物にあっては層と層が接している。
さらに、本発明の実施例に記載した部材や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載のない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は第一防除シート1aの断面説明図である。
第一防除シート1aは、第一シート基材10の下面に、純粋マトリクス層20を積層し、純粋マトリクス層20の下面に毒素含有マトリクス層30を積層している。
本発明と本明細書において、上面と下面は説明の都合上定めたものである。上面と下面は防除シートを水に浮かべた場合に、水に接するあるいは水没する面を下面とし、大気側に位置する面を上面と呼ぶ。以下に説明する第二から第九防除シートと防除物についても同じである。
第一シート基材10は純粋マトリクス層20と毒素含有マトリクス層30の支持部材である。第一シート基材10は第一素材からなる。第一素材は、易分解性、水溶性、難分解性または難水溶性のいずれであってもよい。第一素材は自然環境保護の観点から易分解性又は水溶性であることが好ましい。また、第一素材は人体への健康のリスクが低い物質であることが好ましい。防除シートを生活水貯水槽の害虫の防除に使用することもあるからである。
第一シート基材は二次元方向に延びるシート形状である。二次元方向に延びるシート形状とは、例えば、シート、フィルムや紙の形状である。第一シート基材の厚さに特に制限はないが、厚さが16μm(マイクロメートル)以上3mm(ミリメートル)以下であることが好ましい。この厚さにすれば、第一シート基材に適度な強度が備わり、純粋マトリクス層20と毒素含有マトリクス層30などの積層加工が容易になるからである。また、第一シート基材をこの厚さにすれば、分解性素材を使用した場合に自然環境中での分解に必要とされる時間の設計が容易となる。
第一シート基材の平面大きさに特に制限はない。例えば、防除シートを設置する貯水槽の水面大きさに合わせて平面大きさを決定すればよい。
純粋マトリクス層20は毒素含有マトリクス層30と第一シート基材10を離隔する部材である。毒素含有マトリクス層に含まれるCry多角体が第一シート基材と接触するならば、Cry多角体と第一シート基材の固着が生じ得る。このため、第一防除シートからCry多角体の放出が困難になる。
上述した困難を防止するために、防除シートは純粋マトリクス層20を設け、毒素含有マトリクス層30と第一シート基材10を離隔して、Cry多角体の放出を図っている。
純粋マトリクス層20は易分解性又は水溶性の第二素材からなる。第二素材は人体への健康のリスクが低い物質であることが好ましい。防除シートを生活水貯水槽の害虫の防除に使用することも想定されるからである。純粋マトリクス層の厚さは、特に制限は無く任意の値にすることができ、好ましくは5nm(ナノメートル)以上50μm(マイクロメートル)以下である。この厚さ範囲にあると、毒素含有マトリクス層30と第一シート基材10の離隔が達成されるからである。
純粋マトリクス層20は、塗工、印刷や浸漬(dipping)により形成すればよい。
なお、純粋マトリクス層20という呼名中の「純粋」とは、毒素を含まないという意味を表すものである。同様の観点から毒素を含んだマトリクス層を毒素含有マトリクス層30と名前付けている。例えば、純粋マトリクス層20の素材は「夾雑物を極限まで取り除いた純粋な材料である」といった意味を包含することは無い。
毒素含有マトリクス層30は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなる層である。毒素含有マトリクス層30は、第三素材の分解又は水溶解に伴い、Cry多角体を放出する部材である。
毒素含有マトリクス層30は易分解性又は水溶性の第三素材からなる。第三素材は人体への健康のリスクが低い物質であることが好ましい。防除シートを生活水貯水槽の害虫の防除に使用することも想定されるからである。毒素含有マトリクス層30の厚さは、特に制限は無く任意の値にすることができ、好ましくは5nm(ナノメートル)以上1mm(ミリメートル)以下である。この厚さ範囲にすれば、Cry多角体の放出が達成される。厚さの下限値である5nm(ナノメートル)は、第三素材のみが存在する部分(Cry多角体が位置付けられていない部分)における毒素含有マトリクス層の厚さである。
Cry多角体は、カイコサイポウルス(Bombyxmori cypovirus, BmCPV)が作るタンパク質微結晶であるポリヘドリンタンパク質多角体に、Cry毒素を固定化した物質である。すなわち、Cry毒素のN末に、ポリヘドリンタンパク質多角体にCry毒素を固定化するためのタグを付加した。次に、当該タグ付加Cry毒素をポリヘドリンタンパク質多角体に固定化した。この場合、ポリヘドリンタンパク質のN末にあるαヘリックスH1(文献C−1参照)をCry毒素のN末に付加することでCry毒素を多角体に固定化できる。多角体はpH10以上で溶解するが、カの幼虫の消化管の中は多角体が溶解するアルカリ条件であるため(文献C−2参照)、多角体はCry毒素のキャリアとして適している。Cry多角体の大きさをその外接球で示すと、外接球の直径が3μm(マイクロメートル)〜15μm(マイクロメートル)である。
Cry多角体に固定化して毒素含有マトリクス層に含有させるCry毒素は、通常Bacillus thuringiensisに含まれる細菌とその変種や亜種が産生する殺虫タンパク質である。より好ましいCry毒素は、Bacillus thuringiensis serovar israelensis が産生するCry毒素であるCry11Aa, Cry4Aa, Cry4Ba, Cry10Aa である。よりいっそう好ましいCry毒素はBacillus thuringiensis serovar israelensis が産生するCry毒素であるCry11Aa である。
Cry11Aa はデング熱ウイルスを始めとするアルボウイルスを媒介するヤブカ属、フィラリアを媒介するイエカ属、そしてマラリア原虫を媒介するハマダラカ属のカの幼虫に対して特に強い毒性を示す(文献C−3参照)。
<参照文献>
<文献C−1> Hiroshi Ijiri, Fasseli Coulibaly, Gento Nishimura et al., Structure-based targeting of bioactive proteins into cypovirus polyhedra and application to immobilized cytokines for mammalian cell culture, Biomaterials 30 (2009) 4297-4308
<文献C−2> Despres Laurence, Lagneau Christophe & Frutos Roger, Using the Bio-Insecticide Bacillus thuringiensis israelensis in Mosquito Control, Pesticides
in the Modern World - Pests Control and Pesticides Exposure and Toxicity Assesment, Edited by Dr. Magarita Stoytcheva, Publisher In tech, September, 2011
<文献C−3> Jesko Oestergaad, Ralf-Udo Ehlers, Amparo C. Martinerz-Ramirez etal., Binding of Cyt1Aa and Cry11Aa Toxins of Bacillus thuringiensis Serovar israelensis to Brush Border Membrane Vesicles of Tipula paludosa (Diptera:Nematocera) and Subsequent Pore Formation, Applied and Environmental Microbiology, Vol. 73, No. 11, (June 2007) 3623-3629
毒素含有マトリクス層30は、第三素材とCry多角体を混合し、当該混合物を塗工や印刷して形成すればよい。
第一防除シート1aは水面に浮かぶ。こうして、水面下数cmのカの幼虫の生息領域にCry多角体を徐放し、カの幼虫によるCry多角体の摂食を図るものである。
第一防除シート1aは水面に設置すれば、毒素含有マトリクス層30から防除シート1aを浮かべた水中にCry多角体が徐放される。
第一素材は第一シート基材10の材料である。第一素材の中で、易分解性又は水溶性の材料を例示すると、ポリ乳酸、キチン、キトサン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリブチレンサクシネート、セルロース、タンパク質との混合材料を含む澱粉系、天然繊維(コットン、羊毛、麻、パルプ、絹、ケナフ、バナナ、竹など)およびこれらの混合物を挙げることができる。これら例示した材料は人体への健康のリスクが低い物質である。
第一素材の中で、難分解性の材料を例示すると、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アセテート系樹脂、ポリアミド系樹脂などの樹脂シート、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系、およびこれらが複合された物質を挙げることができる。
第三素材は毒素含有マトリクス層30のマトリクス材料である。第三素材を例示すると、コラーゲン、ゼラチン、キチン、キトサン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニン、フィブリン、アルギン酸、フィブロイン、デンプン、ペクチン、ペクチン酸、アガロース、ヘパリン、グリコサミノグリカン、カルボキシメチル化セルロース、セロウロン酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル系ポリマー、シリコーン樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリε−カプロラクトン、ウシ血清アルブミン、カゼイン、スクロースおよびこれらの混合物、重合体、共重合体、架橋物である。これら例示した材料は人体への健康のリスクが低い物質である。
第二素材は純粋マトリクス層20の材料である。第二素材の例示は、上述した第三素材の例示と同一である。
第一防除シート1aにあって、第二素材は第三素材と同一の成分からなることが好ましい。第一防除シート1aの設計にあって、毒素含有マトリクス層30と純粋マトリクス層20のそれぞれの分解時間の設計が容易となるからである。また第一防除シート1aの生産にあって、材料の種類が減少し、生産工程が単純化、生産管理が容易化するなどの理由からである。
第一防除シート1aにあって、シート基材10は易分解性の第一素材からなり、第三素材の分解又は水溶解は第一素材の分解又は水溶解よりも短時間で進行することが好ましく、かつ、第二素材の分解又は水溶解は第一素材の分解又は水溶解よりも短時間で進行することが好ましい。この条件を満たせば、毒素含有マトリクス層30に含まれるCry多角体の全量が、徐放されるなどの理由による。
毒素含有マトリクス層30の分解又は水溶解の時間は、通常15日から90日であり、好ましくは15日から60日であり、より好ましくは25日から45日である。
純粋マトリクス層20の分解又は水溶解の時間は、毒素含有マトリクス層の分解又は水溶解の時間に比較して、通常、マイナス5日からプラス10日、好ましくはマイナス3日からプラス10日、より好ましくはプラスマイナス1日である。もっとも、分解又は水溶解の時間は通常日(24時間)の単位で定めることはできない。なぜなら、分解などの進行は、水温、水質など変動の大きい要因に影響されるので、分解の期間を月単位程度で大まかに定めざるを得ないからである。このため、第二素材と第三素材に同一材料を使用して素材の分解時間を一致させ、層の厚さや層中の素材の濃度を調整して、2つの層の分解などの期間を設計することがより好ましい。
易分解性又は水溶解性の第一基材シートの場合、分解又は水溶解の時間は、通常180日であり、より好ましくは、毒素含有マトリクス層の分解又は水溶解の時間に比較して、プラス30日からプラス60日である。
第一シート基材は不織布またはメッシュシートであってもよい。
図10に模式的に図示した第八防除シート1hは不織布の第一シート基材10を使用している。不織布の表面には、Cry多角体51と比較して、大きな凹凸が多くある。このため、不織布の第一シート基材を使用した防除シートは、平板形状の第一シート基材を使用した防除シートと比較して、第一シート基材単位面積当たりのCry多角体保持量が増大する利点がある。また、不織布は多孔構造であるから、第一シート基材に気泡を含ませて浮遊体とすることが容易に行える利点がある。
図10に図示した第八防除シート1hにあっては、第一シート基材10と純粋マトリクス層20の間及び純粋マトリクス層20と毒素含有マトリクス層30の間は空白を設けることなく、層と層が接触した状態を図示した。
不織布の第一シート基材10を構成する第一素材は、特に制限なく前述した種々の第一素材を用いることができるが、天然繊維(コットン、羊毛、麻、パルプ、絹、ケナフ、バナナ、竹など)を用いることが好ましい。天然繊維は人体への健康のリスクが低いからである。
図11に模式的に図示した第九防除シート1iはメッシュシートの第一シート基材10を使用している。メッシュシートの表面には、Cry多角体51と比較して、大きな凹凸が多くある。このため、メッシュシートの第一シート基材を使用した防除シートは、平板形状の第一シート基材を使用した防除シートと比較して、第一シート基材単位面積当たりのCry多角体保持量が増大する利点がある。また、メッシュシートは多孔構造であるから、第一シート基材に気泡を含ませて浮遊体とすることが容易に行える利点がある。
図11に図示した第九防除シート1iにあっては、第一シート基材10と純粋マトリクス層20の間及び純粋マトリクス層20と毒素含有マトリクス層30の間は空白を設けることなく、層と層が接触した状態を図示した。
図2は第二防除シート1bの断面説明図である。第二防除シート1bは、第一防除シート1aと比較すると、第一シート基材が気泡を含む点が異なる。その他の構成や各層の材料など残余の諸点は同一である。ここでは相違点である第一シート基材を説明する。
第二防除シート1bは気泡含有第一シート基材10aを有する。気泡含第一シート基材10aの内部には複数の気泡16を有する。このため、気泡含有第一シート基材10aは比重が小さくなり、その結果、第二防除シート1b全体の比重が小さくなり、第二防除シート1bが水に浮かぶ。
気泡含有第一シート基材10aは、例えば、以下に列挙する方法で製造することができる。
(1) 第一素材をシート形状に整形した後に加圧不活性ガス雰囲気中に保持してシート形状第一素材に不活性ガスを含有させ、さらに当該シート形状第一素材を常圧化で加熱して発泡させる。
(2) 第一素材をシート形状に成形する時に水分を含ませ、当該水分含有材料を加熱して発泡させる。
(3) 第一素材に発泡剤を加えて気泡含有素材を製造する。発泡剤としては公知の発泡剤、例えばプロパンなどの炭化水素類やジメチルエーテルなどのエーテル類を用いることができる。
図3は第三防除シート1cの断面説明図である。第三防除シート1cは、第一防除シート1aと比較すると、第一シート基材10の上に気泡含第二シート基材11が積層されている点が異なる。その他の構成や各層の材料など残余の諸点は同一である。ここでは相違点である気泡含第二シート基材を説明する。
第三防除シート1cは、第一シート基材10の上面に気泡含第二シート基材11が積層されている。気泡含第二シート基材11の内部には複数の気泡16を有する。気泡含第二シート基材11は比重が小さく、その結果、第三防除シート1c全体の比重が小さくなり、第三防除シート1cが水に浮かぶ。
第三防除シート1cは、例えば、第一シート基材10に純粋マトリクス層20と毒素含有マトリクス層30を形成した後に、第一シート基材10の上面に気泡含第二シート基材11を積層するか、又は張り合わせて製造する。
気泡含第二シート基材11の材料、発泡方法、その分解または水溶解の時間は第一シート基材10と同じである。気泡含第二シート基材11の発泡方法は、気泡含有第一シート基材10aの発泡方法と同じである。
図4は第四防除シート1dの断面説明図である。第四防除シート1dは、第一防除シート1aと比較すると、毒素含有マトリクス層が気泡を含む点が異なる。その他の構成や各層の材料など残余の諸点は同一である。ここでは相違点である気泡含毒素含有マトリクス層30aを説明する。
第四防除シート1dを構成する気泡含毒素含有マトリクス層30aは、内部に複数の気泡56とCry多角体51を有する。気泡含毒素含有マトリクス層30aは比重が小さく、その結果、第四防除シート1d全体の比重が小さくなり、第四防除シート1dが水に浮かぶ。
気泡含毒素含有マトリクス層30aは、例えば、以下に列挙する方法で製造することができる。
(1) 第三素材とCry多角体の混合物に気泡を混練し、その後硬化させる。気泡の一例は空気の泡である。
(2) 第三素材とCry多角体の混合物に発泡剤を加えて気泡含有素材を製造する。発泡剤としては公知の発泡剤、例えばプロパンなどの炭化水素類やジメチルエーテルなどのエーテル類を用いることができる。
図5は第五防除シート1eの断面説明図である。
第五防除シート1eは、第一防除シート1aと比較すると、第一シート基材が二重であってその間に空気室を設けた点が異なる。その他の構成や各層の材料など残余の諸点は同一である。ここでは相違点である二重の第一シート基材を説明する。
第五防除シート1eは、上面第一シート基材10bと下面第一シート基材10cが二重に重ねられ第一シート基材10を形成している。上面第一シート基材10bと下面第一シート基材10cの間は部分的に離間して空気室15を形成している。このため、上面第一シート基材10bと下面第一シート基材10cからなる第一シート基材10は比重が小さく、その結果、第五防除シート1e全体の比重が小さくなり、第五防除シート1eが水に浮かぶ。
図5にあっては、下面シート基材10c、純粋マトリクス層20と毒素含有マトリクス層30は層と層が接触した状態を図示した。
図6は第六防除シート1fの断面説明図である。
第六防除シート1fは、第一シート基材10の下面に疎水部分13をパターン形状で形成し、第一シート基材の下面であって疎水部分が形成されない部分に純粋マトリクス層20と毒素含有マトリクス層30を積層した防除シートである。疎水部分13のパターンは、例えば、市松模様、格子状、散点状などを挙げることができる。疎水部分と純粋マトリクス層などの積層部分は相互に隣り合う位置関係にあると表現することもできる。
物質、特にシート形状物質は、その表面に疎水性質があると水に浮かぶ性質がある。第六防除シート1fは下面に部分的に疎水部分を形成していて、当該疎水部分が露出している。このため、第六防除シート1fは水に浮かぶ。
疎水部分は、疎水材料を塗布することにより形成してもよい。また、疎水部分は、第一シート基材10の表面を撥水加工して形成してもよい。疎水材料としては、フッ素系の撥水擁油材または疎水性酸化物微粒子(例えば、文献C−4参照)を例示できる。撥水加工としてはエンボス加工を例示できる。
<参照文献>
<文献C−4>特許第4348401号
図7は第七防除シート1gの断面説明図である。
第七防除シート1gは、第六防除シート1fと同様に第一シート基材10に疎水部分を形成したものである。第七防除シート1gは、第一シート基材の上面に疎水部分13を形成している。その他の構成や各層の材料など残余の諸点は第一防除シート1aと同一である。
図7を参照して、第七防除シート1gは第一シート基材10の上面に疎水部分13を形成している。疎水部分13は第七防除シート1gの外部に露出している。このため、第7防除シート1gは水に浮かぶ。
疎水部分13は、第一シート基材10の上面の全面に形成してもよく、第一シート基材10の上面に部分的に形成してもよい。加工の容易性から全面に形成することが好ましい。
第一防除シートから第九防除シートのいずれかにあって、第一シート基材の下面に意匠を形成してもよい。意匠は文字や図形などである。意匠は印刷や描画で形成してもよく、第一シート基材の表面にエンボス加工をすることにより、意匠を表現してもよい。意匠の例は、防除シートの取り換えについて注意を喚起するものや、第一シート基材の廃棄などの処分方法を知らせるもの、衛生に関する事項などである。
防除シートの使用開始時には、第一シート基材の下面は純粋マトリクス層と毒素含有マトリクス層に覆われている。このため、意匠は見えない。そして、防除シートの使用終期に純粋マトリクス層と毒素含有マトリクス層が消失すると意匠が顕在化する。よって、使用者の興味を引き付ける意匠となる。
飲料水など生活用水の貯水槽内で防除シートを使用する場合に、意匠の印刷や描画には、可食性のインキを使用することが好ましい。
また、防除シートの使用開始時に意匠をより一層隠蔽しておくために、純粋マトリクス層及び/又は毒素含有マトリクス層に着色してもよい。飲料水など生活用水の貯水槽内で防除シートを使用する場合に、着色は食用色素を用いて行うことが好ましい。
図8は防除物の断面説明図である。
防除物6は、水に浮上する物体117の下面である水に接する面に、純粋マトリクス層120を積層し、前記純粋マトリクス層の下面にCry多角体を含む毒素含有マトリクス層
130を積層した防除物である。
純粋マトリクス層120は易分解性又は水溶性の第二素材からなる。毒素含有マトリクス層130は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体51からなる。
物体117は水に浮上するものであって、物体117に積層した毒素含有マトリクス層130からCry多角体51を徐放できる形状であれば、その材質、形状に特に制限は無い
。物体117は例えば種々の形状の木片、船型や蓋型の合成樹脂や金属である。
純粋マトリクス層を積層する面は、物体の下面である水に接する面である。
物体117の表面と純粋マトリクス層120は、接着層60により接着される。接着層60の材質は、フィブリン糊、ゼラチン糊、シアノアクリレート系、ウレタンプレポリマー、ハイドロゲル、多糖類の架橋物、漆などの天然の粘着性付与樹脂、およびこれらの混合物、これらと生分解性樹脂との混合物である。これら例示した物質は、人体への健康のリスクが低い物質である。
毒素含有マトリクス層130の構成は、防除シートにおける毒素含有マトリクス層30の構成と同一である。毒素含有マトリクス層130のマトリクスの材料は、防除シートにおける第三素材と同一である。純粋マトリクス層120の構成は、防除シートにおける純粋マトリクス層20の構成と同一である。純粋マトリクス層120の材料は、防除シートにおける第二素材と同一である。
図9は防除物を製作するための転写シートの断面説明図である。
転写シート70は、転写シート基材71の一方の面に、毒素含有マトリクス層130、純粋マトリクス層120と接着層60をこの順序に積層してものである。各層の材料などは防除物6で説明したとおりである。
転写シート基材71は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)のシートである。転写シート70を水に浮かべ、上方から物体117を押し付けて層状物を転写して、防除物6を製作することができる。なお、PVAは水溶解して消失する。
転写シート70は、曲面を有する物体117に防除のための積層物を形成することができる。
図9を参照しつつ説明した転写シート70はいわゆる水圧転写シートであるが、防除物を製作するための転写シートは、大気中で転写される通常の転写シートであってもよい。通常の転写シートの場合には、転写シート基材として離形処理したフィルムを用いることができる。
転写シート基材は、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アセテート系樹脂、ポリアミド系樹脂などの樹脂シート、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系、およびこれらが複合された物質を材料とするシートが使用できる。
転写シート70を使用して防除シートを製作してもよい。
以上説明した防除シートと防除物にあって、毒素含有マトリクス層及び/または純粋マトリクス層に、酵母など害虫の好む餌を含有してもよい。このようにすれば、害虫を防除シートと防除物近傍に誘引できるので、害虫防除効果が高まる。
1a 第一防除シート
1b 第二防除シート
1c 第三防除シート
1d 第四防除シート
1e 第五防除シート
1f 第六防除シート
1g 第七防除シート
1h 第八防除シート
1i 第九防除シート
6 防除物
10 第一シート基材
10a 気泡含第一シート基材
10b 上面第一シート基材
10c 下面第一シート基材
11 気泡含第二シート基材
12 疎水部分
13 疎水部分
15 空気室
16 気泡
20 純粋マトリクス層
30 毒素含有マトリクス層
30a 気泡含毒素含有マトリクス層
51 Cry多角体
56 気泡
60 接着層
70 転写シート
71 転写シート基材
117 物体
120 純粋マトリクス層
130 毒素含有マトリクス層

Claims (14)

  1. Bacillus thuringiensis が産生する殺虫タンパク質(以下「Cry毒素」という)を固定化したポリヘドリンタンパク質多角体(以下「Cry多角体」という)を含有し、水に浮かべて使用する害虫の防除シートにおいて、
    シート形状の第一シート基材の下面に、
    純粋マトリクス層を積層し、
    前記純粋マトリクス層の下面にCry多角体を含む毒素含有マトリクス層を積層した防除シートであって、
    前記防除シートは水面に浮かぶものであり、
    前記純粋マトリクス層は易分解性又は水溶性の第二素材からなり、
    前記毒素含有マトリクス層は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなり、
    前記防除シートを浮かべた水中に前記毒素含有マトリクス層からCry多角体が徐放されることを特徴とする防除シート。
  2. 第二素材は、第三素材と同一の成分からなることを特徴とする請求項1に記載した防除シート。
  3. 第三素材は、コラーゲン、ゼラチン、キチン、キトサン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニン、フィブリン、アルギン酸、フィブロイン、デンプン、ペクチン、ペクチン酸、アガロース、ヘパリン、グリコサミノグリカン、カルボキシメチル化セルロース、セロウロン酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸エステル系ポリマー、シリコーン樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリε−カプロラクトン、ウシ血清アルブミン、カゼイン、スクロースおよびこれらの混合物、重合体、共重合体、架橋物からなる群より選択される1又は2以上の成分よりなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した防除シート。
  4. 第一シート基材は易分解性の第一素材からなり、前記毒素含有マトリクス層の分解又は水溶解は第一シート基材の分解又は水溶解よりも短時間で進行し、かつ、純粋マトリクス層の分解又は水溶解は第一シート基材の分解又は水溶解よりも短時間で進行することを特徴とする請求項1から3いずれかに記載した防除シート。
  5. 第一シート基材は不織布またはメッシュシートのいずれかであることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載した防除シート。
  6. 第一シート基材は、気泡を含んだシート基材であることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載した防除シート。
  7. シート形状であって気泡を含んだ第二シート基材を第一シート基材の上面に積層したことを特徴とする請求項1から4いずれかに記載した防除シート。
  8. 前記毒素含有マトリクス層が気泡を含んだ毒素含有マトリクス層であることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載した防除シート。
  9. 第一基材シートを二重にして間に空気室を設けたことを特徴とする請求項1から4いずれかに記載した防除シート。
  10. 第一シート基材の下面にパターン形状で疎水部分を形成し、第一シート基材の下面であって前記疎水部分が形成されない部分に前記純粋マトリクス層と前記毒素含有マトリクス層を積層した請求項1から4いずれかに記載した防除シート。
  11. 第一シート基材の上面に疎水部分を形成したことを特徴とする請求項1から4いずれかに記載した防除シート。
  12. 第一シート基材の下面に意匠を形成したことを特徴とする請求項1から11いずれかに記載した防除シート。
  13. 水に浮上する物体の下面に、Cry多角体を含む毒素含有マトリクス層を積層した、害虫の防除物において、
    水に浮上する物体の下面である水に接する面に、純粋マトリクス層を積層し、
    前記純粋マトリクス層の下面にCry多角体を含む毒素含有マトリクス層を積層した防除物であって、
    前記純粋マトリクス層は易分解性又は水溶性の第二素材からなり、
    前記毒素含有マトリクス層は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなり、
    前記防除物を浮かべた水中に前記毒素含有マトリクス層からCry多角体が徐放されることを特徴とする防除物。
  14. 害虫の防除シートまたは防除物を製作するために使用する転写シートにおいて、
    転写シート基材の一の表面に、Cry多角体を含む毒素含有マトリクス層、純粋マトリクス層と接着層を順に積層したものであって、
    前記毒素含有マトリクス層は易分解性又は水溶性の第三素材とCry多角体からなり、
    前記純粋マトリクス層は易分解性又は水溶性の第二素材からなる転写シート。
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