JP5837428B2 - グロープラグ及びグロープラグの製造方法 - Google Patents
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Description
シースヒータ300は、後端が開口し先端が閉じた筒状形態である金属製のシースチューブ300aと、そのシースチューブ300aの後端側から当該シースチューブ300a内に自己の先端側を臨ませた円柱状の通電端子軸300bと、その通電端子軸300bに自己の後端が接続されると共に先端が前記シースチューブ300aの先端内面に接続された抵抗線コイル300cと、前記シースチューブ300a内に充填されて前記通電端子軸300bの先端側と抵抗線コイル300cとを埋設する絶縁粉末300d(例えばマグネシアの粉末)と、前記通電端子軸300bと前記シースチューブ300aの後端内周面との間に環状に配置され当該シースチューブ300aの後端開口を塞いで封止する封止部材300e(例えば絶縁可能・弾性変形可能なゴムパッキン)と、から概略構成される。
そして、前記シースチューブ300aは、封止部材300eを後端開口に装着した組状態のままスウェージングにより所定径に絞られることで形成される(特許文献1)。
一方、抵抗線コイル300cのコイルピッチを小さくすると、図6の拡大図及び図7(c)に示したように、抵抗線コイル300cのコイル同士が接触する場合がある。抵抗線コイル300cのコイル同士の接触は、短絡により抵抗値が下がって設計上の昇温性能が得られないおそれがあるため好ましくない。
すなわち、シースヒータ300の一般的な製造方法は、抵抗線コイル300cを装填したシースチューブ300aを垂直に支持して後端開口を上に向け、その状態で該シースチューブ300a内に絶縁粉末300dを充填した後、後端開口に封止部材300eを装着して封止し、その後、シースチューブ300aを中の絶縁粉末300dや抵抗線コイル300cごとスウェージングで絞って所定径に縮径する、というものである。
斯かる製造方法では、先ず、図7(a)に示したように垂直に立てたシースチューブ300a内において抵抗線コイル300cも垂直に支持されるため、該抵抗線コイル300cのコイルピッチが抵抗線コイル300cの自重と通電端子軸300bの重量とを受けて減少する。自重等によるコイルピッチの減少の度合いは、全自重が加わる抵抗線コイル300cのコイル先端部300fで最も大きく、場合によってはコイル同士が接触する。
一方、抵抗線コイル300cの自重等によるコイルピッチの減少は、シースヒータ300の製造の最終段階で行われるシースチューブ300aのスウェージングでほぼ解消される。スウェージングによりシースチューブ300aと一緒に抵抗線コイル300cが軸方向に伸びてコイルピッチが広がるためである。
しかし、シースチューブ300aの先端は、略半球状または略円錐状のように漸次縮径して最終的に閉じた形状であってスウェージング後のチューブ径より細い部分が大半であるため、スウェージングの作用を受けにくい。したがって、シースチューブ300aの先端部分にある抵抗線コイル300cのコイルピッチは狭くなった状態のまま残る。
また、前記シースチューブ300aのスウェージングが、後端から先端方向に行われる場合(以下、「逆方向スウェージング」ともいう。)、スウェージング方向の圧力を受けた絶縁粉末300dがシースチューブ300aの先端部分にある抵抗線コイル300cを押し込むため、その部分にある抵抗線コイル300cのコイル先端部300fのコイルピッチがさらに減少する。
よって、抵抗線コイル300cのコイル同士の接触は、シースチューブ300aの先端部分(即ち、抵抗線コイル300cのコイル先端部300f)で生じやすい。
また、前記したスウェージング時における抵抗線コイル300cのコイルピッチの減少に対して従来は、シースチューブ300aのスウェージングを先端から後端方向に行う(以下、「正方向スウェージング」ともいう。)ようにしている。しかしながら正方向スウェージングは、シースチューブ300aに軸方向の圧縮力が作用するため曲がりやすい問題があり、そのためスウェージングの加工時間を長くするか或は少しずつ複数回に分けて行う必要があって効率が悪い。
筒状の主体金具と、
該主体金具の内側に装着したシースヒータと、を備え、
該シースヒータは、
後端が開口し先端が閉じた筒状をなす金属製のシースチューブと、
そのシースチューブの後端側から当該シースチューブ内に自己の先端側を臨ませた柱状の通電端子軸と、
その通電端子軸に自己の後端が接続されると共に先端が前記シースチューブの先端内面に接続された抵抗線コイルと、
前記シースチューブ内に充填された絶縁粉末と、
前記通電端子軸と前記シースチューブの後端内周面との間に環状に配置され、当該シースチューブの後端開口を塞ぐ封止部材と、を備えたグロープラグの製造方法であって、
前記シースヒータは、前記抵抗線コイルを装填した前記シースチューブを垂直に立てて後端開口を上に向け、その状態で該シースチューブ内に前記絶縁粉末を充填して後端開口に前記封止部材を装着し、その後、前記シースチューブをスウェージングで絞って所定径に縮径する工程を含み、
前記シースチューブは、スウェージング前の状態で、自己の外径が縮径し始める縮径境界部を有すると共に、該縮径境界部から先が漸次縮径した形態をなしており、
前記抵抗線コイルは、前記シースチューブに装填する前の状態で、スウェージング前のシースチューブの先端内面から前記縮径境界部までの領域にほぼ対応するコイル先端部のコイルピッチを、該コイル先端部に連続する主要部のコイルピッチより大きく設定したものであるグロープラグの製造方法を提供する。
図1に示したようにグロープラグ1は、両端が開口した筒状の主体金具2と、主体金具2の中心を貫くシースヒータ3と、から概略構成される。
先ず、通電端子軸8の先端に抵抗線コイル9の後端を接続し、さらに抵抗線コイル9をシースチューブ7の中に装填して該シースチューブ7の先端内面に抵抗線コイル9の先端を溶接する。
こうして組状態にしたシースヒータ3のシースチューブ7を、図3に示したようにダイス12に通してスウェージングをする。このスウェージングは、シースチューブ7の先端側から後端側に相対的にダイス12を移動させる正方向スウェージングと、シースチューブ7の後端側から先端側に相対的にダイス12を移動させる逆方向スウェージングのどちらでもよいが、実施形態では逆方向スウェージングでシースチューブ7を所定径に縮径するようになっている。なお、このスウェージングにより、シースチューブ7の外径は縮径境界部7Lを含めて所定径に縮径される。
比較のため、主要部とコイル先端部のコイルピッチが、0.40mm(比較例1)、0.42mm(比較例2)、0.44mm(比較例3)、0.45mm(比較例4)、0.47mm(比較例5)、の抵抗線コイルを使ってシースヒータを製造し、上記のように抵抗減少量の最大値を求め、また、850℃到達時間を測定した。
その結果を表1に示す。
表1の比較例1〜3の結果より、コイルピッチが0.40〜0.44mmまでの抵抗線コイルは、電気抵抗の減少が見られることから絶縁粉末充填後にコイル同士が接触していることが判る。また、比較例4,5の結果より、コイルピッチが0.45mm以上の抵抗線コイルは、電気抵抗の減少が確認されないことから絶縁粉末充填後においてもコイル同士の接触はないことが判る。しかしながら、比較例4,5のシースヒータは、コイルピッチが全体にわたって大きいため、850℃到達時間が5.7秒を越えており、急速昇温用の製品には不向きである。
これに対し本発明1は、抵抗減少量が零であることと、850℃到達時間が4.5秒±0.5秒の両条件を満たしているため、品質の安定性と、急速昇温性の双方を満足させ得るものであることが確認できた。
比較のため、主要部とコイル先端部のコイルピッチが0.42mmに統一された抵抗線コイルを使って比較例6〜8のシースヒータを製造した。その際、正方向スウェージングで加工時間を長くした場合(比較例6)と、逆方向スウェージングで加工時間を短くした場合(比較例7)と、正方向スウェージングで加工時間を短くした場合(比較例8)のそれぞれについて、シースチューブの曲がりの有無、装填前の前抵抗値とスウェージング後の後抵抗値による抵抗減少量の最大値(n=30)を測定した。
その結果を表2に示す。
また、比較例6,8と比較例7の結果より、シースチューブを曲げずに加工時間を相対的に短くするには逆方向スウェージングによるのがよいが、逆方向スウェージングにはコイル同士の接触リスクを高めるマイナス面がある(比較例7の抵抗減少量の最大値参照)。これに対し、本発明2,3の抵抗減少量の最大値の結果を比較すれば、本発明によって逆方向スウェージングの前記マイナス面が改善されていることが判る。
よって、本発明によれば、コイル同士の接触による不安定さのない安定した品質のグロープラグが、シースチューブを曲げずに短い加工時間で製造できる。
2 …主体金具
3 …シースヒータ
7 …シースチューブ
7L …縮径境界部
8 …通電端子軸
9 …抵抗線コイル
9t …コイル先端部
P1 …主要部のコイルピッチ
P2 …先端部のコイルピッチ
10 …絶縁粉末
11 …封止部材
Claims (2)
- 筒状の主体金具と、
該主体金具の内側に装着したシースヒータと、を備え、
該シースヒータは、
後端が開口し先端が閉じた筒状をなす金属製のシースチューブと、
そのシースチューブの後端側から当該シースチューブ内に自己の先端側を臨ませた柱状の通電端子軸と、
その通電端子軸に自己の後端が接続されると共に先端が前記シースチューブの先端内面に接続された抵抗線コイルと、
前記シースチューブ内に充填された絶縁粉末と、
前記通電端子軸と前記シースチューブの後端内周面との間に環状に配置され、当該シースチューブの後端開口を塞ぐ封止部材と、を備えたグロープラグの製造方法であって、
前記シースヒータは、前記抵抗線コイルを装填した前記シースチューブを垂直に立てて後端開口を上に向け、その状態で該シースチューブ内に前記絶縁粉末を充填して後端開口に前記封止部材を装着し、その後、前記シースチューブをスウェージングで絞って所定径に縮径する工程を含み、
前記シースチューブは、スウェージング前の状態で、自己の外径が縮径し始める縮径境界部を有すると共に、該縮径境界部から先が漸次縮径した形態をなしており、
前記抵抗線コイルは、前記シースチューブに装填する前の状態で、スウェージング前のシースチューブの先端内面から前記縮径境界部までの領域にほぼ対応するコイル先端部のコイルピッチを、該コイル先端部に連続する主要部のコイルピッチより大きく設定したものであることを特徴とするグロープラグの製造方法。 - 前記シースチューブは、後端から先端方向に向かってスウェージングする逆方向スウェージングで所定径に縮径するものであることを特徴とする請求項1記載のグロープラグの製造方法。
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