JP5836904B2 - 絶縁材料の劣化診断方法及び装置 - Google Patents

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本発明の実施形態は、電力設備等に使用されている絶縁材料の劣化状態を診断する劣化診断方法及び装置に関する。
電力設備は、社会インフラストラクチャを支える重要な設備であり、長期の安定稼動が求められる。しかし、電力設備の導体支持又はバリヤなどに使用される絶縁材料は、材料自体の経年劣化、設置環境に浮遊する塵埃又はガスの付着などにより絶縁性が低下する場合がある。絶縁材料の絶縁性が低下すると放電又はトラッキングが発生するため、絶縁材料の絶縁性の低下は設備停止の原因となる。
また、設置環境に基づく絶縁材料の劣化は、上記の塵埃又はガスの付着による汚損のみでなく、絶縁材料の成分と反応する環境因子からも影響を受ける。特に、絶縁材料の成分と反応する環境因子が存在する環境では、通常の経年劣化を上回る速度で、絶縁材料が劣化する場合がある。例えば、無機充填材として炭酸カルシウムが使用される絶縁材料は、この炭酸カルシウムが塩素系ガス又は窒素酸化物ガスなどと反応すると、絶縁材料表面に塩化カルシウム又は硝酸カルシウムが形成される。これらの塩化カルシウム又は硝酸カルシウムなどの物質は、湿度40%RH以下の低湿度であっても水分を吸入して潮解する。したがって、絶縁材料表面に塩化カルシウム又は硝酸カルシウムが形成された場合、低湿度条件であっても、絶縁材料の表面が結露し、漏れ電流が流れ、絶縁が破壊され、設備停止となる場合があると考えられる。
さらに、絶縁材料が汚損しイオン性物質が付着すると、吸湿して微小放電が発生し、絶縁劣化を起こし、最終的には絶縁破壊に至る。微小放電が始まると、絶縁材料表面の劣化が急激に進行する。したがって、絶縁材料の劣化診断では、イオン性物質の付着量を検知するとともに、絶縁材料自体の劣化状態も検知する必要がある。
従来の劣化診断方法では、イオン性物質の付着量をイオン分析で測定している。また、絶縁材料自体の劣化状態を把握するための一例として、表面の色差、反射率、光沢度などを測定し、これらの結果を多変量解析であるT(タグチ)法により解析し、任意の温度、湿度における表面絶縁抵抗を推定している。
しかしながら、上記の方法ではイオン分析について現地測定ができず、所定の分析場所まで持ち帰ってから測定するため、解析までに時間が掛かってしまう。
また、従来のT法を利用した劣化診断では、絶縁材料自体の劣化指標として表面の色差、反射率、光沢度などを測定しているが、材料本来の色調によっては劣化がある程度進行しないと把握できず、劣化が感度よく測定結果に反映されないことがあった。
さらに、絶縁材料自体の劣化は、材料表面の濡れ性との相関があるが、濡れ性は材料表面に水を滴下し、その水滴の形状測定から接触角を測定することで把握できる。しかし、接触角は水平面での測定は可能であるが、垂直面での測定は水滴が保持できないため困難である。
このため、現地で簡便に絶縁材料の汚損状態と絶縁材料自体の劣化を判定できる評価方法が要望されている。
特開2011−27596号公報
本発明の実施形態は、現地で簡便に絶縁材料の汚損状態と絶縁材料自体の劣化状態を診断できる絶縁劣化診断方法及び装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の実施形態に係る絶縁材料の劣化診断方法は、診断対象となる絶縁材料に直流電圧を印加して絶縁抵抗の経時変化を測定し、該絶縁抵抗と測定時間との関係を指数方程式で近似した場合の指数近似曲線の定数から前記絶縁材料の汚損状態を診断し、前記絶縁抵抗と測定時間との関係を累乗方程式で近似した場合の累乗近似曲線の定数から前記絶縁材料の劣化状態を診断することを特徴とする。
また、本発明の他の実施形態に係る絶縁材料の劣化診断方法は、診断対象となる絶縁材料に直流電圧を印加して絶縁抵抗の経時変化を測定し、絶縁抵抗Rと測定時間tの関係を累乗方程式で近似した累乗近似曲線R=A×tを求め(A、Bは定数)、定数Bを前記絶縁材料自体の劣化指標とし、定数Bを含めた複数の評価項目を用いて多変量解析であるT法により絶縁抵抗推定式を求め、当該絶縁抵抗推定式に対して診断時における測定条件を代入して求めた診断時の絶縁抵抗推定値と、初期時の絶縁抵抗値とから寿命推定曲線を作成し、当該寿命推定曲線と予め材料毎に求めた寿命閾値との交点から余寿命を求めることを特徴とする。
また、上述の目的を達成するため、本発明の実施形態に係る絶縁材料の劣化診断装置は、診断対象となる絶縁材料に直流電圧を印加して絶縁抵抗の経時変化を測定する絶縁抵抗測定部と、絶縁抵抗と測定時間の関係から累乗近似曲線R=A×t(A、Bは定数)及び指数近似曲線R=C×exp(Dt)(C、Dは定数)を求める近似曲線算出部と、前記指数近似曲線の定数Dの値を判定閾値と比較して前記絶縁材料の汚損状態を診断し、前記累乗近似曲線の定数Bの値を判定閾値と比較して前記絶縁材料自体の劣化状態を診断する劣化診断部と、を備えたことを特徴とする。
さらに、本発明の他の実施形態に係る絶縁材料の劣化診断装置は、絶縁抵抗Rと測定時間tの関係を累乗方程式で近似した累乗近似曲線R=A×tにおける定数Bを絶縁材料自体の劣化指標とし、前記定数Bを含めた複数の絶縁材料の評価項目を測定する評価項目測定部と、前記評価項目を用いて多変量解析であるT法により予め材料毎に求めた絶縁抵抗推定式が格納された材料別推定式データベースと、前記絶縁抵抗推定式に前記評価項目の測定値を代入して診断時の前記絶縁材料が設置環境で想定される条件における絶縁抵抗推定値を算出する絶縁抵抗推定値算出部と、予め算出された材料別の絶縁抵抗の寿命閾値を格納した材料別寿命閾値データベースと、前記診断時と同一条件における初期時の絶縁抵抗値と前記算出した絶縁抵抗推定値とから寿命推定曲線を作成し、当該寿命推定曲線と前記材料別の絶縁抵抗の寿命閾値との交点から余寿命を求める余寿命推定部と、を備えたことを特徴とする。
絶縁材料の表面絶縁抵抗の経時変化を示すグラフである。 第1の実施形態に係る絶縁材料の劣化診断装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る絶縁材料の劣化診断方法の手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る絶縁材料の劣化診断装置の構成を示すブロック図である。 第2の実施形態に係る絶縁材料の劣化診断方法の手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る絶縁材料の劣化診断方法における余寿命推定手法を説明するグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。以下の各実施形態では、例えば、受電設備、変電設備、スイッチギヤ等の各種の電力機器又は電力設備に使用される絶縁材料(具体的には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等)を診断対象として説明する。
まず、本実施形態の劣化診断方法の前提となる絶縁抵抗の近似曲線の計算例について説明する。
(絶縁材料の絶縁抵抗)
図1は、直流電圧を印加した場合の上記の絶縁材料の表面絶縁抵抗の経時変化を示すグラフである。測定電圧は、数十V〜数千Vの直流電圧である。絶縁抵抗は経時的に変化するため、通常は60秒後の値を絶縁抵抗の値として採用する。本実施形態においても60秒とするが、測定時間をさらに長くしてもよい。一方、測定時間が数十秒以下は変化率が大きいので、望ましくない。
図1において、測定1はフィールドで使用していた絶縁材料の絶縁抵抗を温度20℃、湿度65%RH条件で測定した結果であり、測定2は温度20℃、湿度80%RH条件で測定した結果である。測定3は、測定1、測定2の絶縁材料の表面汚損物を純水で洗浄後乾燥し、温度20℃、湿度65%RH条件で絶縁抵抗を測定した結果である。測定4は、測定1、測定2の絶縁材料の表面汚損物を純水で洗浄後乾燥し、温度20℃、湿度80%RH条件で測定した結果である。
(近似曲線)
次に、測定した絶縁抵抗と時間(t)との関係を累乗方程式で近似した累乗近似曲線R=A×tと、指数方程式で近似した指数近似曲線R=C×exp(Dt)を求め、それぞれの近似曲線の相関係数r1、r2を求める。ここで、A、B、C、Dは定数である。累乗近似曲線の相関係数r1と指数近似曲線の相関係数r2、累乗近似曲線の定数B、指数近似曲線の定数Dを表1に示す。
Figure 0005836904
過去の測定データから、表面が汚損により湿潤状態になると絶縁抵抗の経時変化が指数近似曲線によく一致し、清浄な状態で水分の影響がない状態では累乗近似曲線によく一致することが分かっている。測定1と測定2は表面の汚損は同じであるが、測定雰囲気が異なっている。高湿度条件では、汚損が原因で吸湿する測定2で指数近似曲線の相関係数の方が累乗近似の相関係数より大きくなっている。また、同じ高湿度条件の測定でも、表面の汚損を清掃した絶縁材料を測定した測定4では、高湿度雰囲気でも表面が汚損していないので吸湿せず、累乗近似曲線の相関係数の方が高くなる。ただし、相関係数の比較だけでは、汚損しているが測定条件は低湿度である場合(測定1)、表面の水分吸着がないため、相関係数は累乗近似曲線の方が大きくなる。
(定数Dと表面の汚損状態の関係)
そこで、指数近似曲線の定数Dと表面の汚損状態の関係を調査した結果、定数Dは、測定湿度の影響を受けずに汚損状態を検知できることが分かった。表1に指数近似曲線の定数Dの値を示す。表面を清掃すると、定数Dの値はマイナスになることが分かる。材料により汚損を検知する閾値は異なるが、エポキシ樹脂については、表2に示すように、表面を汚損区分の軽汚損の上限値である汚損度(等価塩分量)0.03mg/cmに汚損させて測定した結果、定数Dが0.001以上であったことから、Dが0.001を超える場合は、絶縁特性に影響を与えるような汚損状態(表2の中汚損以上)であると判断できる。
Figure 0005836904
(定数Bと絶縁材料自体の劣化状態の関係)
また、絶縁材料自体の劣化を検知できる定数として、固体状態の絶縁抵抗特性を反映している累乗近似曲線の定数について、劣化状態の異なる絶縁材料との関係を調査した結果、定数Bと相関があり、Bの値がマイナスになるほど材料自体の劣化が進行していることが分かった。エポキシ樹脂については、Bの値は−0.1以下の場合に劣化していると判定できる。よって、表1に記載の材料は、B>−0.1なので材料自体の劣化はないことになる。
[第1の実施形態]
(簡易的な劣化診断方法)
図2に、本実施形態に係る絶縁材料の劣化診断装置の構成を示す。
(劣化診断装置)
本劣化診断装置10は、対象となる絶縁材料の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定部11、測定時間と絶縁抵抗から近似曲線を求める近似曲線算出部12、得られた近似曲線における定数と材料別の閾値とに基づき劣化度合を診断する劣化診断部13、材料別の劣化判定閾値に関するデータを格納する材料別劣化判定閾値データベース14、汚損度と付着している単位面積当たりの硝酸イオン量(mg/cm)を測定するイオン分析部15から構成されている。
(劣化診断方法)
次に、上記の構成を有する劣化診断装置10を用い、現地で簡易的に劣化診断を実施する手順について図3に従って説明する。
先ず、絶縁抵抗測定部11により絶縁抵抗の経時変化のデータを60秒間取得する(ステップS11)。次に、近似曲線算出部12により測定時間と絶縁抵抗の累乗近似曲線R=A×tを求める(ステップS12)。また、測定時間と絶縁抵抗の指数近似曲線R=C×exp(Dt)を求める(ステップS13)。
次に、劣化診断部13は、指数近似曲線R=C×exp(Dt)の定数Dの値と、材料別劣化判定閾値データベース14に格納されている材料毎の閾値のデータと比較して劣化を診断する。例えば、エポキシ樹脂の場合、閾値のデータは上述したように0.001であることから、劣化診断部13は、定数Dの値が0.001未満か否かを判定し(ステップS14)、0.001未満であれば(ステップS14でYes)、汚損していないと診断する(ステップS15)。他方、定数Dが0.001以上であれば(ステップS14でNo)、汚損していると診断する(ステップS16)。
ここで、汚損していると診断した場合でも、材料自体の劣化がなければ、清掃を十分に実施すれば回復する。材料自体の劣化があれば清掃しても、すぐに放電により汚損、材料の劣化が進行するので、精密診断で余寿命を定量的に求める必要がある。
そこで、ステップS16で汚損ありと診断した材料については、劣化診断部13が材料別劣化判定閾値データベース14の閾値に基づき、材料自体の劣化を判定する(ステップS17)。劣化の判定にあたっては、エポキシ樹脂の場合では、定数Bの値が−0.1を超えているか否かを判定し(ステップS17)、−0.1を超える場合(ステップS17でYes)は、絶縁材料自体の劣化はないと診断する(ステップS18)。他方、定数Bが−0.1以下の場合(ステップS17でNo)は、絶縁材料自体の劣化があると診断する(ステップS19)。
ステップS18で材料自体の劣化はないと診断した場合は、イオン分析部15が汚損度と付着している単位面積当たりの硝酸イオン量(mg/cm)を測定する(ステップS20)。通常環境の汚損度に対する硝酸イオン量の比率は、長年の測定データの経験値で0.1〜0.2であることが分かっている。ステップS21で汚損度に対する硝酸イオン量の比率が0.2を超える場合(ステップS21でYes)は、放電の兆候がある、即ち放電が始まっていると評価し、ステップS22で精密診断を実施する。他方、汚損度に対する硝酸イオン量の比率が0.2以下である場合(ステップS21でNo)は、清掃を実施する等で対策して終了する。
ステップS19で絶縁材料自体の劣化があると診断した場合は、放電等により劣化が進行し、寿命が近い可能性が高いので、ステップS22で精密診断を実施する。
(効果)
本実施形態によれば、放電による絶縁破壊に至る前に、現地で簡便に絶縁材料の汚損状態と絶縁材料自体の劣化状態を診断することができる。
[第2の実施形態]
(精密劣化診断方法)
図4に、本実施形態に係る絶縁材料の劣化診断装置の構成を示す。
(劣化診断装置)
本劣化診断装置20は、対象となる絶縁材料の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定部11、測定時間と絶縁抵抗から近似曲線を求める近似曲線算出部12、診断対象について予め決められている評価項目(T法による絶縁抵抗推定式を作成した時の評価項目)を測定する評価項目測定部21、絶縁抵抗の推定値を算出する絶縁抵抗推定値算出部22、予め求められた材料別推定式に関するデータを格納する材料別推定式データベース23、寿命推定曲線を作成する寿命推定曲線作成部24、余寿命を判定する余寿命判定部25、予め算出された材料別寿命閾値に関するデータを格納する材料別寿命閾値データベース26から構成される。
(精密劣化診断方法)
次に、上記の構成を有する劣化診断装置20を用い、現地で精密劣化診断を実施する手順について説明する。
本実施形態では、第1の実施形態で簡易判定に用いた累乗近似曲線の定数Bを、絶縁材料の劣化評価項目に加えてT(タグチ)法により解析し、絶縁抵抗推定式を求めるものである。
図5に、本実施形態に係る絶縁材料の劣化診断方法の手順を示す。
先ず、絶縁抵抗測定部11により対象となる絶縁材料の絶縁抵抗を測定する(ステップS31)。次に、近似曲線算出部12により測定時間と絶縁抵抗のデータから累乗近似曲線R=A×tを求める(ステップS32)。
また、絶縁材料評価項目(温度、湿度、汚損度、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、ナトリウムイオン、色差、反射率、光沢度など)に累乗近似曲線R=A×tの定数Bを追加して、T法により予め絶縁抵抗推定式を求めておき、材料別推定式データベース23にこの絶縁抵抗推定式に関するデータを格納しておく(ステップS33)。
ここで、前記推定式は、各評価項目の一次式であり、下式で表される。なお、定数B以外の評価項目は、材料の種類により異なる。
Y=C+a・X1+b・X2+c・X3+・・・・+l・X12+m・X13
測定値:X1、X2、・・・・・、X13
係数:C,a,b,c,・・・・l,m
次に、評価項目測定部21により、近似曲線の定数Bも含めて診断対象について予め決められている評価項目を測定する(ステップS34)。
さらに、絶縁抵抗推定値算出部22は、材料別推定式データベース23に格納された絶縁抵抗推定式を用い、設置環境の最大温度、最大湿度(通常は梅雨時期の温度、湿度)条件での診断時の測定値を代入して絶縁抵抗推定値を計算する(ステップS35)。
次に、寿命推定曲線作成部24は、図6に示すように、求めた診断時の設置環境の最大温度、最大湿度(通常は梅雨時期の温度、湿度)条件での絶縁抵抗推定値と、その同条件における初期の新品材料の絶縁抵抗値とを用いて絶縁抵抗の寿命推定曲線を作成する(ステップS36)。
さらに、余寿命判定部25は、絶縁抵抗の寿命推定曲線と材料別寿命閾値データベース26に格納された材料別の寿命閾値とを用いて、図6に示すように、寿命推定曲線と寿命閾値との交点から絶縁材料の余寿命を求める(ステップS37)。
(効果)
従来のT法を利用した精密劣化診断では、絶縁材料自体の劣化指標として表面の色差、反射率、光沢度などを測定しているが、材料本来の色調によっては、感度よく劣化が測定結果に反映されないことがあり、余寿命診断結果の精度が悪くなることがある。
これに対して、本実施形態では、絶縁材料自体の劣化指標に累乗近似曲線の定数Bを追加したことにより、絶縁材料自体の劣化を、より精度よく反映した診断結果を得ることができる。
[他の実施形態]
(1)第2の実施形態の劣化診断装置20では、絶縁抵抗測定部11及び近似曲線算出部12を設け、絶縁材料の絶縁抵抗を測定し累乗近似曲線Rを求めたが、これらの部材を省略して、第1の実施形態の劣化診断装置10における絶縁抵抗測定部11及び近似曲線算出部12による測定結果を利用することもできる。
(2)第2の実施形態の劣化診断装置20では、寿命推定曲線作成部24と余寿命判定部25とを別々に設けたが、寿命推定曲線作成部24を省略し、余寿命判定部25に寿命推定曲線作成部24の機能を追加することもできる。
(3)以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…劣化診断装置
11…絶縁抵抗測定部
12…近似曲線算出部
13…劣化診断部
14…材料別劣化判定閾値データベース
15…イオン分析部
20…劣化診断装置
21…評価項目測定部
22…絶縁抵抗推定値算出部
23…材料別推定式データベース
24…寿命推定曲線作成部
25…余寿命判定部
26…材料別寿命閾値データベース

Claims (7)

  1. 診断対象となる絶縁材料に直流電圧を印加して絶縁抵抗の経時変化を測定し、該絶縁抵抗と測定時間との関係を指数方程式で近似した場合の指数近似曲線の定数から前記絶縁材料の汚損状態を診断し、前記絶縁抵抗と測定時間との関係を累乗方程式で近似した場合の累乗近似曲線の定数から前記絶縁材料の劣化状態を診断することを特徴とする絶縁材料の劣化診断方法。
  2. 絶縁抵抗Rと測定時間tの関係を指数方程式で近似した指数近似曲線R=C×exp(Dt)を求め(C、Dは定数)、定数Dの値が材料毎に設定された閾値を越えた場合に前記絶縁材料表面が汚損状態であると診断することを特徴とする請求項1記載の絶縁材料の劣化診断方法。
  3. 絶縁抵抗Rと測定時間tの関係を累乗方程式で近似した累乗近似曲線R=A×tを求め(A、Bは定数)、定数Bの値が材料毎に設定された閾値以下の場合に前記絶縁材料自体が劣化していると診断することを特徴とする請求項1記載の絶縁材料の劣化診断方法。
  4. 単位面積当たりの硝酸イオン量(mg/cm)を測定し、汚損度に対する硝酸イオン量の比率が所定の値を超える場合に放電の兆候があると評価することを特徴とする請求項2記載の絶縁材料の劣化診断方法。
  5. 診断対象となる絶縁材料に直流電圧を印加して絶縁抵抗の経時変化を測定し、絶縁抵抗Rと測定時間tの関係を累乗方程式で近似した累乗近似曲線R=A×tを求め(A、Bは定数)、定数Bを前記絶縁材料自体の劣化指標とし、定数Bを含めた複数の評価項目を用いて多変量解析であるT法により絶縁抵抗推定式を求め、当該絶縁抵抗推定式に対して診断時における測定条件を代入して求めた診断時の絶縁抵抗推定値と、初期時の絶縁抵抗値とから寿命推定曲線を作成し、当該寿命推定曲線と予め材料毎に求めた寿命閾値との交点から余寿命を求めることを特徴とする絶縁材料の劣化診断方法。
  6. 診断対象となる絶縁材料に直流電圧を印加して絶縁抵抗の経時変化を測定する絶縁抵抗測定部と、
    絶縁抵抗と測定時間の関係から累乗近似曲線R=A×t(A、Bは定数)及び指数近似曲線R=C×exp(Dt)(C、Dは定数)を求める近似曲線算出部と、
    前記指数近似曲線の定数Dの値を判定閾値と比較して前記絶縁材料の汚損状態を診断し、前記累乗近似曲線の定数Bの値を判定閾値と比較して前記絶縁材料自体の劣化状態を診断する劣化診断部と、
    を備えたことを特徴とする絶縁材料の劣化診断装置。
  7. 絶縁抵抗Rと測定時間tの関係を累乗方程式で近似した累乗近似曲線R=A×tにおける定数Bを絶縁材料自体の劣化指標とし、前記定数Bを含めた複数の絶縁材料の評価項目を測定する評価項目測定部と、
    前記評価項目を用いて多変量解析であるT法により予め材料毎に求めた絶縁抵抗推定式が格納された材料別推定式データベースと、
    前記絶縁抵抗推定式に前記評価項目の測定値を代入して診断時の前記絶縁材料が設置環境で想定される条件における絶縁抵抗推定値を算出する絶縁抵抗推定値算出部と、
    予め算出された材料別の絶縁抵抗の寿命閾値を格納した材料別寿命閾値データベースと、
    前記診断時と同一条件における初期時の絶縁抵抗値と前記算出した絶縁抵抗推定値とから寿命推定曲線を作成し、当該寿命推定曲線と前記材料別の絶縁抵抗の寿命閾値との交点から余寿命を求める余寿命推定部と、
    を備えたことを特徴とする絶縁材料の劣化診断装置。
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