JP5835676B2 - ブロー成形用金型および樹脂成形品の成形方法 - Google Patents
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Description
樹脂製パレットあるいは樹脂製トレイは、金型を用いて成形されることから、大きさ、外形あるいは内部構造ごとに、それに適した金型を準備する必要があった。
この点、特許文献1および特許文献2には、1成形品―1金型ではなく、異なる仕様の成形品に対して、金型を兼用する技術が開示されている。
しかしながら、これらの樹脂製パレットは、射出成形により製造されることに起因して、以下のような技術的問題点を有する。
第1に、同じ金型を用いて、種々のパレットあるいはトレイの仕様、特に種々の外形および大きさのパレットあるいはトレイを成形するのが困難な点である。
より詳細には、射出成形によれば、金型内部に密閉空間を形成して、そこに溶融状態の樹脂を圧入することにより、樹脂を金型の内表面に押し当てて、賦形することになることから、密閉空間を構成する金型の内表面全体が賦形面となるとともに、密閉空間の外形自体が成形品の外形、大きさを必然的に決定することになる。
この点、特許文献3には、金型ではなく、成形品である樹脂製パレット自体を分割化して、パレットの仕様に応じてパーツを組み立てる技術が開示されている。
複数の樹脂製ブロックはそれぞれ、リブ付ボックス構造とされて、荷物の重さに耐え得る剛性が確保されている。
このような樹脂パレットによれば、複数の樹脂製ブロックおよび複数の樹脂製連結部材を適宜選択することにより、種々の仕様のパレットを組み立てることが可能であるが、部品点数が多く、コスト増となるとともに、パーツ同士の接合部に段差を生じやすく、荷物を載置すべき平板面の平面度が低下することがある。
第3に、軽量かつ高剛性の使い勝手のよいパレットを提供するのが困難な点である。
より詳細には、射出成形によれば、中空構造物を成形するのが困難であり、特に樹脂製パレットの場合には、嵩がある分重量化することから、特許文献1においては、いわゆる両面使用タイプではなく、片面使用タイプとして、使用しない下半体には、上下方向に貫通する開口部を設けている。
特に、パレットのデッキボード面に載置する荷物が大型の重量物である場合、たとえばドラム缶の場合には、荷物の安定性確保の観点から、デッキボード面に荷物の外形に合致した溝、たとえばドラム缶の場合には、円形溝を設けることがある。
このような場合、特許文献2のように、金型を既存の複数のブロック金型により構成するのが困難であり、パレットに要求される仕様に応じて、迅速かつ安価に軽量かつ高剛性で使い勝手の良いパレットを製造することが業界内で要望されている。
しかしながら、入れ駒は、たとえば成形品の表面にマークを刻字する等、単に成形品の一部の賦形を変更するに過ぎず、成形品全体の外形、大きさを変更するものではない。
複数のブロック金型それぞれを装着する装着面を有するベース金型と、
ブロー成形すべき成形品の仕様に応じて選択されて、該装着面に装着される複数のブロック金型とを有し、
前記複数のブロック金型は、直線外形の拡張ブロックと、L字外形のコーナーブロックとを有し、それぞれ、前記装着面に当接可能な底面部と、ブロー成形の際に賦形面を構成する側面部とを有し、
前記複数のブロック金型は、成形品の輪郭に適合するように、複数の拡張ブロックと、4つのコーナーブロックとをそれぞれの端面を突き合わせる形態で連結して、前記装着面上に環状体を形成し、
前記環状体の環状頂部が、ピンチオフ部を構成するとともに、前記装着面の前記環状体の内側部分がキャビティを形成し、
前記環状体の形成に利用される前記複数のブロック金型それぞれの頂部には、前記両端面間に延在する前記ピンチオフ部が形成され、前記ピンチオフ部に対する一方の側の側面部には、賦形面が形成され、前記ピンチオフ部に対する他方の側の側面部には、前記ブロック金型を前記装着面に螺合するためのねじ穴が設けられ、前記ブロック金型は、前記他方の側の側面部を外向きにして前記装着面に配置される、構成としている。
また、前記装着面は、所定のピッチの格子状に複数のねじ穴が設けられた平面状をなし、
前記拡張ブロックにおいて、前記ねじ穴は、少なくとも一端部および他端部それぞれに設けられ、一端部および他端部それぞれに設けられる前記ねじ穴の間隔が、所定のピッチの整数倍をなし、異なる整数倍の前記拡張ブロックが複数用意されるのがよい。
賦形面及びピンチオフ部を有する複数のブロック金型を、成形品の輪郭に適合するように前記ブロック金型同士の端面を突き合せることにより、全体として環状体を形成して、
各ブロック金型のピンチオフ部が環状に連続した環状頂部を構成するようにベース金型に対して固定し、
溶融状態の熱可塑性樹脂材料を前記環状体の内部のキャビティに対して、密閉空間を形成するように配置して前記密閉空間を吸引またはブロー圧により押し付けることで溶融状態の樹脂材料を賦形する、構成としている。
まず、パレットPの成形装置について、以下に説明する。
パレットPの成形装置は、溶融樹脂の押出装置と、押出装置の下方に配置された、金型の締装置とを有し、押出装置から押出された溶融状態の筒状パリソンを型締装置に送り、型締装置により溶融状態の筒状パリソンを成形するようにしている。
押出装置は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、押出スリットを通じて所定の長さの連続的な筒状パリソンが押し出され、型締装置の分割金型10の間に垂下される。
押出スリットは、鉛直下向きに配置され、押出スリットから押し出された筒状パリソンは、そのまま押出スリットから垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。押出スリットは、その間隔を可変とすることにより、筒状パリソンの厚みを変更することが可能である。これにより、筒状パリソンが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型10の間に配置される。
型締装置は、一対の分割形式の金型と、金型駆動装置とを有する。
2つの分割形式の金型は、キャビティを対向させた状態で配置され、それぞれキャビティが略鉛直方向に沿うように配置される。それぞれのキャビティ表面には、溶融状態の筒状パリソンに基づいて成形される成形品の外形、および表面形状に応じて凹凸が設けられる。
2つの分割形式の金型は、互いに同様な構造を有するので、以下にその一方について説明する。
図2に示すように、装着面16は、成形対象品の最大寸法に見合う面積を有し、装着面16には、所定のピッチpの格子状に複数のネジ受け孔22(タップ孔)が設けられる。たとえば、装着面16は、横2000mm、縦1125mm、ネジ受け孔22のピッチpは、50mmである。後に説明するように、複数のブロック金型14はそれぞれ、その形態に応じて、底面18に、ネジ受け孔22に螺合可能なネジ部24を有したり、別途固定ネジ26により、ネジ受け孔22に螺合するようにしている。
複数のブロック金型14は、互いに連結して装着面16上に環状体28を構成する第1タイプと、環状体28内の装着面16上に装着される第2タイプとに大別される。
第2タイプについて、円錐台形状の環状リブ形成用ブロック金型44、矩形状の長溝形成用ブロック金型46、環状リブ形成用ブロック金型44と長溝形成用ブロック金型46とを連結する連結用ブロック金型48とを有する。
長溝形成用ブロック金型46は、後に説明するパレットPの内部に挿入されるフォークに対応してパレットPの表面に形成される長溝52を形成するのに設けられ、長溝形成用ブロック金型46の外形により、パレットPの表面に形成される長溝52の外形が決定される。
このように、1つの長溝形成用ブロック金型46の各端面に、連結用ブロック金型48を介して環状リブ形成用ブロック金型44が連結され、それにより、フォーク挿入用ブロック金型47を形成する。
図7に示すように、貫通孔59は、上部に固定ネジ26のネジ頭が収まり可能な拡径部60を有し、長溝形成用ブロック金型46を装着面16にネジ固定する際、固定ネジ26のネジ頭が金型面から突出しないようにし、以て成形の際、成形品にネジ頭が転写されないようにしている。
なお、立ち壁形成用ブロック金型62は、環状リブ形成用ブロック金型44あるいは連結用ブロック金型48のいずれかと一体で形成されてもよい。
分割金型10には、金型を型締したときに両金型により形成される密閉空間内から吹き込み圧をかけることが可能なように、従来既知のブローピン(図示せず)が設置されている。
以上の構成を有するパレットPの成形装置を利用したパレットPの製造方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
次いで、キャビティ31内でブロック金型14が装着されないネジ受け孔22に対して、ネジを螺合させて、ネジ受け孔22を閉鎖する。
次いで、図9において、押出スリット34から、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出すことにより、熱可塑性樹脂はスウェルし、溶融状態の筒状パリソンが下方に垂下するように所定の厚みにて所定押出速度で押し出される。
次いで、図10に示すように、分割金型10を型締して、金型内に密閉空間を形成する。
次いで、図11に示すように、分割金型10を型開きして、成形されたパレットを取り出し、ピンチオフ部38の外側のバリ部分Bを切断し、フォーク挿入用開口114をくり抜き、以上で成形が完了する。
以上のように、溶融状態の筒状パリソンを間欠的に押し出すたびに、以上のような工程を繰り返すことにより、パレットを次々に成形することが可能であり、押出成形により熱可塑性樹脂を間欠的に溶融状態の筒状パリソンとして押し出し、押し出された筒状パリソンを金型を用いて所定の形状に賦形することが可能である。
また、筒状パリソンの直径方向対向位置2か所を切断して、2枚のシート状にしてもよい。さらに、いったんシート状に成形した樹脂材料を成形直前に再加熱して溶融状態にするのでもよい。
以上の成形方法により成形されるパレットPは、以下の構成を有する。
特に、パレットとして、両面使用タイプのパレットとして、内部に中空部を有しつつ、環状リブ50により強度を確保することが可能であり、軽量かつ高剛性な使い勝手のよいパレットをブロー成形することが可能である。
以下に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、成形品は、第1実施形態と同様に、両面使用タイプのパレットPであるが、第1実施形態では、フォークが1方向差しタイプであるのに対して、本実施形態では、2方向差しタイプである点が異なり、それに応じて、ブロー成形用金型10、特にブロック金型14が相違する点である。
加えて、第1実施形態と同様に、断面L字形の環状リブ形成用ブロック金型44A、断面楕円形の環状リブ形成用ブロック金型44B,Cそれぞれと対応する長溝形成用ブロック金型46との連接部には、立ち壁形成用ブロック金型62が設けられる。これにより、断面L字形の環状リブ形成用ブロック金型44A、断面楕円形の環状リブ形成用ブロック金型44B,Cそれぞれの形状に応じて形成される環状リブ50の周縁部には、立ち壁55を有する補強リブ64が形成され、パレットPに曲げ荷重が負荷されるときに、立ち壁55がつっぱりとなって、パレットPの撓みを制限することが可能である。
以上のようにして、図15に示すように、水平方向に延びる長溝形成用ブロック金型46が2列、上下方向に所定の間隔を隔てて整列し、一方上下方向に延びる長溝形成用ブロック金型46が2列、水平方向に所定の間隔を隔てて整列し、それぞれパレットPの内部にフォーク挿入用スペース116を形成するようにしている。
なお、このようなブロー成形用金型を用いたパレットのブロー成形方法については、第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
以下に、本発明の第3実施形態について詳細に説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、成形品が、第1実施形態においてはパレットであるのに対して、本実施形態においてはトレーであり、それに応じて、ブロー成形用金型、特にブロック金型14が相違し、またブロー成形方法が若干異なる点である。
すなわち、第1実施形態においては、環状体28の内部に、長溝形成用ブロック金型46、環状リブ形成用ブロック金型44および連結用ブロック金型48を配置したが、本実施形態においては、収納スペースに形成する突起体202の位置に応じて、突起体形成用ブロック金型206のみを配置している。
なお、トレーTを1個取りするのであれば、分割金型10を用いずに、単一の金型を用いて、この金型のキャビティ31と樹脂材料との間に密閉空間を形成し、キャビティ31側から吸引することにより、樹脂材料を成形してもよい。
以下に、本発明の第4実施形態について詳細に説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、成形品が、第1実施形態においてはパレットPであるのに対して、本実施形態においてはトレーTであり、それに応じて、ブロー成形用金型、特にブロック金型14が相違する点である。
図18に示すように、トレーTは、第3実施形態と共通であるが、以下に示すように、トレーTに収納すべき収納対象物が異なり、それに起因にしてブロー成形用金型、特にブロック金型14が相違する。
図18に示すように、トレーTの収納面の各端部には、トレーTの幅方向全体に亘る突起体301が設けられ、複数本のシャフト構造物がそれぞれ、各端部を対応する突起体301に嵌め込んだ形態で、トレーTの幅方向に所定間隔を隔てて整列配置されている。
各突起体301の上面302には、シャフト構造物の端部の輪郭に適合する凹部304が、収納されるシャフト構造物の数に応じて設けられ、互いにトレーTの幅方向に所定間隔を隔てる。
より詳細には、凹部304は、突起体301の1側面306側に抜けており、両突起体301は、この1側面306同士を互いに対向させて配置され、これにより、シャフト構造の各端面を対応する凹部304の端面308に当接させた状態で、位置決めすることが可能である。
このように、第2実施形態に比べて、本実施形態においては、長尺の収納物Sをより確実に位置決めすることが可能であるので、トレーTを搬送中、あるいは保管中に不動状態に保持される必要がある収納物Sには、本実施形態が適している。
なお、ブロー成形方法については、第3実施形態と共通であるので、説明は省略する。
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
また、本実施形態においては、ベース金型12の平面状の装着面16にブロック金型14をネジ固定する場合を説明したが、それに限定されることなく、たとえば、ベース金型12の装着面16に凹部を設け、それに嵌合可能な凸部をブロック金型14に設け、嵌合させたうえでネジ固定してもよい。
P パレット
S 収納品
10 ブロー成形用金型
12 ベース金型
14 ブロック金型
16 装着面
18 底面
20 側面
22 ネジ受け孔
24 ネジ部
26 固定ネジ
28 環状体
30 拡張ブロック
32 コーナーブロック
31 キャビティ
34 端面
36 環状頂部
38 ピンチオフ部
40 鉛直部
42 水平部
44 環状リブ形成用ブロック金型
46 長溝形成用ブロック金型
47 フォーク挿入用金型
48 連結用ブロック金型
50 環状リブ
52 長溝
53 底面
54 円錐台部分
55 立ち壁
56 線状部分
57 傾斜面
58 貫通孔
59 貫通孔
60 拡径部
62 立ち壁形成用ブロック金型
64 補強リブ
102 樹脂製第1板材
104 樹脂製第2板材
106 側周面
108 中空部
110 凹陥部
111 周縁部
114 フォーク挿入用開口
116 フォーク挿入用スペース
200 底面
202 突起体
204 出っ張り部
206 突起体形成用ブロック金型
300 凹部形成用ブロック金型
304 凹部
306 側面
308 端面
310 凹部
312 側面
Claims (3)
- 複数のブロック金型それぞれを装着する装着面を有するベース金型と、
ブロー成形すべき成形品の仕様に応じて選択されて、該装着面に装着される複数のブロッ
ク金型とを有し、
前記複数のブロック金型は、直線外形の拡張ブロックと、L字外形のコーナーブロックと
を有し、それぞれ、前記装着面に当接可能な底面部と、ブロー成形の際に賦形面を構成す
る部分を備えた側面部とを有し、
前記複数のブロック金型は、成形品の輪郭に適合するように、複数の拡張ブロックと、4
つのコーナーブロックとをそれぞれの端面を突き合わせる形態で連結して、前記装着面上
に環状体を形成し、
前記環状体の環状頂部が、ピンチオフ部を構成するとともに、前記装着面の前記環状体の
内側部分がキャビティを形成し、
前記環状体の形成に利用される前記複数のブロック金型それぞれの頂部には、前記両端面
間に延在する前記ピンチオフ部が形成され、前記ピンチオフ部に対する一方の側の側面部
には、賦形面が形成され、前記ピンチオフ部に対する他方の側の側面部には、前記ブロッ
ク金型を前記装着面に螺合するためのねじ穴が設けられ、前記ブロック金型は、前記他方
の側の側面部を外向きにして前記装着面に配置されることを特徴とするブロー成形用金型。 - 前記装着面は、所定のピッチの格子状に複数のねじ穴が設けられた平面状をなし、
前記拡張ブロックにおいて、前記ねじ穴は、少なくとも一端部および他端部それぞれに設
けられ、一端部および他端部それぞれに設けられる前記ねじ穴の間隔が、所定のピッチの
整数倍をなし、異なる整数倍の前記拡張ブロックが複数用意される、請求項1に記載のブ
ロー成形用金型。 - 賦形面及びピンチオフ部を有する複数のブロック金型を、成形品の輪郭に適合するように
前記ブロック金型同士の端面を突き合せることにより、全体として環状体を形成して、
各ブロック金型のピンチオフ部が環状に連続した環状頂部を構成するようにベース金型に
対して固定し、
溶融状態の熱可塑性樹脂材料を前記環状体の内部のキャビティに対して、密閉空間を形成
するように配置して前記密閉空間を吸引またはブロー圧により押し付けることで溶融状態
の樹脂材料を賦形することを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
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