JP5834657B2 - 超音波プローブおよび超音波画像診断装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記のようにエッチングを繰り返す方法では、圧電体薄膜のエッチング時、および上層側の電極金属層のエッチング時に、下層側の電極金属層までもがエッチングされてしまい(オーバーエッチング)、下層の電極金属膜の膜厚寸法が小さくなる。このように、電極金属膜の膜厚寸法が小さくなると、電気抵抗が増大する。そのため、このような従来技術の圧電素子を超音波プローブに用いる場合、例えば消費電力が増大したり、出力される超音波の音圧が小さくなったり、高周波域での制御が困難となったりする問題が生じる。
開口部を有する基板と、
前記基板上に設けられ、前記開口部の内外を覆う支持膜と、
前記支持膜上で、前記支持膜の厚み方向から見る平面視において、前記開口部内に設けられた下部電極本体部、および、前記下部電極本体部から延びる下部電極配線部、を有する下部電極層と、
前記下部電極本体部上に設けられる第一圧電体層と、
前記第一圧電体層上に設けられる上部電極層と、
前記下部電極配線部に設けられる第二圧電体層と、
を具備する圧電素子を有する。
前記第二圧電体層は、前記平面視において、前記開口部に重ならない位置に設けられる構成とすることが好ましい。
前記第二圧電体層上に前記下部電極層と接続する配線層が設けられる構造としいてもよい。
この発明では、圧電素子上に配線層が形成されることで、この配線層と下部電極層とを分離することができる。
また、1つの平面基板上で複数の配線パターンを形成する場合、基板のサイズなどによって各配線パターンの線幅が規制され、電気抵抗が増大するおそれもある。これに対して、本発明では、第二圧電体層上にも配線層を形成することで、基板上および第二圧電体層上で、2段構成により配線パターンを形成することができる。したがって、1つの基板上により複数の配線パターンを形成する場合に比べて、基板のサイズを小さくすることができ、電気抵抗の増大をも防止することができる。
前記第二圧電体層上に前記上部電極層と接続する配線層が設けられる構造としいてもよい。
前記下部電極線部は、
前記平面視において、前記開口部の内外に跨り、前記下部電極本体部に接続された素子接続線と、
前記素子接続線に連続し、前記平面視において、前記開口部の外側に設けられ、前記素子接続線の線幅よりも狭い線幅の下部電極配線と、を備え、
前記第二圧電体層は、前記下部電極配線を覆って設けられる構成とすることが好ましい。
下部電極線部の電気抵抗は、線幅寸法が増大するほど低下するので、下部電極線部の線幅を大きく形成することが好ましい。しかしながら、実際に圧電素子を基板上に配置する場合、他の素子やその配線パターンの関係などにより、下部電極配線の線幅を十分に確保できず、素子接続線よりも小さくなる場合がある。このような場合、圧電体層や上部電極のパターニングの際に下部電極配線がオーバーエッチングされると、下部電極配線の抵抗がより大きくなってしまう。これに対して、本発明では、このような線幅が小さくなる下部電極配線に第二圧電体層が積層されている。このため、圧電体層や上部電極のパターニングの際に、下部電極配線がオーバーエッチングとならず、電気抵抗の増大を防止することができる。
前記圧電素子を複数備え、前記圧電素子は第一の方向に一定のピッチで配列され、且つ、前記第一の方向と直交する第二の方向に一定のピッチで配置される
ことを特徴とする。
また、このような超音波プローブでは、各圧電素子に接続される下部電極線部が必要となり、小型の超音波プローブを形成する場合、各下部電極線部の線幅も規制され小さくなる。このような場合、下部電極線部の電気抵抗も高くなる。ここで、これらの下部電極線部の上部に第二圧電体層が形成されていない場合、下部電極線部がオーバーエッチングされることでさらに電気抵抗が増大するおそれがある。これに対して、本発明では、このような線幅が小さい下部電極線部に対しても、第二圧電体層を形成することで、圧電体層および上部電極層のパターニング時における抵抗増大を防ぐことができる。
前記圧電素子が配置される前記第一の方向のピッチと、前記圧電素子が配置される前記第二の方向のピッチとは同じであることが好ましい。
この発明では、超音波プローブによって、被検体の画像を取得する場合、二方向のピッチが同じになるので、ゆがみのない画像を取得することができる。
以下、本発明に係る超音波プローブに用いる第一実施形態の圧電素子の構成について、図面に基づいて説明する。
図1は、第一実施形態の圧電素子の平面図である。
図2は、第一実施形態の圧電素子の断面図である。
図1において、圧電素子10は、開口部111が形成された基板11と、基板11上で、開口部111の内外に跨って形成される支持膜12と、支持膜12上に形成される下部電極層20と、開口部111の内側に形成される第一圧電体層30と、開口部111の外側に形成される第二圧電体層40と、開口部111の内外に跨って形成される上部電極層50とを備えている。ここで、基板11および支持膜12により、本発明の支持体が構成されており、支持膜12のうち、開口部111を閉塞する領域であるメンブレン121により本発明の変位部が構成されている。
なお、本実施形態では、貫通孔である開口部111を有する基板11上に支持膜12を形成して変位部であるメンブレン121を有する支持体が構成される例を示したが、これに限定されず、例えば、開口部111が凹溝であり、支持膜12は、この凹溝の開口部111の開口を閉塞する構成であってもよい。また、基板11に凹溝を形成し、その底部を変位部とした支持体であってもよい。
さらに、支持体として、基板11と支持膜12により形成される例を示すが、支持膜12の上層に例えば絶縁膜などの他層が設けられ、この他層上に下部電極層20が設けられる構成などとしてもよい。
なお、圧電素子10としては、例えば第一圧電体層30に電圧を印加することで支持膜12を振動させて、超音波の出力する超音波送信素子、超音波を支持膜12で受信し、第一圧電体層30から振動に応じた電気信号を出力する超音波受信素子、支持膜12に加わる応力を、第一圧電体層30から出力される電気信号に基づいて検出する応力検出素子、第一圧電体層30を駆動させ、支持膜12に接触した対象物に駆動力を付与する駆動力発生素子などとして用いることができる。本実施形態では、一例として、圧電素子10を、超音波発信素子として機能させる例を説明する。
すなわち、例えば、開口部111が例えば矩形状に形成され、矩形中心部に第一圧電体層30が形成される場合、メンブレン121の中心点からの距離が同一となる位置であっても、支持膜12の撓み易い領域と撓み難い領域とが発生する。これに対して、本実施形態のように、円形の開口部111が形成される場合、メンブレンの中心点から開口部111の縁部111Aまでの距離が同一となるため、メンブレン121の中心点からの距離が同一となる点では、支持膜12の撓み易さも同等となり、メンブレン121を均等に撓ませることができる。
そして、この第一圧電体層30は、下部電極本体部21と、後述する上部電極層50とに電圧が印加されることで、面内方向に伸縮する。このとき、第一圧電体層30の一方の面は、下部電極本体部21を介して支持膜12に接合されるが、他方の面には、上部電極層50が形成されるものの、この上部電極層50上には他の層が積層形成されないため、第一圧電体層30の支持膜12側が伸縮しにくく、上部電極層50側が伸縮し易くなる。このため、第一圧電体層30に電圧を印加すると、開口部111側に凸となる撓みが生じ、メンブレン121を撓ませる。したがって、第一圧電体層30に交流電圧を印加することで、メンブレン121が膜厚方向に対して振動し、このメンブレン121の振動により超音波が開口部111から出力される。
ここで、第一圧電体層30のうち、上部電極層50と下部電極本体部21との双方に重畳する領域が、電圧を印加された際に収縮される領域となる。
L>5t …(1)
なお、下部電極端子部23には、第一圧電体層30に電圧を印加するための配線が接続されるため、第二圧電体層40は形成されない。
次に、上述のような圧電素子の製造方法について、図面に基づいて説明する。
図3および図4は、圧電素子の製造工程を示す断面図である。
圧電素子10を製造するためには、まず、図3(A)に示すように、基板11(Si)を熱酸化処理し、基板11の表面にSiO2層を形成する。さらに、このSiO2層上にZr層をスパッタリングにより成膜し、このZr層を酸化することでZrO2層を形成する。これにより、例えば厚み寸法が3μmの支持膜12が形成される。
そして、この下部電極層20上に、例えばフォトリソグラフィ法を用いて下部電極本体部21および下部電極線部22の形成位置にレジストを形成する。次に、下部電極層のうちレジストが形成されない領域をエッチングにより除去してパターニングし、図3(B)に示すように下部電極本体部21、下部電極線部22、および下部電極端子部23を形成する(下部電極パターニング工程)。
そして、この圧電体層60上に、例えばフォトリソグラフィ法を用いて第一圧電体層30および第二圧電体層40の形成位置にレジストを形成し、レジストが形成されない領域をエッチングにより除去してパターニングする。これにより、図3(D)に示すように下部電極本体部21上に第一圧電体層30が形成され、下部電極線部22上に第二圧電体層40が形成される(圧電体層パターニング工程)。
この圧電体層パターニング工程において、第一圧電体層30および第二圧電体層40が形成される領域では、下部電極層20がエッチングされないため、電気抵抗が低下するなどの不都合が生じない。
なお、開口部111上の第一圧電体層30が設けられていない領域に形成される下部電極線部22、および開口部111の縁部111Aから距離Lが5t(本実施形態では、t=3μmであるため、L=15μm)の範囲内の下部電極線部22で、圧電体層60のエッチング時にオーバーエッチングとなる場合があるが、下部電極線部22全体に対して非常に小さい範囲であるため、この部分の電気抵抗が上がったとしても、その影響を受けることがない。
そして、この上部電極層50上に、例えばフォトリソグラフィ法を用いて、上部電極本体部51、上部電極線部52、および上部電極端子部53のパターニング用のレジストを形成し、レジストが形成されない領域をエッチングにより除去してパターニングする。これにより、図4(B)に示すように上部電極層50がパターニングされる(上部電極パターニング工程)。
この上部電極パターニング工程においても、上記圧電体層パターニング工程と同様に、第一圧電体層30および第二圧電体層40により下部電極層20が覆われているため、下部電極層20のオーバーエッチングが防止され、下部電極層20の電気抵抗の増大を抑制できる。
以上により、圧電素子10が製造される。
上述したように、第一実施形態の圧電素子は、開口部111の内外に跨って形成される下部電極層20のうち、開口部111の内側に形成される下部電極本体部21上に第一圧電体層30が形成され、下部電極線部22のうち、開口部111の外側の下部電極線部22上に第二圧電体層40が形成されている。
このため、圧電体層60をエッチングして第一圧電体層30および第二圧電体層40を形成する際に、下部電極層がオーバーエッチングとなって電気抵抗が増大する不都合を抑制できる。このため、低電力で第一圧電体層30の伸縮量を大きくすることができ、メンブレン121の振動により出力される超音波も大音圧にすることができる。
また、オーバーエッチングを考慮して下部電極層20の厚み寸法を増大させる必要がなく、下部電極層20の厚み寸法を薄くすることができる。したがって圧電素子10自体も薄型化することができる。
さらには、第一圧電体層30および第二圧電体層40は、同一素材であるPZTにより形成されている。すなわち、圧電体層積層工程、および圧電体層パターニング工程により同時に、これらの第一圧電体層30および第二圧電体層40を形成することができる。これにより、例えば下部電極層20上に他の保護膜を設ける場合に比べて、製造工程を簡略化することができ、保護膜を別途容易する必要もなく構成を簡単にできる。
このため、第二圧電体層40がメンブレン121の撓み時の抵抗とならないため、第二圧電体層40が開口部111の縁部111A上に形成される場合に比べて、メンブレン121を大きい振幅で振動させることができる。したがって、第一圧電体層30に印加する電圧が低電圧である場合でも、大音圧の超音波を出力することができる。
メンブレン121が撓む際、支持膜12は、開口部111に入り込む方向にモーメント力を受けるため、開口部111の縁部111Aに近い位置の支持膜12は、開口部111側に引っ張り力が働いて伸縮する。ここで、開口部111の縁部に近接位置に第二圧電体層40が形成される場合、その支持膜12の伸縮が規制されるため、メンブレン121の撓み量を制限してしまうおそれがある。これに対して、上記のように、開口部111の縁部111Aから距離Lだけ離れた位置に第二圧電体層40を形成することで、メンブレン121の撓み抵抗が増大せず、メンブレン121の撓み量が減少しない。したがって、開口部111の縁部111Aから第二圧電体層40が形成される位置までの距離が距離L未満となる場合に比べて、大音圧の超音波を出力させることができる。
次に、本発明に係る第二実施形態の圧電素子について、図面に基づいて説明する。
図5は、本発明に係る超音波プローブに用いる第二実施形態の圧電素子の断面図である。
第二実施形態の圧電素子10Aは、第一実施形態の圧電素子10の第二圧電体層40上に配線層である補助電極層70が形成される。
具体的には、この補助電極層70は、下部電極層20の接続部22Bから第二圧電体層40の上層に形成され、第二圧電体層40の端部位置22Aで再び下部電極層20に接続される。
すなわち、上部電極積層工程で、図4(A)に示すような導電性膜を成膜した後、上部電極パターン形成工程において、上部電極層50の形成位置および補助電極層70の形成位置にそれぞれレジストを形成する。そして、このレジストの形成領域以外の導電性膜をエッチングにより除去することで、図5に示すような補助電極層70が形成される。
第二実施形態の圧電素子10Aでは、上記第一実施形態の圧電素子10と同様の作用効果が得られ、下部電極層20の電気抵抗の増大を抑制し、圧電素子10A自身の薄型化をも促進できる。
さらに、補助電極層70が設けられることで、下部電極端子部23から下部電極本体部21までの配線部分において、電気抵抗をより低減させることができ、より低電力で第一圧電体層30を駆動させて超音波を出力させることができる。
同様に、下部電極端子部23上に補助電極層70を形成してもよく、この場合、下部電極端子部23における電気抵抗の増大を防止することができる。
次に本発明に係る超音波プローブに用いる第三実施形態の圧電素子について、図面に基づいて説明する。
図6は、第三実施形態の圧電素子を示す図であり、(A)は、平面図、(B)は、断面図である。
上記第二実施形態の圧電素子10Aでは、第二圧電体層40の上層に、下部電極層20に接続される補助電極層70を設ける例を示したが、第三実施形態の圧電素子10Bは、第二圧電体層40の上層に、上部電極線部52が形成されている。
すなわち、圧電素子10Bを、例えばアレイ状に配置して形成する場合などにおいて、アレイ基板への素子の配置関係上で、下部電極線部22と上部電極線部52とをクロスさせて形成する場合がある。このような場合、従来、下部電極線部22と上部電極線部52との接触を防止するため、別途絶縁層を形成する必要があった。これに対して、第三実施形態の圧電素子10Bでは、第二圧電体層40に上部電極線部52を形成することで、絶縁層を別途形成することなく上部電極線部52と下部電極線部22とをクロスさせることができる。
次に、本発明の超音波プローブに用いる第四実施形態として、上述したような圧電素子が配設された超音波トランスデューサーについて、図面に基づいて説明する。
図7は、第四実施形態の超音波トランスデューサーの一部を示す平面図である。
図7において、超音波トランスデューサー1は、本発明の圧電素子であり、複数の圧電素子10が格子状に配設されたアレイ構造を有している。このように、アレイ構造にすることによって、被検体のエコー画像を取得することが可能になる。
このような超音波トランスデューサー1は、複数の圧電素子10における超音波の出力タイミングを制御することで、所望の点に超音波を集束させることができる。また、本実施形態では、基板11上に超音波送信用の圧電素子10を複数配置した超音波送信アレイを例示するが、例えば、これらの圧電素子10を超音波の受信素子として機能させることもできる。この場合、格子状に配置される圧電素子10のうち、例えば半数を超音波送信用素子として機能させ、残りの半数を超音波受信用素子として機能させるなどの構成としてもよい。また、全ての圧電素子10を超音波送信兼超音波受信に用いることも可能である。具体的には、1つの圧電素子10を超音波発信素子として機能させて、被検体に向けて超音波を発信した後、超音波受信素子として機能させて、被検体から反射された超音波(エコー)を受信させる構成である。このように、全ての圧電素子10を超音波送信兼超音波受信に用いることで、高密度で反射波を受信することが可能になり、高密度のエコー画像取得が可能になる。
具体的には、図7に示すように、各圧電素子10の下部電極線部22は、下部電極本体部21に連続し、メンブレン121の内外に跨って形成される素子接続線221と、素子接続線221から下部電極端子部23までを接続する下部電極配線222とを備えている。ここで、各圧電素子10のメンブレン121間には、複数の下部電極配線222が形成されるため、レイアウト上これらの下部電極配線222の線幅は、素子接続線221よりも線幅寸法が小さく形成されている。このため、下部電極配線222では、素子接続線221よりも電気抵抗が大きくなる。
このような超音波トランスデューサー1において、各圧電素子10の圧電体および上部電極層50の形成時に下部電極配線222にオーバーエッチングがかかると、更なる電気抵抗の増大を引き起こし、圧電素子10から所望の音圧の超音波を出力させるために高電圧を印加する必要があり、この場合、特に、高周波数域において、圧電素子10の駆動制御が困難となる。これに対して、本実施形態では、素子接続線221よりも線幅寸法が小さくなる下部電極配線222上に、第二圧電体層40が形成されている。このため、トランスデューサー製造時において、下部電極配線222がオーバーエッチングとならず、電気抵抗の増大を抑制できる。
ここで、これらの上部電極線部52は、第三実施形態と同様に、第二圧電体層40上に形成されている。このため、上部電極線部52と下部電極配線222とを接触させることなく、平面視において、これらの上部電極線部52と下部電極配線222とを近接させた配線パターンを形成することができる。このような構成とすることで、各圧電素子10の配置間隔を短くでき、超音波トランスデューサー1の基板11のサイズを小型化できる。
また、図7に示す例では、平面視において、各下部電極配線222と上部電極線部52とが重ならないように配置されているが、例えば平面視において、上部電極線部52と下部電極配線222とが重なる位置に設けられていてもよい。
圧電素子10は、図7の横方向(第一の方向)に対して、一定のピッチPxで配列されている。更に、圧電素子10は、図7の縦方向(第二の方向)に対して、一定のピッチPyで配列されている。このように、直交する二方向の各々に対して、一定のピッチで配列
されるアレイ構造とすることで、本発明を超音波プローブに適用する場合、エコー画像を取得できる。更に、PxとPyを同じ値に設定しても良い。その場合、より歪みの少ないエコー画像を取得できる。
上記第四実施形態の超音波トランスデューサー1は、複数の圧電素子10が配列されたアレイ構造を有している。このような超音波トランスデューサー1では、基板11上に下部電極線部22を形成する際、圧電素子10間に下部電極配線222を複数配置する必要があり、その線幅寸法が規制され、電気抵抗が増大する。このような超音波トランスデューサー1において、製造時に下部電極配線222がオーバーエッチングとなる場合、電気抵抗がさらに増大し、出力される超音波の音圧が低下したり、高周波域における駆動制御が困難になったりする。これに対して、本実施形態では、下部電極配線222上に第二圧電体層40が形成されることで、製造時における下部電極配線222のオーバーエッチングを防止でき、電気抵抗の増大を抑制できる。
次に、製品形態として、上記のような圧電素子10を備えた本発明の医療機器について説明する。この製品形態では、医療機器として超音波プローブの外観を例示する。
図8は、製品形態の超音波プローブの構成を模式的に示す斜視図である。図9は、この超音波プローブが備える超音波トランスデューサーの構成を模式的に示す斜視図である。
この超音波トランスデューサー1Aは、図9に示すように、基板11に、複数の超音波送信用の圧電素子10を備えている。そして、これらの圧電素子10は、第四実施形態の超音波トランスデューサー1と同様、図7に示すようなアレイ構造に配置され、下部電極線部22のうち、メンブレン121の外側領域に配置される下部電極配線222上に第二圧電体層40が積層形成されている。そして、基板11は圧電素子10を制御する演算制御部13に接続されている。
よって、このような超音波トランスデューサー1Aを備えた超音波プローブでは、被検体の内部を精度良く画像取得することができ、消費電力も抑えることができる。
〔製品形態−2〕
本発明の第二の製品形態としては、超音波画像診断装置がある。図10に超音波画像診断装置の構成を示す。超音波プローブ100は超音波観測器200の装置本体6と接続される。オペレーターは操作部7によって、超音波プローブ100の駆動条件を設定し、表示モニター8にエコー画像が表示される。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
さらには、第二圧電体層40は、開口部111の縁部111Aから、メンブレン121の振動を阻害するおそれのある距離Lの範囲内のみ形成されず、その他の全領域に第二圧電体層40が形成される構成としてもよい。
Claims (8)
- 開口部を有する基板と、
前記基板上に設けられた支持膜と、
前記支持膜上で、前記支持膜の厚み方向から見る平面視において、前記開口部内に設けられた下部電極本体部、および、前記下部電極本体部から前記開口部外に設けられた下部電極配線部、を有する下部電極層と、
前記下部電極本体部上に設けられた第一圧電体層と、
前記第一圧電体層上に設けられた上部電極層と、
前記下部電極配線部上に設けられた第二圧電体層と、を備え、
前記第一圧電体層および前記第二圧電体層が、前記平面視において前記開口部の外周縁に重ならない
ことを特徴とする圧電素子を有する超音波プローブ。 - 前記第二圧電体層は、前記平面視において、前記開口部に重ならない位置に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ。 - 前記第二圧電体層上に前記下部電極層と接続する配線層が設けられる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波プローブ。 - 前記第二圧電体層上に前記上部電極層と接続する配線層が設けられる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波プローブ。 - 前記下部電極配線部は、
前記平面視において、前記開口部の内外に跨り、前記下部電極本体部に接続された素子接続線と、
前記素子接続線に連続し、前記平面視において、前記開口部の外側に設けられ、前記素子接続線の線幅よりも狭い線幅の下部電極配線と、を備え、
前記第二圧電体層は、前記下部電極配線を覆って設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の超音波プローブ。 - 前記圧電素子を複数備え、前記圧電素子は第一の方向に一定のピッチで配列され、且つ、前記第一の方向と直交する第二の方向に一定のピッチで配置される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の超音波プローブ。 - 前記圧電素子が配置される前記第一の方向のピッチと、前記圧電素子が配置される前記第二の方向のピッチとは同じである
ことを特徴とする請求項6に記載の超音波プローブ。 - 請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の超音波プローブを備えることを特徴とする超音波画像診断装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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