JP5834503B2 - 回転軸の支持構造 - Google Patents
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Description
インペラは、回転によってその正面側の流体(ガス)を吸入、昇圧し、背面側から吐出するので、正面側で吸入されて背面側に流動してきた流体は、圧縮(昇圧)された高圧ガスとなる。したがって、この圧縮ガスはインペラの背面側に開口している第1の孔を通って第2の孔の開口から吹き出され、ラジアルフォイル軸受のトップフォイルの内面に直接吹き付けられる。その際、吹き出されたガスは圧縮された高圧ガスとなっているので、ラジアルフォイル軸受の軸受負荷能力の向上に寄与する。
このようにすれば、ラジアルフォイル軸受のトップフォイルの内面に対して、冷却ガスが回転軸の周面の周方向に均等に吹き付けられるようになり、ラジアルフォイル軸受に対する冷却効果が均等になるとともに、軸受による回転軸の支持も安定する。
このようにすれば、インペラ側の圧縮ガスが冷却ガスとしてトップフォイルの内面に直接吹き付けられるため、この圧縮ガスがさらに斜方溝の長さ方向に沿って軸受の軸方向中央部から両側端縁に向けて流れるようになる。したがって、冷却ガスが例えば軸方向中央部に流入して該中央部を冷却し、また該中央部の熱くなった潤滑流体が両側端縁に向けて排出されるため、冷却性能が高くなって軸受の焼き付きが確実に防止される。
回転軸1には、インペラ2が形成された側にスラストカラー6が固定されており、このスラストカラー6の両側には、このスラストカラー6に対向してそれぞれの側にスラスト軸受7が配置されている。
また、回転軸1には、スラストカラー6より中央側に、ラジアルフォイル軸受3が外挿されている。
バックフォイル21は、フォイル(薄板)で形成されてトップフォイル20を弾性的に支持する。このようなバックフォイル21としては、例えば、バンプフォイル、特開2006−57652号公報や特開2004−270904号公報などに記載されているスプリングフォイル、特開2009−299748号公報などに記載されているバックフォイルなどが用いられる。図1ではバンプフォイルを例に説明する。バックフォイル21は、図1(b)に示すようにフォイル(薄板)が波板状に成形され、さらにベアリングハウジング12の内周面に沿って円筒状に形成配置されたものである。ここで、波板状に成形されたバンプフォイル(バックフォイル)21は、ラジアルフォイル軸受3の周方向に沿って、ベアリングハウジング12と接する山部と、トップフォイル20に接する谷部とを交互に形成している。これによってバンプフォイル(バックフォイル)21は、ラジアルフォイル軸受3の軸方向に山部や谷部による流体の通路を形成している。
回転軸1が停止した状態では、ラジアルフォイル軸受3のトップフォイル20はバックフォイル21によって回転軸1側に付勢されることで回転軸1に密着している。
そして、回転軸1を始動させると、最初は低速で回転を始め、その後徐々に加速して高速で回転する。すると、トップフォイル20のフォイル始端20aとフォイル終端20bとの間から周囲流体が引き入れられ、トップフォイル20と回転軸1との間に流入することでここに流体潤滑膜を形成する。この流体潤滑膜は、回転軸1とトップフォイル20との間でせん断されることにより、熱を生じる。
また、トップフォイル20の内面に、圧縮された高圧ガスを直接吹き付けるので、ラジアルフォイル軸受3の軸受負荷能力の向上を図ることができる。
また、回転軸1も同時に冷却できるようにしたので、例えば回転軸1の軸本体1aにモーターのような大きな熱源がある場合、該熱源による回転軸1の過熱や、回転軸1の過熱によるラジアルフォイル軸受3の焼き付きを防止することができる。
第2実施形態が先に説明した第1実施形態と異なるところは、ラジアルフォイル軸受3のトップフォイルの構造にある。すなわち、本実施形態におけるラジアルフォイル軸受3は、図1(b)に示したラジアルフォイル軸受3と同様に軸受ハウジング22の内側にバンプフォイル21を有し、さらにその内側にトップフォイルを有するものの、図2(a)、(b)に示すように本実施形態のトップフォイル30は、その内面に複数の斜方溝31や、ランド部32、33を形成している。
また、斜方溝31は、図2(b)に示すように軸方向に対する角度、すなわち中心線CLと直交するラインに対する傾斜角θが、10°〜35°程度に形成されているのが好ましく、15°〜20°程度に形成されているのがより好ましく、17°程度に形成されているのがさらに好ましい。10°以上にすることで、回転軸1の回転力に付勢された潤滑流体を、斜方溝31に沿って回転軸1の回転方向に向けて良好に流れさせることができ、ラジアルフォイル軸受3をより広範囲に冷却することが可能になる。一方、35°以下にすることで、潤滑流体が斜方溝31に沿って軸方向の端部側に向かって良好に流れるようになり、後述するように熱くなった潤滑流体をラジアルフォイル軸受3の外側に良好に排出することが可能になる。
回転軸1が停止した状態では、トップフォイル30はバックフォイル21によって回転軸1側に付勢されることで回転軸1に密着している。ただし、本実施形態では、トップフォイル30の内面に斜方溝31が形成されているため、回転軸1が停止している状態でもすでに斜方溝31内に周囲流体(例えば空気)が存在している。
ただし、実施形態1と同様に、流体潤滑膜は回転軸1とトップフォイル30との間でせん断されることにより、熱を生じる。
図4は、本発明の回転軸の支持構造の、第3実施形態の概略構成を示す模式図である。図4に示す第3実施形態が先に説明した第1実施形態と異なるところは、回転軸1に第1の孔40を複数形成するとともに、第1の孔40を構成する第4の孔41を、回転軸1の中心軸から離れた周面側に配置した点である。
また、トップフォイル20の内面に、圧縮された高圧ガスを直接吹き付けるので、ラジアルフォイル軸受3の軸受負荷能力の向上を図ることができる。
また、回転軸1も同時に冷却できるようにしたので、例えば回転軸1の軸本体1aにモーターのような大きな熱源がある場合、該熱源による回転軸1の過熱や、回転軸1の過熱によるラジアルフォイル軸受3の焼き付きを防止することができる。
また、第1の孔40および第2の孔43を、回転軸1の軸本体1aにのみ形成するので、インペラ2側の加工を容易にすることができる。
図5は、本発明の回転軸の支持構造の、第4実施形態の概略構成を示す模式図である。図5に示す第4実施形態は、例えば二段圧縮機における二段目側の圧縮機や、プロセスガスでタービンを回転させる場合などに適用されるもので、特にコンプレッサハウジング5内が圧縮されて高圧化されている場合の、回転軸の支持構造である。この第4実施形態が先に説明した第1実施形態と異なるところは、回転軸1の正面側端面、すなわちインペラ2の正面側の軸端面に、第1の孔50の開口50aを形成した点である。
また、トップフォイル20の内面に、圧縮された高圧ガスを直接吹き付けるので、ラジアルフォイル軸受3の軸受負荷能力の向上を図ることができる。
例えば、前記実施形態では、第2の孔11、43を四つ形成したが、第2の孔の数は任意であり、設計上許される数のいずれをも採用することができる。ただし、その開口11a、43aについては回転軸1の周面の周方向に等間隔で開口していることが好ましいため、第2の孔の数は複数であるのが望ましい。また、第3の孔9、42についても、第2の孔11、43と同様に、その数を設計上許される任意の数とすることができる。
Claims (4)
- インペラを有する回転軸をラジアルフォイル軸受で回転可能に支持する回転軸の支持構造であって、
前記回転軸には、その一端側に設けられたインペラ側に流体の吸入口として開口するとともに、該インペラ側から前記ラジアルフォイル軸受に支持される側に向かって延びる第1の孔と、該第1の孔に連通して該第1の孔から前記回転軸の半径方向外側に向かって延びる第2の孔と、が形成され、
前記第2の孔は、前記回転軸の周面の、前記ラジアルフォイル軸受のトップフォイルの内面に対向する位置に前記流体の吐出口として開口していることを特徴とする回転軸の支持構造。 - 前記第1の孔は、前記回転軸の周面の、前記インペラの背面側に開口していることを特徴とする請求項1記載の回転軸の支持構造。
- 前記第1の孔は、前記回転軸の周面の、前記インペラの背面側に開口する第3の孔と、該第3の孔に連通して該第3の孔から前記回転軸の中心軸に沿って前記ラジアルフォイル軸受に支持される側に向かって延びる一つの第4の孔と、から形成され、
前記第2の孔は、前記第1の孔から放射状に複数設けられて、前記回転軸の周面の周方向に等間隔で開口していることを特徴とする請求項1記載の回転軸の支持構造。 - 前記ラジアルフォイル軸受は、前記回転軸に対向して配置される円筒状のトップフォイルと、前記トップフォイルの径方向外側に配置されるバックフォイルとを備え、
前記トップフォイルの前記回転軸と対向する面には、前記回転軸の回転方向後方から前方に向かうとともに、該トップフォイルの軸方向の中心部から両方の端縁側にそれぞれ向かう斜方溝が複数形成され、該斜方溝間、および該斜方溝の前記端縁側の端部と該端縁との間には、それぞれランド部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転軸の支持構造。
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