JP2019035435A - スラスト軸受装置 - Google Patents

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白石 啓一
Keiichi Shiraishi
啓一 白石
岡部 雅彦
Masahiko Okabe
雅彦 岡部
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Abstract

【課題】スラストカラーと軸受部との間の隙間から放出される潤滑油を用いてスラストカラーから軸受部に与えられるスラスト力を低減する。
【解決手段】スラストカラー20と、スラストカラー20を支持する支持面30aが形成された軸受部30と、を備え、スラストカラー20が、支持面30aと対向する対向面20aに形成されるとともに軸線Xの軸線方向に直交する径方向に延びる複数の給油溝21と、潤滑油を給油溝21へ供給する供給溝22と、給油溝21の外周側端部に設けられる外周壁23と、を有し、軸受部30が、外周壁23の外周側に隣接して配置され、支持面30aと対向面20aとの間から径方向に排出される潤滑油を径方向から軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導く壁部32を有するスラスト軸受装置を提供する。
【選択図】図7

Description

本発明は、スラスト軸受装置に関する。
従来、高速で回転する回転軸を備える過給機等の回転機械は、回転軸の軸方向の荷重を支持するスラスト軸受を備えている。スラスト軸受は、軸方向のスラスト力を受けながら回転軸と一体に回転するスラストディスクと、このスラストディスクに対向して配置された固定側ディスクとを備えている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1のスラスト軸受は、固定側ディスクを平坦面とし、スラストディスクの軸受面に潤滑油が供給される給油溝を設けたものである。特許文献1のスラスト軸受の軸受面には、平坦面が形成されたランド部と、給油溝からランド部へ向けて徐々に浅くなるテーパ部とが設けられている。
特開2013−113412号公報
特許文献1に開示されるスラスト軸受において、スラストディスクの給油溝に供給された潤滑油は、スラストディスクの回転による遠心力を受けて、給油溝を半径方向外向きに流れる。スラストディスクと固定側ディスクの間の隙間を通過した潤滑油は、遠心力の作用によって回転軸の軸線方向と直交する半径方向に高い速度で放出される。スラスト軸受においては、スラストディスクから固定側ディスクに与えられるスラスト力を低減することが望ましいが、スラストディスクと固定側ディスクの間の隙間から放出される潤滑油は、スラスト力の低減に何ら寄与していなかった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、スラストカラーと軸受部との間の隙間から放出される潤滑油を用いてスラストカラーから軸受部に与えられるスラスト力を低減することが可能なスラスト軸受装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明の一態様にかかるスラスト軸受装置は、軸線に沿って延びる回転軸と一体に回転方向に回転する円環状のスラストカラーと、該スラストカラーに隣接して配置されるとともに該スラストカラーを支持する支持面が形成された円環状の軸受部と、を備え、前記スラストカラーが、前記支持面と対向する対向面に形成されるとともに前記軸線の軸線方向に直交する径方向に延びる複数の給油溝と、前記給油溝の内周側端部に設けられるとともに潤滑油を該給油溝へ供給する供給部と、前記給油溝の外周側端部に設けられる第1壁部と、を有し、前記軸受部が、前記第1壁部の外周側に隣接して配置され、前記支持面と前記対向面との間から前記径方向に排出される前記潤滑油を前記径方向から前記軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導く第2壁部を有する。
本発明の一態様にかかるスラスト軸受装置によれば、径方向に延びるスラストカラーの給油溝の内周側端部に供給部から潤滑油が供給される。給油溝の内周側端部に供給された潤滑油は、回転軸の回転による遠心力の作用により給油溝に沿って外周側端部へ向けて移動する。外周側端部には第1壁部が設けられているため、外周側端部へ移動した潤滑油により、スラストカラーから伝達されるスラスト力を支持する油膜圧力が発生する。
また、軸受部が、支持面と対向面との間から径方向に排出される潤滑油を径方向から軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導く第2壁部を有している。そのため、遠心力の作用によって半径方向の外側に向けて移動する潤滑油が軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導かれる。そして、軸線方向の速度成分を有する潤滑油がスラストカラーの第1壁部に作用し、スラストカラーから軸受部に与えられるスラスト力が低減する。
このように、本発明の一態様にかかるスラスト軸受装置によれば、スラストカラーと軸受部との間の隙間から径方向に放出される潤滑油を用いてスラストカラーから軸受部に与えられるスラスト力を低減することが可能となる。
本発明の一態様にかかるスラスト軸受装置において、前記第1壁部には、前記支持面と前記対向面との間を流通する前記潤滑油を、前記径方向から前記軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導く貫通穴が形成されていてもよい。
貫通穴には、遠心力の作用によって径方向の外側に向けて移動する潤滑油の一部が軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導かれる。そして、軸線方向の速度成分を有して貫通穴を流通する潤滑油が、スラストカラーの第1壁部に作用し、スラストカラーから軸受部に与えられるスラスト力が低減する。
本発明の一態様にかかるスラスト軸受装置においては、前記軸受部が、前記第2壁部と前記第1壁部との間を流通する前記潤滑油の前記回転方向の速度成分を減少させて前記径方向の速度成分を増加させる整流部を有していてもよい。
整流部を設けることにより、スラストカラーの回転によって回転方向の速度成分を有する潤滑油の径方向の速度成分を増加させることができる。潤滑油は、径方向の速度成分が増加するのに伴って第1壁部に作用する軸線方向の速度成分が増加する。そのため、スラストカラーから軸受部に与えられるスラスト力が更に低減する。
本発明の一態様にかかるスラスト軸受装置においては、前記スラストカラーが、前記第1壁部の外周面から前記径方向の外側へ突出し、前記第2壁部と前記第1壁部との間を通過した前記潤滑油の流通方向を前記軸線方向から前記径方向に向けて傾斜した方向へ導く突出部を有していてもよい。
第2壁部と第1壁部との間を通過した潤滑油の軸線方向の速度成分は、突出部で軸線方向から径方向に向けて傾斜した方向へ導かれる際に、スラストカラーから軸受部に与えられるスラスト力を低減するように作用する。そのため、スラストカラーから軸受部に与えられるスラスト力が更に低減する。
本発明の一態様にかかるスラスト軸受装置においては、前記第2壁部が、前記径方向に排出される前記潤滑油を前記径方向から前記軸線方向と同方向へ導いてもよい。
第2壁部が潤滑油を径方向から軸線方向と同方向へ導くことにより、軸線方向から傾斜した方向に導く場合に比べ、潤滑油の軸線方向の速度成分が増加する。そのため、スラストカラーから軸受部に与えられるスラスト力が更に低減する。
本発明の一態様にかかるスラスト軸受装置においては、前記第2壁部が、前記軸線方向の先端位置が前記スラストカラーの前記軸線方向に沿った厚さの半分以上の位置まで延長された形状であってもよい。
第2壁部の先端位置を延長することにより、第2壁部と第1壁部との間を通過した潤滑油が、遠心力によって径方向に飛散することが更に抑制される。
本発明によれば、スラストカラーと軸受部との間の隙間から放出される潤滑油を用いてスラストカラーから軸受部に与えられるスラスト力を低減することが可能なスラスト軸受装置を提供することができる。
第1実施形態の過給機を示す部分縦断面図である。 図1に示すスラストカラーを遠心圧縮機側からみた側面図である。 図2に示すスラストカラーのI−I矢視断面図である。 図2に示すスラストカラーのII−II矢視断面図である。 図1に示す軸受部をタービン側からみた側面図である。 図5に示す軸受部のIII−III矢視断面図である。 図1のA部分を示すスラスト軸受装置の部分縦断面図である。 図1のA部分を示すスラスト軸受装置の部分縦断面図であり、図7の変形例を示すものである。 第2実施形態のスラストカラーを遠心圧縮機側から斜視した部分断面図である。 第3実施形態の軸受部をタービン側からみた側面図である。 図10に示す軸受部のIV−IV矢視断面図である。 第4実施形態のスラスト軸受装置の部分縦断面図である。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態の過給機100について図面を参照して説明する。
本実施形態の過給機100は、船舶に用いられる舶用ディーゼル機関(内燃機関)に供給する気体(例えば、空気)を一定圧力(例えば、大気圧)以上に高めて、舶用ディーゼル機関の燃焼効率を高める装置である。
図1に示すように、本実施形態の過給機(回転機械)100は、スラストカラー20と軸受部30を有するスラスト軸受装置10と、軸線Xに沿って延びるロータ軸(回転軸)40と、ロータ軸40の一端に連結された遠心圧縮機50と、ロータ軸40の他端に連結されたタービン60と、ジャーナル軸受装置70と、を備える。
なお、図1においては、遠心圧縮機50を収容するケーシングや、タービン60を収容するケーシング等についての図示を省略している。
遠心圧縮機50は、過給機100の外部から流入する気体を羽根車51により圧縮し、舶用ディーゼル機関を構成するシリンダライナ(図示略)の内部と連通する掃気トランク(図示略)に圧縮した気体(以下、圧縮気体という。)を供給する装置である。
タービン60は、舶用ディーゼル機関から排出される排ガスによりタービン翼61を軸線X回りに回転させ、その回転力をロータ軸40に伝達する装置である。タービン60により回転力を与えられたロータ軸40は軸線X回りに回転する。ロータ軸40の端部に連結された遠心圧縮機50の羽根車51は、ロータ軸40とともに軸線X回りに回転し、舶用ディーゼル機関に圧縮気体を供給する。
舶用ディーゼル機関から排出される排ガスは、図1に矢印で示すように、タービン60から遠心圧縮機50へ向けた方向に沿ってタービン60へ流入する。タービン60に流入する排ガスにより、タービン60には軸線Xに沿って遠心圧縮機50へ向けた方向のスラスト力が与えられる。この遠心圧縮機50へ向けたスラスト力は、タービン60に連結されたロータ軸40に伝達される。
スラスト軸受装置10は、ロータ軸40を支持する装置である。スラスト軸受装置10は、軸線Xの軸線方向に沿って遠心圧縮機50へ向けてロータ軸40に作用するスラスト力に対する反力を発生させ、ロータ軸40の軸線方向の位置を一定の位置に保持する。
ジャーナル軸受装置70は、ロータ軸40を支持する装置である。ジャーナル軸受装置70は、軸線Xの軸線方向に直交する径方向に沿ってロータ軸40に作用する力に対する反力を発生させ、ロータ軸40を軸線X上に保持する。
本実施形態の過給機100と舶用ディーゼル機関を備える船舶は、スラスト軸受装置10等に潤滑油を循環させる潤滑油循環系統(図示略)を備えている。潤滑油循環系統は、電力により潤滑油を圧送する動力を発生させる潤滑油ポンプ(図示略)を有している。
以下、本実施形態のスラスト軸受装置10について、詳細に説明する。
図1に示すように、スラスト軸受装置10は、遠心圧縮機50へ向けた軸線方向のスラスト力が作用するロータ軸40と一体に回転方向Rd(図2参照)に回転する円環状のスラストカラー20と、スラストカラー20の遠心圧縮機50側に隣接して配置される円環状の軸受部30と、を備える。軸受部30は、過給機100に固定された状態で設置されている。
スラストカラー20は、図2(図1に示すスラストカラー20を遠心圧縮機50側からみた側面図)および図3(図2に示すスラストカラー20のI−I矢視断面図)に示すように、軸受部30の支持面30a(図6参照)と対向する対向面20aに、給油溝21と、供給溝(供給部)22と、外周壁(第1壁部)23と、ランド部24と、テーパ部25とが形成された円環状の部材である。
スラストカラー20の材料としては、例えば、窒化処理を行ったSCM435等のクロムモリブデン鋼を用いることができる。
図2に示すように、スラストカラー20に設けられる対向面20aには、給油溝21,テーパ部25,ランド部24を一組とした複数組(図2に示す例では45°間隔で8組)が、軸線X回りの周方向に沿って連続的に配置されている。各組においては、給油溝21,テーパ部25,ランド部24が、ロータ軸40の回転方向Rdの前側から後側へ向けた軸線X回りの周方向に沿って、給油溝21,テーパ部25,ランド部24の順に配置されている。給油溝21,テーパ部25,ランド部24の順に配置しているのは、スラストカラー20の回転方向Rdへの回転に伴って、給油溝21に供給された潤滑油が、テーパ部25において、給油溝21からランド部24へ向けて導かれるようにするためである。
給油溝21は、軸線Xの軸線方向に直交する径方向に延びるように形成されており、スラストカラー20の対向面20aの8箇所に放射状に形成されている。
図3に示すように、給油溝21は、軸線Xに直交する径方向の内周側端部から外周側端部へ向けて軸線Xと平行な方向の流路深さDpが一定となるように形成されている。
供給溝22は、軸線X回りの周方向に沿って無端状に形成される溝であり、複数の給油溝21の内周側端部のそれぞれに連結されている。後述するように、供給溝22には、軸受部30から潤滑油が供給されるようになっている。給油溝21の内周側端部に設けられた供給溝22は、軸受部30から供給された潤滑油を複数の給油溝21の内周側端部のそれぞれへ供給する。
外周壁23は、スラストカラー20の対向面20aの外周側端部に設けられるとともに外周側端部からの潤滑油の漏出を抑制する部材である。外周壁23は、スラストカラー20の対向面20aにおいて、軸線X回りの周方向の全周に渡って無端状に形成されている。
ランド部24は、図4(図2に示すスラストカラー20のII−II矢視断面図)に示すように、回転方向Rdの前側に給油溝21に隣接して配置されるとともに径方向に延びる平坦面24aを形成するものである。
テーパ部25は、図4に示すように、給油溝21からランド部24へ向けた傾斜面25aを形成するものである。図4に示すように、軸線Xに直交する平面(ランド部24の平坦面24aと平行な平面)に対する傾斜面25aの傾斜角度θは、給油溝21からランド部24へ向けた周方向の各位置で一定となっている。
次に、本実施形態のスラスト軸受装置10が備える軸受部30について説明する。
軸受部30は、図5(図1に示す軸受部30をタービン側からみた側面図)および図6(図5に示す軸受部30のIII−III矢視断面図)に示すように、スラストカラー20の対向面20aを支持する支持面30aが形成された円環状の部材である。
軸受部30の材料としては、例えば、支持面30a部分に鉛青銅を用い、その他の部分にS25C等の機械構造用炭素鋼を用いることができる。
軸受部30の支持面30aには、供給溝31と、壁部(第2壁部)32が形成されている。また、軸受部30は、軸受部30の外周面に形成される外周溝33と、外周溝33と供給溝31とを連通させる複数の給油穴34と、を有する。
供給溝31は、給油穴34から供給される潤滑油を保持するとともに対向して配置されるスラストカラー20の供給溝22に潤滑油を供給するものである。図5に示すように、供給溝31は、軸線X回りに無端状に形成される溝である。
壁部32は、軸受部30に設けられスラストカラー20を支持する支持面30aから突出するように形成される壁状の部材であり、軸線X回りの周方向に無端状に形成されるものである。
図7(図1のA部分を示すスラスト軸受装置10の部分縦断面図)に示すように、壁部32は、スラストカラーの外周壁23の外周側に隣接して配置され、支持面30aと対向面20aとの間から径方向に排出される潤滑油を径方向から軸線方向と同方向に導くものである。
図7に示すように、壁部32に隣接して配置される外周壁23は、壁部32との間に一定の隙間を形成する形状となっている。この隙間は、支持面30aと対向面20aとの間に形成される隙間と同程度となっている。このような隙間を設けているのは、隙間が広すぎると壁部32と外周壁23との間を流通する潤滑油の速度が高くならず、潤滑油の運動量変化が小さくなることによりスラストカラー20に与えられたスラスト力を十分に低減できないからである。また、隙間が狭すぎると壁部32と外周壁23とが接触し損傷する可能性があるからである。
図7においては、軸受部30の壁部32の内周面とスラストカラー20の外周壁23の外周面との隙間に形成される潤滑油の流路を、径方向から軸線方向に傾斜した直線Y方向に伸びるものとしたが、他の態様であってもよい。
例えば、図8(図1のA部分を示すスラスト軸受装置10の部分縦断面図であり、図7の変形例を示すもの)に示すように、軸受部30Aの壁部32Aの内周面とスラストカラー20Aの外周壁23Aの外周面との隙間に形成される潤滑油の流路を、径方向から軸方向に向けて円弧状に形成されるものとしてもよい。
また、図7においては、破線で示すように壁部32のタービン60側の先端位置をタービン60側まで延長した形状としてよい。例えば、壁部32のタービン60側の先端位置を、スラストカラー20の軸線方向に沿った厚さThの半分以上の位置まで延長された形状としてもよい。更に、タービン60側の先端位置を、スラストカラー20のタービン側の先端位置と同じかそれよりもタービン60側まで延長してもよい。
壁部32のタービン60側の先端位置を延長することにより、壁部32と外周壁23との間を通過した潤滑油が、遠心力によって径方向に飛散することが抑制される。潤滑油が遠心力によって径方向に飛散すると、過給機100の内部空間の壁部(図示略)に衝突し、潤滑油がミストとなって軸受台内部の空気に混入してしまう可能性がある。この場合、軸受台内部の空気を放出するエアベント管から、潤滑油がミストとして混入した空気が船外へ排出されてしまう懸念がある。壁部32のタービン60側の先端位置をタービン60側まで延長することにより、潤滑油がミストとなって周囲の空気に混入する不具合が抑制される。
外周溝33は、軸受部30の外周面に、軸線X回りの周方向に沿って無端状に形成される溝である。外周溝33には、潤滑油ポンプ(図示略)により圧送される潤滑油が供給されるようになっている。外周溝33に供給された潤滑油は、外周溝33に連通した給油穴34の外周側端部から給油穴34へ流入する。
給油穴34は、図5および図6に示すように、軸受部30の内部に形成されるとともに軸線Xに直交する径方向に延びるように形成された穴である。給油穴34は、軸線X回りの周方向に45°間隔で8箇所に放射状に設けられている。なお、ここでは、給油穴34を45°間隔で8箇所に設けるものとしたが、60°間隔で6箇所等、任意の間隔で設けるようにしてもよい。
給油穴34は、外周側端部が外周溝33に連通しているため、外周溝33に保持された潤滑油が潤滑油ポンプによる圧送により供給される。また、給油穴34は、内周側端部が供給溝31に連通しているため、潤滑油ポンプによる圧送により、供給溝31へ潤滑油を供給する。
ここで、図7を参照して、本実施形態のスラスト軸受装置10における潤滑油の循環系統について説明する。図7に示す矢印は、潤滑油が流通する流通方向を示すものである。
図7に示すように、潤滑油ポンプによる圧送により外周溝33に供給された潤滑油は、給油穴34の外周側端部から給油穴34の内部へ流入し、給油穴34の内周側端部から供給溝31へ排出される。
供給溝31に排出された潤滑油は、供給溝31と対向する位置に配置されるスラストカラー20の供給溝22へ供給される。供給溝22へ供給された潤滑油は、供給溝22と連通する給油溝21へ供給される。
給油溝21へ供給された潤滑油は、スラストカラー20の軸線X回りの回転による遠心力によって給油溝21の内周側端部から外周側端部へ向けて移動する。
外周壁23により、給油溝21の外周側端部へ移動した潤滑油のスラストカラー20の外部への漏出方向が転向される。そのため、外周側端部へ移動した潤滑油により、軸受部30を押す力が発生する。
また、スラストカラー20の外周壁23の外周側に隣接して壁部32が配置されている。そのため、遠心力の作用によって半径方向の外側に向けて移動する潤滑油が軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導かれる。そして、軸線方向の速度成分を有する潤滑油がスラストカラー20の外周壁23に作用し、スラストカラー20から軸受部30に与えられるスラスト力が低減する。
なお、壁部32と外周壁23との間を通過した潤滑油は、スラストカラー20が配置される過給機100の内部空間へ漏出する。内部空間へ漏出した潤滑油は、潤滑油系統(図示略)を経由して再び潤滑油ポンプへ導かれる。
以上説明した本実施形態のスラスト軸受装置10が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態のスラスト軸受装置10によれば、径方向に延びるスラストカラー20,20Aの給油溝21の内周側端部に供給溝22から潤滑油が供給される。給油溝21の内周側端部に供給された潤滑油は、ロータ軸40の回転による遠心力の作用により給油溝21に沿って外周側端部へ向けて移動する。外周側端部には潤滑油の漏出を抑制する外周壁23,23Aが設けられているため、外周側端部へ移動した潤滑油により、スラストカラー20,20Aから伝達されるスラスト力を支持する油膜圧力が発生する。
また、軸受部30,30Aが、支持面30aと対向面20aとの間から径方向に排出される潤滑油を径方向から軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導く壁部32,32Aを有している。そのため、遠心力の作用によって半径方向の外側に向けて移動する潤滑油が軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導かれる。そして、軸線方向の速度成分を有する潤滑油がスラストカラー20,20Aの外周壁23,23Aに作用し、スラストカラー20,20Aから軸受部30,30Aに与えられるスラスト力が低減する。
このように、本実施形態のスラスト軸受装置10によれば、スラストカラー20,20Aと軸受部30,30Aとの間の隙間から径方向に放出される潤滑油を用いてスラストカラー20,20Aから軸受部30,30Aに与えられるスラスト力を低減することが可能となる。
本実施形態のスラスト軸受装置10においては、壁部32,32Aが、径方向に排出される潤滑油を径方向から軸線方向と同方向へ導く。
壁部32,32Aが潤滑油を径方向から軸線方向と同方向へ導くことにより、軸線方向から傾斜した方向に導く場合に比べ、潤滑油の軸線方向の速度成分が増加する。そのため、スラストカラー20,20Aから軸受部30,30Aに与えられるスラスト力が更に低減する。
なお、本実施形態においては、壁部32,32Aが潤滑油を径方向から軸線方向と同方向へ導くものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、壁部32,32Aが潤滑油を軸線方向と同方向ではなく、軸線方向に対して径方向に向けて傾斜した方向に導く態様であってもよい。この場合においても、壁部32,32Aと外周壁23,23Aとの間の隙間を流通する潤滑油が軸線方向の速度成分を有する。そのため、潤滑油がスラストカラー20,20Aの外周壁23,23Aに作用し、スラストカラー20,20Aから軸受部30,30Aに与えられるスラスト力が低減する。
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態のスラスト軸受装置について説明する。
本実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態のスラスト軸受装置と同様であるものとする。
図9は、第2実施形態のスラストカラー20Bを遠心圧縮機側から斜視した部分断面図である。本実施形態のスラストカラー20Bには、支持面30aと対向面20aとの間を流通する潤滑油を径方向から軸線方向に向けて傾斜した方向に導く貫通穴23Baが形成されている。図9に示す貫通穴23Baは、軸線X回りの周方向に等間隔で複数箇所に形成されている。貫通穴23Baは、スラストカラー20Bの回転方向Rdの前側に入口が設けられ、回転方向Rdの後側に出口が設けられている。そのため、スラストカラー20Bの回転に伴って貫通穴23Baの内部を潤滑油が流通し易い。
本実施形態によれば、貫通穴23Baには、遠心力の作用によって径方向の外側に向けて移動する潤滑油の一部が軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導かれる。そして、軸線方向の速度成分を有して貫通穴23Baを流通する潤滑油が、スラストカラー20Bの壁部23Bに作用し、スラストカラー20Bから軸受部30に与えられるスラスト力が低減する。
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態のスラスト軸受装置について説明する。
本実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態のスラスト軸受装置10と同様であるものとする。
本実施形態のスラスト軸受装置は、軸受部30Bの壁部32の内周面に、壁部32と外周壁23との間を流通する潤滑油の回転方向Rdの速度成分を減少させて径方向の速度成分を増加させる整流フィン(整流部)35が設けられている。図10(第3実施形態の軸受部をタービン側からみた側面図)に示すように、本実施形態の軸受部30Bの壁部32の内周面には、軸線X回りの周方向の等間隔(45°間隔)の8箇所に、整流フィン35が削りだしなどの方法により軸受部30Bと一体に形成されている。
整流フィン35は、回転方向Rdに大きな速度成分を持つ潤滑油の流通方向を回転方向から軸線方向に向けて導く形状となっている。すなわち、整流フィン35は、壁部32と外周壁23との間を流通する潤滑油の回転方向Rdの速度成分を減少させて径方向の速度成分を増加させるものである。
図11(図10に示す軸受部のIV−IV矢視断面図)に示すように、整流フィン35は、図7に示す第1実施形態の壁部32と外周壁23との間に形成される隙間と同じ高さを有する。そのため、本実施形態の壁部32と外周壁23との間に形成される隙間は、8箇所の整流フィン35により、8つの流路に仕切られることとなる。そして、8つの流路のそれぞれは、流路を形成する整流フィン35により、潤滑油の回転方向Rdの速度成分を減少させて径方向の速度成分を増加させる。
本実施形態によれば、整流フィン35を設けることにより、スラストカラー20の回転によって回転方向Rdの速度成分を有する潤滑油の径方向の速度成分を増加させることができる。潤滑油は、径方向の速度成分が増加するのに伴って外周壁23に作用する軸線方向の速度成分が増加する。そのため、スラストカラー20から軸受部30Bに与えられるスラスト力が更に低減する。
〔第4実施形態〕
次に本発明の第4実施形態のスラスト軸受装置について説明する。
本実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態のスラスト軸受装置10と同様であるものとする。
本実施形態のスラスト軸受装置は、スラストカラー20Cが、外周壁23の外周面から径方向の外側へ突出する突出部36を有する点で第1実施形態のスラスト軸受装置と異なる。
図12(スラスト軸受装置の部分縦断面図)に示す突出部36は、壁部32と外周壁23との間を通過した潤滑油の流通方向を軸線方向から径方向に向けて傾斜した方向へ導くものである。
本実施形態によれば、壁部32と外周壁23との間を通過した潤滑油の軸線方向の速度成分は、突出部36で軸線方向から径方向に向けて傾斜した方向へ導かれる際に、スラストカラー20Cから軸受部30に与えられるスラスト力を低減するように作用する。そのため、スラストカラー20Cから軸受部30に与えられるスラスト力が更に低減する。
なお、図12においては、突出部36をスラストカラー20Cのタービン60側の先端位置に配置するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、図12に破線で示すように、スラストカラー20Cのタービン60側の先端位置よりも遠心圧縮機50側に近づけた位置に配置してもよい。
10 スラスト軸受装置
20,20A,20B,20C スラストカラー
20a 対向面
21 給油溝
22 供給溝(供給部)
23,23A,23B 外周壁(第1壁部)
23Ba 貫通穴
24 ランド部
24a 平坦面
25 テーパ部
30,30A,30B 軸受部
30a 支持面
31 供給溝
32,32A 壁部(第2壁部)
33 外周溝
34 給油穴
35 整流フィン(整流部)
36 突出部
40 ロータ軸(回転軸)
50 遠心圧縮機
51 羽根車
60 タービン
61 タービン翼
70 ジャーナル軸受装置
100 過給機
Dp 流路深さ
Rd 回転方向
X 軸線

Claims (6)

  1. 軸線に沿って延びる回転軸と一体に回転方向に回転する円環状のスラストカラーと、
    該スラストカラーに隣接して配置されるとともに該スラストカラーを支持する支持面が形成された円環状の軸受部と、を備え、
    前記スラストカラーが、
    前記支持面と対向する対向面に形成されるとともに前記軸線の軸線方向に直交する径方向に延びる複数の給油溝と、
    前記給油溝の内周側端部に設けられるとともに潤滑油を該給油溝へ供給する供給部と、
    前記給油溝の外周側端部に設けられる第1壁部と、を有し、
    前記軸受部が、
    前記第1壁部の外周側に隣接して配置され、前記支持面と前記対向面との間から前記径方向に排出される前記潤滑油を前記径方向から前記軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導く第2壁部を有するスラスト軸受装置。
  2. 前記第1壁部には、前記支持面と前記対向面との間を流通する前記潤滑油を、前記径方向から前記軸線方向へ向けて傾斜した方向へ導く貫通穴が形成されている請求項1に記載のスラスト軸受装置。
  3. 前記軸受部が、前記第2壁部と前記第1壁部との間を流通する前記潤滑油の前記回転方向の速度成分を減少させて前記径方向の速度成分を増加させる整流部を有する請求項1または請求項2に記載のスラスト軸受装置。
  4. 前記スラストカラーが、前記第1壁部の外周面から前記径方向の外側へ突出し、前記第2壁部と前記第1壁部との間を通過した前記潤滑油の流通方向を前記軸線方向から前記径方向に向けて傾斜した方向へ導く突出部を有する請求項1または請求項2に記載のスラスト軸受装置。
  5. 前記第2壁部が、前記径方向に排出される前記潤滑油を前記径方向から前記軸線方向と同方向へ導く請求項1または請求項2に記載のスラスト軸受装置。
  6. 前記第2壁部が、前記軸線方向の先端位置が前記スラストカラーの前記軸線方向に沿った厚さの半分以上の位置まで延長された形状である請求項1または請求項2に記載のスラスト軸受装置。
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