JP5833949B2 - トロリ線のオーバーラップ構造 - Google Patents
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Description
以下に本願発明の背景技術に関連する文献を挙げる。
非特許文献1;清水政利、藤井保和:「新幹線オーバーラップ構成の最適化」、鉄道総研報告、9巻9号 PP.19〜24、1995-09
非特許文献2;久須美俊一、藤井保和、清水政利、長沢広樹、:「電車線オーバーラップ構成の車上診断法」、鉄道総研報告、11巻5号 PP.43〜48、1997-05
さらに、 トロリ線を電柱に支持する可動ブラケットをさらに備え、 該可動ブラケットに支持された前記B線が、前記A線を支持する可動ブラケットの下端よりも下方に位置することが好ましい。
まず、図4を参照して、一般的なオーバーラップ構造を説明する。図4(A)は、コンパウンドカテナリ式の架線の構成を示す図、図4(B)はオーバーラップ区間の架線の側面図、図4(C)はオーバーラップ区間の架線の平面図を示す。
架線1は、電気車両のレールに並列して配設されている。図4(A)に示すコンパウンドカテナリ式の架線1は、吊架線3と、吊架線3からドロッパ4で吊り下げられている補助吊架線5と、補助吊架線5からハンガ6で吊り下げられている、パンタグラフと接触するトロリ線7と、を含む。このようなコンパウンドカテナリ式の架線は、パンタグラフがトロリ線7を押し上げる量を平均化できるので高速車両に適しており、新幹線などに使用されている。1本のトロリ線の架線長は最大で約1.6Kmである。
コンパウンドカテナリ式の架線の場合、トロリ線7と補助吊架線5は、接続金具10を介して代用トロリ線9に接続している。この代用トロリ線9の末端は、架線長区間の両端に立っている支持柱(図示せず)に、張力調整装置(図示せず)を介して支持されている。張力調整装置は、外気温の変化による電線の伸縮を吸収して張力を一定に保つものであり、重錘と滑車を利用したものや、バネを利用したものがある。接続金具10は、図5に示すように、トロリ線7、補助吊架線5のそれぞれの端部に接続するワイヤーターミナル11、各ワイヤーターミナル11に接続するターンバックル12、各ターンバックル12の端部と代用トロリ線9とを接続するヨーク13等を含む。
A線7Aは、オーバーラップ区間Rの入口Fの進行方向後方において、曲線引き金具26、27(詳細後述)を介して可動ブラケット25に支持されている。この可動ブラケット25は、支持柱20に取り付けられた枠部材21からレールの方向に延びるように、碍子22を介して取り付けられている。A線7Aは、オーバーラップ区間Rの出口において、レール外方向へ引き出される。
B線7Bは、同線7Bが接続する代用トロリ線9がレール外方向からレールに対して斜めに延び、オーバーラップ区間Rの入口F(屈曲点ともいう)において、レールとほぼ平行となるように屈曲してオーバーラップ区間Rに入る。代用トロリ線9は、オーバーラップ区間Rの入口Fにおいて、可動ブラケット31に支持されている。この可動ブラケット27は、支持柱20に取り付けられた枠部材21からレールの方向に延びるように、碍子22を介して取り付けられている(詳細後述)。
A線7Aは、補助吊架線5及び吊架線3とともに、枠部材21から碍子22を介してレール方向に延びるように取り付けられた、一つの可動ブラケット25に支持されている。そして、A線7Aと補助吊架線5は、可動ブラケット25の先端付近からレール外方向に延びる別々の曲線引き金具26、27に支持されている。A線用可動ブラケット25は、図6(A)に示すように、オーバーラップ区間Rの入口Fの進行方向後方に配置されている。
B線7Bは、図6(A)に示すように、屈曲点Fの進行方向前方で代用トロリ線9に接続している。この代用トロリ線9と吊架線3が、枠部材21からレール方向に延びる、別々の可動ブラケット31、32に支持金具によって支持されている。これらの可動ブラケット31、32は、A線支持用可動ブラケット25よりも進行方向前方のオーバーラップ区間R内に配置されている。
本発明においても、図1に示すように、A線7AとB線7Bとは、図6で説明した従来例とほぼ同様に配線されている。ただし、本実施例では、B線7Bの接続金具10が、屈曲点Fよりも進行方向後方に配置されている。詳細には、レール幅方向中心Cから、左右外側方向(この例では左側)に、パンタグラフPの幅(レール方向における長さ)の半分(一例で900mm)以上離れた位置に配置される。この部分はB線7B及び代用トロリ線9がA線7Aから左右方向においてレール外方向に十分に離れた位置であるので、A線7AとB線7Bとが高さ方向に近接しても、A線7Aから給電を受けているパンタグラフが、B線7Bの接続金具10に接触する恐れはない。このため、屈曲点Fにおいて、A線7AとB線7Bとは、図1(B)に示すように、高さ方向において100〜200mm、好ましくは150mm以上、さらに好ましくは180mm以上離隔させれば問題がない。つまり、従来例よりもB線7Bの引き上げ高さを低減できる。
引き上げ高さを低減することにより、図2に示すように、オーバーラップ区間の中央付近で、B線7Bが、レール幅方向及びレール長さ方向からパンタグラフPのすり板と接触する角度を小さくできる。
A線7Aは、補助吊架線5及び吊架線3とともに、枠部材21から碍子42を介してレール方向に延びる、一つの可動ブラケット45に支持されている。さらに、A線7A及び補助吊架線5は、可動ブラケット45の先端付近からレール外方向に延びる別々の曲線引き金具46、47に支持されている。この可動ブラケット45は、図1(A)に示すように、オーバーラップ区間Rの入口Fの手前に配置されている。
前述のように、A線7AとB線7Bとの高さ方向の間隔は、この例では180mm、レール幅方向の間隔は300mmである。
図9(B)に示すように、従来例においては、全区間にわたって接触力は変動しているが、オーバーラップ区間の中央付近よりやや手前の位置(グラフの一点鎖線で囲んだ部分)のA線からB線へ移行する時点で、第1パンタグラフ、第2パンタグラフとも、接触力の急激な上昇が確認された。
一方、本実施例においては、図9(C)に示すように、全区間にわたって接触力は変動しているが、移行点において、両パンタグラフとも接触力の急激な上昇は確認されなかった。
4 ドロッパ 5 補助吊架線
6 ハンガ 7 トロリ線
9 代用トロリ線
10 接続金具 11 ワイヤーターミナル
12 ターンバックル 13 ヨーク
20 支持柱 21 枠部材
22、42 碍子
25、31、32、45、51 可動ブラケット
26、27、46、47、52、53 曲線引き金具
Claims (1)
- 電気鉄道車両にパンタグラフを介して給電するトロリ線のオーバーラップ構造であって、
あるオーバーラップ区間までの給電を行ってきたトロリ線をA線(7A)、該オーバーラップ区間から先の給電を行うトロリ線をB線(7B)とし、
各線の端部は、電柱−張力調整装置−代用トロリ線(9)−接続金具(10)−トロリ線(7)という接続構成を有し、
該接続金具(10)が、前記トロリ線(7)と摺動するパンタグラフ(P)の走行範囲の左右方向外側における、前記オーバーラップ区間の入口である、前記B線(7B)が曲線引き金具(52)に支持された屈曲点(F)よりも進行方向後方に配置されており、
前記オーバーラップ区間の入口である前記屈曲点(F)において、前記B線(7B)の高さが、該B線(7B)と並行する前記A線(7A)の高さよりも100〜200mm高く、
さらに、前記A線(7A)を支持柱(20)に支持するA線用可動ブラケット(45)、及び、前記屈曲点(F)において前記B線(7B)を前記支持柱(20)に支持するB線用可動ブラケット(51)を備え、前記屈曲点(F)における前記B線(7B)が、前記A線用可動ブラケット(45)の下端よりも下方に位置することを特徴とするトロリ線のオーバーラップ構造。
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