JP6630172B2 - 電車線路の架線構造 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両に直流電力を供給する電車線路の架線構造に関する。
鉄道車両に直流電力を供給する電車線路の架線構造として、古くからシンプルカテナリー式の架線構造がある。電車線路とは、き電線(饋電線)やトロリー線など鉄道車両に電力を供給する架線を意味する。シンプルカテナリー式の架線構造は、トロリー線を吊架する吊架線を備え、吊架線に一定間隔で設けられた複数のハンガーを介して、トロリー線を軌道に対し並行するように吊る構造を有している。き電線はより高い位置に架設され、き電線とトロリー線とをコネクタ金具で電気的に結ぶことで、き電線からトロリー線へ直流電力が送られる。
シンプルカテナリー式の架線構造では、負荷の重い重負荷線区において電流容量が足りなくなるため、き電線と吊架線とトロリー線とを2組設けて、電流容量を倍増した構成が採用されることがある。このような架線構造は、ツインシンプルカテナリー式と呼ばれる。
しかしながら、ツインシンプルカテナリー式の架線構造では、架線数が多くなる。架線数が多くなると、架線を支持する設備ならびに複数の電車線路間を接続するわたり線の設備などが複雑になりメンテナンス性が低下するという課題がある。
そこで、近年、少ない架線数で大きな電流容量を実現できるインテグレート架線と呼ばれる架線構造が開発され、重負荷線区において採用されている。また、インテグレート架線に対応した様々な部品も開発されている(例えば特許文献1を参照)。
インテグレート架線は、き電線にトロリー線を吊架する機能を併用させる。このようなき電線のことを、き電吊架線と呼ぶ。き電吊架線としては、大容量電力を通電するために、一般的に銅より線が用いられる。インテグレート架線において、き電吊架線は、銅が採用されることで増加した熱膨張の影響を低減するために、始端と終端とで張力が付加され、さらに支持滑車を介して架設される。標準的なインテグレート架線では、1本のトロリー線に対して2本のき電吊架線が設けられ、これにより大きな電流容量を実現する。
他方、高速鉄道用の架線構造として、従来、ヘビーコンパウンド方式の架線構造が知られている。この架線構造は、き電線、吊架線、補助吊架線、およびトロリー線を有し、吊架線が補助吊架線を吊り、補助吊架線がトロリー線を吊り、さらに各架線を太くして張力を高めて架設したものである。電力は、き電線から補助吊架線へ導かれ、補助吊架線からトロリー線へ導かれる。このような構成により、トロリー線の高さを一定にして、高速鉄道の集電に対応する。
しかしながら、ヘビーコンパウンド方式の架線構造は、高電圧小電流の電力を鉄道車両に供給する交流電化区間用のものである。よって、直流電化区間の重負荷線区で生じるような、架線の電流容量を大きくしなければならないというような技術課題は生じない。
特開平11−115555号公報
少ない架線数で重負荷線区に対応するように開発されたインテグレート架線ではあるが、課題が全くないわけではない。
先ず、インテグレート架線では、き電吊架線が単なる吊架線と比べて重くなり、また、銅を用いているため熱膨張による伸縮量が大きくなる。このため、伸縮量を平準化するために支持滑車を介してき電吊架線を架設しても、支持滑車の回転抵抗の存在により、架線の熱膨張による伸縮を十分に平準化できない箇所が生じる。そして、十分に平準化されない箇所に、比較的に大きなサグ(トロリー線が下に凸ること)やホグ(トロリー線が上に凸ること)が発生し、局所的にき電吊架線の重量がトロリー線にそのまま加わってしまう。すると、局部的なトロリー線の摩耗が生じて設備の取替周期が短くなってしまう。また、集電性能を中高速以上にできないという課題が生じる。ここで、集電性能とは、鉄道車両がどのような速度まで正常な集電が行えるかを示す指標を意味する。
また、インテグレート架線では、き電吊架線が重く、き電吊架線の水平度が低くなるため、き電吊架線とトロリー線との間隔(以下、架高と呼ぶ。)を大きくする必要がある。つまり、き電吊架線の架高は以前の吊架線の架高より高くなる。このため、シングルカテナリー方式の架線をインテグレート架線へ切り替える場合、吊架線を支持していた従前の電化柱およびビームをそのまま流用することができず、これらの改修が必要となるという課題が生じる。
本発明は、直流電力を供給する電車線路の架線構造において、重負荷線区に対応可能であり、トロリー線を吊架する構成の架高の増加を抑制し、さらに、集電性能の向上を図れるようにすることである。
本発明は、上記目的を達成するため、
変電所から直流電力を伝送するき電線と、鉄道車両の集電装置へ接触により直流電力を送るトロリー線と、を備えた電車線路の架線構造であって、
前記き電線よりも電流容量が小さく、且つ、前記き電線と電気的に接続されるき電吊架線をさらに備え、
前記き電線および前記き電吊架線は、支持滑車を介して架設され、
前記トロリー線は、前記き電吊架線と電気的に接続され、且つ、前記き電吊架線に吊架される構成とした。
この構成によれば、き電線の電流容量とき電吊架線の電流容量とを合せて、総合的な電流容量を大きく設定できる。これにより重負荷線区に対応することができる。一方、き電線は他の架線を吊架する必要がないので、比較的自由に配置でき、また、電流容量も大きく設定できる。そして、き電線の電流容量を大きくする替りに、き電吊架線の電流容量を小さく設定できるので、例えばインテグレート架線と比べて、き電吊架線を軽くできる。き電吊架線を軽くできることから、トロリー線の水平度を確保しやすく、これにより集電性能の向上を図れる。
トロリー線の水平度が低下する理由を詳細に説明すると、次のごとくである。トロリー線を吊架線(インテグレート架線では二本のき電吊架線に相当する)が吊架する構造では、吊架線を支持する支持滑車には、トロリー線の重量とトロリー線を吊架する吊架線の重量とがかかる。これらが重いと支持滑車の回転抵抗が大きくなる。支持滑車の回転抵抗が大きくなると、吊架線(インテグレート架線では二本のき電吊架線)を架線両端のテンションバランサで引っ張っても、支持滑車に吊架線の歪み部分の引っかかりが生じて、局所的に吊架線の歪みが残る。例えば、温度変化等によって歪みが生じても、支持滑車の回転抵抗によりテンションバランサがこの歪みを吸収しきれない。これが、トロリー線の水平度を低下させる主要因である。なお、テンションバランサとは、架線両端において所定のテンションで架線を引っ張る装置である。
インテグレート架線では、トロリー線を吊架するために、支持滑車が二本のき電吊架線を支持し、二本のき電吊架線がトロリー線を吊架するため、支持滑車にかかる重量が大きくなり、支持滑車の回転抵抗が大きくなる。
一方、本発明では、トロリー線を吊架するために、支持滑車は一本の電気容量を小さくできるき電吊架線を支持し、この一本のき電吊架線がトロリー線を吊架する。このため、き電吊架線を支持する支持滑車にかかる重量を小さくでき、き電吊架線を支持する支持滑車の回転抵抗が小さくなる。よって、き電吊架線が架線両端のテンションバランサで引っ張られることで、き電吊架線の歪みを低減できる。例えば、温度変化等によってき電吊架線に歪みが生じても、支持滑車の回転抵抗が小さいのでテンションバランサがこの歪みを吸収しやすい。よって、トロリー線の水平度が確保しやすくなる。なお、き電線は、き電吊架線を支持する別の支持滑車に支持されるので、トロリー線の水平度には関与しない。
さらに、き電吊架線を軽くできることから、インテグレート架線と比較して、き電吊架線の架高を低くできる(き電吊架線とトロリー線との間隔を小さくできる)。よって、シンプルカテナリー方式の架線から切り替える場合に、従前の電化柱およびビームを流用できる箇所が多くなる。なお、き電線は比較的に自由に配置できるので、き電吊架線とトロリー線だけでも従前の電化柱およびビームを流用して架設できることの効果は大きい。
また、き電線は、支持滑車を介して架設されるので、始端および終端に張力が付加されて支持されることで、き電線の重量が増しても、き電線の弛み量や熱膨張による影響を、問題の生じないレベルに抑えることができる。
ここで、前記電車線路の架線構造は、前記き電線の支持滑車と前記き電吊架線の支持滑車とが鉛直方向に連結された連結支持滑車を備え、
前記き電線と前記き電吊架線とは、前記連結支持滑車を介して、前記き電線が前記き電吊架線の上方に配置されるように架設されるとよい。
この構成によれば、き電線とき電吊架線とを共通の連結支持滑車を介して架設できるので施工性が向上する。
さらに、前記き電線の支持滑車と前記き電吊架線の支持滑車とは互いに連結と分離とが可能に構成され、
前記き電線と前記き電吊架線とは、第1の架設箇所において、連結した前記支持滑車を介して架設される一方、第2の架設箇所において、分離した前記支持滑車を介して架設されるとよい。
この構成によれば、空頭(上方の余地)が確保できる箇所では、き電線とき電吊架線とを、連結した支持滑車を介して共通に架設できる。一方、空頭が確保できない箇所では、分離された支持滑車により、き電線をき電吊架線から離した別の箇所に架設することができる。このように、上記構成によれば、架設箇所の状況に柔軟に対応して、電車線路を架設することができる。
また、前記き電吊架線は、軽負荷線区と重負荷線区とで同じ電流容量を有し、
前記き電線は、前記軽負荷線区と前記重負荷線区とで負荷の大小に対応して異なる電流容量を有するように構成するとよい。
この構成によれば、き電線の電流容量を変化させることで軽負荷線区と重負荷線区とに対応できる。一方、軽負荷線区であっても重負荷線区であっても、トロリー線とこれを吊架するき電吊架線の構成を共通にして標準化できる。なお、き電線には複数の列車に供給される直流電力が一度に伝送されることがあるが、トロリー線が伝送する電力の最大値は大凡一つの列車に供給される直流電力となる。このため、トロリー線は、重負荷線区でも軽負荷線区でも共通にできる。
よって、線区の負荷によってトロリー線およびその吊架状態が異なるというような事態が抑制され、線区によらない安定した集電性能を得ることができる。また、トロリー線とこれを吊架する構成を標準化することで、これらの構成のメンテナンス性を向上できる。
さらに、前記き電吊架線は、断面積が152〜297mmの銅を主成分とした電線であり、
前記き電線は、断面積が250〜550mmの銅を主成分とした電線であるとよい。
この構成によれば、き電線を上記の範囲内で大きな断面積に設定することで重負荷線区の電流容量を満たすことができ、小さな断面積に設定することで軽負荷線区の電流容量に対応することができる。また、上記構成のき電吊架線によれば、き電吊架線が軽量化され、集電性能の向上を図ることができる。
き電吊架線の断面積の選定理由は次の通りである。現状、重負荷区間の電車線路では、電圧降下・電流容量確保の観点からトロリー線断面積を170mmとし、軽負荷区間の電車線路では、トロリー線の断面積を110mmとしている。一方、それを吊るき電吊架線としては、重負荷区間のトロリー線と同等又はそれ以上の電流容量・電気抵抗を有する電線を採用するのが望ましい。よって、き電吊架線は、例えば既製品の銅より線から構成する場合、重負荷区間では断面積190〜220mmが好適であり、より具体的には204mmとすることができる。また、軽負荷区間では断面積150mm以上が好適といえる。なお、重負荷区間も軽負荷区間もき電吊架線を共通とすることで、共通化によりメンテナンス性を向上できる。よって、軽負荷区間のき電吊架線の断面積としては、重負荷区間に好適な断面積を適用してもよい。また、断面積220mm以下とすることで、インテグレート架線に生じるザグやホグの発生を十分に低減することができる。
また、前記き電線は、インバー鋼の芯線と、前記芯線の周囲に設けられた導電性を有するより線とを有する構成とするとよい。
この構成によれば、き電線の熱膨張による伸縮量を抑え、且つ、き電線の電流容量を大きくすることができる。よって、き電線を、重負荷線区に対応できる電流容量にしても、き電線を支持する引留箇所の間隔を長くできる。よって、引留箇所の数を削減して、架線設備のコスト低減を図ることができる。
本発明によれば、直流電力を供給する電車線路の架線構造において、重負荷線区に対応可能であり、トロリー線を吊架する構成の架高の増加を抑制し、さらに、集電性能の向上を図れるという効果が得られる。
本発明の第1実施の形態に係る電車線路の架線構造を示す構成図である。 第1実施の形態に係る架線構造において空頭の確保が難しい場合を説明する構成図である。 第1実施の形態に係る支持滑車を示すもので、(A)は連結状態のときを示す斜視図、(B)は分離状態のときを示す斜視図である。 第1実施の形態に係る架線構造において、(A)は重負荷線区に対応した構成を示す図、(B)は軽負荷線区に対応した構成を示す図である。 本発明の第2実施の形態に係る電車線路のき電線を示す断面図である。 第2実施の形態に係る電車線路の架線構造を示す構成図である。
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る電車線路の架線構造を示す構成図である。
第1実施の形態に係る電車線路の架線構造は、き電線11、き電吊架線12、トロリー線13、支持滑車15、セパレータ17、コネクタ18a、18b、およびハンガー19を備えている。
き電線11は、変電所から直流電力を入力して伝送する。き電線11は、始端と終端において張力を掛けられた状態で、複数の支持滑車15を介して架設されている。き電線11は、標準的には、断面積が450mm〜550mmの硬銅より線(硬銅撚り線)であり、大きな電流容量を有している。硬銅より線は、本発明に係る銅を主成分とした電線の一例に相当する。き電線11は、後に詳述するが、その架設箇所の状況や必要な電流容量に柔軟に対応して設定変更可能な構成である。
き電吊架線12は、き電線11から電気を導いてトロリー線13へ送る。さらに、き電吊架線12は、複数のハンガー19を介してトロリー線13をほぼ水平に吊架する。き電吊架線12は、断面線が152〜297mm、より具体的には204mmの硬銅より線であり、き電線11と比べて小さな電流容量を有している。き電吊架線12は、始端と終端において張力を掛けられた状態で、複数の支持滑車15を介して架設されている。き電吊架線12は、後に詳述するが、その架設箇所の状況や必要な電流容量に依存しない標準化された構成である。
トロリー線13は、鉄道車両の集電装置と接触して、直流電力の送受を行う。力行過程ではトロリー線13から鉄道車両へ直流電力が送られ、回生過程では鉄道車両からトロリー線13へ直流電力が戻される。
支持滑車15は、詳細は後述するが、図示略の電化柱または電化柱に架設されたビームに支持され、き電線11とき電吊架線12とを支持する。き電線11とき電吊架線12とは、支持滑車15により、線方向の移動に対して低抵抗に支持される。これにより、き電線11よびき電吊架線12は、熱膨張により伸縮した場合に、始端および終端からの張力によって支持滑車15に沿って移動し、弛み量の変化が抑制されるようになっている。
支持滑車15は、標準的には、鉛直方向に連結された二段構成となっており、上段の滑車15aがき電線11を支持し、下段の滑車15bがき電吊架線12を支持するようになっている。このように、き電線11を支持する滑車15aと、き電吊架線12を支持する滑車15bとが、連結されていることで、き電線11およびき電吊架線12の施工性を向上できる。
セパレータ17は、き電線11とき電吊架線12との電磁作用の吸着による接触を防止するために、これらの間に介在して、これらの間隔を一定以上に保つ。
コネクタ18aは、き電線11とき電吊架線12とを電気的に接続して直流電力を送受する。コネクタ18bは、き電吊架線12とトロリー線13とを電気的に接続して直流電力を送受する。コネクタ18a、18bは、所定間隔ごとに設けられる。
複数のハンガー19は、一端がき電吊架線12に線方向に移動可能に支持され、他端がトロリー線13に固定され、これにより、トロリー線13が水平に吊架される。ハンガー19は電気を伝える機能は持たない。
このような架線構造によれば、き電線11の電流容量とき電吊架線12の電流容量とを合算することで、重負荷線区に対応する大きな電流容量を確保することができる。一方、き電線11の電流容量を大きくする替りに、き電吊架線12の電流容量を小さく設定できるので、例えばインテグレート架線と比べて、き電吊架線12を軽くできる。き電吊架線12を軽くできることから、トロリー線13の水平度を確保しやすく、これにより集電性能の向上を図れる。さらに、き電吊架線12を軽くできることから、インテグレート架線と比較して、き電吊架線12の架高を低くできる。よって、シンプルカテナリー方式の架線から実施の形態の架線に切り替える場合に、従前の電化柱およびビームを流用してき電吊架線12を架設できる箇所が多くなる。
さらに、き電線11は、支持滑車15を介して架設されるので、始端および終端に張力が付加されて支持されることで、き電線11の重量が増しても、き電線の弛み量や熱膨張による影響を、問題の生じないレベルに抑えることができる。
また、従来のインテグレート架線のき電吊架線の横2本配置構成では、支持滑車の回転抵抗等に起因して生じる、重厚な2本のき電吊架線の重量がトロリー線に局所的に印加されることによる集電性能低下があったところ、本架線構成ではそれが低減される。
続いて、き電線11の柔軟な対応例について説明する。
上記の架線構造によれば、き電線11は、トロリー線13を吊架する構造に関与していないので、電車線路の架設箇所の状況に柔軟に対応して、き電線11の架設方法および電流容量は適宜変更可能である。これは、き電線11が、例えば通常50mスパンで設けられる支持点とその中間点とで吊られ、き電吊架線12およびトロリー線13と機械的に連鎖しない構造を採用しているからである。機械的な連鎖がないため、き電線11が変位したとしても、この変位がき電吊架線12およびトロリー線13へ伝わることがほとんど無い。また、機械的に連鎖しない構造なので、き電吊架線12およびトロリー線13の配置に拘らず、き電線11の配置を変更できる。
<空頭の確保が難しい場合>
図2は、第1実施の形態に係る架線構造において空頭の確保が難しい場合を説明する構成図である。図3は、第1実施の形態に係る支持滑車を示すもので、(A)は連結状態のときを示す斜視図、(B)は分離状態のときを示す斜視図である。
実施の形態の電車線路の架線構造では、例えばトンネル内など路線上の空頭の確保が難しい場合に、き電線11とき電吊架線12とを上下二段に設置するのではなく、図2に示すように、き電線11とき電吊架線12とを水平方向および鉛直方向の何れか又は両方に大きく離間して架設するようにしてもよい。
支持滑車15は、図3(A)、(B)に示すように、電荷柱又はビームに固定される碍子151と、き電線11が渡される1段目の滑車15aおよびその滑車フレーム152と、き電吊架線12が渡される2段目の滑車15bおよびその滑車フレーム153とを備えている。
碍子151、1段目の滑車フレーム152、および2段目の滑車フレーム153は、ボルトおよびナットなどの締結部材B1、B2により、互いに締結および分離が可能に構成されている。
図3(A)に示すように、碍子151に1段目の滑車フレーム152が締結され、1段目の滑車フレーム152に2段目の滑車フレーム153が締結されることで、標準的な二段構成の支持滑車15が構成される。この状態の支持滑車15が本発明に係る連結支持滑車の一例に相当する。一方、図3(B)に示すように、1段目と2段目の滑車フレーム152、153を分離し、それぞれを碍子151、151に締結することで、き電線11を支持する第1支持滑車15Kと、き電吊架線12を支持する第2支持滑車15Lとに分離することができる。
図2の例では、き電吊架線12は第2支持滑車15Lを介して鉄道車両が通過する線路上方に架設され、トロリー線13も同様に線路上方に吊架されている。一方、き電線11は、第1支持滑車15Kを介してき電吊架線12から離れた箇所に架設され、コネクタ18aを介してき電吊架線12と電気的に接続されている。
このような架線構造により、空頭が確保できないような架設箇所に柔軟に対応して、き電線11を別の箇所に架設することができる。
一方、本実施の形態の架線構造では、き電吊架線12は張力調整されてトロリー線13と集約されるため、車両限界の近傍でも配置できる。加えて、これら集約された架線は、き電吊架線12により変電所から電流を流す機能を発揮する。よって、トンネルなどで、き電線11をトロリー線13およびき電吊架線12から離して迂回させるような場合でも、本実施の形態の架線構造であれば、上記従来のカテナリー式の架線構造よりも、迂回できる区間を長くとることができる。また、き電線11が、き電吊架線12およびトロリー線13と機械的に連鎖しない構造なので、き電線11を迂回させても集電性能を損なうことがない。
<軽負荷線区と重複線区との対応例>
図4は、第1実施の形態に係る架線構造において、(A)は重負荷線区に対応した構成を示す図、(B)は軽負荷線区に対応した構成を示す図である。
第1実施の形態の架線構造においては、図4に示すように、き電線11の電流容量(断面積)を重負荷線区と軽負荷線区とで変えて、負荷の大小に対応するようにしてもよい。
例えば、き電吊架線12には線区の負荷の大小に依らずに断面積175mm〜225mmの硬銅より線を適用する。一方、き電線11には、軽負荷線区では例えば断面積250mmの〜350mmの硬銅より線、重負荷線区で例えば断面積450mm〜550mmの硬銅より線を適用する。
このような構成とすることで、電車線路の総合的な電流容量を、線区の負荷の大小に対応させることができる一方、トロリー線13を吊架する構成は、線区の負荷の大小によらずに一定の構成とすることができる。これにより、線区の負荷の大小に対応しつつ、一定の集電性能を確保することができる。また、トロリー線13とトロリー線13を吊架する構成を、線区に必要な負荷の大小によらずに共通にして標準化することができ、これらのメンテナンス性の向上を図ることができる。標準化とは、線区または時期によらずに共通の構成を使用して、相互運用を可能とすることを意味する。本実施の形態の架線構造を採用した路線では、標準化により、例えば架線を張り替えの際、どの線区どの時期であっても、同一構成のき電吊架線12用の金属線とトロリー線13用の金属線とを用いて、これらの張り替えを行うことができる。
(第2実施の形態)
図5は、本発明の第2実施の形態に係る電車線路のき電線を示す断面図である。図6は、第2実施の形態に係る電車線路の架線構造を示す構成図である。
第2実施の形態の電車線路の架線構造は、き電線11Aの材料と、き電線11Aの引留数とを異ならせたものであり、その他の構成は、第1実施の形態と同様である。
第2実施の形態のき電線11Aは、芯線111の周囲に、より線112を設けた構成である。芯線111としては、インバー鋼(不変鋼)が適用されている。インバー鋼は、常温において熱膨張率が非常に低い特徴を有している。より線112としては、アルミ等の高い導電性を有する金属線が適用されている。
き電線11Aは、図6に示すように、始端と終端において、テンションバランサ201を介して張力が付加されて柱210に支持されている。き電吊架線12およびトロリー線13も同様にテンションバランサ202、203を介して支持されていてもよい。始端と終端で支持している箇所のことを引留箇所と呼ぶ。
第2実施の形態の電車線路の架線構造においては、き電線11Aの熱膨張による伸縮量が低く抑えられ、これにより、き電線11Aの一端の引留箇所から他端の引留箇所までの距離を長く設定することができる。例えば、断面積500mmの硬銅より線とした第1実施の形態のき電線11の場合、引留箇所の間隔は1.5km以上必要であるが、第2実施の形態のき電線11Aを適用することで、引留箇所の間隔を3.0km程度に延ばすことが可能である。
第2実施の形態の電車線路の架線構造によれば、引留箇所の間隔が延びることで、引留箇所削減によるコストの低減を図ることができる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限られず、様々な変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、き電線およびき電吊架線の具体的な材料と断面積の一例を示したが、それ以外の材料を適用してもよい。その場合、材料に応じて最適な断面積も変化する。また、支持滑車についても図示した具体的な構造に限られるものではない。
11、11A き電線
12 き電吊架線
13 トロリー線
15 支持滑車(連結支持滑車)
15K 第1支持滑車
15L 第2支持滑車
17 セパレータ
18a、18b コネクタ
19 ハンガー
111 芯線
112 より線
201〜203 テンションバランサ

Claims (6)

  1. 変電所から直流電力を伝送するき電線と、鉄道車両の集電装置へ接触により直流電力を送るトロリー線と、を備えた電車線路の架線構造であって、
    前記き電線よりも電流容量が小さく、且つ、前記き電線と電気的に接続されるき電吊架線をさらに備え、
    前記き電線および前記き電吊架線は、支持滑車を介して架設され、
    前記トロリー線は、前記き電吊架線と電気的に接続され、且つ、前記き電吊架線に吊架されることを特徴とする電車線路の架線構造。
  2. 前記き電線の支持滑車と前記き電吊架線の支持滑車とが鉛直方向に連結された連結支持滑車を備え、
    前記き電線と前記き電吊架線とは、前記連結支持滑車を介して、前記き電線が前記き電吊架線の上方に配置されるように架設されることを特徴とする請求項1記載の電車線路の架線構造。
  3. 前記き電線の支持滑車と前記き電吊架線の支持滑車とは互いに連結と分離とが可能に構成され、
    前記き電線と前記き電吊架線とは、第1の架設箇所において、連結した前記支持滑車を介して架設される一方、第2の架設箇所において、分離した前記支持滑車を介して架設されることを特徴とする請求項1記載の電車線路の架線構造。
  4. 前記き電吊架線は、軽負荷線区と重負荷線区とで同じ電流容量を有し、
    前記き電線は、前記軽負荷線区と前記重負荷線区とで負荷の大小に対応して異なる電流容量を有することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の電車線路の架線構造。
  5. 前記き電吊架線は、断面積が152〜297mmの銅を主成分とした電線であり、
    前記き電線は、断面積が250〜550mmの銅を主成分とした電線であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の電車線路の架線構造。
  6. 前記き電線は、インバー鋼の芯線と、前記芯線の周囲に設けられた導電性を有するより線とを有することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の電車線路の架線構造。
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