JP5833333B2 - 光半導体装置リフレクター用シリコーン樹脂組成物 - Google Patents

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本発明はLEDなどの光半導体装置リフレクターに適したシリコーン樹脂組成物に関する。
LEDなどの光半導体装置においては、発光素子自体の性能だけではなく、封止材やリフレクターなどの周辺部材も性能に大きく影響する。そこで、周辺部材についても様々な検討がなされており、リフレクターについても、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが検討されている。
特許文献1には、トランスファー成型などによって半導体を封止できるシリコーン樹脂が開示されている。しかしながら、比較的高温下において成型を行う必要があるため、成型物の組成が不均一になったり、寸法や信頼性にバラツキが発生しやすいという問題がある。
特開2009-155415号公報
本発明の課題は、温和な条件で成型、硬化が可能であり、安定した物性が得られる光半導体装置リフレクター用シリコーン樹脂組成物を提供することである。
本発明は、シラノール基を有するポリシロキサン(a)、二酸化チタン(b)、アルミナ(c)、溶融球状シリカ(d)、硬化触媒(e)を含有することを特徴とする光半導体装置リフレクター用シリコーン樹脂組成物である。
本発明の光半導体装置リフレクター用シリコーン樹脂組成物は、温和な条件で成型、硬化が可能であるため、安定した物性が得られ、光半導体装置の性能を向上できる。
本発明のシリコーン樹脂組成物の各成分について説明する。本発明で用いるシラノール基を有するポリシロキサン(a)は、下記式(1)で表される。


式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は互いに独立に、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる基である。また、nは5〜500の整数が好ましく、100程度であるものがより好ましい。なお、置換基としてフェニル基を有するものは、比較的高温下において成型、硬化を行う必要があり、また、フェニル基は400nm以下の波長領域を吸収する特性を有するため、LEDなどの光半導体からの光によって劣化しやすいため好ましくない。
二酸化チタン(b)は、主にシリコーン樹脂組成物の反射率を向上させる目的で添加される。配合量はシリコーン樹脂組成物全体に対して5〜50重量%である。5重量%未満では反射率が十分ではなく、50重量%を超えると組成物の粘度が高くなるため作業性が悪くなり、コストの点からも好ましくない。また、二酸化チタンとともに、チタン酸カリウム、酸化ジルコン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどを配合してもよい。
アルミナ(c)は、主にシリコーン樹脂組成物の熱伝導率を向上させ、光半導体の熱を速やかに外部に放出することにより、熱による劣化を抑制する目的で添加される。配合量はシリコーン樹脂組成物全体に対して50〜90重量%である。50重量%未満では放熱特性が十分ではなく、90重量%を超えると組成物の粘度が高くなるため作業性が悪くなり、コストの点からも好ましくない。また、アルミナとともに、窒化珪素、窒化アルミニウムなどを配合してもよい。
溶融球状シリカ(d)は、組成物の粘度調整や、二酸化チタンとアルミナの分散性を向上させたり、硬化物の物性を向上させる目的で添加される。配合量はシリコーン樹脂組成物全体に対して0.2〜10重量%である。0.2重量%未満では硬化物の物性が十分に向上しないため好ましくなく、10重量%を超えると組成物の粘度やチクソ性が高くなるため作業性の点から好ましくない。
硬化触媒(e)としては、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートなどの錫化合物、テトラブチルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタンなどのチタン化合物が挙げられる。硬化触媒は単独または複数の組み合わせて用いられ、シリコーン樹脂組成物全体に対して0.1重量%程度使用される。
本発明のシリコーン樹脂組成物には前記必須成分の他、必要に応じて公知の添加材料を配合できる。シランカップリング剤の添加によって密着性などを向上できる。好ましいシランカップ剤として、アミノプロピル基含有シランカップ剤、エポキシ基含有シランカップ剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップ剤などが挙げられ、シリコーン樹脂組成物全体に対して10重量%以下の範囲で用いられる。
希釈剤の配合により、粘度、柔軟性等を調整できる。その具体例として、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシルなどフタル酸エステル系の希釈剤、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジアルキル、セバシン酸ジブチル、エポキシ化大豆油、ポリプロピレングリコール、アクリルポリマー、α−オレフィンやその誘導体、植物油由来脂肪酸の2−エチルヘキシルエステル化合物等が挙げられる。その他、酸化防止剤、顔料、防腐剤などを適宜使用することができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、比較的温和な条件で成型、硬化させることが可能である。例えば、100℃では数分から十数分程度で十分に硬化し、室温でも数時間程度で硬化可能である。よって、成型物の組成が不均一になったり、寸法や信頼性にバラツキが発生するといったトラブルが発生しにくい。また、トランスファー成型や圧縮成型のように、金型などの装置を必要とする成型方法でなくとも、転写のような低温プロセスによる成型も可能である。したがって、生産設備を簡略化でき、生産性にも優れる。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。
実施例1の組成
粘度が100mPa・sである両末端に水酸基を有するジメチルオルガノポリシロキサン(ポリシロキサンA)20重量部、粘度が1000mPa・sである両末端に水酸基を有するジメチルオルガノポリシロキサン(ポリシロキサンB)50重量部、粘度が15,000mPa・sである側鎖に水酸基を有するジメチルオルガノポリシロキサン(ポリシロキサンC)20重量部、粘度が30,000mPa・sである末端および側鎖に水酸基を有するジメチルオルガノポリシロキサン(ポリシロキサンD)10重量部、平均粒子径が0.3μmである二酸化チタン180重量部、平均粒子径が20μmであるアルミナ620重量部、溶融球状シリカ50重量部、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名 KBM903)30重量部、以上をA剤とした。また、ジブチル錫ジラウリレート1重量部を触媒とした。
実施例2〜6、比較例1、2の組成
実施例1で用いた配合材料の他、触媒としてジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタンを用い、表1記載の配合とした。
硬化性の評価
A剤に記載した各材料を混練しながら120℃、100Pa下で1時間加熱することによって脱水し、常温常圧に戻すことにより、A剤を調製した。調製したA剤および触媒を混合攪拌脱泡機に投入して混合することにより、シリコーン樹脂組成物を得た。幅30mm、深さ2mm、長さ150mmの溝を有し、フッ素樹脂で被覆処理された金属枠にシリコーン樹脂組成物を流し込んだ後、23℃雰囲気下6時間、80℃雰囲気下1時間または100℃雰囲気下15分間のそれぞれの条件で硬化させ、硬化状態を確認した。完全に硬化したものを○、表面や内部にタックがあったり、半流動状態のものは×と評価した。
外観の評価
前記硬化性の評価において、23℃雰囲気下6時間で硬化させた皮膜を使用し、表面および深さ方向に切断した断面について、目視ならびに50倍の拡大鏡を用いて充填材の分散状態を確認した。均一に分散されているものを○、不均一になっているものを×と評価した。
反射率の評価
前記硬化性の評価において、23℃雰囲気下6時間で硬化させた皮膜を使用し、分光側色計(コニカミノルタ社製、商品名 CM−700d)を用いて表面の反射率を測定した。そのまま測定したものを初期とし、180℃雰囲気下で24時間放置した後に測定したものを耐熱とし、UV照射(365nmにピークを有し、出力100mW/cmの高圧水銀灯を使用)を行った後に測定したものを耐光性とした。
各実施例のシリコーン樹脂組成物は温和な条件でも硬化可能であり、光半導体装置リフレクター用としての性能にも優れていた。一方、各比較例のシリコーン樹脂組成物は、硬化性が劣ったり、光半導体装置リフレクター用としての性能が十分ではなかった。

Claims (2)

  1. 下記式(1)で表されるシラノール基を有するポリシロキサン(a)、二酸化チタン(b)、アルミナ(c)、溶融球状シリカ(d)、硬化触媒(e)を含有し、
    組成物全体に対して、二酸化チタン(b)の含有量が5〜25重量%であり、アルミナ(c)の含有量が50〜90重量%であり、溶融球状シリカ(d)の含有量が0.2〜10重量%であることを特徴とする光半導体装置リフレクター用シリコーン樹脂組成物。

    (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は互いに独立に、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる基であり、nは5〜500整数である。)
  2. 100℃以下の条件で成型、硬化が可能であることを特徴とする請求項1記載の光半導体装置リフレクター用シリコーン樹脂組成物。
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