以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
第1実施例(図1〜図12):
第1実施例の光電スイッチは縦43mm、横28mm、奥行き14mmの外形寸法を有し、金属射出成形法により製造されたステンレス筐体を備えている。この第1実施例の光電スイッチには、受光素子としてCMOSセンサが採用され、物体の検出原理は距離であり、物体の検出はON/OFF信号で出力される。また、第1実施例の光電スイッチは比較的大型の出力表示灯を有し、また、選択的な切り替えによって距離又はしきい値を表示する7セグメント表示器を備えている。また、ユーザが操作する複数のボタンを有し、このボタンを操作することで運用モード、ティーチングモード、及び、動作設定モードとを切り替え可能であり、7セグメント表示器の表示を見ながらしきい値や感度をボタン操作で調整することができる。なお、ティーチングモード、及び、動作設定モード中に検出動作を実行しながら、設定値の変更を行う、いわゆる、RUN中書き換え(運用中での書き換え)を可能としても良い。
図1〜図3は第1実施例の光電スイッチ100の外観を示す図である。図1は投受光窓を備えた光電スイッチ100を斜め前方から見た図であり、図2は7セグメント表示窓を備えた背面を斜め後方から見た図であり、図3は光電スイッチ100の側面図である。
図1〜図3を参照して、光電スイッチ100は、ステンレス製の筐体2と、その一側に接着されたステンレス製の平板状蓋プレート4(図3)で外形輪郭が構成されている。筐体2は金属射出成型法により製造される。蓋プレート4は、平板を切り抜くことにより製造される。筐体2は、側面視矩形の4つの角部のうち一つの角部を斜めに切り欠いた形状を有し、この斜めに切り欠いた角部が位置する側に7セグメント表示窓6が設けられ(図2)、これに対抗する反対側に投受光窓8が設けられている(図1)。以下、投受光窓8が設けられた側を前面と呼び、7セグメント表示窓6が設けられた側を背面と呼ぶこととする。
光電スイッチ100は、図1〜図3に図示のように、前面部分の上端部及び下端部に、夫々、スイッチ設置孔SHが設けられ、このスイッチ設置孔SHに挿通したボルト(図示せず)を使って光電スイッチ100が所望の位置に設置される。
斜めに切り欠いた形状を有する角部10にはケーブル12が位置し(図2、図3)、このケーブル12を通じて光電スイッチ100への電源供給及び光電スイッチ100から外部機器に向けて検出信号つまりON/OFF信号が出力される。このケーブル12が位置する斜めに切り欠いた角部10と対角線上で対抗する角部14に出力表示灯16(図1、図3)が配設されている。ケーブル12が延出する角部10が位置する側を「下面」と呼び、出力表示灯16が位置する角部14の側を「上面」と呼ぶと、ケーブル12は、光電スイッチ100の斜めに傾斜した背面下角部に配設されている。前述した出力表示灯16は光電スイッチ100の前面上角部に配設され、この出力表示灯16は、図1、図2から分かるように、上面の前端部から前面の上端に亘って延びる形状を有し、また、筐体2の前面及び上面から突出した形状を有している。
光電スイッチ100は、また、その背面において、7セグメント表示窓6を挟んで上下にUPボタン18とDOWNボタン20を有し、ユーザは7セグメント表示窓6の表示を見ながらUPボタン18又はDOWNボタン20を押し下げることでしきい値調整を行うことができる。光電スイッチ100は、また、その上面にSETボタン22を有し、このSETボタン22の押し下げ操作つまりプッシュ操作によりしきい値のチューニングを行うことができ(チューニングモード)、SETボタン22のプッシュ操作の長短の組み合わせで、異なるチューニングを行うことができる。
図4、図5は光電スイッチ100の分解図であり、図4は背面側から見た斜視図であり、図5は前面側から見た斜視図である。図4から最もよく分かるように、筐体2は、周囲壁26を有し、また、一方側の側壁を備えて他方側を開放したボックス形状を有し、周囲壁26に上述した7セグメント表示窓6と投光窓8が形成され、また、UPボタン18、DOWNボタン20、SETボタン22が設置される合計3つの貫通孔24が形成されている。ボックス状の筐体26の側部開口を参照符号30で示してある。
図4、図5を参照して、符号32は、筐体の中に充填される一塊の内蔵部品群を示す。この内蔵部品群32については後に詳しく説明するが、内蔵部品群32は、2本のネジS1を使って筐体2の一部を構成する側壁28(図5)に締結される。
筐体2には、その外側から、投受光に関連した部材である光透過性樹脂成型品のレンズカバー34、7セグメント表示部品36、光拡散シート38、光透過性樹脂成型品の7セグメント表示カバー40、出力表示灯16の一部を構成する光拡散部品42、外方に向けて突出した形状を有する樹脂成型品の出力表示灯カバー44が取り付けられる。具体的には、7セグメント表示部品36は、リフレクタとも呼ばれ、実質的に各セグメントの形状を定義するもので、各セグメントの形状に対応した開孔が形成された板状の絶縁材料からなる部材で、開孔の内壁は、白、あるいは、金属光沢等の高反射率物質で構成されている。後述する距離表示兼制御基板52の7セグメント表示LED群70(図6)から発せられた光は、7セグメント表示部品36の各セグメントの形状に対応した開孔の内壁で反射し、各セグメントをムラなく表示できる。樹脂成型品のレンズカバー34は筐体2の投受光窓8の周縁部を構成する段部に接着され、この接着によりレンズカバー34は投受光窓8を密閉する。また、光透過性樹脂成型品の7セグメント表示カバー40は筐体2の7セグメント表示窓6の周縁部を構成する段部に接着され、この接着により7セグメント表示カバー40は7セグメント表示窓6を密閉する。投受光窓8及び7セグメント表示窓6に関連した沿面距離に関して、投受光窓8及び7セグメント表示窓6の周縁部に段部を形成することで、筐体2の外表面に対してレンズカバー34及び7セグメント表示カバー40を面一の状態にできるだけでなく、投受光窓8及び7セグメント表示窓6の周縁部に段部によって沿面距離を確保することが容易になる。
図6、図7は、内蔵部品群32の分解図であり、図6は7セグメント表示側から見た斜視図であり、図7は投受光側から見た斜視図である。図6、図7を参照して、符号50は投受光基板を示し、符号52は距離表示兼制御基板を示す。投受光基板50は、フレキシブル基板の一部をボードで補強した立体構造を有し、その頂面に色の異なる2つの出力表示用LED54、56が横並びつまり光電スイッチ100の幅方向に並んで位置決めされ、また、これに隣接してSETボタン22に関連した電子部品スイッチ58が位置決めされている。
図6、図7を引き続き参照して、符号60は光学系モジュールを示す。光学系モジュール60は、受光素子62(図6)、この受光素子62に対応して位置する受光レンズ64(図7)、レーザダイオード(投光素子)66(図6)を含み、これらの要素を樹脂成形フレームに組み付けることにより光学系モジュール60が作られている。受光素子62は、これを樹脂成形フレームに接着することにより固定されている。レーザダイオード66はその端子66aが投受光基板50に半田付けされる。
図6を参照して、立体形状の投受光基板50にはコネクタ68が固設され、このコネクタ68に距離表示兼制御基板52をコネクタ嵌合することにより距離表示兼制御基板52が投受光基板50に位置決めされる。図7の符号69は距離表示兼制御基板52のコネクタを示す。距離表示兼制御基板52は7セグメント表示LED群70(図6)と、この7セグメント表示LED群70を挟んでその上下に電子部品スイッチ72、74が配置されている。上方の電子部品スイッチ72はUPボタン18(図2)に対応したスイッチであり、下方の電子部品スイッチ74はDOWNボタン20(図2)に対応したスイッチである。
図6、図7に見られる符号76は絶縁シートを示し、符号78は放熱ゴムを示す。この放熱ゴム78は、レーザダイオード66が発生する熱を金属製筐体2に伝達するのに用いられる。
距離表示兼制御基板52には、7セグメント表示LED群70の部分に遮光部材である遮光用ゴム80が添設され、この遮光用ゴム80には位置決め貫通孔80aが形成されている。遮光用ゴム80は距離表示用樹脂成形フレーム82によって位置固定される。この樹脂成形フレーム82は一体成形された位置決めピン82a(図7)を有し、この位置決めピン82aが遮光用ゴム80の位置決め貫通孔80aを通って距離表示兼制御基板52の凹所52a(図6)に嵌入されることで、遮光用ゴム80と7セグメント表示LED群70との相対的な位置決めが行われる。樹脂成形フレーム82は、また、距離表示兼制御基板52と相補的な外形輪郭を有し、樹脂成形フレーム82の周縁には、距離表示兼制御基板52の周縁部と係合する係止爪82bが複数形成され、この係止爪82bを距離表示兼制御基板52の周縁部にスナップ嵌めすることにより、距離表示兼制御基板52に対して樹脂成形フレーム82を位置決めすることができる。
樹脂成形フレーム82は、図6から最も良く分かるように、上下に離置した横方向に延びる2本の細長い位置決め突起82dを有し、この位置決め突起82dを受け入れる溝(図示せず)が筐体2の内面に形成され、樹脂成形フレーム82は、この位置決め突起82dによって筐体2に対して位置決めされる。
予めサブアッセンブルされる一塊の内蔵部品群32の天頂部は、出力表示灯16の一部を構成する2つのLED54、56及びSETボタン22に対応する電子部品スイッチ58の上に配置された第3の樹脂成形フレーム(出力表示用樹脂成形フレーム)90で構成されている。この出力表示用樹脂成形フレーム90は、LED用の窓90a、SETボタン22用の開口90bの他に、下方に向けて延びる2本の位置決めピン90cを有する。この2本の位置決めピン90cは投受光基板50の天頂部に向けて延びている。投受光基板50の天頂部には電子部品スイッチ58を挟んで2つの位置決め孔50aが形成されている。出力表示用樹脂成形フレーム90はその2本の位置決めピン90cを位置決め孔50aに挿入し、そして位置決めピン90cの先端部を熱カシメすることにより投受光基板50に対する位置決めが行われる。出力表示樹脂成形フレーム90は、また、上方に向けて突出した2つの位置決め突起90dを有し(図6)、この位置決め突起90dに対応してこれを受け入れる相補的な形状を備えた凹所が金属製筐体2の内壁に形成され、これにより出力表示樹脂成形フレーム90は筐体2に対して位置決めされる。
図6、図7を更に参照して、内蔵部品群32の天頂部を構成する上記の出力表示用樹脂成形フレーム90には、7セグメント距離表示側に筐体2の幅方向に延びる第1のバネ片92が一体成形されている。この第1のバネ片92は、後に詳しく説明するように、筐体2の前後方向に働き、一塊の内蔵部品群32を光電スイッチ100の前面側に付勢すると共に、距離表示兼制御基板52を光電スイッチ100の背面側に付勢する機能を有している。
図8を参照して、光電スイッチ100の組み立て工程において、金属製筐体2に対する内蔵部品群32の充填は、金属製筐体2の側部開口30を通じて行われる。すなわち、内蔵部品群32は予めサブアッセンブリされた組立体として側部開口30を通じて筐体2の中に収容される。内蔵部品群32の幅を図8にBWで示してある。他方、側部開口30の幅をOwで図示してある。図8から分かるように、内蔵部品群32の幅BWは側部開口30の幅Owよりも小さい(Bw<Ow)。内蔵部品群32を筐体2の中に収容した後に、7セグメント距離表示に関する追加の部品として7セグメント表示部品36が外部から7セグメント表示窓6に挿入され、そして、その後で、光拡散シート38が配置され、次いで樹脂成型品である7セグメント表示カバー40が7セグメント表示窓6の開口周縁部を構成する段部に接着される。この接着の際には、7セグメント表示部品36に形成された各セグメントに対応した開孔と、遮光用ゴム80に形成された各セグメントに対応した開孔とは一致しており、7セグメント表示部品36は、距離表示兼制御基板52に遮光用ゴム80を圧縮した状態で取り付けられ、その反発力により保持される。7セグメント表示部品36はその外形輪郭が筐体の7セグメント表示窓6と相補的な形状を有するのが好ましく、これにより7セグメント表示部材36の全て又はその一部を筐体の7セグメント表示窓6の部分に位置させることで、この7セグメント表示窓6によって7セグメント表示部品36を位置決めするようにしてもよい。
実施例の光電スイッチ100にあっては、図4に図示するように、7セグメント表示部36は複数の位置決めピン36aを有し、他方、この7セグメント表示部36と対面して位置する距離表示用樹脂成形フレーム82には、各位置決めピン36aを受け入れる位置決め孔82cが複数形成されており、この位置決めピン36aと位置決め孔82cとによって、7セグメント表示部36が距離表示用樹脂成形フレーム82を介して筐体2に位置決めされている。
外側から配設される7セグメント表示部品36は図8にLaで示す幅寸法を有しており、この7セグメント表示部品36を内蔵部品群32にサブアッセンブリしたときには、内蔵部品群32の幅BWと7セグメント表示部品36の幅Laとを合算した値は、金属製筐体2の側部開口30の幅OWの値を超えた値となり、この側部開口30を通じて筐体2の中に組み入れることができなくなる。換言すれば、内蔵部品群32に7セグメント表示部品36をサブアッセンブリした状態で筐体2の中に充填する設計を行ったときには、これを側部開口30を通じて筐体2の中に充填するためには筐体2の幅寸法を第1実施例よりも大きく設定することが必要となり、その分、光電スイッチ100の幅寸法が拡大して光電スイッチ100が大型化してしまう。
第1実施例のように、内蔵部品群32から7セグメント表示部品36を切り離すことで、金属製筐体2の幅寸法を比較的小さな値に設定することができ、また、7セグメントなどの表示部を備えた光電スイッチ100の小型化を実現することができる。他の観点で実施例の光電スイッチ100を見ると、第1実施例の光電スイッチ100は、比較的大きな受光レンズ64を備えた光学系を採用してあるが、これに対抗した位置に7セグメントなどの比較的大型の距離表示部を配置したときには、筐体2の幅を大きく設定せざるを得なくなる。つまり光電スイッチ100の大型化を回避するのに比較的小さな光学系を採用せざるを得ないという問題が発生する。これに対して第1実施例の光電スイッチ100は、内蔵部品群32から7セグメント表示部品36を切り離して、距離表示部材の構成要素である7セグメント表示部品36を筐体2の外側から組み付けることで、光学系と距離表示部とを幅方向に対抗した位置に配置し且つ金属製筐体2を備えた光電スイッチ100の小型化を達成できる。
また、7セグメント表示カバー40及びレンズカバー34を筐体2に直接的に接着する手法を採用することにより、他の防水機能を確保するための部材、例えばパッキン部材を設置するための幅が必要なくなり、その分、小型化できる。
図9〜図11は、光電スイッチ100の縦断面を示す図であり、図9は光電スイッチ100の縦断面図、図10は図9のX10で示す部分断面図、図11は図9のX11で示す部分断面図である。図9〜図11を参照すると直ぐに分かるように、筐体2の周囲壁26において、3つのボタンつまりUPボタン18、DOWNボタン20、SETボタン22の周囲は、これらボタン18、20、22の安定的な押し下げストローク及び復帰ストロークの安定性を確保するために他の部位よりも比較的肉厚に設計されている。そして、UP、DOWNボタン18、20で挟まれた位置に7セグメント表示窓6を配置することで、この7セグメント表示窓6の部位も比較的肉厚である。周囲壁26の比較的大きな肉厚を利用することで、初めて上記の7セグメント表示部品36を7セグメント表示窓6の中に安定的に収容することができる。つまり、内蔵部品群32から7セグメント表示部品36を切り離して、距離表示部材の構成要素である7セグメント表示部品36を筐体2の外側から組み付ける手法は、7セグメント表示窓6の部位が比較的大きな肉厚を有していることによって採用できる手法であると言うことができる。
UPボタン18、DOWNボタン20、SETボタン22の取り付け構造は共通しており、ボタン18、20、22の一部に円周溝18a、20a、22aが形成され、この円周溝18a、20a、22aに、貫通孔24の壁面に擦接するシールリング96を配設することでUPボタン18、DOWNボタン20、SETボタン22を組み付ける貫通孔24の防水性が確保されている。
光電スイッチ100から延出するケーブル12に関し、光電スイッチ100の内部でのケーブル12の固定は、樹脂成型品であるケーブル固定フレーム98(図4、図5)によって行われる。ケーブル固定フレーム98は第2のネジS2によって筐体2の一体成形側壁28に固定される。ケーブル固定フレーム98は、図4から最もよく分かるように、筐体2の幅方向に延びる第2のバネ片102を有し、この第2のバネ片102の付勢力は筐体2の前後方向に働く。すなわち、ケーブル固定フレーム98の第2のバネ片102は距離表示兼制御基板52の前面つまり筐体2の深部側の面に当接し、この第2のバネ片102によって距離表示兼制御基板52の下端部が光電スイッチ100の背面に向けて付勢される。
図12は、光電スイッチ100の内蔵部品群32の図示を省略した図である。図12を参照して、光電スイッチ100の上端部には第3樹脂成形フレーム(出力表示用樹脂成形フレーム)90が位置し、下端部にはケーブル固定フレーム98が位置している。出力表示用樹脂成形フレーム90は、第1のネジS1及び筐体2の内面と凹凸嵌合104することにより筐体2に対して位置決めされている。他方、ケーブル固定フレーム98は、前述したように第2のネジS2によって筐体2に対して位置決めされている。
上方に位置する出力表示用樹脂成形フレーム90およびケーブル固定フレーム98は、夫々、バネ片92、102を有している。出力表示用樹脂成形フレーム90のバネ片92を上方バネ片と呼び、ケーブル固定フレーム98のバネ片102を下方バネ片と呼ぶと、この上方バネ片92と下方バネ片102は、夫々、距離表示兼制御基板52の前面側の端部つまり光学系の側の上端部と下端部とに当接し、これにより距離表示兼制御基板52を筐体2の周囲壁26の背面側の内面に向けて付勢している。筐体2に内蔵部品群32を充填すると、上方バネ片92と下方バネ片102よる距離表示兼制御基板52からの反力によって内蔵部品群32は前面側に変位し、そして、第1のネジS1で内蔵部品群32を筐体2に固定することで内蔵部品群32は所定位置に位置決めされる。そして、平板状の蓋プレート4を筐体2に接着することで内蔵部品群32は密封された状態となる。図5に示す符号106は放熱シートを示す。光電スイッチ100の放熱性を高める必要があるときには、図5に図示のように放熱シート106を蓋プレート4の内面に貼り付けるのがよい。
図10、図12を参照して、光電スイッチ100の出力表示灯16について説明すると、出力表示用の光源であるLED54、56は筐体2の内部に配置され、このLED54、56の光は、樹脂成型品の光拡散部品42を介して外部に放出される。この光拡散部品42は、図4、図13から良く分かるように筐体2の前面上角部に形成された凹所108に配置されている。図13は、光電スイッチ100の平面図であり、光拡散部品42及び出力表示灯カバー44を取り外して示す図である。図14は、光電スイッチ100の平面図であり、出力表示灯カバー44を取り外して示す図である。図14からも良く分かるように、光拡散部品42は前面の近傍まで延びる比較的大きな形状を有し、この光拡散部品42の全体が光ることになる。そして、この光拡散部品42よりも大きい出力表示灯カバー44は、筐体2の上面から前面上端部まで延びており且つ外方に向けて突出した形状を有することから、出力表示用LED54、56が発した光は光拡散部品42よって実質的に面光源となり、この光拡散部品42で作られる面光源は筐体2の金属表面での反射も含めて広く拡散された状態で出力表示灯カバー44の全領域から万遍なく外部に放出されることになる。したがって、光電スイッチ100の出力状態は、前方、上方、側方、後方から視認することができる。また、この樹脂成型品からなる光拡散部品42は、出力表示用LED54、56の基板と金属製筐体2との間の絶縁を兼ねることができる。
冒頭に説明したように、光電スイッチ100は、その前面部分の上端部及び下端部にスイッチ設置孔SHが形成されており、図12から最もよく分かるように筐体2のスイッチ設置孔SHの周囲は肉厚に形成されて光電スイッチ100の設置剛性(取付ガタの阻止)を確保するように設計されている。
出力表示用LED54、56は前述したように光電スイッチ100の前面上角部に設置されているが、上記のスイッチ設置孔SHが存在している関係で、上方のスイッチ設置孔SHの背面側に変位して出力表示用LED54、56が設置される。このように出力表示用LED54、56を背面側に変位して設置せざるを得ない問題に対して、第1実施例の光電スイッチ100では、前述した光拡散部品42を用意し、この光拡散部品42を前後方向に拡大した形状に設計することで、出力表示用LED54、56の発した光を上方スイッチ設置孔SHの上方域まで送り出すと共に極力均一な面光源にすることができ、更に、この面光源としての光拡散部品42よりも前方に且つ光電スイッチ100の前面まで拡大した出力表示灯カバー44によって広範囲からの視認性を確保するように設計されている。
出力表示の光源として2つのLED54、56が横並びに配置されている。この2つのLED54、56によって、光電スイッチのON/OFF出力信号に連動した表示がなされる。この2つのLEDに夫々異なる表示内容を割り当てて、例えば、異なるしきい値に対応した2つON/OFF出力信号に連動した表示としてもよいし、あるいは、それぞれのLEDの発光色を異ならせるようにしてもよい。例えば、LED54に光電スイッチのON/OFF出力表示を割り当てて、その発光色を赤色とし、LED56に光電スイッチが検出対象物を安定的に検出できているかを示す安定動作表示を割り当て、その発光色を緑色としてもよい。LED54、56に異なる表示内容を割り当てる場合、LED54、56の夫々に対応した光拡散部材を備え、かつ、光拡散部材間には遮光部材が介在され、LED54、56の色混じり、あるいは、色漏れが防止される。一方、第1実施例の光電スイッチ100は、検出値等を表示するために背面に具備する大型の7セグメント表示窓6により検出値等の安定動作表示に相当する表示が可能であるため、LED54、56が共に光電スイッチのON/OFF出力信号に連動した表示となるよう割り当てられている。この場合、LED54、56を一体の光源として扱うことができ、遮光部材が不要であることから、遮光部材の介在箇所も光拡散部材とすることができ、出力表示の表示領域を幅方向に大型化できる。
図15は第1実施例の光電スイッチ100のブロック図である。光電スイッチ100は、レーザ光を用いて検出した検出対象物(ワーク)Wまでの距離の遠近に応じた検出信号を出力し、前述したように、その検出出力はON/OFFである。より詳しくは、レーザ駆動回路に従ったレーザからの光を検出領域に向け投射し、検出領域の検出対象物Wからの反射光を1次元CMOSセンサ(受光素子62)で受光する。受光信号は、1次元CMOSセンサ上での光量分布を示す受光波形として制御回路に送られ、受光波形に基づいて1次元CMOSセンサ上での反射光の受光位置を特定し、該受光位置から距離を算出する。算出した距離と所定のしきい値とを比較しては検出信号を出力する。しきい値は調整可能であり、SETボタン22を押し下げてティーチングモードに切り替えた後に、図16に示すようにティーチングモードで動作させることで検出した実際の検出値(距離)に基づいてしきい値を自動設定することができ、また、図17に示すように、7セグメント表示窓6の数値表示を見ながら、UPボタン18、DOWNボタン20を操作することでしきい値を微調整することができる。出力表示灯16は、光電スイッチ100の検出出力(ON/OFF出力)に連動してON又はOFFの点灯表示をする。
ティーチングモードは、(1)2点チューニング(図18)、(2)データムチューニング(図19)、(3)最大感度チューニング(図20)、(4)フルオートチューニング(図21)を含んでいる。
2点チューニング(図18):
このチューニング法は、最も標準的なしきい値設定方法である。具体的に説明すると、検出対象がある状態の検出値(距離)と検出対象がない状態での検出値(距離)を、それぞれSETボタン22(ティーチングボタン)のユーザによる操作タイミングに従い取り込み、検出対象がある状態の検出値(距離)と検出対象がない状態での検出値(距離)との間の値をしきい値(設定値)として設定する方法である。典型的には、検出対象がある状態の検出値(距離)と検出対象がない状態での検出値(距離)との丁度中間の値がしきい値(設定値)として設定される。
第1実施例の光電スイッチ100では、SETボタン(ティーチングスイッチボタン)22の短押し(例えば、1秒以下)と長押し(例えば3秒以上)の組み合わせにより、異なるティーチング方法が実行されるよう構成されている。2点チューニングを実行する場合には、検出対象がある状態でSETボタン22を短押しし、検出対象がない状態での検出値(距離)でSETボタン22を短押しすることで、それぞれSETボタン22の操作タイミングに従い検出値(距離)が取り込まれるようになっている。
そして、検出対象がある状態の検出値(距離)と検出対象がない状態での検出値(距離)との差が安定して検出できる程度に十分な差があると制御回路が判断した場合には、検出対象がある状態の検出値(距離)と検出対象がない状態での検出値(距離)との中間の値がしきい値(設定値)として設定されるとともに、7セグメント表示窓6(表示部)には、このティーチングで設定されたしきい値が表示され、一定時間経過後(例えば、3秒経過後)、7セグメント表示窓6(表示部)には再び検出値(距離)が表示される。しきい値設定後は、設定後のしきい値に応じた検出動作がなされる。
検出対象がある状態の検出値(距離)と検出対象がない状態での検出値(距離)との差が安定して検出できる程度に十分な差がないと制御回路が判断した場合は、しきい値は設定せず、ティーチング操作前の値がそのまま維持されるとともに、7セグメント表示窓6(表示部)にはしきい値が設定できなかった旨の表示、例えば“−−−−”などのブランク表示がなされ、一定時間経過後(例えば、3秒経過後)、7セグメント表示窓6(表示部)には再び検出値(距離)が表示される。
なお、2点チューニング実行後の検出値(距離)は、2点チューニング実行時に取り込んだ検出値(距離)のうち、光電スイッチ100から遠い側の値が「0(ゼロ)」となるように値がシフトされ、7セグメント表示窓6にはシフトされた検出値(距離)が表示される。また、光電スイッチ100から近くなるにつれ検出値(距離)が大きくなるように検出値(距離)が表示される。このように表示することで、検出対象領域に背景物のみしかない場合には、検出値(距離)は「0(ゼロ)」として7セグメント表示窓6に表示されることになり、一方、検出対象領域に検出対象物が存在する場合には、検出対象物の高さ(厚み)に応じた値が検出値(距離)として表示部に表示されることになり、直感的で分かりやすい表示となる。この場合、7セグメント表示窓6にしきい値を表示する際も、検出値(距離)と同じ尺度で表示され、検出値(距離)と直接的に対比できる値となっている。
データムチューニング(図19、図20):
このチューニング法は、検出対象物Wの表面形状が複雑であったり、表面が金属等の拡散反射の少ない物質であったり、検出対象物Wが半透明体であって光学的に検出位置が安定しにくい物質の場合などで、かつ、背景物の位置が光電スイッチの検出方向(測定距離方向)に沿って安定している場合に適している。
例えば、鏡面体の検出対象物Wがコンベアで搬送されてくる際に、検出対象物の有無を判別する場合、鏡面体は拡散反射成分が極端に少ないため、鏡面体の表面の角度によっては検出光の反射光が光電スイッチにほとんど戻らなくなる。このような場合に、光電スイッチは、検出対象物が遠方にありすぎて反射光が戻ってこないのか、鏡面体の表面傾斜状態により反射光が戻ってこないのかが判別できず、2点チューニングで設定したしきい値では誤検出するおそれがある。
データムチューニングは、検出対象領域に背景物のみしかない状態と、それ以外の状態とを判別し、検出対象物Wの有無を判別するための設定で、上記の例では、鏡面体の表面傾斜状態により反射光が戻ってこない場合も、何らかの物体が存在するために反射光が戻ってこないと判断し、つまり、検出対象物Wが存在すると判断し、物体ありを示す検出信号を出力(ON出力)する。
この光電スイッチ100では、SETボタン22の短押し(例えば、1秒以下)と長押し(例えば3秒以上)の組み合わせにより、通常のデータムチューニング(図19)と高感度のデータムチューニング(図20)とが選択的に実行される。
データムチューニングは、検出対象領域に背景物のみしかない状態で、SETボタン22を短押しし、次いで、検出対象領域に背景物のみしかない状態のまま、SETボタン22を長押しする。SETボタン22が長押しされたと制御回路が判断すると、表示部に“Set”と表示し、ユーザに長押しを感知したことを報知する。このようにして検出対象領域に背景物のみしかない状態の検出値(距離)が取り込まれるようになっている。そして、データムチューニングにより取り込まれた検出値(距離)から背景物を安定的に検出できたと制御回路が判断した場合には、検出対象領域に背景物のみしかない状態の検出値(距離)に所定の値を加えたものと、減じたものとの2つをしきい値として設定するとともに、7セグメント表示窓6(表示部)には“0(ゼロ)”を表示し、さらに、データムチューニングを示すインジケータを点灯する。一定時間経過後(例えば、3秒経過後)、7セグメント表示窓6(表示部)には再び検出値(距離)が表示され、データムチューニングを示すインジケータが点灯し続ける。しきい値設定後は、設定後のしきい値に応じた検出動作がなされる。
データムチューニングにより取り込まれた検出値(距離)から背景物を安定的に検出できなかったと制御回路が判断した場合には、表示部にはしきい値が設定できなかった旨の表示、例えば“−−−−”などの表示がなされ、一定時間経過後(例えば、3秒経過後)、表示部7セグメント表示窓6(表示部)には再び検出値(距離)が表示される。
なお、データムチューニング実行後の検出値(距離)は、検出対象領域に背景物のみしかない状態の値が0となるように値がシフトされ、7セグメント表示窓6(表示部)にはシフトされた検出値(距離)が表示される。また、光電スイッチ100から近くなるにつれ検出値(距離)が大きくなるように検出値(距離)が表示される。このように表示することで、検出対象領域に背景物のみしかない場合には、検出値(距離)は「0(ゼロ)」として7セグメント表示窓6(表示部)に表示されることになり、一方、検出対象領域に検出対象物が存在する場合には、検出対象物の高さ(厚み)に応じた値が検出値(距離)として7セグメント表示窓6(表示部)に表示されることになり、直感的で分かり易い表示となる。この場合、7セグメント表示窓6(表示部)にしきい値を表示する際も、検出値(距離)と同じ尺度で表示され、検出値(距離)と直接的に対比できる値となっている。
フルオートチューニング(図21):
フルオートチューニングは、検出対象物Wが搬送され、搬送状態のまましきい値設定(ティーチング)する場合に用いられるチューニング方法である。フルオートチューニング中に取り込んだ検出値(距離)の分布から、検出値(距離)の分布を2群に分けることができるしきい値を設定するもので、簡易的には、検出値(距離)の分布の最大値と最小値の中間値をしきい値として設定するものである。
このフルオートチューニングにおいて、フルオートチューニング中に取り込んだ検出値(距離)の分布から、検出値(距離)の分布を2群に分けることができない、簡易的には、検出値(距離)の分布の最大値と最小値との差が安定して検出できる程度に十分な差がないと制御回路が判断した場合には、フルオートチューニングに替えて最大感度設定チューニングが実行される。フルオートチューニングは、チューニング中に検出対象物と背景とに対応した検出値(距離)が交互に得られ、検出値(距離)の分布を2群に分けることができることを想定しており、一方、最大感度設定チューニングは、ティーチング中に背景に対応した検出値(距離)のみが得られることを想定している。そして、最大感度設定チューニングが実行された場合、背景を検出せず、かつ、検出対象物を最も検出しやすい値をしきい値として設定し、その設定されたしきい値が7セグメント表示窓6(表示部)に表示される。
なお、フルオートチューニング中に取り込んだ検出値(距離)の分布から、検出値(距離)の分布を2群に分けることができないと制御回路が判断した場合には新たなしきい値を設定しないで、ティーチング操作前のしきい値をそのまま維持し、そして再び検出値(距離)が表示されるようにしてもよい。
光電スイッチ100では、上述したように、SETボタン(ティーチングスイッチボタン)22の短押し(例えば、1秒以下)と長押し(例えば3秒以上)の組み合わせにより、異なるティーチング方法が実行されるよう構成されているため、フルオートチューニングを実行する場合には、検出対象が搬送されている状態でSETボタン(ティーチングスイッチボタン)22を長押しすると、検出値(距離)が取り込まれるようになっている。
そして、フルオートチューニング中に取り込んだ検出値(距離)の分布から、検出値(距離)の分布を2群に分けることができる、簡易的には、検出値(距離)の分布の最大値と最小値との差が安定して検出できる程度に十分な差があると制御回路が判断した場合には、検出値(距離)の分布を2群に分ける値が、簡易的には、検出値(距離)の分布の最大値と最小値の中間値がしきい値(設定値)として設定されるとともに、表示部には設定されたしきい値が表示され、一定時間経過後(例えば、3秒経過後)、表示部には再び検出値(距離)が表示される。しきい値設定後は、設定後のしきい値に応じた検出動作がなされる。
フルオートチューニング中に取り込んだ検出値(距離)の分布から、検出値(距離)の分布を2群に分けることができない、簡易的には、検出値(距離)の分布の最大値と最小値との差が安定して検出できる程度に十分な差がないと制御回路が判断した場合には、しきい値は設定せず、ティーチング操作前の値がそのまま維持されるとともに、7セグメント表示窓6(表示部)にはしきい値が設定できなかった旨の表示、例えば“−−−−”などの表示がなされ、一定時間経過後(例えば、3秒経過後)、7セグメント表示窓6(表示部)には再び検出値(距離)が表示される。
なお、フルオートチューニング実行後の検出値(距離)は、フルオートチューニング実行時に取り込んだ検出値(距離)のうち、光電スイッチ100から遠い側の値が「0(ゼロ)」となるように値がシフトされ、7セグメント表示窓6(表示部)にはシフトされた検出値(距離)が表示される。また、光電スイッチ100から近くなるにつれ検出値(距離)が大きくなるように検出値(距離)が表示される。このように表示することで、検出対象領域に背景物のみしかない場合には、検出値(距離)は「0(ゼロ)」として7セグメント表示窓6(表示部)に表示されることになり、一方、検出対象領域に検出対象物Wが存在する場合には、検出対象物の高さ(厚み)に応じた値が検出値(距離)として7セグメント表示窓6(表示部)に表示されることになり、直感的で分かりやすい表示となる。この場合、7セグメント表示窓6(表示部)にしきい値を表示する際も、検出値(距離)と同じ尺度で表示され、検出値(距離)と直接的に対比できる値となっている。
運用モード(図22〜図28):
電源投入直後や、前述したティーチングモード終了後は、自動的に運用モード(通常の運転モード)に切り替わる。
運用モードでは、7セグメント表示窓6(表示部)には検出値(距離)が数値表示され、そしてUPボタン18又はDOWNボタン20を短押しすることで、距離表示からしきい値表示に切り替えることができる(図22)。図22を引き続き参照して、しきい値表示に切り替わった後、UPボタン18を操作すると、しきい値の値を大きくする方向に調整することができる。他方、DOWNボタンを操作するとしきい値の値が小さくなる方向に調整することができる。そして、UPボタン18、DOWNボタン20の押し下げを止めると、調整されたしきい値が7セグメント表示窓6(表示部)に表示される。一定時間、例えば、3秒間、UPボタン18及びDOWNボタン20を操作していない無操作状態が継続すると、7セグメント表示窓6(表示部)の表示が検出値(距離)の表示に復帰する。
運用モードにおける出力切り替えを図23を参照して説明すると、通常時(運用モードでの運転時)に、UPボタン18を長押しすると出力論理を切り替える表示モードに遷移する。出力論理の切り替えを設定するモードに遷移すると、7セグメント表示窓6(表示部)には、光電スイッチ100よりも近距離側で検出出力がON出力となることを示す“L.ON”、又は、光電スイッチ100よりも遠距離側で検出出力がON出力となることを示す“D.ON”が表示され、UPボタン18又はDOWNボタン20を操作することで、“L.ON”と“D.ON”が交互に切り替わり、7セグメント表示窓6(表示部)の表示もそれに応じて切り替わる。一定時間、例えば、3秒間、UPボタン18及びDOWNボタン20を操作しない無操作状態が継続すると、7セグメント表示窓6(表示部)の表示が検出値(距離)に復帰する。
運用モードでの運転時に、DOWNボタン20を長押しすると機能設定モードに遷移させることができる(図24、図25)。なお、この機能設定モード時に、DOWNボタン20を長押しすると、再び、通常状態(運転状態)に戻る。また、DOWNボタン20を短押しすると、設定項目が順方向に遷移し、UPボタン18及びDOWNボタン20を共に操作する共押しを行うと設定項目が逆方向に遷移する。図24、図25に見られる「応答時間」、「ディレイタイマ」、「タイマ時間」、「ホールド機能」、「シフト機能」、「クランプ機能」、「ディスプレイ」、「エンド」の意味を以下に説明する。
「応答時間」(図24):
7セグメント表示窓6(表示部)に「SPd」の文字表示が行われると、この「SPd」は「応答時間」を意味しており、UPボタン18を操作することにより、検出にかかる応答時間を選択できる。具体的には「10ms」が標準であり、「50ms」と「1.5ms」とを選択できる。応答時間として長い時間を設定するほど、反射光量の少ない検出対象物等の難検出物体への安定的な検出の対応能力が向上する。
「ディレイタイマ」(図24):
7セグメント表示窓6(表示部)に「dLy」の文字表示が行われると、この「dLy」は「ディレイタイマ」を意味しており、UPボタン18を操作することによりディレイタイマの種類を選択できる。「Off」はディレイタイマ機能のキャンセルであり、「Ond」はオンディレイタイマであり、「oFd」はオフディレイタイマであり、「Sht」はワンショットタイマである。検出対象物の縁部分等の難検出箇所での誤出力を回避する目的や、光電スイッチの検出出力を受け付ける制御機器の入力回路の特性に合わせる目的で使用される。
「タイマ時間」(図24):
7セグメント表示窓6(表示部)に「dt」の文字表示が行われると、この「dt」は「タイマ時間」を意味しており、UPボタン18を操作することにより、設定されたディレイタイマ機能のタイマ時間を設定できる。ディレイタイマ機能がキャンセルされているときは、この項目はスキップされる。
「ホールド機能」(図25、図26):
7セグメント表示窓6(表示部)に「HLd」の文字表示が行われると、この「HLd」は「ホールド機能」を意味しており、UPボタン18を操作することにより、表示される検出値(距離)の最大値、または、最小値を保持する機能を設定できる。「Off」はホールド機能のキャンセルを意味し、「P_H」は最大値の保持を意味し、「b_H」は最小値の保持を意味する。設定後、通常状態(運転状態)でUPボタン18及びDOWNボタン20を共に短押しすると、7セグメント表示窓6(表示部)の表示を、選択されたホールド値と、検出値(距離)とを切り替えることができる。なお、選択されたホールド値を表示する際は、選択されたホールド機能の内容とホールド値が自動的に交互に表示される(図26)。
「シフト機能」(図25、図27):
7セグメント表示窓6(表示部)に「SFt」の文字表示が行われると、この「SFt」は「シフト機能」を意味している。このシフト機能を使うことで、図27から分かるように、チューニング時の表示をシフトさせることができる。
「クランプ機能」(図25、図28):
7セグメント表示窓6(表示部)に「cLP」の文字表示が行われると、この「cLP」は「クランプ機能」を意味している。クランプ機能を「ON」設定することにより、検出対象物Wからの光を受け取れなくなった時に、その直前の表示値と出力状態を保持させることができる。
「ディスプレイ」(図25):
7セグメント表示窓6(表示部)に「dSP」の文字表示が行われると、この「dSP」は「ディスプレイ」を意味しており、通常時(運転時)に、7セグメント表示窓6に表示する対象を選択することができる。図25に図示の「On」は検出値(距離)を数値表示することを意味し、「Off」は表示無しを意味し、「BAr」はバー表示を意味する。「Off」又は「BAr」が選択されていても、UPボタン18又はDOWNボタン20を操作すると一定時間、検出値(距離)の数値を表示させることができる。UPボタン18又はDOWNボタン20を更に操作すると、しきい値の前述のマニュアル調整が可能となる。
「エンド」(図25):
機能設定モードの終了を明示的に知らせる表示項目であり、7セグメント表示窓6(表示部)には「End」の文字が表示される。
なお、上述した第1実施例では、投光素子としてレーザを用い、受光素子としいて1次元CMOSセンサを用いた例を示したが、変形例として、例えば、投光素子としてLEDを用いてもよいし、受光素子として、2次元素子、CCD、PSD、多分割PD等を用いてもよい。また、7セグメント表示窓をLEDを用いて構成した例を示したが、液晶等を用いてもよく、マトリックス表示素子を用いてもよい。
第2実施例(図29〜図41):
第2実施例の光電スイッチは縦33mm、横20mm、奥行き11mmの外形寸法を有し、上述した第1実施例の光電スイッチよりも相対的に小さい。この第2実施例の光電スイッチも第1実施例と同様に、金属射出成形法により製造されたステンレス筐体を備えている。この第2実施例の光電スイッチには、受光素子としてフォトダイオード(PD)が採用され、物体の検出原理は光量であり、物体の検出はON/OFF信号で出力される。また、第2実施例の光電スイッチも第1実施例と同様に比較的大型の出力表示灯を有し、また、受光量を表示する7セグメント表示器を備えている。また、ユーザが操作するトリマーネジを有し、このトリマーネジを操作することで受光量の感度を調整することができる。
図29〜図31は第2実施例の光電スイッチ200の外観を示す図である。図29は投受光窓を備えた光電スイッチ200を斜め前方から見た図であり、図30は7セグメント表示窓を備えた背面を斜め後方から見た図(ケーブルの図示を省略)であり、図31は光電スイッチ200の側面図である。なお、図29は、後に説明する出力表示灯カバー266を省いた状態で図示してある。また、図30は、後に説明する7セグメント表示カバー262を省いた状態で図示してある。
図29〜図31を参照して、第2実施例の光電スイッチ200は、上述した第1実施例と同様に、ステンレス製の筐体202と、その一側に接着されたステンレス製の平板状蓋プレート204(図30、図31)で外形輪郭が構成されている。筐体202は金属射出成型法により製造される。筐体202は、第1実施例と同様に、側面視矩形の4つの角部のうち一つの角部を斜めに切り欠いた形状を有し、この斜めに切り欠いた角部が位置する側に7セグメント表示窓206が設けられ(図30)、これに対抗する反対側に投受光窓208が設けられている(図29)。
光電スイッチ200は、図29〜図31に図示のように、前面部分の上端部及び下端部に、夫々、スイッチ設置孔SHが設けられ、このスイッチ設置孔SHに挿通したボルト(図示せず)を使って光電スイッチ200が所望の位置に設置される。
斜めに切り欠いた形状を有する角部210にはケーブル212が位置し(図31)、このケーブル212を通じて光電スイッチ200への電源供給及び光電スイッチ200から外部機器に向けて検出信号つまりON/OFF信号が出力される。このケーブル212が位置する斜めに切り欠いた角部210と対角線上で対抗する角部に出力表示灯216(図29〜図31)が配設されている。この出力表示灯216は、図29、図31から良く分かるように、上面の前端部から前面の上端に亘って延びる形状を有し(図32、図33)、また、筐体202の上面から上方に突出した形状を有している。
図34は光電スイッチ200の分解図である。筐体202は、周囲壁220を有し、また、一方側の側壁を備えて他方側を開放したボックス形状を有し、周囲壁220に上述した7セグメント表示窓206と投光窓208が形成されている。筐体202の形状及び7セグメント表示窓206、投受光窓208の配置は前述した第1実施例と同じである。ボックス状の筐体202の側部開口を参照符号222で示してある。
引き続き図34を参照して、筐体202に充填される内蔵部品群224は、樹脂成型品からなる内蔵モジュール固定フレーム230と、7セグメントモジュール232と、表示灯兼中継基板234と、電源兼制御基板236と、素子ホルダ238とを含み、素子ホルダ238には、フォトダイオード240(PD:受光素子)、LED(投光素子)242、投光及び受光レンズ244が組み込まれている。筐体202の中には、また、ケーブル用基板250と、このケーブル用基板252を保持するためのホルダ252とが組み付けられる。図32に見られる符号254は絶縁シートであり、この絶縁シート254は、筐体202の側部開口222の周縁部に接着される蓋プレート204と、電源兼制御基板236との間に介装される。
筐体202には、その外側から、投受光に関連した部材である光透過性樹脂成型品のレンズカバー260、光透過性樹脂成型品の7セグメント表示カバー262、出力表示灯216の光源であるLED290、292(図40)を光電スイッチ200の幅方向に離間して配置した色の異なる2つLEDを組み込んだ表示用光源基板263及びこれを保持するホルダ265、光拡散部品264、外方に向けて突出した形状を有する樹脂成型品の出力表示灯カバー266が取り付けられる。この出力表示灯カバー266は断面L字状の形状を有し、光電スイッチ200の上面に位置するカバー本体266aの前端からから下方に垂下する前面延長部分266bを有している。
光拡散部品264は、筐体202の外側からパッキン268を介して筐体202に組み付けられ、そして、この表示灯光源部品264を包囲する出力表示灯カバー266が筐体202に接着される。同様に、レンズカバー260及び7セグメント表示カバー262も筐体202に接着される。
図32などに示す参照符号270はトリマーネジを示す。このトリマーネジ270を時計回り又は反時計回りに回転させることにより光電スイッチ200の感度を調整することができる(図35)。より詳しくは、トリマーネジ270は、可変増幅回路の一部を構成する可変抵抗のトリマにアクセスすることで、可変増幅回路の増幅率を可変できるものであり、トリマーネジ270は、その可変抵抗のトリマにアクセスする部分を絶縁材料で作り、他を金属により作られた構成であるのが好ましい。
上述した7セグメントモジュール232は、図36を参照して7セグメントLED基板274とリフレクタ276とで構成され、リフレクタ276は、筐体202に開口された7セグメント表示窓206に設置されている。リフレクタ276は、実質的に各セグメントの形状を定義するもので、各セグメントの形状に対応した開孔が形成された板状の絶縁材料からなる部材で、開孔の内壁は、白、あるいは、金属光沢等の高反射率物質で構成されている。7セグメントLED基板274の各セグメントに対応したLEDから発せられた光は、リフレクタ276の各セグメントの形状に対応した開孔の内壁で反射し、各セグメントがムラなく表示できる。なお、リフレクタ276と7セグメント表示カバー262との間に光拡散シートを介在させ、各セグメント内での表示ムラをより無くすように構成することが好ましい。
図36の矢印X37で差し示す部分を拡大したのが図37である。図37を参照して、金属製筐体202の側部開口222には、蓋プレート204を接着するための第1段部280が形成されている。また金属製筐体202の投受光窓208の周縁部には、レンズカバー260を接着するための第2段部282が形成されている。図36から分かるように、投受光窓208の第2段部282が筐体202の背面近くまで延びており、他方、側部開口222の第1段部280は、前面から遠ざかる位置まで変位している。すなわち、投受光窓208を極力大きくするように設計されている。これにより、比較的小さな筐体202でありながら、光電スイッチとしての性能を重視した比較的大きなレンズカバー260を採用することができる。
筐体202には、側部開口222を通じて内蔵部品群224が組み込まれる。内蔵部品群224を組み入れた後の筐体202を示すのが、図32、図38である。内蔵部品群224を組み入れた後に、図32を参照して電源兼制御基板234の接点とケーブル用基板250の接点が半田付けされ、また、電源兼制御基板234の接点と7セグメントLED基板274の接点が半田付けされる。また、図38を参照して、電源兼制御基板234の接点と表示灯兼中継基板234の接点が半田付けされる。そして、その後で、蓋プレート204が筐体202に接着される。
図39を参照して、内蔵部品群224に含まれる内蔵モジュール固定フレーム230は、7セグメントモジュール232を7セグメント表示窓206側に付勢し、また、素子ホルダ238を含む光学系モジュールを投受光窓208側に付勢している。
図40は、光拡散部品264及び表示用光源基板263を示す。表示用光源基板263には、光電スイッチ200の幅方向に離間した色の異なる2つの表示用LED290、292が実装されている。表示用光源基板263は、内蔵モジュール固定フレーム230によって前面側に向けて付勢され、光拡散部品264の前面側の端部が筐体202の凹所294に進入することにより、その位置決めが行われる。
図36を参照して、第2実施例の光電スイッチ200は、7セグメント表示モジュール232と光学系モジュールのレンズ244との間の距離L1が筐体202の側部開口222の幅OWよりも大きいにも関わらず、リフレクタ276を筐体202の7セグメント表示窓206の部分に配置し、また、リフレクタ276と7セグメントLED基板274とを、光学系モジュールなどから切り離して筐体202の中に組み込み、その後で電源兼制御基板234と7セグメントLED基板274とを半田付けするという工程を採用することで比較的小型の筐体202への組み込みが可能である。換言すれば、第2実施例の光源スイッチ200は、比較的小型の筐体202でありながら、比較的大きな光学系モジュールを採用することができる。
7セグメント表示部材の一部を構成するリフレクタ276は、その外形輪郭が筐体の7セグメント表示窓206と相補的な形状を有するのが好ましく、そして、リフレクタ276の全部又は一部が筐体202の7セグメント表示窓206の部分に位置することで、リフレクタ276を7セグメント表示窓206によって位置決めするようにしてもよい。
この第2実施例の光電スイッチ200にあっては、7セグメントLED基板274とリフレクタ276とが7セグメントモジュール232として一体化され、この7セグメントモジュール232が内部モジュール固定フレームに固定されることで、リフレクタ276が位置決めされている(図34)。
図41は第2実施例の光電スイッチ200のブロック図である。光電スイッチ200は、受光量の大小に応じた検出信号(ON/OFF信号)を出力する。より詳しくは、LED駆動回路に従ったLED242からの光を検出領域に向け投射し、検出領域の検出対象物Wからの反射光をフォトダイオード(PD)240で受光する。PD240は受光量に応じた受光信号を感度可変増幅回路で増幅し、制御回路が所定のしきい値と比較して検出信号を出力する。しきい値は固定である。トリマーネジ270の回転角度を調整することで、感度(受光信号の増幅率等)を調整することができる。すなわち感度はマニュアルで可変であり調整可能となっている。この第2実施例では、感度調整トリマーネジ270を調整することで、可変増幅回路の増幅率を感度調整トリマーネジ270の回転角に応じた増幅率に調整可能に構成されている。可変増幅回路により増幅された受光信号とメモリに記憶された固定のしきい値(例えば、「100」)とを比較することにより検出信号を出力する。表示灯264は、検出出力(ON/OFF出力)に連動したON又はOFFの点灯表示を行う。7セグメント表示部206は、増幅後の受光信号に応じた受光量を数値表示する。したがって、表示される受光量は、検出対象物の状態が同一であってもトリマーネジ270の回転角に応じて可変である。なお、この第2実施例の光電スイッチ200は、第1実施例のような設定モードや表示切替えは無い。
なお、上述した第2実施例では、投光素子としてLEDを用いた例を示したが、例えば、投光素子としてレーザダイオードを用いてもよい。また、7セグメント表示窓をLEDを用いて構成した例を示したが、液晶等を用いてもよく、マトリックス表示素子を用いてもよい。また、しきい値を固定とし、アナログ回路の感度(増幅率)をトリマーネジ270により調整する例を示したが、感度(増幅率)をデジタル的に調整するように構成してもよいし、アナログとデジタルを混在して調整するように構成してもよい。また、トリマーネジ270により感度(増幅率)を変更する代わりに、あるいは、それに加え、トリマーネジ270によりしきい値を調整するように構成してもよい。