以下に、添付の図面に基づいて実施例を詳細に説明する前に、本発明の概要を図1〜図3を参照して説明する。
発明の概要(図1〜図3):
図1を参照して、本発明に従う光学センサ1は、最も典型的には金属筐体2を有している。図1の(イ)は光学センサ1の正面図であり、(ロ)は断面図である。金属筐体2はステンレスなどの耐食性に優れた金属から作られるのがよい。金属筐体2は、主なる筐体と、これに合体される例えばプレート状のサブ筐体とで構成して典型的には溶接(典型的にはスポット溶接)という固定手段によって一体化したものであってもよい。
金属筐体2は、その前面に信号光通過窓5を有し、この信号光通過窓5に臨んで光が通過可能な合成樹脂成形レンズ部材を含む光学部材6の周囲は、筐体2の中に充填されるホットメルトHMで包囲され、この充填されたホットメルトHMで光学部材6が筐体2の所定位置に位置決めされる。図中、参照符号7はホットメルト充填機を示す。ここに、ホットメルトとは、熱可塑性の合成樹脂、ゴムからなり常温で固体の接着剤の総称であり、光電スイッチ等の耐環境性能を考慮するとポリアミド系ホットメルトあるいはポリエステル系ホットメルトが好適である。顔料を含まないポリアミド系ホットメルトは半透明、具体的には乳白色である。他方、ポリエステル系のホットメルトは耐油性、耐水性の観点で言えばポリアミド系ホットメルトよりも優れた特性を有している。
光学センサ1は表示灯8を有し、この表示灯8の点灯又は点滅によって光学センサ1の状態が表示される。表示灯8の光源の典型例はLED9である。LED9の点灯又は点滅は、金属筐体2と一体化している合成樹脂成形カバー部材10が光ることによって視認することができる。
LED9は基板11に実装されるのがよい。LED9とカバー部材10との間にはクリアランスCが意図的に設けられ、このクリアランスCにはホットメルトHMが侵入する。LED9の光は周知のように直進性が高いが、LED9とカバー部材10との間に介在するホットメルトHMの適度な光拡散によって比較的大型のカバー部材10の全域を面光源的に光らせることができる。したがって、光学センサ1を小型化しても、比較的大きな面積で均一に光る表示灯8によって、その視認性を確保することができる。
LED9とカバー部材10との間のクリアランスCはホットメルトHMによる適度な光拡散を確保する上で適度なクリアランス寸法であるのが好ましい。このクリアランスCの適度な寸法を確保する上で、カバー部材10の肉厚を厚く設定してもよいし、カバー部材10とLED9との間に導光部材12を介在させて(図1の(ロ))、この導光部材12の長さ寸法によってクリアランスCの適度な寸法を確保するようにしてもよい。導光部材12はカバー部材10と一体構造であってもよいし、導光部材12とカバー部材10とを別体に作り、カバー部材10に予め導光部材12を接着することにより一体化させるようにしてもよい。また、導光部材12とカバー部材10とを別体に作り、導光部材12をその周囲の部材に位置決めさせて、これにより導光部材12とカバー部材10との間の相対位置及び導光部材12とLED9との間のクリアランスCを規定するようにしてもよい。
勿論、LED9の周囲やカバー部材10の周囲にもホットメルトHMが入り込むため、このホットメルトHMによってLED9及びカバー部材10が固定される。
引き続き図1を参照して、この図1の例は、ホットメルト充填口13を筐体2に形成した例である。筐体2は、その後壁2aにホットメルト充填口13が形成されている。このホットメルト充填口13の配置位置は、充填口13から充填されるホットメルトHMによって光学部材6を全体的に前方に押し付けることのできるように位置決めされるのが好ましい。
この図1に図示の例では、電子回路基板11の後面11aが邪魔面の役割を担っており、筐体後壁2aのホットメルト充填口13を通じて筐体2の中に充填されるホットメルトHMが、電子回路基板11の後面11aに対して、その鉛直方向に当たることで、ホットメルト充填時のホットメルトが直接的に光学部材6に当たるのを回避することができる。光学部材6は一般的に合成樹脂で作られているため熱変形により光学特性が変化し易いが、光学部材6に直接的に充填時のホットメルトHMが当たらないため、ホットメルトHMの充填に伴う光学部材6の熱変形を防止することができる。
図2に図示の例は、筐体2の上端壁2bにホットメルト充填口13が形成されている。このホットメルト充填口13は、筐体2の後壁2aと基板11と間の隙間に向けて且つ基板11の後面11aと平行となるように指向されている。この図2の例では、基板11の後面11aに沿ってホットメルトの充填が行われるため、基板11の後面11aが仕切り板の機能を発揮して、ホットメルト充填時のホットメルトが直接的に光学部材6に当たるのを回避することができる。
図3は別の例を示す。この図3に図示の例では、筐体2の下端壁2cにホットメルト充填口13が形成されている。また、筐体2は、下端壁2cのホットメルト充填口13の近傍に、ホットメルト充填口13に臨んで位置する邪魔壁14を有している。この図3の例では、邪魔板14は、信号光通過窓5を備えた前壁2dから後壁2aに向けて延びて基板11の近傍位置で終端し、下端壁2cと並行に延びている。この図3に図示の例では、光学部材6及び基板11は、その厚さ方向に延びる邪魔壁14によって、ホットメルト充填口13から充填されるホットメルトHMが光学部材6及び基板11に直接的に当ることが阻止される。邪魔壁14は、ホットメルト充填口13から流入するホットメルトを受け止める受圧部材として機能する。換言すると、筐体下端壁2cのホットメルト充填口13から充填されたホットメルトは邪魔壁14のホットメルト充填口13と対面する邪魔面14aに衝突することにより、この邪魔壁14によってホットメルトが受け止められ、光学部材6に対して、ホットメルト充填時のホットメルトが直接的に当たるのを防止することができる。
実施例(図4〜図26):
以下に、本発明に従う2つの実施例を添付の図面に基づいて説明する。第1の実施例のスリム型光学センサ100が図4に図示されている。また、第2の実施例のフラット型光学センサ200が図5に図示されている。これら光学センサ100、200は夫々一対の透孔Thを有し、この透孔Thを使って現場に設置される。
スリム型の光学センサ100及びフラット型の光学センサ200は共に透過型と反射型の2種類がある。第1実施例のスリム型光学センサ100を例に透過型と反射型を図6、図7を参照して説明する。図6は透過型の光学センサを説明するための図であり、図7は反射型の光学センサを説明するための図である。これら図6、図7において、矢印を含む破線は信号光の光軸を示す。透過型を示す図6を参照して、透過型の光学センサ100は投光ユニットと、これとは別体の受光ユニットとで構成される。フラット型の光学センサ200においても同様である。他方、反射型を示す図7を参照して、反射型の光学センサ100は投受素子と受光素子とを内蔵しており、単一の光学センサ100によって投光及び受光が可能である。フラット型の光学センサ200においても同様である。
図8は透過型の光学センサ100の投光ユニットと受光ユニットのブロック図であり、図9は透過型光学センサ100の投光ユニット及び受光ユニットの相互に関連した動作を説明するためのタイミングチャートを示す。
図8を参照して、透過型光電センサ100の投光ユニットは外部からの直流電源の供給を受けて動作する。投光ユニットはLED等の投光素子102とLED駆動回路104とを有し、投光制御回路106からの投光信号に基づいて投光素子102はパルス発光する。図中、参照符号108は投光レンズを示す。
図8を引き続き参照して、透過型光電センサ100の受光ユニットは外部からの直流電源の供給を受けて動作する。受光ユニットは、フォトダイオード(PD)などの受光素子112と増幅回路114を有する。投光ユニットが発したパルス光を受光素子112が受けると、受光素子112は光電変換して受光量に応じた受光信号を出力し、これを増幅回路114で増幅した信号が制御回路116に入力される。制御回路116では、受光信号と所定のしきい値とを比較して、受光信号の大小により外部にON信号又はOFF信号を出力する。この実施例では、遮光時ONタイプの検出出力と、入光時ONタイプの検出出力の2系統の検出出力とを備えている。すなわち、遮光時ONタイプの検出出力では、受光信号がしきい値よりも小さい場合にON信号が出力され、受光信号がしきい値よりも大きい場合にOFF信号が出力される。他方、入光時ONタイプの検出出力では、受光信号がしきい値よりも大きい場合にON信号が出力され、受光信号がしきい値よりも小さい場合にOFF信号が出力される。
受光ユニットは動作を表示するために出力表示灯118と安定表示灯120を更に有する。出力表示灯118は、遮光時ONタイプの検出出力に対応した点灯表示をする。つまり、受光信号がしきい値よりも小さい場合に点灯し、大きい場合に消灯するように設定されている。図中、参照符号Wは検出対象物を示し、参照符号122は受光レンズを示す。
安定表示灯120は、受光信号がしきい値に対してマージンのある状態かを表示する機能が与えられている。受光信号がしきい値よりも所定量以上大きいか又は所定量以上小さい場合に点灯し、しきい値を挟んで所定量以内の大小であれば消灯するように設定されている。
なお、受光ユニットの機能に関する変形例として、検出出力を一種類に限定し、ユーザの設定により遮光時ONと入光時ONとを切り替えることができるようにしてもよい。また、この場合、出力表示灯118は、検出出力の設定変更に連動して遮光時点灯と入光時点灯とが切り替わるようにするのが好ましい。なお、受光ユニットの感度を実質的に調整可能にするために、マニュアル操作が可能なトリマなどの手段を受光ユニットに設けて、トリマを操作することで、しきい値の調整及び/又は増幅回路114の増幅率を調整できるようにするのが好ましい。
図10は、例示的にスリム型光学センサ100の反射型のブロック図であり、図11は、その動作を説明するためのタイミングチャートを示す。なお、フラット型の光学センサ200においても、その反射型の構造及びその動作はスリム型光学センサ100と実質的に同じであると理解されたい。
反射型の光学センサ100は、外部から供給される直流電源によって駆動される。図10を参照して、反射型の光学センサ100は、LED等の投光素子102とフォトダイオード(PD)などの受光素子112とを有している。投光素子102は制御回路124からの信号に基づくLED駆動回路104からの信号に基づいてパルス発光する。検出対象Wから反射されたパルス光を受光素子112が受けると、受光素子112は光電変換して受光量に応じた受光信号を出力し、増幅回路114で増幅した受光信号が制御回路124に入力される。制御回路124では、受光信号と所定のしきい値とを比較して、その大小によりON信号又はOFF信号を出力する。変形例として、受光素子112として分割フォトダイオード(分割PD)、PSD、CMOSリニアセンサ等から任意の検出素子を採用し、パルス光の受光位置に応じた距離と所定のしきい値とを対比して、その大小によりON信号又はOFF信号を出力するようにしてもよい。
なお、第1実施例のスリム型光学センサ100及び第2実施例のフラット型光学センサ200における反射型では、所定のしきい値と検出距離とを対比して、その大小に応じてON信号又はOFF信号を出力する距離固定タイプの光学センサが採用されており、所定のしきい値よりも検出距離が小さい場合にON信号を出力し、検出距離がしきい値よりも大きい場合にOFF信号を出力するNear側ONタイプの検出出力と、所定のしきい値よりも検出距離が大きい場合にON信号を出力し、小さい場合にOFF信号を出力するFar側ONタイプの検出出力との2種類の検出出力を備えている。
再び図10を参照して、反射型光学センサ100は出力表示灯118と安定表示灯120とを備えている。出力表示灯118は、Near側ONタイプの検出出力に対応した点灯表示をするように設定されている。つまり、出力表示灯118は検出距離が所定のしきい値よりも小さい場合に点灯し、検出距離がしきい値よりも大きい場合に消灯する。
安定表示灯120は、受光信号が、所定のしきい値に対してマージンのある状態かを表示するものであり、検出距離がしきい値よりも所定量以上大きいか又は所定量以上小さい場合に点灯し、しきい値を挟んで所定量内の受光量であれば消灯するように設定されている。
なお、反射型光学センサ100の検出出力を1種類に限定し、Near側ONとFar側ONとを設定により切り替え可能に構成してもよい。この場合、出力表示灯118は検出出力の設定に応じて自動的にNear側点灯とFar側点灯とが切り替わるようにするのが好ましい。
反射型の光学センサ100は前述したように、しきい値を固定としているが、ユーザが操作可能なトリマなどの調整手段によってしきい値を調整できるようにしても良い。これにより、反射型光学センサ100の感度を実質的に調整することができる。なお、図10中、参照符号108は投光レンズを示し、参照符号122は受光レンズを示す。
第1実施例(図4、図12〜図18):
図4を参照して前述した第1実施例のスリム型光学センサ100に関し、図12は、その分解斜視図である。図12を参照して、スリム型光学センサ100は、ステンレスの成型品である金属筐体130と、この中に組み込まれる内蔵部品132と、内蔵部品132に結線されたケーブル134とを含み、ケーブル134を通じてスリム型光学センサ100に電源が供給されると共にスリム型光学センサ100の検出信号が出力される。
引き続き図12を参照して、スリム型光学センサ100の金属筐体130は概略直方体の外形輪郭を有し、その大きさは縦約25mm、横約7mm、厚み約12mmである。筐体130はステンレスなどの防錆性に優れた金属の成型品であり、その上端面が大きく開放された上端開口130aを有している。
金属筐体130の前壁130bには、前記上端開口130aに連なる前方窓136が形成されている。また、筐体130の下端壁130cには、下方に向けて突出した円筒状のスリーブ138が形成され、このスリーブ138に嵌挿される可撓性グロメット(ケーブルブッシュ)140にケーブル134を貫通させることで、ケーブル134は光学センサ100の内外に延びている。ケーブル134を通じて光学センサ100に直流電源が供給され、また、このケーブル134を通じて光学センサ100の検出信号が出力される。
内蔵部品132には合成樹脂製の光を導くことのできる導光部品142が含まれており、この導光部品142は、筐体130の上端開口130aに位置決めされ、そして、筐体130の上端開口130aは光透過性樹脂製の表示灯カバー144で閉塞される。内蔵部品132には電子回路基板146が含まれ、この電子回路基板146には、図8、図10を参照して説明した各種の回路の他に、投光素子102、受光素子112、出力表示灯118の光源である第1のLED118a、安定表示灯120の光源である第2のLED120aが所定位置に実装される。第1、第2の光源であるLED118a、120aは異なる色を発色するLEDが採用される。
スリム型光学センサ100は、前述したように、筐体130を共通にした反射型と透過型との2種類が用意されている。図13は、反射型の光学センサ100に組み込まれる光学部材148と電子回路基板146を示す。図14は、透過型且つ投光側の光学センサ100に組み込まれる光学部材148と電子回路基板146を示し、図15は、透過型且つ受光側の光学センサ100に組み込まれる光学部材148と電子回路基板146を示す。
反射型を図示した図13を参照して、光学部材148は、前方に向けて突出した凸部を構成するレンズカバー150と、信号光を導くスリット部材152とを含む。レンズカバー150と前記スリット部材152は共に樹脂成型品である。光学部材148の一部を構成する投光素子(LED)102と受光素子(分割フォトダイオード)112は電子回路基板146に実装されている。出力表示灯118の光源である赤色発光LED118a及び安定表示灯120の光源である緑色発光LED120aは共に回路基板146に実装され、これらの光は共通の導光部品142及び共通の表示灯カバーを通じて外部に導かれる。
スリット部材152は周囲壁面152aを有する不透明のブロック状の樹脂成形品であり、信号光を誘導する通路152b、152cを備えている。このスリット部材152を受け入れるレンズカバー150は、平面視略長方形のカバー部150aと、このカバー部150aの周囲から後方つまり基板146側に向けて延びるスカート部150bとを有し、スカート部150bは周囲方向に連続している。上述したスリット部材152は、スカート部150bに包囲された状態でレンズカバー150に嵌合される。
カバー部150aとスカート部150bを含むレンズカバー150は合成樹脂製の一体成形品である。ここに、合成樹脂としては、透明性と耐環境性能を考慮すると、ポリカーボネート(PC)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、PMMA(アクリル樹脂)、環状オレフィン、COP(シクロオレフィンポリマー)等の熱可塑性樹脂が好適である。なお、合成樹脂は、合成樹脂の荷重たわみ温度と充填されるホットメルトの軟化点とを考慮して選択されることが好ましい。例えば、軟化点が120℃〜160℃程度のホットメルトを選択するときには、荷重たわみ温度が170℃以上(曲げ応力1.81MPa)の合成樹脂材料を選択するのがよい。また、耐油性、耐薬品性の観点を含めて合成樹脂材料を選択するのが好ましく、この観点に立脚するときにはポリサルフォンなどが好適である。
スカート部150bはその外周面が凹凸形状で構成されるがよい。光学部材148の外周面を構成する前記スカート部150bの周面に凹凸を形成することにより、後に説明するホットメルトとの境界の面積を拡大することができる。
平面視略長方形のレンズカバー150は赤色透明の樹脂の成形品であり、レンズカバー150の前面を構成するカバー部150aの表面は平らであり、その対向面つまり後面には、投光素子102及び受光素子112に夫々対応した位置に投光用と受光用の2つの凸レンズ面が形成され、この凸レンズ面で、投光素子102からの検出光を外部に導き、また、外部からの検出光を受光素子112に導く光透過部の主要部分が構成されている。また、レンズカバー150の両側部及び下端部には、連続して延びる水平フランジ150cが形成され、この水平フランジ150cは、レンズカバー150の前面の近傍つまりスカート部150bの基端部に形成されている。
図14の透過型且つ投光側の光学センサ100に組み込まれる光学部材148、電子回路基板146及び図15の透過型且つ受光側の光学センサ100に組み込まれる光学部材148、電子回路基板146の基本的な構成及び構造は、図13を参照した上記の反射型の光学部材148、電子回路基板146と実質的に同じであるので、図13の説明で使用した参照符号を図14、図15に使用することにより詳しい説明を省略する。なお、図14の透過型且つ投光側の電子回路基板146には運転表示灯160の光源である緑色発光LED160aが実装されている。
ステンレスの成型品である筐体130に光学部材148を組み込む前に、レンズカバー150とスリット部材152のサブアッセンブリ及びレンズカバー150を電子回路基板146に固定する作業が行われる。この固定は、スリット部材152を組み込んだ後のレンズカバー150を電子回路基板146に接着する作業を含んでいる。具体的には、例えば一液性のエポキシ等の接着剤を使ってレンズカバー150のスカート部150bの自由端を電子回路基板146の所定位置に固定される。スカート部150bを電子回路基板146の所定位置に位置決めする例えば凹凸をスカート部150bの自由端面と電子回路基板146の表面に形成するのが好ましい。
また、接着剤を使ってスカート部150bの自由端と電子回路基板146との界面をシールし、レンズカバー150と回路基板146とによって投光素子及び/又は受光素子を包囲することで、金属筐体130の中に充填されるホットメルトHMが投光素子及び/又は受光素子の光学経路に侵入してしまうのを防止するようにしてもよい。この際、回路基板146に貫通孔などの孔が形成されている等、ホットメルトが侵入してしまう虞のある経路が存在する場合には、その該当箇所をテープや接着剤などにより予め目止めを施すのがよい。
変形例として、投光及び/又は受光の検出光が通過する光通路を備えた立体ブロック形状のスリット部材152を電子回路基板146の所定位置に固定し、このスリット部材152に対してレンズカバー150を位置決めするようにしてもよい。
レンズカバー150を電子回路基板146に位置固定することにより、レンズカバー150に嵌挿されたスリット部材152も電子回路基板146に対して位置決めされた状態になる。そして、基板146に実装された投光素子102、受光素子112などの主要な部品はレンズカバー150、スリット部材152によって密閉された状態となる。すなわち、投光素子102、受光素子112はレンズカバー150、スリット部材152,電子回路基板146によって覆われ、このレンズカバー150、スリット部材152,電子回路基板146の周囲はホットメルトHMで包囲される。
なお、スリット部材152を導電性樹脂材料で成形し、あるいは、スリット部材152の外表面に導電性塗料をコーティングすることで、スリット部材152に電磁的なシールド機能を付与するのが好ましい。この場合には、スリット部材152を導電性接着剤を使って基板146に接着することで基板146のGNDに導通させるのが好ましい。
図13を参照して、電子回路基板146には、その下端部の前面及び後面に、夫々、横並びに2つのランド162が配置され、合計4つのランド162はケーブル134の4本の芯線164(図12)を半田付けするのに用いられる(図13には、後面のランドは現れていない)。なお、図14の透過型且つ投光側の電子回路基板146のランド162は2つであり、回路基板146の表面に横並びに配置されている。他方、図15の透過型且つ受光側の電子回路基板146は合計4つのランド162を有し、表面に2つ、後面に2つ配置されている(図15には、後面のランドは現れていない)。
図16は、スリム型光学センサ100を斜め後方から見た斜視図であり、図17はスリム型光学センサ100の縦断面図である。筐体130の後壁130dにはホットメルト充填口170が一体成形され、そして、後壁130dの後面にはホットメルト充填口170を囲んで周方向に延びる円周隆起158が一体成形されている。ホットメルト充填口170は、その軸線が回路基板146に向けて且つ回路基板146の後面に対して鉛直に延びており、このホットメルト充填口170を通じてホットメルトHMが金属筐体130の中に充填される。
回路基板146は、図12に図示のように、この回路基板146に光学部材148が固定され、また、回路基板146にケーブル134を結線した組立体の状態で筐体130の上端開口130aから筐体130の中に挿入される。次の工程では、筐体130の上端開口102に、導光部品142、表示灯カバー144が装着される。導光部品142は光透過性合成樹脂の成形品であり、回路基板146に実装した出力表示用LED118a、安定表示用LED灯120a、運転表示用LED160aの光を誘導する機能を有している。
表示灯カバー144を装着した筐体130は金型(図示せず)のキャビティに載置され、ホットメルト充填機で、ホットメルト充填口170から筐体130の中にホットメルトHMが充填されることになるが、充填時、ホットメルトは回路基板146によって受け止められる。すなわち、回路基板146は邪魔板の役割を奏し、回路基板146の後面がホットメルト充填口170から流入するホットメルトHMを受け止める受圧面として機能する。このことから、充填時、ホットメルトによって回路基板146は前方に付勢され、この結果、レンズカバー150も前方に押し付けられて、レンズカバー150は正規の位置に位置決めされた状態となる。また、ホットメルト充填時に、回路基板146は、筐体130の中に入り込んでくるホットメルトに対して邪魔部材としての役割を奏するため、充填時のホットメルトHMが直接的に光学部材148に当たることはない。また、光学部材148の一部を構成するレンズカバー150は、この中に嵌挿されたスリット部材152によって支持されているため、レンズカバー150の熱変形を抑制することができる。
ホットメルトHMは耐油性、耐水性、耐薬性を確保するのに用いられていることから、このホットメルトHMで回路基板146と筐体130との間の隙間を埋めることで電子回路を保護することができる。回路基板146は筐体130から離間しているため、この回路基板146の全体をホットメルトHMで覆うことで電子部品への油等の異物侵入を防止することができる。
レンズカバー150は回路基板146まで延びるスカート部150bを備え、このスカート部150bの後端面が予め回路基板146に接着され、この接着した部分もホットメルトHMで包囲されることから、ホットメルトを筐体130の中に充填することに伴って光学部材148の内部にホットメルトが侵入してしまうのをレンズカバー150のスカート部150bによって防止することができる。
金属筐体130の中に充填したホットメルトHMによってレンズカバー150及び回路基板146並びにレンズカバー150と回路基板146との接着部分が包囲されて、このホットメルトHMによってレンズカバー150と回路基板146が金属筐体130と一体化されると共にホットメルトHMによって包囲された状態となる。また、表示灯カバー144もホットメルトHMによって金属筐体130に接着された状態になる。金属筐体130の中にホットメルトHMが充填されたスリム型光学センサ100は、その設置環境の下で、仮に金属筐体130内に液状の異物が侵入したとしても、そのことによって直ちには誤動作を生じる虞は殆ど無い。すなわち、回路基板146の周囲は基本的にホットメルトHMで包囲されている、液状異物が侵入する可能性として界面は、外界に接している金属筐体130とレンズカバー150との境界部や、それに続くレンズカバー150とその回りのホットメルトとの境界部に過ぎない。
図18は、安定表示灯120の光源であるLED120aの部分を縦断面した図である。表示用LED120aと導光部品142との間にはクリアランスCが設けられている。このクリアランスCは約1mm〜2mmであり、1mmよりも小さくてもよい。表示用LED120aが発した光はクリアランスCに侵入したホットメルトHMで拡散された後に導光部品142に入り、この導光部品142から表示灯カバー144を照らす。したがって表示灯カバー144は広い範囲で光ることになる。ここに、ホットメルトHMとしては、琥珀色のポリアミド系ホットメルト或いは乳白色のポリエステル系ホットメルトが好ましい。ホットメルトHMの厚みを上述のように適切に設定することで、ホットメルト樹脂充填の効果に加えて、光透過性と光拡散性とを兼ねそなえた構成とすることができる。
第2実施例(図5、図19〜図26)
図19はフラット型光学センサ200(図5)の分解斜視図である。図19を参照して、フラット型光学センサ200は、金属筐体202と、この中に組み込まれる内蔵部品204と、内蔵部品204に結線されたケーブル134とを含み、ケーブル134を通じてフラット型光学センサ200に電源が供給されると共にフラット型光学センサ200の検出信号が出力される。
図20はステンレスの成型品である筐体202をその内側から見た斜視図である。フラット型光学センサ200の筐体202は、周囲壁202aを備えた平面視概略矩形のトレーの形状を有し、その大きさは縦約27mm、横約14mm、厚み約5mmである。筐体202はステンレスなどの防錆性に優れた金属の成形品であり、その中間部分に信号光通過窓208を有し、また、上端部に表示灯カバー210を装着するためのカバー装着開口212が形成されている。
ステンレスの成型品である筐体202の下端部には、前記第1実施例と同じ設置孔Thが左右に離間して一対形成され、この左右の設置孔Thで挟まれたネック溝214にケーブル134が設置され、このケーブル134は筐体周囲壁202aの下端部に形成された切欠き216を通じて内外に延出している。このケーブル134が通過するネック溝214はケーブル134の太さよりも幅狭であり、このネック溝214は、ケーブル134から外皮を除去して露出させた芯線164が通過する。
フラット型光学センサ200の内蔵部品204は、前述したスリム型光学センサ100(図4)と同様に、筐体202を共通にした反射型と透過型との2種類が用意されている。この内蔵部品204に含まれる光学部材に関しては、スリム型光学センサ100の光学部材148と実質的に同じであることから、フラット型光学センサ200に含まれる光学部材に関連した部材にはスリム型光学センサ100の光学部材148と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図21は、透過型且つ投光側のフラット型光学センサ200に組み込まれる光学部材と電子回路基板を示す。図22は、透過型且つ受光側のフラット型光学センサ200に組み込まれる光学部材と電子回路基板を示し、図23は、反射型のフラット型光学センサ200に組み込まれる光学部材と電子回路基板を示す。
フラット型光学センサ200の光学部材148は、スリム型光学センサ100と同様にレンズカバー150とスリット部材152を含む。フラット型光学センサ200の電子回路基板220の下端部には、その前面に前述した複数のランド162が設けられ、後面にはランド162が設けられていない。すなわち、電子回路基板220の前面にだけランド162を設けることで、ランド162を後面に設けることに比べて実質的な厚さ寸法を小さくすることができる。
図21に図示の透過型投光側の光学センサ200は、出力線が存在しないためケーブル134に含まれる芯線164は電源線の2本だけで構成されている。したがって、これが半田付けされるランド162は2つである。図22に図示の透過型受光側の光電センサ200は、受光素子112だけでなく制御回路が電子回路基板220に組み込まれており、また、出力表示灯118の光源であるLED118a、安定表示灯120の光源であるLED120aも実装されているため、ケーブル134は2本の電源線と2本の出力線2本の合計4本の芯線164で構成される。
図23に図示の反射型の回路基板220には、投光素子102、受光素子112、制御回路が実装されており、レンズカバー150及びスリット部材152は投光素子102、受光素子112に対応した構成となっている。反射型に採用する受光素子112は、透過型で採用可能な1つのフォトダイオード(PD)で構成されてもよいが、この実施例では3個の分割フォトダイオード(PD)で受光素子112が構成されている。
筐体202に光学部材148を組み込む前に、前述した第1実施例と同様に、レンズカバー150とスリット部材152のサブアッセンブリ及びレンズカバー150を電子回路基板220に位置固定する作業が行われる。この固定は、第1実施例と同様に接着剤を用いて行われる。すなわち、スリット部材152を組み込んだレンズカバー150を電子回路基板220に接着する作業を含んでいる。具体的には、例えば一液性のエポキシ等の接着剤を使ってレンズカバー150のスカート部150bの自由端が電子回路基板220の所定位置に固定される。
レンズカバー150を電子回路基板220に接着することで、スリット部材152も基板220に対して位置決めされ、また、回路基板220に実装されている投光素子102、受光素子112及び主要な電子部品を含む電子回路がレンズカバー150及びスリット部材152によって密閉された状態になる。
変形例として、スリット部材152を電子回路基板220の所定位置に固定し、このスリット部材152に対してレンズカバー150を位置決めするようにしてもよい。
図24は、回路基板220に光学部材148を固定し、また、電子回路基板220にケーブル134を結線した組立体222を示す。この組立体222は、後方に向けて開放したトレー状の筐体202に対して、筐体202の後方から組み付けられる(図25)。
レンズカバー150の水平フランジ150cよりも前方に突出した部分は凸部を構成しているのは前述した通りであるが、この凸部の輪郭に一致するように金属筐体202の光通過窓208の輪郭が設定されている。組立体222を筐体202に組み付ける際に、レンズカバー150を筐体前方窓136に嵌合することにより、筐体202の前面と、レンズカバー150の前面(凸部の前面)とが面一の状態になる。この嵌合は緩い嵌合であってもよいし密な嵌合であってもよい。レンズカバー150の水平フランジ150cによってレンズカバー150は金属筐体202に位置決めされる。また、筐体202のカバー装着開口212に表示灯カバー210が装着される。
上記の仮組み付け状態で金型のキャビティ(図示せず)に載置され、ホットメルト充填機により金属筐体202の中にホットメルトが充填される。図25に図示した矢印から理解できるように、後方に向けて開放した筐体202の後方から、電子回路基板220の後面、より詳しくは金属筐体202の光通過窓208の中心部分と対抗する部分に向けてホットメルトの充填が行われ、この充填が終わると、筐体202の後方開口はステンレスプレートからなるサブ筐体224の四隅を溶接することにより、ホットメルトHMの外部への露出を防ぐことができる。
金属筐体202の中にホットメルトを充填することにより、レンズカバー150及び回路基板220並びにレンズカバー150と回路基板220との接着部分が金属筐体202とホットメルトHMによって一体化された状態となり、また、表示灯カバー210が金属筐体202に接着された状態となる。
充填時のホットメルトHMは回路基板220によって受け止められる。すなわち、回路基板220は邪魔板の役割を奏し、回路基板220の後面に直交する方向に流入するホットメルトHMを受け止める受圧面として回路基板220の後面が機能する。このことから、充填時、ホットメルトHMによって回路基板220は前方に付勢され、この結果、レンズカバー150も前方に押し付けられて、レンズカバー150は筐体光通過窓208の正規の位置に押し付けられた状態となる。また、ホットメルト充填時に、回路基板220は、筐体202の中に入り込んでくるホットメルトHMに対して邪魔部材としての役割を奏するため、充填時のホットメルトが直接的に光学部材148に当たることはない。また、光学部材148の一部を構成するレンズカバー150は、第1実施例と同様に、レンズカバー150の中に嵌挿されたスリット部材152によって支持されているため、レンズカバー150の熱変形を抑制することができる。
なお、回路基板220から延びるケーブル134の端部では、剥き出しになった芯線164が横並びの状態で回路基板220に半田付けされるが、図25から分かるように、複数の芯線164の端部は90度ひねられてネック溝214の深さ方向に一列に重なり合った状態に形作られ、この縦一列の状態で筐体202のネック溝214に装着される。ネック溝214に流入したホットメルトによって芯線164が固定される。
図26は、図5のX26−X26線に沿って切断した断面図である。図26から分かるように回路基板220が金属筐体202から離間しているため、この回路基板220の全体をホットメルトHMで覆うことで電子部品への油等の異物侵入を防止することができる。
また、レンズカバー150のスカート部150bの端面を予め電子回路基板220に接着してあることから、ホットメルトを筐体202の中に充填することに伴って光学部材148の内部にホットメルトが侵入してしまうのをレンズカバー150のスカート部150bによって防止することができる。
金属筐体202の中に充填したホットメルトHMによって、フラット型光学センサ200の設置環境の下で、仮に金属筐体202内に液状の異物が侵入したとしても、回路基板220の周囲がホットメルトHMで包囲されているため誤動作を生じる虞は殆ど無い。
図26から良く分かるように、表示灯カバー210は比較的肉厚に作られており、表示灯カバー210を肉厚にすることで表示灯118及び安定表示灯120などの表示灯の光源であるLED118a、120aとの間のクリアランスCが適当な距離を備えるように設計されている。ここにクリアランスCは約1mm〜2mmであるが、1mmよりも小さくてもよい。このクリアランスCには、金属筐体202の中にホットメルトを充填することにより筐体202の中に入り込んだホットメルトHMが侵入する。
光源LED118a、120aと表示灯カバー210との間に介在するホットメルトHMによって光が拡散され、拡散した光によって、比較的大きな表示灯カバー210の全体を光らせることができる。
第1、第2実施例において、受光素子として分割フォトダイオード(PD)を用いた距離式反射型光電スイッチや、受光素子として単一フォトダイオード(PD)を用いた透過型光電スイッチの例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、受光素子112にフォトダイオード(PD)を用いた光量式反射型光電スイッチや、受光素子にCCD、CMOS等の撮像素子も設けた反射型光学変位センサ、エリア状の光を投受する透過型エリア光学センサなど光電スイッチをはじめとする種々の光学センサに適用可能である。
また、第1、第2実施例において、光学部材、ケーブル並びにホットメルトによって回路基板を包囲することで耐油性、耐水性などの耐環境性能を確保していることから、金属筐体は必ずしも気密又は水密である必要は無く、金属筐体それ自身は、外部からの水や油などの侵入をある程度許容する構造を有していてもよい。