JP5832272B2 - 液体吐出ヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドの圧力室内に滞留する気泡を除去し、液体の吐出を良好な状態に保つための構成に関する。
インクジェット記録装置に代表される液体吐出装置に搭載される液体吐出ヘッドについては種々の提案がなされている。その中でも、圧電素子を液体吐出エネルギーの発生源とする液体吐出ヘッドは、吐出させる液体(インク)の種類を選ばないというメリットを有している。
液体吐出ヘッドから吐出されるインクに含まれている水分によって被記録媒体の変形(カールやコックリングなど)が生じるが、これを低減するために、水分量を減らした高粘度インクの使用が検討されている。
被記録媒体の搬送方向と垂直な方向に複数のノズルを所定のピッチで並べてなるノズル列を、被記録媒体の搬送方向と垂直な方向に所定の間隔ずらしながら被記録媒体の搬送方向に複数並べることにより、ノズルを二次元状に配した液体吐出ヘッドが知られている。
このような構成は実効的なノズルピッチを高くすることができるので、高画質化を図ることができる。
一方、液体吐出ヘッドは、インクが供給される流路の一部に、内部のインクに吐出圧力が付与される液室である圧力室を備えている。このような圧力室内に気泡が侵入、あるいは発生すると、気泡が液体を吐出するための圧力を吸収してしまい所望の吐出量や吐出速度が得られない、もっと深刻な場合には吐出することができなくなるという問題が知られている。
特許文献1には、上記した圧力室内の気泡を除去することを目的とした技術が開示されている。特許文献1に開示された技術では、一端が圧力室に連通し他端が吐出口に連通する流路(ノズル流路と呼ぶ)を備え、さらに、該ノズル流路に連通する還流路を設けた液体吐出ヘッドを用いている。記録中でも還流路側へのインクの循環流を発生させ、吐出させていない圧力室のアクチュエータに対して気泡を揺らす信号を与えている。これによって圧力室近傍の気泡を振動により壁面から剥離し、インクの循環流に乗せて排出する。
特開2008−87288号公報
特許文献1に開示されている技術で用いられている液体吐出ヘッドは、1つのノズルに対して1つの還流路のみを有している。しかし、この構成ではノズル流路の側壁面の一部に還流路の入口が設けられているため、還流路の入口とは反対側のノズル流路壁面側にはほとんど流れが生じない。そのため、還流路の入口とは反対側のノズル流路壁面近傍の気泡を除去することは困難である。さらに、ノズル流路の還流路よりも吐出口側に滞留している気泡を除去することも困難である。また、吐出していない圧力室のアクチュエータに対して気泡を揺らす信号を与える技術が開示されているが、圧力室から離れた位置にあるノズル流路壁面の気泡を剥離できるかは疑問である。
上記の問題を解決する方法として、吐出口近傍に、ノズル流路を挟んで両側に還流路を設けることにより、気泡をノズル流路壁面近傍に滞留させることなく除去することが考えられる。しかし、高画質化のためにノズルを前述した二次元状に配しようとした場合、ノズル間に各々のノズルと連通する2つの還流路を設けなくてはならず、ノズル間隔が広がってしまい画質の低下を招くとともに、液体吐出ヘッドが大型化してしまうという問題がある。また、2つのノズルで1つの還流路を共有することによりノズル間隔を狭めることも考えられるが、この場合には隣接したノズル同士が還流路を介して連通するため、アクチュエータを駆動すると隣接ノズル同士の間に流体的なクロストークが発生してしまう。
本発明の目的は、ノズルを二次元格子状に高密度に配しながらも、ノズル間に流体的なクロストークが発生することなく、圧力室内の気泡を効果的に除去することである。
本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出口が二次元格子点状に複数配置されたノズルプレートと、吐出口と連通し、ノズルプレートに対して交差する方向に延びる第1の流路と、液体を第1の流路に供給する供給口を備える液体供給部材と、を有する。また、前記第1の流路とは独立して第1の流路に沿って形成され、かつ二次元格子点状に配置された吐出口の配列の方向のうち第1の方向において第1の流路と交互に配置されている第2の流路を有する。さらに、前記第1の流路とは独立して第1の流路に沿って形成され、二次元格子点状に配置された吐出口の配列の方向のうち第2の方向において第1の流路と交互に配置されている第3の流路を有する。加えて、第1の流路および、該第1の流路を挟む位置にある2つの第2の流路を連結する第1の連結流路と、第1の流路および、該第1の流路を挟む位置にある2つの第3の流路を連結する第2の連結流路と、を有する。そして、第1の連結流路および第2の連結流路は接続されずに、第1の方向および第2の方向に交互に形成されている。
このように、本発明の液体吐出ヘッドでは、第1の連結流路および第2の連結流路とが交わらないので、各圧力室に対して独立した循環流路を設けられるため、ノズル間に流体的なクロストークを発生させることなく、圧力室内の気泡を効果的に除去することができる。
本発明によれば、ノズルを二次元格子状に高密度に配しながらも、ノズル間に流体的なクロストークが発生することなく、圧力室内の気泡を効果的に除去することができる。
本発明の実施形態に係る液体吐出装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの概略構成図である。 図2に示す液体吐出ヘッドの分解斜視図である。 (a)は本発明の実施形態に係るノズルプレートの斜視図、(b)は(a)のb−b’線に沿った断面図である。 本発明の実施形態に係る絞り板の斜視図である。
以下、本発明の液体吐出ヘッドの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明は以下の実施形態によって限定されるものではない。
まず、図1を参照して、本発明の液体吐出ヘッドを好適に適用できる液体吐出装置1について説明する。液体吐出装置1は、シート状の被記録媒体3を搬送する無端ベルトからなる搬送ベルト5を有している。搬送ベルト5は一対の搬送ローラー4に掛け回されており、搬送ローラー4によって張力を掛けられながら駆動される。駆動される搬送ベルト5によって、被記録媒体3は搬送ベルト5上をAで示した被記録媒体搬送方向に搬送される。
液体吐出装置1は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)の4色に対応した4つの液体吐出ヘッド2を有している。4つの液体吐出ヘッド2は、被記録媒体搬送方向Aに、任意の順番で相前後して配置されている。各液体吐出ヘッド2はノズルプレート8を有し、該ノズルプレート8には、被記録媒体3の幅に対応した範囲に亘って、複数の吐出口12が形成されている。被記録媒体3を搬送しながら、インクタンク6に貯蔵された各色インクをポンプ7によって各液体吐出ヘッド2に送り、各液体吐出ヘッド2の吐出口12から吐出させることによって、被記録媒体3に高速でフルカラー記録を行うことができる。
図2〜図5には、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド2を示している。
図2は、液体吐出ヘッド2の概略構成図である。図3は、液体吐出ヘッド2を構成する各部材を3次元的に示す分解斜視図である。図3中の矢印A,B,Zは互いに直交する3軸方向を表しているが、矢印Cは、矢印A,Bを同一面上に含む二次元面内の方向である。
図2および図3に示すように、液体吐出ヘッド2は圧電部材9を有している。圧電部材9には、圧力室13が、Zで示した液体を吐出する方向(ノズルプレート8と交差する方向)に沿って延び、かつ、二次元格子点状にBで示した第1の方向およびCで示した第2の方向に複数配設されている。各圧力室13は第1の流路として、ノズルプレート8の各吐出口12に連通し、各吐出口12から吐出される液体を保持する。本実施形態においては、被記録媒体搬送方向Aと第2の方向Cとが平行になっていない。即ち、吐出口12は被記録媒体搬送方向Aに対して斜めになるように並んでいる。このような吐出口12の配列により、実効的なノズルピッチを高めることができる。
本実施形態では、被記録媒体搬送方向Aに対して直交する第1の方向Bにおける各吐出口12の配列ピッチは36dpi(dot per inch)である。この吐出口12の配列を5列設け、吐出口列を、隣接する吐出口12の間隔の1/5ピッチずつ第1の方向Bにずらして積層配置することにより、実効的なノズルピッチを180dpiにすることができる。また、吐出口12の配列の積層数をずらしながら増やすことで、実効的なノズルピッチをさらに高めることが可能である。
本実施形態においては圧力室13の壁面は全て圧電体で形成されている。しかし、圧力室13の壁面の少なくとも一部が圧電体で形成されていればよく、必ずしも全てが圧電体で形成されている必要はない。
圧電部材9には、圧力室13と第1の方向Bに隣接する第2の流路である第1の還流路14および、圧力室13と第2の方向Cに隣接する第3の流路である第2の還流路15が設けられている。即ち、1つの圧力室13が2つの第1の還流路14および2つの第2の還流路15と隣接しており、隣接する2つの圧力室13の間には1つの第1の還流路14あるいは第2の還流路15のいずれかが存在する。
圧電部材9の圧力室13の隔壁の、圧力室13の内壁側と第1の還流路14および第2の還流路15の内壁側には、駆動電圧を供給するための電極配線(不図示)が設けられている。本実施形態においては圧力室13の内壁側の電極が個別電極(第1の電極)であり、第1の還流路14および第2の還流路15側の電極が共通電極(第2の電極)である。圧力室13の周囲の隔壁を形成している圧電体は、前記個別電極と前記共通電極とを結ぶ方向に分極されている。そして、各々の隔壁の個別電極に独立して駆動電圧が印加されることにより圧電部材9が変形し、圧電部材9の変形によって加圧された液体が、吐出口12から吐出される。
一例では、圧力室13の断面形状は120μm×120μmであり、長さは10mmである。圧力室13周囲の隔壁の厚さは120μmである。第1の還流路14の横断面形状は120μm×140μmであり、第2の還流路15の横断面形状は500μm×310μmである。なお、ここで言う断面形状とは、図3中の矢印A、Bで成す平面に沿って圧電部材9を切断したときの、圧力室13、第1の還流路14や第2の還流路15の断面形状である。
図4(a)はノズルプレート8の斜視図であり、図4(b)は図4(a)のb−b’線に沿った断面図である。
図4(b)に示すように、ノズルプレート8には、吐出口12と、第1の連結流路16と、第2の連結流路17とが形成される。ノズルプレート8の裏面は圧電部材9の圧力室13の一端側の面に接合されるため、吐出口12は各圧力室13の位置に対応して配設されている。第1の連結流路16と第2の連結流路17はそれぞれ、一つの吐出口12を含むようにノズルプレート8の裏面に形成された溝からなる。第1の連結流路16はBで示された第1の方向に沿って延び、第2の連結流路17は被記録媒体搬送方向Aに沿って延びる。さらに、オリフィスプレート8と圧電部材9が接合された状態で、第1の連結流路16は、圧力室13と第1の還流路14とに連通し、第2の連結流路17は、圧力室13と第2の還流路15とに連通する。即ち、圧力室13内を流れてきた液体は、第1の方向Bあるいは被記録媒体搬送方向Aのいずれかの方向に沿って両側へ流れていく。
第1の連結流路16および第2の連結流路17は接続せず、第1の方向Bおよび第2の方向Cに隣接して交互に並んでいる。
一例では、ノズルプレート8の厚みは80μmである。吐出口12は直径10μm、穴の長さ17μmの円筒形状であり、第1の連結流路16および第2の連結流路17は幅120μm、高さ63μm、長さ950μmである。吐出口12はテーパー形状であってもよい。
図5は絞り板10の斜視図である。
圧電部材9に対してノズルプレート8が貼り付けられている側と反対側の端面には、液体供給部材としての絞り板10が設けられている(図2及び図3参照)。絞り板10は、圧電部材9の圧力室13と連通し、液体を共通液室11から圧力室13に供給する供給口である絞り開口18を備えている。絞り開口18は複数の圧力室13に対応して複数配置されている。図5に示すように、絞り開口18の圧力室13と接続する部分は、絞り板10に形成された突起部21になっている。
突起部21周囲の液体貯溜室壁22で囲まれた空間は液体貯溜室19であり、液体貯溜室19は第1の還流路14および第2の還流路15と連通し、複数の第1の還流路14、第2の還流路15内を流れてきた液体が一時的に貯留される。絞り板10は液体貯溜室壁22の一部に循環流路出口20を有しており、そこから、液体吐出ヘッド2内を循環してきた液体が気泡を除去するためのフィルタ23(図2参照)を介してインクタンク6へと戻される。
一例では、絞り板10の厚さは200μmであり、圧力室13と連通する絞り開口18は70μm×70μmの矩形形状である。
以下では、図2および図3を用いて、液体の循環経路について説明する。
本実施形態では、2つの循環経路が存在する。1つ目の循環経路は、圧力室13、オリフィスプレート8に形成された第1の連結流路16、圧電部材9内の第1の還流路14、絞り板10の液体貯溜室19、絞り板10の循環流路出口20、フィルタ23の順に流動し、インクタンク6へと戻される経路である。2つ目の循環経路は、圧力室13、オリフィスプレート8に形成された第2の連結流路17、圧電部材9内の第2の還流路15、絞り板10の液体貯溜室19、絞り板10の循環流路出口20、フィルタ23の順に流動し、インクタンク6へと戻される経路である。この圧力室13内の液体の流れにより、圧力室13内の気泡が第1の還流路14および第2の還流路15へと除去される。
本発明の構成では、圧力室13から、対称な上下2方向(方向A)、あるいは左右2方向(方向B)へ液体が流れるため、気泡が滞留しやすい壁面ができず、効果的に気泡を圧力室13から第1の還流路14および第2の還流路15へと排出することができる。また、第1の連結流路16および第2の連結流路17が接続されていないので、ある吐出口12から液体を吐出するために隔壁を変形させたとしても、その流体的な影響が他の吐出口12に及ぶことがなく、よって流体的なクロストークが生じない。さらに、隣接する吐出口12の間に2つ以上の第1の還流路14、あるいは第2の還流路15を設ける必要がない(一つの還流路で済む)ので、高密度に吐出口12を実装することができる。
なお本実施形態においては、第1の連結流路16および第2の連結流路17をノズルプレート8に形成したが、圧電部材9の側に溝を設け、その溝をノズルプレート8で蓋することにより第1の連結流路16および第2の連結流路17を形成しても構わない。
本実施形態によれば、少なくとも一部が圧電体で形成された圧電部材9を有し、吐出口12を二次元状に高密度に配しながらも、吐出口12間にクロストークが発生することなく、圧力室13内の気泡を効果的に除去できる液体吐出ヘッドを提供することができる。
なお、以上説明した各実施形態では、圧電素子を液体吐出エネルギーの発生源とする液体吐出ヘッド2を例示した。しかし、本発明の液体吐出ヘッド2は圧電素子を備えているものに限られず、圧力室内に供給されたインクを加圧して吐出口12から吐出できる液体吐出エネルギーの発生源を有するものならば、如何なる液体吐出ヘッド2にも適用可能である。
1 液体吐出装置
2 液体吐出ヘッド
3 被記録媒体
4 搬送ローラー
5 搬送ベルト
6 インクタンク
7 ポンプ
8 ノズルプレート
9 圧電部材
10 絞り板
11 共通液室
12 吐出口
13 圧力室
14 第1の還流路
15 第2の還流路
16 第1の連結流路
17 第2の連結流路
18 絞り開口
19 液体貯溜室
20 循環流路出口
21 突起部
22 液体貯溜室壁
23 フィルタ

Claims (3)

  1. 液体を吐出する吐出口が二次元格子点状に複数配置されたノズルプレートと、
    前記吐出口と連通し、前記ノズルプレートに対して交差する方向に延びる第1の流路と、
    前記液体を前記第1の流路に供給する供給口を備える液体供給部材と、を有する液体吐出ヘッドであって、
    前記第1の流路とは独立して前記第1の流路に沿って形成され、かつ前記二次元格子点状に配置された吐出口の配列の方向のうち第1の方向において前記第1の流路と交互に配置されている第2の流路と、
    前記第1の流路とは独立して前記第1の流路に沿って形成され、前記二次元格子点状に配置された吐出口の配列の方向のうち第2の方向において前記第1の流路と交互に配置されている第3の流路と、
    前記第1の流路および、該第1の流路を挟む位置にある2つの前記第2の流路を連結する第1の連結流路と、
    前記第1の流路および、該第1の流路を挟む位置にある2つの前記第3の流路を連結する第2の連結流路と、を有し、
    前記第1の連結流路および前記第2の連結流路は接続されずに、前記第1の方向および前記第2の方向に交互に形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記第1の連結流路および前記第2の連結流路が前記ノズルプレートに形成されることを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記第1の流路の内壁側に第1の電極が設けられており、
    前記第2の流路および前記第3の流路の内壁側に第2の電極が設けられており、
    前記第2の流路の内壁および前記第3の流路と、前記第1の流路の内壁との間の隔壁が圧電体で形成され、前記第1の電極と前記第2の電極とを結ぶ方向に分極されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
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