JP5831904B2 - 粘弾性測定方法及び粘弾性測定装置 - Google Patents

粘弾性測定方法及び粘弾性測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、自励発振する振動体を用いた測定対象物の線形弾性、非線形弾性、線形粘性及び非線形粘性を測定する技術に関する。
従来、例えば、流体等の測定対象物の粘度を測定する粘度計は、基本とする原理によって分類され、大別して、(1)細管式、(2)落球式、(3)回転式、(4)化学式、(5)振動式に分類される。
このうち、振動式の粘度計として、測定対象物中で感応板を所定の振幅で電磁振動させたときの駆動電流から測定対象物の粘度を求めるようにしたもの(例えば、特許文献1参照)、或いは、振動体を強制加振させ、加振周波数と振動体の振動振幅との対応を表す周波数応答曲線を求め、そのQ値から粘度を求めるようにしたもの等が提案されている。
また、測定対象物の弾性率を測定する方法として、測定対象物に静的なひずみを与えて応力を測定し弾性率を算出する方法や、測定対象物に強制的に振動を与えて、共振周波数から弾性率を算出する方法が知られている。これらの測定方法については、例えば、非特許文献1に記載されている。
特開2004−361300号公報
「IIC REVIEW/2010/4. No.43 P30-34(株式会社IHI検査計測)」
上記従来技術のうち、周波数応答曲線を用いて粘度を測定する方法は、幅広い周波数範囲で加振周波数をスイープする必要があるため、周波数応答曲線を求めるのに多大な労力が必要であった。
また、測定対象物に静的なひずみを与えて応力を測定し弾性率を算出する方法は、振動や電気ノイズなどの外乱に影響を受けやすく、高精度かつ安定な測定を実現するのは困難であった。特に、粘弾性体には、適用が困難であった。
また、強制的に振動を与えて、共振周波数とQ値とから粘度や弾性率を算出する方法は、特に、粘性応力によるダンピングが大きい場合に、共振周波数近傍のパワースペクトルが広がってピークがあいまいになったり、ピーク自体が生じなかったりして、共振周波数を精度よく決定することが困難であった。
本発明は、線形速度フィードバックと非線形フィードバックとの双方を用いたフィードバック制御によって振動体を自励振動させることで、線形粘性、線形弾性のみならず、非線形粘性、非線型弾性をも測定することが可能な粘弾性測定方法及び粘弾性測定装置を提供することを目的とする。
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の粘弾性測定方法は、測定対象物に接触させる振動体と、前記振動体を自励振動させるアクチュエータと、前記振動体の振動速度を検出する振動速度検出手段と、前記振動速度検出手段で検出される前記振動速度を用いて、
Fb=(Glin−Gnon・x2)・(dx/dt) ・・・(1)
ただし、Fb:フィードバック制御信号
lin:正値である線形速度フィードバックゲイン
non:正値である非線形フィードバックゲイン
x:振動体の変位
dx/dt:振動体の振動速度
で表されるフィードバック制御信号により前記アクチュエータを駆動してフィードバック制御するフィードバック制御手段と、を含む粘弾性測定装置を用いた測定対象物の粘弾性測定方法であって、前記フィードバック制御における前記線形速度フィードバックゲイン及び前記非線形フィードバックゲインのいずれか一方を選択的に変化させるゲイン調整ステップと、前記ゲイン調整ステップにおいて前記線形速度フィードバックゲイン及び前記非線形フィードバックゲインのいずれか一方を変化させたときの前記振動体の振動に係る物理量を測定する物理量測定ステップと、前記物理量測定ステップで測定した物理量と、前記振動体の弾性及び減衰性をモデル化した力学モデルと、前記測定対象物の線形粘性、非線形粘性、線形弾性及び非線形弾性をモデル化した力学モデルと、前記式(1)との間で成立する方程式とに基づき、前記測定対象物の線形粘性係数、非線形粘性係数、線形弾性率及び非線形弾性率を算出する粘弾性算出ステップと、を含むことを特徴としている。
〔形態2〕 さらに、形態2の粘弾性測定方法は、形態1の構成に対して、前記粘弾性算出ステップにおいて、前記振動体をばね・マス・ダッシュポット系でモデル化した力学モデルと、前記測定対象物の線形粘性、非線形粘性、線形弾性及び非線形弾性をモデル化した力学モデルと、前記式(1)との間で成立する方程式の定常状態の解である、
x=acos((β+3Knon2/8β)t+C’) ・・・(2)
a=2((Glin−C−Clin)/(3Cnonβ2+Gnon))1/2
・・・(3)
β2=1+Klin ・・・(4)
ただし、a:振動体の振幅
C’:初期条件で決まる積分定数
C:振動体の減衰係数
K:振動体のバネ定数
lin:測定対象物の線形粘性係数
non:測定対象物の非線形粘性
lin:測定対象物の線形弾性
non:測定対象物の非線形弾性
に基づき、前記測定対象物の線形粘性係数Clin、非線形粘性係数Cnon、線形弾性率Klin及び非線形弾性率Knonを算出することを特徴としている。
〔形態3〕 さらに、形態3の粘弾性測定方法は、形態2の構成に対して、前記ゲイン調整ステップにおいて、前記非線形フィードバックゲインGnonを大きくして、前記式(2)中における(β+3Knon2/8β)tの項をβtに近似できる程度に前記振幅aを小さくし、前記物理量測定ステップにおいて、前記βtに近似した状態における前記振動体の発振角周波数であるβを測定し、前記粘弾性算出ステップにおいて、前記物理量測定ステップで測定した前記βと、前記式(4)とに基づいて、前記線形弾性率Klinを算出することを特徴としている。
〔形態4〕 さらに、形態4の粘弾性測定方法は、形態3の構成に対して、前記ゲイン調整ステップにおいて、前記βtに近似した状態から前記非線形フィードバックゲインGnonを変化させて、前記振動体の振幅aを変化させると共に前記振動体の発振角周波数ωsを変化させ、前記物理量測定ステップにおいて、前記Gnonを変化させたときの前記振動体の発振角周波数ωsと、前記振動体の振幅aとを測定し、前記粘弾性算出ステップにおいて、前記物理量測定ステップで測定した前記発振角周波数ωs及び前記振幅aと、前記測定したβとを用いて、
ωs=β+3Knon2/8β ・・・(5)
に基づき、前記非線形弾性率Knonを算出することを特徴としている。
〔形態5〕 さらに、形態5の粘弾性測定方法は、形態4の構成に対して、前記ゲイン調整ステップにおいて、前記線形速度フィードバックゲインGlinを変化させ、前記粘弾性算出ステップにおいて、前記振動体が振動状態と非振動状態との間で状態変化するときの前記線形速度フィードバックゲインである発振限界ゲインGlin*と、前記振動体の減衰定数Cとを用いて、前記式(3)の分子式(Glin−C−Clin)に基づき、前記線形粘性係数Clinを算出することを特徴としている。
〔形態6〕 さらに、形態6の粘弾性測定方法は、形態5の構成に対して、前記ゲイン調整ステップにおいて、前記振動体が自励振動している状態から、前記線形速度フィードバックゲインGlinを大きくし、前記粘弾性算出ステップにおいて、前記Glinと、前記Cと前記算出したClinと前記測定したβと、前記既知のGnonとを用いて、前記式(3)に基づき、前記非線形粘性Cnonを算出することを特徴としている。
〔形態7〕 一方、上記目的を達成するために、形態7の粘弾性測定装置は、測定対象物に接触させる振動体と、前記振動体を自励振動させるアクチュエータと、前記振動体の振動速度を検出する振動速度検出手段と、前記振動速度検出手段で検出される前記振動速度を用いて、
Fb=(Glin−Gnon・x2)・(dx/dt) ・・・(6)
ただし、Fb:フィードバック制御信号
lin:正値である線形速度フィードバックゲイン
non:正値である非線形フィードバックゲイン
x:振動体の変位
dx/dt:振動体の振動速度
で表されるフィードバック制御信号により前記アクチュエータを駆動してフィードバック制御するフィードバック制御手段と、前記フィードバック制御における前記線形速度フィードバックゲイン及び前記非線形フィードバックゲインのいずれか一方を選択的に変化させるゲイン調整手段と、前記ゲイン調整手段において前記線形速度フィードバックゲイン及び前記非線形フィードバックゲインのいずれか一方を変化させたときの前記振動体の振動に係る物理量を測定する物理量測定手段と、前記物理量測定手段で測定した物理量と、前記振動体の弾性及び減衰性をモデル化した力学モデルと、前記測定対象物の線形粘性、非線形粘性、線形弾性及び非線形弾性をモデル化した力学モデルと、前記式(1)との間で成立する方程式とに基づき、前記測定対象物の線形粘性係数、非線形粘性係数、線形弾性率及び非線形弾性率を算出する粘弾性算出手段と、を備えることを特徴としている。
このような構成であれば、振動速度検出手段によって、振動体の振動速度dx/dtが検出される。更に、フィードバック制御手段によって、検出された振動速度dx/dtに、線形速度フィードバックゲインGlinを乗算したGlin・(dx/dt)から、検出された振動速度dx/dtに非線形フィードバックゲインGnonとx2とを乗算したGnon・x2・(dx/dt)を減算したフィードバック制御信号Fbによりアクチュエータが駆動される。これにより、測定対象物に接触した振動体が制御される。一方、ゲイン調整手段によって、線形速度フィードバックゲイン及び非線形フィードバックゲインのいずれか一方が、選択的に変化させられる。また、物理量測定手段によって、線形速度フィードバックゲイン及び非線形フィードバックゲインのいずれか一方を変化させたときの振動体の振動に係る物理量が測定される。
そして、粘弾性算出手段によって、物理量測定手段で測定した物理量と、振動体の弾性及び減衰性をモデル化した力学モデルと、前記測定対象物の線形粘性、非線形粘性、線形弾性及び非線形弾性をモデル化した力学モデルと、前記式(6)との間で成立する方程式とに基づき、前記測定対象物の線形粘性係数、非線形粘性係数、線形弾性率及び非線形弾性率が算出される。
以上説明したように、本発明によれば、線形速度フィードバックによって振動体を自励振動させると共に、非線形フィードバックを用いて、測定対象物に接触させた振動体に制御を講じた。これにより、測定対象の材料の線形粘性、線形弾性のみならず、非線形粘性、非線形弾性をも計測することが可能となる。また、粘度の時間的変動をリアルタイムで測定することが可能となる。
また、液体の粘度を計測する場合、自励発振は固有振動数で発振するので、パワースペクトラムが線スペクトル(つまり、固有振動数だけ)になるため、従来技術よりも簡単でかつ正確に固有振動数を見積もることが可能となる。また、自励発振限界を与える線形速度フィードバックゲインの値から、換算して粘度を求めることが可能となる。
また、非線形フィードバック制御によって、振動体の自励振動の振幅を小さくすることができるので、測定対象物が流体の場合に、渦の発生を抑制し、また層流状態の流れを維持し乱流状態の発生を防ぐことが可能である。
本発明の実施形態に係る粘弾性体と振動体とアクチュエータと変位センサとの関係を説明するための力学系の模式図である。 粘弾性測定装置の一例を示す概略構成図である。 粘弾性測定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
以下、図面に基づき、本発明に係る粘弾性測定方法及び粘弾性測定装置の実施形態を説明する。図1〜図3は、本発明に係る粘弾性測定方法及び粘弾性測定装置の一実施形態を示す図である。
(構成)
図1は、本実施形態に係る振動体と粘弾性体とアクチュエータと変位センサとの関係を説明するための力学系の模式図である。
本実施形態の粘弾性測定方法は、測定対象物である粘性と弾性とを併せ持つ粘弾性体の線形弾性、非線形弾性、線形粘性及び非線形粘性を測定する方法である。本実施形態では、かかる方法を実現するために、粘弾性体に接触させる振動体(例えば、カンチレバー等)と、振動体に力を与えるためのアクチュエータと、アクチュエータを線形及び非線形フィードバックゲインを用いてフィードバック制御する制御手段と、振動体の変位xを測定するための変位センサと、変位センサの信号を微分して速度の出力に変換する変換回路と、振動体の振動周波数を測定する測定装置とを含む粘弾性測定装置を用いる。
ここで、本実施形態に係る振動体は、ばね・マス・ダッシュポット系(1自由度2次の共振系)に置き換えることができる。換言すると、ばね・マス・ダッシュポット系(1自由度2次の共振系)でモデル化できる振動体であれば、具体的な実現方法は問わない。例えば、1次の振動モードだけでモデル化された片持ち梁(カンチレバー)などでもよい。
図1に例示した力学モデルは、振動体を、粘性と弾性とを併せ持つ流体中に挿入した一構成例を示すものである。
図1の力学モデルにおいて、振動体は、弾性定数Kのばねと、減衰定数Cのダッシュポットとを並列接続し、これらの一端が固定され、これらの他端に質量Mのマス(振動体)が接続された構成として表現される。
また、本実施形態では、図1に示すように、振動体を流体中に挿入した状態で、振動体に対して、線形速度フィードバックゲインGlinと振動速度dx/dtとを乗算した線形速度フィードバック制御信号と、非線形フィードバックゲインGnonと変位xの2乗と振動速度dx/dtとを乗算した非線形フィードバック制御信号とを用いてアクチュエータを駆動してフィードバック制御を行う。
具体的には、下式(7)に示すフィードバック制御信号Fbを演算し、演算したFbに基づき、アクチュエータを駆動してフィードバック制御する。
Fb=(Glin−Gnon・x2)・(dx/dt) ・・・(7)
上式(7)において、Fbはフィードバック制御信号、Glinは正値である線形速度フィードバックゲイン、Gnonは正値である非線形フィードバックゲイン、xは振動体の変位、dx/dtは振動体の振動速度である。
また、このようなフィードバック制御によって自励振動する振動体により、測定対象物である粘弾性体には、線形弾性力Klinx、非線形弾性力Knon3、線形粘性力Clin(dx/dt)、及び非線形粘性力Cnon(dx/dt)3が働く。
このような力関係において、下式(8)に示す運動方程式が成立する。
M(d2x/dt2)+C(dx/dt)+Kx=−Klinx−Knon3−Clin(dx/dt)−Cnon(dx/dt)3+Glin(dx/dt)−Gnon2(dx/dt) ・・・(8)
上式(8)において、Mは振動体の質量、Cは振動体の減衰定数、Kは振動体のばね定数、Clinは測定対象物の線形粘性係数、Cnonは測定対象物の非線形粘性係数、Klinは測定対象物の線形弾性率、Knonは測定対象物の非線形弾性率である。
ここで、測定者が振動体を設計すること等によって、振動体の質量M、振動体の減衰定数C、振動体のばね定数Kは既知の値とする。また、Glin及びGnonも測定者によって設定される値であるため既知の値となる。
また、上式(8)を無次元化すると、下式(9)が得られる。
(d2x/dt2)+C(dx/dt)+x=−Klinx−Knon3−Clin(dx/dt)−Cnon(dx/dt)3+Glin(dx/dt)−Gnon2(dx/dt) ・・・(9)
更に、上式(9)を移項して整理すると、下式(10)が得られる。
(d2x/dt2)+(C+Clin−Glin+Gnon2)(dx/dt)+Cnon(dx/dt)3+(1+Klin)x+Knon3=0・・・(10)
そして、上式(10)を多重尺度法を用いて解き、定常状態での解を求めると、下式(11)〜(13)が得られる。
x=acos((β+3Knon2/8β)t+C’) ・・・(11)
a=2((Glin−C−Clin)/(3Cnonβ2+Gnon))1/2
・・・(12)
β2=1+Klin ・・・(13)
上式(11)において、C’は、初期条件から決まる積分定数である。
本実施形態では、線形速度フィードバックゲインGlin及び非線形フィードバックゲインGnonを制御して、上式(11)〜(13)に基づき、測定対象物の線形粘性係数Clin、非線形粘性係数Cnon、線形弾性率Klin及び非線形弾性率Knonを測定する。以下、これらClin、Cnon、Klin及びKnonで表される測定対象物の線形及び非線形の粘性及び弾性を総じて粘弾性と呼ぶ。
次に、図2に基づき、本実施形態に係る粘弾性測定装置の概略構成を説明する。図2は、本実施形態に係る粘弾性測定装置の一例を示す概略構成図である。
図2に示すように、粘弾性測定装置100は、振動体1と、変位センサ2と、変位検出器3と、振動速度演算器4と、増幅器5と、アクチュエータ6と、ドライバ7と、周波数検出部8と、自励発振検出手段9と、演算器10と、乗算器11,12と、増幅器13と、ゲイン調整手段14と、演算器15とを含んで構成される。
振動体1は、半導体材料等から構成された質量Mを有する構造体であり、その材質や形状等は測定対象物である粘弾性体の物性等によって異なってくる。また、粘弾性体の粘弾性を測定時には、振動体1を粘弾性体に接触させる。粘弾性体が、例えばコーティング剤等の薄膜材料であれば、振動体1を断面矩形状の構造体(例えば、立方体)とし、その一面を薄膜上に密着させる。また、粘弾性体が流体であれば、振動体1を、例えば、カンチレバーのような片持ち梁の形状とし、その探針部分を流体内に挿入する。
変位センサ2は、振動体1の変位を検出するためのセンサであり、そのセンサ出力を変位検出器3に供給する。
変位検出器3は、変位センサ2からのセンサ出力に基づき、振動体1の変位xを検出し、検出した変位xを振動速度演算器4、周波数検出部8、自励発振検出手段9、演算器10、乗算器11及び12にそれぞれ供給する。
なお、変位センサ2又は、変位センサ2及び変位検出器3の組み合わせとしては、例えば、静電容量変位センサ、エンコーダ、光学式変位計、ひずみゲージ等を用いることができる。
振動速度演算器4は、微分器を含んで構成され、変位検出器3からの変位xを微分器で微分して振動体1の振動速度であるdx/dtを算出し、算出したdx/dtを増幅器5及び乗算器12にそれぞれ供給する。
ゲイン調整手段14は、指令信号に応じて、増幅器5の線形速度フィードバックゲインGlinの初期値を設定すると共に、増幅器13の非線形フィードバックゲインGnonの初期値を設定する。更に、ゲイン調整手段14は、指令信号に応じて、増幅器5の線形速度フィードバックゲインGlin及び増幅器13の非線形フィードバックゲインGnonのいずれか一方を選択的に変化させる。
増幅器5は、可変増幅器を含んで構成され、ゲイン調整手段14によって設定された線形速度フィードバックゲインGlinと、振動速度演算器4から供給される振動速度dx/dtとを乗算する。そして、増幅器5は、算出したGlin・dx/dtを、演算器15に供給する。
乗算器11は、変位検出器3からの2つの変位xを乗算してx2を演算し、演算したx2を乗算器12に供給する。
乗算器12は、乗算器11からのx2と、振動速度演算器4からの振動速度dx/dtとを乗算してx2・dx/dtを演算し、演算したx2・dx/dtを増幅器13に供給する。
増幅器13は、可変増幅器を含んで構成され、ゲイン調整手段14によって設定された非線形フィードバックゲインGnonと、乗算器12から供給されるx2・dx/dtとを乗算する。そして、増幅器13は、算出したGnon・x2・dx/dtを演算器15に供給する。
演算器15は、増幅器5から供給されるGlin・dx/dtから、増幅器13から供給されるGnon・x2・dx/dtを減算して、フィードバック制御信号Fb(=(Glin−Gnon・x2)・dx/dt)を演算し、演算したFbをドライバ7に供給する。
ドライバ7は、増幅器5から供給されるフィードバック制御信号Fbに基づき駆動信号を生成し、生成した駆動信号をアクチュエータ6に供給する。
アクチュエータ6は、ドライバ7から供給される駆動信号に基づき、振動体1に力Fvを与えるものである。アクチュエータ6としては、例えば、ピエゾ素子、ボイスコイルモータ、静電アクチュエータなどを用いることができる。
周波数検出部8は、変位検出器3から供給される振動体1の変位xに基づき、変位xからなる振動波形の周波数を検出する。そして、周波数検出部8は、検出した周波数fsを演算器10に供給する。
なお、周波数検出部8として、例えば、周波数カウンタ、FFTアナライザ、スペクトラムアナライザ等を用いることができる。
自励発振検出手段9は、振動変位x(又は振動速度dx/dt、又は振動振幅の周波数スペクトル)に基づき、振動体1が自励発振しているか否かを検出する。自励発振検出手段9は、自励発振していると検出したときに、そのときの線形速度フィードバックゲインGlinを発振限界ゲインGlin*として、演算器10に供給する。
演算器10は、ゲイン調整手段14によって、Glin又はGnonを変化させたときの変位x、周波数fs等の振動体1の振動に係る物理量と、発振限界ゲインGlin*と、上式(11)〜(13)とに基づき、測定対象物の線形粘性係数Clin、非線形粘性係数Cnon、線形弾性率Klin及び非線形弾性率Knonを演算する。
また、本実施形態の粘弾性測定装置100は、図示しないが、上記各機能をソフトウェア上で実現するため、または、上記各機能を実現するためのハードウェアを制御するためのコンピュータシステムを備えている。
具体的に、各種制御や演算処理を担うCPU(Central Processing Unit)と、ワークメモリの役割を担うRAM(Random Access Memory)と、上記各機能を実現するための専用のプログラムやプログラムの実行に必要なデータ等を記憶するROM(Read Only Memory)と、各構成要素にデータを伝送するためのデータ伝送用バスとを備えている。
(粘弾性測定処理)
次に、図3に基づき、粘弾性測定装置100において実行される粘弾性測定処理の処理手順を説明する。図3は、粘弾性測定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、まず、ステップS100に移行し、ゲイン調整手段14において、増幅器5の線形速度フィードバックゲインGlinと、増幅器13の非線形フィードバックゲインGnonとを初期値に設定する。その後、ステップS102に移行する。Glin及びGnonの初期値は、任意に設定することができる。
ステップS102では、ゲイン調整手段14によって、非線形フィードバックゲインGnonを増加させて、ステップS104に移行する。
ステップS104では、演算器10において、Gnonを増加時の変位xに基づき、振動体1の振動振幅aを算出する。そして、算出した振動振幅aと、予め設定された振幅しきい値とを比較し、当該比較結果に基づき、振動振幅a≒0(厳密にはa2≒0)であると判定した場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS102に移行する。例えば、振動振幅aが振動しきい値以下である場合に、振動振幅a≒0であると判定し、振動振幅aが振動しきい値よりも大きい場合に、振動振幅a≒0ではないと判定する。なお、演算器10において、振動体1の変位xから振動振幅aを算出する構成に限らず、周波数検出部8において、振動振幅aを測定可能であれば、周波数検出部8から振動振幅aを獲得する構成としてもよい。
ステップS106に移行した場合は、演算器10において、振動振幅a≒0と判定時の周波数検出部8からの周波数fsを獲得して、ステップS108に移行する。
ここで、上式(11)において、(β+3Knon2/8β)の項は、下式(14)に示すように、振動体1の発振角周波数となる。
ωs=β+3Knon2/8β ・・・(14)
上式(14)において振動振幅a≒0とすることで、周波数成分をβのみとすることができる。つまり、非線形フィードバックゲインGnonを増加させて、上式(14)をβに近似できる程度にa2を小さくする。従って、振動振幅a≒0のときの発振周波数fs*を測定することで、β(=2πfs*)を測定することができる。
ステップS108では、演算器10において、ステップS106で測定した発振角周波数βを用いて、上式(13)から、測定対象物の線形弾性率Klinを演算し、演算したKlinをメモリ(RAM等)に記憶して、ステップS110に移行する。
ステップS110では、ゲイン調整手段14において、振動振幅a≒0の状態から、増幅器13の非線形フィードバックゲインGnonを予め設定されたΔg1だけ変化させて、ステップS112に移行する。
ここで、Gnonを変化させると、振動振幅aが変化して、上式(14)で示される発振角周波数ωsが変化する。
ステップS112では、演算器10において、GnonをΔg1変化させた後の振動体1の振動変位xから振動振幅aを演算して、ステップS114に移行する。
ステップS114では、演算器10において、周波数検出部8から、発振周波数fsを獲得し、発振角周波数ωsを演算する。次に、βの値、振動振幅aがそれぞれ既知となったので、上式(14)から、測定対象物の非線形弾性率Knonを演算し、演算したKnonをメモリに記憶して、ステップS116に移行する。
ステップS116では、ゲイン調整手段14において、増幅器5の線形速度フィードバックゲインGlinを変化させて、ステップS118に移行する。このとき、Glinの現在値に応じて、Glinを予め設定されたΔgだけ増加又は減少させる。あるいは、Glinを比較的小さい値に設定し、以降はその値をΔgずつ増加させていく。
ステップS118では、自励発振検出手段9において、上式(12)中の分子部分(Glin−C−Clin)に基づき、GlinとC+Clinとを比較し、「Glin≧C+Clin」となったと判定した場合(Yes)は、ステップS120に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS116に移行する。
ここで、振動体1の振動振幅が比較的小さく、且つ上式(10)が成り立ち、(10)式中の"dx/dt"の係数の絶対値が小さいとき、振動体1の発振周波数は線形振動理論上、振動振幅に依存しない振動体1の線形の固有振動数にほぼ等しい値をとる。
そして、線形速度フィードバックゲインGlinを変化させて、「Glin>C+Clin」の条件が満足されるとき、振動系は負減衰系となり自励振動が発生する。
つまり、上式(12)において、線形速度フィードバックゲインGlinが粘性項の定数C+Clinよりも大きくなると、負の粘性項が生まれ、自励発振が発生する。このことから、本実施形態では、「Glin≧C+Clin」を判定する。
具体的に、Glinを自励振動が発生しない状態となる小さな値に設定し、その後、Glinを徐々に大きくしていって、振動体1が振動したか否かを判定する。または、振動体1が自励振動している状態のGlinを徐々に小さくしていって、振動体1の自励振動の振幅が検知されなくなったか否かを判定する。
ここで、振動体1が振動したか否かの判断は、例えば、振動変位x或いは振動速度dx/dtが予め設定したしきい値以上変化したときに、振動体1が振動したと判断するようにすればよい。また、これに限らず振動変位xからなる振動変位データに対しFFT(高速フーリエ変換)処理を行うこと等により、振動体1の振動振幅の周波数スペクトルを求め、単一発振周波数のスペクトルが発生したとき、振動体1が振動したと判断するようにしてもよい。
ステップS120に移行した場合は、演算器10において、自励発振検出手段9から、「Glin≧C+Clin」が成立するときの線形速度フィードバックゲインである発振限界ゲインGlin*を獲得して、ステップS122に移行する。
つまり、振動体1が非振動状態から振動状態に移行するときのGlin、又は振動体1が振動状態から非振動状態に移行するときのGlinを発振限界ゲインGlin*として獲得する。
ステップS122では、演算器10において、GlinとCとが既知であるので、上式(12)中の(Glin−C−Clin)を変形した、「Glin*=C+Clin」の式から、測定対象物の線形粘性係数Clinを演算し、演算したClinをメモリに記憶して、ステップS124に移行する。
ステップS124では、ゲイン調整手段14によって、線形速度フィードバックゲインGlinを予め設定されたΔg2だけ変化させて、ステップS126に移行する。
ここで、Glinを変化させることで、振動体1の振動振幅aを変化させる。
ステップS126では、演算器10において、振動体1の振動変位xから振動振幅aを演算する。そして、線形速度フィードバックゲインGlinと、減衰定数Cと、線形粘性係数Clinとβと非線形フィードバックゲインGnonとは既知であるので、上式(12)から、測定対象物の非線形粘性係数Cnonを演算する。さらに、演算したCnonをメモリに記憶して、一連の処理を終了する。
(動作)
次に、本実施形態の粘弾性測定装置100の動作を説明する。
ここでは、流体の粘弾性体である測定対象流体に対して、本実施形態の粘弾性測定装置100を用いて、測定対象流体の粘弾性を測定する。また、ここでは、振動体1としてカンチレバーを採用し、アクチュエータ6としてピエゾ素子を採用する。
まず、測定を行う前に、振動体1の質量M、減衰定数C及びばね定数Kを精密に測定(あるいはスペックシートから取得)し、測定(取得)した質量M、C及びKをメモリに記憶する。メモリに記憶した質量M、減衰定数C及びばね定数Kのうち減衰定数Cは、演算器10における、上式(12)に基づく演算処理において用いられる。
次に、ゲイン調整手段14によって、増幅器5の線形速度フィードバックゲインGlinと、増幅器13の非線形フィードバックゲインGnonとを初期値に設定する(ステップS100)。これにより、測定が開始される。
なお、振動体1としてカンチレバーを適用した場合、その特性から、カンチレバーの非線形成分とカンチレバーの自励振動力とがバランスすると、カンチレバーの振動振幅が一定に維持され、非線形フィードバックゲインGnonを大きくすることにより振動体1の振動振幅aを小さく抑制することができ、振動体1の発振周波数を振動振幅によらず一定な線形の固有振動数に維持することができる。
ここで、測定系のレイノルズ数を下げて層流状態の流れを保ち、振動体1の振動による渦の発生を抑えることにより、粘度の測定精度をより向上させることができる。そのためには、自励振動時の振動振幅を低減する振幅低減化制御を行えばよく、すなわち、非線形フィードバックを講じて振動体1を振動させることにより、振動体1の自励振動による振幅を低減することができ、これはすなわち渦の発生を抑制し、また層流状態の流れを維持し乱流状態の発生を防ぐことになる。
測定が開始されると、変位検出器3では振動体1の変位xが検出され、振動速度演算器4では、この変位xから、振動速度dx/dtが演算される。この振動速度dx/dtは、増幅器5及び乗算器12に入力され、増幅器5において、設定された線形速度フィードバックゲインGlinとdx/dtとが乗算されて、その乗算結果であるGlin・dx/dtが演算器15に入力される。
一方、変位xは、乗算器11もに入力され、x2が演算されて、乗算器12に入力される。乗算器12では、乗算器11からのx2と振動速度演算器4からのdx/dtとが乗算され、その乗算結果であるGnon・x2・dx/dtが演算器15に入力される。
演算器15では、Glin・dx/dtからGnon・x2・dx/dtを減算した(Glin−Gnon・x2)・dx/dtを演算し、演算結果をフィードバック制御信号Fbとしてドライバ7に入力する。
なお、自励発振の初期段階において、振動体1の変位が、変位センサの検出下限を下回る場合は、予備的に、任意の周波数の振動を与える。つまり、振動体1を任意の一定周波数で振動させておく。
ドライバ7は、演算器15から受信した(Glin−Gnon・x2)・dx/dtに基づいた力Fvを振動体1に与えるためのピエゾ素子の駆動信号を生成し、生成した駆動信号をピエゾ素子に供給する。このようにして、線形及び非線形のフィードバックゲインによるフィードバックループが形成されると共に、測定対象流体中の振動体1に力Fvが与えられる。一方、変位検出器3からの変位信号は随時周波数カウンタに供給され振動周波数が検出される。
このような初期駆動状態において、ゲイン調整手段14は、CPUからの指令信号に応じて、増幅器13の非線形フィードバックゲインGnonを増加させる(ステップS102)、これにより、振動体1の変位xが小さくなり、演算器10で演算される振動振幅aも小さくなる。そして、振動振幅aが予め設定された振動しきい値よりも小さくなると、振動振幅a≒0が成立し(ステップS104のYes)、演算器10は、周波数検出部8から、このときの周波数fs*を獲得し、発振角周波数ωs(2πfs*≒β)を演算する(ステップS106)。これにより、βが既知となるので、演算器10は、上式(13)から、測定対象流体の線形弾性率Klinを演算する(ステップS108)。演算器10は、演算した測定対象流体の線形弾性率Klinをメモリに記憶する。
粘弾性測定装置100は、線形弾性率Klinが演算されると、次に、ゲイン調整手段14によって、非線形フィードバックゲインGnonを予め設定されたΔg1だけ変化させる(ステップS110)。現在、非線形フィードバックゲインGnonは比較的大きな値となっているので、ここでは、現在のGnonをΔg1だけ減少させる。
これにより、振動振幅aが変化する(a≒0ではなくなる)ので、演算器10は、このときの振動変位xから振動振幅aを演算する(ステップS112)。振動振幅aが変化すると、上式(14)で示されるωsが変化し、β以外の成分が発生する。演算器10は、周波数検出器8からこのときの発振周波数fsを獲得し、発振角周波数ωsを演算する。これにより、β、振動振幅a、発振周波数ωsが既知となるので、演算器10は、上式(14)に基づき、測定対象流体の非線形弾性率Knonを演算する(ステップS114)。演算器10は、演算した測定対象流体の非線形弾性率Knonをメモリに記憶する。
粘弾性測定装置100は、非線形弾性率Knonが演算されると、次に、ゲイン調整手段14によって、線形速度フィードバックゲインGlinを変化させる(ステップS116)。ここでは、まず、線形速度フィードバックゲインGlinを比較的小さな値に設定し、発振限界ゲインとなるまで、予め設定した増加量ΔgでGlinを増加させる。
自励発振検出手段9は、Glinを増加後の振動変位xと、予め設定された変位しきい値とを比較し、変位xが変位しきい値以上になったと判定すると、「Glin≧C+Clin」が成立したと判定し、変位xが変位しきい値未満であると判定すると、「Glin≧C+Clin」が成立していないと判定する。
ここで、「Glin≧C+Clin」が成立したと判定した場合(ステップS118のYes)は、自励発振検出手段9によって、このときのGlinが発振限界ゲインGlin*として獲得され、演算器10に供給される(ステップS120)。
linが発振限界ゲインGlin*のときに、「Glin*≒C+Clin」とできるので、演算器10は、既知のGlin*及びメモリに記憶された振動体1の減衰定数Cとから、測定対象流体の線形粘性係数Clinを演算する(ステップS122)。演算器10は、演算した測定対象流体の線形粘性係数Clinをメモリに記憶する。
粘弾性測定装置100は、線形粘性係数Clinが演算されると、次に、ゲイン調整手段14によって、線形速度フィードバックゲインGlinを、予め設定されたΔg2だけ変化させる(ステップS124)。これにより、振動体1の振動振幅aが変化するので、演算器10は、振動体1の変位xから振動振幅aを演算する。振動振幅a、線形速度フィードバックゲインGlin、β、減衰定数C、線形粘性係数Clin、非線形フィードバックゲインGnonは既知であるので、演算器10は、上式(12)に基づき、非線形粘性係数Cnonを演算する(ステップS126)。演算器10は、演算した測定対象流体の非線形粘性係数Cnonをメモリに記憶する。
以上説明したように、本実施形態における粘弾性測定方法及び粘弾性測定装置100であれば、粘弾性体に質量Mの振動体1を接触させた状態で、振動体1に力Fvを与えることで、振動体1を自励振動させることが可能である。
さらに、振動体に力Fvを与えるアクチュエータを、線形速度フィードバックゲインGlinと振動速度dx/dtとを乗算した線形速度フィードバック制御信号と、非線形フィードバックゲインGnonと変位xの2乗と振動速度dx/dtとを乗算した非線形フィードバック制御信号とによって駆動してフィードバック制御することが可能である。
そして、線形速度フィードバックゲインGlin及び非線形フィードバックゲインGnonを制御して、上式(11)〜(13)に基づき、測定対象物の線形粘性係数Clin、非線形粘性係数Cnon、線形弾性率Klin及び非線形弾性率Knonを測定することが可能である。
これにより、測定対象の材料の線形粘性、線形弾性のみならず、非線形粘性、非線形弾性をも計測することが可能となる。また、粘度の時間的変動をリアルタイムで測定することが可能となる。
また、非線形フィードバック制御によって、振動体の自励振動の振幅を小さくすることができるので、測定対象物が流体の場合に、渦の発生を抑制し、また層流状態の流れを維持し乱流状態の発生を防ぐことが可能である。
ここで、上記実施形態において、増幅器5、乗算器11,12、増幅器13、演算器15及びドライバ7が、フィードバック制御手段を構成し、振動速度演算器4が、振動速度検出手段を構成し、変位センサ2、変位検出器3及び周波数検出部8が、物理量測定手段を構成し、演算器10が、粘弾性算出手段を構成する。
また、上記実施形態において、ステップS100,S102,S110,S116,S124が、ゲイン調整ステップに対応し、ステップS106,S112,S120が、物理量測定ステップに対応する。
また、上記実施形態において、ステップS108,S114,S122,S126が
が、振動体が自励振動したか否かを検出するステップに対応し、ステップS108が、粘弾性算出ステップに対応する。
(変形例)
上記実施形態において、振動体としてカンチレバーを適用した場合を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。
例えば、振動体として、従来の振動式粘度計、回転円筒、平行平板等を適用することも可能である。
また、条規実施形態では、フィードバック制御システムを、デジタル技術を用いて行う構成としたが、この構成に限らず、アナログ技術を用いた構成とすることも可能である。
また、上記実施形態において、測定対象物として粘性と弾性とを併せ持つ流体に適用した例を説明したが、流体に限らず、例えば、薄膜材料等の固体又は半固体に適用することも可能である。
また、上記実施形態では、ゲイン調整手段を設けて、線形速度フィードバックゲインGlin及び非線形フィードバックゲインGnonを自動で変化させる構成としたが、この構成に限らず、手動で線形速度フィードバックゲインGlin及び非線形フィードバックゲインGnonを変化させる構成としてもよい。
また、上記実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
本発明は、測定対象物である粘弾性体の線形弾性、線形粘性に加えて、非線形弾性、非線形粘性をも測定することができる。
食品各社では、開発した食品についての品質、味、咀嚼感覚の科学的指標を得るために、精密な粘度の測定と管理とが重要視されている。
また、化学計測器メーカーでは、粘度計測の測定精度向上とユーザビリティの向上を目指しているが、高精度化へのブレークスルーとなる斬新な計測原理の発明には至っていない。他にも、興味を持つメーカーは広範囲に及ぶ。
本発明は、例えば、エンジン内の局所リアルタイム計測による燃費の向上を模索する自動車分野にも応用が可能である。
100…粘弾性測定装置、1…振動体、2…変位センサ、3…変位検出器、4…振動速度演算器、5,13…増幅器、6…アクチュエータ、7…ドライバ、8…周波数検出部、9…自励発振検出手段、10…演算器、11,12…乗算器、14…ゲイン調整手段、15…加算器

Claims (7)

  1. 測定対象物に接触させる振動体と、
    前記振動体を自励振動させるアクチュエータと、
    前記振動体の振動速度を検出する振動速度検出手段と、
    前記振動速度検出手段で検出される前記振動速度を用いて、
    Fb=(Glin−Gnon・x2)・(dx/dt) ・・・(1)
    ただし、Fb:フィードバック制御信号
    lin:正値である線形速度フィードバックゲイン
    non:正値である非線形フィードバックゲイン
    x:振動体の変位
    dx/dt:振動体の振動速度
    で表されるフィードバック制御信号により前記アクチュエータを駆動してフィードバック制御するフィードバック制御手段と、を含む粘弾性測定装置を用いた測定対象物の粘弾性測定方法であって、
    前記フィードバック制御における前記線形速度フィードバックゲイン及び前記非線形フィードバックゲインのいずれか一方を選択的に変化させるゲイン調整ステップと、
    前記ゲイン調整ステップにおいて前記線形速度フィードバックゲイン及び前記非線形フィードバックゲインのいずれか一方を変化させたときの前記振動体の振動に係る物理量を測定する物理量測定ステップと、
    前記物理量測定ステップで測定した物理量と、前記振動体の弾性及び減衰性をモデル化した力学モデルと、前記測定対象物の線形粘性、非線形粘性、線形弾性及び非線形弾性をモデル化した力学モデルと、前記式(1)との間で成立する方程式とに基づき、前記測定対象物の線形粘性係数、非線形粘性係数、線形弾性率及び非線形弾性率を算出する粘弾性算出ステップと、を含むことを特徴とする粘弾性測定方法。
  2. 前記粘弾性算出ステップにおいて、前記振動体をばね・マス・ダッシュポット系でモデル化した力学モデルと、前記測定対象物の線形粘性、非線形粘性、線形弾性及び非線形弾性をモデル化した力学モデルと、前記式(1)との間で成立する方程式の定常状態の解である、
    x=acos((β+3Knon2/8β)t+C’) ・・・(2)
    a=2((Glin−C−Clin)/(3Cnonβ2+Gnon))1/2
    ・・・(3)
    β2=1+Klin ・・・(4)
    ただし、a:振動体の振幅
    C’:初期条件で決まる積分定数
    C:振動体の減衰係数
    K:振動体のバネ定数
    lin:測定対象物の線形粘性係数
    non:測定対象物の非線形粘性
    lin:測定対象物の線形弾性
    non:測定対象物の非線形弾性
    に基づき、前記測定対象物の線形粘性係数Clin、非線形粘性係数Cnon、線形弾性率Klin及び非線形弾性率Knonを算出することを特徴とする請求項1に記載の粘弾性測定方法。
  3. 前記ゲイン調整ステップにおいて、前記非線形フィードバックゲインGnonを大きくして、前記式(2)中における(β+3Knon2/8β)tの項をβtに近似できる程度に前記振幅aを小さくし、
    前記物理量測定ステップにおいて、前記βtに近似した状態における前記振動体の発振角周波数であるβを測定し、
    前記粘弾性算出ステップにおいて、前記物理量測定ステップで測定した前記βと、前記式(4)とに基づいて、前記線形弾性率Klinを算出することを特徴とする請求項2に記載の粘弾性測定方法。
  4. 前記ゲイン調整ステップにおいて、前記βtに近似した状態から前記非線形フィードバックゲインGnonを変化させて、前記振動体の振幅aを変化させると共に前記振動体の発振角周波数ωsを変化させ、
    前記物理量測定ステップにおいて、前記Gnonを変化させたときの前記振動体の発振角周波数ωsと、前記振動体の振幅aとを測定し、
    前記粘弾性算出ステップにおいて、前記物理量測定ステップで測定した前記発振角周波数ωs、前記振幅a及び前記βを用いて、
    ωs=β+3Knon2/8β ・・・(5)
    に基づき、前記非線形弾性率Knonを算出することを特徴とする請求項3に記載の粘弾性測定方法。
  5. 前記ゲイン調整ステップにおいて、前記線形速度フィードバックゲインGlinを変化させ、
    前記粘弾性算出ステップにおいて、前記振動体が振動状態と非振動状態との間で状態変化するときの前記線形速度フィードバックゲインである発振限界ゲインGlin*と、前記振動体の減衰定数Cとを用いて、前記式(3)の分子式(Glin−C−Clin)に基づき、前記線形粘性係数Clinを算出することを特徴とする請求項4に記載の粘弾性測定方法。
  6. 前記ゲイン調整ステップにおいて、前記振動体が自励振動している状態から、前記線形速度フィードバックゲインGlinを大きくし、
    前記粘弾性算出ステップにおいて、前記Glinと、前記Cと前記算出したClinと前記測定したβと、前記既知のGnonとを用いて、前記式(3)に基づき、前記非線形粘性係数Cnonを算出することを特徴とする請求項5に記載の粘弾性測定方法。
  7. 測定対象物に接触させる振動体と、
    前記振動体を自励振動させるアクチュエータと、
    前記振動体の振動速度を検出する振動速度検出手段と、
    前記振動速度検出手段で検出される前記振動速度を用いて、
    Fb=(Glin−Gnon・x2)・(dx/dt) ・・・(6)
    ただし、Fb:フィードバック制御信号
    lin:正値である線形速度フィードバックゲイン
    non:正値である非線形フィードバックゲイン
    x:振動体の変位
    dx/dt:振動体の振動速度
    で表されるフィードバック制御信号により前記アクチュエータを駆動してフィードバック制御するフィードバック制御手段と、
    前記フィードバック制御における前記線形速度フィードバックゲイン及び前記非線形フィードバックゲインのいずれか一方を選択的に変化させるゲイン調整手段と、
    前記ゲイン調整手段において前記線形速度フィードバックゲイン及び前記非線形フィードバックゲインのいずれか一方を変化させたときの前記振動体の振動に係る物理量を測定する物理量測定手段と、
    前記物理量測定手段で測定した物理量と、前記振動体の弾性及び減衰性をモデル化した力学モデルと、前記測定対象物の線形粘性、非線形粘性、線形弾性及び非線形弾性をモデル化した力学モデルと、前記式(1)との間で成立する方程式とに基づき、前記測定対象物の線形粘性係数、非線形粘性係数、線形弾性率及び非線形弾性率を算出する粘弾性算出手段と、を備えることを特徴とする粘弾性測定装置。
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