以下、本発明の空調システムの空調コントローラ1の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
<1>全体概略構成
図1に、空調システム100の概略構成図を示す。
本実施形態の空調システム100は、2つの冷媒系統A,B・・・を有しており、かつ、複数の空調グループG1、G2、G3・・・G8を有しており、空調コントローラ50によって各種制御が行われる。
(1−1)冷媒系統A、Bについて
本実施形態の空調システム100は、室外ユニット1の圧縮機を介して冷媒が循環している冷媒回路10aを備える冷媒系統Aと、室外ユニット2の圧縮機を介して冷媒が循環している冷媒回路10bを備える冷媒系統Bと、他の図示しない冷媒系統を有している。
冷媒系統Aは、室外ユニット1、室内ユニット21、室内ユニット22、室内ユニット23、室内ユニット24、室内ユニット25、および、室内ユニット26を有している。室外ユニット1には、図示しない圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、室外ファン、四路切換弁、室外制御基板等が設けられている。各室内ユニット21、22、23、24、25、26には、それぞれ、図示しない室内膨張弁、室内熱交換器、室内ファン、室内制御基板等が設けられている。冷媒系統Aの冷媒回路10aは、室外ユニット1の圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、四路切換弁、各室内ユニット21、22、23、24、25、26の室内熱交換器、室内膨張弁等が冷媒配管を介して接続されることで構成されている。
冷媒系統Bは、冷媒系統Aを流れる冷媒とは独立して設けられた冷媒系統であり、室外ユニット2、室内ユニット31、室内ユニット32、室内ユニット33、および、室内ユニット34を有している。室外ユニット2には、図示しない圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、室外ファン、四路切換弁、室外制御基板等が設けられている。各室内ユニット31、32、33、34には、それぞれ、図示しない室内熱交換器、室内ファン、室内制御基板等が設けられている。冷媒系統Bの冷媒回路10bは、室外ユニット2の圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、四路切換弁、各室内ユニット31、32、33、34の室内熱交換器、室内膨張弁等が冷媒配管を介して接続されることで構成されている。
なお、他の図示しない冷媒系統についても、冷媒系統A、Bから独立して構成されている。
(1−2)空調グループG1、G2、G3・・・G8について
本実施形態の空調システム100の室内ユニット21、22、23、24、25、26、31、32、33、34は、空調グループG1と、空調グループG2と、空調グループG3と、図示しない他の空調グループG4、G5、G6、G7に分けられている。また、G8には空調システムが割り当てられていない状態とする。
室内ユニット21、22、23、24は、空調グループG1に属している。この空調グループG1に属する室内ユニット21は、空調グループG1の親機であり、他の室内ユニット22、23、24は、それぞれ空調グループG1の子機である。
室内ユニット25、26は、空調グループG2に属している。この空調グループG2に属する室内ユニット25は、空調グループG2の親機であり、他の室内ユニット26は、空調グループG2の子機である。
室内ユニット31、32、33、34は、空調グループG3に属している。この空調グループG3に属する室内ユニット31は、空調グループG3の親機であり、他の室内ユニット32、33、34は、それぞれ空調グループG3の子機である。
なお、他の空調グループG4、G5、G6、G7については、説明を省略する。
(1−3)空調コントローラ50および伝送線について
空調システム100は、ユーザが操作する空調コントローラ50によって、各種制御を実行する。
この空調コントローラ50からは、伝送線が延びており、各空調グループG1、G2、G3・・・G7の親機である室内ユニット21、25、31・・・の室内制御基板と通信可能に接続されている。
各空調グループG1、G2、G3に属している子機である室内ユニット22、23、24、26、32、33、34の室内制御基板は、それぞれ自分が属している空調グループG1、G2、G3の親機である室内ユニット21、25、31の室内制御基板と伝送線を介して通信可能に接続されている。
このような伝送線の接続形態によって、各室内ユニット21〜26、31〜34は、空調グループ毎の設定条件に従って運転制御が行われる。すなわち、空調コントローラ50から出される運転指示は、まず、対象となる空調グループの親機の室内制御基板に伝えられ、次に、当該親機の空調グループに属している子機の室内制御基板それぞれに対して親機の室内制御基板と同じ動きをするように運転指示が伝えられる。これにより、空調システム100の各空調グループG1、G2、G3・・・G7は、グループ毎の設定条件に沿って運転制御が行われる。
<2>空調コントローラ50の詳細構成
図2に、空調コントローラ50の外観構成図を示す。図3に、空調コントローラ50のシステムブロック構成図を示す。
空調コントローラ50は、設定部60と、グループ選択部80とを有している。設定部60は、グループ選択部80によって選択された空調グループG1、G2、G3・・・G7のいずれかについて、設定入力を受け付ける。なお、設定部60とグループ選択部80とは、樹脂製のケーシング50aによって一体的に覆われている。
(2−1)設定部60について
設定部60は、液晶表示部61、運転切換ボタン62、風量風向ボタン63、運転停止ボタン64、キャンセルボタン65、十字キー66、確定ボタン67、および、設定基板70を有している。
液晶表示部61は、設定基板70によって、各種情報が表示出力される。なお、液晶表示部61は、設定部60が操作された場合や設定基板70がグループ選択基板90から何らかの情報を受信した場合に点灯するバックライトを有している。一度点灯したバックライトは、所定時間の間だけ点灯状態を続け、液晶表示部61における表示を視認しやすくさせる。なお、この液晶表示部61は、後述する一括入力処理において、空調処理が入力された後に表示される画面で、「受け付けた空調処理の実行が許可されていてかつ選択されている空調グループ」の番号と、「受け付けた空調処理の実行が許可されているが未だ選択されていない空調グループ」の番号と、「受け付けた空調処理の実行が許可されていない空調グループ」の番号と、を異なる態様で表示させる。ここで、受け付けた空調処理の実行が許可されているか否かは、後述するように、各空調グループそれぞれについて入力される空調処理の項目毎に、ユーザによる操作を許可するか否かが定められており、その情報が後述する設定メモリ72に格納された状態になっている。本実施形態では、図5に示すように、「受け付けた空調処理の実行が許可されていてかつ選択されている空調グループ」の番号については、受付可能表示として“○”で囲まれた態様にして表示出力させ、「受け付けた空調処理の実行が許可されているが未だ選択されていない空調グループ」の番号については通常の数字のみの態様で表示出力させ、「受け付けた空調処理の実行が許可されていない空調グループ」の番号については受付不可表示として“×”を重ねて記載した態様にして表示出力させる。なお、この画面において、本実施形態では空調グループが存在していない“8”については、横線“−”で取り消した状態を示す態様によって表示される。
運転切換ボタン62は、ユーザに押されることにより、冷房運転、暖房運転、送風運転等の運転切換を選択されている空調グループG1、G2、G3・・・G7に行わせるための指示を、設定基板70に受け付けさせる。
風量風向ボタン63は、ユーザに押されることにより、選択されている空調グループG1、G2、G3・・・G7における風量と風向を設定する指示を、設定基板70に受け付けさせる。風量については、3段階の風量のうちのいずれかの指定をもしくは自動制御の指定を受け付けさせる。風向については、5段階のフラップ傾斜角度のうちのいずれかの指定もしくはフラップを回動させるスイング状態および自動制御の指定を受け付けさせる。
運転停止ボタン64は、ユーザに押されることにより、選択されている空調グループG1、G2、G3・・・G7における運転を開始させる指示や運転を停止させる指示を、設定基板70に受け付けさせる。
キャンセルボタン65は、ユーザに押されることにより、設定途中の内容をキャンセルさせたり、1つ前の(1つ上位の階層の)画面表示に戻らせる指示を、設定基板70に受け付けさせる。
十字キー66は、上方キー66u、下方キー66d、左方キー66l、右方キー66rを有しており、それぞれ、ユーザに押されることにより、設定基板70に以下の指示を受け付けさせる。すなわち、上方キー66uが押された場合には、設定基板70は、カーソルを上方に移動させたり設定数値を上げる指示を受け付ける。下方キー66dが押されると、設定基板70は、カーソルを下方に移動させたり設定数値を下げる指示を受け付ける。左方キー66lが押されると、設定基板70は、カーソルを左方に移動させたり選択された項目についての設定画面に移行させる(より下位の階層の画面に遷移させる)指示を受け付ける。右方キー66rが押されると、設定基板70は、カーソルを右方に移動させたり選択された設定画面から前の画面に移行させる(一階層上位の画面に遷移させる)指示を受け付ける。
確定ボタン67は、ユーザに押されることにより、設定可能なメニュー項目が表示される画面に移行してユーザからの空調処理に関する設定を受け付ける状態にさせる機能や、ユーザから入力された内容の実行を確定させる機能が割り当てられている。例えば、確定ボタン67を押すことによりメニュー項目が画面表示された状態では、ユーザが十字キー66を操作してカーソルを移動させることにより、メニュー項目を選択できる。そして、カーソルが合わせられた状態で確定ボタン67が押されると、カーソルが位置していたメニュー項目が選択され、ユーザが十字キー66等を用いて具体的な内容を入力して、再度確定ボタン67を押すことにより、空調処理の具体的な内容を入力し、設定基板70に受け付けさせることができる。このような空調処理のメニュー項目としては、例えば、「タイマ機能の時間設定」、「省エネルギー運転の条件設定」等が備えられている。なお、タイマー運転の設定がなされた場合には、設定された特定のスケジュールに従った運転を行うことになる。
設定基板70は、各種処理を行う設定CPU71と、各空調グループG1、G2、G3・・・G7毎の設定条件(例えば、空調処理としてユーザから入力された設定温度、設定風向、設定風量等の情報)や各空調グループG1、G2、G3・・・G7毎の状態情報(例えば、空調対象空間の温度等の情報)を格納する設定メモリ72と、各空調グループG1、G2、G3・・・G7の親機の室内制御基板との間で通信を行うためおよびグループ選択基板90との間で通信を行うための設定通信部73と、を有している。
設定CPU71は、上記運転切換ボタン62や、風量風向ボタン63や、運転停止ボタン64や、キャンセルボタン65や、十字キー66や、確定ボタン67が押されることで受け付けた空調処理の指示を、設定メモリ72に格納させると共に、空調グループG1、G2、G3・・・G7のうちの選択された空調グループの親機の室内制御基板に向けて、伝送線を介して設定通信部73に送信させる。これにより、設定基板70の設定通信部73からの指示を受け付けた親機の室内制御基板は、同じ指令を同じ空調グループに属している子機の室内制御基板に向けて、伝送線を介して送信する。これにより、同一の空調グループに属している室内制御基板が、同じ指示を受け付けることになり、空調グループ毎の設定を、空調コントローラ50から行うことができるようになっている。
なお、設定CPU71は、室内ユニットの室内制御基板との間で、設定通信部73を用いた通信を行っており、現時点での空調対象空間の温度の情報等を取得し、設定メモリ72に格納している情報を更新させていく。
なお、設定メモリ72には、上記情報に併せて、各空調グループそれぞれについて、入力される空調処理の項目毎に、ユーザによる操作を許可するか否かを示す情報が格納されている。本実施形態では、このような情報として、空調処理項目のうちの設定温度について変更を許可する空調グループと許可しない空調グループを示す情報や、機種を示す情報が、設定メモリ72に格納されている。具体的には、本実施形態の空調グループG2と空調グループG6については、常時、所定の温度に維持する必要がある条件下(例えば、サーバルーム等)で用いられており、設定温度の変更が許可されていない空調グループとされている。
(2−2)グループ選択部80について
グループ選択部80は、空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88、一括運転ボタン89a、一括停止ボタン89b、運転中表示部89c、空調エリア表示部80a、発光部81a、82a、83a、84a、85a、86a、87a、88a、および、グループ選択基板90を有している。
空調グループ直接選択ボタン81は、ユーザに押されることにより、空調グループG1が選択されたことをグループ選択基板90に把握させる。空調グループ直接選択ボタン82〜87についても同様に、ユーザに押されることにより、空調グループG2〜G7が選択されたことをグループ選択基板90に把握させる。このように、空調グループ直接選択ボタン81〜87は、空調グループG1〜G7と一対一に対応するように設けられている。なお、空調グループ直接選択ボタン88は、空調コントローラ50のグループ選択部80に設けられてはいるが、本実施形態の空調システム100には空調グループG8は存在していないため、ユーザからの設定を受け付ける機能は割り振られていない。
なお、後述する一括入力処理のステップS14等のように、空調コントローラ50が空調処理を受け付けた後に空調グループがユーザによって選択されることを待っている状態では、押された空調グループ直接選択ボタン81〜87に対応する空調グループが選択されたことにする、という処理をグループ選択基板90、設定基板70が行い、液晶表示部61に表示させる。他方で、一括入力処理以外の状態では、空調グループ直接選択ボタン81〜87が押される度に、図2に示すように、押された空調グループ直接選択ボタン81〜87に対応する空調グループの現時点での状況(運転内容や設定温度等)を、グループ選択基板90、設定基板70が、液晶表示部61に表示させる。
一括運転ボタン89aは、ユーザに押されることにより、設定基板70の設定メモリ72に格納されている各空調グループG1、G2、G3・・・G7の設定条件に従って、空調グループG1、G2、G3・・・G7の全ての空調グループの運転を開始させる指示を、グループ選択基板90に受け付けさせる。なお、一括運転ボタン89aが押された時点で既に運転状態にある空調グループについては、そのまま運転状態を継続させることになる。
一括停止ボタン89bは、ユーザに押されることにより、空調グループG1、G2、G3・・・G7の全ての空調グループの運転を停止させる指示を、グループ選択基板90に受け付けさせる。
運転中表示部89cは、グループ選択部80に設けられており、空調コントローラ50が制御を行う対象となる空調グループG1、G2、G3・・・G7のいずれかが駆動している場合に、発光することで、ユーザにその旨を知らせる。具体的には、グループ選択基板90が、設定基板70からいずれかの空調グループG1、G2、G3・・・G7が駆動中である旨の情報を受け取ることで、LEDを発光させるように構成されている(なお、このLEDが設けられている部分の手前側のケーシング50aは、光透過性の樹脂で構成されている)。
空調エリア表示部80aは、各空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88と一対一に対応するように割り振られた1〜8までの数字および各数字の横に設けられており空調エリアを記入するための欄が示された空調エリア記入シートと、空調エリアシートを覆う透明の樹脂カバーと、を有している。本実施形態では、空調グループは空調グループG1〜G7の7つであるため、空調グループ直接選択ボタン81〜87に対して一対一に対応した1〜7までの数字の横の空調エリア記入シートに、具体的な部屋の名前等の各空調エリアの場所を特定する情報が記入される。
発光部81a、82a、83a、84a、85a、86a、87a、88aは、各空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88に一対一に対応するようにして設けられており、横の空調エリア記入シートの数字部分を後ろ側から照らすためのLEDによって構成されている。これらの発光部81a〜88aは、ケーシング50aの内部に設けられており、グループ選択基板90によって発光制御が行われる(発光状態としては、常時発光している状態であっても、点滅した状態であっても、これらを組み合わせた状態であってもよい)。
グループ選択基板90は、各種演算処理を行うグループCPU91と、グループ通信部92を有している。グループ通信部92は、空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88や、一括運転ボタン89aや、一括停止ボタン89bが押されることで受け付けた指示に応じた指示を、通信線95を介して設定基板70に送る。また、グループ通信部92は、設定基板70から空調グループG1、G2、G3のうちで稼働中の空調グループが存在しているか否かの情報を、通信線95を介して設定基板70から受信する。
<3>複数の空調グループに対する同一空調処理の一括入力処理、および、受け付けた空調処理の実行が許可されているか否かによって空調グループの番号の表示態様を変える処理について
以下、複数の空調グループに対して、同一の空調処理を一括して入力する場合の空調コントローラ50の操作、空調コントローラ50の処理、および、空調グループの番行の表示態様を変える処理について、図6のフローチャートに従って説明する。なお、ここでは、空調処理の一例として設定温度の変更(冷房運転の設定温度を25℃に変更する処理)を挙げて説明する。
まず、ステップS11では、空調コントローラ50は、一括入力しようとする空調処理をユーザから受け付ける。設定温度の変更を一括して入力する場合の例では、まず、ユーザが確定ボタン67を押してメニュー項目を表示させ、所定の操作を行うことにより、液晶表示部61に設定温度を入力するための画面を表示させる。そして、十字キー66を用いて、設定温度の変更を入力し、再度、確定ボタン67を押す。これにより、空調コントローラ50の設定基板70が、設定温度に関する空調処理をユーザから受け付けたことになる。
このようにしてユーザからの空調処理の受け付けが完了すると、ステップS12において、設定基板70は、全ての空調グループのうち、ステップS11において受け付けた空調処理の実行が許可されている空調グループを特定する処理を行う。具体的には、設定基板70が、設定メモリ72に格納されている「設定温度の変更が許可されている空調グループと許可されていない空調グループを示す情報」に基づいて、設定温度の変更が許可されている空調グループを特定する。
ステップS13では、設定基板70は、ステップS12において設定温度の変更が許可されているものとして特定された空調グループの番号を、通常の数字のみの態様で、設定温度の変更が許可されていないものとして特定された空調グループの番号を、“×”を数字に重ねて記載した態様で、それぞれ液晶表示部61に選択画面として表示させる。本実施形態では、設定温度の変更が許可されていない空調グループは、空調グループG2および空調グループG6であるため、図4に示すように、空調グループの番号である「2」と「6」については、“×”を重ねて記載した態様で表示されている。また、空調グループの番号である「8」については、本空調システム100において設けられていない空調グループであることから、横線“―”で取り消した状態を示す態様によって表示されている。なお、空調グループの番号である「1」、「3」、「4」、「5」、「7」については、設定温度の変更が許可されている空調グループに該当するため、通常の数字のみの態様によって表示されている。
ステップS14では、設定基板70が、空調処理の実行が許可されている空調グループの中から、ユーザによって選択される空調グループを受け付ける。そして、グループ選択基板90は、ユーザによって選択された上記空調処理を実行させる空調グループを把握し、同情報を通信線95を介して設定基板70に送信する。
ここで、本実施形態において、設定温度の変更が許可されている空調グループに対応する空調グループ直接選択ボタン81、83、84、85、87のうち、ユーザによって、空調グループ直接選択ボタン81、83、84が押されることで選択された場合の例を、図5に示す。図5に示すように、設定温度の変更が許可されており、ユーザによって空調グループ直接選択ボタン81、83、84が押されることで選択された空調グループG1、G3、G4の番号である「1」、「3」、「4」については、いずれも、通常の数字のみの態様による表示から、“○”で囲まれた態様の表示に変化させて、設定基板70が液晶表示部61に表示させている。さらに、グループ選択基板90は、図5に示すように、対応する発光部81a、発光部83aおよび発光部84aを発光させた状態にする。これにより、ユーザは、自己の行った操作通り、空調コントローラ50が空調グループG1、G3、G4の選択を受け付けていることを視認することができる。また、空調コントローラ50が受け付けている空調処理の内容についても、ユーザが視認できるように、設定基板70は、選択された空調グループ毎に、ON・OFF状態、冷暖房等の運転内容、設定温度の値等を液晶表示部61に表示させている。
次に、ステップS15では、空調コントローラ50は、上記空調処理と、一括して実行させる空調グループとを確定させる。具体的には、確定ボタン67がユーザによって押されることにより、設定基板70が、上記ステップS11で受け付けた空調処理と、上記ステップS14で選択された空調グループと、を確定する。ここで確定ボタン67が押される際には、入力した空調処理の内容と、空調処理の実行が許可されているとともに選択されている空調グループの番号と、許可されているが選択されていない空調グループの番号と、許可されていない空調グループの番号と、がそれぞれ液晶表示部61に表示されているため、ユーザはこれらの情報を視認したうえで、確定ボタン67を押すことができる。
ステップS16では、上述のようにして確定ボタン67が押されることで、空調処理を確定し、選択された空調グループを確定し、確定された空調処理を確定された空調グループ(図4、図5の例では、空調グループG1、G3、G4)に実行させる。具体的には、設定基板70が、選択が確定した空調グループに対応する設定メモリ72の内容を、確定した空調処理の内容に上書きする処理を行うと共に、設定通信部73によって通信線を介して、選択が確定した空調グループに対して確定した空調処理を実行させる信号を送信する。本実施形態の上記例では、設定基板70が、設定メモリ72のうち、選択が確定した空調グループG1、G3、G4について、冷房運転の設定温度の情報を25℃に上書きする処理を行い、設定通信部73によって通信線を介して空調グループG1、G3、G4に対して、25℃の設定温度で冷房運転を行わせる信号を送信することになる。
<4>空調システム100の空調コントローラ50の特徴
上記実施形態の空調コントローラ50では、空調グループの全てではなく、空調グループのうち、空調処理を実行させようとしてユーザが複数選択した空調グループについて、設定基板70が一括して空調処理を実行させることができる。このため、同一の空調処理を異なる空調グループに実行させようとする場合であっても、ユーザは空調処理の入力操作を繰り返す必要が無いため、入力の操作性が向上している。なお、空調グループの全てについて一括して運転を開始させようとする場合には、上記処理とは異なり、一括運転ボタン89aを押せばよく、空調グループの全てについて一括して運転を停止させようとする場合には、一括停止ボタン89bを押せばよい。
また、複数の空調グループに対して空調グループ直接選択ボタン81〜88が一対一に対応して設けられているため、十字キー66等を用いてカーソルを動かして空調グループを選択するような煩雑な操作を行う必要がなく、選択しようとする空調グループに対応した空調グループ直接選択ボタン81〜88を押すだけで、簡単に選択を行うことができる。このため、上記一括して実行させようとする複数の空調グループを選択する際に必要となる操作を少なくすることで、操作性を向上させることができている。さらに、そのようにして選択された空調グループについては、対応するように設けられている発光部81a〜88aが、確定ボタン67が押される前の段階で発光した状態になっている。さらに、液晶表示部61においても選択された空調グループについては数字が“○”で囲まれた態様で表示されている。このため、ユーザは、入力した空調処理を実行させようとする空調グループが過不足無く選択されているかどうかを視認して、確定ボタン67を押すことができる。
さらに、上記実施形態の空調コントローラ50は、図4に示すように、受け付けた空調処理の実行が許可されていない空調グループの番号については、“×”印を付して、許可されている空調グループの番号とは異なる表示態様によって表示している。このため、空調処理を入力したユーザは、当該空調処理の実行が許可されていない空調グループを容易に把握することができ、当該空調処理の実行が許可されていない空調グループが誤って選択されることを防ぐことができる。
<5>他の実施形態
(5−1)
上記実施形態では、空調グループの選択が、空調処理を受け付けた後のタイミングで行われる場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。
例えば、図7に示すように、空調処理が入力される前の段階であるステップS14xにおいて空調コントローラ50が空調グループの最初の選択を受け付けた後、ステップS11において空調処理を受け付け、その後にステップS14yにおいてさらに空調グループの追加選択を受け付けることが可能な構成としてもよい。なお、「追加選択」とは、空調コントローラ50が空調処理を受け付ける前の段階で既に空調グループが選択されている場合において、空調コントローラ50が空調処理を受け付けた後にさらに空調グループが追加して選択されることをいう。
なお、ステップS14yの前のステップS13aでは、上記実施形態のステップS13において空調グループの番号を2種類の態様で表示していた場合とは異なり、(a)ステップS14xで選択された空調グループの番号については、“○”で囲った態様で表示し、(b)他の空調グループのうち空調処理の実行が許可されている空調グループの番号については、通常の数字のみの態様によって表示しつつ、(c)空調処理の実行が許可されていない空調グループの番号については、“×”を付した態様で表示する、という(a)〜(c)の3種類の態様によって空調グループの番号が表示される。そして、その後のステップS14yで空調グループの追加選択があった場合には、空調コントローラ50がその追加選択を受け付けた時点で、通常の数字のみの態様で表示していた空調グループの番号を“○”で囲った態様に変更して表示することになる。
なお、この他の実施形態(5−1)の例では、ステップS14xの後に空調処理の受け付けを行うステップS11では、ステップS14xで選択された空調グループについて許可されている空調処理のみ(複数の空調グループが選択されている場合にはそれらの全ての空調グループのいずれにおいても許可されている空調処理のみ)を受け付けるように構成してもよい。例えば、ステップS14xで暖房運転が許可されていない空調グループのみが選択されていた場合には、その後のステップS11における空調処理の受け付けにおいて、空調コントローラ50が暖房運転の入力を受け付けないようにするか、空調コントローラ50が選択可能な空調処理の項目から予め暖房運転の項目を除外しておくように構成してもよい。
なお、上述した点を除いて、他のステップについては、上記実施形態と同様とすることができる。
上記のように、ステップS14xにおいて空調グループの最初の選択を受け付け、ステップS14yにおいて空調グループの追加選択をさらに受け付けるように構成された空調コントローラ50によると、ユーザが当初はあるいくつかの空調グループについて特定の空調処理を実行させる目的で入力操作を行うつもりであったが、その後のステップS14yのタイミングで、ステップS11で入力した空調処理と同じ空調処理を、ステップS14xで選択していた空調グループ以外のさらに別の空調グループについても、同じように入力したいと判断しなおした場合に、特に、操作性を向上できる。
(5−2)
上記実施形態では、ステップS15に示したように、確定ボタン67が押されることによって、空調グループの選択が確定される場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。例えば、空調グループの選択が開始された時点(最初に空調グループ直接選択ボタン81〜87のいずれかが押された時点)から所定時間が経過するまでの間に押された空調グループ直接選択ボタンによる入力のみを受け付けるようにすることで、空調グループの選択が確定されるようにしてもよい。
また、上記所定時間の開始時点としては、空調処理の入力操作が終了した時点であってもよい。例えば、上記実施形態の設定温度の変更の例の場合には、設定温度を変更させるための処理が終わった時点(確定ボタン67を押して終わる場合にはその時点)から所定時間が経過するまでの間に押された空調グループ直接選択ボタンによる入力のみを受け付けるようにしてもよい。なお、『空調処理の入力操作が終了した時点』としては、例えば、タイマ時間の設定入力や省エネルギー運転の条件設定等のように、1つのボタンを押すだけではなく、いくつかのボタンを操作して入力が完了するような場合には、入力の完了を示す確定ボタン67が押された時点から、所定時間をカウントするようにしてもよい。
また、空調グループの選択の確定は、ユーザが空調グループ直接選択ボタン81〜87のうちのいくつかを同時に押すことにより、同時に押された状態になっている空調グループ直接選択ボタンについてのみ、選択を受け付けて確定させるようにしてもよい。
(5−3)
上記実施形態では、設定温度の変更という単一の空調処理が入力される場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。例えば、互いに矛盾しない空調処理であれば、複数の空調処理を同時に入力できるようにしてもよい。すなわち、冷房運転の開始と暖房運転の開始等のように互いに矛盾する空調処理は入力できないが、例えば、(i)タイマ設定として1時間後に運転を開始させること、(ii)冷房運転を行うこと、(iii)設定温度が24℃であること、のように、互いに矛盾しない空調処理であれば、複数の空調処理を同時に入力するようにしてもよい。この例の場合であれば、選択が確定した空調グループの全てについて、1時間後に設置温度24℃の条件で冷房運転を開始させるという一括入力を行うことが可能になる。そして、タイマ操作が許可されていない空調グループの番号については、“×”が付された態様で液晶表示部61において表示されることになる。
なお、当然ながら、入力される空調処理の例としては、設定温度の変更に限られるものではなく、例えば、「タイマ機能の時間設定」、「省エネルギー運転の条件設定」等の空調処理も含まれる。
(5−4)
上記実施形態では、空調グループの選択と、空調処理の入力と、が別々のタイミングで行われる空調コントローラ50を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。例えば、空調グループの選択と、空調処理の入力と、を同時に受け付ける空調コントローラであってもよい。このような処理が可能な例としては、例えば、空調グループ直接選択ボタン81〜87のうちのいくつかを同時に押すことにより空調グループの選択を行い、その状態を維持したままで、設定部60のボタン操作を行う例が挙げられる。
(5−5)
上記実施形態では、受け付けた空調処理の実行が許可されているか否かによって、空調グループの番号の表示態様を違える場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。例えば、許可されているか否かではなくて、受け付けた空調処理を実行可能か否かによって、空調グループの番号の表示態様を違えるようにしてもよい。
例えば、空調システム100を構成している複数の空調グループのうち、いくつかの空調グループについては室内ユニットのフィルタを自動で掃除する機能が設けられており、他の空調グループについては、当該機能が設けられていない場合を例に挙げて考える。この場合に、ユーザが空調コントローラに対して当該機能を空調処理として入力した場合、設定基板70が、当該機能を有している空調グループの番号についてのみ、通常の数字のみの態様で表示し、当該機能を有していない空調グループの番号については、“×”を付した態様で表示するようにしてもよい。ここで、当該機能を有しているか否かは、設定メモリ72において、予め空調グループ毎に機能の有無の情報を入力しておくことで、設定基板70が判断できるようにしてもよい。また、設定メモリ72には、機種を特定する情報のみを格納しておき、機種を特定する情報が一致しているか否かに基づいて、空調処理を実行可能か否かについて設定基板70が判断するようにしてもよい。
さらに、空調処理の実行が許可されているか否かと、空調処理を実行可能か否かと、の両方を、設定基板70が判断できるように設定メモリ72に予めこれらの情報を格納しておいてもよい。その場合には、空調処理と空調グループの関係について、実行可能であって許可もされている空調グループ、実行可能ではあるが許可はされていない空調グループ、実行不可能である空調グループについて、番号の表示態様を違えるようにしてもよい。
(5−6)
上記実施形態や他の実施形態においては、“○”、“×”等の異なる態様によって区別して表示する場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。例えば、空調グループの番号を、表示する色のみを違えて表示してもよいし、表示する文字の太さやフォントのみを違えて表示してもよいし、「NG」、「NO」、「禁止」等の言語情報を付した態様を用いて区別して表示してもよいし、“○”の内部に斜線を1本引いた表示や、“□”の内側に“×”を示した表示や、てのひらをかざして禁止を示した表示、および、これらの違いを適宜組み合わせて表示してもよい。
なお、実際に存在していない空調グループの番号(上記実施形態の“8”)については、上記実施形態の空調グループG8のように横線“―”で取り消した状態を示す態様によって表示する代わりに、表示自体を行わないようにしてもよい。
(5−7)
上記実施形態や他の実施形態においては、空調処理および選択された空調グループを確定させる際に、空調処理の内容(ON・OFF状態、冷暖房等の運転内容、設定温度の値等)についても液晶表示部61に表示させる場合を例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。例えば、空調処理の内容は、メニュー項目のタイトルを表示することで示されていてもよい。例えば、空調処理として受け付けたメニュー項目が「切タイマ」である場合には、タイトル名である「切タイマ」の文字の表示に対して、運転が停止されるまでに要する具体的な時間長さの値を併せて表示するようにしてもよい。
(5−8)
上記実施形態では、空調グループ直接選択ボタン81〜87が押されることで、対応する空調グループが選択された状態になる場合を例に挙げて説明した。
このようにして選択された状態は、再度、空調グループ直接選択ボタン81〜87を押されることで解除されるように、空調コントローラ50が構成されていてもよい。すなわち、空調グループG1を選択するためにユーザが空調グループ直接選択ボタン81を押して、空調コントローラ50が空調グループG1が選択されたことを把握している状態で、ユーザが、再度、空調グループ直接選択ボタン81を押すことにより、空調コントローラ50に空調グループG1の選択が解除されたことを把握させることが可能な構成であってもよい。
(5−9)
上記実施形態では、各通信が、伝送線を介して行われている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、無線通信によって通信が行われるように構成されていてもよい。