JP5829416B2 - 鞍乗り型車両 - Google Patents
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Description
また、自動二輪車等の鞍乗り型車両においては、クランクケースの後方にてスイングアームの前部がピボット軸を介して上下にスイング可能に取り付けられ、その後部に駆動輪たる後輪が軸支されているが、二つのメインシャフトを持つパワーユニットはクランクシャフトからピボット軸までの距離が長くなり易く、かつこれを防ぐためにメインシャフトの一方を上側、他方を下側に寄せて配置すると周辺部品の配置自由度を低下させるという課題がある。
クランクシャフト(21)と、前記クランクシャフト(21)側から順に配置される第一及び第二メインシャフト(31,32)と、前記各メインシャフト(31,32)に跨って係合する単一のカウンタシャフト(35)と、前記クランクシャフト(21)、前記各メインシャフト(31,32)及び前記カウンタシャフト(35)を相互に平行かつ回転自在に支承するクランクケース(14)と、前記各メインシャフト(31,32)の一端部にそれぞれ配設されて前記クランクシャフト(21)から前記各メインシャフト(31,32)への回転動力の伝達を個別に断・接する第一及び第二クラッチ(33,34)と、前記各メインシャフト(31,32)と前記カウンタシャフト(35)とにあり前記各シャフト(31,32,35)と平行なシフトドラム(52)の回転によって選択的に確立される複数変速段のギヤ列(36a,36c,36e,37b,37d,37f)と、を具備し、前記各クラッチ(33,34)の持ち替えにより変速段の切り替えを行うと共に、前記カウンタシャフト(35)の前記クランクケース(14)からの突出端部から駆動輪(11)へ動力を伝達するパワーユニット(10)を備えると共に、
後部に前記駆動輪(11)を支持するスイングアーム(9)と、前記クランクケース(14)の後方で前記各シャフト(31,32,35)と平行をなして前記スイングアーム(9)の前部を上下揺動可能に支持するピボット軸(27)とを備える鞍乗り型車両(1)において、
前記第一メインシャフト(31)の軸中心(C3)が前記クランクシャフト(21)の軸中心(C2)よりも後方かつ前記カウンタシャフト(35)の軸中心(C5)よりも前方に配置され、前記第二メインシャフト(32)の軸中心(C4)が前記カウンタシャフト(35)の軸中心(C5)よりも後方かつ前記ピボット軸(27)の軸中心(C7)よりも前方に配置されることを特徴とする。
なお、前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(スクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
請求項2に記載した発明は、
前記第一メインシャフト(31)の軸中心(C3)が前記クランクシャフト(21)及び前記ピボット軸の各軸中心(C2,C7)よりも下方に配置され、前記第二メインシャフト(32)の軸中心(C4)が前記クランクシャフト(21)及びピボット軸(27)の各軸中心(C2,C7)よりも上方に配置されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、
前記カウンタシャフト(35)の軸中心(C5)が前記ピボット軸(27)の軸中心(C7)よりも上方に配置されることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、
前記各シャフト(31,32,35)は、後方に行くに従い上方に位置するように配置されることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、
前記クランクケース(14)の後部における前記第二クラッチ(34)の収容部分の少なくとも一部が、前記ピボット軸(27)の上方に配置されることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、
前記第二クラッチ(34)の少なくとも一部が、前記ピボット軸(27)の上方に配置されることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、
前記第二クラッチ(34)の外径の少なくとも一部が、前記カウンタシャフト(35)の軸中心(C5)よりも前方に配置されることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、
前記クランクシャフト(21)の軸中心(C2)と前記ピボット軸(27)の軸中心(C7)とを結んだライン(BL)に対して、前記各メインシャフト(31,32)の各軸中心(C3,C4)の一方(C4)が上方、他方(C3)が下方にそれぞれ配置され、
車両の前後方向から見て、前記各クラッチ(33,34)が、少なくとも一部同士を上下に重ねるように配置されることを特徴とする。
請求項9に記載した発明は、
前記シフトドラム(52)が、前記第一クラッチ(33)の上方かつ前記第二クラッチ(34)の前方に配置されることを特徴とする。
請求項2に記載した発明によれば、クランクシャフト及びピボット軸の間で各メインシャフト及び各クラッチを上下に振り分けて配置でき、クランクシャフトからピボット軸までの距離を短縮してパワーユニット周辺(ひいては完成車の車体)を前後方向でコンパクトに形成できる。
請求項3に記載した発明によれば、カウンタシャフトからユニット外方に動力を取り出す際にも、その出力部とピボット軸とを近付け易く、スイングアームの揺動量の確保を容易にできる。
請求項4〜6に記載した発明によれば、クランクケースの後部でクランクシャフトと同等の高さにピボット軸を配置し易くすることができる。
請求項7に記載した発明によれば、第二クラッチをカウンタシャフト側に寄せて配置することで、クランクケースの前後長さを抑えることができる。
請求項8に記載した発明によれば、各クラッチの収容空間ひいてはクランクケースの前後長を短縮することができ、かつクランクシャフトからピボット軸までの距離を短縮することができる。
請求項9に記載した発明によれば、上下に変位した各クラッチとシフトドラムとをコンパクトに配置することができる。
図2を併せて参照し、パワーユニット10は、その前部を構成する空冷単気筒エンジン(以下、単にエンジンという)13と、その後方に連なるツインクラッチ式トランスミッション(以下、単にトランスミッションという)23とを一体的に有する。
シリンダ本体16内には、シリンダ軸線C1に沿って往復動するピストン18が嵌装され、このピストン18の往復動が、コネクティングロッド19を介してクランクシャフト21の回転動に変換される。
また、第二クラッチ34の後部とピボット軸27の前部とは、前後方向位置を互いにラップさせており、第二クラッチ34の下部とピボット軸27の上部とは、上下方向位置を互いにラップさせている。
第一メインシャフト31の上方かつ第二メインシャフト32の前方には、前記チェンジ機構51のシフトドラム52が配置される。
一方、第二クラッチ34のクラッチアウタ42には、クランクシャフト21の回転動力がプライマリドライブギヤ22、第一クラッチ33の大径伝動ギヤ45、第一クラッチ33の小径伝動ギヤ46、アイドルギヤ47、第二クラッチ34の小径伝動ギヤ46、及び第二クラッチ34の大径伝動ギヤ45の順にこれらを介して伝達される。
第一変速ギヤ群36は、奇数段(一、三、五速)に対応する一速、三速及び五速ギヤ列36a,36c,36eを構成し、第一メインシャフト31及びカウンタシャフト35の各右側部間に渡って設けられる。
一方、第二変速ギヤ群37は、偶数段(二、四、六速)に対応する二速、四速及び六速ギヤ列37b,37d,37fを構成し、第二メインシャフト32及びカウンタシャフト35の各左側部間に渡って設けられる。
また、カウンタシャフト35の左端部(左ジャーナル部35a)はクランクケース14外に突出し、この突出部分に前記伝動機構の駆動部(図ではドライブスプロケット)35cが取り付けられる。
また、カウンタシャフト35の右端部(右ジャーナル部35b)はクラッチ室14c内に突出し、この突出部分にアイドルギヤ47が相対回転自在に支持される。
第二メインシャフト32の左端部は、クランクケース14に支持される左ジャーナル部32aを形成している。
三速ドリブンギヤ39cの左方には第二シフタ40bが隣接し、この第二シフタ40bの軸方向移動により、これが三速ドリブンギヤ39cに一体回転可能に係合することで、第一メインシャフト31に入力されたクランクシャフト21の回転動力が三速ギヤ列36cを介して減速されてカウンタシャフト35に伝達される。
四速ドライブギヤ38dは、第二メインシャフト32に一体回転可能かつ軸方向移動可能に支持された第三シフタ40cの外周左側に一体形成される。
五速ドライブギヤ38eの右方には第一シフタ40aが隣接し、この第一シフタ40aの軸方向移動により、これが五速ドライブギヤ38eに一体回転可能に係合することで、第一メインシャフト31に入力されたクランクシャフト21の回転動力が五速ギヤ列36eを介して減速されてカウンタシャフト35に伝達される。
六速ドライブギヤ38fの左方には第三シフタ40cが隣接し、この第三シフタ40cの軸方向移動により、これが六速ドライブギヤ38fに一体回転可能に係合することで、第二メインシャフト32に入力されたクランクシャフト21の回転動力が六速ギヤ列37fを介して減速されてカウンタシャフト35に伝達される。
すなわち、二速ドライブギヤ38bは一速ドライブギヤ38aよりも径が小さく、四速ドライブギヤ38dは三速ドライブギヤ38cよりも径が小さく、六速ドライブギヤ38fは五速ドライブギヤ38eよりも径が小さい。
また、二速ドリブンギヤ39bは一速ドリブンギヤ39aよりも径が大きく、四速ドリブンギヤ39dは三速ドリブンギヤ39cよりも径が大きく、六速ドリブンギヤ39fは五速ドリブンギヤ39eよりも径が大きい。
そして、このような奇数段のドライブギヤ38a,38c,38eをクランクシャフト21に近接する第一メインシャフト31に支持することで、偶数段のドライブギヤ38b,38d,38fを第一メインシャフト31に支持する場合と比べて、第一メインシャフト31ひいてはトランスミッション23がクランクシャフト21に可及的に近付き、パワーユニット10のコンパクト化が図られる。
駆動輪(後輪11)を支持するスイングアーム9と、前記各シャフト31,32,35と平行をなしてスイングアーム9を上下揺動可能に支持するピボット軸27とを備えるものにおいて、
第一メインシャフト31の軸中心(第一メイン軸線C3)がクランクシャフト21の軸中心(クランク軸線C2)よりも後方かつカウンタシャフト35の軸中心(カウンタ軸線C5)よりも前方に配置され、第二メインシャフト32の軸中心(第二メイン軸線C4)がカウンタシャフト35の軸中心(カウンタ軸線C5)よりも後方かつピボット軸27の軸中心(ピボット軸線C7)よりも前方に配置されるものである。
また、前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(スクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
9 スイングアーム
10 パワーユニット(車両用パワーユニット)
11 後輪(駆動輪)
14 クランクケース
21 クランクシャフト
C2 クランク軸線(軸中心)
27 ピボット軸
C7 ピボット軸線(軸中心)
31 第一メインシャフト
C3 第一メイン軸線(軸中心)
32 第二メインシャフト
C4 第二メイン軸線(軸中心)
33 第一クラッチ
34 第二クラッチ
35 カウンタシャフト
C5 カウンタ軸線(軸中心)
36a 一速ギヤ列(ギヤ列)
36c 三速ギヤ列(ギヤ列)
36e 五速ギヤ列(ギヤ列)
37b 二速ギヤ列(ギヤ列)
37d 四速ギヤ列(ギヤ列)
37f 六速ギヤ列(ギヤ列)
52 シフトドラム
Claims (9)
- クランクシャフト(21)と、前記クランクシャフト(21)側から順に配置される第一及び第二メインシャフト(31,32)と、前記各メインシャフト(31,32)に跨って係合する単一のカウンタシャフト(35)と、前記クランクシャフト(21)、前記各メインシャフト(31,32)及び前記カウンタシャフト(35)を相互に平行かつ回転自在に支承するクランクケース(14)と、前記各メインシャフト(31,32)の一端部にそれぞれ配設されて前記クランクシャフト(21)から前記各メインシャフト(31,32)への回転動力の伝達を個別に断・接する第一及び第二クラッチ(33,34)と、前記各メインシャフト(31,32)と前記カウンタシャフト(35)とにあり前記各シャフト(31,32,35)と平行なシフトドラム(52)の回転によって選択的に確立される複数変速段のギヤ列(36a,36c,36e,37b,37d,37f)と、を具備し、前記各クラッチ(33,34)の持ち替えにより変速段の切り替えを行うと共に、前記カウンタシャフト(35)の前記クランクケース(14)からの突出端部から駆動輪(11)へ動力を伝達するパワーユニット(10)を備えると共に、
後部に前記駆動輪(11)を支持するスイングアーム(9)と、前記クランクケース(14)の後方で前記各シャフト(31,32,35)と平行をなして前記スイングアーム(9)の前部を上下揺動可能に支持するピボット軸(27)とを備える鞍乗り型車両(1)において、
前記第一メインシャフト(31)の軸中心(C3)が前記クランクシャフト(21)の軸中心(C2)よりも後方かつ前記カウンタシャフト(35)の軸中心(C5)よりも前方に配置され、前記第二メインシャフト(32)の軸中心(C4)が前記カウンタシャフト(35)の軸中心(C5)よりも後方かつ前記ピボット軸(27)の軸中心(C7)よりも前方に配置されることを特徴とする鞍乗り型車両。 - 前記第一メインシャフト(31)の軸中心(C3)が前記クランクシャフト(21)及び前記ピボット軸の各軸中心(C2,C7)よりも下方に配置され、前記第二メインシャフト(32)の軸中心(C4)が前記クランクシャフト(21)及びピボット軸(27)の各軸中心(C2,C7)よりも上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
- 前記カウンタシャフト(35)の軸中心(C5)が前記ピボット軸(27)の軸中心(C7)よりも上方に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両。
- 前記各シャフト(31,32,35)は、後方に行くに従い上方に位置するように配置されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の鞍乗り型車両。
- 前記クランクケース(14)の後部における前記第二クラッチ(34)の収容部分の少なくとも一部が、前記ピボット軸(27)の上方に配置されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の鞍乗り型車両。
- 前記第二クラッチ(34)の少なくとも一部が、前記ピボット軸(27)の上方に配置されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の鞍乗り型車両。
- 前記第二クラッチ(34)の外径の少なくとも一部が、前記カウンタシャフト(35)の軸中心(C5)よりも前方に配置されることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の鞍乗り型車両。
- 前記クランクシャフト(21)の軸中心(C2)と前記ピボット軸(27)の軸中心(C7)とを結んだライン(BL)に対して、前記各メインシャフト(31,32)の各軸中心(C3,C4)の一方(C4)が上方、他方(C3)が下方にそれぞれ配置され、
車両の前後方向から見て、前記各クラッチ(33,34)が、少なくとも一部同士を上下に重ねるように配置されることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の鞍乗り型車両。 - 前記シフトドラム(52)が、前記第一クラッチ(33)の上方かつ前記第二クラッチ(34)の前方に配置されることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の鞍乗り型車両。
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