JP2014051121A - 鞍乗り型車両 - Google Patents

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Kinya Mizuno
欣哉 水野
Yoshihisa Sugano
嘉久 菅野
Yasuto Kobayashi
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Abstract

【課題】前輪と、変速機が付設されたエンジンとの干渉を避けながら、ホイールベースの短縮や前輪分担荷重の増加を図ることが可能な鞍乗り型車両を提供する。
【解決手段】車体フレームの前部に操舵可能にフロントフォーク12が取付けられ、このフロントフォーク12の下端に車軸26を介して前輪13が取付けられ、この前輪13の後方に車体フレームに取付けられるエンジン14が配置され、このエンジン14に前後方向に延びるクランク軸を備える自動二輪車において、エンジン14は、クランク軸に一次減速機構を介して駆動されるとともに左右に並列に設けられる2本のメイン軸57,58を有し、これらのメイン軸57,58が、前輪13の車軸26よりも下方に且つ自動二輪車の車幅方向中心より左右に離れるように配置される。
【選択図】図5

Description

本発明は、クランク軸が車両前後方向に延びるエンジンと、2本のメイン軸を有するとともに各メイン軸にクラッチを備える所謂デュアルクラッチトランスミッション(DCT)とが一体的に設けられたパワーユニットを搭載する鞍乗り型車両に関する。
鞍乗り型車両として、エンジンからの入力軸と、並列配置された2本のカウンター軸と、それぞれのカウンター軸上に設けられたクラッチとからなる3軸のDCT構造を有するもの(例えば、特許文献1参照)、エンジンに設けられたクランク軸が車両前後方向に延び、このクランク軸の駆動力下流側に接続されるとともにエンジンの下部前端部に配置されたクラッチを備えるもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
特開昭58−180859号公報 特開2003−193854号公報
縦置きのエンジンを備える鞍乗り型車両に、特許文献1のような3軸DCT構造の変速機が付設されたエンジンを搭載しようとする際には、2本のカウンター軸が鞍乗り型車両のフロントフォーク下端に支持された前輪の後方に配置され、また、特許文献2のエンジンにおいて、エンジン前端部に設けられたクラッチが前輪の後方に配置されていると、フロントフォークがストロークして縮んだ場合に、前輪が2本のカウンター軸やクラッチに干渉しない構造にすることが必要である。特許文献2では、クラッチが前方に膨出するため、前輪との干渉を回避すべくエンジンを後寄りに配置すると、ホイールベースの短縮や前輪分担荷重の増加を図る点で不利になる。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、前輪と、変速機が付設されたエンジンとの干渉を避けながら、ホイールベースの短縮や前輪分担荷重の増加を図ることが可能な鞍乗り型車両を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため、本発明は、車体フレーム(11)の前部に操舵可能にフロントフォーク(12)が取付けられ、このフロントフォーク(12)の下端に車軸(26)を介して前輪(13)が取付けられ、この前輪(13)の後方に前記車体フレーム(11)に取付けられるエンジン(14)が配置され、このエンジン(14)に前後方向に延びるクランク軸(54)を備える鞍乗り型車両において、前記エンジン(14)は、前記クランク軸(54)に一次減速機構(66)を介して駆動されるとともに左右に並列に設けられる2本のメイン軸(57,58)を有し、これらのメイン軸(57,58)が、前記前輪(13)の前記車軸(26)よりも下方に且つ車幅方向中心より左右に離れるように配置されることを特徴とする。
この構成によれば、メイン軸を前輪の車軸よりも下方に配置することで、前輪が外力により後方上方に移動したときに、前輪の後端部は、車軸と同じ高さで後方斜め上方に移動するため、メイン軸の前端部相当位置と干渉しにくくすることができる。また、2本のメイン軸が車幅方向中心より左右に離れるように配置されるため、前輪を操舵するにつれて、前輪の後端部はメイン軸の前端部相当位置から次第に車両前方へ離れるので、メイン軸をより前側に寄せて配置する、即ち、前輪とエンジンとの干渉を避けながら、エンジンを車体のより前側に配置することができる。従って、ホイールベースを短縮することができ、また、前輪分担荷重を高めることができる。
上記構成において、前記一次減速機構(66)は、前記クランク軸(54)及び前記2本のメイン軸(57,58)にそれぞれ設けられたスプロケット(61,62,63)と、これらのスプロケット(61,62,63)に巻き掛けられるチェーン(64)とから構成され、前記クランク軸(54)から前記2本のメイン軸(57,58)に前記一次減速機構(66)を介して動力が伝達されるようにしても良い。この構成によれば、一次減速機構をスプロケットとチェーンとから構成することで、減速比を大きく設定することができ、且つクランク軸から2本のメイン軸までの軸間距離を比較的大きく設定することができる。従って、メイン軸を容易に前輪車軸より下方に配置することができる。同様に、2本のメイン軸同士の軸間距離も大きくすることができるため、前輪の左右の回動範囲内から2本のメイン軸を前後方向に容易に離すことができる。
また、上記構成において、前記クランク軸(54)と前記2本のメイン軸(57,58)とを前方から覆うカバー部材(53)が設けられ、前面視にて、前記カバー部材(53)の前記2本のメイン軸(57,58)と重なる位置に、前記2本のメイン軸(57,58)上に設けられた油圧式のクラッチ(96)へオイルを供給するオイル供給部材(156)が前記カバー部材(53)から前方に突出するように設けられるようにしても良い。
この構成によれば、メイン軸の前方にオイル供給部材を突出するように配置しても、オイル供給部材を前輪の回動範囲から離して配置することができ、カバー部材に取付けられる部品を含めてエンジンを極力前方に配置することができる。
また、上記構成において、前記エンジン(14)の前記一次減速機構(66)は、前記エンジン(14)のケース(31)内部前部に配置され、前記メイン軸(57,58)に設けられた前記スプロケット(62,63)の駆動力下流側に配置される前記クラッチ(96)が、前記一次減速機構(66)よりも変速機(32)側に寄せて配置されるようにしても良い。この構成によれば、エンジン前部がクラッチによって前方に膨出することが抑えられ、クラッチ膨出分だけエンジンが後寄りに配置されることを抑えることができる。
また、本発明は、車体フレーム(11)の前部に操舵可能にフロントフォーク(12)が取付けられ、このフロントフォーク(12)の下端に車軸(26)を介して前輪(13)が取付けられ、この前輪(13)の後方に配置されて前記車体フレーム(11)に取付けられるエンジン(14)が、前後方向に延びるクランク軸(54)を備え、前記エンジン(14)の前部に、前記クランク軸(54)から変速機(32)のメイン軸(57,58)へと駆動力を伝える一次減速機構(66)と、前記駆動力の伝達経路を断続するクラッチ(96)とを有する鞍乗り型車両において、前記クラッチ(96)は、前記一次減速機構(66)よりも前記変速機(32)側に寄せて配置されることを特徴とする。
この構成によれば、クラッチが一次減速機構よりも後方に配置されることで、エンジンがクラッチの位置で前方に膨出することを抑えることができる。従って、エンジン全体を極力前側に寄せて車体フレームに取付けることができ、ホイールベースを抑えるとともに、前輪分担荷重を高めることができる。
本発明は、エンジンは、クランク軸に一次減速機構を介して駆動されるとともに左右に並列に設けられる2本のメイン軸を有し、これらのメイン軸が、前輪の車軸よりも下方に且つ車幅方向中心より左右に離れるように配置されるので、メイン軸を前輪の車軸よりも下方に配置することで、前輪が外力により後方上方に移動したときに、前輪の後端部は、車軸と同じ高さで後方斜め上方に移動するため、メイン軸の前端部相当位置と干渉しにくくすることができる。また、2本のメイン軸が車幅方向中心より左右に離れるように配置されるため、前輪を操舵するにつれて、前輪の後端部はメイン軸の前端部相当位置から次第に車両前方へ離れるので、メイン軸をより前側に寄せて配置する、即ち、前輪とエンジンとの干渉を避けながら、エンジンを車体のより前側に配置することができる。従って、ホイールベースを短縮することができ、また、前輪分担荷重を高めることができる。
また、一次減速機構は、クランク軸及び2本のメイン軸にそれぞれ設けられたスプロケットと、これらのスプロケットに巻き掛けられるチェーンとから構成され、クランク軸から2本のメイン軸に一次減速機構を介して動力が伝達されるので、一次減速機構をスプロケットとチェーンとから構成することで、減速比を大きく設定することができ、且つクランク軸から2本のメイン軸までの軸間距離を比較的大きく設定することができる。従って、メイン軸を容易に前輪車軸より下方に配置することができる。同様に、2本のメイン軸同士の軸間距離も大きくすることができるため、前輪の左右の回動範囲内から2本のメイン軸を前後方向に容易に離すことができる。
また、クランク軸と2本のメイン軸とを前方から覆うカバー部材が設けられ、前面視にて、カバー部材の2本のメイン軸と重なる位置に、2本のメイン軸上に設けられた油圧式のクラッチへオイルを供給するオイル供給部材がカバー部材から前方に突出するように設けられるので、メイン軸の前面にオイル供給部材を前方に突出するように配置しても、オイル供給部材を前輪の回動範囲から離して配置することができ、カバー部材に取付けられる部品を含めてエンジンを極力前方に配置することができる。
また、エンジンの一次減速機構は、エンジンのケース内部前部に配置され、メイン軸に設けられたスプロケットの駆動力下流側に配置されるクラッチが、一次減速機構よりも変速機側に寄せて配置されるので、エンジン前部がクラッチによって前方に膨出することが抑えられ、クラッチ膨出分だけエンジンが後寄りに配置されることを抑えることができる。
また、クラッチは、一次減速機構よりも変速機側に寄せて配置されるので、クラッチが一次減速機構よりも後方に配置されることで、エンジンがクラッチの位置で前方に膨出することを抑えることができる。従って、エンジン全体を極力前側に寄せて車体フレームに取付けることができ、ホイールベースを抑えるとともに、前輪分担荷重を高めることができる。
本発明に係る自動二輪車の要部を示す左側面図である。 自動二輪車の前部を示す正面図である。 図2のIII−III線断面図である。 変速機を示す断面図である。 自動二輪車の前輪とエンジンとの位置関係を示す側面図である。 前輪とエンジンとの位置関係を示す斜視図である。 前輪とエンジンとの位置関係を示す平面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LEは車体左方を示している。
図1は、本発明に係る自動二輪車10の要部を示す左側面図である。
自動二輪車10は、骨格となる車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して前輪13が支持され、車体フレーム11の下部にエンジン14が取付けられた鞍乗り型車両である。
車体フレーム11は、前端部に設けられたヘッドパイプ21と、このヘッドパイプ21から後方斜め下方に延びる左右一対のメインフレーム22,22(手前側のメインフレーム22のみ図示)と、これらのメインフレーム22,22の後端部から下方に延びる左右一対のセンターフレーム23,23(手前側のセンターフレーム23のみ図示)と、ヘッドパイプ21及びメインフレーム22,22の前端下部からメインフレーム22,22の下方を後方斜め下方に延びる左右一対のダウンフレーム24,24(手前側のダウンフレーム24のみ図示)とを備える。
フロントフォーク12は、ヘッドパイプ21に操舵可能に支持され、フロントフォーク12の下端部に車軸26を介して前輪13が取付けられ、フロントフォーク12の上端部にバーハンドル27が取付けられている。
エンジン14は、後述するクランク軸を収納するクランクケース31に変速機32が付設され、エンジン14と変速機32とでパワーユニット33が構成される。パワーユニット33は、メインフレーム22,22に設けられたエンジンハンガ22a,22a(手前側のエンジンハンガ22aのみ図示)と、センターフレーム23,23と、ダウンフレーム24,24とで支持されている。
図中の符号41は車体前部に設けられたヘッドライト、42は乗員の前方を覆うウインドスクリーン、43は前輪13を上方から覆うフロントフェンダ、44は乗員が座るシート、46は後輪である。
図2は、自動二輪車の前部を示す正面図である。
エンジン14は、車幅方向中央部に設けられたクランクケース31から左右にシリンダ部51,52が水平に突出する水平対向型のものであり、クランクケース31の前部がフロントカバー53で覆われている。右側のシリンダ部51は、クランクケース31側から順にシリンダブロック51A、シリンダヘッド51B、ヘッドカバー51Cを備え、左側のシリンダ部52は、クランクケース31側から順にシリンダブロック52A、シリンダヘッド52B、ヘッドカバー52Cを備える。クランクケース31は、左ケース31L及び右ケース31Rからなり、右ケース31Rと右側のシリンダブロック51Aとが一体成形され、左ケース31Lと左側のシリンダブロック52Aとが一体成形されている。
クランクケース31の中央部には、車両前後方向に延びるクランク軸54が配置され、このクランク軸54よりも下方であってクランク軸54の軸線54aを通って鉛直に延びる鉛直車体中心線56の左右に、変速機32に備える一対のメイン軸57,58がそれぞれ車両前後方向に延びるように配置されている。フロントカバー53は、前輪13の後方に配置され、フロントカバー53の後方、即ちエンジン14及び変速機32の内方にクランク軸54及びメイン軸57,58が配置されている。なお、符号55はクランク軸54の前端を覆うためにフロントカバー53に取付けられたキャップ、156,156はフロントカバー53に取付けられてメイン軸57,58の前方に配置された油圧供給部材(詳細は後述する。)である。クランク軸54にはドライブスプロケット61、メイン軸57,58には、ドリブンスプロケット62,63がそれぞれ取付けられ、これらのドライブスプロケット61、ドリブンスプロケット62,63にチェーン64が巻き掛けられている。これらのドライブスプロケット61、ドリブンスプロケット62,63及びチェーン64は、クランク軸54の回転をメイン軸57,58に減速して伝える一次減速機構66を構成する。
図中の符号71,72はシリンダ部51,52をガードするためにクランクケース31に取付けられたエンジンガード、73は車体前部を覆うフロントカウルである。
図3は、図2のIII−III線断面図であり、エンジン14及び変速機32の断面を示している。なお、図2に示した一対のシリンダ部51,52は、その構造がほぼ同一であるため、ここでは、左側のシリンダ部52のみ説明する。
エンジン14は、クランクケース31に設けられたシリンダブロック52Aと、このシリンダブロック52Aの端部に取付けられたシリンダヘッド52Bと、このシリンダヘッド52Bの端部の開口を覆うヘッドカバー52Cと、クランクケース31の内側に形成された複数のジャーナル受け部31aに複数のメインジャーナル54bがそれぞれ回転可能に支持されたクランク軸54と、このクランク軸54の複数のクランクピン54cにそれぞれ回転可能に連結された複数のコネクティングロッド81と、これらのコネクティングロッド81にそれぞれピストンピン82を介して回動可能に連結されるとともにシリンダブロック52A内に形成されたシリンダ穴51aに移動可能に挿入されたピストン83と、クランク軸54にタイミングチェーン84を介して連結されたカムシャフト86により吸気バルブ87及び排気バルブ88が開閉されるようにシリンダヘッド52Bに設けられた動弁機構91とを備える。
変速機32は、クランク軸54の動力を変速機32のメイン軸57,58に伝達する一次減速機構66と、それぞれ軸方向に2分割されるとともにクランク軸54に平行に配置された左右一対のメイン軸57,58と、これらのメイン軸57,58に平行に配置された1本のカウンター軸95と、メイン軸57,58にそれぞれ設けられたクラッチ96、クラッチダンパー97、複数のギヤからなるメイン軸ギヤ群98と、メイン軸ギヤ群98に常時噛み合うようにカウンター軸95上に設けられた複数のギヤからなるカウンター軸ギヤ群99と、カウンター軸95の端部にファイナルダンパー101を介して取付けられたファイナルドライブギヤ102と、上記メイン軸ギヤ群98の変速操作を行うギヤシフト機構(不図示)と、2つのクラッチ96を断続するために2つのクラッチ96に油圧を供給するクラッチ用油圧供給装置(不図示)と、ギヤシフト機構及びクラッチ用油圧供給装置を制御する制御装置(不図示)とから構成されたデュアルクラッチ式変速機(デュアルクラッチトランスミッション)であり、動力はファイナルドライブギヤ102から後輪46(図1参照)側へ伝えられる。
メイン軸57は、動力の上流側となる第1メイン軸111と、この第1メイン軸111の動力の下流側に配置された第2メイン軸112とからなる。
クラッチ96は、クランク軸54から一次減速機構66を介して第1メイン軸111に伝えられた動力を、クラッチダンパー97を介して第2メイン軸112へ伝える、又は伝えないようにするために動力伝達経路を断続する装置である。
クラッチダンパー97は、クラッチ96側のトルク変動を減衰させて第2メイン軸112側へ伝わりにくくする装置である。
ファイナルダンパー101は、カウンター軸95側のトルク変動を減衰させて後輪46側へ伝わりにくくする装置である。
ファイナルドライブギヤ102は、図示せぬドリブンギヤに噛み合う部品であり、このドリブンギヤは、後端部が後輪46側に連結されたプロペラシャフト(不図示)の前端部に取付けられる。
上記したクラッチ96は、一次減速機構66の車両後方に隣り合うように配置されるとともに一次減速機構66に対して変速機32の本体側であるメイン軸ギヤ群98及びカウンター軸ギヤ群99側に配置され、このクラッチ96の更に車両後方に隣接してクラッチダンパー97が配置されている。
図2及び図3において、変速機32の左側に設けられたメイン軸57、クラッチ96、クラッチダンパー97、メイン軸ギヤ群98及びこれらに付属する部品は、奇数変速段(1速、3速、5速、7速)に変速するための奇数変速段機構103を構成し、変速機32の右側に設けられたメイン軸58、クラッチ96、クラッチダンパー97、メイン軸ギヤ群98及びこれらに付属する部品は、偶数変速段(2速、4速、6速、8速)に変速するための偶数変速段機構104を構成している。即ち、奇数変速段を使用する場合には、メイン軸57側のクラッチ96を接続することでメイン軸57側のメイン軸ギヤ群98を通じて動力を出力し、偶数変速段を使用する場合には、メイン軸58側のクラッチ96を接続することでメイン軸58側のメイン軸ギヤ群98を通じて動力を出力する。メイン軸57とメイン軸58とは、同一形状であり、また、同一の部品が取付けられるため、以下ではメイン軸58側の構成のみ説明する。
図4は、変速機32を示す断面図である。
メイン軸58の第1メイン軸111は、クランクケース31の前部に取付けられたフロントカバー53にボールベアリング114を介して回転可能に支持されるとともに第2メイン軸112の先端部にニードルベアリング115を介して回転可能に支持されている。
ボールベアリング114は、フロントカバー53に開けられたメイン軸挿通穴53aに嵌合され、ニードルベアリング115は、第2メイン軸112の先端部に形成された軸端穴112aに嵌合されて取付けられている。
第1メイン軸111の中間部には、ドリブンスプロケット63と、クラッチ96に備えるクラッチアウタ117とが取付けられている。
第2メイン軸112は、第1メイン軸111の軸端側がクランクケース31に設けられた2つのボールベアリング118,118で回動可能に支持され、他方の軸端側がクランクケース31に設けられたボールベアリング119で回転可能に支持されている。ボールベアリング118,118はニードルベアリング115と半径方向に重ねられて配置されている。
カウンター軸95は、クランクケース31に設けられた2つのボールベアリング120,121で両端部が回転可能に支持され、カウンター軸95のボールベアリング121より車両後方の後端部には、ワッシャ105及びナット106でファイナルダンパー101が取付けられている。
クラッチ96は、第1メイン軸111にスプライン結合された断面コ字形状のクラッチアウタ117と、このクラッチアウタ117に備える外筒部117aの内周面にスプライン結合された複数の駆動摩擦板122と、クラッチダンパー97の一部を構成するとともに第2メイン軸112の外周面に回動可能に支持されたクラッチインナ123と、このクラッチインナ123に備える円筒部123aの外周面にスプライン結合されて複数の駆動摩擦板122と交互に重ねられるように配置された複数の被動摩擦板124と、クラッチアウタ117に形成された内筒部117bの外周面及び外筒部117aの内周面に嵌合して第1メイン軸111の軸方向に移動可能に設けられた断面コ字形状のクラッチピストン126と、クラッチアウタ117の内筒部117bに第2メイン軸112側への移動が規制されるように設けられたリテーナ127と、クラッチピストン126を車両前方へ付勢するためにリテーナ127及びクラッチピストン126のそれぞれの間に設けられた圧縮コイルばね128と、クラッチピストン126に形成された加圧部126aとで複数の駆動摩擦板122及び複数の被動摩擦板124を挟持するためにクラッチアウタ117の外筒部117aの端部に設けられた受圧部材131とからなる湿式多板型の動力断続装置である。
クラッチアウタ117とクラッチピストン126との間には制御油圧室133が設けられ、クラッチピストン126の第2メイン軸112側にはキャンセル油圧室134が設けられ、制御油圧室133及びキャンセル油圧室134に作動油となる潤滑油が満たされている。制御油圧室133は、クラッチ96を接続するための油圧を発生させる部分である。キャンセル油圧室134は、制御油圧室133がクラッチ96の切断のために減圧された場合に、制御油圧室133内の潤滑油に遠心力が作用してクラッチ96の切断に影響を与えないように、内部に満たされた潤滑油に制御油圧室133内の潤滑油と同様な遠心力を発生させる部分である。
クラッチダンパー97は、クラッチインナ123と、このクラッチインナ123に隣接するとともに第2メイン軸112の外周面にスプライン結合された回動部材136と、これらのクラッチインナ123及び回動部材136のそれぞれによって周方向に挟まれるように配置された複数の圧縮コイルばね137とからなる。なお、符号138,139は第2メイン軸112の端部にクラッチダンパー97を取付けるワッシャ及びナットであり、ナット139によりワッシャ138を第2メイン軸112の端部に形成された段部に押し当てることで、ワッシャ138がクラッチインナ123を拘束することがなく、第2メイン軸112に対してクラッチインナ123は回動可能となる。
メイン軸ギヤ群98は、第2メイン軸112の外周面にそれぞれ回転可能に且つ第2メイン軸112の軸方向に移動不能に支持された低速用駆動ギヤ141A、低中速用駆動ギヤ141B、中高速用駆動ギヤ141C、高速用駆動ギヤ141Dと、低速用駆動ギヤ141A、中高速用駆動ギヤ141C間の第2メイン軸112の外周面にスプライン結合され且つ第2メイン軸112の軸方向に移動不能に支持されたカラー部材142と、このカラー部材142の外周面にスプライン結合され且つカラー部材142の軸方向に移動可能に支持された第1結合スリーブ143と、低中速用駆動ギヤ141B、高速用駆動ギヤ141D間の第2メイン軸112の外周面にスプライン結合され且つ第2メイン軸112の軸方向に移動可能に支持された第2結合スリーブ144とからなる。
低速用駆動ギヤ141A、中高速用駆動ギヤ141C、高速用駆動ギヤ141Dのそれぞれの側面には、第2メイン軸112の軸方向に凹んだドグ穴141e,141f,141gが設けられ、低中速用駆動ギヤ141Bの側面には、第2メイン軸112の軸方向に突出するドグ歯141hが設けられている。また、第1結合スリーブ143の両側面には、第2メイン軸112の軸方向に突出するドグ歯143a,143bが設けられ、第2結合スリーブ144の両側面には、第2メイン軸112の両側面には、第2メイン軸112の軸方向に突出するドグ歯144a及び軸方向に凹んだドグ穴144bが設けられている。
カウンター軸ギヤ群99は、カウンター軸95の外周面にスプライン結合され且つカウンター軸95の軸方向に移動不能に支持された低速用被動ギヤ146Aと、カウンター軸95の外周面に一体に形成された低中速用被動ギヤ146Bと、カウンター軸95の外周面にスプライン結合され且つカウンター軸95の軸方向に移動不能に支持された中高速用被動ギヤ146Cと、カウンター軸95の外周面に一体に形成された高速用被動ギヤ146Dとからなる。低速用被動ギヤ146Aは低速用駆動ギヤ141Aに噛み合い、低中速用被動ギヤ146Bは低中速用駆動ギヤ141Bに噛み合い、中高速用被動ギヤ146Cは中高速用駆動ギヤ141Cに噛み合い、高速用被動ギヤ146Dは高速用駆動ギヤ141Dに噛み合っている。
ファイナルダンパー101は、カウンター軸95の後端部にスプライン結合された回動部材107と、この回動部材107に設けられた筒状基部107aに回動可能に嵌合されたギヤ部材108と、これらの回動部材107及びギヤ部材108のそれぞれによって周方向に挟まれるように配置された複数の圧縮コイルばね109とからなり、ギヤ部材108の外周部に一体にファイナルドライブギヤ102が形成されている。
フロントカバー53は、左右一対のメイン軸挿通穴53a,53a(メイン軸57側のメイン軸挿通穴53aは不図示)が開けられ、各メイン軸挿通穴53aにボールベアリング114が嵌合され、このボールベアリング114に第1メイン軸111が嵌合され、ボールベアリング114がワッシャ151を介してナット152で第1メイン軸111の端部に固定されている。また、ボールベアリング114の一端面は、メイン軸挿通穴53aの中間部にそれぞれ一体成形された環状凸部53cに軸方向で規制され、ボールベアリング114の他端面は、フロントカバー53の内面にボルト154で取付けられた穴開きプレート155により軸方向に規制されてメイン軸挿通穴53aからの抜け止めが図られている。
更に、フロントカバー53の前面には、オイルポンプ等のクラッチ用油圧供給装置(不図示)から変速機32内に潤滑油を供給する通路となる油圧供給部材156,156(メイン軸57側の油圧供給部材156は不図示)が取付けられ、フロントカバー53の各メイン軸挿通穴53aには、油圧供給部材156の先端部に形成された筒部156aが嵌合されている。油圧供給部材156は、第1油路156cが形成された管部156dと、この管部156dの先端部側部に形成された筒部156aと、この筒部156aの内側に形成されるとともに第1油路156cに連通する吐出油路となる第2油路156eが形成された吐出部156fとを備える。なお、符号157は第1油路156cの端部を塞ぐボルト、158はメイン軸挿通穴53aと筒部156aとの間をシールするOリングである。
第1メイン軸111は、潤滑油の油路として、フロントカバー53側の端部から開けられ中空部111aと、この中空部111aの奥から半径方向外側に延びる径方向油路111b,111bとを備える。中空部111aは、その一端に油圧供給部材156の吐出部156fが挿入されて第2油路156eと連通し、他端は、径方向油路111b,111bと、クラッチアウタ117の内筒部117bを貫通する貫通穴117cとを通じてクラッチ96の制御油圧室133に連通している。なお、符号161は第1メイン軸111の中空部111aと吐出部156fとの間をシールするシール部材である。
以上に述べた変速機32の作用を次に説明する。
図3及び図4において、エンジン14のクランク軸54の動力は、一次減速機構66を介して左右のメイン軸57,58に伝わる。そして、動力は、メイン軸57側及びメイン軸58側のそれぞれのクラッチ96(詳しくは、複数の駆動摩擦板122)まで伝わるが、左右のクラッチ96の接続状態(詳しくは、複数の駆動摩擦板122と複数の被動摩擦板124との接続状態)は、クラッチ用油圧供給装置(不図示)からの油圧供給の有無により個別に制御される。通常、左右のクラッチ96,96の一方を接続状態にするとともに他方を切断状態とする。
クラッチ用油圧供給装置から潤滑油が、図示せぬ制御装置の制御によりメイン軸57側又はメイン軸58側の油圧供給部材156に供給され、油圧供給部材156の第1油路156c、第2油路156e、第1メイン軸111の中空部111a、径方向油路111b,111b、貫通穴117c,117cを通ってクラッチ96の制御油圧室133に供給される。
例えば、変速段がニュートラルの状態において、メイン軸57側の制御油圧室133に潤滑油が供給されると、メイン軸57側のクラッチ96のクラッチピストン126が第2メイン軸112側に移動し、クラッチピストン126の加圧部126aと受圧部材131とで複数の駆動摩擦板122と複数の被動摩擦板124とを挟み込むため、これらの複数の駆動摩擦板122と複数の被動摩擦板124との間の摩擦力が増大し、複数の駆動摩擦板122と複数の被動摩擦板124とが一体に回転するようになるため、クラッチ96は接続状態になり、動力は、メイン軸57側のクラッチアウタ117から駆動摩擦板122、被動摩擦板124を介してクラッチインナ123に伝わり、クラッチインナ123から圧縮コイルばね137を介して回動部材136にトルク変動を減衰させながら伝わり、回動部材136からメイン軸57側の第2メイン軸112に伝わる。また、制御油圧室133への油圧の供給が停止されると、クラッチピストン126は圧縮コイルばね128によってドリブンスプロケット63側に戻され、クラッチ96は切断状態になる。
メイン軸57側のクラッチ96が接続され、動力が第2メイン軸112に伝わっている状態で、メイン軸57側のメイン軸ギヤ群98の第1結合スリーブ143を低速用駆動ギヤ141A側へ移動させ、第1結合スリーブ143のドグ歯143aを低速用駆動ギヤ141Aのドグ穴141eに挿入することで、ニュートラルから1速に変速される。この結果、第1結合スリーブ143と低速用駆動ギヤ141Aが一体に回転し、動力が第2メイン軸112からカラー部材142、第1結合スリーブ143、低速用駆動ギヤ141A、低速用被動ギヤ146Aの順に伝わり、カウンター軸95が回転する。そして、動力はカウンター軸95から車両の後輪46側に伝わる。
次に、上記した変速段が1速の状態において、メイン軸58側の制御油圧室133に潤滑油が供給されると、上記したのと同様に、クラッチ96は接続状態になり、動力は、メイン軸58側のクラッチアウタ117から駆動摩擦板122、被動摩擦板124を介してクラッチインナ123に伝わり、クラッチインナ123から圧縮コイルばね137を介して回動部材136に伝わり、回動部材136からメイン軸58側の第2メイン軸112に伝わる。この状態で、メイン軸58側のメイン軸ギヤ群98の第1結合スリーブ143を低速用駆動ギヤ141A側へ移動させ、第1結合スリーブ143のドグ歯143aを低速用駆動ギヤ141Aのドグ穴141eに挿入することで、1速から2速に変速される。この結果、第1結合スリーブ143と低速用駆動ギヤ141Aが一体に回転し、動力が第2メイン軸112からカラー部材142、第1結合スリーブ143、低速用駆動ギヤ141A、低速用被動ギヤ146Aの順に伝わり、カウンター軸95が回転する。そして、動力はカウンター軸95から車両の後輪46側に伝わる。
同様にして、メイン軸57側において、メイン軸ギヤ群98の第2結合スリーブ144を低中速用駆動ギヤ141B側へ移動させ、第2結合スリーブ144のドグ穴144bに低中速用駆動ギヤ141Bのドグ歯141hを挿入することで、2速から3速に変速され、第1結合スリーブ143を中高速用駆動ギヤ141C側へ移動させ、第1結合スリーブ143のドグ歯143bを中高速用駆動ギヤ141Cのドグ穴141fに挿入することで、4速から5速に変速され、第2結合スリーブ144のドグ歯144aを高速用駆動ギヤ141Dのドグ穴141gに挿入することで、6速から7速に変速される。
また、同様にして、メイン軸58側において、メイン軸ギヤ群98の第2結合スリーブ144を低中速用駆動ギヤ141B側へ移動させ、第2結合スリーブ144のドグ穴144bに低中速用駆動ギヤ141Bのドグ歯141hを挿入することで、3速から4速に変速され、第1結合スリーブ143を中高速用駆動ギヤ141C側へ移動させ、第1結合スリーブ143のドグ歯143bを中高速用駆動ギヤ141Cのドグ穴141fに挿入することで、5速から6速に変速され、第2結合スリーブ144のドグ歯144aを高速用駆動ギヤ141Dのドグ穴141gに挿入することで、7速から8速に変速される。
このように、作動油がメイン軸57側のクラッチ96に供給されれば、奇数変速段(ニュートラル→1速、2速→3速、4速→5速、6速→7速)に変速可能となり、作動油がメイン軸58側のクラッチ96に供給されれば、偶数変速段(1速→2速、3速→4速、5速→6速、7速→8速)に変速可能となる。
左右のクラッチ96,96では、一方を接続状態にするとともに他方を切断状態にし、メイン軸57,58の一方に連結されたメイン軸ギヤ群98のギヤとこれに噛み合うカウンター軸ギヤ群99のギヤとからなるギヤ対の一つを用いて変速機32内の動力伝達を行うとともに、メイン軸57,58の他方に連結されたギヤ対の中から次に使用するギヤ対を予め選定し、この状態から左右のクラッチ96,96において接続状態にある一方のクラッチ96を切断状態とし、切断状態にあった他方のクラッチ96を接続状態にすることで、変速機32の動力伝達が予め選定したギヤ対を用いたものに切り替わり、変速機32のシフトアップ又はシフトダウンが行われる。
変速機32において、現在のシフトポジション(変速段)が奇数段(又は偶数段)であれば、次のシフトポジションは偶数段(又は奇数段)となるので、偶数段(又は奇数段)の変速ギヤ対を用いての動力伝達が可能な状態を予め作り出す。このとき、一方のクラッチ96(又は他方のクラッチ96)は接続状態であるが、他方のクラッチ96(又は一方のクラッチ96)は切断状態にあり、メイン軸58(又はメイン軸57)及び偶数段(又は奇数段)のギヤ対にはエンジンの動力が伝達されない。その後、図示せぬ制御装置がシフトタイミングに達したと判断した際には、一方のクラッチ96(又は他方のクラッチ96)を切断状態にするとともに他方のクラッチ96(又は一方のクラッチ96)を接続状態にすることで、予め選定した次のシフトポジションに対応するギヤ対を用いた動力伝達に切り替わる。これにより、変速時のタイムラグや動力伝達の途切れを生じさせない迅速かつスムーズな変速が可能となる。
また、各ドグ歯とドグ穴とを介してギヤの何れかと対応するギヤとが相対回転不能に係合することで第2メイン軸112、カウンター軸95間で1速段〜8速段の何れかの変速ギヤ対を選択的に用いた動力伝達が可能となる。なお、各ギヤ間のドグ歯とドグ穴との係合が全て解除された状態では、第2メイン軸112、カウンター軸95間の動力伝達が不能となり、ニュートラル状態となる。
図5は、自動二輪車の前輪13とエンジン14との位置関係を示す側面図である。
車両に運転者が乗車してフロントフォーク12が縮んだ状態では、エンジン14におけるクランク軸54の軸線54aは、前輪13の車軸26(詳しくは車軸26の軸線26a)よりも距離D1だけ上方に配置され、また、変速機32におけるメイン軸57,58の軸線57a,58aは、前輪13の車軸26(詳しくは車軸26の軸線26a)に対して距離D2だけ下方に配置されている。側面視において、前輪13の車軸26の軸線26aを通る水平線165と、前輪13の最大径となる外周面との交点である前輪13の後端部166は、エンジン14の前端部を覆うフロントカバー53に近接し、このフロントカバー53の前面53eから前方に、メイン軸57,58の前方にそれぞれ配置された油圧供給部材156が突出して配置されている。
エンジン14が車体のより前側に配置されると、前輪13と後輪46(図1参照)とで分担する車重及び乗員体重の前輪分担分、即ち、前輪13の分担荷重が増加して、車両の運転性が向上し、また、ホイールベースを短縮することが可能になるが、その場合、前輪13とエンジン14との干渉を避ける構造にする必要がある。本実施形態の自動二輪車10では、上記したように、運転者が乗車した状態で、前輪13の車軸26よりもメイン軸57,58を下方に配置することで、エンジン14で最も前方に突出するメイン軸57,58の前方部分、即ち油圧供給部材156を前輪13の車軸26よりも下方に配置している。従って、前輪13の後端部166と油圧供給部材156との上下方向に離して配置することが可能になり、後端部166と油圧供給部材156との干渉を避けるようにしている。従って、メイン軸57,58をより車両前方に配置する、即ちエンジン14をより前方に配置することができる。更に、急制動等によって前輪13がフロントフォーク12の最大ストロークに伴って白抜き矢印で示すように上方斜め後方に移動したとしても、後端部166も上方斜め後方に移動するため、後端部166と油圧供給部材156とは、より一層離れるので、干渉の心配はない。
図6は、前輪13とエンジン14との位置関係を示す斜視図である。
前輪13の車軸26における軸線26a上の車幅方向の中心26bから車両後方へ水平線165を延ばしたときに、水平線165とエンジン14のフロントカバー53の前面53eとの交点168は、エンジン14のクランク軸54より下方で且つメイン軸57,58の前方を覆う油圧供給部材156,156より上方に位置し、更にこれら左右の油圧供給部材156,156より車幅方向内方に位置する。従って、交点168に対してキャップ55及び油圧供給部材156,156は離れて配置されるため、キャップ55及び油圧供給部材156,156と前輪13の後端部166(図5参照)との距離を確保する際に、エンジン14をより前方に配置することができる。
図7は、前輪13とエンジン14との位置関係を示す平面図である。
車両に運転者が乗車した状態での実線で示した前輪13の位置では、前輪13の後端部166は、バーハンドル27(図1参照)の操舵によって軌跡170のように回動する。
エンジン14の油圧供給部材156,156は、前輪13の幅中央を通って前後方向に水平に延びる水平車体中心線171(鉛直車体中心線56(図2参照)に直交する線である。)に対して左右に離れて配置されているので、後端部166が軌跡170上を水平車体中心線171から左右に離れるにつれて、エンジン14の油圧供給部材156,156と後端部166とは、前後方向に次第に離れていく。同様に、車両に運転者が乗車し且つフロントフォーク12(図5参照)が最も縮んだ状態での想像線で示した前輪13の位置では、前輪13の後端部166は、バーハンドル27(図1参照)の操舵によって軌跡175のように回動する。この場合においても、前輪13を左右に操舵するにつれて前輪13の後端部166は油圧供給部材156から前後方向に離れていく。
以上のことから、油圧供給部材156,156をより前方に配置することができる、即ちメイン軸57,58をより前方に配置することで、エンジン14を車両のより前側に配置できるため、前輪分担分を増加させることができる。
以上の図1〜図3、図5及び図7に示したように、車体フレーム11の前部に操舵可能にフロントフォーク12が取付けられ、このフロントフォーク12の下端に車軸26を介して前輪13が取付けられ、この前輪13の後方に車体フレーム11に取付けられるエンジン14が配置され、このエンジン14に前後方向に延びるクランク軸54を備える鞍乗り型車両としての自動二輪車10において、エンジン14は、クランク軸54に一次減速機構66を介して駆動されるとともに左右に並列に設けられる2本のメイン軸57,58を有し、これらのメイン軸57,58が、前輪13の車軸26よりも下方に且つ自動二輪車10の車幅方向中心より左右に離れるように配置される。
この構成によれば、メイン軸57,58を前輪13の車軸26よりも下方に配置することで、前輪13が外力により後方上方に移動したときに、前輪13の後端部166は、車軸26と同じ高さで後方斜め上方に移動するため、メイン軸57,58の前端部相当位置である油圧供給部材156と干渉しにくくすることができる。また、2本のメイン軸57,58が自動二輪車10の車幅方向中心より左右に離れるように配置されるため、前輪13を操舵するにつれて、前輪13の後端部166はメイン軸57,58の前端部相当位置である油圧供給部材156から次第に車両前方へ離れるので、メイン軸57,58をより前側に寄せて配置する、即ち、エンジン14を車体のより前側に配置することができる。従って、自動二輪車10のホイールベースを短縮することができ、また、前輪13の分担荷重を高めることができる。これにより、自動二輪車10の運転性等を向上させることができる。
また、図2に示したように、一次減速機構66は、クランク軸54及び2本のメイン軸57,58にそれぞれ設けられたスプロケットとしてのドライブスプロケット61、ドリブンスプロケット62,63と、これらのドライブスプロケット61、ドリブンスプロケット62,63に巻き掛けられるチェーン64とから構成され、クランク軸54から2本のメイン軸57,58に一次減速機構66を介して動力が伝達されるので、一次減速機構66をドライブスプロケット61及びドリブンスプロケット62,63とチェーン64とから構成することで、減速比を大きく設定することができ、且つクランク軸54から2本のメイン軸57,58までの軸間距離を比較的大きく設定することができる。従って、メイン軸57,58を容易に前輪13の車軸26より下方に配置することができる。同様に、2本のメイン軸57,58同士の軸間距離も大きくすることができるため、前輪13の左右の回動範囲内から2本のメイン軸57,58を前後方向に容易に離すことができる。
また、図2、図3及び図5に示したように、クランク軸54と2本のメイン軸57,58とを前方から覆うカバー部材としてのフロントカバー53が設けられ、前面視にて、フロントカバー53が2本のメイン軸57,58と重なる位置に、2本のメイン軸57,58上に設けられた油圧式のクラッチ96,96へオイルを供給するオイル供給部材としての油圧供給部材156がフロントカバー53から前方に突出するように設けられるので、メイン軸57,58の前方に油圧供給部材156,156を突出するように配置しても、油圧供給部材156,156を前輪13の回動範囲から離して配置することができ、フロントカバー53に取付けられる部品を含めてエンジン14を極力前方に配置することができる。
また、図2及び図3に示したように、エンジン14の一次減速機構66は、エンジン14のクランクケース31内部前部に配置され、メイン軸57,58に設けられたドリブンスプロケット62,63の駆動力下流側に配置されるクラッチ96,96が、一次減速機構66よりも変速機32側に寄せて配置されるので、エンジン14前部がクラッチ96,96によって前方に膨出することが抑えられ、クラッチ膨出分だけエンジン14が後寄りに配置されるのを抑えることができる。
また、図1及び図3に示したように、車体フレーム11の前部に操舵可能にフロントフォーク12が取付けられ、このフロントフォーク12の下端に車軸26を介して前輪13が取付けられ、この前輪13の後方に配置されて車体フレーム11に取付けられるエンジン14が、前後方向に延びるクランク軸54を備え、エンジン14の前部に、クランク軸54から変速機32のメイン軸57,58へと駆動力を伝える一次減速機構66と、駆動力の伝達経路を断続するクラッチ96とを有する自動二輪車10において、クラッチ96は、一次減速機構66よりも変速機32側に寄せて配置されるので、クラッチ96が一次減速機構66よりも車両後方に配置されることで、エンジン14がクラッチ96の位置で前方に膨出することを抑えることができる。従って、エンジン14全体を極力前側に寄せて車体フレーム11に取付けることができ、自動二輪車10のホイールベースを抑えるとともに、前輪13の分担荷重を高めて、運転性等を向上させることができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
また、本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)
11 車体フレーム
12 フロントフォーク
13 前輪
14 エンジン
26 前輪の車軸
32 変速機
53 フロントカバー(カバー部材)
54 クランク軸
57,58 メイン軸
61 ドライブスプロケット(スプロケット)
62,63 ドリブンスプロケット(スプロケット)
64 チェーン
66 一次減速機構
96 クラッチ

Claims (5)

  1. 車体フレーム(11)の前部に操舵可能にフロントフォーク(12)が取付けられ、このフロントフォーク(12)の下端に車軸(26)を介して前輪(13)が取付けられ、この前輪(13)の後方に前記車体フレーム(11)に取付けられるエンジン(14)が配置され、このエンジン(14)に前後方向に延びるクランク軸(54)を備える鞍乗り型車両において、
    前記エンジン(14)は、前記クランク軸(54)に一次減速機構(66)を介して駆動されるとともに左右に並列に設けられる2本のメイン軸(57,58)を有し、これらのメイン軸(57,58)が、前記前輪(13)の前記車軸(26)よりも下方に且つ車幅方向中心より左右に離れるように配置されることを特徴とする鞍乗り型車両。
  2. 前記一次減速機構(66)は、前記クランク軸(54)及び前記2本のメイン軸(57,58)にそれぞれ設けられたスプロケット(61,62,63)と、これらのスプロケット(61,62,63)に巻き掛けられるチェーン(64)とから構成され、前記クランク軸(54)から前記2本のメイン軸(57,58)に前記一次減速機構(66)を介して動力が伝達されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
  3. 前記クランク軸(54)と前記2本のメイン軸(57,58)とを前方から覆うカバー部材(53)が設けられ、前面視にて、前記カバー部材(53)の前記2本のメイン軸(57,58)と重なる位置に、前記2本のメイン軸(57,58)上に設けられた油圧式のクラッチ(96)へオイルを供給するオイル供給部材(156)が前記カバー部材(53)から前方に突出するように設けられることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両。
  4. 前記エンジン(14)の前記一次減速機構(66)は、前記エンジン(14)のケース(31)内部前部に配置され、前記メイン軸(57,58)に設けられた前記スプロケット(62,63)の駆動力下流側に配置される前記クラッチ(96)が、前記一次減速機構(66)よりも変速機(32)側に寄せて配置されることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両。
  5. 車体フレーム(11)の前部に操舵可能にフロントフォーク(12)が取付けられ、このフロントフォーク(12)の下端に車軸(26)を介して前輪(13)が取付けられ、この前輪(13)の後方に配置されて前記車体フレーム(11)に取付けられるエンジン(14)が、前後方向に延びるクランク軸(54)を備え、前記エンジン(14)の前部に、前記クランク軸(54)から変速機(32)のメイン軸(57,58)へと駆動力を伝える一次減速機構(66)と、前記駆動力の伝達経路を断続するクラッチ(96)とを有する鞍乗り型車両において、
    前記クラッチ(96)は、前記一次減速機構(66)よりも前記変速機(32)側に寄せて配置されることを特徴とする鞍乗り型車両。
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