JP5828646B2 - ジエチル亜鉛の熱安定化の方法及びジエチル亜鉛組成物 - Google Patents

ジエチル亜鉛の熱安定化の方法及びジエチル亜鉛組成物 Download PDF

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Description

本発明は、熱安定性に優れたジエチル亜鉛組成物、熱安定化方法および熱安定化用化合物に関する。
ジエチル亜鉛は、従来、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等の重合触媒用途や、医薬、機能性材料等の中間体等の製造において有機合成の反応試薬として用いられており、極めて有用な工業材料として知られている。
また近年、原料にジエチル亜鉛と酸化剤として水蒸気を使用してMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法と呼ばれる手法等により酸化亜鉛薄膜を形成する方法が検討されている。このMOCVD法により得られた酸化亜鉛薄膜は、CIGS太陽電池のバッファ層、透明導電膜、色素増感太陽電池の電極膜、薄膜Si太陽電池の中間層、透明導電膜等の太陽電池における各種機能膜、光触媒膜、紫外線カット膜、赤外線反射膜、帯電防止膜等の各種機能膜、化合物半導体発光素子、薄膜トランジスタ等の電子デバイス等に使用され、幅広い用途を持つ。
ジエチル亜鉛は、熱を加えると徐々に分解して金属亜鉛粒子が析出することが知られている(例えば非特許文献1参照)。そのため、ジエチル亜鉛の取り扱い等においては、熱分解で生成した金属亜鉛粒子の析出による製品純度の低下、貯蔵容器の汚染、製造設備配管の閉塞等の問題があった。
上記の熱分解で生成した金属亜鉛粒子の析出に関する問題を解決する方法として、例えば、アントラセン、アセナフテン、アセナフチレン等の化合物を添加してジエチル亜鉛を安定化した組成物とするような方法が知られている(例えば特許文献1〜3参照)。
米国特許第4385003号明細書 米国特許第4402880号明細書 米国特許第4407758号明細書
Yasuo Kuniya et Al.,Applied Organometallic Chemistry、5巻,337〜347頁,1991年発行
特許文献1〜3に開示されるように、アントラセン、アセナフテン、アセナフチレンを添加してもジエチル亜鉛を十分に安定化することができず、より熱安定性に優れたジエチル亜鉛が求められる。
一方、ジエチル亜鉛は、MOCVD法による酸化亜鉛薄膜等の製造の原料として重要であり、その使用時においては、一般に、窒素、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスを供給容器に充填したジエチル亜鉛に流通させて、キャリアガス中にジエチル亜鉛を飽和蒸気ガスとして存在させることで製膜装置等の外部装置に供給する方法が一般に用いられている。
これまでジエチル亜鉛の添加剤として知られている、アントラセン、アセナフテン、アセナフチレンといった化合物は、それらの沸点が、342℃(アントラセン)、279℃(アセナフテン)、265〜275℃(アセナフチレン)と、いずれの化合物も118℃の沸点を有するジエチル亜鉛に比べて沸点が高いことから、ジエチル亜鉛中にアントラセン、アセナフテン、アセナフチレンを添加することで安定化したジエチル亜鉛組成物を用いて、上記の方法でジエチル亜鉛を長期間外部装置等に供給すると、添加したアントラセン、アセナフテン、アセナフチレンといった化合物が供給容器内に供給途中で残っているジエチル亜鉛中に蓄積していくという課題がある。
即ち本発明は、重合触媒や有機合成試薬およびMOCVD法等による酸化亜鉛薄膜製造原料や等に使用されるジエチル亜鉛の熱安定性を向上させ、長期間取り扱っても金属亜鉛粒子が析出しない熱安定性に優れたジエチル亜鉛組成物を提供することを目的とする。さらに、MOCVD法等、窒素、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスをジエチル亜鉛組成物に流通させてジエチル亜鉛を飽和蒸気ガスとして外部装置に供給する方法での使用において、長期間の上記の供給で、供給容器内に供給途中で残っているジエチル亜鉛中に、添加した化合物が蓄積することを低減することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究開発を行った結果、ある特定の炭素−炭素2重結合を有する化合物をジエチル亜鉛(CAS No.557-20-0)に共存させた組成物とすることで熱安定性が著しく向上することを見出し、さらに、前記の特定の炭素−炭素2重結合を有する化合物の沸点がジエチル亜鉛に近いものを、共存させる化合物として選択することで、MOCVD法等、窒素、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスをジエチル亜鉛組成物に流通させてジエチル亜鉛を飽和蒸気ガスとして外部装置に供給する方法での使用において、長期間の上記の供給で、供給容器内に供給途中で残っているジエチル亜鉛中に、添加した化合物が蓄積することを低減することが可能となり、本発明を完成させた。
本発明に係るジエチル亜鉛組成物の熱安定化の方法は、添加物として下記一般式(1)の炭素−炭素2重結合を有する化合物を用い、ジエチル亜鉛への添加物の添加率が50ppm〜20wt%で添加した。

式(1)中、Rはそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルケニル基、炭素数6〜14のアリル基、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルコキシ基である(ただし、Rがすべて水素である場合は除く)。また、式(1)の化合物は、以下の一般式(2)の炭素からなる骨格を少なくとも一つ含む。

本発明に係るジエチル亜鉛組成物の熱安定化の方法は、添加物として下記一般式(3)の炭素−炭素2重結合を有する化合物を用い、ジエチル亜鉛への添加物の添加率が50ppm〜20wt%で添加した。
式(3)中、Rはそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルケニル基、炭素数6〜14のアリル基、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルコキシ基である(ただし、Rがすべて水素である場合は除く)。また、式(3)の化合物は、以下の一般式(4)の炭素からなる骨格を少なくとも一つ含む。
前述の一般式(1)または(3)で表される炭素−炭素2重結合を有する化合物の側鎖に結合している置換基であるRは、それぞれ独立に、水素やメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルキル基やビニル基やプロペニル基、イソプロペニル基等の炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルケニル基、フェニル基、トルイル基等の炭素数6〜14のアリル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基、等のアルコキシ基等、の種々の置換基を有していてもよい。側鎖に存在する置換基の数はそれぞれ異なっていてもよく、1つでも2つ以上の複数であってもよい。
前述の一般式(1)または(3)で表される炭素−炭素2重結合を有する化合物として、例えば、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン(CAS No.1000-86-8)、2,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン(CAS No.10074-39-2)、2,4−ジメチル−1,3−ヘプタジエン(CAS No.20826-38-4)、2,4,5,5−テトラメチル−1,3−ヘキサジエン(CAS No.177176-57-7)2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタジエン(CAS No.72014-90-5)、2,4−ジメチル−1,3,5−ヘキサトリエン(CAS No.112369-48-9)、2,3,5−トリメチル−1,3,5−ヘキサトリエン(CAS No.64891-79-8)等の化合物を挙げることが出来る。
これらの一般式(1)または(3)で表される炭素−炭素2重結合を有する化合物のなかでも、例えば、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン(CAS No.1000-86-8)等の置換基Rが水素や炭素数が3以下であるメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソプロペニル基等から構成される化合物で総炭素数が6〜10、好ましくは、総炭素数7〜9である本発明の化合物は、室温で液体であり、ジエチル亜鉛の沸点である118℃に近い沸点を有することから、MOCVD法等、窒素、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスをジエチル亜鉛組成物に流通させてジエチル亜鉛を飽和蒸気ガスとして外部装置に供給する方法での使用においては、長期間の上記の供給で、供給容器内に供給途中で残っているジエチル亜鉛中に、添加した化合物が極端に蓄積することを低減することが可能であり、適度な濃度でジエチル亜鉛中に共存させることが可能となる。
本発明に用いられる添加物は、単独の添加で充分な効果が得られるが、複数を混合して用いても差し支えない。
ここで、本発明の一般式(1)または(3)で表される炭素−炭素2重結合を有する化合物の添加量は、ジエチル亜鉛の性能が維持され、熱安定化効果が得られる範囲であれば、特に制限は無いが、通常、ジエチル亜鉛に対して、50ppm〜20wt%、好ましくは100ppm〜10wt%,より好ましくは200ppm〜5wt%であれば,熱安定性に優れたジエチル亜鉛組成物を得ることができる。
本発明の一般式(1)または(3)で表される炭素−炭素2重結合を有する化合物の添加量が、少なすぎると熱安定性向上の充分な効果が得られない場合があったり、多すぎると添加量を増加した効果が得られない場合もあるので、熱安定性の所望の効果を得るための適量を添加することが望ましい。
本発明に使用されるジエチル亜鉛は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等の重合触媒用途や、医薬、機能性材料等の中間体等の製造において有機合成の反応試薬として用いられている一般に工業材料として知られているものを用いることが出来る。
また、本発明においては、MOCVD法等により酸化亜鉛薄膜を形成する方法で使用され、CIGS太陽電池のバッファ層、透明導電膜、色素増感太陽電池の電極膜、薄膜Si太陽電池の中間層、透明導電膜等の太陽電池における各種機能膜、光触媒膜、紫外線カット膜、赤外線反射膜、帯電防止膜等の各種機能膜、化合物半導体発光素子、薄膜トランジスタ等の電子デバイス等に使用されるような、工業材料よりも高純度のジエチル亜鉛も用いることが出来る。
本発明のジエチル亜鉛組成物の調製においては、ジエチル亜鉛と本発明の一般式(1)または(3)で表される炭素−炭素2重結合を有する化合物である添加物とを混合すればよく、例えば、ジエチル亜鉛に前述の添加物を添加する等、添加の方法においては特に制限は無い。
例えば、保存安定性の向上を目的する場合においては、あらかじめ、ジエチル亜鉛に添加物を添加する方法を用いることが出来る。
また、例えば、反応等に使用する場合、使用の直前にジエチル亜鉛に添加物を添加することも可能である。
また、本発明のジエチル亜鉛組成物の調製の温度においては、ジエチル亜鉛の熱分解の影響が少ない70℃以下が望ましい。通常、−20℃〜35℃で本発明の組成物の調製を行なうことが出来る。また、圧力についても、特に制限は無いが、反応等、特殊な場合を除いては、通常、0.1013MPaなど、大気圧付近でジエチル亜鉛と本発明の組成物の調製を行なうことが出来る。
本発明のジエチル亜鉛組成物の保管・運搬容器、貯蔵タンク、配管等の設備における使用機材、使用雰囲気はジエチル亜鉛に用いているものをそのまま転用可能である。例えば、前述の使用機材の材質はSUS、炭素鋼、チタン、ハステロイ等の金属や、テフロン(登録商標)、フッ素系ゴム等の樹脂等を用いることができる。また、使用雰囲気は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス等がジエチル亜鉛と同様に用いることができる。
また、本発明のジエチル亜鉛組成物は、ジエチル亜鉛の使用に際して用いることが出来る公知の溶媒に溶解して使用することが出来る。前記溶媒の例として、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の飽和炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の炭化水素化合物、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム等のエーテル系化合物等を挙げることが出来る。
本発明のジエチル亜鉛組成物の用途としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等の重合触媒用途や、医薬、機能性材料等の中間体等の製造において有機合成の反応試薬としての用途や、また、MOCVD法等により酸化亜鉛薄膜を形成する方法で使用され、CIGS太陽電池のバッファ層、透明導電膜、色素増感太陽電池の電極膜、薄膜Si太陽電池の中間層、透明導電膜等の太陽電池における各種機能膜、光触媒膜、紫外線カット膜、赤外線反射膜、帯電防止膜等の各種機能膜、化合物半導体発光素子、薄膜トランジスタ等の電子デバイス等に使用されるような酸化物形成用途や、ZnS等、II−VI族の電子デバイス用薄膜形成用途等、これまでジエチル亜鉛が使用されている用途と同様のものを挙げることが出来る。
本発明の本発明の一般式(1)または(3)で表される炭素−炭素2重結合を有する化合物を添加したジエチル亜鉛組成物は、熱安定性に優れ、ジエチル亜鉛が熱分解することにより発生する金属亜鉛粒子の析出が極めて少ない。その結果、製品純度の低下,貯蔵容器の汚染、製造設備配管の閉塞等の問題を防ぐことが可能となる。また、特に、MOCVD法等、窒素、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスをジエチル亜鉛に流通させてジエチル亜鉛の飽和蒸気ガスとして外部装置に供給する方法での使用において、ジエチル亜鉛組成物中に添加した本発明の化合物の沸点とジエチル亜鉛の沸点とが近いことから、長期間の上記の供給において、長期間の上記の供給で、供給容器内に供給途中で残っているジエチル亜鉛組成物中に、添加した本発明の化合物が蓄積することを低減することが出来る。
ジメチルヘキサジエンを含む混合物のNMRチャート(溶媒:CDCl3)である。 トリメチルヘキサジエンを含む混合物のNMRチャート(溶媒:CDCl3)である。
以下に本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
[測定機器]
DSC測定は、DSC6200(セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて行なった。本発明の添加物を合成により得た場合には、1H-NMR測定はGemini-300(バリアン社製)、GC-MS測定をHP6890(ヒューレッド・パッカード社製)それぞれ用いて合成した添加物を解析した。
[ジエチル亜鉛組成物の調製]
ジエチル亜鉛(東ソー・ファインケム株式会社製)と、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン(CAS No.1000-86-8)(市販試薬)とを窒素雰囲気下、室温において所定の濃度でガラス容器に秤量した。添加物をジエチル亜鉛に溶解して、ジエチル亜鉛組成物を調製した。
ジエチル亜鉛への添加物の添加率(重量%)は、以下の式で定義したものを用いた。
添加物の添加率(重量%)=(添加物重量/(添加物重量+ジエチル亜鉛重量))×100
前述の方法で調製したジエチル亜鉛組成物について、DSC測定(示差走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetry)を行ない、添加物の熱安定性効果を評価した。
[参考例1]
[ジエチル亜鉛のDSC測定による熱安定性試験]
窒素雰囲気下、ジエチル亜鉛を、SUS製DSCセルに秤収して密閉した。得られたサンプルについてDSC測定を、30〜450℃を測定温度範囲として10℃/分の昇温速度で熱分析測定を行なった。それぞれのサンプルの分解温度は、DSC測定の初期発熱温度で観測される。添加物を添加していないジエチル亜鉛のみのサンプルの初期発熱温度を表1に示す。
[実施例1]
[ジエチル亜鉛組成物のDSC測定による熱安定性試験]
参考例1と同様にして、窒素雰囲気下、本発明の化合物である、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン(CAS No.1000-86-8)を添加したジエチル亜鉛組成物を、SUS製DSCセルに秤収して密閉した。得られたサンプルについてDSC測定を、30〜450℃を測定温度範囲として10℃/分の昇温速度で参考例1と同様の熱分析測定を行なった。各サンプルの初期発熱温度を表1に示す。
本発明の化合物を添加したジエチル亜鉛組成物のサンプルの初期発熱温度は、参考例で得られたジエチル亜鉛のみのサンプルの初期発熱温度よりも高く、本発明の組成物は、ジエチル亜鉛のみのサンプルよりも分解の開始温度が高い。本結果より添加物を添加したジエチル亜鉛組成物の高い熱安定性が確認された。また、本発明の化合物である、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエンの沸点は93℃とジエチル亜鉛の沸点である118℃よりも低く、MOCVD法等、窒素、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスをジエチル亜鉛に流通させてジエチル亜鉛の飽和蒸気ガスとして外部装置に供給する方法での使用において、長期間の上記の供給で、供給容器内に供給途中で残っているジエチル亜鉛組成物中に、添加物として使用する化合物が蓄積する問題点が軽減される。
[比較例1〜3]
実施例1と同様にして、特許文献1〜3に記載の化合物であるアントラセン、アセナフテン、アセナフチレンを添加したジエチル亜鉛組成物について同様の検討を行った。それぞれのサンプルの初期発熱温度を表1に示す。
これらのサンプルは、本発明の化合物を添加したジエチル亜鉛組成物のサンプルの初期発熱温度よりも低く、既存の添加物の添加した組成物は本発明の組成物よりも熱安定性が劣っていた。
また、前述の化合物の沸点は、342℃(アントラセン)、279℃(アセナフテン)、265〜275℃(アセナフチレン)とジエチル亜鉛の沸点である118℃よりも高く、MOCVD法等、窒素、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスをジエチル亜鉛に流通させてジエチル亜鉛の飽和蒸気ガスとして外部装置に供給する方法での使用において、長期間の上記の供給で、供給容器内に供給途中で残っているジエチル亜鉛組成物中に、これらの化合物が蓄積する問題点が発生する。
[実施例2〜6]
[ジエチル亜鉛組成物のDSC測定による熱安定性試験]
本発明の化合物である、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン(CAS No.1000-86-8)の添加濃度を変えたこと以外は、実施例1と同様の熱分析測定を行なった。各サンプルの初期発熱温度を表1に示す。
本発明の化合物を添加したジエチル亜鉛組成物のサンプルの初期発熱温度は、化合物の添加濃度を低くしても参考例で得られたジエチル亜鉛のみのサンプルの初期発熱温度よりも高く、本発明の組成物は、ジエチル亜鉛のみのサンプルよりも分解の開始温度が高い。本結果より添加物を添加したジエチル亜鉛組成物の高い熱安定性が確認された。
[比較例4〜6]
実施例3と同様にして、特許文献1〜3に記載の化合物であるアントラセン、アセナフテン、アセナフチレンを添加したジエチル亜鉛組成物について同様の検討を行った。それぞれのサンプルの初期発熱温度を表1に示す。
これらのサンプルは、本発明の化合物を添加したジエチル亜鉛組成物のサンプルの初期発熱温度よりも低く、既存の添加物の添加した組成物は本発明の組成物よりも熱安定性が劣っていた。
[実施例7〜14]
[ジエチル亜鉛組成物のDSC測定による熱安定性試験]
本発明の化合物である、ジメチルヘキサジエンを含む混合物、トリメチルヘキサジエンを含む混合物、2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン(CAS No.673-84-3)を種々の添加量で添加したジエチル亜鉛組成物について、実施例1と同様の熱分析測定を行なった。各サンプルの初期発熱温度を表2に示す。
本発明の化合物を添加したジエチル亜鉛組成物のサンプルの初期発熱温度は、化合物の添加濃度を低くしても参考例で得られたジエチル亜鉛のみのサンプルの初期発熱温度よりも高く、本発明の組成物は、ジエチル亜鉛のみのサンプルよりも分解の開始温度が高い。本結果より添加物を添加したジエチル亜鉛組成物の高い熱安定性が確認された。
[参考例2]
本発明の添加物として有効な構造を有する、ジメチルヘキサジエンを含む混合物およびトリメチルヘキサジエンを含む混合物は、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン(CAS No.1000-86-8)に関する公知の合成手法を参考にして合成を行なった。ジメチルヘキサジエンを含む混合物およびトリメチルヘキサジエンを含む混合物は、それぞれ蒸留精製によって精製した。前述の混合物を含む粗生成物の蒸留精製(大気圧)おいて、各混合物を含む蒸留留分が留出する際の底部加熱温度は、ジメチルヘキサジエンを含む混合物:140℃、トリメチルヘキサジエンを含む混合物:165℃であった。従って、それぞれの混合物の沸点は、底部加熱温度よりも低い。
ジメチルヘキサペンタジエンを含む混合物およびトリメチルヘキサジエンを含む混合物は、それぞれ、1H-NMR測定およびGC-MS測定によって解析した。各混合物のNMRチャート(溶媒:CDCl3)を図1,2に示す。なお、2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン(CAS No.673-84-3)は市販試薬を使用した。

Claims (7)

  1. ジエチル亜鉛の熱安定性を向上させる方法として、添加物として下記一般式(1)の炭素−炭素2重結合を有する化合物を用い、ジエチル亜鉛への添加物の添加率が50ppm〜20wt%で添加することを特徴とする、ジエチル亜鉛の熱安定化の方法。
    式(1)中、Rはそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルケニル基、炭素数6〜14のアリル基、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルコキシ基である(ただし、Rがすべて水素である場合は除く)。また、式(1)の化合物は、以下の一般式(2)の炭素からなる骨格を少なくとも一つ含む。
  2. ジエチル亜鉛の熱安定性を向上させる方法として、添加物として下記一般式(3)の炭素−炭素2重結合を有する化合物を用い、ジエチル亜鉛への添加物の添加率が50ppm〜20wt%で添加することを特徴とする、ジエチル亜鉛の熱安定化の方法。
    式(3)中、Rはそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルキル基、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルケニル基、炭素数6〜14のアリル基、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐したアルコキシ基である(ただし、Rがすべて水素である場合は除く)。また、式(3)の化合物は、以下の一般式(4)の炭素からなる骨格を少なくとも一つ含む。
  3. 一般式(1)または(3)で表される炭素−炭素2重結合を有する化合物において、置換基Rが水素や炭素数が3以下であるアルキル基またはアルケニル基から構成される化合物で総炭素数が6〜10である、請求項1または請求項2に記載のジエチル亜鉛の熱安定化の方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のジエチル亜鉛の熱安定化の方法を用いて成るジエチル亜鉛組成物の製造方法
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のジエチル亜鉛の安定化方法において、ジエチル亜鉛に熱安定性に効果のある添加物とは異なる種類の炭素数5〜25の飽和及び/または不飽和炭化水素及び炭素数6〜30の芳香族炭化水素化合物あるいはエーテル系化合物がジエチル亜鉛に共存することを特徴とするジエチル亜鉛の熱安定化の方法。
  6. 請求項4に記載のジエチル亜鉛組成物の製造方法において、ジエチル亜鉛組成物を構成する添加物とは異なる種類の炭素数5〜25の飽和及び/または不飽和炭化水素及び炭素数6〜30の芳香族炭化水素化合物あるいはエーテル系化合物が共存することを特徴とするジエチル亜鉛組成物の製造方法
  7. ジエチル亜鉛と、添加物として請求項1〜3に記載された一般式(1)または(3)で表される炭素−炭素2重結合を有する化合物とからなる組成物であって、前記添加物の添加率が50ppm〜20wt%であるジエチル亜鉛組成物。

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