JP5827528B2 - 地中杭の引き抜き工法とその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、地中に埋設された地中杭の引き抜き方法とその装置に関する。更に詳しくは、地中に埋設された基礎杭等の地中の既存杭をケーシングの掘進動作を介して引き抜く引き抜き工法とその装置に関する。
一般に既存の建設物等の構造物が何らかの事由で解体された場合、地上の施設の解体とともに、これらを支持していた既存の杭である基礎杭も引き抜かれ除去される。一般の住宅地等の地盤が軟らかく杭の埋設深度が浅い場合には、地上に覗いている既存杭の頭部を重機で把持して持ち上げることで引き抜くことは可能である。しかし、地盤が硬く、かつ深く埋設されている杭の場合には難しい。例えば、既存杭が河川の橋脚等に使用されたもの、大型の建設物の地盤に使用された既存杭等のものは、前述のように容易に引き抜くことはできない。
このためこの引き抜きを容易にするための技術が種々開発され実施されている。一般に行われている工法は、既存杭の周囲の地盤を柔軟にして引き抜きやすくする工法である。このために杭周囲をケーシングで囲って、ケーシング内の地盤を高圧噴射水を噴射させて掘削する等の工法を採用している。このように、既製杭を引き抜く前に引き抜き易くする手立てを施してから、既存杭の引き抜きを行っている。
従来から行われている杭引き抜きのための方法は、例えば、地中に埋設された基礎杭を囲む地盤に高圧水を供給するためのノズルが配置されたケーシングを土中で掘進させつつ、さらに圧縮空気を噴出し土壌を流動化させることにより、基礎杭の外周の地盤による土中抵抗を低減させて、基礎杭を引き抜く技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合の引き抜きは、ケーシングを回転させず振動を与えて掘進させる方法であるが、掘進後基礎杭の下端部位置を検知した後に、杭下端を保持して引き上げる方法である。
また、他の例として、ケーシングを既存杭を包むように回転させながら掘進させ、チャッキング装置で既存杭の外周をチャッキングし、ケーシングを既存杭とともに引き上げる技術が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。この場合、チャッキングのための把持用爪等の把持手段を強制的に動作させて杭を把持する構成のものである。更に、杭と同心的に埋設されたケーシングに、起振装置で振動を与えながらケーシングを駆動して地盤を掘進し、ケーシングのみを引き上げた後に、杭の頭部にワイヤを接続して杭をクレーンによって引き上げる技術も知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開2002−81066号公報 特開平8−165649号公報 特開2001−3362号公報 特開2003−155747号公報
前述したように、ケーシングを使用し杭を引き抜く技術は公知である。しかし、従来の方式はケーシングに回転動作を与えたり、振動を与えたりはしているものの、杭を保持して引き抜く場合は、ケーシングに取り付けられたチャッキング装置等で強制的に把持操作行うが必要がある。又、ケーシングで掘進後に杭の下端部を検知して、杭の下端部を把持する方法は、検知手段の設置を要する上に電気的制御も必要である。
これらの技術は、いずれも外部から強制的に把持力を加えたり、制御の伴うものである。しかも、操作を要する把持装置を地中に掘進するケーシングに付随して取り付けられることになるので、装置が土壌中にあることでトラブルを起こし易く把持自体に安定性を欠くおそれがある方法であった。又、ケーシングを引き上げた後に杭を引き上げる方法については、ワイヤロープをケーシング側から杭側に付け替えのための玉掛け作業が付随し、クレーンのワイヤロープを改めて吊り直す等の作業となり効率的でない。
いずれにしても、ケーシングの掘進、引き上げと杭の保持、引き上げは、別工程での動作を必要とするもので、作業の連続性が途切れていた。本発明は、前記した課題を解決するためになされたもので、下記の目的を達成する。本発明の目的は、構造が簡素で、連続作業で確実に短時間で効率よく基礎杭の引き上げを可能とする地中杭の引き抜き工法とその装置を提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の地中杭の引き抜き工法は、
地中に埋設された既存杭(2)の位置に移動し、前記既存杭(2)の外周に配置したケーシング(7)を振動させて前記既存杭(2)の外周の地盤を掘削する工程と、
前記振動を与えると同時に、前記ケーシング(7)外周に設けられたノズル(12)より、前記ケーシング(7)の下部の土壌に高圧水を噴射し土壌を流動化する工程と、
前記ケーシング(7)内の泥水のような水分は上部から排出され、比較的比重が大きい砂分は沈下して密度が高くなり固まる液状化現象が発生した後、 前記振動を止めて地中の所定深度で前記ケーシング(7)を停止後、流動化した前記ケーシング(7)内の土砂の固化により前記既存杭(2)を保持する工程と、
前記ケーシング(7)内の土砂と共に、前記既存杭(2)を保持した前記ケーシング(7)を地上へ引き上げ前記既存杭(2)を地中から引き抜く工程と、
地上に引き上げた前記ケーシング(7)に振動を与え、前記ケーシング(7)内の土砂と前記既存杭(2)の保持を解消し、前記既存杭(2)を前記ケーシング(7)外へ排出する工程とからなる。
本発明2の地中杭の引き抜き工法は、本発明1において、
前記ケーシング(7)の下部には前記土砂の落下防止するための補助的な棒状又は板状の補助部材(16)を配置し、前記補助部材(16)は鉛直方向の上方へのみフリーで揺動する揺動動作機能を有して、前記基礎杭(2)の外周面の土砂を保持する構成であることを特徴とする。
本発明3の地中杭の引き抜き工法は、本発明1において、
前記ケーシング(7)は、外周に上部に複数の貫通孔(19)を有し、この貫通孔(19)を介して前記ケーシング(7)内の泥水を前記ケーシング(7)外に排出する構成になっていることを特徴とする。
本発明4の地中杭の引き抜き工法は、本発明1において、
前記ケーシング(7)は、移動自在なクレーン(5)によって吊り上げられることを特徴とする。
本発明5の地中杭の引き抜き装置は、
内部が空洞で埋設された既存杭(2)の周囲を囲って、前記既存杭(2)の外周の地盤を掘削し上部のみに泥水排出用の複数の貫通孔(19)を有するケーシング(7)と、
前記ケーシング(7)の上部に設けられ前記ケーシング(7)に振動を与える加振装置(8)と、
前記ケーシング(7)下部に設けられ、高圧水供給装置(13,14)からの供給で掘削側の土砂に高圧水を噴射し流動化させるノズル(12)と、
前記ケーシング(7)の開口部近傍の内壁に支持体(17)を介して設けられ、ストッパー(17a)の制約で鉛直方向上方のみフリーで揺動する揺動動作機能を有し前記既存杭(2)の外周面に接し、液状化により土砂が密に締め固められ固化した地盤の土砂の落下を補助的に保持する複数の補助部材(16)と からなる。
本発明の地中杭の引き抜き工法とその装置は、簡素な構造の引き上げ装置で、短時間に杭の引き上げ処理が可能となった。対象とする杭の大きさに限定されず、杭周囲の掘進も杭全長に亘って行う必要はなく、杭下端の検知手段も必要なく、強制的に杭をクランプする装置も必要がない工法である。本発明は、必須ではないが、補助部材を設ける構造にしたことで、振動に伴うケーシングの往復動作のみで基礎杭を把持できるようになった。この結果、複数の基礎杭の引き上げ処理が短時間で連続的に行うことができ、引き上げ能率を向上させるものとなった。
図1は、地中杭の引き抜き装置を示す全体図である。 図2は、ケーシングの詳細を示す断面図である。 図3は、ケーシングの掘削直前の状態を示す工程図である。 図4は、ケーシングが地中の所定位置に掘削された状態を示す工程図である。 図5は、ケーシングが基礎杭を保持して引き抜き地上に持ち上げられた状態を示す工程図である。 図6は、地上に持ち上げられたケーシングから基礎杭を排出した状態を示す工程図である。
本発明に関わる地中杭の引き抜き工法とその装置の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本発明の適用範囲は、地中杭の引き抜き工法にのみに限定されるものではないが、主に住宅地等の建設現場、河川工事等の現場で実施される。以下、本実施の形態では、河川に架けられた橋の基礎に使用された基礎杭の撤去に適用した例として説明する。図1は、地中杭の引き抜き装置(システム)1の例であり、河川に敷設された橋脚が撤去された後、基礎杭2の引き抜きのための装置の全体構成を示すものである。
基礎杭2は、地上部の構造物が撤去された後に、土中に残された構造物を支えていた基礎杭、即ち既存杭である。この基礎杭2は、新しく建設される構造物等のためには除去しなければならない。本例の場合は、岸辺から仮橋3を河川の基礎杭2側に張り出して仮橋3を設置し、この仮橋3上に地中杭の引き抜き装置1を配置し、撤去作業を行う工法である。この仮橋3上には、基礎杭2の引き上げ用のクローラ式クレーン車4が設置されている。クローラ式クレーン車4の先端には、クレーン5を介してワイヤロープ6が巻きかけられ、ケーシング7を吊るしている。
ケーシング7上には加振装置であるバイブロハンマー8が配置固定され、ワイヤロープ6はこのバイブロハンマー8を吊り下げており、間接的にケーシング7も吊り下げていることになる。このバイブロハンマー8は、ケーシング7を上下方向に振動を与える公知の加振装置であり、油圧ユニット等の駆動装置9がその近傍に設置され、ケーシング7に上下方向(鉛直方向)に振動を与えるものである。
一方、ケーシング7には、図2に示すように、その外壁に高圧の噴射水を供給するための配管10が設置されていて、配管10の先端はケーシング7の下端である開口部11に配置されており、この先端には水を噴射するノズル12が取り付けられている。この高圧水を作り出すジェットポンプ装置13は仮橋2上に設置されていて、これに付随してポンプ14が吸入口を河川の水中に没するように浸して水を汲み上げている。ポンプ14は、電動モータで駆動される水中ポンプであり、仮橋3上に設置された発電機15で発電された電気で駆動される。ジェットポンプ装置13、配管10、ノズル12、ポンプ14等は、高圧ジェット噴射装置を構成する。
又、ジェットポンプ装置13は、ポンプ14から取り込まれた河川水を高圧噴射水とするためのものである。このように、河川水を利用してジェットポンプ装置13により、これを高圧の加圧水とし、ホース、配管10を介してノズル12に供給するものである。ノズル12からの噴射水はケーシング7が掘進するに従い、その開口部11の周囲の土壌を流動化する。又、ケーシング7は開口部11近傍の内壁に補助部材16が設けられている。
この補助部材16は、棒状、又は板状の部材であり、ケーシング7の内径円周に沿って4ヶ所に等角度間隔に配置され、掘進方向に揺動可能な構成になっている。各々の補助部材16は、ケーシング7の内壁に固定された支持体17に、揺動軸18で揺動自在に支持されている。この補助部材16の一端は、支持体17に規制されながらケーシング7の掘進する上方向、ケーシング7の中心軸線を含む面内で揺動するが、水平状態から下方向には揺動しない構造になっている。即ち、補助部材16は、ケーシング7の内孔内で、水平状態から上方向に角度90度のみ揺動するものである。
即ち、支持体17には段差部(ストッパ)17aが設けられていて、補助部材16が下方向に移動するのを規制している。ケーシング7内に基礎杭2が相対的に移動(中心軸線方向)し通過するときは、図2に示すように、基礎杭2の頭部が補助部材16に突き当たり、補助部材16は揺動して上方へ二点鎖線のように端部が持ち上げられる。ケーシング7内を基礎杭2が通過するとき、補助部材16の先端部は基礎杭2の外周面に接触維持される。
即ち、基礎杭2がケーシング7内に入り込む場合、補助部材16は相対移動中基礎杭2の保持を維持する。しかし、基礎杭2がケーシング7から下方へ相対移動する場合、補助部材16は、その端部が基礎杭2に摩擦接触する。即ち、基礎杭2がケーシング7内に取り込まれた後は、この基礎杭2はケーシング7外に移動できず保持されたままの状態となる。この補助部材16はレバー形状のもので、支持体17に設けられた揺動軸18を中心に矢印(図2参照)で示す上方向のみに、フリーで揺動するようになっている。なお、補助部材16は、ケーシング7を保持するためのものではなく、主に後述するように、液状化により土砂が密に締め固められ固化した地盤の土砂の落下を補助的に保持するためのものである。
又、前述したようにケーシング7の下端部の外周面には、ノズル12が等角度位置に4ヶ所に配置固定されている。この各ノズル12の噴射方向は、掘進方向の中心線(ケーシングの中心線)に向けて配置されている。このノズル12からは、河川水をポンプ14で汲み上げた水が、配管10を通し高圧水として噴射される。噴射した水は、ケーシング7の開口部11の近傍の地盤を流動化させる。この流動化によりケーシング7の掘進は促進される。ケーシング7の促進に伴い、流動化した地盤の土砂は、基礎杭2とケーシング7内の間に留まり、泥水は上方にもたらされ、比重の重い土砂は下方へ留まることになる。
更に、ケーシング7の上部管壁には、複数の排水口(貫通孔)19が開けられていて、ケーシング7内で流動化した泥水の一部20が、この排出口19を介して、ケーシング7の外部へ排出できるようになっている。更に、ケーシング7が地中に掘進し、所定位置に達したとき、このケーシング7の排出口19の一部が基礎杭2の頭部位置に達したときには、基礎杭2をこの排出口19から目視で確認することができる。従って、この排出口19は、基礎杭2の確認窓としての機能を有する。
仮橋3上の地中杭の引き抜き装置1は、基本的に以上のような構成になっている。全ての装置は移動し易い形態をとっている。基礎杭2は、1つの橋脚に複数存在し、又河川の水位で水没しているので、工事を開始するに当たっては、基礎杭2の周囲を矢板鋼で囲い、中の水を排水して作業を行っている。基礎杭2の引き抜きは個々の杭毎に行う。引き抜き時に水は排水されているので、作業者は河川であっても杭の近傍で作業を行うことができる。ケーシング7は、引き抜き予定の基礎杭2の上部にクレーン5、ワイヤロープ6で吊り下げられながら所定位置に配置される。
[ケーシング7による掘削]
次に、ケーシング7を掘進させ、基礎杭2を引き上げることになるが、その工法を図3ないし図6にもとづき説明する。図3は、ケーシング7が基礎杭2上に設置して位置決めされる掘進直前の工程を示している。図3は上部を省略しているが、ケーシング7は前述したように1つの基礎杭2に対応し、クレーン5で吊り下げられた状態である。続いて、ケーシング7を図4に示すように地中に掘進させる。
この場合は、バイブロハンマー8が起動し、ケーシング7に振動を与える。同時に、ケーシング7下端に配置したノズル12から高圧水を地中に噴出させる。ケーシング7が基礎杭2に差し掛かったときには、図4に示すように水平状態にある補助部材16が、基礎杭2の頭部に接触し揺動し傾く、その状態で基礎杭2の外形部に沿って接触状態を維持しながら補助部材16と基礎杭2とは相対移動する。掘削された地盤の土砂は高圧水の噴出で流動化し、ケーシング7と基礎杭2の間に留まる。このとき、主に比重の軽い水分の多い土砂は、ケーシング7の排出口19から排出される。土砂中の比較的比重の重い砂等は、底部に体積しながら掘削が進行する。
流動化によりケーシング7の掘進は促進される。基礎杭2の径が異なっていても、杭径がケーシング内径よりも小さければ、ケーシング7内の補助部材16の揺動範囲内において通過可能である。従って、基礎杭2の外径、長さのばらつきがあっても、計測の必要なく、掘進を制限されずに続けることができる。ケーシング7が図4に示すように所定位置まで掘進すると、バイブロハンマー8による加振動作を停止させ、同時にノズル12からの高圧水の噴射も停止させる。ただし、ノズル12が土砂で詰まることもあり、実際の工事では少量の水を噴出させている。
[基礎杭2の把持]
ケーシング7の排出口19からは、比重の軽い泥水の一部20が排出される。又、ケーシング7が所定位置に停止したときには、この排出口19から基礎杭2の頭部を確認することができる。ケーシング7が停止したことで泥水の一部20は排出口19から排出されるが、その他の土砂はケーシング7と基礎杭2の間に補助部材16に保持されながら留まることになる。このままの状態で、続いて図5に示すように、ケーシング7を引き上げる。主に土砂を構成する材料(石分・礫分・砂分・細粒分・粘土分)が、ケーシング7内に固まって留まることになる。ただし、補助部材16が無くてもケーシング7の土砂が落下することはない。
ノズル12からの高圧水の噴射が大量に供給されている。このとき、この土砂材料の成分が砂分、礫分が多い場合、ケーシング7内の土壌に、バイブロハンマー8による加振動作は、地震の際に地下水位の高い砂地盤の場合、地震の振動により液体状になる現象、即ち液状化現象のような現象が発生する。液状化現象により、泥水のような水分は上部から排出され、これにより比較的比重が大きい砂分は沈下して密度が高くなり固まることになる。この液状化現象が発生しているとき、バイブロハンマー8の振動を止めると、ケーシング7内には水分が抜け、砂分等が緻密に詰まって締め固められた状態、即ち粒子間の隙間が少ない状態になり、砂分、礫分のみが残ることになる。この締め固められ、固化した砂分、礫分は、基礎杭2を外周面からチャックのように保持することになる。即ち、一般に既存杭となっている基礎杭2の表面は粗面になっているので、締め固められた砂分と基礎杭2の外周との間の摩擦力で基礎杭2を保持することになる。
同時に、ケーシング7を引き上げるときの引き上げ動作で補助部材16には、基礎杭2に楔状に食い込む力が発生する。従って、引き上げ時には補助部材16が基礎杭2を把持することになる。基礎杭2の表面は粗面になっているので、補助部材16は楔効果で基礎杭2に食い込みやすい構成になっている。しかも、4つの補助部材16は、各々がフリーに動作するので、基礎杭2の表面形状に倣って個別に摩擦力で把持力が強化される。又、土砂は泥水のない比重の重い状態でケーシング7内の基礎杭2全長に亘って留まった形になるので、土砂中の砂分、礫分との摩擦と圧力により、基礎杭2とケーシング7を一体化することになる。
なお、仮に、補助部材16が無くても、基礎杭2の引き上げ時に土砂がケーシング7の外に落ちること無く基礎杭2を保持する機能を有している。従って、補助部材16の主な機能は、基礎杭2を摩擦力による把持ではなく、ケーシング7内の土砂が崩壊して落下するのを防ぐ機能である。このような構成でケーシング7を地上に引き上げると、図5に示す構成となる。即ち、ケーシング7を掘進させ所定位置に達したらそのままの位置で引き上げると、図に示すように基礎杭2を固化した土砂と補助部材16とで把持して完全に引き抜くことができる。各基礎杭2の外径が異なる場合には、補助部材16の揺動角度が異なってくるが、主に前述した土砂の砂分、礫分の摩擦力により引き抜くことができる。
[基礎杭2の把持の解放]
地上に引き上げられたケーシング7は、例えば基礎杭2の下端が地表面上に当接した状態で加振動作を与えると、図6に示すように基礎杭2はケーシング7内の土砂が崩壊して、ケーシング7から土砂と共に地上に排出される。本構成によればケーシング7と基礎杭2の掴み変え等の操作は必要がない。このようにして、ケーシング7から基礎杭2と土砂を排出した後は、ケーシング7は空の状態になり図3に示す状態になる。
ケーシング7内の土砂は、排出されるとともに補助部材16は元の水平状態に復帰する。続いて、未引き抜き状態で残存している基礎杭2の位置にケーシング7を移動させて、同様動作を繰り返し、基礎杭2を引き抜いていく。以上のように、作業者はケーシング7を残存の基礎杭2の位置に移動し位置合わせをするのみである。引き抜かれた基礎杭2は、仮橋3上に持ち上げ、トラック等で保管場所へ運搬する。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこの形態に限定されることはなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。例えば、前述した実施の形態では、引き抜きの対象は、基礎杭2であったが、この基礎杭2は木杭、コンクリート杭、鋼管杭等杭の種類は問わない。また、杭以外の鋼矢板(シートパイル)等にも適用できるので、本発明でいう杭は狭義の基礎杭等の杭に限定されない。
1…地中杭の引き抜き装置
2…基礎杭
3…仮橋
5…クレーン
6…ワイヤロープ
7…ケーシング
8…バイブロハンマー
12…ノズル
13…ジェットポンプ装置
16…補助部材
17…支持体
18…揺動軸
19…排水口

Claims (5)

  1. 地中に埋設された既存杭(2)の位置に移動し、前記既存杭(2)の外周に配置したケーシング(7)を振動させて前記既存杭(2)の外周の地盤を掘削する工程と、
    前記振動を与えると同時に、前記ケーシング(7)外周に設けられたノズル(12)より、前記ケーシング(7)の下部の土壌に高圧水を噴射し土壌を流動化する工程と、
    前記ケーシング(7)内の泥水のような水分は上部から排出され、比較的比重が大きい砂分は沈下して密度が高くなり固まる液状化現象が発生した後、 前記振動を止めて地中の所定深度で前記ケーシング(7)を停止後、流動化した前記ケーシング(7)内の土砂の固化により前記既存杭(2)を保持する工程と、
    前記ケーシング(7)内の土砂と共に、前記既存杭(2)を保持した前記ケーシング(7)を地上へ引き上げ前記既存杭(2)を地中から引き抜く工程と、
    地上に引き上げた前記ケーシング(7)に振動を与え、前記ケーシング(7)内の土砂と前記既存杭(2)の保持を解消し、前記既存杭(2)を前記ケーシング(7)外へ排出する工程と
    からなる地中杭の引き抜き工法。
  2. 請求項1に記載された地中杭の引き抜き工法において、
    前記ケーシング(7)の下部には前記土砂の落下防止するための補助的な棒状又は板状の補助部材(16)を配置し、前記補助部材(16)は鉛直方向の上方へのみフリーで揺動する揺動動作機能を有して、前記基礎杭(2)の外周面の土砂を保持する構成であることを特徴とする地中杭の引き抜き工法。
  3. 請求項1に記載された地中杭の引き抜き工法において、
    前記ケーシング(7)は、外周に上部に複数の貫通孔(19)を有し、この貫通孔(19)を介して前記ケーシング(7)内の泥水を前記ケーシング(7)外に排出する構成になっていることを特徴とする地中杭の引き抜き工法。
  4. 請求項1に記載された地中杭の引き抜き工法において、
    前記ケーシング(7)は、移動自在なクレーン(5)によって吊り上げられることを特徴とする地中杭の引き抜き工法。
  5. 内部が空洞で埋設された既存杭(2)の周囲を囲って、前記既存杭(2)の外周の地盤を掘削し上部のみに泥水排出用の複数の貫通孔(19)を有するケーシング(7)と、
    前記ケーシング(7)の上部に設けられ前記ケーシング(7)に振動を与える加振装置(8)と、
    前記ケーシング(7)下部に設けられ、高圧水供給装置(13,14)からの供給で掘削側の土砂に高圧水を噴射し流動化させるノズル(12)と、
    前記ケーシング(7)の開口部近傍の内壁に支持体(17)を介して設けられ、ストッパー(17a)の制約で鉛直方向上方のみフリーで揺動する揺動動作機能を有し前記既存杭(2)の外周面に接し、液状化により土砂が密に締め固められ固化した地盤の土砂の落下を補助的に保持する複数の補助部材(16)と
    からなる地中杭の引き抜き装置。
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