JP5826144B2 - 廃インクタンク、インクジェット記録装置、及び廃インクタンクによる廃インクの回収方法 - Google Patents

廃インクタンク、インクジェット記録装置、及び廃インクタンクによる廃インクの回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、廃インクタンク、インクジェット記録装置、及び廃インクタンクによる廃インクに関する。
インクジェット記録装置は、インク噴射用ノズル(ノズル)が形成されたノズル面を有する複数の記録ヘッドと、複数の記録ヘッドそれぞれに対応して記録ヘッドの下方に配置可能なノズルキャップ部材と、ノズルキャップ部材の下方へ移動可能に配置される廃インクトレイと、を備えているものがある。ノズルキャップ部材には、ノズルから排出されたインクが一旦溜まるようになっている。特に、記録(印刷)開始時にノズルの詰まりを解消するためのインクの噴射(いわゆる吐出回復処理(パージ))を行ったときに、ノズルキャップ部材には、ノズルから排出された相当量のインクが一旦溜まることになる。
廃インクトレイは、ノズルキャップ部材に一旦溜まったインクや、ノズルキャップ部材から溢れたインクを、受ける。廃インクトレイに受け止められたインクは、例えばポンプ等の吸引力によって、廃インクタンクに送られ溜められる。
しかし、廃インクタンクに溜められる廃インクは、乾燥により増粘しやすく、廃インクタンクに投入されると、その投入された部分で堆積しやすくなっていた。このため、廃インクタンク中に均一に廃液インクが広がりにくく、回収効率の低下が問題となっていた。
そこで、廃インクよりも比重が軽く、廃インクとの相溶性が低い有機溶剤が収容された廃インクトレイを備える廃液タンクが知られている(特許文献1参照)。
特開2008−1083号公報
特許文献1に記載の廃液タンクでは、有機溶剤により、廃インクからの溶媒の揮発を抑制することができることにより、廃インクの増粘は防げる。しかし、長期間にわたり廃インクタンクに廃インクを貯留し続ける場合には、インクジェット記録装置の外部からの腐敗菌やカビの混入により、廃インクが腐敗することがある。廃インクが腐敗すると、廃インクの臭気も問題となる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、長期間インクを溜めた場合であっても、インクの腐敗を抑制できる廃インクタンク、インクジェット記録装置、及び廃インクタンクによる廃インクを提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、所定の容積を有する樹脂製の胴部と、上部から廃インクを流入させる開口部とを有する、インクジェット記録装置用の廃インクタンクであって、
前記胴部は、前記廃インクと接する内層が、抗菌剤を含有する非晶質樹脂であり、
前記抗菌剤の前記内層における含有量は、前記廃インクタンクの最大液面高さhを2等分するh/2における仮想水平面を境に、それより下方においては平均1.0質量%以上であり、それより上方においては平均1.5質量%以上であり、
前記廃インクタンクの形状は、前記上方の上部容積が、前記下方の下部容積よりも小さくなる形状である廃インクタンクに関する。
本発明の第二の態様は、インクの液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
第一の態様に係る廃インクタンクと、を備えるインクジェット記録装置に関する。
本発明の第三の態様は、インクの液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置に用いられる、第一の態様に係る廃インクタンクによる、廃インク回収方法に関する。
本発明によれば、長期間インクを溜めた場合であっても、インクの腐敗を抑制できる廃インクタンクを提供できる。
本発明のインクジェット記録装置1の概要を正面側から模式的に示す縦断面図である。 インクジェット記録装置1について、記録部20及び搬送ユニット30の周辺部を示す図である。 インクジェット記録装置1について、記録部20、搬送ユニット30及びキャップユニット50の周辺部を示す平面図である。 図2に示すインクジェット記録装置1の下方にキャップ51が移動した状態を示す正面図である。 キャップユニット50の全体構造を模式的に示す縦断面図である。 廃インクタンク561の形状の具体例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の廃インクタンクは、所定の容積を有する樹脂製の胴部と、上部から廃インクを流入させる開口部とを有する、インクジェット記録装置用の廃インクタンクである。そして、胴部は、廃インクと接する内層が、抗菌剤を含有する非晶質樹脂であり、抗菌剤の内層における含有量は、廃インクタンクの最大液面高さhを2等分するh/2における仮想水平面を境に、それより下方においては平均1.0質量%以上であり、それより上方においては平均1.5質量%以上である。また、廃インクタンクの形状は、上方の上部容積が、下方の下部容積よりも小さくなる形状である。
以下、本発明の廃インクタンクを好適に用いることができるインクジェット記録装置、及び廃インクタンクについて説明する。
[インクジェット記録装置]
インクジェット記録装置の記録方式は、特に限定されず、記録ヘッドが被記録媒体上を走査しながら記録を行うシリアル型であっても、例えば、装置本体に固定された記録ヘッドにより記録を行うラインヘッド型であってもよい。インクジェット記録装置としては、画像形成の高速性の点からラインヘッド型の記録ヘッドを備える記録装置が好ましく、被記録媒体を搬送する方向に対して垂直方向に設置された長尺のラインヘッドを備える記録装置がより好ましい。
以下、図面を参照して、インクジェット記録装置として、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置について説明する。
図1から図4により、インクジェット記録装置1における全体構造の概要を説明する。図1は、インクジェット記録装置1の概要を模式的に示す縦断面図である。図2は、インクジェット記録装置1について、記録部20及び搬送ユニット30の周辺部を示す図である。図3は、インクジェット記録装置1について、記録部20、搬送ユニット30及びキャップユニット50の周辺部を示す平面図である。図4は、図2に示すインクジェット記録装置1の下方にキャップ51が移動した状態を示す図である。
図1から図4に示すように、インクジェット記録装置1は、本体2内に、記録部20と、搬送ユニット30と、搬送ユニット30の昇降装置40と、キャップユニット50と、を備える。
インクジェット記録装置1は、更に、給紙カセット3と、給紙ローラー4と、用紙搬送路5と、レジストローラー対6と、乾燥装置7と、排紙ローラー対8と、排紙口9と、排紙トレイ10と、を備える。
図1から図4に示すように、搬送ユニット30は、駆動ローラー32と、従動ローラー33と、駆動ローラー32及び従動ローラー33に掛け渡される搬送ベルト31と、搬送ベルト31のテンションを調整するテンションローラー34と、空気吸引ユニット36と、を有する。搬送ベルト31及び空気吸引ユニット36の上面には、それぞれ吸引用の貫通孔(図示せず)が多数設けられている。
駆動ローラー32及び従動ローラー33が正面視で反時計方向に回転することにより、搬送ベルト31の上面部分で形成される搬送面31Aは、水平面(X−Y平面)内の用紙搬送方向Pの一方から他方に向けて水平方向に移動される。つまり、搬送ベルト31の搬送面31A上においては、用紙搬送方向Pは、水平方向Xとほぼ一致する。空気吸引ユニット36は、搬送ベルト31の搬送面31Aの下側(反対側)に配置される。
搬送ベルト31としては、両端部を互いに重ね合わせて接合してエンドレス状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルト等を用いることができる。
図2及び図3に示すように、所定の記録時には、記録媒体としての用紙Tは、搬送ベルト31の搬送面31A上に、用紙搬送方向Pの一方側から導入される。搬送面31Aには、空気吸引ユニット36の動作に伴って、前記の吸引用の貫通孔(図示せず)を介して搬送ベルト31に作用する吸引力が生じている。搬送ベルト31の搬送面31A上に導入された用紙Tは、前記吸引力により搬送面31Aに吸着されて、用紙搬送方向Pの他方側に向けて搬送される。このように搬送ベルト31の搬送面31Aに吸着された状態で搬送される用紙Tに向けて、後述する記録部20の記録ヘッド22からインクが吐出されることにより、用紙Tに画像等が記録される(印刷される)。
図1に示すように、給紙カセット3は、用紙Tを積層状態で収容するものであり、本体2の内部の下方における搬送ユニット30の用紙搬送方向Pの上流側に配置されている。給紙ローラー4は、給紙カセット3の上方に配置されている。この給紙ローラー4により、用紙Tは、図1における給紙カセット3の右上方に向けて送り出される。
用紙搬送路5、レジストローラー対6、記録部20及び搬送ユニット30は、給紙カセット3の用紙搬送方向Pの下流側に配置されている。給紙カセット3から送り出された用紙Tは、用紙搬送路5を通ってレジストローラー対6に到達する。レジストローラー対6は、用紙Tの斜め送りを矯正して、用紙Tを再度送り出す。記録部20とレジストローラー対6との間の用紙搬送路5には、用紙先端検出センサ(図示せず)が設けられる。この用紙先端検出センサにより、用紙Tの先端部が検出され、その検出されたタイミングに基づいて、記録部20は、後述するようなインクの吐出動作を実行する。
図1に示すように、乾燥装置7は、本体2の内部の上方における搬送ユニット30の用紙搬送方向Pの下流側に配置されている。乾燥装置7は、記録部20において吐出されるインクにより記録された後における用紙Tのインクを乾燥させる。
排紙ローラー対8、排紙口9及び排紙トレイ10は、乾燥装置7の用紙搬送方向Pの下流側に、この順で配置されている。乾燥装置7によりインクの乾燥が終了した用紙Tは、排紙ローラー対8により用紙搬送方向Pの下流側に送られ、排紙口9を通して、本体2の外側に設けられた排紙トレイ10に送られて、本体2の外部に排出される。
図1から図3に示すように、記録部20は、4色に対応する記録ヘッド22を備える。4色に対応する記録ヘッド22とは、ブラック用の記録ヘッド22K、シアン用の記録ヘッド22C、マゼンタ用の記録ヘッド22M及びイエロー用の記録ヘッド22Yである。これら4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yは、用紙搬送方向P(水平方向X)に対して直交する用紙幅方向Yに沿って長く延びている。記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yは、搬送ベルト31の用紙搬送方向Pに沿い、用紙搬送方向Pの上流側から下流側に向かって順に配列して配置されている。4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yそれぞれにおいて、1色の記録ヘッドにあたり3個の記録ヘッドが、用紙幅方向Yに沿って千鳥状に配置している。
図1に示すように、搬送ユニット30の下方には、4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yそれぞれに対応して、4台のインクタンク23K、23C、23M及び23Yが配置されている。4色のインクは、それぞれ4台のインクタンク23K、23C、23M及び23Yから供給チューブ(図示せず)を経て、4色のインクが対応する記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yに補給される。
なお、以下の説明において、特に特定する必要がある場合を除いて、4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Y並びに4台のインクタンク23K、23C、23M及び23Yの識別記号である「K」、「C」、「M」及び「Y」については省略して、単に「記録ヘッド22」及び「インクタンク23」と記載する。後述する「キャップ51」、「廃インクトレイ61」、「第1インク誘導傾斜部62」、「インク流動路67」等についても、同様に記載する。
記録部20の各記録ヘッド22は、外部コンピューター(図示せず)から受信した画像データ情報(例えば、文字、図形、模様)に基づいて、搬送ベルト31の搬送面31A上に載置された用紙Tに向かって4色のインクを吐出する。図2及び図3に示すように、各記録ヘッド22は、記録ヘッド支持部材21に支持されており、この記録ヘッド支持部材21と共に、本体2に固定されている。そして、搬送ベルト31の回転移動と共に、所定のタイミングで各記録ヘッド22から、4色のインクが順次吐出される。これにより、用紙Tには、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色のインクが重ね合わせられ、カラーインク画像が印刷される。
記録ヘッド22からのインク吐出方式としては、例えば、ピエゾ素子(図示せず)を用いてインクを押し出すピエゾ方式や、発熱体(図示せず)によって気泡を発生させ、圧力を掛けてインクを吐出するサーマルインクジェット方式等の各種吐出方式を採用することができる。
図1に示すように、搬送ユニット30の昇降装置40は、搬送ユニット30の下方に配置されている。昇降装置40は、搬送ユニット30を記録ヘッド22に対して、水平面(X−Y平面)に垂直な方向Z(以下「上下方向Z」ともいう)に昇降(移動)させるものである。この昇降装置40による搬送ユニット30の上下方向Zの移動により、搬送ベルト31の搬送面31Aは、記録ヘッド22のノズル面221(図5参照)に対して相対的に接近又は離間可能に構成されている。
図1に示すように、昇降装置40は、搬送ベルト31の下方における用紙搬送方向Pの上流側及び下流側に配置された2つの偏心カム41を備える。偏心カム41は、搬送ユニット30の正面側及び背面側にそれぞれ2個ずつ、合計4個設けられる。偏心カム41の偏心周面は、搬送ユニット30の外底面に下方から接近する。図1に示すように、各偏心カム41は、用紙幅方向Yに延びる軸部42を備えると共に、回転軸線が偏在するカムで構成される。偏心カム41は、モーター(図示せず)を介して、軸部42を中心として回転される。偏心カム41は、その周縁部に、複数のベアリング43を備えている。ベアリング43の周面の一部は、偏心カム41の周面から外方に突出している。
ベアリング43は、偏心カム41の回転軸線と平行な軸線を中心として回転自在となっている。ベアリング43は、偏心カム41の先端側から回転軸線側に向かって順次配置されている。通常の印刷状態においては、図1に示すように、軸部42から最も離れたベアリング43は、搬送ユニット30の外底面に下方から当接する。これにより、搬送ユニット30は、図2に示す最高位置に上昇移動される。
この状態から、用紙搬送方向Pの上流側の偏心カム41を正面視で反時計方向に回転させると共に、用紙搬送方向Pの下流側の偏心カム41を正面視で時計方向に回転させる。これにより、複数のベアリング43は、軸部42から最も離れたベアリング43から軸部42に最も近いベアリング43の順で、搬送ユニット30の外底面に順次当接する。そのため、搬送ユニット30を下降させることができる。
複数のベアリング43は、偏心カム41の回転時において、周縁方向で隣り合う2個のベアリング43が同時に搬送ユニット30の外底面に当接する期間を有するような間隔に、配置されている。
昇降装置40の偏心カム41を回転させて搬送ユニット30を下降させることにより、図4に示すように、搬送ユニット30における搬送ベルト31の搬送面31Aは、記録ヘッド22に対して下方に離間される。これにより、記録ヘッド22からキャップユニット50が離脱される。そして、キャップユニット50が記録ヘッド22から離脱された状態で、記録ヘッド22のインク噴射用ノズル(図示せず)からインクを噴射させることにより、ノズル内に残留する高い粘度のインクを吐出させてインク詰まりを解消するための吐出回復処理、すなわち、パージを実行することが可能である。
一方、昇降装置40の偏心カム41を前述とは逆方向に回転させて搬送ユニット30を上昇させることにより、図2に示すように、搬送ユニット30は通常の記録位置(印刷位置)に戻される。これによって、記録ヘッド22のノズル面221にキャップユニット50を装着することが可能となる。
図2から図4に示すように、キャップユニット50は、画像形成時には記録部20の側方(用紙搬送領域外)の位置であって下方の位置に配置される。また、キャップユニット50は、必要に応じて、記録部20の下方に移動する。キャップユニット50は、キャップ51と、廃インクトレイ61と、キャップベース部材52と、スライド機構53と、図示しない垂直駆動機構と、を備えている。キャップユニット50は、スライド機構53(図3参照)により、用紙搬送方向Pに水平移動可能に構成されている。なお、図2及び図4においては、キャップユニット50のスライド機構53の描画を省略している。
キャップユニット50は、搬送ユニット30の上方に配置されており、昇降装置40により、搬送ユニット30と共に昇降可能に構成されている。そのため、キャップユニット50は、記録ヘッド22に対してキャップ51を着脱できる。
図3に示すように、キャップ51は、用紙搬送方向P(X)に沿って色(4色)毎に配置され、更に、用紙幅方向Yに千鳥状に配列した3個の記録ヘッド22に対応する3箇所に配置され、色毎に3個ずつ、計12個設けられている。
廃インクトレイ61は、1色における3個のキャップ51に対応して、キャップ51の下方に1色に1個配置される。4色それぞれに対応する4個の廃インクトレイ61は、一体的に構成されており、受け部ユニット60を形成している。
キャップベース部材52は、キャップ51及び受け部ユニット60を保持している。
スライド機構53は、図3に示すように、記録部20や搬送ユニット30が配置された箇所から背面側に向かって、用紙搬送方向Pと直交する用紙幅方向Yに延びている。スライド機構53は、用紙搬送方向Pに間隔を置いて配置された2個の無端状の移送ベルト54を備えている。
そして、移送ベルト54は、それら2個の移送ベルト54の間に跨る形で、キャップベース部材52を支持している。これにより、スライド機構53は、図3に示すように、キャップベース部材52を、記録部20のすぐ下方の装着位置(二点鎖線で示す)と、記録部20の配置箇所の背面側に位置する退避位置との間で、スライド移動させることができる。すなわち、スライド機構53により、キャップ51は、記録ヘッド22に対して、記録ヘッド22の下方である装着位置と、記録部20の背面側に位置する退避位置との2位置を採り得る。
キャップユニット50によって、キャップ51は、記録ヘッド22に装着される。その動作を以下に説明する。
プリンター1は、キャップ51を各記録ヘッド22に装着する際、昇降装置40(図1参照)を用いて、図4に示すように、搬送ユニット30を通常の印刷時の位置より降下させる。これにより、記録ヘッド22を備える記録部20と、搬送ユニット30との間に間隙ができる。
その後、スライド機構53を用いて、キャップベース部材52を、記録部20の記録ヘッド22と搬送ユニット30との間に生じた間隙に挿入させる。そして、キャップベース部材52を、記録ヘッド22の下方に配置し、図示しない垂直駆動機構により上昇させる。これにより、キャップ51を、記録ヘッド22の底面にあるノズル面221(図5参照)に当接させて、装着する。垂直駆動機構としては、例えば、キャップベース部材52の四隅に配したカム等を同期的に駆動させる機構等が用いられる。
次に、図5、及び図6を参照して、インクジェット記録装置1における特徴部分に係る構成について詳細に説明する。図5は、キャップユニット50の全体構造を模式的に示す縦断面図である。図6は、廃インクタンクの形状の具体例を示す図である。
図5に示すように、キャップユニット50は、キャップ51と、受け部ユニット60(廃インクトレイ61)と、廃インクタンク561と、チューブ562と、を備える。
同じ色に係る記録ヘッド22及びキャップ51は、図3に示すように、平面視で用紙幅方向Yに沿って千鳥状に配置されているが、図5においては、便宜上、同じ色に係る記録ヘッド22及びキャップ51が、用紙幅方向Yに沿って直線状に配置されているように示す。
図3に示すように、キャップ51は、3個の記録ヘッド22それぞれに対応して3個設けられ、各記録ヘッド22の下方に配置可能に構成される。図5及び6に示すように、廃インクタンク561は、搬送ユニット30とは干渉しない位置に配置される。チューブ562は、廃インクトレイ61の第1インク排出孔64と廃インクタンク561の開口部721とを連通させる。
図5に示すように、キャップ51は、記録ヘッド22のインク噴射用ノズル(図示せず)から排出されたインクを受け止める部材として機能する。各キャップ51は、第2底面511が形成された第2底壁部512と、第2周壁部513と、第2インク排出部としての第2インク排出孔514と、を有する。
図5に示すように、各キャップ51の第2底面511は、記録ヘッド22のノズル面221と対向しており、第2周壁部513から第2インク排出孔514に向けて下がるように傾斜している。
第2周壁部513は、第2底壁部512の周縁部から上方に起立する。第2インク排出孔514は、第2底面511の中央位置に形成されており、第2底面511で受け止めたインクを、下方に位置する廃インクトレイ61に排出させる孔である。
キャップ51は、複数の記録ヘッド22それぞれに対応して、上下方向Zにおいて記録ヘッド22と廃インクトレイ61との間に配置可能とされている。キャップ51は、インク噴射用ノズルから排出されたインクを受け止め、受け止めたインクを第2インク排出孔514から廃インクトレイ61に排出する。また、3個のキャップ51は、第2周壁部513の外面同士が繋ぎプレート515を介して連結されて一体化され、第2キャップユニット516を構成している。この第2キャップユニット516は、樹脂材料により一体成形されている。
図5に示すように、チューブ562は、一端部(上端部)において廃インクトレイ61の第1インク排出孔64に接続され、他端部(下端部)において廃インクタンク561に接続されており、廃インクタンク561の内部に開口している。これによって、廃インクトレイ61において受け止められ且つ第1インク排出孔64から併せて排出されるインクを、チューブ562を介して、廃インクタンク561の内部に流通させ、貯留することが可能である。
また、図5に示すように、圧縮バネ58は、上下方向Zにおいて各キャップ51と廃インクトレイ61との間に配置されている。圧縮バネ58は、キャップユニット50が昇降装置40により搬送ユニット30と共に記録ヘッド22側に上昇されて、各キャップ51が対応する各記録ヘッド22のノズル面221を覆った状態において、各キャップ51をノズル面221に向けて弾性的に移動させるように付勢する。
次に、廃インクタンク561について詳述する。
〔廃インクタンク〕
本発明の廃インクタンク561は、廃インクタンク561の内層711を構成する非晶質樹脂が、必須成分として抗菌剤を含有する抗菌剤含有樹脂組成物である。内層711に非晶質樹脂を用いることで、廃インクタンク561に溜められた廃インクによって、非晶質樹脂が溶解される。そして、非晶質樹脂が溶解されると、菌の繁殖を抑制する抗菌剤を廃インクに供給することができる。
廃インクタンク561の形状を、図6A−1〜4、B−1、D−1及び2、並びにE−1を参照して説明する。図6A−2〜4は、図6A−1の断面図を示し、図6D−2は、図6D−1の断面図を示す。なお、図6E−1の断面図は、図6A−1の断面図である図6A−2〜3と同じである。
廃インクタンク561の形状は、図6A−1〜4、B−1、D−1及び2、並びにE−1に示すように、仮想水平面74より上方の上部容積が、仮想水平面74より下方の下部容積よりも小さくなる形状である。より具体的には、仮想水平面74より上方の上部容積は、30cm以上600cm以下が好ましく、200cm以上400cm以下がより好ましい。一方、仮想水平面74より下方の下部容積は、70cm以上900cm以下が好ましく、300cm以上600cm以下がより好ましい。
このような形状を有していることにより、廃インクタンク561上部ほど、廃インクは、体積当たりの内層711に接する面積が増える。つまり、廃インクタンク561の上部ほど、廃インクの体積に対する、非晶質樹脂から供給される抗菌剤の量が増えるため、長期間インクを溜めた場合であっても、インクの腐敗を抑制できる。また、後述するように、内層711における非晶質樹脂組成物中の抗菌剤の含有量は、上方ほど多いため、廃インクタンク561に溜まった廃インクの液面が高くなり、廃インクが廃インクタンク561に留まっている時間が長くなった結果、腐敗菌やカビが増殖しやすい状態にあっても、効果的に腐敗菌やカビによる腐敗の発生を抑制できる。
このように、仮想水平面74より上方の上部容積が、仮想水平面74より下方の下部容積よりも小さくなる形状としては、例えば、廃インクタンク561の形状は、図6A−1、D−1、及びE−1に示すように、下方から上方に向かって連続に縮径する形状や、図6B−1に示すように、下方から上方に向かって不連続に縮径する形状が好ましく用いられる。
更に、廃インクタンク561の形状は、図6A−1〜4、B−1、D−1及び2、並びにE−1に示すような、底面を構成する内層底面が下方に向かって窪む凹形状をなしているのが好ましい。具体的には、図6A−1〜4、及びB−1に示す廃インクタンク561の底面は、谷を形成している。図6D−1及び2に示す廃インクタンク561の底面は、球面を形成している。また、図6E−1に示す廃インクタンク561の底面はすり鉢状である。
そして、より具体的には、底面の略中央に向かって傾斜する底面傾斜部73を有し、その傾斜角度が、水平面に対して2°以上10°以下であるのがより好ましい。こうすることで、廃インクタンク561に流入した廃インクが廃インクタンク561の中央部に溜まりやすくなり、効率よく廃インクを回収することができる。
続いて、本発明の廃インクタンク561を構成する各部材について説明する。廃インクタンク561は、図6に示すように、所定の容積を有する樹脂製の胴部71と、上部72から廃インクを流入させる開口部721とを有している。
開口部721は、上部72の中央付近に設けるのが好ましく、中央部に設けるのが特に好ましい。開口部721は、チューブ562を介して第1インク排出孔64と連通しており、第1インク排出孔64から、チューブ562を通って排出される廃インクを、廃インクタンク561へと流入させるために設けられている。廃インクトレイ61で受け止められた廃インクは、重力により、第1インク排出孔64から開口部721へと流れて、廃インクタンク561に流入させることができる。
また、上部72は、開口部721とは別に、インク回収用のポンプを設けていてもよい。ポンプは、チューブ等を介して廃インクタンク561と連通し、廃インクトレイ61で受け止められた廃インクを、吸引力により廃インクタンク561へ流すことができる。
胴部71は、上部72の開口部721から流入された廃インクを溜める。胴部71の構造は、廃インクと接し、抗菌剤を含有する非晶質樹脂である内層711を有する限り、特に限定されない。胴部71が取りうる構造としては、例えば、図6A−2及び3に示すように、抗菌剤を含有する非晶質樹脂である内層711のみからなる単層構造、並びに、図6−A4に示すように、抗菌剤を含有する非晶質樹脂である内層711と、外層712との二層を形成する多層構造等が挙げられる。
また、多層構造としては、内層711及び外層712の何れか一方、又は双方が複数の層を形成する多層構造等も挙げられる。胴部71の構造としては、耐久性、堅牢性の点から、二層以上の多層構造が好ましい。また、廃インクタンクの最大液面高さhを2等分するh/2における仮想水平面74より下方のみを多層とし、仮想水平面74より上方を単層とする構造としてもよい。
胴部71の内層711の厚さは、0.5mm以上1.5mm以下が好ましく、0.7mm以上1.3mm以下がより好ましい。また、多層構造として、胴部71が外層712を備える場合、その厚さは、0.5mm以上1.5mm以下が好ましく、0.7mm以上1.3mm以下がより好ましい。
また、廃インクタンクの最大液面高さ(胴部71における、底面の最下部から上部72までの高さ)は、5cm以上20cm以下が好ましく、10cm以上15cm以下がより好ましい。
内層711を構成する抗菌剤を含有させる非晶質樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂(PS)、AS樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、及びポリカーボネート(PC)等が挙げられる。これらの中でも特に、インクに対する溶解度、経済性、及び成形のしやすさの点から、ABS樹脂が好ましい。
胴部71が多層構造である場合、外層712を構成する材料としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、及びPPS樹脂等の結晶性樹脂材料や、ステンレスやアルミニウム等の金属材料やそれらの合金材料等が挙げられる。これらの中でも特に、強度、重さ、経済性、及び成形のしやすさの点から、結晶性樹脂材料が好ましく、結晶性樹脂材料の中でも特に、ポリアセタール(POM)樹脂が好ましい。
内層711を構成する非晶質樹脂は、必須成分として抗菌剤を含有する抗菌剤含有樹脂組成物である。内層711に非晶質樹脂を用いることで、廃インクタンク561に溜められた廃インクによって、非晶質樹脂が溶解される。そして、非晶質樹脂が溶解されると、菌の繁殖を抑制する抗菌剤を廃インクに供給することができる。以下、内層711を構成する非晶質樹脂に含まれる抗菌剤について説明する。
(抗菌剤)
非晶質樹脂にて含まれる抗菌剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来から、インクジェット記録装置用インク等に使用されている抗菌剤から適宜選択して使用できる。好適な抗菌剤の具体例としては、銀イオンを担持させたゼオライト、及び銅イオン、亜鉛イオン、クロムイオンを担持させたゼオライト系抗菌剤;ベンズイミダゾール、ニトロイミダゾール、2−ビニルイミダゾールのイミダゾール系抗菌剤;銀錯体を利用したシリカゲル系抗菌剤が挙げられる。この中でも、特に、ゼオライト系抗菌剤が好ましく、ゼオライト系抗菌剤の中でも特に、銀イオンを担持させたゼオライトが好ましい。
抗菌剤の内層711における含有量は、廃インクタンクの最大液面高さhを2等分するh/2における仮想水平面74を境に、それより下方においては平均1.0質量%以上であり、それより上方においては平均1.5質量%以上である。このようにすることで、廃インクタンク561内での廃インク液面が高くなるにつれて、非晶質樹脂から供給される抗菌剤の量が増えるため、長期間インクを溜めた場合であっても、インクの腐敗を抑制できる。
また、通常、廃インクタンク561に溜まった廃インクの液面が高くなるに連れて、その廃インクが廃インクタンク561に留まっている時間が長くなっているため、腐敗菌やカビが増殖しやすい状態にある。しかし、内層711は上部ほど抗菌剤の含有量が多いため、効果的に腐敗菌やカビによる腐敗の発生を抑制できる。
このような内層711の構造としては、限定されないが、例えば、以下の(1)〜(3)の構造が挙げられる。
(1)内層711に用いられる非晶質樹脂の抗菌剤の含有量が1.5質量%である構造。
(2)図6−A2に示すように、仮想水平面74より下方である下部内層711Dに用いられる非晶質樹脂の抗菌剤の含有量が1.0質量%であり、仮想水平面74より上方である上部内層711Uに用いられる非晶質樹脂の抗菌剤の含有量が1.5質量%である構造。
(3)図6−A3に示すように、廃インクタンクの最大液面高さhを3等分する、h/3における第1仮想水平面751と、2h/3における第2仮想水平面752とを境として、第1仮想水平面751より下方である下部内層711Lに用いられる非晶質樹脂の抗菌剤の含有量が0.9質量%であり、第1仮想水平面751と第2仮想水平面752との間の中部内層711Mに用いられる非晶質樹脂の抗菌剤の含有量が1.2質量%であり、第2仮想水平面752より上方である上部内層711Hに用いられる非晶質樹脂の抗菌剤の含有量が1.8質量%である構造。
(1)の構造では、抗菌剤の内層711における含有量が、仮想水平面74を基準として下方、上方共に1.5質量%となる。また、(2)の構造では、抗菌剤の内層711における含有量が、仮想水平面74を基準として下方は1.0質量%、上方は1.5質量%となる。また、(3)の構造では、抗菌剤の内層711における含有量が、仮想水平面74を基準として下方は、1.0質量%、上方は1.6質量%となる。
従って、(3)の構造のように、抗菌剤の内層711における含有量が、仮想水平面74より下方においては平均1.0質量%以上であり、仮想水平面74より上方においては平均1.5質量%以上であれば、抗菌剤の含有量が異なる非晶質樹脂を多段階に有する構造からなる内層711を用いることもできる。
より好ましい抗菌剤の内層711における含有量は、仮想水平面74より下方においては平均1.0質量%以上5.0質量%以下であり、仮想水平面74より上方においては、平均1.5質量%以上8.0質量%以下である。内層711を構成する非晶質樹脂は、できるだけ多くの量の抗菌剤を含有することで、廃インクの腐敗菌やカビの繁殖を抑制しやすくなるが、抗菌剤の含有量が過多である場合、強度に優れ、成形しやすい抗菌剤含有樹脂組成物を得にくい。また、本来の抗菌効果を十分に発揮しにくい場合もある。
また、内層711において、仮想水平面74より下方の樹脂組成物の平均抗菌剤含有量(D)と、仮想水平面74より上方の樹脂組成物の平均抗菌剤含有量(U)との含有量比(U/D)は、1.0以上2.0以下が好ましく、1.2以上1.8以下がより好ましい。
含有量比(U/D)をこのような範囲とすることで、比較的、長期間にわたって廃インクと接する仮想水平面74より下方の樹脂組成物であっても、廃インクの腐敗を抑制しつつ、内層711の強度を保つことができる。そして、比較的、期間がある程度経過した後であって、腐敗菌やカビの繁殖しやすい状況にある廃インクと接しやすい仮想水平面74より上方の樹脂組成物によって、効果的に廃インクの腐敗を抑制することができる。
<廃インクタンクの製造方法>
廃インクタンク561を製造する方法は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来知られる方法から適宜選択できる。廃インクタンク561の製造方法としては、廃インクタンク561が単層構造の場合、例えば、公知のプラスチック成形品の製造方法と同様の方法を用いて、抗菌剤を含有する非晶質樹脂組成物を成形する方法が挙げられる。例えば、内層711が上記(2)の構造である場合、それぞれ抗菌剤の含有量が異なる、仮想水平面74より下方である下部内層711Dの非晶質樹脂組成物と、仮想水平面74より上方である上部内層711Uの非晶質樹脂組成物と、をそれぞれ別個に成形し、それらを接着又は溶着等の方法により接合する方法等である。
また、廃インクタンク561が多層構造の場合、例えば、複数の層を一体成形する方法、内層711と外層712とを別個に成形した後、又は複数の層を別個に形成した後、それらを接着又は溶着等の方法により接合する方法、及び外層712を成形した後、抗菌剤を含有した非晶質樹脂の樹脂組成物を含む塗料を外層712表面に塗工することによって内層711を成形する方法が挙げられる。これらの中でも、廃インクタンク561を製造する方法としては、製造した廃インクタンク561が耐久性、機械的特性に優れる点や、経済性に優れる点から、一体成形により製造する方法が好ましい。なお樹脂の成形方法は特に限定されないが、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形、ブロー成形等種々の成形方法を挙げることができる。
非晶質樹脂に抗菌剤を含有させる方法としては、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、例えば、溶融状態にある非晶質樹脂に、銀イオンを担持させたゼオライトを添加して、非晶質樹脂に含有させる方法が挙げられる。
以上説明した廃インクタンクによれば、長期間インクを溜めた場合であっても、インクの腐敗を抑制できる。
[実施例1〜6、及び比較例1〜5]
実施例1〜6、及び比較例1〜5の廃インクタンクを、下記の通り製造した。
〔廃インクタンクの製造〕
内層、及び外層の材料として表1に記載の樹脂を用い、内層を、上記(2)の構造として説明した、下部内層と上部内層からなる構造として、それぞれ、抗菌剤含有樹脂組成物中の抗菌剤の種類及び含有量を表1に記載の量として廃インクタンクを成形した。また、底面傾斜部の傾斜角度を表1に記載の角度とし、廃インクタンクの形状を表1に記載の形状となるように成形した。
なお、表1に記載する樹脂であるABS、及びPOMは以下の通りである。
ABS:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(330(テクノポリマー株式会社製))
POM:ポリアセタール樹脂(C4520(旭化成ケミカルズ株式会社製))
また、表1に記載する廃インクタンクの形状A、B及びCは以下の通りである。
形状A:図6A−1に示す形状(下方から上方に向かって連続に縮径する形状)
形状B:図6B−1に示す形状(下方から上方に向かって不連続に縮径する形状)
形状C:図6C−1に示す形状(下方から上方に向かって縮径しない形状)
また、表1に記載する抗菌剤の種類X及びYは以下の通りである。
抗菌剤X:銀イオンを担持させたゼオライト
抗菌剤Y:ベンゾイミダゾール系抗菌剤
具体的には、まず、溶融状態にある非晶質樹脂に、非晶質樹脂からなる樹脂組成物の質量に対して、表1に記載の含有量となるように、銀イオンを担持させたゼオライトを添加して、表1に記載の量の抗菌剤を含む、下部内層用の未成形の抗菌剤含有樹脂組成物と、上部内層用の未成形の抗菌剤含有樹脂組成物と、をそれぞれ得た。次いで、得られたそれぞれの未成形の抗菌剤含有樹脂組成物から、下部内層と上部内層とを別個に成形し、成形した下部内層と上部内層とを、常法に従って接合した。更に別途成形した外層を、内層と常法に従って接合して、内層が抗菌剤を含有する非晶質樹脂からなる、実施例1〜6、及び比較例1〜5の廃インクタンクを製造した。
Figure 0005826144
[製造例1]
実施例1〜6、及び比較例1〜5の廃インクタンクの評価に用いる、廃インクタンクを備えるインクジェット記録装置において、一般的に用いられるインクを下記の通り製造した。
〔樹脂の合成〕
顔料分散体の調製に用いるスチレン−アクリル樹脂をマクロモノマー合成法により製造した。具体的には、ポリスチレンの分子末端の一方に(メタ)アクリロイル基が結合したオリゴマー(AS−6、東亜合成株式会社製、数平均分子量(Mn)6000)と、所定量の、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及びアクリル酸ブチルとを、メチルエチルケトン中で重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))の存在下に重合を行い、スチレン−アクリル樹脂を製造した。
得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)を、ゲルろ過クロマトグラフィー(HLC−8020GPC(東ソー株式会社製))を用いて下記条件により確認した。また、得られた樹脂の酸価(mgKOH/g)を滴定により確認した。得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)は約50,000であり、酸価は150であった。
<質量平均分子量測定条件>
カラム:TSKgel、Super Multipore HZ−H(東ソー株式会社製、4.6mmID×15cm)
カラム本数:3本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.35ml/分
サンプル注入量:10μl
測定温度:40℃
検出器:IR検出器
検量線は、標準試料(TSK standard,polystyrene、東ソー株式会社製)から、F−40、F−20、F−4、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、及びn−プロピルベンゼンの8種を選択して作成した。
〔顔料分散体の製造〕
イオン交換水74.5質量%、顔料(フタロシアニンブルー、P.B−15:3)15質量%、スチレン−アクリル樹脂10質量%、及び界面活性剤(アセチレンジオールのエチレンオキシド付加物、日信化学工業株式会社製)0.5質量%となるように、これらの材料をナノグレンミル(浅田鉄工株式会社製)に仕込み、ビーズ径0.5mmのジルコニアビーズをメディアとしてナノグレンミルに充填して、水冷しながら顔料を分散させて顔料分散体を得た。得られた顔料分散体をイオン交換水にて300倍に希釈して、動的光散乱式粒径分布装置(ゼータサイザー ナノ、シスメックス株式会社製)により顔料の体積平均粒径D50を測定し、顔料分散体の体積平均粒径が100nmとなっていることを確認した。
〔インクの製造〕
顔料分散体6質量%と、オルフィンE1010(界面活性剤、アセチレンジオールのエチレンオキシド付加物、日信化学工業株式会社製)0.5質量%と、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10質量%と、2−ピロリドン(溶解安定剤)10質量%と、グリセリン9質量%と、残余のイオン交換水とを撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターによりろ過して、インクを得た。
≪評価方法≫
実施例1〜3、及び比較例1〜7の廃インクタンクの評価は、製造例1で製造したインクを用いて行った。
具体的には、まず、インク1Lを、60℃の高温槽で3日間静置させることで、乾燥により増粘させた。次いで、増粘したインクを、廃インクタンクの容積の1/5の量となるように、廃インクタンクに流入させ、30℃80%RH環境下において1週間静置した後、下記手順で、腐敗菌やカビの有無、及び廃インクの回収効率を評価した。その後、新たに廃インクタンクの容積の1/5の量であるインクを流入させて1週間静置し、再度、腐敗菌やカビの有無、及び廃インクの回収効率を評価する手順を繰り返し、最初の廃インクタンクへのインクの流入から5週間経過後までの廃インクタンクの評価を行った。
<腐敗菌やカビの有無の評価>
廃インクタンク内のインクをシャーレに少量採取し、光学顕微鏡にて顕微鏡観察を行った。下記の判定基準を基に、廃インクタンク内の腐敗菌やカビの有無を判定して評価した。○の判定を合格と評価し、△又は×の判定を不合格と評価した。
○:腐敗菌やカビが観察できなかった。
△:観察範囲内に少量の腐敗菌やカビが観察できた。
×:腐敗菌やカビによるコロニーが形成されているのが観察できた。
<廃インクの回収効率の評価>
廃インクタンク内を目視により観察し、下記の判定基準を基に、廃インクタンクの廃インクの回収効率を判定して評価した。○の判定を合格と評価し、×の判定を不合格と評価した。
○:廃インクが廃インクタンク内で均一に回収されていた。
×:廃インクが廃インクタンク内で偏在していた。
Figure 0005826144
表2によれば、所定の容積を有する樹脂製の胴部と、上部から廃インクを流入させる開口部とを有する、インクジェット記録装置用の廃インクタンクであって、胴部は、廃インクと接する内層が、抗菌剤を含有する非晶質樹脂であり、抗菌剤の内層における含有量は、廃インクタンクの最大液面高さhを2等分するh/2における仮想水平面を境に、それより下方においては平均1.0質量%以上であり、それより上方においては平均1.5質量%以上であり、形状は、上方の上部容積が、下方の下部容積よりも小さくなる形状である、実施例1〜5の廃インクタンクは、長期間インクを溜めた場合であっても、腐敗菌やカビの増殖を抑制でき、インクの腐敗を抑制できることが分かる。
これに対し、上方の上部容積と、下方の下部容積とが同じ形状である、比較例1の廃インクタンクは、5週間目に腐敗菌やカビの増殖を抑制できていないことが分かる。
また、抗菌剤の内層における含有量が、廃インクタンクの最大液面高さhを2等分するh/2における仮想水平面より上方において平均1.5質量%未満である、比較例2及び4の廃インクタンクは、3週間目以降において、腐敗菌やカビの増殖を抑制できていないことが分かる。一方、抗菌剤の内層における含有量が、仮想水平面より下方において平均1.0質量%未満である、比較例5の廃インクタンクは、3週間目に腐敗菌やカビの増殖を抑制できず、4週間目には腐敗菌やカビの増殖を抑制できたものの、5週間目には、再度カビが増殖していることが分かる。
また、廃インクと接する内層が非晶質樹脂でない、比較例3の廃インクタンクは、2週間目以降において、腐敗菌やカビの増殖を抑制できていないことが分かる。また、比較例3の廃インクタンクは、2週間目以降において、腐敗菌やカビの増殖を抑制できていないため、廃インクタンクへ廃インクを流入させる流路においてもカビの増殖が確認された。
そして、比較例1〜5の廃インクタンクでは、カビの増殖時、又はその後において廃インクの回収効率が良好でないことが分かる。これは、腐敗菌やカビの増殖に起因して、廃インクの増粘が進行しやすくなっているためと推察できる。
なお、実施例5の廃インクタンクは、他の実施例、及び比較例と比べて傾斜角度が大きいため、廃インクタンクの容積が小さくなりやすく、廃インクの回収量が少なくなりやすい。また、実施例4の廃インクタンクは、腐敗菌やカビの増殖は抑制できているものの、廃インクを廃インクタンク内で均一に回収しにくいことが分かる。これは、実施例4の廃インクタンクが底面に傾斜を有してないため、廃インクの流入の際、廃インクが廃インクタンク内で分散しやすいためと推察できる。
1……インクジェット記録装置、22(K,C,M,Y)……記録ヘッド、51……キャップ(第2インク受け部)、514……第2インク排出孔(第2インク排出部)、61(K,C,M,Y)……廃インクトレイ、62(K,C,M,Y)……第1インク誘導傾斜部、63……仕切り壁(仕切り部)、64……第1インク排出孔(第1インク排出部)、561……廃インクタンク、221……ノズル面、傾斜方向、W1,W2……インク流動路の幅、X……流動方向に直交する方向、Z……上下方向

Claims (6)

  1. 所定の容積を有する樹脂製の胴部と、上部から廃インクを流入させる開口部とを有する、インクジェット記録装置用の廃インクタンクであって、
    前記胴部は、前記廃インクと接する内層と、結晶性樹脂の外層とを備える多層構成であり
    前記内層は、抗菌剤を含有する非晶質樹脂であるABS樹脂であり、
    前記抗菌剤の前記内層における含有量は、前記廃インクタンクの最大液面高さhを2等分するh/2における仮想水平面を境に、それより下方においては平均1.0質量%以上であり、それより上方においては平均1.5質量%以上であり、
    前記廃インクタンクの形状は、前記上方の上部容積が、前記下方の下部容積よりも小さくなる形状であり、
    前記廃インクタンクの形状は、前記下方から前記上方に向かって連続的に縮径する形状である、廃インクタンク。
  2. 前記廃インクタンクの底面を構成する内層底面が下方に向かって窪む凹形状をなしている、請求項1に記載の廃インクタンク。
  3. 前記内層底面は、底面の略中央に向かって傾斜する底面傾斜部を有し、その傾斜角度は、水平面に対して2°以上10°以下である、請求項に記載の廃インクタンク。
  4. 前記抗菌剤が、銀イオンを担持させたゼオライトである、請求項1からの何れか1項に記載の廃インクタンク。
  5. インクの液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
    請求項1からの何れか1項に記載の廃インクタンクと、を備えるインクジェット記録装置。
  6. インクの液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置に用いられる請求項1からの何れか1項に記載の廃インクタンクによる、廃インク回収方
    法。
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